【完全版】名義人が死亡した車をそのまま廃車にする方法と必要な手続き

亡くなった人名義の車をそのまま廃車にできるのか?

名義が死亡者のままの場合の取り扱い

名義人が死亡した場合、その車両は法律上「遺産」として扱われます。たとえ親族であっても、名義変更をせずに勝手に車を処分することはできません。廃車手続きを行うためには、まず相続の手続きが必要になります。

法的な観点からの制限

自動車の名義は「所有権」に直結します。したがって、車の持ち主が死亡した後は、遺族の誰かが相続人として名義変更をしなければ、そのまま廃車にすることは法律的に認められません。自動車登録規則では名義変更を伴わない廃車は不可とされています。

違法にならないためのポイント

  • 必ず相続手続きを行い、車の名義を相続人へ移す
  • 車の処分は相続人全員の同意を得たうえで行う
  • 早めに手続きを開始し、相続関連のトラブルを避ける

廃車手続きに必要な書類と準備

相続人の確定方法

車を廃車にする前提として、誰が相続するかを明確にする必要があります。相続人を確定するためには、故人の戸籍謄本、除籍謄本、そして相続人全員の戸籍を収集し、法定相続人を明らかにします。

必要な書類一覧

  • 車検証
  • ナンバープレート(前後2枚)
  • 故人の除籍謄本・戸籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印が必要)
  • 委任状(代理人が申請する場合)
  • 解体証明書(一時抹消後、永久抹消時に必要)

手続きの流れと期間

  1. 戸籍類を取得して相続人を確定
  2. 廃車手続き用の書類を揃える
  3. 車の解体手続き(解体証明書を取得)
  4. 一時抹消登録(ナンバープレート返納)
  5. 永久抹消登録(必要書類提出)

一般的に、相続から抹消登録完了までは1ヶ月〜2ヶ月程度が目安です。

実際の手続き方法とその費用

運輸支局での手続き方法

廃車の申請は車の登録をしている運輸支局で行います。必要書類を揃えて持参し、申請用紙に記入後、窓口に提出します。手数料納付やプレート返却も同時に行います。

費用はどのくらいかかる?

自分で手続きを行う場合の費用は以下の通りです:

  • 抹消登録手数料:約350円
  • 戸籍謄本・印鑑証明書取得費用:1通あたり300円〜450円
  • 解体業者への解体費用:無料〜2万円前後(業者による)
  • 郵送代、交通費などの実費

業者に代行を依頼すると、1〜3万円程度の手数料が別途かかります。

代行業者を使うメリット・デメリット

メリット

  • 手続きの手間を削減できる
  • 戸籍の読み解きや協議書作成のサポートがある
  • 時間がない人にとっては非常に便利

デメリット

  • 自力で行うより費用がかかる
  • 信頼できる業者を選ぶ必要がある

トラブルになりやすいケースと回避方法

相続人間でのトラブル

相続人が複数いる場合、車の処分について合意が得られず、手続きが停滞することがあります。感情的な争いを防ぐためにも、事前に相続内容を明文化しておくことが大切です。

車検や保険の問題

車検が切れていたり、自賠責保険が失効している場合には、レッカー移動や仮ナンバーの取得が必要となるケースもあります。また、自動車税が未納だと廃車手続きが進まないこともあります。

処分時の注意点

  • 一時抹消と永久抹消の手順を間違えない
  • 解体後の証明書を必ず受け取る
  • 廃車証明書の発行を忘れずに(自動車税の還付に必要)

名義変更せずに廃車できるケースとは?

一時抹消登録の使い方

車をすぐに廃車する予定がない場合や、将来的に再利用する可能性がある場合、一時抹消登録を行ってナンバーだけを返却することができます。ただし、名義人が死亡している場合でも、相続手続きを済ませた上での対応が前提です。

解体・永久抹消の手順

一時抹消の後、車を解体業者に引き渡し、「解体証明書」を取得したら、永久抹消登録を申請します。これによって、車の所有権・登録は完全に抹消されます。

委任状や遺産分割協議書が必要な理由

名義変更や廃車手続きは、相続人の誰かが代表して行うことがほとんどです。そのため、他の相続人全員からの同意(実印入りの遺産分割協議書)と、手続きを代行する人への委任状が求められます。

相続と車の名義の関係

相続財産としての車の扱い

車は土地や預金と同じく、故人が生前に所有していた資産の一部として、相続対象になります。そのため、勝手に廃車や譲渡することはできません。

相続人が複数いる場合の注意点

1台の車に対し、法定相続人が複数いる場合には、話し合いで誰が車を引き取るか、または処分するかを決め、文書化する必要があります。

名義変更しないと起きるトラブル

名義変更を怠ったまま車を廃車しようとすると、陸運局での登録ができず、手続きが無効になります。さらに、自動車税の請求が故人宛に続くなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。

車の名義や廃車に関するよくある質問

Q1. 名義変更は必ず必要ですか?

はい。廃車を含むあらゆる手続きには名義変更が前提となります。

Q2. 自分でやるのと業者に頼むの、どっちがいい?

時間と手間を考えれば業者に依頼するのも一つの手です。費用を抑えたいなら自分で行うのがおすすめです。

Q3. 廃車後に還付されるお金はある?

あります。自動車税や重量税、自賠責保険料の未使用分は還付されます。これには廃車証明書が必要です。

まとめ|死亡名義の車を廃車するには相続と手続きの理解がカギ

名義人が亡くなった車を廃車にするには、まず相続人を確定し、正しい名義変更を経た上で手続きを行う必要があります。書類の準備や廃車の流れを正しく理解することで、トラブルなくスムーズに進められます。

時間がない方や手続きに不安がある方は、信頼できる業者に相談することも有効です。法律に則った正しい方法で、大切な車をしっかりと処分しましょう。