遺言書は法務局に預けるだけで安心?制度の落とし穴と本当に安全な方法

目次

遺言、書いた「つもり」が一番危ない

「遺言書って、書けば安心でしょ?」

実はその考え方こそが、最も危険です。

近年、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」の登場で、「手軽に遺言が残せる」と思う人が増えました。しかしこの制度、たしかに便利な反面、重大な誤解を生みやすい落とし穴もあるのです。

「遺言書を法務局に預けておけば安心」

そう信じていた人が、実際には形式不備で無効だったり、内容があいまいで相続人同士のトラブルに発展したりすることもあります。

残された家族のために遺言を書いたはずなのに、かえって家族の関係にヒビを入れてしまう。そんなケースが後を絶ちません。

この記事では、「法務局の遺言書保管制度って、結局どうなの?」「公正証書遺言との違いは?」「失敗しないためにはどうすればいい?」という疑問に答えながら、遺言の正しい残し方と、プロの力を活用する意味について解説していきます。

遺言は、ただ書けばいいものではありません。

意味のある遺言にするための、最初の一歩を一緒に考えていきましょう。

法務局の遺言書保管制度とは?制度の概要とメリット

自筆証書遺言を法務局が「保管」してくれる制度

2020年7月からスタートした「法務局における遺言書の保管制度」は、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる公的なサービスです。

これまでは自宅などで保管されることが多かった自筆証書遺言。紛失や改ざんのリスク、死後に見つからないという問題がありました。

この制度を使えば、自筆証書遺言を公的機関が保管してくれるため、物理的な安全性が大きく向上します。

2024年11月現在、毎月2,000通程度が同制度を利用しているようです。2020年に始まった制度ですから、普及はこれからといったところでしょうか?

法務省HP「遺言書保管制度の利用状況

紛失・改ざんリスクが減るというメリット

遺言書は、せっかく書いても、見つけてもらえなかったり、故意に隠されたりする可能性もあります。

法務局での保管は、

  • 原本を法務局が厳重に管理してくれる
  • 相続人が「遺言情報証明書」を取得できる

という仕組みになっており、家族間の不信感やトラブルの防止にもつながります。

行政書士の目線
残念なことではありますが、自分に不都合の遺言が残されている場合、その遺言を隠してなかったものとする。自分に都合よく書き換える例は非常に多いです。

費用が安く、気軽に利用しやすい

法務局への保管手数料は3,900円と、かなりリーズナブルです。

公正証書遺言のように証人や公証人の関与が不要なため、手軽に遺言を残したい人にとっては非常に魅力的な制度です。

相続発生時に「遺言情報証明書」が取り寄せられる

遺言者が亡くなったあと、相続人は「遺言書情報証明書」を請求することで、確かに遺言が存在していたことや、その内容を証明できるようになっています。

また、法務局から家庭裁判所への「検認」は不要になるため、手続きが一部簡略化されるという点でもメリットがあります。

法務局に保管してもらうための書式の要件とは?

ただし注意したいのは、遺言書を保管してもらうためには「書式上の条件」を満たしていなければならないという点です。

具体的には、以下の要件をクリアしている必要があります。

  1. 次の用紙で作成すること
      サイズ:A4サイズ
      模様等:記載した文字が読みづらくなるような模様や彩色がないもの
      余白 :最低限次の余白を確保すること。
        上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、
        左20ミリメートル、右5ミリメートル(一文字でもはみ出していれば保管不可)
  2. 用紙の片面のみに記載すること
  3. 各ページに、総ページ数とページ番号を記載すること(「1/2」「2/2」など)
  4. 複数ページにわたる場合でもホチキスなどで綴じないこと
  5. 消えるインクなどは使用せず、ボールペンや万年筆などの消えにくい筆記具を使用すること
  6. 遺言者の氏名は戸籍どおり(外国籍の方は公的書類記載のとおり)に記載すること。
  7. ペンネームはいくら周知のものであっても不可

03 遺言書の様式等についての注意事項

これらの条件を満たしていないと、保管を断られたり、再提出が必要になったりするケースもあります。

「法務局に行けばなんとかなる」と考えていると、準備不足で当日受け付けてもらえない可能性もあるのです。

通知制度

関係遺言書保管通知

遺言者が死亡、(法定)相続人が、誰か一人でも遺言書の内容に関する証明書を取得し、遺言書を閲覧したりした場合、その他の相続人等に対しても、遺言書が保管されている旨が通知されます。

遺言者が指定した方への通知(指定者通知)について

遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認した場合に、あらかじめ遺言者が指定した方(3名まで指定可)に対して、遺言書が保管されている旨をお知らせするものです。なお、この通知は、遺言者が希望する場合に限り実施します。

通知制度に関して、詳しくは10 通知〜通知が届きます!〜

でも注意!法務局の制度では「法的チェック」はしてくれない

法務局は「保管するだけ」、中身の確認はしない

「法務局に預けた遺言書だから、ちゃんとしたものになってるはず」

そう考えてしまいがちですが、これは非常に危険な思い込みです。

法務局の保管制度は、あくまで形式上の要件(紙のサイズ・手書きであるか等)を満たしているかをチェックするのみで、内容の法的有効性までは確認しません。

つまり、

  • 相続人の指定が曖昧だったり
  • 法定相続分を無視してトラブルを招くような内容だったり
  • 二重の記載や誤解を生むような文言が含まれていたり

しても、そのまま保管されてしまうのです。

書式OKでも、内容が無効になるリスク

たとえばこんな例があります。

  • 「長男に全財産を相続させる」と書いたが、財産の内容や範囲が具体的に示されておらず、他の相続人とトラブルに
  • 遺言者の署名が「通称名」だったため、本人確認に支障が出た
  • 日付が「令和◯年◯月吉日」となっており、無効扱いになった

これらはすべて、法務局ではチェックされません。つまり、保管されたからといって「有効な遺言書」とは限らないのです。

家庭裁判所の検認が不要=安心ではない

法務局で保管された遺言書は、家庭裁判所での「検認」が不要になります。これはメリットではありますが、逆に言えば、第三者によるチェックを通さないまま相続が進む可能性があるということでもあります。

つまり、

  • 誰にも内容を見られない
  • 誰にも添削されない
  • そのまま相続人に影響を与える

という、自己責任型のリスクがある制度だということを、しっかり理解しておく必要があります。

制度の誤解が、トラブルの種になる

実際、制度の導入以降、「保管してもらったからOKだと思っていたのに、内容に不備があってトラブルに…」というケースも報告されています。

制度の存在自体はとても有用ですが、その使い方を間違えると、かえって遺言の信頼性を損なうことになりかねません。

よくある遺言の失敗例

遺言書は「書いたつもり」で終わらせてしまうと、かえって家族間の争いの火種になることがあります。

ここでは、法務局の遺言書保管制度を利用したものの、内容の不備や誤解によってトラブルに発展したケースを紹介します。

ケース①:「父の遺言があったのに、家庭裁判所で無効に…」

・遺言者:70代の父・高橋さん
・家族構成:妻と2人の子(長男と長女)

高橋さんは、自分で自筆証書遺言を書き、法務局に保管していました。
遺言にはこう記されていました。

「長男に家を相続させる。その他の財産は自由に分けてほしい。」

一見、意志がはっきりしているように見えますが、実際には

  • 「家」についての所在地や登記名義の記載がなく不明確
  • 「自由に分けてほしい」が法的にどう扱われるか不明確

という曖昧な内容だったため、相続人同士で意見が割れ、家庭裁判所に持ち込まれる事態に。

結果として、遺言の一部が「無効」と判断され、父の意志は尊重されない形となりました。

ケース②:「兄弟でトラブルに発展。内容が曖昧だった」

・遺言者:80代の母・佐藤さん
・家族構成:次男と三男

佐藤さんは「次男には現金100万円、三男にはマンションを」と書いた遺言を法務局に預けていました。

ところが実際に相続の段階になると、

  • 「マンション」はローンが残っており、実質的には負債つきの物件
  • 次男から「価値が不公平だ」と不満が噴出
  • さらに母のサインがフルネームでなく、通称だったため、真正性を疑う声が出る

結果として、兄弟間の関係が悪化し、遺産分割協議は紛糾。「お母さんの遺言が原因で口もきかなくなった」とまで言われてしまいました。

ケース③:「せっかく保管してもらったのに、必要な情報がなかった」

・遺言者:60代の男性・小林さん
・相続人:妻と内縁のパートナー

小林さんは、正式な婚姻届を出していない内縁のパートナーに財産を残したいと考え、遺言書に「○○(パートナー)にすべての財産を相続させる」と書いて保管しました。

しかし、

  • 法的には「相続人」ではないため、記載方法に慎重な配慮が必要だった
  • 遺贈としての形式が整っていなかった
  • パートナーの氏名・生年月日が正確に書かれていなかった

そのため、遺言書の内容が法的に認められず、妻がすべての財産を相続する形に。

小林さんの思いは、制度的な不備によって反映されませんでした。

なぜこうしたトラブルが起きるのか?

これらのケースに共通するのは、

  • 遺言の内容に法的な不備や曖昧さがあること
  • 保管制度に頼って、「内容の精査」をしなかったこと

です。

つまり、「保管された」という事実だけでは、遺言としての有効性は保証されないのです。

法務局での遺言書保管の手続き方法

必要な準備物

法務局で遺言書を保管するためには、以下の書類を準備します。

•自筆証書遺言書(封筒に入れず提出)


•本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)


•住民票の写し


•申請書/届出書/請求書 ※法務局のウェブサイトからダウンロード可能です。
06 申請書/届出書/請求書等

保管制度を利用する際、自筆証書遺言書作成の留意点

遺言者自身が全文を手書きで作成し、署名と押印を行います。法務局では遺言書の内容についてアドバイスや確認は行いません(※制度上できない)ので、事前に専門家に相談することをお勧めします。

※制度上できないとは?
自筆証書遺言の保管に関して、不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)や預貯金通帳など財産についての書類や、遺産をわたす相手の住民票などはありません。
つまり、これらの誤記は法務局が関与するところではなく、書き損じ等によって、適切な相続手続きができなかったとしても自己責任であるということです。

自筆証書遺言書の法律上の要件(968条)は、次のとおりです。

(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
(自筆証書遺言)民法第九百六十八条

法務局での自筆証書遺言書保管制度を利用する際には、この通常の要件に加えて次の要件も満たさなければなりません。

1.次の用紙で作成すること
  サイズ:A4サイズ
  模様等:記載した文字が読みづらくなるような模様や彩色がないもの
  余白 :最低限次の余白を確保すること。
    上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、
    左20ミリメートル、右5ミリメートル(一文字でもはみ出していれば保管不可)
2.用紙の片面のみに記載すること
3.各ページに、総ページ数とページ番号を記載すること(「1/2」「2/2」など)
4.複数ページにわたる場合でもホチキスなどで綴じないこと
5.消えるインクなどは使用せず、ボールペンや万年筆などの消えにくい筆記具を使用すること
5.遺言者の氏名は戸籍どおり(外国籍の方は公的書類記載のとおり)に記載すること。
  ペンネームはいくら周知のものであっても不可
03 遺言書の様式等についての注意事項

予約

遺言書の作成ができたら、遺言書を保管してもらう法務局(遺言書保管所)を決め、法務局に予約(電話、またはホームページから)を入れます。

保管先とすることのできる法務局は、次のいずれかです。

  • 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

保管手続きが出来る法務局は決まっていますので、最寄りの法務局では対応できない場合があります。法務局HPで、ご自身の住所地等の管轄を調べることができます。
法務局HP「管轄のご案内」

窓口で申請

予約した法務局に出向き、窓口で申請を行います。申請時には、遺言書の内容確認(形式面)が行われます。

代理人は不可、必ず本人が出向く必要があります。難しい場合は、公正証書遺言を検討してください。遺言者が口述することで、公証人という法律のプロフェッショナルが作ってくれます。遺言者が病気などで外出できない場合には出張してくれることもあります。また、公証役場なら、どこでも保管してもらえます。

保管証の発行

遺言書1通につき3900円の手数料の支払いを行い、遺言書の保管が完了すると「保管証」が発行されます。この保管証は、遺言書の保管状況を確認する際に必要です。保管証は、遺言書の保管を行ったことを示す書類で、遺言者氏名・生年月日、遺言書を保管した遺言書保管所(法務局)の名称のほか、保管番号が記載されています。

自筆証書遺言 vs 公正証書遺言:どっちが安心?

遺言書の方式にはいくつか種類がありますが、主に使われるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

それぞれにメリット・デメリットがあり、「どちらが良いか」は人によって異なります。しかし、確実性・安全性の観点から言えば、公正証書遺言に軍配が上がる場面が多いのが現実です。

自筆証書遺言の特徴とメリット・デメリット

メリット

  • 自分ひとりで作成できる(費用がほとんどかからない)
  • 思い立ったときにすぐ書ける
  • 内容を他人に知られずに済む

デメリット

  • 書式や内容にミスがあると「無効」になる
  • 紛失・改ざんのリスク(※法務局保管で軽減される)
  • 法的チェックが入らないので、自己判断での不備が起きやすい
  • 遺言の発見が遅れたり、意図が伝わらないことも

公正証書遺言の特徴とメリット・デメリット

メリット

  • 公証人が作成するため、形式・内容ともに法的に有効な状態で完成
  • 証人が立ち会うため、遺言者の意思能力や内容が証明されやすい
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配がない
  • 家庭裁判所の「検認」が不要

デメリット

  • 費用がかかる(遺産額により数万円〜十数万円程度)
  • 証人2名の立ち会いが必要(ただし行政書士が手配可能)
  • 公証役場への出向、または出張依頼が必要(高齢者にはややハードル)

法務局保管制度は「自筆証書遺言の補助」に過ぎない?

法務局の遺言書保管制度は、あくまで「自筆証書遺言の保管場所を提供するだけ」の仕組みです。

内容が正しく書かれているか、有効かどうかについては、法務局は何も保証していません。つまり、自筆証書遺言+法務局保管制度=公正証書遺言と同じレベルの安心感…ではないということです。

公正証書遺言は、そもそも作成時点で法律的なチェックが入っている点で「安心のレベルが段違い」です。

こんな人は公正証書遺言を選ぶべき

  • 相続人が複数いて、トラブルが起きる可能性がある
  • 特定の相続人に偏った内容にしたい(例:長男だけに財産を残す)
  • 内縁の配偶者や友人など、法定相続人以外に遺贈したい
  • 高齢で、認知症などのリスクがある(意思能力の証明が重要)

このような場合、公正証書遺言を選ぶことで後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

Q&A:よくある質問とその答え

Q1. 法務局の遺言書保管制度を使えば、内容に間違いがあっても大丈夫ですか?

A:いいえ。書式のチェックはしてくれますが、内容の法的有効性は確認してくれません。

たとえば財産の記載が曖昧だったり、遺言の意思が不明確な場合でも、そのまま保管されてしまいます。内容面でのミスを避けたい場合は、行政書士や法律専門家に事前チェックを依頼するのがおすすめです。

Q2. 自筆証書遺言と公正証書遺言、どっちがいいですか?

A:安心・確実さを重視するなら、公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は、公証人が関与するため法的なミスがなく、裁判所の検認も不要です。ただし費用や証人の準備が必要なため、状況に応じて行政書士に相談して最適な方式を選びましょう。

Q3. 遺言書を作るベストなタイミングはいつですか?

A:「思い立ったとき」がベストです。

体調の悪化や高齢によって判断能力が問われると、作成そのものが難しくなる場合もあります。元気なうちに、冷静に家族のことを考えられるタイミングで作るのが理想です。

Q4. 法務局に保管してもらえば、家庭裁判所の検認は不要になりますか?

A:はい、自筆証書遺言でも、法務局に保管されたものに限り「検認」は不要です。

ただし、これは「有効性が保証される」という意味ではありません。
検認は省略できますが、内容に不備があると遺言が無効になるリスクは依然としてあります。

Q5. 行政書士に相談するのはどんな人ですか?

A:初めて遺言を書こうとする方、相続人が複雑な方、公正証書遺言を検討している方などに多いです。

行政書士は、遺言の内容・形式のアドバイスから、公証人とのやりとり、書類作成のサポートまで幅広く対応してくれます。

「何から始めていいかわからない」という方にも最適なパートナーです。

専門家に頼むべき3つの理由【行政書士の視点から】

「遺言なんて自分で書けばいい」と思っていませんか?

もちろん、自筆で書くことは法律的にも認められており、制度も整備されています。

しかし実際には、「法律的に正しい」だけでなく、「意図が正しく伝わる」「トラブルを避けられる」「手続きもスムーズ」な遺言が求められる時代です。

そこで頼りになるのが、遺言のプロである行政書士の存在。ここでは、専門家に頼むことで得られる3つの大きなメリットをご紹介します。

① 書式・要件ミスを防げる

自筆証書遺言でも、公正証書遺言でも、「形式を満たしていない」=「無効になる」というリスクがあります。

行政書士に相談すれば、

  • 書式の不備(日付、署名、押印など)
  • 記載の曖昧さ(相続人の特定、財産の内容)
  • 法律用語や言い回しの誤解を生まない表現

などを事前にチェック・修正してもらえます。

「せっかく書いたのに無効になった…」という最悪の事態を防ぐ、最初の防波堤です。

② あなたの状況に合わせた“オーダーメイド”の内容が作れる

遺言書に正解のテンプレートはありません。

財産の内容、家族構成、過去の経緯、想い、人それぞれ異なります。

行政書士は、

  • 相続人の関係性や背景事情
  • 特定の人に遺産を多めに残すリスク
  • 内縁関係や再婚、相続放棄などの特殊事情

なども踏まえて、トラブルを未然に防ぐ「伝わる遺言」を設計できます。

これは、書籍やネット情報では絶対にカバーしきれない部分です。

③ 手続き・証人の手配など“丸ごとサポート”で安心

特に公正証書遺言を作る際には、公証役場とのやり取り・証人の手配・下書き作成などが必要になります。

これを高齢者や家族だけで行うのは、正直ハードルが高いです。

行政書士に依頼すれば、

  • 公証人との事前打ち合わせ
  • 必要書類の収集
  • 証人の手配
  • 遺言の原案作成

などを一括してサポートしてもらえます。

忙しい方や、複雑な事情を抱えている方ほど、専門家の関与が大きな力になります。

専門家に頼る=「あなたの遺言が確実に実現する」ための手段

遺言書は、書くだけでは意味がありません。

「書いた通りに、トラブルなく、想いが届く形で実現される」ことが重要です。

行政書士はそのための「伴走者」です。制度や法律を駆使して、あなたの想いが確実に形になるよう支えてくれる存在です。

行政書士に相談するベストなタイミングとは?

「いつ、誰に相談すればいいのか分からない…」

そんな理由で遺言作成が後回しになる方は少なくありません。でも実は、遺言書の作成こそ「早めの相談」が最大の鍵です。

ここでは、行政書士に相談するベストなタイミングについて解説します。

「書く前」に相談するのがベストな理由

もっともおすすめなのは、遺言を書こうと思ったその時に相談することです。

なぜなら、遺言は一度書いたら終わりではなく、「見直し・更新」が前提だからです。

書く前に相談しておけば

  • 自分にとって最適な方式(自筆?公正?)を選べる
  • 財産や相続人の状況に合わせた設計ができる
  • ミスやトラブルの原因を未然に潰せる

逆に、書いたあとに相談すると「最初からやり直し」が必要になるケースも多く、時間と労力の無駄になってしまいます。

相続トラブルの予防としての遺言

実際に行政書士に相談される方の中には、「相続のことで家族が揉めないようにしておきたい」という声が非常に多くあります。

遺言書は「死後の意思表示」であると同時に、生前の配慮でもあるのです。

たとえば:

  • 長男が実家を継ぐが、次男には金融資産を遺すようにバランスを取る
  • 再婚した場合に、前妻との子にも配慮した内容にする
  • 遺言執行者を指定して、手続きがスムーズになるよう設計する

など、具体的なトラブル予防策を立てるには、プロの視点が不可欠です。

「家族に迷惑をかけたくない」その気持ちが動き出しの合図

遺言を書く人の多くは、「家族のために」行動しています。

つまり、「遺言を書くべきか迷っている」という時点で、すでにあなたにはその必要性があるということです。

行政書士への相談は、

  • 「こんな状況だけど、遺言って必要?」
  • 「自筆でやってみたけど、合ってるか不安」
  • 「まだ財産の整理もできていないけど…」

という段階でも、まったく問題ありません!

むしろ、「まだ大丈夫」と思っている時こそ、落ち着いて冷静に準備ができるタイミングでもあります。

まとめ:相談は早すぎるくらいがちょうどいい

遺言の作成は、「思い立ったときがベストのタイミング」です。

迷っているなら、まずは気軽に行政書士に相談してみてください。

あなたの意思が正しく形になることが、家族への一番の優しさかもしれません。

まとめ

遺言書は「書くこと」がゴールではありません。

「正しく伝わり、トラブルなく実現されること」こそが、遺言の本当の目的です。

ここまでご紹介してきたように、

  • 法務局の遺言書保管制度は便利だが、法的チェックはしない
  • 自筆証書遺言は手軽だが、形式ミスや内容不備が多く見られる
  • 公正証書遺言は費用がかかるが、もっとも安全で確実な方法
  • 行政書士に依頼すれば、形式面も内容面もプロの視点でサポートしてもらえる

というように、それぞれの方法には向き不向きやリスクがあります。

あなたの「想い」を確実に形にするために

遺言は、「誰かを信頼して、託す」という行為でもあります。

だからこそ、自己判断だけに頼るのではなく、法律と実務に精通した専門家のサポートがとても重要です。

  • 「手続きが面倒そう」
  • 「自分にはまだ早いかも」
  • 「何を相談したらいいか分からない」

そう思っている方こそ、一度立ち止まって考えてみてください。

「もし明日が来なかったら」

そのとき、あなたの意思は正しく伝わりますか?

まずは一歩、行政書士に相談してみませんか?

行政書士は、あなたの想いをしっかりと聞き、状況を整理し、法的にブレのない遺言を設計するお手伝いができます。

どんな小さな疑問でも、まずは気軽に話してみてください。それが、「遺言がトラブルの火種になる未来」を未然に防ぐ最良の方法です。

あなたの意思を、確かなかたちに。大切な家族の未来のために、今、動き出しましょう。

最後に自筆証書遺言書保管制度のパンフレットをご案内します。ご興味あれば、ダウンロードしてみてください。

自筆証書遺言書 保管制度のご案内