遺書の書き方と例文集|心を込めたメッセージを残すためのポイント

遺書とは?その目的と重要性

遺書の基本的な定義とは

遺書とは、自分が亡くなった後に家族や大切な人に伝えたいメッセージや、財産分配などの意向を記した文書です。感謝の気持ちやお別れの言葉、人生の振り返りなど、個人的な思いを残す手段として使われます。

このページでは「遺書(いしょ)」について述べています。法的に有効な「遺言(遺言)」ではない点ご注意ください。

遺書を残すべき理由

遺書は、遺された人々への心の整理を助け、誤解やトラブルを防ぐ役割も果たします。自分の気持ちを明確に伝えることで、家族や友人が前向きな気持ちであなたを思い出すことができます。

遺書と遺言書の違い

遺書(いしょ)は感情的なメッセージを重視した個人的な手紙ですが、遺言(いごん)は法的効力を持つ文書です。遺産分割などの正式な指示をする場合は、法律に基づいた遺言を作成する必要があります。

遺書、遺言の種類と特徴

法的効力を持つ遺言の種類

  1. 自筆証書遺言: 自分で全文を手書きする遺言書。費用がかからない反面、不備があると無効になる可能性も。
  2. 公正証書遺言: 公証人が作成するため、法的な信頼性が高い。費用はかかるが確実。
  3. 秘密証書遺言: 内容を秘密にできる遺言書。ただし、形式に厳格なルールがある。

個人的なメッセージとしての遺書

家族や友人への感謝やお別れの言葉など、法的効力はないが心のこもったメッセージとして残すものです。

緊急時や災害時に残す遺書のポイント

事故や災害時には、簡潔かつ明確に重要なメッセージを残すことが大切です。限られた時間で感謝や指示を書き残せるよう、ポイントを押さえておきましょう。

遺書の書き方と注意点

遺書に記載すべき基本情報

  • 日付: 書いた日を明記する
  • 氏名: 自分のフルネームを記載
  • 署名・押印: 手書きの場合は署名と押印で信憑性が増します

感謝の気持ちや思いを伝えるコツ

  • 素直な言葉を使う: 飾らない気持ちをそのまま書くことで、心に響く文章になります。
  • 具体的なエピソードを添える: 思い出を具体的に書くと、読み手に温かさが伝わります。

誤解を避けるための表現の工夫

曖昧な表現は避け、明確な言葉で気持ちを伝えましょう。また、誤解が生じやすい部分には補足説明を加えると良いです。

【例文付き】状況別の遺書の書き方

家族への感謝を伝える遺書の例文

例文1

「親愛なる家族へ
今まで私を支えてくれて本当にありがとう。幸せな時間を共に過ごせたこと、心から感謝しています。私がいなくなっても、皆の幸せを願っています。笑顔を忘れず、前に進んでください。」

例文2

「お父さん、お母さんへ
いつも温かい愛情をありがとう。あなたたちのおかげで素晴らしい人生を送ることができました。感謝の気持ちは言葉では伝えきれません。どうか健康でお幸せに。」

友人や知人へのメッセージとしての遺書例文

例文3

「お世話になった皆様へ
生前はたくさんのご厚意をいただき、ありがとうございました。皆様のおかげで素晴らしい人生を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。」

例文4

「親友〇〇へ
君と出会えて本当に良かった。楽しい思い出が今でも心に残っています。これからも自分らしく、輝く未来を歩んでください。ずっと応援しています。」

災害や緊急時に残す遺書の例文

例文5

「もしこの手紙が見つかったら、家族へ届けてください。
私は今、〇〇にいます。皆の幸せを祈っています。どうか強く生きてください。」

例文6

「愛する家族へ
緊急の状況ですが、最後に伝えたいことがあります。皆を愛しています。感謝の気持ちを忘れずに、前向きに生きてください。」

感謝と反省を込めた遺書の例文

例文7

「今までたくさん迷惑をかけたことを謝りたいと思います。それでも支えてくれた皆さんに心から感謝しています。本当にありがとう。」

例文8

「私の人生は、家族と友人のおかげで素晴らしいものでした。失敗も多かったけれど、皆の温かさに救われました。ありがとう。」

遺書に関するよくある質問(FAQ)

手書きの遺書は法的効力があるの?

手書きの遺書には法的効力がある場合もありますが、正確には「自筆証書遺言」としての条件を満たす必要があります。

パソコンで作成した遺書は有効?

法的効力を持たせるには手書きが原則ですが、個人的なメッセージとしての遺書ならパソコンでも問題ありません。

遺書を書くときの心理的な負担を軽減する方法

完璧な文章にしようとせず、素直な気持ちをそのまま書き出すことが大切です。時間をかけて少しずつ書き進めても良いでしょう。

まとめ|遺書を書くことで伝えられる大切な想い

遺書作成の重要性の再確認

遺書は単なるお別れの言葉ではなく、大切な人への感謝や愛情を形にするものです。

最後に心を込めたメッセージを残すために

形式にとらわれすぎず、自分の気持ちを素直に書き残すことが何より大切です。

今すぐ遺書を書き始めてみましょう

遺書は、残された人の心を温かく包み込む大切なメッセージです。ぜひ、今この瞬間から書き始めてみてください。

【補足】偉人が書いた、遺書・遺言

各書籍、ネットの情報を引用しています。情報の確かさに関して、保証はできません。

ダイナマイトの発明者 アルフレッド・ノーベル

全財産はつぎの通り処理すること


遺言執行者は基金を安全な有価証券に投資し、毎年その前年度に人類に最も貢献をした者に、その利子を賞金の形で与える。

右の利子は5等分し、

・物理学の分野で最も重要な発見または発明をした者

・化学の分野で最も重要な発見または改善をした者

・生理学または医学の分野で最も重要な発見をした者

・文学で最も傑出せる理想主義的傾向の作品を書いた者

・諸国間の融和・常備軍の廃止もしくは削減・または和平会議の開催および推進に最も貢献せる者に、

それぞれ一部を与えること。
右の賞は、候補者の国籍を問わず、最も賞すべき者に授与するのが自分の希望である。    1895年11月27日

フランスの皇帝 ナポレオン・ボナパルト

1. われはローマ教会の信徒として死す。50余年前、その胸に抱かれて生れたからである。

2. わたしの遺体はセーヌ河畔に葬ってほしい。わたしが深く愛するフランス国民の中にありたいからである。

3. わが最愛の妻マリー・ルイズは常にわたしに満足を与えて来た。そこで世を去るにあたって心からの愛情を捧げた。わが息子は未だ幼少のため、願わくば世のさまざまの誘惑に陥らないよう守りたまえ。

天下人 豊臣秀吉

秀頼が無事に成長するようにこの書き付けの衆としてお頼み申す。これ以外には何事も思い残すことはないので。

8月5日 秀吉

秀頼は、秀吉が57歳のときにもうけた子供で、当時6歳であった。秀吉の名前の後、五大老の家康、筑前、輝元、景勝、秀家が証人として記されている。これは現在でいう「緊急遺言」といえる。

剣豪 宮本武蔵

一、世々の道をそむく事なし
一、身にたのしみをたくまず
一、よろずに依怙(えこ)の心なし
(途中略)
一、仏神は貴し仏神をたのまず
一、身を捨ても名利はすてず
一、常に兵法の道をはなれず

マラソン・ランナー 円谷幸吉

父上様母上様 三日とろゝ美味しうございました。干し柿、もちも美味しうございました。
敏雄兄、姉上様、おすし美味しうございました。
勝美兄、姉上様、ブドウ酒、リンゴ美味しうございました。
巌兄、姉上様、しそめし、南ばんづけ美味しうございました。
喜久造兄、姉上様、ブドウ液、養命酒美味しうございました。又いつも洗濯ありがとうございました。
幸造兄、姉上様、往復車に便乗さして戴き有り難うございました。モンゴいか美味しうございました。
正男兄、姉上様、お気を煩わして大変申し訳ありませんでした。
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、
恵子ちゃん、幸栄君、
裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、
立派な人になって下さい。
父上様母上様、幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません。
何卒お許し下さい。
気が休まる事なく、御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません。
幸吉は父母上様の側で暮らしとうございました。

円谷幸吉は昭和三十九年の東京オリンピックで三位に入賞している。次のメキシコ大会でこそ金メダルを、と大いに期待された。昭和四十三年、すなわちメキシコ・オリンピックが開催される年の一月九日朝、自衛隊体育学校宿舎で彼は頸動脈を剃刀で切った。享年二十七。

弁理士、日本エスペラント学会会員 由比忠之進

きょう自殺決行するとなるとやっぱり興奮するとみえ、一晩中、抗議書作成その他で一睡もしなかったが、少しも眠くなかった。朝出かけるにあたって机上を整理したのだが、静は何ら疑いをかけなかったので落ち着いて出かけられた。死期が迫っているにしては冷静でおられると思っていたのだが、虎の門に近づくにつれ胸がずきずきし出した。首相公邸に近づくにつれ、ますます激しくなった。
やっぱり死というのは大変なことだ。いよいよ公邸の前に来たが、通行人がいっぱいで到底、決行が出来ないので素通り、夕方まで待つことにし、ついに山王に来た。
石段にかけてこれを書いた。焼身に成功したら、写真機は左記の人に渡して下さい。

文京区本郷二丁目、日本エスペラント学会・三宅史平氏。

昭和四十二年十一月十一日の夕刻、由比忠之進はアメリカの北爆を支持した当時の首相・佐藤栄作が訪米することへの抗議行動として自らの上半身にガソリンをかけて焼身自殺に踏み切った。残されたカバンの中には、「内閣総理大臣佐藤栄作閣下」と宛名の書かれた抗議文と、上記遺書が入っていた。
「静(しず)」は奥さんの名前である。