東京都知事の建設業許可は、書面または建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を利用して申請できます。
書面申請の提出方法は申請区分によって異なり、新規申請は窓口、更新や一定の業種追加などは郵送にも対応しています。
申請方法は異なりますが、建設業許可を取得するための要件が変わるわけではありません。また、申請に必要となる情報や確認資料についても、基本的な考え方は同じです。
違うのは、それらをどのような方法で作成・提出し、行政庁とのやり取りを行うかです。
では、書面による申請とJCIPでは具体的に何が違い、どちらを選ぶと負担が少ないのでしょうか。
この記事では、東京都の建設業許可を申請する場合の両者の違いやメリット・デメリット、会社の状況に応じた選び方を解説します。
※この記事では、紙の申請書類を使用する申請方法を、JCIPによる電子申請と区別するため「書面申請」と表記します。書面申請の提出方法は申請区分によって異なります。
目次
①建設業許可は「書面申請」と「JCIP(電子申請)」を選べる
東京都知事の建設業許可は、窓口・郵送による書面申請のほか、建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を利用した電子申請ができます。
書面申請とJCIPで異なるのは、主に申請書の作成・提出方法や、申請後の行政庁とのやり取りです。
一方、建設業許可を取得するための要件は、どちらを選んでも変わりません。必要な情報を整理し、要件を満たしていることを確認・証明するための資料を準備することも共通しています。
つまり、「何を申請するか」は同じで、「どう申請するか」が違うと考えるとわかりやすいでしょう。
書面申請とJCIPの違いを一覧で比較
| 項目 | 書面申請 | JCIP(電子申請) |
|---|---|---|
| 許可要件 | 同じ | 同じ |
| 必要な情報 | 基本的に同じ | 基本的に同じ |
| 要件を確認・証明する資料 | 必要 | 必要 |
| 申請方法 | 窓口(更新や一定の業種追加などは郵送にも対応) | オンライン |
| 申請書の作成 | 所定の様式で作成 | JCIP上で入力・作成 |
| GビズID | 不要 | 必要 |
| 確認資料 | 書面で提出 | 電子データを添付 |
| 訂正・補正 | 書面などで対応 | JCIP上で対応 |
| 申請状況 | JCIP上での確認はできない | JCIP上で確認できる |
| 前回申請データの利用 | 前回の申請書などを参照 | 前回申請取込機能あり |
| 行政書士による代理申請 | 委任状を用意して申請 | JCIP上で代理申請のための委任手続きが必要 |
上の表の前半が、書面申請とJCIPに共通する部分です。後半が、申請方法の違いによって生じる部分です。
JCIPには申請状況の確認や前回申請データの取り込みなど、電子申請ならではの機能があります。一方、書面申請ではGビズIDの取得やJCIPの操作は必要ありません。
書面で申請する場合
申請書や確認資料などを書面で準備して提出します。
東京都知事許可では、新規申請は窓口へ提出します。更新や一定の業種追加など、申請区分によっては郵送にも対応しています。
東京都知事許可の申請先や、窓口・郵送・JCIPそれぞれの申請から許可までの流れは、東京都の建設業許可の申請方法で解説しています。
行政書士に依頼する場合は、申請者に代わって行政書士が申請手続きを行うこともできます。
JCIPで電子申請する場合
JCIPでは、申請書の作成、確認資料の添付、申請データの送信、申請後の訂正・補正などをオンラインで行います。
利用にはGビズIDが必要です。また、行政書士が代理申請する場合には、JCIP上で代理申請を行うための委任手続きが必要になります。
JCIPを利用することで申請方法は電子化できますが、許可要件の判断や、それを確認・証明するための資料の準備まで不要になるわけではありません。
②建設業者にとって書面申請とJCIPは何が違う?

書面申請とJCIPのどちらを選ぶかによって、申請のために必要となる作業は変わります。
まずは建設業者が自社で申請する場合を前提に、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
書面申請のメリット・デメリット
書面申請のメリットは、JCIPを利用するための準備やシステム操作が必要ないことです。
| 項目 | メリット |
|---|---|
| 事前準備 | GビズIDを準備する必要がない |
| システム操作 | JCIPの操作方法を覚える必要がない |
| 確認資料 | 紙で保管している資料をそのまま提出できる |
特に、請求書や契約書などを紙で保管している会社であれば、申請のために資料を電子データ化する作業を減らせます。
一方、書面で提出する以上、紙を扱うための作業は発生します。
| 項目 | デメリット |
|---|---|
| 申請書類 | 印刷や書類をまとめる作業が発生する |
| 提出 | 申請区分に応じて窓口への持参や郵送が必要になる |
| 訂正・補正 | オンラインだけでは完結しない |
| 過去の申請 | 前回の申請書などを自分で確認する必要がある |
自社で申請する場合には、書類を作成するだけでなく、印刷から提出まで自社で対応しなければなりません。
JCIP(電子申請)のメリット・デメリット
JCIPのメリットは、申請に関する多くの作業をオンラインで行えることです。
| 項目 | メリット |
|---|---|
| 提出 | オンラインで申請できる |
| 確認資料 | 電子データで提出できる |
| 申請状況 | JCIP上で確認できる |
| 訂正・補正 | JCIP上で対応できる |
| 過去の申請 | 前回申請取込機能を利用できる |
窓口への移動や郵送が不要になるだけでなく、申請後の訂正・補正などもJCIP上で行えます。継続して利用する場合には、前回の申請データを取り込めることもメリットです。
一方、オンラインで申請するための準備と操作が必要になります。
| 項目 | デメリット |
|---|---|
| 事前準備 | GビズIDの準備が必要 |
| システム操作 | JCIPの操作方法を理解する必要がある |
| 紙の資料 | 必要に応じて電子データ化する作業が発生する |
初めて利用する場合は、GビズIDを準備したうえで、JCIPへのログイン、申請書の作成、確認資料の添付、申請データの送信などの操作を行います。
電子申請によって紙を扱う作業は減らせますが、その代わりに電子申請を行うための作業が発生します。
行政書士に依頼すると「自社に残る作業」が変わる
ここまでの比較は、自社で申請する場合を前提としています。
行政書士に依頼する場合は、書面申請とJCIPのメリット・デメリットの見え方が変わります。
| 項目 | 書面申請 | JCIP(電子申請) |
|---|---|---|
| 申請書の作成 | 行政書士に任せられる | 行政書士に任せられる |
| 確認資料の整理 | 行政書士のサポートを受けられる | 行政書士のサポートを受けられる |
| 申請手続き | 行政書士に任せられる | 行政書士が代理申請できる |
| GビズID | 不要 | 申請者側にも必要 |
| 委任手続き | 書面で対応 | GビズIDを利用した電子的な委任手続きが必要 |
自社で書面申請をする場合、申請書類の印刷や郵送、窓口への持参などは自社の作業になります。しかし、行政書士に依頼すれば、こうした作業を行政書士に任せることができます。
一方、JCIPによる代理申請では、行政書士だけですべての操作を完結できるわけではありません。GビズIDを利用した電子的な委任手続きなど、依頼者側での対応も必要になります。
つまり、JCIPによって行政書士側の申請作業をオンライン化できても、それがそのまま建設業者側の負担軽減につながるとは限りません。
行政書士に依頼する場合は、「書面と電子のどちらが便利か」だけではなく、最終的に自社にどのような作業が残るのかまで見て比較する必要があります。
パソコンやオンライン手続きが得意かどうかとは別に、行政書士へ依頼する以上、経営者が自分の作業をできるだけ減らしたいと考えるのは自然なことです。
そのため、書面申請とJCIPのどちらが向いているかは、経営者のITリテラシーだけでは判断できません。会社の体制や誰が手続きを担当するのかによっても変わります。
③あなたの会社は書面申請とJCIPのどちらが向いている?
書面申請とJCIPのどちらが向いているかは、単純にパソコンが得意か苦手かだけでは判断できません。
行政書士に依頼する場合は、「経営者自身がどこまで手続きをしたいか」「すでに電子申請を利用できる環境があるか」「社内で誰が操作するのか」といった点も重要です。
代表的な3つのケースで考えてみましょう。
| モデルケース | 選択肢 | ポイント |
|---|---|---|
| 申請は行政書士に任せて、自分の作業をできるだけ減らしたい経営者 | 書面申請 | JCIPを利用するために経営者側の作業を増やすメリットが小さい |
| LAN工事などITには強いが、建設業許可の申請実務には詳しくない経営者 | 書面申請・JCIPのどちらも候補 | ITの知識と建設業許可の知識は別 |
| GビズIDをすでに取得しており、社内に事務担当者がいる会社 | JCIPも有力 | 電子申請を社内で継続して運用しやすい |
ケース1:申請は行政書士に任せて、自分の作業をできるだけ減らしたい経営者
行政書士に建設業許可を依頼する経営者の中には、「必要な資料は用意するので、あとの申請手続きはできるだけ任せたい」という方もいます。
これはパソコンが得意か苦手かという問題ではありません。
本業を抱えている経営者が、行政書士に依頼した手続きについて、自分で行う作業をできるだけ少なくしたいと考えるのは自然なことです。
このような場合は、書面申請の方が進めやすいことがあります。
JCIPによる代理申請では、行政書士に依頼しても、申請者側でGビズIDを利用した電子的な委任手続きなどへの対応が必要です。一方、書面申請であれば、申請書の作成や提出などを行政書士側で進められます。
「電子申請を使えるか」ではなく、経営者自身の作業をどこまで減らせるかで考えるケースです。
ケース2:ITには強いが、建設業許可の申請実務には詳しくない経営者
たとえば、LAN工事や電気通信工事を行っている会社では、経営者自身がパソコンやネットワークに詳しいこともあります。
だからといって、必ずJCIPを選んだ方がよいとは限りません。
システムを操作する能力と、建設業許可の申請内容を判断するための知識は別だからです。
JCIPを問題なく操作できても、どの業種で申請するのか、どのような情報を入力するのか、どの資料で経験などを証明するのかといった建設業許可特有の判断まで簡単になるわけではありません。
このケースでは、ITに強いことだけを理由にJCIPを選ぶ必要はなく、行政書士へどこまで任せるのかも含めて書面申請とJCIPを比較します。
ケース3:GビズIDをすでに取得しており、社内に事務担当者がいる会社
すでにGビズIDを取得していて、行政手続きを担当する事務担当者がいる会社であれば、JCIPも有力な選択肢です。
新たにGビズIDを準備する必要がなく、経営者本人ではなく担当者を中心に電子申請のための社内対応を進められるからです。
また、JCIPには前回申請取込機能があるため、今後の更新などでも継続して利用するのであれば、電子申請のメリットを活かしやすくなります。
重要なのは、「ITに詳しい会社だからJCIP」ということではありません。
電子申請を無理なく運用できる社内体制がすでにあるかどうかが、一つの判断材料になります。
④行政書士にとって書面申請とJCIPは何が違う?
ここまでは、建設業者側から書面申請とJCIPを比較してきました。
一方、申請を代理する行政書士の立場では、JCIPにすることで便利になる部分があります。ただし、行政書士にとって便利な方法が、そのまま依頼者にとって楽な方法になるとは限りません。
| 項目 | 書面申請 | JCIP(電子申請) |
|---|---|---|
| 申請 | 申請区分に応じて窓口へ持参または郵送 | オンラインで送信 |
| 申請書類 | 印刷や書類をまとめる作業が必要 | システム上で作成 |
| 確認資料 | 書面で提出 | 電子データで添付 |
| 訂正・補正 | 書面などで対応 | JCIP上で対応 |
| 代理申請の準備 | 書面による委任 | JCIP上で委任手続き |
| 依頼者側の対応 | 必要書類の準備・確認など | GビズIDの準備や電子的な委任手続きなど |
JCIPなら行政書士が役所へ出向く負担を減らせる
JCIPの大きなメリットは、行政書士が事務所からオンラインで申請できることです。
書面申請では申請区分に応じた方法で書類を提出する必要がありますが、JCIPなら申請データをオンラインで送信できます。申請後に訂正・補正が必要になった場合も、システム上で対応できます。
行政書士側から見れば、移動や郵送にかかる時間を減らせるため、電子申請には大きなメリットがあります。
申請後、元請や取引先から申請状況の確認を求められた場合については、建設業許可の申請中を確認する方法で解説しています。
JCIPでは依頼者側の対応が必要になる場面がある
一方、代理申請だからといって、JCIPの操作をすべて行政書士だけで進められるわけではありません。
JCIPで代理申請を行うためには、GビズIDを利用した電子的な委任手続きが必要です。委任関係の作成は行政書士側から依頼することもできますが、申請者側でも委任に関する対応が必要になります。
実務では、ここが意外と大きな違いになります。
行政書士側で申請の準備ができていても、電子的な委任手続きなど、依頼者側の対応を待たなければ次へ進めない場面があります。
もちろん、依頼者がすぐに対応できるとは限りません。建設会社の経営者であれば、現場に出ていたり、打ち合わせや見積りに追われていたりすることもあります。
こちらから操作をお願いしても、その日のうちに対応できないことは珍しくありません。
これはITリテラシーの問題ではなく、行政書士と依頼者の双方が操作することで、相手の対応を待つ工程が生まれるという電子申請特有の問題です。
行政書士にとって便利でも依頼者にとって便利とは限らない
行政書士だけの都合を考えれば、事務所から申請できるJCIPは便利です。
しかし、行政書士への依頼を検討している建設業者にとって重要なのは、「行政書士が楽になるか」ではなく「自分たちの作業が減るか」です。
書面申請なら行政書士が印刷や提出を行い、依頼者には必要な書類への必要書類の準備・確認などをお願いする形で進められることがあります。
JCIPでは行政書士の移動や紙を扱う作業を減らせる一方、依頼者側にGビズIDの準備や委任の承認などの作業が発生します。
そのため、当事務所では「電子申請ができるからJCIPを使う」という考え方ではなく、依頼者側の負担まで含めて、書面申請とJCIPのどちらで進めるかを考えています。
⑤電子申請だから建設業許可が簡単になるわけではない

JCIPを利用すると、申請書の作成や提出、申請後の訂正・補正などをオンラインで行えます。
ただし、電子化されるのは申請手続きです。建設業許可を取得するための要件が簡単になったり、確認・証明する資料が不要になったりするわけではありません。
JCIPを利用するにはGビズIDなどの準備が必要
JCIPを利用するには、GビズIDが必要です。
行政書士へ代理申請を依頼する場合も、行政書士が自分のGビズIDだけで最初から最後まで手続きを完結できるわけではありません。
行政書士に代理申請を依頼する場合でも、GビズIDを利用した電子的な委任手続きが必要です。そのため、行政書士だけですべての準備や操作を完結できるわけではなく、申請者側で対応が必要になる手続きがあります。
書面申請では必要なかった電子申請特有の準備が加わるため、初めてJCIPを利用する場合は、この準備も含めて考える必要があります。
JCIPの操作マニュアルは387ページ
国土交通省が公開している「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)操作マニュアル」は、令和8年7月の2.8版で387ページあります。
もちろん、建設業許可を申請するために387ページすべてを最初から最後まで読む必要があるという意味ではありません。
ただ、JCIPは単に必要事項を入力して送信するだけの簡単なフォームではありません。
申請書の作成、確認資料の添付、代理申請、訂正・補正、手数料の納付、審査結果の確認など、それぞれに操作方法があります。
電子申請という言葉から「紙の申請書をパソコンで入力するだけ」と考えていると、実際に操作を始めてから想像以上に確認することが多いと感じる可能性があります。
許可要件の判断や証明資料の準備は電子申請でも必要
さらに重要なのが、JCIPは建設業許可の申請方法を電子化するシステムであって、申請内容を代わりに判断してくれるシステムではないという点です。
たとえば、新規許可を申請する場合には、常勤役員等の経営経験を証明する資料や、営業所技術者等の要件を証明する資料を準備します。
過去の工事実績や経験を使って要件を証明するのであれば、「どの資料を提出すればよいか」という判断も必要です。
これらは書面申請でもJCIPでも変わりません。
そのため、
電子申請ができること
と
建設業許可を正しく申請できること
は分けて考える必要があります。
JCIPによって提出方法は便利になっても、建設業許可そのものの知識や、申請内容に応じた資料を準備する作業まで自動化されるわけではありません。
⑥当事務所では書面申請とJCIPをどう使い分けている?

当事務所では、書面申請とJCIPのどちらか一方に決めているわけではありません。
新規申請では依頼者側の作業をできるだけ減らすことを優先し、その後の更新や変更では、今後の行政手続きまで考えてJCIPへの切り替えをご提案することもあります。
| 手続き・状況 | 選択例 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 初めての新規許可 | 書面申請 | 依頼者側の作業を増やさず、許可取得に必要な準備を優先する |
| 更新 | JCIPへの切り替えを検討 | 今後の更新・変更や、GビズIDを利用する他の行政手続きも見据える |
| 比較的シンプルな変更 | JCIPを検討 | 電子申請の利便性を活かしやすい |
| 複雑な変更 | 書面申請を検討 | 手続き内容によっては書面で進めた方が対応しやすいことがある |
これはすべての会社に当てはまるルールではありません。会社の体制や今後予定している手続きなども確認して判断しています。
初めての新規申請では書面申請を選ぶことが多い
当事務所では、初めて建設業許可を取得する会社については、書面申請を選ぶことが多くあります。
新規申請では、常勤役員等や営業所技術者等を誰にするのか、どの業種で申請するのか、過去の経験をどの資料で証明するのかなど、申請前に確認・準備することが多くあります。
東京都知事・一般建設業の新規許可について、必要書類や申請の流れなどを含めた手続き全体はこちらで解説しています。
東京都知事・一般建設業の新規許可申請
そこへGビズIDの準備やJCIP上の委任操作まで加えると、依頼者側の作業が増えてしまいます。
行政書士へ依頼しているのであれば、電子申請を利用するための作業を増やすよりも、必要な資料を集めてもらうなど、許可を取得するために必要な準備に集中してもらう方が進めやすいと考えています。
そのため、新規申請では書面申請を選び、申請書の作成や提出などを当事務所側で進めることが多くなっています。
更新などを機にJCIPへの切り替えを提案することもある
新規許可を取得した後は、更新などのタイミングでJCIPへの切り替えをご提案することがあります。
理由は、建設業許可の手続きだけではありません。
会社を経営していると、今後、補助金をはじめとした電子申請でGビズIDを利用する機会が出てくる可能性があります。
そのため、当事務所では新規申請の時点で書面申請を選んだからといって、その後もずっと書面申請を続けることが最適とは考えていません。
また、JCIPには前回申請取込機能があります。一度電子申請へ移行し、その後の更新や変更でも継続して利用すれば、過去の申請データを活用できるメリットがあります。
目の前の手続きだけを見れば書面申請の方が楽でも、今後の建設業許可や補助金などの行政手続きまで考えると、GビズIDを準備して電子申請に慣れておくメリットが出てくることがあります。
JCIPへの切り替えを提案しても書面申請を希望されることは多い
一方、更新などのタイミングでJCIPへの切り替えをご提案しても、これまでどおり書面申請を希望されることは多くあります。
すでに行政書士へ手続きを任せることで問題なく進んでいる経営者からすると、新たにGビズIDを準備したり、JCIP上で操作したりする必要性を感じにくいからです。
「今までどおり先生に任せたい」「自分の作業が少ない方がいい」という判断も当然だと思います。
これはITに詳しいかどうかの問題ではありません。経営者にとっては、本業とは別の行政手続きに使う時間をできるだけ減らすことも大切です。
そのため、当事務所からJCIPへの切り替えを無理に勧めることはありません。
変更手続きでも内容によって申請方法を使い分ける
変更手続きについても、必ずJCIPを利用するわけではありません。
比較的シンプルな変更で、すでにGビズIDを取得しているなど電子申請を利用しやすい環境が整っていれば、JCIPの利便性を活かしやすくなります。
一方、確認事項や提出資料が多い変更などでは、書面申請を選ぶこともあります。
大切なのは、「書面申請とJCIPのどちらが優れているか」を決めることではありません。
今回の手続きをできるだけ楽に進めることと、今後の電子申請への移行を見据えること。この両方を考えながら、その会社に合った申請方法を選ぶことが重要です。
⑦特定建設業・国土交通大臣許可では何が違う?
ここまでは、東京都知事・一般建設業の許可申請を中心に、書面申請とJCIPを比較してきました。
特定建設業や国土交通大臣許可でもJCIPを利用できますが、許可要件や書面申請の提出先などに違いがあります。
| 項目 | 東京都知事・一般 | 東京都知事・特定 | 国土交通大臣許可 |
|---|---|---|---|
| JCIP | 利用できる | 利用できる | 利用できる |
| 書面申請 | できる | できる | できる |
| 許可要件 | 一般建設業の要件 | 特定建設業の要件 | 一般・特定に応じた要件 |
| 書面申請の提出先 | 東京都 | 東京都 | 国土交通省側 |
| JCIPと書面申請を選ぶ考え方 | 本記事で解説した内容 | 基本的に同じ | 基本的に同じ |
特定建設業でもJCIPと書面申請を選べる
特定建設業だからといって、申請方法がJCIPに限定されるわけではありません。東京都知事許可であれば、一般建設業と同様にJCIPによる電子申請と書面申請があります。
一般建設業との大きな違いは、申請方法ではなく許可要件です。
具体的な許可要件の違いは、一般建設業と特定建設業の違いで解説しています。
一般建設業と特定建設業の違い
特定建設業では、営業所技術者等や財産的基礎などについて一般建設業とは異なる要件があるため、それに応じた申請内容や確認資料を準備する必要があります。
そのうえで、JCIPと書面申請のどちらを選ぶかについては、これまで解説してきたように、会社の体制や依頼者側に残る作業などを考えて判断できます。
国土交通大臣許可でもJCIPを利用できる
国土交通大臣許可についても、JCIPによる電子申請を利用できます。
東京都知事許可との違いは、JCIPを利用できるかどうかではなく、許可行政庁や書面で申請する場合の提出先などです。
例えば、東京都内だけに営業所を設ける場合は東京都知事許可ですが、建設業を営む営業所を東京都と他の道府県に設ける場合は国土交通大臣許可となります。
そのため、複数の都道府県に営業所を設ける予定がある会社では、書面かJCIPかを決める前に、そもそも知事許可と大臣許可のどちらを申請するのか確認する必要があります。
書面申請では提出先や手続きが異なる
東京都知事許可の書面申請は東京都へ提出します。新規申請は窓口へ提出し、更新や一定の業種追加などについては郵送にも対応しています。
一方、国土交通大臣許可の書面申請は東京都知事許可とは提出先や手続きが異なり、関東地方整備局管内では原則として郵送による申請となります。
つまり、一般・特定の違いは主に許可要件、大臣・知事の違いは許可行政庁や書面申請の提出先などに表れます。
JCIPと書面申請のどちらを選ぶかという基本的な考え方は共通していますが、申請する許可の種類によって具体的な手続きは異なるため、自社が取得する許可を確認したうえで申請方法を選びましょう。
⑧JCIP・書面申請に関するよくある質問
Q:JCIPを利用するにはGビズIDが必要ですか?
はい、必要です。
JCIPを利用するには、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントを使用します。
これから取得する場合は、建設業許可の申請準備とは別に、GビズIDを準備する時間も考えておきましょう。
Q:行政書士に依頼してもGビズIDは必要ですか?
JCIPで代理申請する場合は必要です。書面申請で依頼する場合は必要ありません。
JCIPで行政書士に代理申請を依頼する場合も、申請者側でGビズIDの準備や電子的な委任手続きが必要になります。
Q:行政書士に依頼すればJCIPの操作をすべて任せられますか?
いいえ。行政書士に代理申請を依頼する場合でも、申請者側で対応が必要になる手続きがあります。
行政書士は申請書の作成や代理申請を行えますが、JCIPで代理申請するためには、GビズIDを利用した電子的な委任手続きが必要です。そのため、行政書士に依頼しても、JCIPに関する申請者側の対応が完全になくなるわけではありません。
Q:JCIPで申請した方が早く許可されますか?
JCIPを選んだからといって、審査期間そのものが短くなるわけではありません。
JCIPのメリットは、申請や訂正・補正などをオンラインで行えることです。
早く許可を取得したい場合は、申請方法の違いよりも、必要な情報や確認資料を揃えて申請までの準備をスムーズに進めることが重要です。
Q:新規申請を書面で行い、更新からJCIPに変更できますか?
はい、変更できます。
新規申請を書面で行ったからといって、その後も書面申請を続ける必要はありません。
当事務所でも、新規では依頼者側の作業を抑えるため書面申請を選び、更新などのタイミングでJCIPへの切り替えをご提案することがあります。
建設業許可以外にもGビズIDを利用する電子申請がありますので、今後予定している補助金申請なども含めて切り替えるタイミングを考えるとよいでしょう。
まとめ
東京都の建設業許可は、窓口・郵送による書面申請と、JCIPによる電子申請のどちらでも申請できます。
どちらを選んでも、建設業許可の要件や、申請に必要な情報・確認資料の基本的な考え方は変わりません。違うのは、主に申請書の作成・提出方法や、申請後の行政庁とのやり取りです。
JCIPには、オンラインで申請できることや、申請状況の確認、前回申請データの利用などのメリットがあります。一方で、GビズIDの準備やシステム操作が必要になり、行政書士へ依頼する場合でも申請者側に委任の承認などの操作が残ります。
そのため、「電子申請だから楽」「書面申請だから面倒」と単純に決めることはできません。
特に行政書士へ依頼する場合は、行政書士にとって便利な方法ではなく、依頼者側にどのような作業が残るのかまで考えることが重要です。
当事務所では、初めての新規申請では書面申請を選ぶことが多い一方、更新や変更、今後の補助金申請なども見据えて、JCIPへの切り替えをご提案することもあります。
書面申請とJCIPのどちらかに最初から決める必要はありません。会社の体制や今回の手続き、今後予定している行政手続きまで考えながら、負担の少ない方法を選んでいきましょう。
東京都の建設業許可申請はお任せください
建設業許可の申請では、書面申請とJCIPのどちらを選ぶかだけでなく、許可要件の確認や申請書の作成、経験を証明する資料の準備など、多くの作業が必要です。
当事務所では、東京都知事の建設業許可を取得したい事業者様からご依頼を受け、申請に必要な書類の確認から申請書の作成、東京都への申請までサポートしています。
申請方法についても、最初から書面・電子のどちらかに決めていただく必要はありません。会社の状況や今後の手続きも確認したうえで、負担の少ない方法をご提案します。
「建設業許可を取りたいけれど、申請手続きに時間をかけたくない」
「必要な資料が揃っているのかわからない」
「書面申請とJCIPのどちらがいいのかも含めて任せたい」
という方は、お気軽にご相談ください。
東京都知事・一般建設業の新規許可申請について、申請代行を承っています。

