【2025年最新】遺言書作成の完全ガイド|種類・書き方・費用・注意点を徹底解説

目次

はじめに|遺言書作成はなぜ必要?

遺言書作成は、家族間の相続トラブルを防ぎ、財産を自分の意思通りに分配するために不可欠な手続きです。しかし、多くの人が「自分にはまだ早い」「財産が少ないから必要ない」と考え、遺言書を用意しないまま人生を終えてしまいます。ところが、遺言書がない場合、親族間で深刻な争いが発生することが少なくありません。

例えば、遺産分割協議がまとまらず、長期にわたり相続トラブルが続いたり、法定相続通りの分配が本人の意思と異なってしまうことがあります。特に、子どものいない夫婦、再婚家庭、内縁関係、または事業を承継する予定がある場合は、遺言書がなければ望んだ形で財産を引き継ぐことができません。

このような問題を防ぐためにも、遺言書作成は早めに行うことが大切です。さらに、近年の法改正により、遺言書の保管や作成方法も便利かつ安全になっています。本記事では、遺言書作成に関する基本知識から、種類や書き方、費用、よくある失敗例、さらには専門家への依頼方法まで詳しく解説します。

1. 遺言書作成の基本知識|遺言書の種類と選び方

1-1. 遺言書作成で知っておくべき法律の基礎

遺言書は、民法に基づいて法的効力を持つ、公式な意思表示の文書です。

遺言書を作成できるのは、満15歳以上の個人であり、年齢に上限はありません。法的に有効な遺言書とするためには、内容のほかに、日付・署名・押印が必ず必要です。さらに、遺言書には「誰に」「何を」「どれだけ」分配するかを具体的に記載する必要があります。例えば、「自宅の土地は長男に、預貯金は長女に」というように、財産を明確に特定することが求められます。

  • 財産の分配内容(例:長男に自宅、長女に預貯金)
  • 日付・署名・押印(法律上必須)

1-2. 遺言書の3つの種類と特徴

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が全文を自筆で書く形式の遺言書です。費用がほとんどかからず、思い立ったときにすぐ作成できる点が大きなメリットです。しかし、書き方に不備があれば無効になるリスクがあり、保管方法によっては紛失や改ざんの恐れもあります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する形式です。法律の専門家が関与するため、無効になる心配がほとんどなく、原本は公証役場に保管されるため紛失のリスクもありません。ただし、作成費用は3万円から10万円程度かかり、証人2名の立会いも必要です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密に保ちながら、公証役場で保管する形式です。遺言書自体は自分で作成しますが、公証役場で封をして公証人が保管証書を発行します。内容を誰にも知られないというメリットはありますが、開封時に家庭裁判所の検認が必要となり、手続きが煩雑になる場合があります。

種類作成方法メリットデメリット
自筆証書遺言全文を自分で手書き費用がかからない書き方の不備で無効になるリスク
公正証書遺言公証役場で公証人が作成法的に強く、紛失の心配なし費用がかかる(3万〜10万円程度)
秘密証書遺言公証役場で秘密保持のまま保管内容を誰にも知られない公証料がかかり、開封時に検認が必要

1-3. 2020年法改正で変わった遺言書保管制度(自筆証書遺言)

2020年7月に施行された「法務局の遺言書保管制度」により、自筆証書遺言の保管・管理が容易になりました。

  • 保管費用 :1件あたり3,900円
  • メリット :家庭裁判所での検認が不要になり、手続きが迅速化
  • 手続き場所:全国の法務局

遺言書作成の具体的な方法と手順|自分で書くか、専門家に依頼するか?

2-1. 自分で作る場合|自筆証書遺言の書き方とポイント

自筆証書遺言は、自分ひとりで作成できる手軽な方法ですが、法律上のルールを守らなければ無効になる可能性があります。自筆証書遺言は、全文を手書きで書くことが必須であり、日付、署名、押印がないと無効です。また、財産を特定する際は、「自宅」「預貯金」など曖昧な表現は避け、所在地や口座番号などを具体的に記載する必要があります。

書き方の例

令和6年2月17日
私は、以下のとおり遺言します。

1. 私の自宅(東京都〇〇区〇〇1-2-3)を長男 〇〇に相続させる。

2. 私の預貯金(〇〇銀行〇〇支店 口座番号123456)を長女 〇〇に相続させる。

遺言執行者として弁護士 〇〇を指定する。

令和6年2月17日

遺言者 〇〇〇〇(印)

書き方のポイント

  • 全文を直筆で書くこと(パソコンはNG)
  • 日付・署名・押印を忘れない
  • 財産を明確に特定する(「全財産」と曖昧にしない)

2-2. 専門家に依頼する場合|公正証書遺言の作成手順と費用

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成するため、法的な不備が生じるリスクがほとんどありません。また、公正証書遺言は紛失の心配がなく、家庭裁判所の検認も不要であるため、安全性の高い選択肢といえるでしょう。

作成の流れは以下の通りです。

作成手順

事前準備

財産目録・身分証明書を用意

公証役場で公証人と打ち合わせ
証人2名の立会いのもと作成・署名
原本を公証役場に保管

完成した原本は公証役場に保管され、副本を遺言者が受け取ります。

遺言書作成の費用相場とコストを抑えるコツ

  • 財産額5,000万円まで:約5〜7万円
  • 財産額1億円まで:約10万円
  • 別途、行政書士や弁護士への相談料:5万円〜

2-3. 秘密証書遺言はこんな場合におすすめ

  • 遺言内容を家族に知られたくない場合
  • 公正証書より費用を抑えつつ、公証役場で法的な効力を確保したい場合

遺言書作成にかかる費用の相場と抑えるコツ

3-1. 遺言書作成の費用比較表

項目自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
作成費用0円(保管料3,900円)3万円〜10万円2万円〜5万円
専門家報酬不要行政書士や弁護士:5万円〜行政書士や弁護士:3万円〜
保管の安全性低(紛失リスクあり)高(公証役場保管)高(公証役場保管)

3-2. 遺言書作成費用を抑えるコツ

遺言書作成にかかる費用は、形式や専門家の関与度合いによって大きく異なります。自筆証書遺言は費用がほとんどかかりませんが、公正証書遺言は財産額に応じて公証役場の手数料が発生します。一般的に、財産額5,000万円までで5万円から7万円程度、1億円までで約10万円が相場です。

さらに、行政書士や弁護士に依頼する場合は、作成費用に加えて相談料や代理手数料が必要です。行政書士は5万円から10万円程度、弁護士は10万円から30万円程度が目安です。費用を抑えるためには、複数の専門家の無料相談を利用したり、行政書士のパッケージプランを検討するなどの工夫が有効です。

  • 自筆証書遺言+法務局保管制度を組み合わせる
  • 複数の専門家の無料相談サービスを活用する
  • パッケージプラン(行政書士+公正証書作成)を利用する

遺言書作成で失敗しないための注意点と事例から学ぶポイント(よくある失敗事例と対策)

遺言書作成は一度きりの大切な手続きですが、書き方や内容の不備によって無効になったり、かえって相続トラブルを招くケースが少なくありません。以下は、よくある失敗事例とその対策です。

【事例1】自筆証書遺言の日付が不明確で無効になったケース

→ 日付が「令和6年2月」とだけ記載され、具体的な日がなかったため無効と判断されました。

このようなミスを防ぐためには、「令和6年2月17日」のように日付を正確に記載することが大切です。

【事例2】複数の遺言書が発見され、内容が矛盾して相続が混乱したケース

→ 遺言書は最新の日付のものが有効ですが、古い遺言書を破棄していなかったため、相続人同士が対立しました。

古い遺言書は必ず破棄し、最新のものだけを保管する習慣が必要です。

【事例3】遺留分を無視した遺言内容により相続人が裁判を起こしたケース

→ 「全財産を長男に」と書かれた遺言が、他の相続人(長女)の遺留分を侵害していたため、遺留分侵害額請求が行われました。

遺言作成時に遺留分についてしっかり理解し、専門家に相談することが有効です。

専門家に相談するメリットと選び方|安心できる遺言書作成のコツ

5-1. 専門家に依頼する3つの大きなメリット

遺言書作成を専門家に依頼する最大のメリットは、法的な不備を防ぎ、相続トラブルを未然に防ぐことです。特に、以下の3つのポイントが挙げられます。

法的に確実な遺言書を作成できる

弁護士や行政書士などの専門家は、最新の法律知識に基づき、法的に有効な遺言書を作成します。書式のミスや記載漏れを防ぐだけでなく、相続トラブルが発生しにくい内容を提案してくれます。

相続トラブルを未然に防げる

遺言書作成の際には、遺留分や相続人の立場を考慮する必要があります。専門家は、親族間の争いを回避するための適切な遺産分割方法を提案し、将来の紛争リスクを減らします。

公正証書遺言の手続きがスムーズになる

遺言書作成の際には、遺留分や相続人の立場を考慮する必要があります。専門家は、親族間の争いを回避するための適切な遺産分割方法を提案し、将来の紛争リスクを減らします。

5-2. 専門家の選び方と費用感

遺言書作成を依頼できる専門家には、弁護士、行政書士がいます。それぞれ得意分野や費用感が異なるため、自分の状況に最適な専門家を選ぶことが大切です。

一部のWebサイト等に司法書士が遺言作成を請け負える旨の記載がありますが、法的根拠を持って、遺言作成を業(反復継続)として請け負えるのは、弁護士、行政書士のみです。

弁護士

法的な争いを見越した遺言書作成が得意であり、特に複雑な家族関係や大規模な資産が絡む場合におすすめです。費用は10万円から30万円程度ですが、紛争防止効果は高いです。

行政書士

用を抑えつつ遺言書の作成をサポートしてくれる専門家です。5万円から15万円程度とリーズナブルな価格で、公正証書遺言の原案作成や法務局保管制度の活用をサポートしてくれます。

遺言書作成に関するよくある質問(FAQ)

Q. 遺言書は何歳から作成できますか?

A. 遺言書は満15歳以上であれば作成できます。民法により年齢に上限は設けられていないため、何歳でも作成可能です。

Q. 自筆証書遺言はパソコンで作成できますか?

A. 自筆証書遺言は全文を手書きする必要があり、パソコンは使用できません。ただし、財産目録はパソコンで作成し、署名押印すれば有効です。

Q. 遺言書は一度書いたら変更できませんか?

A. 遺言書は何度でも書き直しが可能です。複数の遺言書が存在する場合、最新の日付の遺言書が有効とされます。

Q. 公正証書遺言の原本はどう保管されますか?

A. 公証役場に原本が保管され、紛失の心配がありません。

まとめ|今すぐ遺言書作成を始めて、家族を安心させましょう

遺言書作成は、将来の相続トラブルを防ぎ、自分の意思を確実に残すための重要な手続きです。特に、家族構成が複雑な場合や大切な財産を特定の人に託したい場合には欠かせません。

  • 初めての方は「自筆証書遺言+法務局保管」からスタート
  • 資産が大きい場合は「公正証書遺言」をおすすめ
  • 複雑な相続や事業承継は「弁護士や司法書士」に相談

遺言書作成は、「家族への最後の思いやり」です。今日から準備を始め、家族に安心を届けましょう。今すぐ信頼できる専門家に相談してみましょう!