建設業許可を受けた後、許可内容に変更があった場合には、その内容に応じた変更届を提出する必要があります。
また、許可内容に変更がなくても、毎事業年度の終了後には決算変更届を提出しなければなりません。
建設業許可は、取得すればその後は何もしなくてよいものではありません。許可を受けた事業者には、許可取得後も必要な届出を行い、許可内容を適切な状態にしておく義務があります。
こうした届出が未提出のまま5年後の更新時期を迎えた場合は、未提出となっている届出を整理したうえで、更新申請を進める必要があります。
この記事では、変更届を出し忘れた場合や、提出期限を過ぎてしまった場合に、どのように対応すればよいのかを解説します。
目次
① 建設業許可を受けた後に必要となる主な届出
建設業許可を受けた後は、許可内容に変更が生じたときだけでなく、毎事業年度の終了後にも届出が必要です。

主な届出と提出期限は、次のとおりです。
| 主な届出 | 届出が必要になるタイミング |
|---|---|
| 商号・名称、資本金額などの変更 | 商号・名称や資本金額を変更したとき |
| 役員等・代表者の変更 | 役員等が就任・退任したとき、代表者が変わったとき |
| 営業所に関する変更 | 営業所を新設・移転・名称変更・廃止したとき |
| 常勤役員等・令3条使用人の変更 | 対象者が交代・変更したとき |
| 営業所技術者等の変更 | 営業所技術者等が交代・変更したとき |
| 決算変更届 | 毎事業年度が終了したとき |
変更内容ごとの提出期限や必要書類をまとめて確認したい場合は、こちらの記事で整理しています。
建設業許可の変更届の種類・期限・必要書類を確認する
また、営業所の新設などでは、営業所そのものの届出だけでなく、令3条使用人(従たる営業所で契約締結などの権限を持つ責任者)や営業所技術者等の変更が連動することがあります。
こうした届出は、更新のときにまとめて行うものではありません。変更が生じた時点、または事業年度が終了した時点で、それぞれの期限までに提出する必要があります。
② 未提出の変更届はありませんか?

たとえば、次のような変更があった場合は、建設業許可の変更届を提出しているか確認してみてください。
- 代表取締役が退任し、長男が新しい代表取締役に就任した
- 株主総会で新しい取締役が選任された、または取締役が退任した
- 本店や営業所を移転した
- 新しい営業所を開設した、または営業所を廃止した
- 営業所長が定年退職し、別の人が後任になった
- 営業所を担当していた技術者が退職し、別の技術者に交代した
- 赤字決算となり、欠損の補填などのため資本金を減額した
- 会社名と商号を一致させるため、商号を変更した
役員の就任・退任や代表者変更については、必要な届出や添付書類をこちらで詳しく整理しています。
役員・代表者を変更した場合の届出を確認する
営業所の移転・新設・廃止については、連動して必要になる届出も含めてこちらで整理しています。
営業所を変更した場合の手続を確認する
未提出かもと思ったら?
「以前変更したが、建設業許可の届出をしたか覚えていない」という場合は、次の資料や方法で確認します。
- 直近の許可申請書・更新申請書の控えを確認する
- 過去の変更届の控えを確認する
- JCIPの受付記録を確認する
- 顧問行政書士に確認する
未提出の届出が見つかった場合は、そのままにせず、変更内容と必要書類を確認します。
③ 未提出が見つかったら、必要書類を準備して東京都へ相談する

未提出の変更届が見つかった場合は、そのまま放置せず対応します。
まず、変更内容を確認して必要な書類を準備します。そのうえで、通常の変更届として提出できるのか、事前に東京都への確認が必要なケースなのかを整理して手続きを進めます。
特に、複数年にわたる未提出や、許可要件に関係する変更などでは、東京都へ事情を説明し、必要な対応を確認してから進めることが重要です。期限超過だから特定の提出方法になるという一律のルールは確認されておらず、内容や確認資料によって対応が異なります。
特に、次のような場合は事前に相談してから進めるとよいでしょう。
- 決算変更届を複数年にわたって提出していない
- 複数の変更届が未提出になっている
- 常勤役員等や営業所技術者等が交代し、要件を満たす後任者がすでに職務に就いているものの、変更届を提出していない
- 過去の変更内容や提出状況を確認するための資料が十分に残っていない
特に注意が必要なのは、許可要件を満たしていない期間がある場合
たとえば、営業所技術者等が不慮の事故で亡くなり、その後しばらく要件を満たす後任者を置くことができなかった場合です。
この場合は、変更届の提出が遅れているだけではなく、建設業許可の要件を満たしていない期間が生じていることになります。
書類を準備して提出する前に、まず東京都へ事情を説明し、今後の対応を確認します。
④ 未提出の届出がある場合は、更新前に整理が必要

建設業許可は5年ごとに更新が必要です。更新前に未提出の変更届や決算変更届が見つかった場合は、まず未提出となっている届出を確認・整理したうえで、更新申請を進めます。
そのため、更新期限が近づいてから未提出に気づいた場合は、更新申請より先に、未提出となっている届出への対応が必要になります。
更新申請の準備を始める段階で、過去の届出がすべて提出されているか確認しておくことが重要です。
更新時期が近い場合は、更新申請の流れや必要書類もあわせて確認しておくと安心です。
建設業許可の更新申請について確認する
⑤ 適切な変更届を提出しなかった場合の罰則
建設業許可の変更届には提出義務があり、必要な書類を提出しなかった場合には、建設業法上の罰則があります。
主な関係は次のとおりです。
| 問題 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 建設業法第11条第1項から第4項までに定める書類を提出しない、または虚偽の記載をして提出する | 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。法人の業務に関して違反した場合は、法人にも罰金刑 | 建設業法第50条第1項第2号・第53条 |
| 常勤役員等や営業所技術者等の許可要件を欠くこととなった場合 | 許可取消しの対象となる場合がある | 建設業法第29条 |
建設業法では、変更届を含む第11条の届出義務に違反した場合について、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定めています。
また、届出義務違反は、罰則だけでなく監督処分の対象となることもあります。東京都の監督処分基準では、建設業法第11条違反が指示処分の対象例として挙げられています。
ただし、変更届を出し忘れたから直ちに許可取消しになる、というわけではありません。
一方で、未提出の内容が常勤役員等や営業所技術者等に関係し、実際に許可要件を満たしていない期間があった場合は、届出遅延とは別に、許可取消しの問題が生じます。
⑥ 大臣許可・特定建設業の場合
この記事では、東京都知事許可・一般建設業を前提に説明しています。
大臣許可の場合
変更届や決算変更届を提出する義務や提出期限の基本的な考え方は、大臣許可でも同じです。
ただし、提出先だけでなく、提出方法や確認資料の取扱いは許可行政庁によって異なります。
関東地方整備局の大臣許可では、変更届等は原則として関東地方整備局へ郵送等で提出します。また、常勤役員等や営業所技術者等の変更では、常勤性・経験・資格などを確認するための資料が必要になります。
そのため、東京都知事許可の必要書類や提出方法をそのまま大臣許可に当てはめず、管轄する地方整備局で確認します。
特定建設業の場合
変更届や決算変更届の提出義務、提出期限については、一般建設業と基本的に同じです。
ただし、営業所技術者等など、一般建設業と特定建設業で許可要件が異なる事項について未提出がある場合は、特定建設業の要件を満たしていたかを確認する必要があります。
⑦ よくある質問
Q:変更届の提出期限を過ぎていても提出できますか?
はい。提出期限を過ぎていても、変更届を提出する必要があります。
期限を過ぎている場合は、必要書類を準備し、東京都へ相談したうえで提出します。
Q:何年も前の変更届が未提出だった場合はどうすればよいですか?
何年も前の変更であっても、必要な変更届を提出する必要があります。
変更内容や変更時期を確認し、必要書類を準備したうえで東京都へ相談します。
Q:更新直前に未提出が見つかった場合はどうなりますか?
更新前に未提出の変更届や決算変更届が見つかった場合は、未提出となっている届出を確認・整理したうえで、更新申請を進めます。
更新期限が近い場合や、複数の未提出がある場合、許可要件に関係する変更が含まれる場合などは、早めに対応することが重要です。
Q:決算変更届を何年分も提出していない場合はどうすればよいですか?
複数年分の決算変更届が未提出の場合も、未提出のままにせず東京都へ相談して対応します。
決算変更届の必要書類や提出期限については、こちらの記事で詳しく解説しています。
決算変更届の必要書類・期限を確認する
Q:営業所技術者等が亡くなり、後任者をすぐに置けなかった場合はどうなりますか?
この場合は、単なる変更届の期限超過ではなく、建設業許可の要件を満たしていない期間が生じている可能性があります。
書類を準備して提出する前に、まず東京都へ事情を説明し、今後の対応を確認します。
Q:変更届を出し忘れると、すぐに許可取消しになりますか?
変更届の未提出だけで直ちに許可取消しになるとは限りません。
ただし、届出義務違反には罰則があり、さらに未提出の背景で許可要件を欠いていた場合は、許可取消しの問題につながることがあります。
⑧更新前に確認しておきたい「役員変更」の届出漏れ

建設業許可の変更届については、実務上、少し軽く考えられているケースが多いように感じます。
そもそも建設業は、軽微な建設工事を除き、誰でも自由に営めるものではありません。建設業法に定められた要件を満たし、行政庁から許可を受けてはじめて営むことができます。
仕組みとしては、自動車の運転免許に近いものがあります。免許を取得した後も交通ルールを守らなければならないのと同じように、建設業許可を受けた後も、建設業法に基づくルールや届出義務を守る必要があります。
建設業許可を取得するということは、許可を受けた後も、建設業法に基づく監督のもとで事業を続けていくということでもあります。
ところが実際には、「許可は取ったから、5年後に更新すればよい」という感覚で運用されている会社も少なくありません。
しかし、変更届や決算変更届は任意ではなく、法律上の義務です。必要な届出を行わないまま、5年後の更新だけ受けられるというものではありません。
私がこれまで建設業許可の更新相談を受けた範囲では、届出漏れがまったくなかったケースは一度もありません。
一通り確認して「もう届出漏れはなさそうですね」と思っても、最後に見つかることが多いのが役員変更です。
たとえば、将来の事業承継を見据えて代表者の長男が取締役に就任していたケースや、会社の規模拡大に伴って代表者の配偶者が取締役を退任していたケースがあります。
会社側では、日常の経営上の人事異動として処理していても、取締役の就任・退任は建設業許可上の変更届が必要になります。
特に役員変更は、商業登記は済ませているのに、建設業許可の変更届まで意識が回っていないケースが少なくありません。
だからこそ、更新時期になってから慌てて確認するのではなく、変更が生じた都度、必要な届出を行っておくことが重要です。
⑨ まとめ
建設業許可を受けた後は、役員、代表者、営業所、常勤役員等、営業所技術者等などに変更があった場合、その内容に応じた変更届を提出する必要があります。また、毎事業年度終了後には決算変更届の提出も必要です。
変更届や決算変更届を提出しないままにしていると、更新申請等を進めることができません。さらに、未提出の内容によっては、単なる届出遅延ではなく、許可要件を満たしていない問題につながることもあります。
提出期限を過ぎていることに気づいた場合は、そのままにせず、変更内容や未提出となっている届出を確認し、必要な手続きを整理します。複数年にわたる未提出や許可要件に関係する変更など、個別確認が必要な場合は東京都へ相談して対応します。
特に更新時期が近い場合は、更新申請の準備だけでなく、過去の変更届や決算変更届に漏れがないかを先に確認することが重要です。
建設業許可取得後に必要となる決算変更届、変更届、更新などの手続全体はこちらで整理しています。
建設業許可取得後に必要な手続をまとめて確認する
変更届の提出状況に不安がある場合はご相談ください
「過去に変更があったが、建設業許可の変更届を提出したか分からない」「更新を前に確認したところ、未提出の届出が見つかった」という場合は、早めの確認が大切です。
IT行政書士事務所では、東京都知事許可・一般建設業を中心に、現在の許可内容や過去の変更状況を確認し、必要な手続きを整理します。
更新期限が近い場合や、複数の変更が重なっている場合もご相談ください。
まずは現在の許可内容と、これまでの変更履歴を確認するところから始めます。

