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故人の銀行口座はどうなる?原則凍結・引き出しNGの理由と正しい手続き完全ガイド

2025年3月9日2026年3月24日

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故人の銀行口座について、「凍結されるの?」「お金は引き出せるの?」と不安に感じていませんか。

家族が亡くなった直後は、葬儀や各種手続きに追われる中で、預金の扱いについても早急に判断を迫られる場面が少なくありません。しかし、知識がないまま対応してしまうと、後から相続トラブルに発展してしまう可能性もあります。

実際の現場でも、「良かれと思って引き出したことが原因で揉めてしまった」というケースは非常に多く見られます。

まずは結論から確認しておきましょう。

【結論|故人の銀行口座のポイント】

  • 故人の銀行口座は、死亡の事実が銀行に伝わると原則凍結される
  • 凍結前でも、勝手な引き出しはトラブルの原因になる可能性が高い
  • 預金は相続人全員の共有財産のため、自己判断での引き出しはNG
  • お金が必要な場合は、仮払い制度など正規の方法で対応可能
  • 正しい手続きを踏めば、預金は問題なく払い戻しできる
故人の銀行口座の手続きに困り、通帳や書類を見ながら悩む家族の様子

【こんな方は要注意】

  • 故人の口座からお金を引き出そうとしている
  • すでに引き出してしまって不安がある
  • 家族間でトラブルになりそう

この記事では、行政書士としての実務経験をもとに、

  • 故人の銀行口座はどうなるのか
  • 引き出しは可能なのか
  • やってはいけない行動と正しい手続き

を初心者の方にも分かりやすく解説します。

「何をすればいいのか分からない」という状態から、「まず何をすべきか」が明確になる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  • 1. 口座が凍結されるタイミング
    • なぜ口座は凍結されるのか
    • 銀行はどうやって死亡を知るのか?
    • 口座凍結のタイミングはいつ?
    • 凍結されたら何ができなくなる?
    • 凍結前なら引き出してもいいのか?
  • 2. 故人の口座からお金を引き出すことはできる?
    • 原則として自由に引き出すことはできない
    • 相続手続きをすれば払い戻しは可能
    • 仮払い制度とは(葬儀費用などに対応)
    • 出金できる金額の具体例で確認してみましょう
    • 仮払い制度を利用する際の注意点(行政書士の実務視点)
  • 3. 勝手に引き出すとどうなる?【実務で多いトラブル】
    • 法的なリスク(不当利得・返還請求など)
    • 家族間で揉めるケース(実務で非常に多い)
    • 実際にあったトラブル事例(行政書士視点)
    • 行政書士としての実務アドバイス
  • 4. 故人の銀行口座の手続きの流れ【初心者でも迷わない】
    • 手続きの全体像(まずはここを押さえる)
    • まずやるべきこと(初動で差がつくポイント)
    • 銀行に連絡するタイミング
    • 必要書類一覧(ここが一番つまずく)
    • 手続き完了までの期間
    • スムーズに進めるための実務ポイント
  • 5. 銀行ごとの対応の違いと注意点(実務ポイント)
    • 銀行によって対応はどこが違うのか?
    • 金融機関ごとの違い
    • 解約・払戻しの流れ
    • 払戻しの注意点
    • よくある詰まりポイント(現場で多いミス)
    • スムーズに進めるためのコツ(行政書士の実務視点)
    • 実務的な結論
  • 7. 口座凍結後に必要な手続きとは?
    • 相続人の確定と戸籍の収集
    • 遺言書の有無を確認
  • 相続しないとどうなる?|放置した口座と休眠預金のリスク
    • 「休眠預金」制度とは?
    • 口座を放置するリスク
  • 8. 行政書士に依頼するメリットとは?
    • 行政書士の主な対応業務
    • 依頼することで得られる安心
  • 9. よくある質問(Q&A)
    • Q.死亡後すぐに口座は凍結されますか?
    • Q.暗証番号が分かれば引き出してもいいですか?
    • Q.葬儀費用はどうやって支払えばいいですか?
    • Q.相続放棄する場合、口座はどうなりますか?
    • Q.複数の銀行口座がある場合はどうすればいいですか?
    • Q.手続きは自分でできますか?専門家に依頼すべきですか?
  • 10. まとめ|故人の口座は正しい手続きで対応すれば問題ありません
    • やってはいけないこと
    • まずやるべきこと
    • 迷ったら早めの相談が重要
    • 最後に
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1. 口座が凍結されるタイミング

銀行口座が凍結され、通帳とキャッシュカードにロックがかかっているイメージ

結論からいうと、故人の銀行口座は金融機関が死亡の事実を把握した時点で凍結されます。

具体的には、

  • 家族が銀行に死亡の連絡をしたとき
  • 新聞の訃報などで銀行が把握したとき

などがきっかけになります。

凍結されると、その口座は相続手続きが完了するまで、原則として入出金ができなくなります。

なぜ口座は凍結されるのか

口座が凍結される理由は、相続人間のトラブルを防ぐためです。

故人の預金は、亡くなった時点で特定の人のものではなく、相続人全員の共有財産となります。

そのため、誰か一人が自由に引き出せてしまう状態だと、

  • 勝手に使い込まれる
  • 相続人間で不公平が生じる

といった問題が起きる可能性があります。

こうしたトラブルを防ぐために、銀行は口座を凍結し、正式な相続手続きを経たうえで払い戻しを行う仕組みになっています。

銀行はどうやって死亡を知るのか?

多くの方が疑問に思うのが、「銀行はどのようにして故人の死亡を知るのか?」という点です。実は、次のようなルートで死亡の情報が銀行に伝わることがあります。

  • 遺族が死亡届の提出や口座の手続きのために連絡した場合
  • 戸籍や住民票データが公的機関から銀行に伝達される場合
  • 他の金融機関や信用情報機関経由で判明する場合
  • 新聞のお悔やみ欄や訃報、信用調査会社から情報を得る場合

金融機関によっては、定期的に個人情報を照会し、死亡の有無をチェックしていることもあります。

口座凍結のタイミングはいつ?

銀行が故人の死亡を把握した瞬間、口座は原則として即座に凍結されます。

凍結とは、その口座に対して一切の取引(入出金・振込・引き落としなど)ができなくなる措置です。

これには以下のような目的があります。

  • 第三者による不正引き出しを防ぐため
  • 相続人間でのトラブルを未然に防ぐため
  • 相続財産の保全を図るため

つまり、口座凍結は「遺族の不利益になる」のではなく、「相続人全員の公平性を守るため」の措置といえるのです。

凍結されたら何ができなくなる?

口座が凍結されると、以下のような機能が停止します。

項目凍結後の扱い
ATMでの引き出し利用不可
クレジットカード引き落とし原則停止(未払いは別対応)
公共料金の自動振替停止
年金の受け取り口座支払い元に返戻される
通帳記帳・Web明細の確認一部銀行では不可になることも

とくに、故人の生活費口座や支払い用口座が凍結されている場合、残された配偶者の生活にも支障が出かねません。したがって、相続開始後はできるだけ早く手続きに移ることが重要です。

凍結前なら引き出してもいいのか?

「まだ凍結されていないなら、今のうちに引き出しても大丈夫なのでは?」と考える方も少なくありません。

しかし、これは注意が必要です。

たとえ凍結前であっても、故人の預金はすでに相続財産です。そのため、一部の相続人が無断で引き出すと、後からトラブルになる可能性が高いといえます。

実務上も、

  • 他の相続人から使い込みを疑われる
  • 遺産分割で問題になる
  • 返還を求められる

といったケースは非常に多く見られます。

この点については、後ほど「トラブル事例」で詳しく解説します。

相続で銀行口座が凍結されたら?解除方法・必要書類・期間を徹底解説【専門家監修】

2. 故人の口座からお金を引き出すことはできる?

原則として自由に引き出すことはできない

故人の銀行口座からの預金は、原則として自由に引き出すことはできません。

その理由は、前述のとおり、預金が相続開始と同時に相続人全員の共有財産になるためです。

たとえ配偶者や同居していた家族であっても、単独の判断で引き出すことはできず、相続人全員の同意が必要になります。

また、銀行口座が凍結されている場合はもちろん、凍結前であっても同様に注意が必要です。

「家族だから問題ない」という認識で動いてしまうと、後からトラブルになるケースが非常に多いためです。

相続手続きをすれば払い戻しは可能

では、まったく引き出せないのかというと、そうではありません。

正しい相続手続きを行えば、預金の払い戻しは可能です。

一般的な流れは以下のとおりです。

  • 相続人を確定する(戸籍の収集など)
  • 遺産分割協議を行う
  • 遺産分割協議書を作成する
  • 金融機関で所定の手続きを行う

これらの手続きを経ることで、はじめて銀行は預金の払い戻しに応じます。

ここで重要なのは、「誰がどれだけ受け取るか」を明確にすることです。

この点が曖昧なままだと、金融機関の手続きも進まないため注意が必要です。

仮払い制度とは(葬儀費用などに対応)

「手続きが終わるまで待てない」「すぐにお金が必要」という場合もあるでしょう。

そのようなときに利用できるのが、預金の仮払い制度です。

これは、一定の条件を満たすことで、遺産分割が完了していなくても、相続人単独で一定額まで引き出せる制度です。

引き出せる金額の上限は、原則として以下の計算式で決まります。

死亡時預金残高 × 1/3 × 法定相続分
(※上限150万円)

この制度を利用することで、

  • 葬儀費用
  • 当面の生活費
  • 緊急の支出

などに対応することができます。

行政書士の視点
預貯金仮払い制度は2019年7月から開始されています。
上記のルールは、金融機関ごとに適用されますので、複数の預金口座があった場合にはその分出金可能な金額が増える可能性があります。

出金できる金額の具体例で確認してみましょう

実際にどの程度の金額を引き出せるのか、ケースを使って整理してみます。
ここでは、相続人が「配偶者(妻)と子ども2人」のケースを想定します。

預金状況

  • A銀行:1,200万円
  • B銀行:300万円

この場合の法定相続分は次の通りです。

  • 妻:1/2
  • 子ども:各1/4ずつ

A銀行で引き出せる金額

まずはA銀行(1,200万円)から見ていきます。

・妻の場合

計算式は以下の通りです。
1,200万円 × 1/2 × 1/3 = 200万円

ただし、仮払い制度では上限が150万円とされているため、
実際に引き出せるのは「150万円」となります。

・子どもの場合

1,200万円 × 1/4 × 1/3 = 100万円

こちらは上限150万円を下回るため、
「100万円」まで引き出し可能です。

B銀行で引き出せる金額

次にB銀行(300万円)のケースです。

・妻の場合

300万円 × 1/2 × 1/3 = 50万円

上限以内のため、そのまま「50万円」引き出せます。

・子どもの場合

300万円 × 1/4 × 1/3 = 25万円

「25万円」が引き出し可能額となります。

各相続人が引き出せる合計額

・妻の合計

A銀行:150万円
B銀行:50万円

👉 合計「200万円」

・子ども1人あたり

A銀行:100万円
B銀行:25万円

合計「125万円」

子どもは2人いるため、
それぞれが「125万円ずつ」引き出すことができます。

全体で引き出せる金額

すべての相続人分を合計すると、

200万円(妻)+125万円 × 2人 = 450万円

となります。

行政書士の視点
一般的に葬儀費用は150万円〜200万円程度かかることが多いため、
この仮払い制度を利用すれば、当面の支払いには十分対応できるケースが多いといえます。
ただし、銀行ごとに運用や必要書類が異なるため、
実際に手続きを進める際には事前確認が重要です。

仮払い制度を利用する際の注意点(行政書士の実務視点)

便利な制度ではありますが、実務上はいくつか注意点があります。

まず、すべての銀行でスムーズに対応してもらえるとは限らないという点です。

金融機関によっては、

  • 必要書類が多い
  • 手続きに時間がかかる
  • 窓口担当者の理解に差がある

といったケースも見られます。

また、仮払いを受けた金額は最終的な遺産分割の対象となるため、「もらったお金」ではなく「前渡し」という位置づけになります。

そのため、後の遺産分割で調整が必要になる点にも注意が必要です。

行政書士の視点
「とりあえず預金引き出す」ではなく、「制度を使って正しく引き出す」というイメージを持って対応いただくことがトラブル回避のポイントになります。
銀行の窓口におられる方は、「預貯金仮払い制度」ご存じない可能性があり、また、銀行の支店窓口も縮小の方向に進んでいますので、銀行の窓口の方は制度を知らない前提で対応されることをお薦めします。

3. 勝手に引き出すとどうなる?【実務で多いトラブル】

故人の銀行口座からお金を引き出そうとして悩み、警告マークに注意されている人物

法的なリスク(不当利得・返還請求など)

故人の銀行口座から、他の相続人の同意なく預金を引き出した場合、法的な問題に発展する可能性があります。

代表的なのが、「不当利得」として返還を求められるケースです。

不当利得とは、
法律上の原因(正当な理由)がないのに、他人の財産や利益を受け取ってしまい、その結果として相手に損失を与えている状態をいいます。

・振込ミスでお金が入ったのに、そのまま使ってしまった
・他人の土地を無断で使って利益を得た

このような場合、受け取った側は 返さなければならない(返還義務がある) とされています。

相続開始後の預金は、相続人全員の共有財産です。そのため、一人が単独で引き出した場合、本来受け取る権利のないお金を得たと評価される可能性があります。

その結果、

  • 他の相続人から返還請求を受ける
  • 遺産分割協議がまとまらない
  • 最悪の場合、訴訟に発展する

といった事態につながることもあります。

「家族だから大丈夫」という考えは通用しない点に注意が必要です。

家族間で揉めるケース(実務で非常に多い)

実務上、最も多いのは法的トラブルよりも“感情的な対立”です。

たとえば、

  • 「勝手に引き出したのではないか」
  • 「自分だけ得をしているのではないか」
  • 「本当のことを言っていないのではないか」

といった不信感が生まれることで、相続人同士の関係が悪化します。

一度この状態になると、たとえ金額が少なくても話し合いがまとまらず、遺産分割が長期化するケースが非常に多いのが実情です。

つまり問題はお金そのものよりも、「信頼関係の崩壊」にあります。

実際にあったトラブル事例(行政書士視点)

相続手続きの現場では、“一番揉める原因の一つ”がこの口座引き出しです。

「少しだけだから大丈夫だろう」「家族のために使っただけ」という判断が、後から大きなトラブルに発展するケースは決して珍しくありません。

ケース①:善意の引き出しがきっかけで関係が悪化したケース

ご家族が亡くなった直後、葬儀費用や当面の生活費に充てるため、故人のキャッシュカードを使って預金を引き出したケースです。

本人としては正当な理由があるつもりでも、後から他の相続人に知られ、「勝手に使ったのではないか」と疑念を持たれてしまいました。

このようなケースでは、金額に関係なく不信感が一気に広がり、その後の話し合いがまとまらなくなることがあります。

実際に、これをきっかけに相続人同士の関係が悪化し、数ヶ月で終わるはずの手続きが1年以上長引いたケースもあります。

▶ どのように解決したか

このケースでは、

  • 引き出した金額と使途をすべて整理
  • 領収書などの証拠を可能な限り提示
  • 一度、引き出した金額を「相続財産に戻す」形で調整

という対応を行いました。

その結果、「全員で公平に分け直す」という形で合意に至り、手続きを進めることができました。

行政書士の視点
遺産をどのように分けるかを決めたことを証明する書類「遺産分割協議書」の作成は、行政書士の業務の一つです。

ケース②:使い込みを疑われ、訴訟寸前まで発展したケース

故人の口座から複数回にわたり現金を引き出していたものの、何に使ったのかを説明できず、他の相続人から強く追及されたケースです。

特に問題となったのは、記録や領収書が一切残っていなかった点です。

その結果、

  • 「不当利得ではないか」
  • 「返還請求すべきではないか」

という話になり、実際に弁護士を入れて協議する段階まで発展しました。

▶ どのように解決したか

最終的には弁護士が間に入り、

  • 金融機関の取引履歴を確認
  • 使用用途を可能な範囲で整理
  • 一部を「使途不明金」として相続財産に戻す

という対応を行いました。

さらに、説明がつかない部分については本人が補填することで合意し、訴訟は回避されました。

このケースのポイントは、「説明できないお金はトラブルになる」という点です。

行政書士の視点
相続人同士でトラブルになった場合、業(反復継続して)として取り組むことができるのは弁護士だけとなります。
弁護士が解決にあたると、着手金が必要で、話し合いが続く期間がそのまま費用に転嫁され、想像よりも多くの費用が必要になります。トラブルになる前に、権利主張と弁護士費用を天秤にかけてリーズナブルな判断をして欲しいものです。

ケース③:手続きが複雑化し、相続が長期化したケース

一部の相続人が預金を引き出してしまったことで、遺産の全体像が分かりにくくなり、手続きが進まなくなったケースです。

本来であればスムーズに進むはずの相続が、

  • 引き出されたお金をどう扱うか
  • すでに使われた分をどう調整するか

といった問題が加わることで、話し合いがまとまらず長期化しました。

結果として、相続完了まで1年以上かかったケースもあります。

▶ どのように解決したか

このケースでは、

  • 口座の入出金履歴をすべて洗い出す
  • 引き出し分も含めて「見える化」する
  • 遺産分割協議書に明確に反映する

という対応を行いました。

その結果、全体像が整理され、合意形成が可能になりました。

相続人同士が話し合いをして合意し、安心している家族の様子

行政書士としての実務アドバイス

これらのトラブルに共通しているのは、
「悪意がなくても、大きな問題になる」という点です。

実際には、

  • 相続人同士の関係が修復できないほど悪化する
  • 遺産分割がまとまらず長期化する
  • 金銭の返還請求や訴訟に発展する

といったケースも珍しくありません。

そのため、実務上は次の点が非常に重要です。

  • 自己判断で引き出さない
  • 必ず金融機関や専門家に相談する
  • やむを得ず支出する場合は記録・証拠を残す

そして何より大切なのは、「後から説明できる状態にしておくこと」です。

4. 故人の銀行口座の手続きの流れ【初心者でも迷わない】

故人の銀行口座の相続手続きの流れを示したフローチャート(相続人確定から銀行手続きまで)

手続きの全体像(まずはここを押さえる)

故人の銀行口座の手続きは、一見すると複雑に感じますが、全体の流れを把握すればそこまで難しいものではありません。

基本的には、次の4ステップで進みます。

相続人を確定する
必要書類を準備する
遺産分割協議を行う(遺産分割協議書を作成する)
金融機関で手続きをする

この流れを押さえておくだけでも、「何から手をつければいいか分からない」という状態は解消されます。

まずやるべきこと(初動で差がつくポイント)

実務上、「最初に何をするか」でその後のスムーズさが大きく変わります。

まず最初に行うべきは、相続人の確定です。

具体的には、

  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を収集
  • 相続人全員を洗い出す

といった作業が必要になります。

この工程が曖昧なままだと、

  • 手続きが途中で止まる
  • 書類の再提出が必要になる

といった無駄が発生しやすくなります。

実務でも、ここでつまずくケースは非常に多いです。

銀行に連絡するタイミング

「銀行にはいつ連絡すればいいのか?」という質問も多くあります。

結論としては、状況によって判断する必要があります。

すぐに連絡すべきケース

  • 不正利用のリスクがある
  • 口座状況を早く把握したい

慎重に判断すべきケース

  • 当面の支払い(葬儀費用など)に備えたい
  • 仮払い制度の利用を検討している

銀行に死亡の連絡をすると、その時点で口座が凍結される可能性が高いため、事前に全体の方針を考えておくことが重要です。

必要書類一覧(ここが一番つまずく)

金融機関での手続きには、複数の書類が必要になります。

代表的なものは以下のとおりです。

  • 被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(または遺言書)
  • 本人確認書類

ここでの注意点は、銀行ごとに細かい要件が異なることです。

例えば、

  • 戸籍の範囲が厳密に指定される
  • 書類の有効期限が異なる
  • 独自の書式が必要

といった違いがあります。

最終的には各金融機関に必要書類をお尋ねいただければと思います。

手続き完了までの期間

手続きにかかる期間はケースによって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 書類収集:1〜3週間
  • 遺産分割協議:数週間〜数ヶ月
  • 銀行手続き:1〜2週間

トータルで見ると、1ヶ月〜3ヶ月程度かかるケースが多いです。

ただし、

  • 相続人間で意見がまとまらない
  • 書類に不備がある

といった場合は、さらに長期化することもあります。

スムーズに進めるための実務ポイント

実務の現場で感じる「スムーズに進む人」と「止まる人」の違いは明確です。

ポイントは以下の3つです。

  • 最初に全体像を理解する
  • 書類をまとめて準備する
  • 不明点は早めに金融機関へ確認する

特に重要なのは、「自己判断で進めないこと」です。

銀行ごとにルールが異なるため、「たぶん大丈夫だろう」で進めると、後からやり直しになるケースが非常に多いです。

結果として、時間も手間も余計にかかってしまいます。

行政書士の視点
後々の「遺産分割協議書」に記載する上でも、どこの銀行に口座があるか、残高がいくらかをあらかじめ確認する必要があります。
各種問い合わせを代行してくれる行政書士もおりますので、お気軽にご要望お願いいたします。

5. 銀行ごとの対応の違いと注意点(実務ポイント)

銀行によって対応はどこが違うのか?

故人の銀行口座の手続きは、基本的な流れは共通していますが、金融機関ごとに細かい対応が異なります。

実務上、特に違いが出やすいのは以下の点です。

  • 必要書類の範囲(戸籍の取り方など)
  • 書類の有効期限(印鑑証明書など)
  • 遺産分割協議書の書式
  • 手続きにかかる期間
  • 窓口対応の柔軟さ

同じ内容でも、銀行によって「OKになるケース」と「やり直しになるケース」があるのが実情です。

金融機関ごとの違い

以下に、主要な金融機関の特徴を簡単にまとめます。

銀行種別特徴
メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)支店が多く、相続専門窓口あり。対応は丁寧だが手続きは厳格。
地方銀行地域密着型。支店で完結するケースが多い。職員の裁量で融通が利くことも。
ゆうちょ銀行郵便局窓口対応が多く、書類の記入量が多め。
ネット銀行書類提出が郵送対応のみ。スピードは遅めだが、自宅で完結可能。

解約・払戻しの流れ

実際の手続きの流れは以下の通りです。

  1. 各銀行に連絡し、必要書類一式を確認
     多くの銀行では、相続専用ダイヤルやサポート窓口があります。
  2. 相続届・戸籍などを提出
     各種書類を揃え、郵送または窓口で提出します。
  3. 銀行による審査・照合
     相続人が確定しているか、書類に不備がないかを銀行側でチェックします。
  4. 相続預金の払戻しまたは分配
     口座にある金額を、指定の相続人名義口座に振り込むなどして解約処理を行います。
  5. 解約済み口座の閉鎖
     最終的に、故人名義の口座は正式に閉鎖されます。

払戻しの注意点

  • 払戻しの申請者が代表者(遺産分割協議書で指定された人)であることが原則
  • 銀行によっては「一括払い戻し」しか認めていない場合もある
  • 相続税が課税される場合は、金額の把握が重要になる

よくある詰まりポイント(現場で多いミス)

実務の現場で特に多いのが、「あと一歩のところで止まる」ケースです。

具体的には、次のようなミスがよく見られます。

① 戸籍の取り方が不十分

「最新の戸籍だけ提出すればいい」と思われがちですが、実際には出生から死亡までの連続した戸籍が必要です。

これが不足していると、ほぼ確実に差し戻しになります。

行政書士の視点
行政書士が使用できる特別な請求書によって、戸籍の収集をスムーズに行うことができます。

② 遺産分割協議書の記載ミス

例えば、

  • 口座情報の記載が不正確
  • 金額の書き方が曖昧
  • 相続人の記載に漏れがある

といったミスがあると、手続きが進みません。

特に、銀行ごとに求められる記載レベルが微妙に違う点が落とし穴です。

③ 印鑑証明書の期限切れ

印鑑証明書には有効期限があり、一般的には発行から3ヶ月以内が求められます。

他の手続きで時間がかかっているうちに期限切れになるケースは意外と多いです。

④ 銀行ごとのルールを把握していない

例えば、

  • A銀行ではOKだった書類が、B銀行ではNG
  • 支店によって運用が異なる

といったことも実際にあります。

このズレに気づかず進めると、手戻りが発生します。

スムーズに進めるためのコツ(行政書士の実務視点)

こうした違いを踏まえると、スムーズに進めるためのポイントは明確です。

コツ①:事前に銀行へ確認する

最も確実なのは、手続きを始める前に銀行へ確認することです。

  • 必要書類
  • 書式の指定
  • 手続きの流れ

を事前に確認しておくだけで、やり直しのリスクを大きく減らせます。

コツ②:書類は「まとめて」準備する

1つずつ進めるのではなく、必要書類を一気に揃えることが重要です。

後から追加で書類を求められると、

  • 手続きが止まる
  • 印鑑証明書が期限切れになる

といった悪循環に入りやすくなります。

コツ③:迷ったら専門家に相談する

「自分でできそう」と思って進めた結果、途中で詰まるケースは非常に多いです。

特に、

  • 相続人が多い
  • 戸籍が複雑
  • 銀行が複数ある

といった場合は、早めに専門家に相談することで、結果的に時間と手間を大きく削減できることもあります。

実務的な結論

銀行手続きは、「難しい」というよりも
「細かいルールの違いに対応できるかどうか」がポイントです。

だからこそ、

  • 自己判断で進めない
  • 銀行ごとに違いがあることを前提に動く

この2点を意識するだけで、手続きの負担は大きく変わります。

7. 口座凍結後に必要な手続きとは?

銀行口座が凍結された後は、すぐに相続手続きの準備に取りかかる必要があります。

相続人の確定と戸籍の収集

相続を行うには、「誰が相続人か」を明確にしなければなりません。そのために必要な手続きが戸籍の取得です。

取得すべき戸籍書類

  • 故人の出生から死亡までの全戸籍(改製原戸籍・除籍・現在戸籍)
  • 相続人全員の現在戸籍謄本
  • 故人の住民票除票(最後の住所地を確認するため)
  • 相続人全員の住民票(続柄確認用)

これらの戸籍書類は、出生地・本籍地・現在の居住地が複数ある場合にはそれぞれの自治体に請求する必要があり、非常に手間と時間がかかる作業です。

遺言書の有無を確認

相続の進め方は、「遺言書があるかないか」で大きく変わります。

遺言書の有無手続きの流れ
公正証書遺言がある家庭裁判所の検認不要。すぐに銀行手続き可能。
自筆証書遺言がある家庭裁判所で検認手続き後、銀行手続きへ。
遺言書がない相続人全員で遺産分割協議書を作成。銀行提出。

遺言書が見つかった場合は、開封せずに家庭裁判所へ提出してください。開封だけでも法律違反になる可能性があります。

相続しないとどうなる?|放置した口座と休眠預金のリスク

「休眠預金」制度とは?

銀行口座が10年間以上、入出金等の利用がなく放置されると、「休眠預金」として取り扱われます。

これは、法律により2019年から本格施行された制度で、次のように運用されています。

  • 金融機関から国が引き継ぎ、「休眠預金等活用法」に基づいて公益活動に活用される
  • ただし、相続人が申請すれば、あとから払い戻しを受けることが可能

※申請に必要な書類や手続きは、通常の銀行相続とほぼ同様です。

口座を放置するリスク

放置による影響内容
相続人が預金の存在に気づかない故人の資産が把握できず、損失になる
相続税の申告漏れ預金が「遺産」として申告されず、ペナルティ課税の対象になる場合も
他の相続人とのトラブル「誰が引き出したのか?」「勝手に使ったのでは?」と不信の原因に
相続放棄後の放置放棄したのに誤って預金を使ってしまうと、「相続を承認した」と見なされる可能性

相続財産は「正しく把握・整理・手続きすること」が大切です。

8. 行政書士に依頼するメリットとは?

銀行の相続手続きは、思っている以上に煩雑で時間がかかります。そのため、以下のようなケースでは専門家への依頼を検討しましょう。

行政書士の主な対応業務

項目内容
戸籍の収集代行故人の出生から死亡までの戸籍を正確に取得
相続関係説明図の作成誰が相続人かを一目でわかる図を法的に正しい形式で作成
遺産分割協議書の作成支援相続人全員が合意した内容を文書化(公的機関提出用)
金融機関向け書類の整備相続届、同意書、委任状、添付資料のチェック
金融機関とのやりとりの代行手続きに関する照会や不備対応などを一括して対応

依頼することで得られる安心

  • 不備による差し戻し・やり直しを防げる
  • 相続人全員の意見調整に関するアドバイスがもらえる
  • 手続きの進捗を可視化して管理できる
  • 書類収集の時間と手間が大幅に省略できる

特に、「相続人が遠方に住んでいる」「関係性が複雑」「自分では手が回らない」というケースでは、行政書士のサポートは非常に有効です。

9. よくある質問(Q&A)

Q.死亡後すぐに口座は凍結されますか?

いいえ、死亡しただけで自動的に凍結されるわけではありません。

銀行が死亡の事実を把握した時点で凍結されるため、

  • 家族が銀行に連絡したとき
  • 訃報などで銀行が認識したとき

に凍結されるのが一般的です。

そのため、タイミングによっては凍結前の状態が続くこともありますが、その間の取り扱いには注意が必要です。

Q.暗証番号が分かれば引き出してもいいですか?

結論としては、おすすめできません。

たとえ暗証番号が分かり、凍結前であっても、故人の預金は相続財産です。そのため、他の相続人の同意なく引き出すと、後からトラブルになる可能性が高いです。

実際に、

  • 使い込みを疑われる
  • 返還を求められる
  • 相続トラブルに発展する

といったケースは非常に多く見られます。

「引き出せるかどうか」と「引き出してよいか」は別問題、という点が重要です。

Q.葬儀費用はどうやって支払えばいいですか?

葬儀費用については、いくつかの対応方法があります。

  • 遺族が一時的に立て替える
  • 仮払い制度を利用する
  • 故人の預金以外の資金を使う

中でも現実的なのは、一度立て替えて、後から精算する方法です。

また、仮払い制度を利用すれば、一定額まで相続人単独で引き出すことも可能です。

いずれの場合も、領収書や支出の記録は必ず残しておくことが重要です。

Q.相続放棄する場合、口座はどうなりますか?

相続放棄をした場合、その人は最初から相続人でなかったものとして扱われます。

そのため、故人の預金を受け取る権利もありません。

注意点としては、相続放棄をする前に預金を引き出してしまうと、「相続を承認した」とみなされる可能性がある点です。

この場合、相続放棄が認められなくなるおそれがあります。

相続放棄を検討している場合は、口座には一切手をつけないことが重要です。

Q.複数の銀行口座がある場合はどうすればいいですか?

故人が複数の銀行口座を持っている場合、それぞれの金融機関ごとに手続きが必要です。

基本的な流れは同じですが、

  • 必要書類
  • 手続き方法
  • 所要期間

が異なるため、個別に対応する必要があります。

行政書士の実務上の観点では、最初にすべての口座を洗い出しておくことが重要です。

後から口座が見つかると、再度手続きが必要になり、手間が大きく増えてしまいます。

Q.手続きは自分でできますか?専門家に依頼すべきですか?

結論としては、ケースによります。

比較的シンプルなケース(相続人が少ない・財産が単純)であれば、自分で手続きを進めることも可能です。

一方で、

  • 相続人が多い
  • 戸籍関係が複雑
  • 銀行が複数ある
  • トラブルの可能性がある

といった場合は、専門家に依頼した方がスムーズに進むケースが多いです。

特に「途中で止まってしまうリスク」を考えると、早めの相談が有効です。

行政書士の視点
相続は、被相続人の死亡から10か月以内に完了させる必要があります。
平日は仕事で忙しく、役所でのやり取りに有給休暇を使用することを考えると、あっという間に10か月経過してしまうこともあります。

10. まとめ|故人の口座は正しい手続きで対応すれば問題ありません

ここまで、故人の銀行口座の取り扱いについて解説してきました。

あらためて重要なポイントを整理します。

やってはいけないこと

まず、絶対に避けるべきなのは、自己判断で預金を引き出してしまうことです。

  • 凍結前だから大丈夫
  • 家族のために使うだけだから問題ない

このような認識で動いてしまうと、

  • 相続人間のトラブル
  • 返還請求
  • 手続きの長期化

といったリスクにつながります。

実務上も、「軽い判断」が後から大きな問題になるケースは非常に多いです。

まずやるべきこと

一方で、正しい手順を踏めば、必要以上に不安になる必要はありません。

まずは次の行動から始めてください。

  • 相続人を確認する
  • 銀行口座の状況を把握する
  • 必要に応じて金融機関に相談する

そして、資金が必要な場合は、

仮払い制度などの正規の方法を利用することが重要です。

迷ったら早めの相談が重要

相続手続きは、「知らなかった」では済まない場面が多くあります。

特に、

  • お金の動きがある
  • 相続人が複数いる
  • 手続きに不安がある

といった場合は、早めに専門家へ相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

最後に

故人の銀行口座は、正しい知識と手順を押さえて対応すれば、決して難しいものではありません。

大切なのは、

「自己判断で動かないこと」と「正しい方法を選ぶこと」です。

焦って行動するのではなく、一つずつ確実に進めていくことで、余計なトラブルを避けることができます。

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✅ 行政書士プロフィール

特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)

  • 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
  • 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
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     「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
    家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」

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この記事を書いた人
行政書士 野中雅敏
法律とITに詳しい人

東京都大田区大森で行政書士事務所を運営しています。 IT業界で30年以上の会社員経験があります。 各種許認可取得、起業支援、財産管理、終活など、人生の転機に寄り添いながら、迅速で信頼性の高いサービスを、法務の視点から全力でサポートします。

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