遺言書はあるはずだった。
生前、父から「遺言を用意しているから安心しろ」と聞いていたのに、いざ相続手続きを進めようとしたとき、どこを探しても見つからない。
40代になり、親の相続に直面する立場になったとき、
「聞いていた話と違う」
「このまま相続手続きはどうなるのか」
「何から手をつければいいのか分からない」
と戸惑う方は少なくありません。
このように、遺言書があると思っていたのに見つからない状況は決して珍しいものではなく、
また、そもそも最初から遺言書がない場合も含めて、多くの方が同じような不安を抱えます。
そして重要なのは、遺言書がない場合、相続手続きは自動的には進まないという点です。
相続人全員での話し合い(遺産分割協議)や、遺産分割協議書の作成など、対応すべき手続きが発生します。
しかし、状況を十分に整理しないまま進めてしまうと、
・手続きが途中で止まってしまう
・相続人同士でトラブルになる
・書類の不備によりやり直しが必要になる
といったリスクも少なくありません。
この記事では、父の相続に直面したケースを前提に、
「遺言書があると思っていたのに見つからない場合」や「遺言書がない場合」において、
- 今すぐ何を確認すべきか
- 相続手続きはどのように進むのか
- 遺産分割協議書はなぜ必要なのか
- 専門家に相談すべきタイミング
を、実務の流れに沿って整理します。
「何から始めればいいのか分からない」という状態から、今の状況を整理し、必要な相続手続きに落ち着いて向き合える状態を目指します。

目次
①:遺言書があると思っていたのに見つからない…まず知っておくべきこと
遺言書があると思っていたのに見つからないときの混乱
父から「遺言を用意している」と聞いていた場合、相続はある程度スムーズに進むはずだと考えてしまうのが自然です。
特に40代で親の相続に直面すると、仕事や家庭と並行しながら対応する必要があり、「遺言があるなら安心だ」とどこかで思っているケースも少なくありません。
しかし、実際に遺言書が見つからないとなると、その前提が一気に崩れます。
「どこかに保管されているはずだ」
「探し方が間違っているのではないか」
「そもそも本当に作っていたのか」
このように、状況がはっきりしないまま時間だけが過ぎていくことも多く、精神的な負担は想像以上に大きくなります。
手続きが止まる焦りと現実(相続手続きは止まるのが普通)
遺言書が見つからない場合、多くの方がまず感じるのは「相続手続きが進められない」という焦りです。
ただ、ここで知っておいていただきたいのは、相続手続きが一時的に止まってしまうのは決して珍しいことではないという点です。
遺言書の有無がはっきりしない状態では、
・遺産の分け方を決めることができない
・金融機関の手続きも進めにくい
といった理由から、どうしても手続きは足踏み状態になります。
また、父を亡くした直後というタイミングでは、気持ちの整理がついていない中で判断を迫られることも多く、「進めなければいけない」と分かっていても動けないこともあります。
こうした状況は決して特別なものではなく、相続人の感情として自然なものです。
無理に急ぐ必要はありませんが、現状を正しく理解しておくことが重要です。
このようなケースは実は珍しくない(遺言書がない場合も含めて)
「遺言書があると聞いていたのに見つからない」というケースは、実務上も一定数存在します。
例えば、
・作成したつもりだったが正式な形になっていなかった
・自宅に保管していたが見つからない
・どこに保管しているか家族に共有されていなかった
といったケースです。
また、そもそも遺言書がない場合も含めると、遺言書に頼らず相続手続きを進めるケースの方が多いのが実情です。
そのため、「遺言書がない=特別なトラブル」というわけではありません。
ただし、手続きの進め方が変わるという点は理解しておく必要があります。
遺言書があると思っていた場合となかった場合の違い
遺言書がある場合と、遺言書がない場合では、相続手続きの進み方が大きく異なります。
遺言書がある場合は、基本的にその内容に従って財産を分けることになるため、相続人同士での話し合いは限定的です。
一方で、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産の分け方を決める必要があります。
これが「遺産分割協議」です。
つまり、
- 遺言あり:内容に従って進む
- 遺言なし:話し合いで決める
という大きな違いがあります。
この違いを理解していないと、「なぜ手続きが進まないのか」が分からず、余計に不安が大きくなってしまいます。
まずは冷静に状況を整理することが重要
遺言書が見つからない場合や、遺言書がないことが分かった場合、最も重要なのは焦って手続きを進めることではなく、状況を整理することです。
具体的には、
・本当に遺言書が存在しないのか
・相続人は誰なのか
・どのような財産があるのか
といった点を一つひとつ確認していく必要があります。
特に、仕事や家庭を抱える40代の方にとっては、限られた時間の中で相続手続きを進めることになります。
だからこそ、最初の段階で整理を怠ると、後から大きな手戻りが発生する可能性があります。
次の章では、遺言書がないと分かったときに具体的に何をすべきかを、チェックリスト形式で整理していきます。で、専門家への相談をおすすめします。

②:遺言書がないと分かったときに今すぐやるべきこと【チェックリスト】
遺言書がない場合、相続手続きは自動的には進みません。
そのため、まずは状況を整理しながら、必要な確認と準備を段階的に進めていく必要があります。
ここでは、遺言書がない場合の相続手続きで最初に行うべき対応を、ステップごとに整理します。
STEP1|遺言書の有無を正式に確認する
遺言書が見つからない場合でも、直ちに「存在しない」と判断するのではなく、公的な制度を利用して確認することが重要です。
公証役場の検索システムで確認する
公正証書遺言は公証役場で作成されるため、自宅で見つからなくても存在している可能性があります。
その場合は、被相続人が亡くなった後、相続人などの立場で公証役場に照会し、公正証書遺言の有無を確認します。
被相続人がどこの公証役場で作成したか分からなくても、まずは最寄りの公証役場に相談すれば、確認方法や必要書類を案内してもらえます。
父が「遺言を用意している」と話していた場合は、早い段階で確認しておくと、その後の相続手続きの見通しを立てやすくなります。
法務局の自筆証書遺言保管制度を確認する
自筆証書遺言が法務局に保管されている場合、遺言書保管事実証明書の請求により、その有無を確認することができます。
この制度を利用しているかどうかは、外からは分からないため、心当たりがある場合や、自宅などで見つからない場合には確認しておくことが重要です。
保管されていることが確認できた場合には、その後、遺言書の閲覧や写しの交付を受けることも可能です。
公正証書遺言と同様に、早い段階で確認しておくことで、その後の相続手続きをスムーズに進めやすくなります。
自宅・貸金庫などを確認する
公的制度以外にも、遺言書が保管されているケースがあります。
特に、自宅の金庫や書類保管場所、金融機関の貸金庫、士業事務所への預け入れなどは、確認しておくべき代表的な場所です。
父が「遺言を用意している」と話していた場合でも、保管場所が共有されていないことは少なくありません。
そのため、思い込みで判断せず、心当たりのある場所を一つひとつ丁寧に確認していくことが重要です。
STEP2|相続人を確定する
遺言書がない場合の相続手続きでは、誰が相続人になるのかを確定することが出発点になります。
相続人の確定は、被相続人(父)の出生から死亡までの戸籍を収集し、家族関係をたどることで行います。
一見すると相続人は明らかに見えても、戸籍を確認する中で想定外の相続人が判明することもあります。
前婚の子どもがいるケース
「相続人は配偶者と子どもだけ」と思っていても、戸籍を確認する中で、父に前婚の子どもがいることが判明することがあります。
この場合、その子どもも相続人となるため、遺産分割協議には全員の参加が必要になります。
代襲相続が発生するケース
子どもがすでに亡くなっている場合には、その子ども(父から見て孫)が相続人となる「代襲相続」が発生します。
当初想定していた相続人の範囲が変わるため、注意が必要です。
認知された子どもがいるケース(実務上の注意点)
実務では、家族が把握していなかった子どもが認知されており、相続人が増えるケースもあります。
戸籍や遺言書の確認を進める中でその存在が明らかになり、遺産分割協議のやり直しや調整が必要になることもあります。
相続人の確定ができていない状態では、その後の遺産分割協議や各種相続手続きを進めることができません。
そのため、早い段階で戸籍を収集し、正確に把握しておくことが重要です。
STEP3|相続財産を把握する
相続財産の全体像を把握することも重要なステップです。
口座の有無は相続人が調査する
預貯金口座については、まず相続人自身で金融機関を特定する必要があります。
通帳やキャッシュカードのほか、郵便物(銀行からの通知や利息計算書など)、スマートフォンのアプリ利用状況などが手がかりになります。
普段利用していた銀行が限られているとは限らず、家族が把握していない口座が見つかることもあるため、思い込みで判断せず丁寧に確認することが重要です。
残高証明や取引履歴は専門家の関与も可能
金融機関が特定できた後は、残高証明書や取引履歴を取得して、具体的な金額や資金の動きを確認します。
これらの手続きには、戸籍関係書類の提出や所定の申請書の作成が必要となり、金融機関ごとに対応が異なることもあります。
そのため、手続きが煩雑に感じられる場合には、行政書士などの専門家が書類収集や手続きをサポートすることも可能です。
不動産やその他の財産も確認する
預貯金以外にも、不動産、有価証券、生命保険、借入金など、相続の対象となる財産は多岐にわたります。
不動産については固定資産税の納税通知書や権利証、有価証券については証券会社からの郵送物などが確認の手がかりになります。
また、プラスの財産だけでなく、借入金などの負債も含めて把握することが重要であり、全体像を誤るとその後の遺産分割協議に影響が出る可能性があります。
STEP4|不用意に財産を動かさない
遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有状態となります。
そのため、一部の相続人が単独で財産を動かしてしまうと、後のトラブルにつながる可能性があります。
例えば、
・被相続人(父)の銀行口座から、他の相続人に無断で預金を引き出す
・生活費や葬儀費用の名目で、十分な説明なくお金を使ってしまう
といった行為は、後から「勝手に使った」と見なされ、相続人間の対立の原因になることがあります。
また、金融機関は死亡の事実を把握すると口座を凍結することが多く、結果として手続きが複雑になるケースもあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、まずは状況を整理し、相続人全員で共有しながら適切な手順で相続手続きを進めることが重要です。
STEP5|専門家への相談を検討する
相続手続きは、想像以上に時間と手間がかかります。
特に、
・相続人の確定が難しい
・財産の把握に時間がかかる
・仕事や家庭との両立が難しい
といった場合には、早い段階で専門家に相談することで、手続きをスムーズに進めることが可能です。
中でも、被相続人(父)の出生から死亡までの戸籍を収集する作業は、役所ごとに請求を行う必要があり、想像以上に手間がかかることがあります。
そのため、STEP2の相続人の確定の段階から専門家に依頼するという選択も、実務上は十分に現実的です。
すべてを自分で対応することも可能ですが、時間的な制約や手続きの煩雑さを考えると、早い段階で専門家の関与を検討することで、結果として負担を軽減できるケースも少なくありません。
③:遺言書がない場合の相続の進み方(相続 手続き)
遺言書がない場合、相続手続きは一定のルールに従って進める必要があります。
ここでは、全体の流れとあわせて、実務上押さえておきたいポイントを整理します。
遺言書がない場合の基本的な進み方
遺言書がない場合、相続は民法で定められたルール(法定相続)を前提に進みます。
ただし、最終的に誰がどの財産を取得するかは、相続人全員の話し合いによって決めることになります。
法定相続の考え方
例えば、父が亡くなり、配偶者と子どもがいる場合、
・配偶者:2分の1
・子ども全員で2分の1(人数で均等)
という割合が基本となります。
また、子どもがいない場合には、被相続人の親(直系尊属)が相続人となり、
・配偶者:3分の2
・親:3分の1
という割合になります。
さらに、子どもも親もいない場合には、兄弟姉妹が相続人となり、
・配偶者:4分の3
・兄弟姉妹:4分の1
という割合が基本です。
ただし、これらの割合はあくまで目安であり、実際の相続では必ずしもこのとおりに分ける必要はなく、話し合い(遺産分割協議)の基準となるものです。

遺産分割協議が必要になる理由
遺言書がない場合、財産の分け方は相続人全員で話し合って決める必要があります。
このように、遺産の分け方について相続人全員で話し合うことを「遺産分割協議」といいます。
例えば、
・自宅は配偶者が取得する
・預貯金は子どもで分ける
といったように、財産ごとに具体的な分け方を決めていきます。
この協議は、相続人全員の合意が必要であり、一人でも同意しない場合には成立しません。
遺言があっても遺産分割協議は必要?判断基準と注意点をわかりやすく解説
相続人全員の合意が必要な理由
遺産分割協議は、相続人全員の共有財産を分ける手続きであるため、一部の相続人だけで決めることはできません。
そのため、
・相続人と連絡が取れない
・意見が対立している
といった場合には、手続きが止まることもあります。
また、この協議の結果は口頭で終わるものではなく、合意内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめる必要があります。
作成された遺産分割協議書は、銀行口座の解約や名義変更、不動産の名義変更(相続登記)などの手続きで提出が求められる重要な書類となります。
そのため、遺産分割協議は単なる話し合いではなく、その後の相続手続きを進めるための前提となる重要なプロセスといえます。
遺留分とトラブルを防ぐための考え方
遺言書がない場合でも、相続人間の公平性を意識することは重要です。
その際に理解しておきたいのが「遺留分」という考え方です。
遺留分とは何か
遺留分とは、一定の相続人に認められた「最低限保障される取り分」のことです。
遺留分が認められるのは、配偶者・子ども・直系尊属(親など)であり、兄弟姉妹には認められていません。
法定相続分は「法律上の取り分の目安」であるのに対し、遺留分はそれを下回ると請求できる最低限の権利という位置づけになります。
例えば、法定相続分が2分の1であっても、そのすべてが保障されるわけではなく、一定割合(一般的にはその半分など)が遺留分として認められます。
本来は遺言書がある場合に問題となることが多い制度ですが、遺言書がない場合でも、分け方の参考として意識しておくことが重要です。
遺留分が問題になるケース
特定の相続人に財産が偏るような場合には、後から不満が生じることがあります。
遺言書がある場合には、特定の相続人に多くの財産を相続させる内容になっていたとしても、他の相続人は遺留分の範囲で取り戻す(請求する)ことが可能です。
一方で、遺言書がない場合には、相続人同士の話し合いによって分け方を決めることになります。
その過程で、内容を十分に理解しないまま合意してしまったり、他の相続人の説明をそのまま受け入れてしまったりすることで、本来よりも少ない取り分で遺産分割協議が成立してしまうケースもあります。
いったん遺産分割協議が成立すると、原則として後から内容を変更することは容易ではありません。
そのため、合意の段階で内容を十分に確認することが重要です。
実務上の注意点
遺言書がない場合でも、分け方に大きな偏りがあると、後になって相続人間の関係が悪化することがあります。
遺産分割協議は、全員が合意すれば成立しますが、形式的に同意がそろっているだけでは十分とはいえません。
内容に対する理解や納得が不十分なまま進んでしまうと、後から不満が生じる原因になることがあります。
そのため、手続きを進める際には、合意が取れているかだけでなく、それぞれが納得できる内容になっているかという視点も重要になります。
④:遺言書がない場合の相続の進み方(相続 手続き)
遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を決める必要があります。
この話し合いが「遺産分割協議」です。
ここでは、遺産分割協議で実際に何を行うのか、その流れを整理します。
遺産分割協議で決める内容
遺産分割協議では、単に「誰が相続するか」を決めるだけではなく、どの財産を誰が取得するかを具体的に決めていきます。
例えば、
・自宅は配偶者が取得する
・預貯金は子どもで分ける
・特定の財産は特定の相続人が引き継ぐ
といったように、財産ごとに整理していきます。
また、現金だけでなく、不動産や有価証券など分割しにくい財産については、そのまま分けるのが難しいため、誰が取得するかを決めたうえで調整が必要になることもあります。
このような場合には、財産を売却して現金化し、そのうえで分配する方法(換価分割)がとられることもあります。
いずれの方法を選ぶかによって、相続人間の負担や納得感も変わるため、状況に応じて慎重に検討することが重要です。
話し合いの進め方と実務の流れ
遺産分割協議は、必ずしも一か所に集まって行う必要はなく、状況に応じて柔軟に進めることができます。
一般的には、
・相続人と相続財産を確定する
・分け方の案を検討する
・相続人間で調整する
という流れで進みます。
一か所に集まって行う場合
相続人が同じ地域に住んでいる場合などは、日時を決めて集まり、その場で話し合いを行うこともあります。
この場合、その場で意見交換ができるため、比較的スムーズに方向性がまとまりやすいという特徴があります。
一方で、感情的な対立がある場合には、その場で話し合いがまとまらず、かえって調整が難しくなるケースもあります。
電話や書面のやり取りで進める場合
相続人が遠方に住んでいる場合や、日程の調整が難しい場合には、電話や郵送、場合によってはメールなどを利用して進めることもあります。
代表者が分け方の案を作成し、それを各相続人に共有して意見をもらい、修正を重ねながら合意を目指すといった進め方が一般的です。
この方法は時間をかけて調整できる一方で、やり取りの回数が増えるため、合意までに時間がかかる傾向があります。
また、書面ややり取りが残る形で進むため、相続人本人だけでなく、その配偶者など周囲の家族が内容を把握しやすくなる側面もあります。
実務上は、こうした過程で相続人以外の意見が強く影響し、当事者間の調整が難しくなるケースも見られます。
結果として、話し合いでの解決が難しくなり、調停や訴訟に進むケースも一定数存在します。
特に40代で仕事や家庭を抱えながら対応する場合、まとまった時間を確保することが難しく、結果として調整に時間がかかることも少なくありません。
状況に応じて無理のない進め方を選ぶことが重要です。

話し合いがスムーズに進まないケース
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要であるため、状況によっては思うように進まないことがあります。
ここでは、実務上よく見られる「手続きが止まる原因」を整理します。
相続人間の認識に差がある場合
相続財産の内容や評価について認識が一致していない場合、前提の段階で意見が食い違い、話し合いが進まなくなることがあります。
特に、不動産の価値や生前の金銭のやり取りについて認識に差があると、調整が難しくなる傾向があります。
さらに、実務上は、
・誰がどの程度介護を担っていたか
・住宅資金などの援助があったか
・兄弟の進学や生活に関してどのような事情があったか
といった、それぞれのこれまでの経緯や思いが前提として存在していることも少なくありません。
こうした背景がある場合、単に財産の分け方を議論するだけでは整理がつかず、そもそも話し合いのスタートラインをそろえること自体が難しくなることもあります。
分け方に対する納得感が得られない場合
形式的には公平に見える分け方であっても、各相続人の事情やこれまでの関係性によって、納得感に差が生じることがあります。
このような場合、単純に割合を調整するだけでは解決せず、話し合いが長期化することもあります。
感情的な要素が影響する場合
遺産分割協議では、被相続人(父)への思いや、これまでの家族関係が影響することも少なくありません。
そのため、法律上は整理できる問題であっても、感情面の整理がつかず、協議が進まなくなるケースもあります。
遺産分割協議書の作成までが一連の手続き
遺産分割協議は、合意しただけでは終わりではありません。
合意内容は「遺産分割協議書」として書面にまとめる必要があり、この書類があって初めて、銀行口座の解約や名義変更、不動産の相続登記といった相続手続きを進めることができます。
そのため、遺産分割協議は単なる話し合いではなく、相続手続きを完了させるための重要なプロセスといえます。
④:遺産分割協議書の作成が必要になる理由(遺産分割協議書)

遺産分割協議は、相続人全員で合意すれば成立しますが、口頭の合意だけでは相続手続きを進めることはできません。
実際の手続きを進めるためには、その内容を書面として残す必要があります。
これが「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書の役割と必要性
遺産分割協議書とは、相続人全員で合意した遺産の分け方を記載した書面のことです。
誰がどの財産を取得するのかを具体的に明記し、相続人全員が署名・押印することで、第三者に対しても内容を証明できる書類となります。
そのため、金融機関や法務局などの手続きにおいて、相続人全員の合意があることを示す根拠資料として提出が求められる重要な書類です。
なお、遺産分割協議書には、原則として相続人全員の実印による押印と、それぞれの印鑑証明書の添付が必要となります。
認印では認められないため注意が必要です。
また、遺産分割協議書は手書きで作成する必要はなく、パソコンで作成したものでも問題ありません。
ただし、内容に誤りがないよう正確に作成することが重要であり、不備があると手続きが進まない原因になることがあります。
銀行口座の解約・名義変更に必要な理由
被相続人(父)の銀行口座を解約したり、名義変更を行ったりする際には、遺産分割協議書の提出が求められます。
金融機関は相続人全員の合意を確認できなければ手続きを進められないため、書面による証明が不可欠です。
不動産の名義変更(相続登記)に必要な理由
不動産が相続財産に含まれている場合、その名義を変更する相続登記が必要になります。
この手続きでも、遺産分割協議書がどの相続人が取得するかを示す資料として利用されます。
不備があると手続きが進まないリスク
遺産分割協議書は形式的な書類に見えますが、内容や記載方法に不備があると、金融機関や法務局で受理されず、手続きが進まないことがあります。
結果として、修正や再作成が必要となり、相続手続き全体が遅れる原因になります。
遺産分割協議書は誰に依頼できるか
遺産分割協議書は相続人自身で作成することも可能ですが、内容に不備があると手続きが進まないリスクがあるため、状況に応じて専門家への依頼を検討することも重要です。
行政書士に依頼できる内容
相続人間に争いがない場合には、行政書士が遺産分割協議書の作成や、戸籍収集などの必要書類の整備をサポートします。
書類作成の専門家として、形式面の不備を防ぎながら手続きを進めることができるため、「話し合いはまとまっているが、書類に不安がある」ケースに適しています。
弁護士に依頼すべきケース
相続人間で意見の対立がある場合や、話し合いがまとまらない場合には、弁護士への相談が必要になります。
弁護士は交渉や調停・訴訟への対応が可能であるため、すでにトラブルになっている、またはその可能性が高いケースに適しています。
司法書士が対応できる範囲
相続財産に不動産が含まれている場合には、司法書士が相続登記(名義変更)の手続きを担当します。
また、登記に必要な範囲で書類作成のサポートを行うこともあり、不動産の名義変更を確実に進めたい場合に重要な役割を担います。
⑤:放置するとどうなる?よくあるトラブル(相続 手続き)
遺言書がない場合の相続手続きは、すぐに対応しなくても罰則があるわけではありません。
そのため、つい後回しになってしまうこともあります。
しかし、実務上は放置することで問題が大きくなるケースも少なくありません。
ここでは、よくあるトラブルを整理します。
相続人同士のトラブルに発展するケース
遺産分割協議が行われないまま時間が経過すると、相続人それぞれの考えや事情が変化し、当初よりも合意が難しくなることがあります。
例えば、当初は誰も住んでいなかった実家について、売却するかどうかの判断を先送りにしているうちに、いわゆる「実家じまい」の問題が現実的な課題となり、意見が分かれるケースがあります。
また、当初は特に問題がなかった場合でも、時間の経過とともに生活状況が変化し、例えば小学生だった孫が私立中学を受験することになり、教育資金の必要性から相続分についての考え方が変わるといったこともあります。
このように、
・一部の相続人が財産を管理し続けていることへの不満
・生活状況の変化による取り分への考え方の変化
といった要因が重なり、関係が悪化することもあります。
特に、最初は問題がなかった場合でも、時間の経過とともに認識のズレが大きくなることがあるため、早めの対応が重要です。
手続きが長期間止まるリスク
相続手続きが進まない背景には、単なる手続きの問題だけでなく、感情的な要因が関係していることもあります。
手続きを進めることに心理的な抵抗がある場合
被相続人(父)が亡くなった直後は、「まだ整理がついていない」「手続きを進めることで区切りがついてしまう」と感じ、あえて手続きを進めないというケースもあります。
また、相続が完了すると、被相続人の存在が遠ざかってしまうように感じることから、気持ちの面で進めづらくなることもあります。
相続人間の意見の相違で進まない場合
一方で、相続人同士の意見がまとまらないことにより、手続きが止まるケースもあります。
分け方に対する考え方の違いや、これまでの関係性が影響し、話し合いが進まないまま長期間放置されてしまうこともあります。
例えば、
・「同居して親の面倒を見ていたのだから多くもらうべき」と考える相続人と、「法定相続分どおりに分けるべき」と考える相続人で意見が対立するケース
・生前に援助を受けていたかどうかの認識が食い違い、公平性についての考え方が一致しないケース
・これまでの家族関係の中での不満やわだかまりが影響し、冷静な話し合いが難しくなるケース
といったように、単に財産の問題だけでなく、それぞれの立場やこれまでの経緯が影響することで、調整が難しくなることがあります。

相続手続きの期限に注意|相続登記と相続税申告の違い
近年、不動産の相続については、一定期間内に相続登記を行うことが義務化されています。
具体的には、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。
また、相続に関する手続きとしては、相続税の申告期限にも注意が必要です。
相続税が発生する場合には、被相続人(父)が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付を行う必要があります。
このように、相続手続きには複数の期限が存在するため、混同しないよう注意が必要です。
正当な理由なく相続登記を行わない場合には、過料の対象となる可能性もあります。
遺言書がない場合でも、不動産が含まれている場合には、遺産分割協議とあわせて、これらの期限を意識しながら早めに対応することが重要です。
⑥:よくある質問(Q&A)
相続手続きについては、細かい疑問が多くあります。
ここでは、実務上よくある質問を整理します。
Q:遺言書がない場合、必ず遺産分割協議は必要ですか?
はい、原則として必要になります。
遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有状態となるため、誰がどの財産を取得するかを決めるために、遺産分割協議を行う必要があります。
ただし、法定相続分どおりに単純に分けられる財産のみの場合など、例外的に協議を行わずに手続きが進められるケースもあります。
Q:兄弟姉妹にも遺留分はありますか?
結論からいうと、兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分が認められているのは、配偶者・子ども・直系尊属(親など)に限られます。
そのため、兄弟姉妹が相続人となる場合には、遺言書によって特定の人に財産を集中させる内容であっても、遺留分を理由に争うことはできません。
Q:相続人のうち、意見の合わない人にうその情報を伝えても大丈夫ですか?
おすすめできません。
相続手続きは相続人全員の合意に基づいて進めるものであり、重要な情報を正確に共有することが前提となります。
仮に不正確な情報に基づいて遺産分割協議が成立した場合、後からトラブルに発展し、協議のやり直しや無効を主張される可能性もあります。
結果として、時間や手間が増えるだけでなく、相続人間の関係が悪化する原因にもなるため、慎重に対応することが重要です。
Q:遺産分割協議書は自分で作成できますか?
はい、相続人自身で作成することも可能です。
ただし、記載内容や形式に不備があると、銀行や法務局で手続きが進まないことがあります。
特に、不動産が含まれる場合や、財産の内容が複雑な場合には、専門家に依頼することで手続きをスムーズに進められることがあります。
Q:遺留分はどのくらい認められますか?
遺留分は、法定相続分の一定割合として認められます。
一般的には、
・配偶者や子ども:法定相続分の2分の1
・直系尊属のみの場合:法定相続分の3分の1
が目安となります。
ただし、個別の事情によって具体的な金額は異なるため、詳細は専門家への相談が有効です。
Q:株式や投資信託などの有価証券はどのように相続しますか?
株式や投資信託などの有価証券も、相続財産として遺産分割協議の対象となります。
これらの財産は銀行預金とは異なり、証券会社ごとに口座が管理されているため、まずはどの証券会社に口座があるかを把握する必要があります。
そのうえで、遺産分割協議によって取得する相続人を決め、証券会社に対して名義変更や口座移管の手続きを行います。
なお、有価証券は価格が変動するため、分け方によっては不公平感が生じやすく、売却して現金化したうえで分配する方法がとられることもあります。
株式の相続手続き|上場株・非上場株の違いと必要書類・注意点を専門家が解説

まとめ|遺言書がない場合は早めの対応が重要
遺言書がない場合、相続手続きは自動的に進むものではなく、相続人全員での遺産分割協議が必要になります。
その過程では、
・相続人の確定
・相続財産の把握
・遺産分割協議の実施
・遺産分割協議書の作成
といった多くの手続きを進める必要があります。
また、相続登記(3年以内)や相続税申告(10か月以内)といった期限もあるため、放置することでリスクが高まる可能性もあります。
特に、時間が経過すると、相続人の状況や考え方が変化し、当初よりも合意が難しくなるケースも少なくありません。
そのため、遺言書がないと分かった段階で、状況を整理し、できるだけ早く対応を進めることが重要です。
なお、遺産分割協議書の作成や戸籍収集などは、専門家に依頼することも可能です。
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→ ご希望に応じて、最適なプランをご提案。無理な営業は一切しません。
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✅ ご相談方法(選べます!)
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 📞 電話相談 | お急ぎの方や対面が難しい方におすすめ |
| 🖥 オンライン相談 | ご自宅から安心して相談できます(Zoom対応) |
| 🏠 訪問相談 | ご高齢の方、外出が難しい方のために訪問も可 |
✅ 行政書士プロフィール
特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)
- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
- メッセージ:
「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」
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