相続財産目録の作り方|書き方・評価額・記載例をひな形付きで解説

相続財産目録で財産の種類や評価額を整理するイメージ

親や配偶者など、近しい親族が亡くなると、悲しみの中でも相続手続きを進めなければならない場面があります。何から手をつければよいのか分からず、戸惑う方も少なくありません。

相続手続きでは、まず戸籍を集めて、誰が相続人になるのかを確認します。それと並行して、亡くなった方がどのような財産や借金を持っていたのかを調べていきます。預貯金や不動産だけでなく、株式、自動車、貸付金、借入金、未払金なども確認し、分かった内容を一覧に整理したものが相続財産目録です。

相続財産目録を作っておくと、相続人全員で財産の全体像を共有しやすくなり、その後の遺産分割協議も進めやすくなります。また、借金が多い可能性がある場合には、相続放棄を検討するための判断材料にもなります。

ただし、実際に目録を作ろうとすると、どのような書式にすればよいのか、預貯金や不動産の評価額をどう書けばよいのか、見落としている財産や負債がないかと迷いやすいものです。

この記事では、相続財産目録の基本的な作り方を、財産ごとの記載例や評価額の考え方とともに解説します。Word・Excelで使えるひな形も紹介しますので、調査した内容を整理しながら、ご自身で目録を作成したい方は参考にしてください。

目次

①相続財産目録とは

相続財産目録の一覧表を中心に、通帳、現金、不動産、自動車、株式、借入書類などを配置した粘土細工風イラスト
預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などのマイナスの財産も相続財産目録に整理します。

相続財産目録とは、亡くなった方が所有していた財産や負債を一覧にまとめた書類です。

預貯金や不動産、株式、自動車などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も記載します。相続財産には、財産だけでなく負債も含まれるため、目録を作るときは両方を確認することが大切です。

相続が始まると、まず戸籍を集めて誰が相続人になるのかを確認し、それと並行して、亡くなった方の財産や借金を調べます。確認した内容をそのままにしておくと、相続人同士で認識がずれたり、後から財産の見落としに気づいたりすることがあります。

そこで、預貯金、不動産、株式、自動車、借金、保証債務、暗号資産など、判明した財産や負債を相続財産目録にまとめておくと、相続財産の全体像を把握しやすくなります。

相続財産目録は、主に遺産分割協議を進めるために使います。どの財産を誰が取得するのか話し合うには、まず相続人全員が財産の内容を共有しておく必要があるためです。

また、借金が多い可能性がある場合には、相続放棄を検討するための判断材料にもなります。プラスの財産だけを見るのではなく、負債を含めた全体像を確認することが重要です。

誰が相続人になるのか、相続でどのような財産・権利・義務を引き継ぐのかを先に確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
相続とは?意味・種類・法律上の基本を簡単にわかりやすく解説

「相続財産目録」と「遺産目録」の違い

「相続財産目録」と「遺産目録」は、実務上ほぼ同じ意味で使われています。どちらも、亡くなった方の財産や負債を一覧にした書類を指します。

ただし、「遺産」という言葉から、預貯金や不動産などのプラスの財産だけを思い浮かべる方もいます。そのため、この記事では、借金や未払金も含めて整理することを明確にするため、「相続財産目録」という名称で統一します。

相続財産目録を作る目的

相続財産目録を作る目的は、相続人全員で財産の全体像を共有し、その後の手続きを進めやすくすることです。

特に、遺産分割協議では、どの財産を誰が取得するのかを話し合うための基礎資料になります。また、相続財産よりも借金の方が多い可能性がある場合は、相続放棄を検討するための判断材料にもなります。

ただし、目録を作ったからといって、財産調査が完全に終わったとは限りません。後から新たな財産や負債が見つかった場合は、その都度追記し、内容を更新していく必要があります。

②相続財産目録に決まった書式はある?

相続財産目録には、すべての相続手続きに共通する一つの書式があるわけではありません。

大切なのは、亡くなった方の財産と負債について、相続人が内容を確認できるように整理することです。財産の種類、所在、数量や持分、評価額などが分かる形であれば、WordやExcelを使って作成できます。

ただし、自由に作成できるからといって、財産名と金額だけを書けばよいわけではありません。預貯金であれば金融機関名や支店名、不動産であれば所在地や共有持分など、財産を特定できる情報も必要です。

また、相続財産目録を遺産分割協議に使用するのか、相続放棄を検討するために使用するのかによって、確認しておきたい内容も変わります。まずは作成目的を明確にし、その目的に合った項目を設けることが大切です。

使用目的によって必要な項目が異なる

遺産分割協議のために作成する場合は、相続人全員が「どの財産を誰が取得するのか」を検討できるよう、財産を特定する情報と評価額を整理します。

一方、相続放棄を検討する場合は、プラスの財産だけでなく、借金、ローン、未払金、保証債務などのマイナスの財産を漏れなく確認することが重要です。

なお、同じ財産であっても、遺産分割のための目録と、行政機関や金融機関などへ提出する書類では、必要な記載内容が異なることがあります。提出先が決まっている場合は、指定の様式や記載方法がないか事前に確認しておくと安心です。

WordとExcelのどちらで作るべきか

財産の件数が少なく、文書として見やすくまとめたい場合は、Wordでも作成できます。

一方、預貯金や不動産が複数ある場合や、財産と負債の合計額を計算したい場合は、Excelの方が管理しやすいでしょう。行を追加しやすく、後から見つかった財産や負債を追記できる点も便利です。

どちらを使う場合も、形式を整えることより、財産を特定する情報と評価額の根拠が分かるように記載することが重要です。

③相続財産目録に記載する基本項目

相続財産目録には、亡くなった方の財産や負債を特定し、その内容を相続人全員で確認できるように、必要な情報を整理して記載します。

決まった書式はありませんが、少なくとも次の項目を設けておくと、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成に使いやすくなります。

項目記載する内容
区分プラスの財産か、マイナスの財産かを記載します。
財産の種類預貯金、不動産、株式、自動車、借入金など、財産や負債の種類を記載します。
内容・所在金融機関名、支店名、預金の種類、不動産の所在地、借入先など、その財産を特定するための情報を記載します。
数量・持分株式数、不動産の共有持分、口数など、数量や権利の割合を記載します。
評価額遺産分割協議の参考とする金額を記載します。
備考評価の基準日、確認中の事項、根拠資料、名義上の注意点などを記載します。

目録の冒頭には、被相続人の氏名や死亡日も記載しておきます。誰の相続財産をまとめた書類なのかが分かるようにしておくためです。

また、「内容・所在」の欄は、財産の種類に応じて書き方を変えます。預貯金であれば金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号などを記載し、不動産であれば所在地、地番、家屋番号、共有持分などを記載します。

評価額については、遺産分割協議で財産の価値を比較するための参考額として記載します。ただし、財産の種類によって評価方法が異なるため、どの資料や基準をもとにした金額なのかを備考欄へ残しておくと、後から確認しやすくなります。

金額や内容がまだ確定していない財産については、無理に空欄のままにせず、「確認中」「評価中」などと記載しておきます。後から確認が必要な項目であることが分かり、記載漏れを防ぎやすくなります。

④相続財産目録を作る前の準備

相続財産目録を作る前に、家族が通帳や不動産、証券、借入関係の資料を整理している粘土細工風イラスト
相続財産目録を作る前に、預貯金、不動産、証券、借入金などの資料を種類ごとに分けて整理します。

相続財産目録は、分かっている財産を思いつくまま書き始めるよりも、先に資料と調査結果を整理してから作成した方が、記載漏れを防ぎやすくなります。

まずは、通帳、残高証明書、登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、証券会社の取引報告書、借入金の残高証明書など、財産や負債の内容を確認できる資料を集めます。

書類がそろっていない場合でも、現時点で確認できている内容を整理し、未確認のものは「確認中」として管理しておくとよいでしょう。

相続財産の調査結果と根拠資料を整理する

相続財産目録に記載する内容は、できるだけ根拠資料と照合できる状態にしておきます。

たとえば、預貯金であれば通帳や残高証明書、不動産であれば登記事項証明書や固定資産税の納税通知書、借入金であれば契約書や返済予定表などを確認します。

資料は、財産の種類ごとに分けて保管しておくと、目録を作るときに探しやすくなります。

分類主な根拠資料
預貯金通帳、残高証明書、取引明細
不動産登記事項証明書、固定資産税の納税通知書
株式・投資信託取引報告書、残高報告書
自動車車検証、査定書
借金・ローン借入契約書、返済予定表、残高証明書
未払金請求書、納付書、利用明細

目録の備考欄には、どの資料をもとに記載したのかを書いておくと、後から内容を確認しやすくなります。

まだ相続財産の調査が終わっていない場合は、通帳、郵便物、契約書、スマートフォンなどを手がかりに、亡くなった方の財産や負債を確認します。
預貯金、不動産、株式、借金などの具体的な調査方法は、以下の記事で解説しています。
相続財産の調査方法|自分で調べる手順・調査先・必要書類を解説

プラスの財産とマイナスの財産に分類する

確認できた財産は、プラスの財産とマイナスの財産に分けます。

プラスの財産には、現金、預貯金、不動産、株式、自動車、貸付金などがあります。マイナスの財産には、借金、住宅ローン、クレジットカードの未払金、税金や医療費の未払金などがあります。

両方を分けて整理しておくと、遺産の全体像を把握しやすくなり、相続人同士で確認するときも分かりやすくなります。

なお、生命保険金や死亡退職金などは、契約内容や受取人によって通常の相続財産とは異なる扱いになることがあります。目録に記載するか迷う場合は、備考欄に「要確認」と記載しておき、後から扱いを確認するとよいでしょう。

どの財産を目録に記載すべきか迷う場合は、相続財産に含まれるもの・含まれないものを先に確認しておきましょう。
相続財産とは?含まれるもの・含まれないものを一覧でわかりやすく解説

被相続人の氏名・死亡日などの基本情報を記入する

相続財産目録の冒頭には、被相続人の氏名や死亡日を記載します。

誰の財産をまとめた目録なのかを明確にするためです。必要に応じて、最後の住所や本籍地も記載しておくと、ほかの相続関係書類と照合しやすくなります。

基本情報を記載したら、整理した資料を見ながら、プラスの財産とマイナスの財産を順番に目録へ記入していきます。

⑤プラスの相続財産の書き方と記載例

現金、通帳、不動産、自動車、株式、貴金属、骨董品、暗号資産などのプラスの相続財産を一覧表の周囲に配置した粘土細工風イラスト
相続財産目録には、現金や預貯金、不動産だけでなく、自動車、株式、貴金属、骨董品、暗号資産なども記載します。

プラスの相続財産には、現金、預貯金、不動産、株式、自動車などがあります。

目録へ記載するときは、財産の種類ごとに、その財産を特定するための情報と、遺産分割協議の参考となる評価額を整理します。必要な情報は財産によって異なるため、ここでは種類ごとの書き方と記載例を見ていきます。

財産ごとの記載方法

現金

自宅や金庫などに保管されていた現金も、相続財産目録に記載します。

現金は、金額に加えて保管場所も記載しておくと、どの現金を指しているのか確認しやすくなります。

財産の種類内容・所在評価額備考
現金被相続人の自宅金庫内300,000円令和○年○月○日確認

複数の場所から現金が見つかった場合は、保管場所ごとに分けて記載しても構いません。

葬儀費用や入院費などの支払いに一部を使用した場合は、見つかった時点の金額と使用した金額が分かるよう、領収書などと一緒に記録しておくと確認しやすくなります。

預貯金

預貯金は、金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号、残高などを記載します。

財産の種類内容・所在評価額備考
普通預金○○銀行 △△支店 普通預金 口座番号12345671,850,000円死亡日現在の残高証明書による
定期預金□□信用金庫 ○○支店 定期預金 口座番号76543212,000,000円満期日:令和○年○月○日

同じ金融機関に複数の口座がある場合は、口座ごとに分けて記載します。

口座番号を相続人間で共有する資料に記載する場合は、番号を省略せず書いておくと、遺産分割協議書を作成するときに財産を特定しやすくなります。ただし、目録の保管や取り扱いには注意が必要です。

通帳の残高と残高証明書の金額が異なる場合は、どの時点の金額を記載したのかを備考欄へ明記します。

不動産

不動産は、登記事項証明書の記載を確認しながら、土地と建物を分けて記載します。

土地であれば、所在、地番、地目、地積、持分などを記載します。建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積、持分などを記載します。

土地の記載例

財産の種類内容・所在数量・持分評価額備考
土地所在:○○市○○町一丁目/地番:123番4/地目:宅地/地積:150.00㎡持分2分の18,000,000円固定資産税評価証明書による

建物の記載例

財産の種類内容・所在数量・持分評価額備考
建物所在:○○市○○町一丁目123番地4/家屋番号:123番4/種類:居宅/構造:木造瓦葺2階建全部3,000,000円固定資産税評価証明書による

住所として普段使っている「住居表示」と、登記上の「所在・地番」は異なる場合があります。遺産分割協議書への反映を予定している場合は、登記事項証明書に記載された内容を確認しておきましょう。

共有不動産の場合は、不動産全体ではなく、亡くなった方が所有していた持分を記載します。

株式・投資信託

株式や投資信託は、証券会社名、支店名、口座番号、銘柄名、保有数量などを記載します。

財産の種類内容・所在数量・持分評価額備考
上場株式○○証券 △△支店/株式会社○○500株1,250,000円令和○年○月○日の終値による
投資信託□□証券/○○ファンド100,000口720,000円残高報告書による

株式や投資信託は価格が変動するため、評価額だけでなく、いつの価格を使ったのかも記載します。

同じ証券口座に複数の銘柄がある場合は、銘柄ごとに分けて書くと、誰がどの財産を取得するのか話し合いやすくなります。

自動車

自動車は、車検証を確認し、車名、登録番号、車台番号、所有者名などを記載します。

財産の種類内容・所在評価額備考
自動車車名:○○/登録番号:品川○○あ1234/車台番号:ABC123456600,000円中古車買取業者の査定による

ローンが残っている場合は、車検証上の所有者が被相続人ではなく、販売会社や信販会社になっていることがあります。所有者名義とローン残高を確認し、必要に応じてマイナスの財産にも記載します。

貴金属・骨董品

貴金属、骨董品、美術品、ブランド品などは、品名、数量、特徴、保管場所を記載します。

財産の種類内容・所在数量評価額備考
貴金属金製ネックレス/自宅金庫内1点120,000円令和○年○月○日の買取査定による
骨董品○○作の壺/自宅応接室1点評価中専門業者へ査定依頼中

価値が分からない場合は、無理に金額を決めず、「評価中」と記載しておきます。品物の写真や査定書も一緒に保管しておくと、相続人間で確認しやすくなります。

貸付金などの債権

亡くなった方が親族や知人、会社などへお金を貸していた場合、その返済を求める権利も相続財産になることがあります。

財産の種類内容・所在評価額備考
貸付金債務者:○○○○/令和○年○月○日付金銭消費貸借契約1,000,000円未返済元金。借用書あり

貸付金は、債務者の氏名、契約日、貸付額、返済状況、未返済額などを記載します。借用書がない場合でも、振込記録やメールなど、貸付けの内容を確認できる資料があれば備考欄に記載しておきましょう。

暗号資産・電子マネー

暗号資産は、取引所名、銘柄、保有数量などを記載します。

財産の種類内容・所在数量評価額備考
暗号資産○○取引所/ビットコイン0.10BTC900,000円令和○年○月○日時点の取引価格による
電子マネー○○Pay残高25,000円アプリ画面で確認

暗号資産は価格の変動が大きいため、評価の基準日と価格の確認方法を明記します。

電子マネーやポイントは、利用規約によって相続や払い戻しができない場合があります。残高が見つかった場合は、目録に記載したうえで、サービス提供会社へ取り扱いを確認します。

プラスの相続財産の合計額を計算する

すべてのプラスの財産を記載したら、評価額の合計を計算します。

ただし、不動産や株式などは、評価方法や基準日によって金額が変わることがあります。合計額だけを見るのではなく、各財産をどのような基準で評価したのかも確認できるようにしておくことが大切です。

評価中の財産がある場合は、無理に合計へ含めず、「評価中の財産あり」と記載しておきます。評価額が確定した段階で目録を更新し、相続人全員で最新の内容を共有しましょう。

⑥マイナスの相続財産の書き方と記載例

住宅ローン、クレジットカード、税金、医療費、保証債務などのマイナスの相続財産を一覧に整理した粘土細工風イラスト
相続財産目録には、借金や未払金だけでなく、保証債務などのマイナスの財産も漏れなく整理します。

マイナスの相続財産には、借金や住宅ローン、クレジットカードの未払金、税金や医療費の未払金、保証債務などがあります。

遺産分割協議では、プラスの財産だけでなく、こうした負債も含めて相続財産の全体像を確認する必要があります。目録に記載するときは、債権者、契約内容、残高、支払期限など、負債を特定できる情報を整理します。

負債ごとの記載方法

借金・住宅ローン

借金や住宅ローンは、借入先、契約日、契約番号、死亡日時点の残高などを記載します。

財産の種類内容・所在評価額備考
住宅ローン○○銀行△△支店/契約番号1234568,500,000円死亡日現在の残高証明書による
借入金□□消費者金融/契約番号789012450,000円令和○年○月○日現在

住宅ローンについては、団体信用生命保険に加入している場合、保険金によって残高が返済されることがあります。ローンがあることだけで負債額を確定せず、金融機関へ加入状況や今後の手続きを確認します。

また、不動産に抵当権が設定されている場合でも、すでに完済していることがあります。反対に、登記に抵当権が見当たらなくても、無担保の借入れが残っている可能性があります。登記事項証明書だけで判断せず、金融機関の残高証明書や契約書も確認しましょう。

クレジットカードの未払金

クレジットカードの利用代金が死亡時点で未払いの場合は、カード会社名、会員番号、利用残高などを記載します。

財産の種類内容・所在評価額備考
クレジットカード未払金○○カード/会員番号末尾123485,000円令和○年○月請求分
分割払い残高□□カード/ショッピング分割払い210,000円カード会社の残高回答による

カードの利用明細には、継続課金されているサービスや公共料金が含まれていることがあります。単にカードを解約するだけでなく、どの支払いが残っているのかも確認しておくと安心です。

また、利用明細がまだ確定していない場合は、「金額確認中」と記載し、後から更新します。

税金・医療費などの未払金

亡くなった方が支払うべきだった税金や医療費、介護費用、家賃、公共料金なども、未払いであれば目録へ記載します。

財産の種類内容・所在評価額備考
未払税金令和○年度固定資産税120,000円納付書による
未払医療費○○病院 入院費75,000円請求書による
未払公共料金電気・ガス・水道料金18,000円金額確認中

未払金は、請求書や納付書が見つかっていなくても、通帳の引き落とし履歴や郵便物から判明することがあります。

金額が確定していない場合は、無理に推測せず、「確認中」「請求待ち」などと記載しておきます。

保証債務

亡くなった方が、家族や知人、会社などの借入れについて連帯保証人になっていた場合、その保証債務も確認する必要があります。

財産の種類内容・所在評価額備考
連帯保証債務主債務者:株式会社○○/債権者:△△銀行金額確認中保証契約書あり
保証債務主債務者:○○○○/契約日:令和○年○月○日1,000,000円未履行の有無を確認中

保証債務は、通常の借金と異なり、現時点では請求されていなくても、将来支払いを求められる可能性があります。

そのため、契約書が見つかった場合は、主債務者、債権者、保証の範囲、残高、返済状況などを確認し、内容が確定していなければ「確認中」と記載しておきます。

会社経営者や個人事業主が亡くなった場合は、会社の借入れに対する連帯保証、事業上の買掛金、未払金などが残っていないかにも注意が必要です。信用情報だけでは、税金や社会保険料、個人間の借金、保証債務などをすべて把握できるとは限りません。契約書、請求書、通帳の履歴、事業関係の資料もあわせて確認します。

マイナスの相続財産の合計額を計算する

負債を一通り記載したら、金額が確定しているものを合計します。

ただし、保証債務や請求額が確定していない未払金などは、現時点で正確な金額を出せない場合があります。その場合は、確定している負債の合計額とは分けて、「確認中の負債あり」と記載しておきます。

目録上の負債額が少なく見えても、調査中のものが残っていれば、相続財産の全体像が確定したとはいえません。

プラスとマイナスの財産を一覧で確認する

プラスの財産とマイナスの財産をそれぞれ整理したら、両方を並べて全体像を確認します。

区分評価額
プラスの財産合計15,000,000円
マイナスの財産合計9,000,000円
差引額6,000,000円

この差引額は、遺産分割協議を進める際の参考になります。

ただし、目録上の差引額だけで、誰がどの財産や負債を引き継ぐかが決まるわけではありません。また、後から新たな負債が見つかることもあるため、確認中の項目が残っている場合は、そのことを相続人全員で共有しておきましょう。

⑦遺産分割のために評価額を書くときの注意点

相続財産目録と電卓の周囲に、値動きする株価、不動産の複数の評価、査定中の掛け軸を配置した粘土細工風イラスト
株式、不動産、骨董品などは、評価する時期や方法によって金額が変わるため、財産の種類に応じた確認が必要です。

相続財産目録に記載する評価額は、遺産分割協議で財産の価値を比較し、誰がどの財産を取得するかを検討するための参考になります。

ただし、財産の価値は一定ではありません。株式のように日々価格が変わるものもあれば、不動産や骨董品のように、目録に記載した評価額と実際に売却できる金額が大きく異なるものもあります。

IT行政書士事務所では、これまでの相続手続きの支援経験から、相続財産目録へ評価額を記載するときは、特に次の2点が重要だと考えています。

一つは、評価額とあわせて、いつ時点の金額なのかを記載することです。もう一つは、目録に記載した評価額どおりに売却できるとは限らないことを、相続人全員で共有しておくことです。

評価額には金額だけでなく基準日も記載する

相続財産目録には、評価額だけでなく、その金額がいつ時点のものなのかも記載します。

財産の価値は、被相続人が亡くなった時点、財産を調査した時点、遺産分割協議を行う時点で異なることがあるためです。

特に上場株式は、短期間でも価格が大きく変動します。調査した時点では高い評価額だった株式が、遺産分割協議を始めるころには大幅に値下がりしていることもあります。

たとえば、キオクシアホールディングスのように株価の変動が大きい銘柄では、目録を作成した時点と、相続人が後から株価を確認した時点とで、評価額が大きく異なることがあります。目録に金額だけが記載されていると、現在の株価と一致しないため、記載内容が誤っているのではないかと相続人が疑問を持つこともあります。

評価額の横に基準日を記載しておけば、金額の違いが記載ミスではなく、価格を確認した時期の違いによるものだと説明できます。相続人同士の認識のずれを防ぐためにも、評価した日付を残しておくことが大切です。

キオクシアホールディングスの株価が急上昇後に大きく下落した推移を示すチャート。
キオクシアホールディングスの株価推移。株式は短期間でも価格が大きく変わるため、相続財産目録には評価額だけでなく、評価した日付も記載しておくことが大切です。
財産の種類銘柄・数量評価額備考
上場株式キオクシアホールディングス・○株○円令和○年○月○日の終値による

預貯金についても考え方は同じです。死亡後に葬儀費用や公共料金などが口座から引き落とされている場合、死亡日時点の残高と、遺産分割協議を行う時点の残高は異なります。

そのため、預貯金についても、残高証明書や通帳を確認し、どの時点の残高を記載したのかが分かるようにしておきます。備考欄には、「死亡日現在の残高証明書による」「令和○年○月○日現在の通帳残高」などと記載するとよいでしょう。

評価額と基準日をそろえておくことで、相続人全員が同じ情報をもとに話し合えるようになります。

評価額どおりに売却できるとは限らない

相続財産目録に記載した評価額は、その金額で実際に売却できることを保証するものではありません。

特に、不動産や骨董品、美術品などは、資料上の評価額や所有者が考えている価値と、実際の売却価格が大きく異なることがあります。

IT行政書士事務所では、評価額を記載するときに、何をもとにした金額なのかだけでなく、実際に売却した場合も同程度の金額になるのかを分けて考えることが重要だとお伝えしています。

不動産は評価額と実際の売却価格が異なることがある

遺産分割のために不動産の価値を整理するときは、固定資産税評価額や不動産会社の査定額などを参考にします。

ただし、固定資産税評価額が、そのまま実際の売却価格になるわけではありません。

たとえば、地方にある土地や利用方法が限られている土地では、固定資産税評価額が2,000万円であっても、実際には200万円でも買い手がつかないことがあります。

土地の売却価格は、所在地だけでなく、道路への接し方、建物を建てられるか、農地や山林などの利用制限、管理にかかる費用、周辺の需要などによっても変わります。

そのため、目録へ固定資産税評価額を記載する場合は、その金額が実際の売却価格とは異なる可能性があることも備考欄に記載しておくとよいでしょう。

財産の種類評価額備考
土地20,000,000円固定資産税評価証明書による。実際の売却価格とは異なる可能性あり

不動産を取得する相続人と、預貯金を取得する相続人との間で差額を調整する場合は、どの評価額を使うかが遺産分割協議に大きく影響します。

固定資産税評価額だけで判断するのではなく、必要に応じて不動産会社へ査定を依頼し、実際に売却できる可能性のある金額も確認しておくことが大切です。

骨董品や掛け軸も期待した金額で売れるとは限らない

掛け軸、絵画、壺などの骨董品も、家族が考えている価値と実際の買取価格が異なることがあります。

たとえば、有名な人物が書いたとされる掛け軸でも、本物かどうかを確認できなければ、高い評価はつかない可能性があります。

また、本物であっても、掛け軸を飾る床の間がある住宅が減っているなど、購入を希望する人自体が少なくなっている場合があります。財産として価値がある品物であっても、需要が少なければ、期待する金額で売却できるとは限りません。

目録へ記載するときは、購入価格や家族の感覚だけで評価せず、必要に応じて専門業者へ査定を依頼します。

財産の種類評価額備考
掛け軸評価中専門業者へ真贋と買取価格を確認中
骨董品50,000円令和○年○月○日の買取査定による

査定額が分からない場合は、無理に金額を記載せず、「評価中」「査定依頼中」としておきます。空欄のままにするよりも、確認が必要な財産であることを明確にできます。

相続財産目録の評価額は、遺産分割協議を進めるための参考額です。評価した時点と根拠を明確にし、その金額で必ず売却できるわけではないことを相続人全員で共有しておくと、認識の違いによるトラブルを防ぎやすくなります。で自然に説明できます。

⑧相続財産目録のひな形と記入例

相続財産目録は、WordやExcelを使って作成できます。

財産の件数が少なく、文書として見やすくまとめたい場合はWordでも作成できますが、財産や負債の件数が多い場合や、合計額を計算したい場合はExcelの方が管理しやすいでしょう。

どちらを使う場合も、見た目を整えることより、財産を特定できる情報と、評価額の基準日や根拠が分かるように記載することが大切です。

Excel版のひな形

Excelで作成する場合は、プラスの財産とマイナスの財産を分けて入力できるようにしておくと整理しやすくなります。

区分財産の種類内容・所在数量・持分評価額備考
プラス普通預金○○銀行△△支店 普通預金 口座番号12345671口座1,850,000円死亡日現在の残高証明書による
プラス土地○○市○○町一丁目123番4持分2分の18,000,000円固定資産税評価証明書による
プラス上場株式キオクシアホールディングス100株4,650,000円令和○年○月○日の終値による
マイナス住宅ローン○○銀行△△支店 契約番号1234561件8,500,000円死亡日現在の残高証明書による
マイナス未払医療費○○病院 入院費1件75,000円請求書による

Excelでは、評価額の列に合計式を設定しておくと、プラスの財産とマイナスの財産をそれぞれ自動で集計できます。

また、後から新たな財産が見つかった場合にも行を追加しやすいため、相続財産の件数が多い場合に向いています。

ただし、数式を入れていても、「評価中」「確認中」とした財産は合計に含まれません。未確定の項目が残っていることが分かるよう、備考欄や目録の下部に「評価中の財産あり」と記載しておくとよいでしょう。

Excelファイルテンプレートはこちら

Word版のひな形

Wordで作成する場合は、表形式でまとめると見やすくなります。

財産の件数が少なく、遺産分割協議の資料として印刷して使いたい場合には、Wordでも十分に対応できます。

相続財産目録

被相続人:○○ ○○
死亡日:令和○年○月○日

区分財産の種類内容・所在数量・持分評価額備考
プラス普通預金○○銀行△△支店 普通預金 口座番号12345671口座1,850,000円死亡日現在
プラス建物○○市○○町一丁目123番地4全部3,000,000円固定資産税評価証明書による
マイナス借入金□□金融 契約番号7890121件450,000円令和○年○月○日現在

Wordは、相続人へ配布したり、遺産分割協議書と一緒に保管したりする場合に向いています。

一方で、財産が増えるたびに表を修正する必要があるため、件数が多い場合や、何度も内容を更新する場合はExcelの方が扱いやすいでしょう。

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記入後の完成例

相続財産目録の完成例は、次のようになります。

相続財産目録

被相続人:山田 太郎
死亡日:令和○年○月○日

区分財産の種類内容・所在数量・持分評価額備考
プラス普通預金○○銀行本店 普通預金 口座番号12345671口座2,500,000円死亡日現在の残高証明書による
プラス土地○○市○○町一丁目123番4持分2分の16,000,000円固定資産税評価証明書による
プラス上場株式○○株式会社300株1,200,000円令和○年○月○日の終値による
プラス自動車車名○○/登録番号○○1台500,000円中古車買取業者の査定による
マイナス住宅ローン○○銀行△△支店 契約番号1234561件4,000,000円死亡日現在の残高証明書による
マイナス未払医療費○○病院 入院費1件80,000円請求書による

プラスの財産合計:10,200,000円
マイナスの財産合計:4,080,000円
差引額:6,120,000円

ただし、この差引額は遺産分割協議の参考にするための金額です。不動産や株式などは時期や評価方法によって金額が変わるため、実際の分け方を決める際には、相続人全員で評価基準を確認する必要があります。

また、完成後も、新たな財産や負債が見つかった場合は、その都度追記します。相続財産目録は、一度作成したら終わりではなく、調査状況に応じて更新していく資料です。

⑨相続財産目録の記載漏れを防ぐチェックポイント

相続財産目録は、形式を整えることよりも、財産や負債を漏れなく整理できているかが重要です。

特に、預貯金や不動産のように見つけやすい財産だけでなく、未払金、保証債務、ネット銀行、暗号資産など、見落としやすいものにも注意する必要があります。

目録を作成したあとは、次の項目を確認してみましょう。

チェック項目確認する内容
プラスの財産だけを記載していないか預貯金や不動産だけでなく、借金、ローン、未払金などのマイナスの財産も記載します。
借金や保証債務を確認したか借入契約書、請求書、通帳の引き落とし、連帯保証に関する書類などを確認します。
ネット銀行やネット証券を確認したか紙の通帳や郵便物が残っていない場合もあるため、利用していたアプリやメールも確認します。
暗号資産や電子マネーを確認したか取引所のアカウント、アプリ、メール、利用履歴などを確認します。
不動産の共有持分を確認したか不動産全体ではなく、被相続人が所有していた持分を記載します。
財産の名義だけで判断していないか名義と実際の所有関係が異なる場合もあるため、契約内容や資金の出所も確認します。
評価中・確認中の項目が残っていないか金額や内容が未確定のものは、後から確認して目録を更新します。
評価額の根拠資料を保管しているか残高証明書、登記事項証明書、査定書、請求書などを目録と一緒に保管します。
後から見つかった財産や負債を追記したか新たな財産や負債が判明した場合は、その都度目録へ追加します。
相続人全員で内容を共有したか遺産分割協議を始める前に、相続人全員が同じ目録を確認できるようにします。

相続財産目録は、一度作成したら終わりではありません。調査が進むにつれて新たな財産や負債が見つかった場合は、その都度内容を更新します。

また、「評価中」「確認中」と記載した項目は、そのまま放置しないことが大切です。未確定のまま遺産分割協議を進めると、後から財産の価値や負債の金額をめぐって、相続人同士の認識が食い違うことがあります。

目録の内容と根拠資料を照合し、相続人全員で同じ情報を共有できる状態にしてから、遺産分割協議を進めましょう。

⑩相続財産目録を自分で作れるケースと専門家へ相談した方がよいケース

相続財産目録を自分で作成する相続人と、多数の財産資料を行政書士と整理する相続人を対比した粘土細工風イラスト
財産の種類や資料が少ない場合は自分で作成できますが、不動産や借入れが多い場合は専門家へ相談すると整理しやすくなります。

相続財産目録は、財産の種類が少なく、必要な資料がそろっていれば、ご自身で作成できることもあります。

一方で、財産や負債の件数が多い場合や、不動産の評価方法が分からない場合、借金や保証債務の有無を確認できない場合は、調査や整理に時間がかかります。

自分で進めるか、専門家へ相談するか迷ったときは、次の表を目安にしてください。

自分で作成しやすいケース専門家へ相談した方がよいケース
財産の種類や件数が少ない財産の種類や件数が多い
通帳や残高証明書などの資料がそろっている利用していた金融機関や証券会社が分からない
財産と負債の内容が明確になっている借金や保証債務の有無を確認できない
不動産がない、または評価方法に迷う財産が少ない不動産が複数あり、評価方法が分からない
相続人の間で財産に対する認識が一致している相続人ごとに財産の範囲や評価額に対する認識が異なる
調査や目録作成に必要な時間を確保できる仕事や家庭の事情で調査や整理の時間を取れない
根拠資料と目録の内容を自分で照合できる記載漏れや評価額の付け方に不安がある

自分で作成しやすいケース

預貯金口座が数件だけで、不動産や株式、借金などがなく、必要な資料もそろっている場合は、ひな形を使って自分で目録を作成しやすいでしょう。

また、財産の内容について相続人の間で認識が一致しており、残高証明書や登記事項証明書などの根拠資料と照合できる場合も、自分で進めやすいケースです。

ただし、財産の件数が少なくても、名義と実際の所有者が異なる可能性がある場合や、価値の判断が難しい財産がある場合は注意が必要です。

専門家へ相談した方がよいケース

財産の種類が多い場合や、通帳や契約書が見つからず、どこまで調べればよいのか分からない場合は、専門家へ相談した方が進めやすくなります。

特に、複数の不動産がある場合、会社経営者や個人事業主の相続で事業用財産や保証債務が関係する場合、相続人の間で財産に対する認識が異なる場合は、目録を作る前提となる情報整理から慎重に進める必要があります。

また、目録に記載した評価額と実際の売却価格が大きく異なることもあります。不動産や骨董品など、評価方法に迷う財産がある場合は、必要に応じて査定や他の専門家への確認も検討します。

目録作成に手間取る場合は早めに相談する

相続財産目録は、相続人全員で財産の全体像を共有し、遺産分割協議を進めるための基礎資料です。

内容が整理できないままにしておくと、遺産分割協議を始められなかったり、後から財産や負債が見つかって話し合いをやり直したりすることがあります。

IT行政書士事務所では、相続財産に関する資料の整理、相続財産目録の作成、遺産分割協議書の作成などについて、ご事情に応じた支援を行っています。

目録作成に手間取っている場合や、記載漏れがないか不安な場合は、無理に一人で進めず、早めに専門家へ相談することも一つの方法です。

⑪行政書士に相続財産目録の作成を依頼できる?

相続財産目録は、ご自身で作成することもできますが、財産の種類が多い場合や、必要な資料がそろっていない場合は、整理に時間がかかることがあります。

また、目録は遺産分割協議や遺産分割協議書を作成するための基礎資料になるため、財産を特定する情報や評価額の根拠が曖昧なままだと、その後の手続きにも影響します。

行政書士には、相続財産に関する資料の整理や、相続財産目録、遺産分割協議書などの書類作成について相談できます。

行政書士に相談できること

行政書士には、相続手続きに必要な情報や資料を整理し、書類へまとめる業務を相談できます。

たとえば、次のような支援です。

  • 戸籍の収集
  • 法定相続人の確認
  • 財産調査に必要な書類の整理
  • 金融機関などへの照会手続きの支援
  • 相続財産目録の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続手続き全体の進行整理

ただし、行政書士へ依頼したからといって、何も準備する必要がないわけではありません。

通帳、残高証明書、固定資産税の納税通知書、証券会社の資料、借入金の契約書など、財産や負債の内容が分かる資料があれば、できるだけまとめておくと手続きを進めやすくなります。

資料が一部しか見つからない場合でも、現時点で分かっている内容から相談できます。

相続財産目録や遺産分割協議書の作成を相談できる

相続財産目録は、相続人全員で財産の全体像を確認し、遺産分割協議を進めるための資料です。

行政書士へ依頼する場合は、収集した資料をもとに、預貯金、不動産、株式、借入金、未払金などを整理し、相続人が確認しやすい形で目録を作成します。

さらに、相続人全員の話し合いがまとまった後は、その内容を遺産分割協議書へ反映することもできます。

相続財産目録の段階で、金融機関名、支店名、口座の種類、不動産の所在地や地番、共有持分などを整理しておくと、遺産分割協議書の作成も進めやすくなります。

ただし、誰がどの財産を取得するかについて相続人の間で争いがある場合、行政書士が一方の代理人として交渉することはできません。そのような場合は、弁護士への相談が必要です。

司法書士・税理士・弁護士への相談が必要になる場合

相続手続きの内容によっては、行政書士以外の専門家へ相談する必要があります。

手続き・相談内容主な相談先
不動産の名義変更司法書士
相続税の申告や税額計算税理士
相続人同士の争いや交渉弁護士
相続財産目録や遺産分割協議書の作成行政書士

相続財産の中に不動産がある場合は、目録や遺産分割協議書を作成した後に、司法書士へ相続登記を依頼する流れになることがあります。

また、相続税の申告が必要か分からない場合や、相続税評価の計算が必要な場合は、税理士へ確認します。

相続人同士で財産の分け方について意見が対立している場合や、交渉が必要な場合は、弁護士へ相談します。

相続手続きでは、ひとつの専門家だけで完結しないこともあります。どの手続きに誰の支援が必要か分からない場合は、まず現在の状況を整理し、必要に応じて適切な専門家へつなぐ形で進めるとよいでしょう。

IT行政書士事務所では、相続財産に関する資料整理、相続財産目録の作成、遺産分割協議書の作成について、ご事情に応じた支援を行っています。

目録作成に手間取っている場合や、どこまでご自身で進めればよいか分からない場合は、現在そろっている資料をもとにご相談ください。

⑫相続財産目録に関するよくある質問

Q:相続財産目録は必ず作らなければなりませんか?

相続財産目録は、すべての相続で必ず作成しなければならない書類ではありません。

ただし、遺産分割協議を進める場合は、どのような財産や負債があるのかを相続人全員で確認する必要があります。財産の種類や件数が多い場合は、一覧にまとめておくことで、話し合いや遺産分割協議書の作成を進めやすくなります。

預貯金が一つだけで、相続人全員が内容を把握しているような場合は、簡単な一覧でも足りることがあります。一方、不動産や株式、借金などがある場合は、相続財産目録を作成しておいた方が確認しやすいでしょう。

Q:相続財産目録は手書きでも作れますか?

手書きでも作成できます。

相続財産目録には決まった書式がないため、必要な情報が整理されていれば、手書きで作成しても問題ありません。

ただし、後から財産や負債が見つかった場合は、内容を追加したり金額を修正したりする必要があります。財産の件数が多い場合や、調査途中で何度も更新する可能性がある場合は、WordやExcelで作成した方が管理しやすいでしょう。

Q:評価額が分からなくても作成できますか?

評価額が分からない財産があっても、相続財産目録の作成を始めることはできます。

不動産、骨董品、非上場株式などは、すぐに評価額を確認できないことがあります。その場合は、空欄のままにせず、「評価中」「査定依頼中」「金額確認中」などと記載しておきます。

財産の存在自体を先に目録へ載せておけば、後から評価額を確認して追記できます。確認できていない項目が分かるようにしておくことが、記載漏れを防ぐうえでも大切です。

Q:借金や未払金も記載する必要がありますか?

借金や未払金も記載します。

相続財産目録は、預貯金や不動産などのプラスの財産だけをまとめるものではありません。住宅ローン、カード利用代金、税金、医療費、公共料金などの未払金も、確認できた範囲で整理します。

また、連帯保証など、現時点で支払いが発生しているか分からないものについても、契約の存在が確認できた場合は「金額確認中」などと記載しておくとよいでしょう。

Q:後から財産が見つかった場合はどうしますか?

後から財産や負債が見つかった場合は、相続財産目録へ追記します。

相続財産目録は、一度作成したら変更できない書類ではありません。財産調査の進み具合に応じて更新し、相続人全員で最新の内容を共有します。

すでに遺産分割協議が終わった後に新たな財産が見つかった場合は、その財産をどのように分けるかについて、追加で話し合いが必要になることがあります。遺産分割協議書を作成するときは、後から見つかった財産の扱いについて定めておく方法もあります。

Q:相続財産目録と遺産目録に違いはありますか?

「相続財産目録」と「遺産目録」は、実務上ほぼ同じ意味で使われています。

どちらも、亡くなった方の財産や負債を一覧にまとめた書類を指します。ただし、「遺産目録」という言葉から、預貯金や不動産などのプラスの財産だけをイメージする方もいます。

この記事では、借金や未払金なども含めて整理することを明確にするため、「相続財産目録」という名称を使用しています。

Q:行政書士に目録作成だけを依頼できますか?

行政書士には、相続財産に関する資料を整理し、相続財産目録を作成する業務を相談できます。

どこまで依頼できるかは、財産の内容や資料のそろい具合、事務所の取扱業務によって異なります。目録作成だけを依頼したい場合は、現在確認できている財産や負債、手元にある資料を伝えたうえで相談するとよいでしょう。

IT行政書士事務所では、相続財産に関する資料整理、相続財産目録の作成、遺産分割協議書の作成について、ご事情に応じた支援を行っています。

目録を作ろうとしても財産の整理が進まない場合や、記載漏れが不安な場合は、現在分かっている範囲からご相談ください。

まとめ|相続財産目録は財産と負債を整理して作成する

相続財産目録は、亡くなった方の財産や負債を一覧にまとめ、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成に役立てるための資料です。

決まった一つの書式があるわけではありませんが、預貯金や不動産、株式などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含めて整理することが大切です。

また、財産の種類や金額だけでなく、金融機関名や支店名、不動産の所在地や持分、評価額の基準日や根拠資料まで記載しておくと、相続人同士で内容を確認しやすくなります。

特に評価額については、いつ時点の金額なのかを明確にし、その金額どおりに売却できるとは限らないことも共有しておきましょう。不動産や骨董品のように、資料上の評価額と実際の売却価格が大きく異なる財産もあります。

相続財産目録は、一度作成したら終わりではありません。調査が進み、新たな財産や負債が見つかった場合は、その都度追記して内容を更新します。

財産の種類が多い場合や、評価方法が分からない場合、借金や保証債務の確認に不安がある場合は、ご自身だけで整理しようとすると時間がかかることがあります。

IT行政書士事務所では、相続財産に関する資料整理、相続財産目録の作成、遺産分割協議書の作成について、ご事情に応じた支援を行っています。

目録作成に手間取っている方や、記載漏れがないか不安な方は、現在そろっている資料をもとにご相談ください。