「遺言書を作ったら、法務局に預けておけば安心。」
そう考えて、法務局の遺言書保管制度に興味を持つ方は少なくありません。
実際、この制度を利用すれば、自筆証書遺言の紛失や改ざんのリスクを減らすことができ、相続人が遺言書を見つけられないといったトラブルも防ぎやすくなります。
一方で、
「法務局に持って行けば内容も見てもらえるのだろうか」
「書き方に不備があったら、その場で直してもらえるのだろうか」
「まだ何も書いていない段階でも相談できるのだろうか」
と考える方も少なくありません。
しかし、法務局の遺言書保管制度は、あくまでも「遺言書を保管する制度」です。遺言書の内容を添削したり、有効性を判断したり、相続対策のアドバイスを行ったりするものではありません。
そのため、制度を利用する前に、法務局が対応してくれることと、対応してくれないことを理解しておくことが大切です。
この記事では、法務局の遺言書保管制度の仕組みやメリット・デメリット、法務局で相談できること・できないこと、そして制度がどのような人に向いているのかをわかりやすく解説します。
ご自身やご家族の想いを確実に残すために、まずは法務局保管制度を正しく理解するところから始めましょう。
法務局保管制度は、自筆証書遺言を安全に保管できる便利な制度です。
一方で、遺言書の保管方法には自宅保管や公正証書遺言もあります。
遺言書の保管方法全体を比較したい方はこちら
目次
①遺言書を法務局に預ける「遺言書保管制度」とは

自筆証書遺言は、自分一人で作成できる手軽さや自由度の高さが魅力です。
一方で、遺言者の死亡後に相続人に発見されなかったり、一部の相続人によって改ざんされたりするおそれがあることが以前から指摘されていました。
こうした自筆証書遺言の課題を解消するために創設されたのが、法務局の「遺言書保管制度」です。
この制度を利用すると、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預けることができ、相続開始後には相続人等が証明書の取得や閲覧を通じて遺言書の存在や内容を確認できるようになります。
まずは制度の概要から確認していきましょう。
自筆証書遺言を法務局で保管できる制度
遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局で保管する制度です。
2020年(令和2年)7月に開始され、自筆証書遺言の新たな保管方法として利用されています。
従来、自筆証書遺言は自宅や貸金庫などで保管されることが一般的でした。しかし、その場合は遺言書の存在に気付かれなかったり、保管中に紛失や改ざんが生じたりする可能性があります。
そこで、自筆証書遺言の手軽さや自由度は維持しながら、保管面の不安を解消する仕組みとして創設されたのが遺言書保管制度です。できる仕組みとなっています。
制度が創設された背景
遺言は、相続をめぐる紛争を防止し、遺言者の意思を実現するための有効な手段です。
特に自筆証書遺言は、自書できれば本人だけで作成できるため、費用を抑えながら利用できるというメリットがあります。
しかし、
- 相続人等に発見されない
- 改ざんされるおそれがある
といった課題もありました。
そこで、自筆証書遺言のメリットを損なうことなく、保管に関する問題を解消する方法として創設されたのが遺言書保管制度です。されたのが遺言書保管制度です。
利用できる人
遺言書保管制度を利用できるのは、自筆証書遺言を作成した遺言者本人です。
保管申請は本人が法務局へ出向いて行う必要があり、代理人による申請は認められていません。
また、本制度の対象となるのは自筆証書遺言のみであり、公正証書遺言や秘密証書遺言は対象外です。
保管制度の概要
遺言書保管制度では、法務局が遺言書の原本と画像データを長期間保管します。相続開始後には、相続人等が遺言書情報証明書の取得や閲覧請求を行うことができます。
また、保管申請時には法務局職員が、
- 全文が自書されているか
- 日付が記載されているか
- 氏名の記載があるか
- 押印があるか
など、自筆証書遺言の方式に関する外形的な確認を行います。
ただし、法務局が確認するのはあくまでも形式面です。
遺言内容について相談に応じたり、有効性を判断したりすることはありません。さらに、本制度を利用したとしても、遺言書の有効性が保証されるわけではありません。
そのため、遺言内容に不安がある場合は、弁護士や行政書士などの専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。
②法務局で遺言書を保管するメリット
遺言書保管制度は、自筆証書遺言の「保管」に関する不安を解消するために創設された制度です。
自筆証書遺言を自宅で保管することも可能ですが、法務局で保管することで得られるメリットもあります。
ここでは、遺言書保管制度の主なメリットを見ていきましょう。
紛失や改ざんのリスクを軽減できる
自筆証書遺言は、自宅の金庫や引き出しなどで保管されることも少なくありません。
しかし、自宅保管の場合には、
- 保管場所が分からなくなる
- 相続人が発見できない
- 紛失してしまう
- 改ざんのおそれがある
といった問題が生じる可能性があります。
法務局の遺言書保管制度では、遺言書の原本と画像データを適切に管理するため、こうした保管上の不安を軽減できます。
自筆証書遺言の手軽さを維持しながら、安全性を高められる点は大きなメリットといえるでしょう。
家庭裁判所の検認が不要になる
通常、自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所で「検認」という手続を行う必要があります。
検認は、遺言書の存在や状態を確認するための手続ですが、相続人にとっては一定の時間や手間がかかります。
一方、法務局の遺言書保管制度を利用した遺言書については、家庭裁判所での検認が不要です。
そのため、相続開始後の手続をスムーズに進めやすくなります。
相続人が遺言書の存在を確認しやすい
自筆証書遺言を作成しても、相続人がその存在を知らなければ、遺言者の意思が十分に反映されない可能性があります。
遺言書保管制度では、相続開始後に相続人や受遺者等が、
- 遺言書保管事実証明書の取得
- 遺言書情報証明書の取得
- 遺言書の閲覧
を行うことができます。
また、遺言者があらかじめ指定した人へ遺言書の保管を知らせる「指定者通知」や、相続人の一人が証明書の取得や閲覧を行った際に他の相続人等へ通知する「関係遺言書保管通知」の制度も設けられています。
そのため、自宅保管の場合と比べて、遺言書の存在が相続人等に伝わりやすい仕組みになっています。す。
費用を抑えながら利用できる
遺言書保管制度の保管申請手数料は、遺言書1通につき3,900円です。
公正証書遺言のように財産額に応じた公証人手数料が発生するわけではないため、比較的利用しやすい制度といえます。
もちろん、費用だけで保管方法を決めるべきではありません。
しかし、
- 自筆証書遺言を利用したい
- 自宅保管には不安がある
- できるだけ費用は抑えたい
という方にとっては、有力な選択肢の一つになるでしょう。
法務局保管制度には多くのメリットがあります。
もっとも、どの保管方法が適しているかは人によって異なります。
自宅保管・法務局保管・公正証書遺言の違いを比較する
③法務局保管制度のデメリットと注意点
遺言書保管制度には多くのメリットがありますが、利用前に理解しておきたい注意点もあります。
特に誤解されやすいのが、「法務局に預ければ安心」「法務局が内容を確認してくれる」というイメージです。
制度を正しく活用するためにも、デメリットや限界について確認しておきましょう。
法務局は遺言内容の相談やアドバイスを行わない
法務局は遺言書を保管する機関であり、遺言内容について相談に応じることはありません。
例えば、
- 財産の分け方はこれでよいか
- 相続人への配慮は十分か
- 遺留分への対応は必要か
- この内容で相続対策になるか
といった相談は受け付けていません。
また、法務局職員が遺言内容を添削したり、表現を修正したりすることもありません。
そのため、遺言内容について不安がある場合は、行政書士や弁護士などの専門家へ相談することを検討しましょう。
法務局が確認するのは形式面に限られる
保管申請の際、法務局では遺言書が法令で定められた様式に沿って作成されているかを確認します。
具体的には、
- 自書が必要な箇所が自書されているか
- 日付の記載があるか
- 氏名の記載があるか
- 押印があるか
などの外形的な事項です。
一方で、
- 内容が適切か
- 相続人の記載に誤りがないか
- 遺言として実現可能か
といった点までは確認されません。
法務局の確認は、あくまでも保管制度を利用するための形式的なチェックと考えるとよいでしょう。
法務局に預けても遺言書の有効性が保証されるわけではない
遺言書保管制度を利用すると、「法務局が受け付けたのだから有効な遺言書だろう」と思われることがあります。
しかし、法務局が保管していることと、遺言書が法的に有効であることは別問題です。
法務局自身も、「本制度を利用しても遺言書の有効性が保証されるものではない」と案内しています。
そのため、遺言書の内容に不安がある場合は、作成段階で専門家の確認を受けることも検討するとよいでしょう。
本人が法務局へ出向いて手続する必要がある
遺言書の保管申請は、原則として遺言者本人が行わなければなりません。
家族や専門家による代理申請は認められていないため、
- 法務局の予約
- 必要書類の準備
- 本人確認
などを自ら行う必要があります。
また、居住地や本籍地などによって申請先の法務局が決まっているため、事前に管轄を確認しておくことも大切です。
内容に不安がある場合は専門家への相談も検討する
遺言書保管制度は、「保管」に関する不安を解消するための制度です。
一方で、
- 誰にどの財産を残すか
- 遺留分への配慮は必要か
- 相続人以外へ財産を渡したい
- 将来の手続を円滑にしたい
といった内容面の検討は別途必要になります。
特に家族構成や財産状況が複雑な場合には、制度の利用だけでなく、専門家へ相談しながら遺言書を作成することも選択肢の一つです。
④法務局では遺言書について相談できる?

「遺言書を法務局に預けられるなら、内容についても相談できるのでは?」
そう考える方は少なくありません。
実際、
- 法務局に持って行けば内容も見てもらえるのだろうか
- 書き方に不備があったら、その場で直してもらえるのだろうか
- まだ何も書いていない段階でも相談できるのだろうか
といった疑問を持つ方は多いでしょう。
しかし、法務局が対応できる範囲には限りがあります。制度を正しく利用するためにも、相談できることとできないことを理解しておきましょう。
法務局に相談できること
法務局では、遺言書保管制度の利用に関する案内を受けることができます。
例えば、
- 遺言書保管制度の概要
- 保管申請の流れ
- 必要書類
- 申請先となる法務局
- 予約方法
- 手数料
- 証明書の請求方法
などについて説明を受けることができます。
制度を利用したいものの、何を準備すればよいか分からない場合は、事前に法務局へ確認しておくと安心です。
法務局に相談できないこと
一方で、法務局は遺言内容に関する相談には応じていません。
例えば、
- 財産の分け方はこれでよいか
- 相続人の記載に問題はないか
- この内容で法的に有効か
- 遺留分への配慮は必要か
- 将来の相続手続で問題が生じないか
といった相談は対象外です。
また、法務局に遺言書を持参しても、その場で内容を確認して修正点を教えてもらえるわけではありません。法務局が行うのは保管制度の運用であり、遺言内容のアドバイスや添削は行っていないためです。
まだ遺言書を書いていない場合はどうすればよい?
「これから遺言書を書こうと思っている」
「何を書けばよいか分からない」
という段階であれば、法務局ではなく専門家への相談を検討するとよいでしょう。
遺言書は単に作成すればよいわけではなく、
- 誰に何を相続させるのか
- 遺留分への配慮は必要か
- 不動産をどのように承継させるか
- 預貯金や有価証券をどう記載するか
などを整理する必要があります。
こうした内容面の検討は、法務局ではなく行政書士や弁護士などの専門家が対応する分野です。
専門家へ相談した方がよいケース
次のような場合は、遺言書を作成する前に専門家へ相談することをおすすめします。
- 相続人以外に財産を残したい
- 不動産が複数ある
- 再婚している
- 前婚の子どもがいる
- 子どもがいない
- 事業承継を考えている
このようなケースでは、遺言内容の作り方によって将来の手続や財産の承継方法が大きく変わることがあります。
法務局は遺言書を安全に保管してくれますが、「どのような内容の遺言書を作るべきか」までは教えてくれません。
そのため、内容に迷う場合は、まず専門家へ相談したうえで遺言書を作成し、その後に法務局保管制度を利用する流れが安心です。
⑤法務局保管制度はどんな人に向いている?

ここまで見てきたように、遺言書保管制度にはメリットもあれば注意点もあります。
そのため、「自筆証書遺言を作るなら必ず利用すべき制度」というわけではありません。
大切なのは、ご自身の状況や遺言書を作成する目的に合った保管方法を選ぶことです。
ここでは、法務局保管制度が向いている人と、別の方法を検討した方がよい人について解説します。
法務局保管がおすすめの人
法務局保管制度は、自筆証書遺言を作成したものの、自宅保管によるリスクが気になる方に向いています。
例えば、
- 相続開始後に遺言書が発見されないことを避けたい
- 遺言書の紛失・隠蔽・改ざんの不安を減らしたい
- 相続人に遺言書の存在を確実に伝えたい
- 公正証書遺言ほどの費用はかけたくない
といった方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
また、遺言内容については自分で整理できており、「あとは適切に保管したい」という場合にも利用しやすい制度です。
公正証書遺言を検討した方がよい人
費用や手間がかかっても、できるだけ確実な形で遺言を残したい方は、公正証書遺言も検討するとよいでしょう。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、方式面の不備が生じる可能性が低くなります。また、遺言内容について公証人から確認を受けながら作成できる点も特徴です。
そのため、
- 財産関係が複雑である
- 相続人が多い
- 相続人以外へ財産を残したい
- できるだけ間違いのない遺言書を作成したい
といった場合には、有力な選択肢となります。
もっとも、公正証書遺言は作成費用や証人の手配など一定の負担が生じます。
そのため、費用や手間をかけてでも、自分の意思をより確実に実現したい場合に適した方法といえるでしょう。
自宅保管を選ぶ場合の注意点
遺言書保管制度は任意の制度です。
そのため、自筆証書遺言を作成したからといって、必ず法務局へ預けなければならないわけではありません。
現在も、自宅や貸金庫などで保管することは可能です。
ただし、自宅保管を選ぶ場合は、
- 保管場所を信頼できる家族に伝えておく
- 紛失や破損を防げる場所で保管する
- 相続開始後に発見されるよう配慮する
といった点を意識することが大切です。
特に、遺言書が発見されなかったり、一部の相続人によって隠されたりすることを防ぐためにも、保管方法は慎重に検討する必要があります。
結局どの保管方法を選ぶべきか
どの保管方法が最適かは、家族構成や財産状況、遺言書を作成する目的によって異なります。
ただし、自筆証書遺言を利用するのであれば、
- 自宅保管による紛失等の不安を減らせる
- 相続開始後の検認が不要になる
- 費用負担も比較的少ない
という点から、法務局保管制度は利用しやすい選択肢といえるでしょう。
一方で、遺言内容そのものに不安がある場合は、保管方法を検討する前に、専門家へ相談することも大切です。
遺言書保管制度は「保管」の制度であり、「内容」を保証する制度ではないからです。
自宅保管と法務局保管の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、「遺言書の保管方法」をご覧ください。
⑥法務局で遺言書を保管する手続きの流れ
遺言書保管制度を利用する場合は、遺言書を作成したうえで法務局へ保管申請を行います。
手続の流れは次のとおりです。
まずは保管する自筆証書遺言を作成します。
法務局では遺言内容の添削やアドバイスは行われないため、内容に不安がある場合は作成段階で専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。
遺言書保管制度は予約制です。
遺言書や必要書類を準備したら、あらかじめ法務局へ予約を行います。
予約した日時に本人が法務局へ出向き、保管申請を行います。
法務局では本人確認や遺言書の形式面の確認が行われますが、遺言内容の妥当性や有効性を審査するものではありません。
手続が完了すると保管証が交付されます。
保管番号などが記載されているため、大切に保管しておきましょう。
⑦相続開始後に遺言書の存在を確認する方法
自筆証書遺言を法務局に預けた場合、相続開始後はどのように遺言書の存在や内容を確認するのでしょうか。
法務局保管制度では、遺言書が保管されていることを知らせる通知制度や、遺言書の内容を確認するための証明書制度が設けられています。
自宅保管の遺言書とは異なり、遺言書の存在を把握しやすい仕組みが整えられているため、相続人等はこれらの制度を利用して遺言書の有無や内容を確認することができます。
指定者通知とは
指定者通知とは、遺言者があらかじめ指定した方に対して、遺言書が法務局に保管されていることを知らせる制度です。
遺言者が保管申請時に希望した場合、死亡の事実が確認された後に法務局から指定された方へ通知が送付されます。
これにより、家族などに遺言書の存在を知らせておきたい場合でも、生前に遺言内容を開示することなく、相続開始後に遺言書の存在を伝えることができます。
関係遺言書保管通知とは
関係遺言書保管通知とは、相続人や受遺者等のうち一人が遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧請求を行った場合に、他の相続人等へ送付される通知です。
この通知によって、他の相続人等も法務局に遺言書が保管されていることを知ることができます。
そのため、一部の相続人だけが遺言書の存在を把握している状態になりにくく、他の相続人等も必要に応じて内容を確認することができます。
遺言書情報証明書とは
遺言書情報証明書とは、法務局で保管されている遺言書の内容を証明する書類です。
相続人や受遺者等は、この証明書を取得することで遺言書の内容を確認できます。
また、法務局で保管されている自筆証書遺言は検認が不要であるため、相続手続においては遺言書情報証明書が利用される場面もあります。
遺言書保管事実証明書とは
遺言書保管事実証明書とは、法務局に遺言書が保管されているかどうかを証明する書類です。
遺言書の内容までは記載されませんが、
- 遺言者の氏名
- 生年月日
- 遺言書が保管されているかどうか
などを確認することができます。
遺言書の存在を確認したい場合に利用される証明書であり、遺言書情報証明書とは役割が異なります。在や内容を確認しやすくなっています。
相続人等が遺言書を確認する流れ

遺言者が亡くなった後、相続人等は通知制度や証明書制度を利用して、法務局に保管されている遺言書の存在や内容を確認することができます。
流れは次のとおりです。
遺言者が亡くなると、法務局保管制度に基づく各種通知や証明書請求が可能になります。
遺言書の存在を確認する
遺言者が指定者通知を利用していた場合は指定した方へ通知が送られます。また、相続人等の一人が遺言書情報証明書の交付請求や閲覧請求を行うと、他の相続人等へ関係遺言書保管通知が送付されます。通知を受けていない場合でも、遺言書保管事実証明書を請求して保管の有無を確認できます。
相続人等は、法務局に対して遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧請求を行うことができます。
遺言書の内容を確認する
遺言書情報証明書や閲覧によって遺言内容を確認し、その後の相続手続に進みます。
法務局保管制度では、このような通知制度や証明書制度が整備されているため、自宅保管の場合と比べて遺言書の存在や内容を確認しやすくなっています。
⑧よくある質問
Q:法務局に預ければ有効な遺言書になりますか?
いいえ。法務局に遺言書を預けても、そのことによって遺言書の有効性が保証されるわけではありません。
法務局では、自筆証書遺言の方式に関する外形的な確認を行いますが、遺言内容の適法性や実現可能性までは審査しません。
そのため、法務局保管制度を利用する場合でも、遺言内容に不安がある場合は専門家への相談を検討するとよいでしょう。
Q:法務局で遺言内容をチェックしてもらえますか?
いいえ。法務局は遺言内容の確認や添削を行う機関ではありません。
例えば、
- 財産の分け方が適切か
- 遺留分への配慮が必要か
- 相続人の記載に問題がないか
といった相談には対応していません。
法務局が行うのは、遺言書保管制度に関する案内や、保管申請時の形式面の確認に限られます。
Q:まだ遺言書を書いていません。法務局に相談できますか?
法務局では、遺言書の作成方法や内容に関する相談には対応していません。
そのため、
「どのような内容の遺言書を作ればよいか」
「誰にどの財産を残すべきか」
といった相談をしたい場合は、行政書士や弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
一方で、遺言書保管制度の利用方法や手続については、法務局へ問い合わせることができます。
Q:法務局保管と自宅保管はどちらがおすすめですか?
どちらが適しているかは状況によって異なります。
ただし、自宅保管には、
- 遺言書が発見されない
- 紛失する
- 隠蔽や改ざんのおそれがある
といったリスクがあります。
そのため、自筆証書遺言を利用する場合は、法務局保管制度も有力な選択肢となります。
なお、法務局保管と自宅保管の違いについては、関連記事「遺言書の保管方法」で詳しく解説しています。
Q:公正証書遺言と法務局保管はどちらがおすすめですか?
法務局保管制度は、自筆証書遺言を安全に保管するための制度です。
一方、公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言です。
そのため、
- 費用を抑えながら保管の安全性を高めたい場合は法務局保管
- 費用や手間をかけてでも、より確実な形で遺言を残したい場合は公正証書遺言
が選択肢になります。
どちらが適しているかは、家族構成や財産状況、遺言を作成する目的によって異なります。
まとめ|法務局保管制度は便利だが「内容の有効性」は別問題
法務局の遺言書保管制度は、自筆証書遺言の紛失や隠蔽、改ざんのおそれを減らし、相続人等が遺言書の存在や内容を確認しやすくするための制度です。
また、法務局に保管された自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が不要となるため、相続開始後の手続を円滑に進めやすいというメリットもあります。
一方で、法務局が行うのはあくまで遺言書の保管です。
遺言内容の添削やアドバイスを受けることはできず、法務局に預けたからといって遺言書の有効性が保証されるわけでもありません。
そのため、
- 相続開始後に遺言書が発見されないことを避けたい
- 紛失や隠蔽、改ざんの不安を減らしたい
- 自筆証書遺言を安全に保管したい
という方にとっては、法務局保管制度は有力な選択肢となるでしょう。
一方で、
- 誰にどの財産を残すべきか迷っている
- 相続人以外へ財産を残したい
- 家族構成や財産状況が複雑である
- 遺言内容に不安がある
という場合は、保管方法を検討する前に専門家へ相談することも大切です。
遺言書で本当に重要なのは、「保管すること」ではなく、「自分の意思を適切な形で残し、実現すること」です。
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