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車の名義が故人のままではどうなる?放置によるリスク
車の所有者が亡くなった後、その名義をそのまま放置してしまうケースが少なくありません。しかし、名義変更を行わないままにしておくと、さまざまなリスクやトラブルに発展する恐れがあります。ここでは、その主なリスクについて詳しく見ていきましょう。
相続財産として扱われるため、自由に処分できない
亡くなった方の車は「相続財産」として扱われます。つまり、車の名義をそのままにしていると、相続人全員の合意なしに勝手に処分することができません。売却や譲渡を考えても、全員の同意が必要となり、手続きが複雑になる可能性があります。
売却や廃車手続きができなくなる可能性
名義変更がされていない車は、基本的に売却や廃車の手続きをすることができません。登録上の所有者が故人であるため、法的に処分が不可能となってしまうのです。結果として、不要な車に対する維持費や税金が発生し続ける可能性があります。
自動車税の請求が届かない・未納リスク
車の所有者が死亡しても、名義が変更されなければ、自動車税の請求書は故人宛に送付されます。その結果、税金の通知が届かず納税を忘れてしまうこともあります。未納状態が続けば、延滞金や督促の対象になる可能性もあるため注意が必要です。
名義変更が必要な理由とは?
なぜ車の名義変更をすぐに行う必要があるのでしょうか?その理由には、法的な義務から実務上のトラブル回避まで、さまざまな要因があります。
法律上の義務と定められている
道路運送車両法では、車の所有者が変更された場合には15日以内に名義変更(移転登録)を行うよう定められています。相続による名義変更もこれに該当し、義務として定められている以上、放置することは法令違反となります。
相続トラブルを避けるため
相続人が複数いる場合、故人の遺産に含まれる車を巡ってトラブルになることもあります。誰が乗るのか、誰のものにするのかという話し合いがまとまらないことも少なくありません。名義変更を明確に行うことで、こうした争いを回避できます。
保険や税金の手続きをスムーズに行うため
自動車保険の契約や更新、自動車税の納税など、車に関する各種手続きは、登録された所有者情報に基づいて行われます。名義が正しくないと、手続きのたびにトラブルや確認作業が発生するため、スムーズな運用のためにも名義変更は不可欠です。
車の名義変更の流れを詳しく解説
名義変更の手続きは一見難しそうに思えますが、ステップを理解しておけば意外とシンプルです。以下に基本的な流れを紹介します。
車検証で所有者の確認
まず、手元にある車検証を確認し、記載されている「所有者」の欄に故人の名前があるかを確認します。ここが確認できれば、その車は相続財産となり、名義変更が必要な状態です。
必要書類を準備
名義変更の手続きを行うためには、複数の書類が必要です。故人の死亡を証明する戸籍や、相続人の確認資料なども含まれます。次章で詳しく紹介します。
運輸支局での申請と新車検証の交付
書類が整ったら、運輸支局にて申請を行います。申請後は新しい車検証が発行され、新所有者の名義に書き換えられます。
名義変更に必要な書類とは?
名義変更を行うためには、次のような書類を準備する必要があります。漏れがあると手続きが進まないため、事前のチェックが重要です。
戸籍謄本や遺産分割協議書
・故人が死亡したことを証明する戸籍謄本
・相続人全員で車を誰が相続するか決めたことを証明する遺産分割協議書
これらの書類は、誰が相続するかを明確にし、手続きの正当性を示すために必須です。
印鑑証明書や委任状
・相続人全員の印鑑証明書(3ヶ月以内)
・代理人が手続きを行う場合は委任状も必要
印鑑証明は、遺産分割協議書に押印された印鑑が実印であることを証明するために使われます。
車庫証明やナンバープレートの準備
新たに名義を取得する方の車庫証明も必要になります。また、ナンバープレートが変更になる場合(住所が異なる管轄に移る場合)には、プレートの返納および再取得も行います。
車の名義変更に関するよくある質問
Q.名義変更の期限はいつまで?
A.法的には15日以内とされていますが、相続による場合はもう少し猶予があります。ただし、早めに済ませることで、余計な税金や保険の手間を減らすことができます。
Q.代理人でも手続き可能?
A.可能です。その場合は、委任状と代理人の身分証明書が必要となります。平日に時間が取れない方は、家族や行政書士に依頼することも一つの方法です。
Q.手数料や費用はいくらかかる?
A.おおよその目安として、登録手数料が500〜1,000円程度。その他、ナンバープレート代や印紙代を含めても3,000円以内に収まる場合が多いです。行政書士などに依頼する場合は、別途報酬が発生します。
まとめ|名義変更は早めに行って安心を手に入れよう
車の名義を故人のままにしておくと、思わぬトラブルや法的な問題を招く恐れがあります。売却や廃車もできず、保険や税金の手続きも煩雑になる可能性があります。
早めに名義変更を行うことで、相続人間のトラブルを防ぎ、法的リスクを回避することができます。相続の一環として、車の名義も忘れずに変更しておくことが、家族や自分自身の安心につながります。