遺言書がある場合の相続登記のすべて:必要書類・流れ・専門家の活用法まで完全ガイド

目次

はじめに|遺言書がある相続登記、何が違うの?

相続登記は、不動産を相続した際に名義を変更するための重要な手続きです。

これまで「放置しても罰則なし」とされてきたこの登記が、2024年4月から義務化され、「遺産を受け継いだら必ず登記する」というルールに変わりました。

では、もし被相続人が遺言書を遺していた場合、この登記手続きはどうなるのでしょうか?


「遺言書があるからスムーズに進むはず」「書いてあるとおりにすればいいだけでしょ」と思っている方も多いかもしれません。しかし実際には、「遺言書の種類によっては追加の手続き(検認など)が必要になる」「書かれている内容があいまいだと登記ができないことがある」といった落とし穴も少なくありません。

一方で、遺言書を上手に活用すれば、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)を省略できたり、相続登記をスムーズに進められたりするという大きなメリットもあります。

本記事では、以下のような疑問に答えます

  • 「遺言書がある場合、相続登記って何をすればいいの?」
  • 「必要書類はどう違う? 公正証書と自筆証書の違いは?」
  • 「2024年の登記義務化って、どこに注意すればいいの?」
  • 「行政書士などの専門家には、いつ・どこで相談すべき?」

相続登記をしっかり済ませることは、大切な不動産を守り、次の世代にスムーズに引き継ぐための第一歩です。
この記事を読むことで、「今自分が何をすべきか」が明確になり、安心して手続きを始めることができるようになります。

それでは、順を追ってわかりやすく解説していきます!

本記事は行政書士の立場で記載しております。なるべく正しい情報を掲載するように努めておりますが、相続登記に関しては司法書士が専門の領域となります。司法書士にご依頼いただく際に、詳細を確認いただければと思います。

相続登記の義務化|なぜ今すぐ動く必要があるのか?

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。

これまでは「相続登記はしてもしなくても罰則なし」とされ、何年も名義変更されず放置された不動産が全国に多数存在していました。

しかしそれが、今では相続したら原則3年以内に登記しなければならないというルールに変わったのです。

なぜ相続登記が義務化されたのか?

背景には、「所有者不明土地問題」の深刻化があります。

相続登記をしないまま長年放置されてきた土地は、持ち主が誰なのか分からなくなり、売買・開発・公共事業などに大きな支障をきたすようになっていました。

法務省によると、全国の土地の約2割が所有者不明状態になっており、その経済的損失は数兆円にのぼるとも言われています。この問題を根本的に解決するため、登記の義務化が導入されたのです。

義務化の内容と具体的なルール

対象となるのは?

  • 2024年4月1日以降に相続が発生した不動産
  • それ以前の相続も、過去分として義務の対象になることがある

登記の期限は?

  • 相続を知った日から3年以内
  • 例:2025年5月に相続を知った場合 → 2028年5月までに登記申請

正当な理由なく怠った場合の罰則は?

過料最大10万円

この「過料」は刑罰ではありませんが、行政から正式に科されるペナルティです。登記を放置しているだけで課される可能性があるため、特に注意が必要です。

「うちは遺言書があるから大丈夫」…とは限らない!

「うちは遺言書があるから、急がなくても大丈夫でしょ?」

そう思っている方も多いですが、実は遺言書がある場合でも登記義務は変わりません。

むしろ、「自筆証書遺言で検認が必要」「書類が不足している」などの理由で手続きが遅れがちになるケースもあります。

だからこそ、遺言書の内容や種類に応じて、早めに準備を始めることが重要なのです。

今すぐ動くべき理由を整理

理由内容
登記義務化相続後3年以内に手続きをしないと過料のリスクあり
放置の代償売却・名義変更ができず、他の相続人にも迷惑がかかる
書類準備に時間遺言書の種類・状況により、意外と時間がかかる場合も
トラブル防止早めの登記が、将来的な相続トラブルを防ぐ鍵

相続登記の義務化は、「いずれやればいい」から「やらなければいけない」に変わった大きな転換点です。

特に遺言書がある場合でも油断せず、次のステップへしっかり進めていきましょう!

遺言書がある場合の相続登記の全体の流れ

「遺言書があるから相続登記も簡単だろう」と思われがちですが、実際には遺言書の種類や内容によって必要な手続きや書類が異なるため、注意が必要です。

特に、自筆証書遺言は「検認」という裁判所の手続きを経なければならないケースがあり、準備に時間がかかることもあります。ここでは、遺言書があるケースでの相続登記の流れを、ステップごとにわかりやすく解説します。

ステップ①:遺言書の有無・種類を確認する

まず最初に行うべきは、「そもそも遺言書があるのか?」を確認することです。

見つかった場合は、その遺言書がどの種類にあたるかで、今後の流れが変わります。

遺言書の種類概要検認の要否
公正証書遺言公証役場で作成される正式な遺言書不要
自筆証書遺言自分で書いて封印する遺言書必要(※2020年以降の法務局保管分は不要)
秘密証書遺言公証役場で封印だけしてもらうタイプ必要(ただし稀)

※「検認」とは…家庭裁判所が遺言書の存在と内容を確認し、正式に効力を認める手続きのこと。

ステップ②:登記に必要な書類を揃える

遺言書の種類が判明したら、登記に向けた必要書類の収集に移ります。

この内容は後述の第5セクション「必要書類の一覧」で詳しく解説しますが、ここでは流れとして押さえておきましょう。

主な必要書類(一例)

  • 被相続人の戸籍一式(出生から死亡まで)
  • 相続人の戸籍・住民票
  • 遺言書(原本または謄本)
  • 検認済証明書(※自筆証書の場合)
  • 不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書 など

ステップ③:登記申請書を作成する

書類が揃ったら、法務局へ提出する「登記申請書」を作成します。

申請書には、以下の情報を正確に記載する必要があります。

  • 不動産の所在・地番・種類・面積
  • 相続人の氏名・住所
  • 遺言に基づく所有権移転の内容(遺贈の場合の記載方法も)

※登記原因としては「相続」または「遺贈(包括・特定)」と記載します。ここは専門的な知識が求められるポイントなので、司法書士などへの相談が有効です。

ステップ④:法務局へ登記を申請する

申請書と必要書類をまとめて、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。

提出方法は以下の3通りです。

  • ①窓口に直接提出する
  • ②郵送で提出する
  • ③オンライン申請(法務省の登記ねっと)

登記が完了すると、法務局から登記識別情報(いわゆる「登記済証」)が発行されます。

遺言書がある場合の登記の特徴

  • 【メリット】
     → 遺言の内容によっては相続人全員の同意が不要になる
     → 遺産分割協議を省略でき、スムーズに進む場合がある
  • 【注意点】
     → 自筆証書遺言は「検認」が必要なため、すぐには登記できない
     → 遺言書の文言があいまいだと、登記官に拒否される可能性もある

遺言書の有無・種類によって、登記までにかかる時間も労力も大きく変わってきます。

「どのタイミングで誰に相談すべきか」を判断するためにも、ここまでの流れをきちんと把握しておくことが大切です。

遺言書の種類と登記手続きの違い【公正証書/自筆証書】

遺言書がある場合の相続登記は、その「遺言書の種類」によって、必要な手続き・書類・所要時間が大きく変わります。

このセクションでは、特に利用されることの多い「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の違いを中心に、登記実務にどう影響するのかを詳しく解説していきます。

公正証書遺言とは?|信頼性と実務面でのメリット

公正証書は、公証役場で公証人の立ち会いのもと作成される遺言書です。

特徴とメリット

  • 原本は公証役場に保管されており、偽造・改ざんのリスクが低い
  • 家庭裁判所による「検認」が不要
  • 内容の法的チェックを公証人が行うため、無効になるリスクが少ない
  • 登記申請時には、「公正証書遺言の謄本(原本証明付き)」を添付するだけでよい

登記手続きでの扱い

登記申請では、「遺贈」や「相続」といった登記原因を公正証書に基づいて記載します。

多くの場合、相続人全員の同意(遺産分割協議書)が不要になるため、スムーズに手続きが進みます。

自筆証書遺言とは?|手軽さと手間のバランス

自筆証書遺言は、被相続人が手書きで作成する最も一般的な遺言形式です。

法的要件を満たしていれば費用をかけずに作成できる反面、注意すべき点も多いです。

特徴と注意点

  • 自筆で全文を書く必要がある(財産目録はパソコン作成も可)
  • 原則として、家庭裁判所で「検認」手続きを受けなければ登記に使えない
  • 誤字脱字や不明確な表現があると、法的に無効になる可能性あり
  • 検認後は「検認済証明書」の提出が必須となる

登記手続きでの扱い

自筆証書遺言を使用する場合は、次の手順が必要になります。

  1. 家庭裁判所で遺言書の検認手続き
  2. 検認済証明書を取得
  3. 登記申請書とともに提出(検認済み遺言書の写しも必要)

※検認手続きには1〜2ヶ月程度かかることもあるため、早めの対応が重要です。

2020年以降の制度改正:「法務局保管制度」によるメリット

2020年7月からは、自筆証書遺言を法務局で事前に保管できる制度が始まりました。

この制度を利用すれば、以下のメリットがあります。

  • 保管された遺言書は検認が不要(→登記手続きが早くなる)
  • 法務局によって形式面のチェックが入るため、形式不備のリスクが減る

つまり、「手軽さ」と「信頼性」のバランスを取りたい方には有力な選択肢です。

まとめ:遺言書の種類による登記手続きの違い

項目公正証書遺言自筆証書遺言(保管制度なし)自筆証書遺言(法務局保管)
検認の要否不要必要不要
書類の整備公証人が関与し整っている書式不備が起こりやすい保管時に形式確認あり
登記のしやすさ非常にスムーズ検認に時間がかかる比較的スムーズ
費用公証役場の手数料ありほぼゼロ円保管手数料(3,900円)

遺言書の選び方や保管方法によって、相続登記にかかる時間や手間が大きく変わります。

すでに遺言書がある場合は、「どの種類なのか」「検認が必要かどうか」をまず確認し、早めの準備を心がけましょう。

ケース別!必要書類を一覧で整理(チェックリスト付き)

遺言書がある場合でも、相続登記に必要な書類は決して少なくありません。

しかも、遺言書の種類や内容によって、揃えるべき書類が異なります。

このセクションでは、よくある3つのケースに分けて、必要な書類を一覧で整理します。最後には、実際の登記準備に役立つ「チェックリスト」もご用意しました!

共通して必要な書類(全ケース共通)

まずは、遺言書の種類に関わらず必要になる書類です。

書類名説明
被相続人の戸籍謄本(出生~死亡まで)相続関係を証明するために必要
被相続人の住民票の除票最終住所と死亡の確認のため
不動産の固定資産評価証明書登録免許税の計算に必要
不動産の登記事項証明書登記簿の内容を確認するため(コピー可)

ケース①:公正証書遺言がある場合

このケースは最もスムーズに進むパターンです。検認が不要で、基本的には遺言内容に従って登記が可能です。

書類名説明
公正証書遺言の謄本(原本証明付き)登記原因を示す主な根拠書類
相続人の戸籍謄本相続人の確認のため(遺贈先が相続人の場合)
相続人の住民票登記名義人として記載される情報
登記申請書所有権移転登記の申請に必要

ケース②:自筆証書遺言(法務局保管なし)+検認済み

このケースは、家庭裁判所の検認手続きが必要です。検認が終わったら「検認済証明書」を取得し、それを登記に使用します。

書類名説明
自筆証書遺言(検認済)検認印のある原本または写しを使用
検認済証明書検認が完了したことを示す裁判所の証明書
相続人の戸籍・住民票登記名義人の情報として必要
登記申請書所有権移転登記の申請用

※検認手続きには申立書や被相続人・相続人の戸籍など、さらに多くの書類が必要となります。

ケース③:遺言執行者が指定されている場合

遺言により「遺言執行者」が指定されていると、基本的にはその人が登記手続きの申請者になります。

書類名説明
遺言書(種類に応じて)公正証書 or 検認済みの自筆証書など
遺言執行者の選任書(または就任届)遺言執行者であることの証明
遺言執行者の印鑑証明書・住民票登記簿に記載される本人確認資料
被相続人・相続人の戸籍関係書類通常通り必要
登記申請書執行者が申請人となる記載が必要

※執行者の選任が争点になるケースでは、家庭裁判所への申立てが必要なこともあります。


実用チェックリスト(印刷して使える形式)

【□】 被相続人の戸籍(出生〜死亡まで)  
【□】 被相続人の住民票の除票
【□】 相続人の戸籍謄本
【□】 相続人の住民票
【□】 固定資産評価証明書
【□】 登記事項証明書
【□】 遺言書(公正証書 or 検認済)
【□】 検認済証明書(※自筆証書遺言のみ)
【□】 遺言執行者の証明書類(該当時)
【□】 登記申請書(正確な記載必須)

行政書士・司法書士に頼るべきポイント

  • 書類が1つでも欠けていると、登記が却下されることもあります
  • 相続関係説明図や申請書の作成は、専門知識が必要
  • 書類の取得代行やチェックを依頼することで、手続きのストレスを大幅に軽減できます

書類の準備は登記手続きの最大のハードルとも言えます。

事前に必要なものを把握しておくことで、余計な手戻りやトラブルを防げます。

「この書類、本当に合ってる?」と少しでも不安を感じたら、早めに専門家へ相談するのが安心です。

よくあるミス・トラブルとその対策

遺言書を利用した相続登記では、以下のようなトラブルが発生することがあります。

遺言書があることで「スムーズに登記ができる」と思われがちですが、実際には思わぬところで手続きがストップするケースが少なくありません。

このセクションでは、実務でよく見られるミスやトラブルを紹介しながら、それに対する具体的な対策をご案内します。

これを事前に知っておくことで、手続きを一気にスムーズに進めることができます。

トラブル①:遺言書の内容があいまいで登記ができない

よくあるケース

  • 「長男に不動産を譲る」など、不動産の特定がされていない
  • 登記簿の記載と一致しない表現(例:住所表記 vs 地番)

対策

  • 地番・地目・地積など、登記事項に準じた表現が必要
  • 曖昧な遺言書を使う場合は、補足書類や専門家の意見書が必要になることも

※公正証書遺言の場合でも、表現が甘いと登記官に問い合わせされることがあります。

トラブル②:自筆証書遺言の「検認」を飛ばしてしまう

よくあるケース

  • 遺言書があるのに、検認の必要性を知らず、そのまま法務局に申請
  • 登記官に「検認済証明書がない」と却下される

対策

  • 自筆証書遺言は必ず家庭裁判所で検認を受ける
  • 法務局での登記申請は、検認済証明書が揃ってからでないと受け付けてもらえません

トラブル③:必要な戸籍が揃っていない

▪よくあるケース

  • 被相続人の「出生から死亡までの戸籍」が途中抜けている
  • 転籍が多く、戸籍の取得漏れが発生

対策

  • 戸籍は「改製原戸籍」「除籍謄本」「戸籍謄本」の3種を必要に応じて揃える
  • 本籍が異なる場合は、各地の役所から取り寄せる必要あり
  • 必要であれば、行政書士に収集を依頼することも検討を

トラブル④:登記原因の選定ミス

よくあるケース

  • 「相続」と記載すべきところを「遺贈」と誤って申請
  • 結果、申請却下や修正依頼が発生し、手続きが長引く

対策

  • 「相続」か「遺贈」かは、遺言書の内容により判断する必要あり
     → 「包括的に相続させる」→相続
     → 「不動産を与える」→遺贈(特定遺贈)

登記原因の書き方は非常に繊細で、判断に迷う場合は専門家のチェックが必須です。

トラブル⑤:相続人間のコミュニケーション不足

よくあるケース

  • 「遺言書があるから黙って進められる」と思いきや、他の相続人から異議が出る
  • 遺言書の存在を共有しなかったため、トラブルが悪化

対策

  • 登記に必要なくても、遺言書の内容を事前に相続人へ説明しておくのが理想
  • 不信感を生まないためにも、中立な立場の専門家に立ち会ってもらうのが効果的

まとめ:ミス・トラブルを防ぐために必要なこと

予防ポイント解説
遺言書のチェック不動産の記載内容・登記原因をしっかり確認
書類の事前確認検認が必要か、戸籍に漏れはないかを見直す
手続きの順番登記申請は、すべての書類が整ってから
相談のタイミング疑問がある時点で、早めに専門家へ相談する

登記のやり直しや却下は、時間的にも精神的にも大きな負担になります。

この記事で紹介したミス・トラブル事例を参考に、確実な手続きを進めていきましょう!

専門家に相談するメリットとは?

相続登記の手続きは一見シンプルに見えて、実際には戸籍の取得、書類の整合性、登記原因の判断など、複数の法律的な要素が絡み合っています。

特に「遺言書があるケース」では、

  • 遺言の内容が登記に適しているか
  • 検認や遺言執行者の関与が必要か
  • 書類の不備が登記却下につながらないか

といった、判断を間違えやすいポイントが多く存在します。

そんな中、専門家のサポートを得ることで、次のようなメリットがあります。

専門家とは誰のこと?

相続登記に関わる主な専門家は、以下のとおりです。

専門家主な業務内容
司法書士登記申請書の作成・代理提出、不動産登記の専門職
行政書士相続関係図・遺言書作成サポート・戸籍収集など
弁護士相続争いの対応・遺言の有効性など法的トラブルへの対応
税理士相続税の申告・節税対策の相談

相続登記の「申請代理」は司法書士のみが可能です。

メリット①:書類不備・手戻りを防げる

遺言書がある場合でも、内容の曖昧さや戸籍の不足で登記が却下されることがあります。

専門家に依頼すれば、

  • 書類のチェック
  • 相続関係説明図の作成
  • 申請書の正確な記載

などを代行またはサポートしてくれるため、「提出したけどダメだった…」という無駄を防げます。

メリット②:「この場合は相続?遺贈?」など判断を任せられる

遺言書の文言が「長男に全財産を相続させる」なのか「与える」なのかで、登記原因が「相続」になるか「遺贈」になるかが変わります。

この違いは、申請書の書き方や添付書類に直結し、間違えると修正や却下の原因に。
専門家なら、文言の解釈と正しい登記原因の設定を的確に行ってくれます。

メリット③:相続人同士の調整役にもなれる

「遺言書があるけど、他の相続人が納得していない」、「一部の財産は遺言がなくて話し合いが必要」…という場合、相続人同士でのやり取りがストレスになることもあります。

行政書士や司法書士に間に入ってもらえば、感情的な対立を避けながら、公平な立場で調整してくれることもあります。

メリット④:時間・精神的負担の軽減

相続登記の準備には、役所・法務局・家庭裁判所など複数の機関を回る必要があります。

平日に時間を取れない方や、遠方の手続きが必要な方にとっては大きな負担です。

専門家に依頼すれば、

  • 戸籍・証明書の取得代行
  • 書類作成・提出代行
  • 不足書類のチェックと追加指示

といった工程を丸ごとサポートしてもらえるため、安心して進められます。

費用の目安は?

費用はケースによって異なりますが、あくまで目安として以下のような相場があります:

サービス相場感(税抜)
戸籍収集(行政書士)2万〜5万円程度
登記申請代行(司法書士)5万〜10万円+登録免許税
相続関係図の作成1万〜3万円程度
遺言書作成サポート3万〜10万円程度(公正証書なら別途手数料)

※正確な見積もりは、個別の状況(不動産の数、遺言の内容、相続人の人数)によって変動します。

「自分でやる」か「専門家に任せる」か迷ったら

以下のような方は、早めに専門家への相談を検討すると安心です:

  • 戸籍や書類の読み方がよく分からない
  • 書類を集める時間がない
  • 遺言書の表現がわかりにくい
  • 他の相続人と関係がぎくしゃくしている
  • なるべく早く手続きを終わらせたい

専門家の関与によって、「不安を自信に」「面倒を安心に」変えることができます。

登記義務化が進む今だからこそ、無理をせず、確実でスムーズな方法を選ぶことが大切です。

よくある質問(FAQ)|遺言書がある相続登記

Q1. 遺言書があれば相続登記はしなくてもいいのですか?

A.いいえ、遺言書があっても相続登記は必須です。

2024年4月からは、相続によって不動産を取得した場合、3年以内に相続登記を行う義務があります。遺言書は手続きをスムーズに進めるための書類であり、登記そのものを免除するものではありません。

Q2. 公正証書遺言と自筆証書遺言では登記の手続きがどう違いますか?

A.公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要で、そのまま登記に使用できます。

一方、自筆証書遺言は原則として検認手続きが必要で、これを済ませてからでないと登記できません。

2020年7月以降、法務局保管制度を利用した場合は検認不要

Q3. 自筆証書遺言しかない場合、まず何をすればいいですか?

A.まずは、家庭裁判所に「検認の申立て」を行いましょう。

必要な書類(戸籍、遺言書原本、申立書など)を揃えて手続きし、検認済証明書を取得することが登記の第一歩になります。

Q4. 登記に必要な書類は誰が集めるのですか?

A.基本的には登記申請を行う人(相続人本人または遺言執行者)が集めます。

ただし、行政書士や司法書士に依頼すれば、戸籍の収集や評価証明書の取得も代行してもらえます。時間や手間を考えると、専門家に依頼するのも有効です。

Q5. 「遺贈」と「相続」はどう違いますか?登記上の影響はありますか?

A.「相続」は法律に基づいて遺産を受け継ぐことで、相続人が対象です。

「遺贈」は、遺言書によって特定の人に財産を与える行為で、受遺者が相続人でない場合もあり得ます。

登記申請時には、「相続による所有権移転」か「遺贈による所有権移転」かで、申請書の記載内容や添付書類が異なります。間違えると登記却下のリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

Q6. 遺言執行者がいる場合、自分で登記できないのですか?

A.遺言書で遺言執行者が指定されている場合、原則としてその執行者が登記申請を行います。
相続人が勝手に登記申請をすると、無効になる場合もあるため注意が必要です。

Q7. 相続登記をしないまま放置するとどうなりますか?

A.2024年4月以降は、正当な理由なく相続登記を行わなかった場合、最大10万円の過料(罰金)が科される可能性があります。

また、登記を放置することで不動産の売却・担保設定などができず、相続人間のトラブルの原因にもなりかねません。

Q8. 自分で相続登記をしてみようと思うのですが難しいですか?

A.不可能ではありませんが、必要書類の読み解き・記載内容の判断・登記原因の選定など、専門知識が必要な場面も多くあります。

1つのミスで登記が却下されることもあるため、不安な方や時間のない方は専門家に相談するのが安心です。

Q9. 専門家に頼むと費用はどのくらいかかりますか?

A.ケースによって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです:

サービス内容費用相場(税抜)
戸籍収集(行政書士)2万〜5万円前後
登記申請代行(司法書士)5万〜10万円+登録免許税
相続関係説明図の作成1万〜3万円程度

正式な見積もりは状況によって変動するため、無料相談などで事前確認するのがベストです。

Q10. 遺言書が複数見つかった場合はどうすればいいですか?

A.複数の遺言書がある場合、もっとも新しい日付のものが有効です。

ただし、形式や法的要件を満たしていない遺言書が混在していることもあるため、専門家に内容を確認してもらうことをおすすめします。

まとめ|今できることから始めよう

相続登記は、単なる「名義変更」ではありません。


それは、大切な不動産の権利を正式に継承し、次世代へとつなぐための法的な一歩です。

そして、2024年4月の法改正により、その一歩は「やってもやらなくてもいい手続き」から、「必ずやるべき義務」へと変わりました。

この記事で学んだことをふりかえりましょう

  • 相続登記は原則3年以内に義務化された
     → 放置すると最大10万円の過料も
  • 遺言書がある場合も、登記は必要
     → 公正証書か自筆かで必要な手続きが変わる
  • 自筆証書遺言は検認が必須(法務局保管除く)
     → 早めの準備が肝心
  • ケース別に必要書類を整理することが成功の鍵
     → チェックリストを活用して抜け漏れを防ぐ
  • 登記をスムーズに進めるには、専門家の力を借りるのが近道
     → 書類の不備・判断ミスをプロがカバー

「登記はいつかやろう」ではなく、「今、動けることから始めよう」

相続登記には「戸籍を揃えるだけでも時間がかかる」「登記申請書が複雑」など、準備に思った以上の時間と労力が必要です。

ですが、今日からできる小さなアクションが、スムーズな登記完了への大きな一歩になります。

今できる3つのアクション

  1. 遺言書の内容と種類を確認する
     → 公正証書?自筆?検認は必要?
  2. 必要書類をチェックリストで整理する
     → 取得に時間がかかる戸籍から動くのが◎
  3. 「一人で不安」と感じたら専門家に相談する
     → 無料相談や初回ヒアリングを活用!

専門家と一緒に「確実な登記」を実現しましょう

相続登記を後回しにした結果、

  • 「いざ売ろうとしたら登記されていなかった」
  • 「他の相続人との関係がこじれてしまった」

…という後悔は少なくありません。

だからこそ、この記事をきっかけに、「今のうちにやっておこう」という行動に変えていただけたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
大切な不動産を守るために、そして家族の未来のために、今すぐできることから始めてみてください。