「特定の相続人に財産を渡したくない」
そう考えたときに、「遺言で廃除できるのではないか」と調べている方も多いのではないでしょうか。
実際、民法には「相続人の廃除」という制度があり、一定の場合には相続権そのものを失わせることが可能です。
しかし、廃除は非常に強力な制度である一方で、認められる要件は厳しく、単なる不仲や感情だけでは認められません。
また、遺言に書けば当然に有効になるわけではなく、家庭裁判所での手続きが必要になるなど、実務上の注意点も多くあります。
さらに、「一度廃除したら元に戻せるのか」といった点も、事前に理解しておくべき重要なポイントです。
この記事では、
- 遺言による廃除の基本的な仕組み
- 認められる具体的なケースと判断基準
- よくある失敗や注意点
- 廃除以外の選択肢との違い
などを、実務目線で分かりやすく解説します。
「自分のケースで廃除が可能なのか」「本当に廃除を選ぶべきなのか」
その判断ができるよう、具体例も交えて整理していますので、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】遺言による相続人の廃除は可能だが、要件・手続きともに厳格
- 遺言により相続人の廃除を求めることは可能
- ただし、家庭裁判所の審判を経てはじめて成立する
- 廃除が認められるのは「虐待・重大な侮辱・著しい非行」などに限られる
- 単なる不仲や疎遠では原則として認められない
- 廃除が認められれば、遺留分を含めた相続権を失う
- 一方で、取消しは可能だが手続きや状況によっては容易ではない
「財産を渡したくない」という目的であれば、廃除以外の方法(遺言による配分調整)も含めて検討することが重要です。

目次
①遺言で相続人の「廃除」はできるのか
「遺言で特定の相続人を廃除できるのか」という点は、多くの方が最初に疑問に感じるポイントです。
結論からいうと、遺言によって相続人の廃除を求めることは可能です。
ただし、遺言に書くだけで当然に廃除が認められるわけではなく、家庭裁判所の判断を経てはじめて効力が生じるという点に注意が必要です。
ここでは、まず「廃除とは何か」という基本から、遺言との関係、そしてよくある誤解について整理していきます。
廃除とは何か(相続権を失わせる制度)
相続人の廃除とは、被相続人(亡くなる方)の意思に基づき、特定の相続人の相続権そのものを失わせる制度です。
通常、配偶者や子などの法定相続人は、法律上当然に相続する権利を持っています。
しかし、相続人が被相続人に対して重大な問題行為を行っている場合には、そのまま相続させることが不適切と判断されるケースもあります。
このような場合に利用されるのが「廃除」です。
廃除が認められると、その相続人は初めから相続人でなかったものと同様に扱われ、遺産を受け取ることができなくなります。
また、遺留分についても原則として主張できなくなります。
遺言による廃除の基本的な仕組み
廃除の方法には、大きく分けて以下の2つがあります。
- 生前に家庭裁判所へ申し立てる方法
- 遺言によって廃除の意思を示す方法
このうち、遺言による廃除は、遺言書の中で「特定の相続人を廃除する意思」を明確に記載することで行います。
ただし、ここで重要なのは、
遺言に書いた時点では廃除はまだ確定していないという点です。
被相続人の死亡後、遺言執行者などが家庭裁判所に申し立てを行い、審判によって認められてはじめて、正式に廃除が成立します。
つまり、遺言はあくまで「廃除を求める意思表示」であり、最終的な判断は裁判所に委ねられる仕組みになっています。
廃除と「相続させない」の違い
「特定の相続人に財産を渡したくない」という場合、
単に遺言で「相続させない」と書けばよいのではないか、と考える方も少なくありません。
しかし、この方法と廃除はまったく別のものです。
遺言で「相続させない」とした場合でも、その相続人には遺留分(最低限の取り分)を請求する権利が残ります。
そのため、結果的に一定の財産を取得される可能性があります。
一方、廃除が認められた場合には、そもそも相続人としての地位を失うため、遺留分も含めて一切の相続権を主張できなくなります。
つまり、
- 相続させない → 一部は請求される可能性あり
- 廃除 → 原則として完全に排除できる
という大きな違いがあります。
ただし、その分、廃除は厳格な要件のもとで慎重に判断される制度であり、「とにかく渡したくない」という理由だけでは認められない点には注意が必要です。での虐待や暴力、経済的搾取があった場合には、遺言書で明確に廃除の意思を示すことが重要です。
②廃除が認められる要件(どんな場合なら可能か)
遺言によって廃除の意思を示すことは可能ですが、実際に認められるかどうかは別問題です。
というのも、相続人の廃除は非常に強力な制度であるため、民法によって厳格な要件が定められており、これを満たさない限り認められません。
ここでは、法律上の要件と、実務上どのように判断されるのかを整理します。

民法上の要件(虐待・重大な侮辱・著しい非行)
民法では、相続人の廃除が認められるケースとして、主に以下の3つが定められています。
- 被相続人に対する虐待
- 被相続人に対する重大な侮辱
- その他の著しい非行
これらはいずれも、相続人としての地位を維持させることが著しく不当といえるレベルの行為であることが求められます。
例えば、以下のようなケースが該当し得ます。
- 虐待:継続的な暴力や暴言、介護放棄などにより、身体的・精神的に重大な被害が生じている場合
- 重大な侮辱:人格を否定する発言を繰り返す、社会的評価を著しく低下させる行為がある場合
- 著しい非行:財産の使い込み、重大な犯罪行為、長期にわたる扶養放棄など
一方で、
- 単に連絡を取っていない
- 性格が合わず関係が悪い
- 期待に応えなかった
といった事情だけでは、通常は廃除が認められません。
👉このように、廃除が認められるかどうかは、行為の重大性と継続性が大きな判断基準となります。犯罪行為や、被相続人の財産を不正に侵害するような行為など、社会的に見ても重大な問題行為であることが求められます。
【具体例】廃除が検討されるケース
ここでは、実際に廃除が問題となる場面について、典型的なケースを紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、判断の参考にしてください。

暴力・虐待があるケース
例えば、同居している子が長年にわたり被相続人に対して暴力や暴言を繰り返しているケースです。
日常的に怒鳴りつけたり、身体的な暴力を振るうことで、被相続人が強い恐怖を感じながら生活しているような場合には、単なる親子間のトラブルを超えて「虐待」と評価される可能性があります。
特に、診断書や第三者の証言などにより被害の実態が裏付けられる場合には、廃除が認められる方向に働きやすくなります。
長期間の扶養放棄・介護放棄
高齢で介護が必要な状態であるにもかかわらず、子が一切関与せず、生活が困難な状態を放置しているケースも問題となります。
例えば、
「近隣住民や行政の支援がなければ生活できない状態にもかかわらず、子が全く連絡を取らず、扶養義務を果たしていない」
といった場合です。
ただし、「忙しくて面倒を見られない」といった事情だけでは足りず、意図的・継続的な放棄であるかどうかが重要になります。
金銭トラブル・重大な裏切り行為
被相続人の財産を無断で使用したり、金銭的な被害を与えるケースも、廃除が検討される典型例です。
例えば、
- 親の預金を無断で引き出し続ける
- 借金の保証人に無断でさせ、多額の負担を負わせる
- 金銭をだまし取る
といった行為は、信頼関係を大きく損なうものであり、「著しい非行」として評価される可能性があります。
実際には認められにくいグレーなケース
一方で、感情的には納得しがたいものの、法的には廃除が認められにくいケースも多く存在します。
例えば、
- 長年連絡を取っていない
- 親の面倒をあまり見なかった
- 口論が多く関係が悪化している
といった事情だけでは、「重大な理由」とまでは評価されない可能性が高いです。
この点を誤解したまま遺言を書いてしまうと、結果的に廃除が認められないという事態にもなりかねません。要です。
実務上の判断ポイント(どこまでがラインか)
では、実際の現場ではどのような点が重視されるのでしょうか。
家庭裁判所では、単に行為の有無だけでなく、以下のような事情を総合的に判断します。
- 行為の内容・程度(どれほど重大か)
- 継続性(単発か、長期間続いているか)
- 被相続人への影響(精神的・経済的な被害)
- 関係性の経緯(これまでの親子関係など)
特に重要なのは、客観的な証拠の有無です。
たとえば、
- 診断書(暴力・精神的被害)
- 録音・メッセージの記録
- 金銭トラブルの資料
などがあると、主張の裏付けとして大きな意味を持ちます。
逆に、どれだけ強い不満や怒りがあっても、証拠が不十分であれば認められない可能性が高くなります。
このセクションのポイント整理
- 廃除には明確な法的要件がある
- 不仲や感情だけでは認められない
- 実務では「重大性・継続性・証拠」が重要
つまり、「廃除できるかどうか」は感覚ではなく、かなりシビアに判断される問題です。相続人の権利を奪うことになるため、慎重な審査を行います。
③遺言で廃除する手続きの流れ

遺言によって廃除の意思を示すことは可能ですが、実際の手続きはそれだけで完結するものではありません。
ここを誤解している方は非常に多く、
「遺言に書けば自動的に廃除される」
と思っているケースも少なくありません。
しかし実際には、家庭裁判所の手続きを経てはじめて廃除が認められる仕組みになっています。
ここでは、遺言による廃除がどのような流れで進むのかを解説します。
遺言書への記載方法
まず、遺言による廃除を行うためには、遺言書の中で廃除の意思を明確に記載する必要があります。
単に「相続させない」と書くだけでは足りず、
「○○を廃除する」旨を明示することが重要です。
また、可能であれば以下の点も記載しておくとよいでしょう。
- 廃除の対象となる相続人の特定(氏名など)
- 廃除を求める理由(どのような行為があったか)
特に理由については、後の家庭裁判所の判断にも関わるため、できるだけ具体的に記載しておくことが望ましいとされています。
家庭裁判所での手続きが必要になる点
遺言に廃除の意思が書かれていたとしても、その時点では廃除は成立していません。
被相続人が亡くなった後、
遺言執行者などが家庭裁判所に廃除の申立てを行う必要があります。
そして、裁判所が提出された資料や事情をもとに審理を行い、
廃除が相当と認められた場合にのみ、正式に廃除が成立します。
逆にいえば、
遺言に書いていても、要件を満たしていなければ認められない
という点が非常に重要です。
実際の進み方(実務ベース)
実務上の流れを整理すると、次のようになります。
ここで特に重要なのは、
「証拠の準備」と「遺言執行者の存在」です。
証拠が不十分であれば、どれだけ遺言に強い意思が書かれていても認められない可能性があります。
また、遺言執行者がいない場合、手続きがスムーズに進まないこともあります。
そのため、実務的には
- 事前に証拠を整理しておく
- 遺言執行者を指定しておく
といった準備が重要になります。
このセクションのポイント整理
- 遺言だけでは廃除は確定しない
- 家庭裁判所の手続きが必須
- 証拠と事前準備が結果を左右する
つまり、
廃除は「書けばできる」ものではなく、「認められて初めて成立する」制度です。
④廃除は取り消せる?一度行うと元に戻せないのか
相続人の廃除を検討している方から、よくあるのが
「一度廃除したら、後から取り消すことはできるのか?」
という疑問です。
結論からいうと、
廃除は取り消すこと自体は可能です。
ただし、自由に簡単に戻せるものではなく、手続きや状況によっては現実的に困難になるケースも多いため、慎重な判断が求められます。
廃除の取消し(取り消し)は可能か
民法上、相続人の廃除は、被相続人の意思によって取り消すことができます。
例えば、関係が改善した場合や、事情が変わった場合には、
廃除の取消しを家庭裁判所に申し立てることが可能です。
また、遺言によって廃除している場合でも、
新たな遺言を作成することで、その意思を変更することも考えられます。
つまり制度上は、完全に不可逆(元に戻せない)というわけではありません。
遺言による廃除と取消しの関係
ただし、遺言による廃除の場合には注意が必要です。
遺言は被相続人の死亡によって効力が生じるため、
死亡後に本人の意思で取り消すことは当然できません。
そのため、例えば以下のようなケースでは問題が生じます。
- 遺言作成時は強い対立関係にあった
- その後関係が改善した
- しかし遺言を修正しないまま亡くなってしまった
この場合、実際の関係性とは異なる内容の遺言がそのまま実行される可能性があります。
実務上の注意点(安易に決断すべきでない理由)
実務的に見ると、廃除は「後から調整しにくい制度」といえます。
その理由としては、以下のような点が挙げられます。
- 家庭裁判所の手続きが必要で、手間と時間がかかる
- 感情の変化に制度が追いつかない可能性がある
- 証拠や事情が過去のまま評価されるリスクがある
また、廃除は法的な問題にとどまらず、家族関係に決定的な影響を与える行為でもあります。
そのため、
一時的な感情だけで判断するのではなく、
本当に廃除が必要なのかを冷静に検討することが重要です。
このセクションのポイント整理
- 廃除は制度上、取消しが可能
- ただし簡単に元に戻せるわけではない
- 遺言の場合、修正しないと意思が反映されない
- 慎重な判断が不可欠
つまり、
「あとで変えればいい」と軽く考えて行うべき制度ではないということです。付ける十分な証拠と法的根拠が不可欠です。
⑤よくある失敗と注意点
相続人の廃除は強力な制度である一方で、適切に進めなければ認められない可能性が高い手続きでもあります。
実務上も、「遺言に書いていたのに廃除が認められなかった」というケースは少なくありません。
ここでは、よくある失敗と、その対策について解説します。
感情だけで書いてしまう
最も多いのが、感情的な理由だけで廃除を決めてしまうケースです。
例えば、
- 関係が悪い
- 長年連絡を取っていない
- 親の期待に応えなかった
といった事情だけで、「もう相続させたくない」と考えてしまうことがあります。
しかし前述のとおり、廃除には厳格な要件があり、感情だけでは認められません。
そのため、遺言に廃除の意思を書いていたとしても、
法的な要件を満たしていなければ無効と判断される可能性があります。
要件を満たしていない
廃除が認められるためには、
「虐待」「重大な侮辱」「著しい非行」などに該当する必要があります。
しかし実際には、
そこまでのレベルに達していないケースも多く見られます。
例えば、
- 面倒を見てくれなかった
- 性格が合わない
- 距離を置かれている
といった事情は、感情的には大きな問題でも、法的には不十分と判断される可能性が高いです。このズレに気づかないまま進めてしまうことが、大きな失敗につながります。
証拠が不足している
仮に要件に該当するような事情があったとしても、
それを裏付ける証拠がなければ認められない可能性があります。
例えば、
- 暴力や暴言の記録がない
- 金銭トラブルの証拠が残っていない
- 第三者の証言が得られない
といった場合です。
家庭裁判所では、客観的な資料に基づいて判断が行われるため、
「事実があったこと」だけでなく、「証明できること」が重要になります。
遺言の形式不備
廃除の内容以前に、遺言自体に不備があるケースも見逃せません。
例えば、
- 自筆証書遺言の要件を満たしていない
- 日付や署名が不完全
- 内容が不明確
といった場合、遺言そのものが無効になる可能性があります。
この場合、廃除の意思も当然に認められません。
⑥廃除以外の選択肢(比較)
「特定の相続人に財産を渡したくない」と考えたとき、選択肢は廃除だけではありません。
むしろ実務上は、
廃除以外の方法の方が現実的であるケースも多いのが実情です。
ここでは、代表的な方法と廃除との違いを整理します。

遺言で相続分を調整する方法
最も一般的なのが、遺言によって相続分を調整する方法です。
例えば、
- 特定の相続人の取り分を減らす
- 他の相続人に多く配分する
といった形で、実質的に「渡す財産を減らす」ことが可能です。
この方法のメリットは、
廃除のような厳しい要件が不要である点です。
一方で注意点として、相続人には「遺留分」があるため、
完全に排除することはできないという制約があります。
遺留分との関係
遺留分とは、一定の相続人に保障された最低限の取り分のことです。
そのため、遺言で大幅に取り分を減らしたとしても、
遺留分侵害額請求によって一定の財産を取り戻される可能性があります。
一方、廃除が認められた場合には、
そもそも相続人としての地位を失うため、遺留分も主張できなくなります。
この点が、廃除とその他の方法との大きな違いです。
廃除を選ぶべきケース・選ばない方がよいケース
ここまでを踏まえると、廃除を選ぶべきかどうかは、次のように整理できます。
廃除を検討すべきケース
- 暴力や虐待など、明確に要件に該当する事情がある
- 金銭トラブルなど、重大な裏切り行為がある
- 遺留分も含めて完全に排除する必要がある
廃除を慎重に考えるべきケース
- 単なる不仲や疎遠な関係にとどまる
- 証拠が十分に揃っていない
- 感情的な対立が主な理由になっている
- このような場合には、無理に廃除を選ぶよりも、
- 遺言による配分調整など別の方法を検討した方が現実的です。
このセクションのポイント整理
- 廃除以外にも選択肢はある
- 遺言での調整は現実的かつ使いやすい
- 廃除は「完全排除」が必要な場合に限定される
- 判断には状況の整理が不可欠
つまり、
「廃除ありき」ではなく、「どの方法が最適か」で考えることが重要です。

⑦よくある質問(Q&A)
相続人の廃除に関して、実務上よく問題となる点について整理します。
Q:廃除が認められた場合、遺留分はどうなりますか?
廃除が認められた場合、当該相続人は相続人としての地位を失うため、遺留分を含めた一切の相続権を主張することができません。
これは、遺言によって相続分を減少させる場合とは大きく異なる点です。
Q:遺言に記載すれば、廃除は有効となりますか?
遺言に廃除の意思を記載することは可能ですが、それだけで直ちに効力が生じるものではありません。
遺言執行者等による家庭裁判所への申立てと、審判を経て初めて廃除が成立します。
Q:家庭裁判所で廃除が認められない場合はありますか?
はい、あります。
特に、
- 単なる不仲や疎遠
- 感情的対立にとどまる事情
- 客観的証拠が不十分な場合
などについては、民法上の要件を満たさないとして認められない可能性があります。
Q:生前に廃除を行うことは可能ですか?
可能です。
被相続人本人が家庭裁判所に対して廃除の申立てを行うことにより、生前に廃除を成立させることができます。
もっとも、手続きの性質上、家族関係への影響が大きくなる点には留意が必要です。
Q:「絶縁」すれば相続権はなくなりますか?
いわゆる「絶縁」は法律上の制度ではなく、これにより当然に相続権が失われることはありません。
相続権を失わせるためには、廃除や相続欠格といった法的根拠に基づく手続きが必要となります。
⑧廃除を検討する前に考えるべきこと
ここまで見てきたとおり、相続人の廃除は有効な制度ではあるものの、誰でも簡単に利用できるものではありません。
また、その効果の大きさから、一度実行すると家族関係や相続に重大な影響を与える可能性があります。
そのため、廃除を検討する際には、次の点を冷静に整理することが重要です。
本当に廃除が最適な手段か
まず検討すべきは、廃除という手段が本当に必要なのかという点です。
廃除は、相続人としての地位そのものを失わせる強力な制度である一方で、
- 厳格な要件がある
- 家庭裁判所の判断が必要
- 認められないリスクがある
といった制約もあります。
そのため、
「財産を渡したくない」という目的だけであれば、遺言による配分調整で足りるケースも少なくありません。
まずは目的と手段が一致しているかを確認することが重要です。
家族関係と将来的なリスク
廃除は法的な問題にとどまらず、家族関係に対しても大きな影響を及ぼします。
例えば、
- 他の相続人との関係に影響が出る
- 相続発生後に紛争が激化する
- 手続きが長期化する
といったリスクも考えられます。
また、前述のとおり、遺言による廃除は被相続人の死亡後に手続きが進むため、
生前の意思と相続時の状況にズレが生じる可能性もあります。
専門家に相談すべき理由
廃除の可否は、
- 法的要件
- 証拠の有無
- 個別事情
などを踏まえて判断されるため、一般の方が正確に判断することは容易ではありません。
また、遺言の内容や手続きの進め方によっては、
結果的に廃除が認められない、あるいは無効となるリスクもあります。
そのため、廃除を検討している段階で、
弁護士や行政書士などの専門家に相談し、適切な方針を検討することが重要です。
まとめ
相続人の廃除は、特定の相続人に重大な問題行為がある場合に、相続権を失わせることができる制度です。
しかし、
- 認められる要件は厳格である
- 遺言だけでは完結しない
- 証拠や手続きが結果を左右する
といった特徴があり、慎重な判断が求められます。
また、廃除が本当に最適な手段とは限らず、遺言による配分調整など、他の方法の方が適しているケースもあります。
重要なのは、
感情だけで判断するのではなく、法的な観点と実務の視点から冷静に検討することです。
相続人の廃除を検討している場合には、早い段階で専門家に相談し、ご自身の状況に応じた最適な方法を選択することをおすすめします。

