【2025年最新版】遺言書に必要な書類とは?種類別の準備リストと作成手順を行政書士が解説

目次

遺言書の不備で起きた“リアルな相続トラブル”

遺言書は、人生の最後に遺す「想いのメッセージ」であり、大切な人たちの間での争いを防ぐための強力なツールです。

しかし実際には、その遺言書が逆にトラブルの火種になるケースが少なくありません。ここでは、実際によくある失敗例を通して、「なぜ正しく書類を整えた遺言書が必要なのか」を見ていきましょう。

よくある失敗例①:遺言書が見つかったのに無効だった

ある60代男性のケースです。亡くなった直後、自宅の机の引き出しから遺言書が見つかりました。

内容には「長男にすべての財産を遺す」と書かれていましたが、日付が抜けており、署名も判読不能です。結果としてこの遺言書は法的に無効とされ、法定相続分に従って相続が進むことになりました。次男は強く反発し、兄弟間の関係が断絶する結果となりました。

ポイント: 遺言書は、単に「気持ち」を書いただけでは効力が発生しません。法的な要件(署名・押印・日付など)と正しい形式が揃っていないと無効になります。

よくある失敗例②:遺言書の内容が曖昧で兄弟が絶縁

70代の女性が自筆で遺した遺言書には、「長男には不動産を、次男には預金を」という文言が書かれていましたが、どの不動産か、どの預金かの詳細が記載されていませんでした。

結果的に、どの不動産を指すのかをめぐって兄弟間で激しい言い争いが起こり、家庭裁判所での調停にまで発展しました。

ポイント: 財産の記載は「特定できる形で正確に」書く必要があります。不動産なら「●●市●●町●丁目●番の土地」、預金なら「●●銀行●●支店 普通預金 口座番号●●」のように明記する必要があります。

よくある失敗例③:書類が不足して遺言が実行できなかった

80代の男性が公正証書遺言を作成したが、遺言書に記載された不動産の登記簿情報が古く、相続登記に使えなかったという事例です。

相続人は再度、法務局に登記簿を取り直し、手続きに時間と費用がかかりました。さらに、財産目録の一部に誤記があり、金融機関とのやりとりも難航。相続手続きが予定よりも半年以上長引きました。

ポイント: 正式な遺言書であっても、添付すべき書類が不足・不備だと実行に支障が出る可能性があります。作成時点で最新の書類を揃えることが重要です。

なぜこのようなトラブルが起きるのか?

これらの失敗に共通しているのは、「遺言書を軽く考えていた」「自分で書けばなんとかなると思っていた」という点です。

  • 書き方の知識がないまま自筆で作成
  • 必要書類の重要性を認識していなかった
  • 財産の特定が曖昧
  • 書類の有効期限や正式性を確認していなかった

といった理由で、せっかく遺言書を残したのに、相続人の間にトラブルが生まれてしまったのです。

こうした事例を見れば、「遺言書をただ書けば良い」というわけではなく、正しい知識と準備が必要であることが分かります。

次章では、遺言書を作成する際にまず知っておきたい、種類とその違いを解説していきます。

遺言書を作成する前に知っておくべき基礎知識

遺言書を作成する前に、必ず押さえておきたい「基本的なルール」や「種類の違い」があります。

これを知らずに作成を始めてしまうと、せっかくの遺言書が無効になる可能性も。ここでは、誰もが知っておくべき基本情報をわかりやすく整理してお伝えします。

遺言書の種類(自筆・公正証書・秘密証書)とは

日本の民法では、主に以下の3種類の遺言書が認められています。

① 自筆証書遺言

  • 特徴: 自分で全文を手書きして作成する方法。
  • メリット: 費用がほとんどかからず、手軽に書ける。
  • デメリット: 書式不備で無効になるリスクが高い。発見されない可能性も。

※2020年の法改正により、財産目録のみパソコン作成・コピー添付が可能になりましたが、署名・日付・押印は必須です。

② 公正証書遺言

  • 特徴: 公証役場で、公証人が内容を聞き取り、文書化してくれる形式。
  • メリット: 法的に最も確実で、無効になるリスクが極めて低い。原本も公証役場に保管される。
  • デメリット: 公証人との面談が必要で、ある程度の費用がかかる(数万円〜10万円程度)。

③ 秘密証書遺言

  • 特徴: 内容は秘密にできるが、公証役場で封印の手続きだけ行う形式。
  • メリット: 内容を誰にも見られずに作成可能。
  • デメリット: 実務ではあまり使われない。無効リスクも比較的高い。

それぞれのメリット・デメリット比較

遺言書の種類メリットデメリット
自筆証書遺言費用がかからない/自宅で手軽に作成可能無効になるリスクが高い/紛失・改ざんの恐れ
公正証書遺言法的に最も確実/原本が保管される/第三者が作成に関与費用がかかる/作成に手間と時間が必要
秘密証書遺言内容を秘密にできる/本人が自由に作成可能実務での扱いが少ない/無効リスクが高い

法的に有効な遺言書に必要な3つの条件

どの種類の遺言書であっても、法的に有効と認められるためには以下の条件が必須です。

1. 作成時に「遺言能力」があること

遺言は15歳以上であれば可能ですが、認知症や心身の状態により判断能力が不十分と見なされると無効になることがあります。

2. 民法に定められた「形式要件」を守ること

特に自筆証書遺言では、

  • 自書であること
  • 作成日を明記すること
  • 署名・押印があること

など、形式不備があると無効になります。

3. 遺言書が「発見・実行」される状態であること

作っても、誰にも気づかれずに放置されては意味がありません。

  • 公正証書遺言なら公証役場に保管
  • 自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用するなど、「確実に見つかる状態」にしておくことが大切です。

このように、遺言書には種類ごとにルールや注意点が存在します。

安易に「とりあえず書いてみよう」と始めるのではなく、自分に合った形式と正しい作成方法を選ぶことが、将来のトラブル防止につながります。

次章では、それぞれの遺言書を作成するために必要な書類について、詳しく解説していきます。

遺言書に必要な書類一覧【完全ガイド】

遺言書は「ただ書けばよい」というものではなく、その内容を裏付ける書類の準備が極めて重要です。

書類が不足していると、相続手続きに時間がかかったり、場合によっては遺言の実行自体ができなくなることもあります。

このセクションでは、自筆証書遺言・公正証書遺言それぞれに必要な書類を、わかりやすく解説していきます。

自筆証書遺言で必要な書類

自筆証書遺言は自分で作成するため自由度が高い反面、書類の抜けやミスが自己責任になります。以下の書類は必ず用意しておくことをおすすめします。

① 本人確認書類

  • 運転免許証、マイナンバーカードなど
  • 遺言書の作成者本人を特定するための資料

② 戸籍謄本(全部事項証明書)

  • 自分の戸籍と相続人(推定相続人)の確認に使用
  • 家族構成を明確にし、相続の優先順位を判断する材料になります

③ 財産目録

  • 不動産・預貯金・株式・保険・動産などすべての資産の一覧
  • 項目ごとに、具体的な情報(口座番号・物件所在地など)を記載

※2020年法改正以降、財産目録のみパソコンやコピーで作成可。ただし、各ページに署名・押印が必要です。

④ 不動産関係書類(あれば)

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 固定資産税評価証明書

公正証書遺言で必要な書類

公正証書遺言は、公証人が文案を作成してくれるため安心ですが、事前に準備すべき書類が多く、正確性も求められます。

① 本人の確認書類

  • 運転免許証やマイナンバーカード
  • 印鑑登録証明書(有効期限3か月以内)

② 相続人の戸籍謄本

  • 推定相続人全員分の戸籍謄本を準備することで、正確な相続関係を確認できます

③ 財産関係書類

  • 預貯金の通帳コピー(口座番号が分かるページ)
  • 株式や有価証券の残高証明
  • 生命保険の保険証券や契約内容

④ 不動産の登記簿謄本・固定資産評価証明書

  • 正確な不動産情報を記載するために必要
  • 物件所在地や権利関係を公証人が確認します

⑤ 証人の身分証明書(2名分)

  • 公正証書遺言には証人2名の立ち会いが必須
  • 証人には利害関係がないこと(家族不可)も条件になります

不動産を遺す場合に必要な追加書類

不動産が絡む場合は、登記情報の正確さが重要です。不備があると、相続登記が通らないこともあります。

登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局で取得します。現在の所有者・所在地・地番などが記載されています。

固定資産税評価証明書

市区町村役場で取得します。相続税や評価額の計算に必要になります。

注意ポイント

登記事項証明書は「3か月以内のもの」が望ましいとされています。古い情報では、すでに売却・相続が発生している可能性もあるためです。

預貯金・株式・保険など金融資産に関する書類

金融資産を遺す場合、具体的な情報を記載しないと、相続人が手続きを進めることが難しくなります。

  • 銀行口座の通帳コピー
    支店名・口座番号が確認できるページ
  • 証券会社の残高証明書や取引報告書
  • 保険契約の控え
    保険会社名、契約番号、受取人名義など

ワンポイント:金融資産の情報は頻繁に変わる可能性があるため、定期的に見直すことが重要です。更新しないままの情報を遺言書に書いてしまうと、手続き時に混乱を招くことがあります。

書類の整備が遺言書の信頼性を高める

遺言書の効力は、書類の正確性と整合性によって大きく左右されます。特に、公正証書遺言では公証人がこれらの書類を精査し、内容を確認してから作成に入ります。
一方、自筆証書遺言は自分自身で確認・準備する必要があるため、書類の抜けや間違いが起きやすくなります。

「この不動産はこの人に」
「この預金はこの子に」
と明確に意図を伝えるためには、正確な資料と情報の裏付けが欠かせません。

次章では、これらの書類を集める際につまずきやすいポイントと、その対策について詳しく紹介していきます。

書類収集でつまずくポイントと対策

遺言書の作成では、「どのように書くか」だけでなく、「必要な書類をどう揃えるか」も非常に重要です。実際に多くの方が書類集めの段階で手間取り、遺言書の完成が大幅に遅れるケースもあります。

ここでは、実務上よくあるつまずきポイントと、それに対する具体的な対策を解説します。

戸籍関係の取得が意外と大変?

遺言書の作成にあたり、自分自身や相続人の戸籍謄本が必要になりますが、この取得作業が思った以上に大変です。

よくある問題

  • 結婚や転籍を繰り返していると、本籍地が複数存在している可能性あり
  • 役所間での連携がないため、一つずつ取り寄せる必要がある
  • 郵送で取り寄せると1〜2週間以上かかる

対策

  • まずは本籍地の履歴を確認し、どこに戸籍があるかを整理
  • 法定相続情報一覧図の作成を行政書士に依頼すれば、戸籍の取り寄せ・整理も一括で任せられます

不動産登記簿が古くて使えない?

不動産を遺す場合、登記事項証明書(登記簿謄本)は欠かせませんが、情報が古い・不備があるという問題が頻発しています。

よくある問題

  • 所有者の住所変更が反映されていない
  • 名義が亡くなった親や祖父母のまま
  • 地番と住居表示の混同(例:住所は●丁目でも登記は「●番地」)

対策

  • 法務局で最新の登記事項証明書を取得し、内容を確認
  • 不安がある場合は、不動産の権利調査を専門家に依頼するのが安心

豆知識:法務局では「登記情報提供サービス」もあり、オンラインで不動産の登記内容を確認できます。

財産目録を自分で作るとミスが起きやすい理由

財産目録は「遺言書の核」とも言える重要な資料です。しかし、自分だけで作ると次のようなミスが起きがちです。

よくある問題

  • 抜け漏れ(保険・株式・借金などを見落とす)
  • 名義の確認不足(共同名義の不動産、家族名義の口座など)
  • 評価額の不正確さ(相続税に影響する)

対策

  • 財産一覧をジャンル別にリスト化(不動産/預金/有価証券/動産/債務など)
  • 不明点がある場合は、行政書士や税理士に相談しながら進める
  • 定期的に見直し・更新を行う(年に1回がおすすめ)

書類の有効期限やフォーマットの違いに注意

役所から取得した書類の中には、有効期限があるものもあります。

また、提出先によってはフォーマットや提出方法が異なることもあるため要注意です。

よくある注意点

  • 印鑑登録証明書は発行から3か月以内が原則
  • 書類のコピーではなく「原本提出」が求められるケースも
  • 金融機関によっては独自の所定書式が必要なことがある

対策

  • 作成スケジュールを逆算し、必要なタイミングで取得する
  • 書類ごとに「取得日・有効期限」を明記して管理する
  • 自信がない場合は、専門家に収集の代行を依頼するのも一つの手

専門家に依頼することで避けられるトラブルとは?

書類収集は、思った以上に煩雑で時間がかかる作業です。そこで多くの方が活用しているのが行政書士などの専門家への依頼です。

専門家に依頼するメリット

  • 書類の抜け漏れを防げる
  • 本籍や登記内容の調査・取り寄せを一括で代行
  • 自分に合った遺言形式や必要書類のアドバイスももらえる

実際に「自分でやろうとして1ヶ月かかった作業が、行政書士に頼んだら1週間で終わった」という声も少なくありません。

煩雑な書類集めは、多くの人にとって挫折ポイントになりやすい部分です。しかし、ここでしっかりと準備をしておくことで、確実に実行される、信頼性の高い遺言書を完成させることができます。

次章では、いよいよ遺言書作成の5つのステップについて詳しく解説していきます。

遺言書の作成ステップを5段階で解説

「遺言書を作ろう!」と思い立ったとき、多くの人が直面するのが「何から始めればいいの?」という疑問です。

ここでは、誰でもスムーズに遺言書作成に取り組めるように、5つのステップに分けて解説します。

自筆証書・公正証書いずれにも対応できるように、実務的な観点からまとめています。

ステップ1:財産と相続人の棚卸し

まず最初に行うのが、「自分にはどんな財産があり、誰が相続人になるのか」を明確にすることです。

確認ポイント

  • 不動産(土地・建物)の所有状況
  • 預貯金や証券、保険の契約内容
  • 自動車、貴金属、美術品などの動産
  • 借金やローンなどの負債
  • 法定相続人(配偶者、子、兄弟姉妹など)

ポイント:「財産目録」を紙またはExcelで作成すると整理がしやすく、後の作成作業がスムーズになります。

ステップ2:必要書類を準備する

棚卸しが終わったら、次はそれを証明する書類を揃える段階です。

必要になる代表的な書類

  • 戸籍謄本、住民票(本人・相続人)
  • 不動産登記事項証明書、評価証明書
  • 預金通帳のコピー、証券会社の残高証明書
  • 保険証券、年金通知書など
  • 自筆証書の場合は、本人確認書類と印鑑

公正証書遺言の場合は、証人2名の身分証明書や印鑑証明も必要になります。

注意: 書類には有効期限があるものもあるので、作成スケジュールを考慮しながら揃えていきましょう。

ステップ3:遺言書の文案を作成する

ここが最も重要かつ難しい工程です。

遺産の分配をどうするか、付言事項(メッセージ)をどう書くかなど、感情と法律の両方のバランスを取る必要があります。

書き方のコツ

  • 誰に、どの財産を、どのように相続させるかを明確に特定
    例:「東京都○○区△△1丁目2番3号の土地は長男○○に相続させる」
  • 付言事項(遺族へのメッセージ)を活用し、誤解を防ぐ
    例:「長男には介護で世話になったため、多めに財産を相続させます」

豆知識:文案の段階で行政書士にチェックしてもらうことで、誤解や無効リスクを回避できます。

ステップ4:形式に沿って遺言書を正式に作成

準備が整ったら、いよいよ遺言書を「正式な形」で作成します。
ここでは、自筆証書と公正証書、それぞれのポイントを見ていきましょう。

自筆証書遺言の場合

  • 全文を自筆で書く(財産目録は印字も可)
  • 日付・署名・押印を必ず記載
  • 書き損じた場合は、訂正方法にも厳格なルールあり

公正証書遺言の場合

  • 公証役場に予約を取り、公証人と面談
  • 証人2名の立会いが必要
  • 公証人が作成し、原本は公証役場に保管

補足:公正証書遺言では、本人が病気や高齢で出向けない場合、公証人が自宅や病院に出張してくれる制度もあります。

ステップ5:保管・共有・見直しのポイント

せっかく作成した遺言書も、適切に管理されていなければ意味がありません。
「どこに保管し、誰に伝えるか」も大切な工程です。

保管のポイント

  • 自筆証書:自宅保管ではなく法務局の遺言書保管制度の利用がおすすめ
  • 公正証書:公証役場に原本が保管され、紛失リスクなし

共有のポイント

  • 家族には「遺言書を作成したこと」を伝えておく
  • 遺言執行者(信頼できる人や専門家)を指定しておくとスムーズ

見直しのタイミング

  • 家族構成の変化(結婚・離婚・出生・死亡)
  • 財産の増減や内容変更
  • 相続税法の改正や法律の変更

豆知識:遺言書は何度でも作り直すことが可能です。内容を更新した場合は、古いものを破棄し、最新版だけが残るようにしましょう。

これら5つのステップを踏むことで、法的にも実務的にも信頼できる遺言書が完成します。


「まだ早いかも」と思っているうちに、もしものことが起きてしまえば、取り返しがつかなくなることもあります。

次章では、こうした手間や不安を一気に解決できる行政書士への依頼メリットについて紹介します。

ここが安心!行政書士に相談するメリット

ここまで読み進めていただいた方は、「遺言書の作成って、想像以上にやることが多い…」と感じているかもしれません。

その感覚、正解です。

遺言書は法律文書である以上、「気持ちを綴る」だけでは足りません。正確な情報・形式・書類の裏付けなど、実務と法律の知識をバランスよく求められる作業です。

だからこそ、遺言書作成には「行政書士」という専門家のサポートを活用する価値があります。

書類収集・文案作成・法的チェックをワンストップで

行政書士は、相続・遺言に関する法務手続きのプロフェッショナルです。

遺言書の作成に必要な各ステップを、一括してサポートしてくれます。

行政書士ができること

  • 財産や相続人の整理・ヒアリング
  • 財産目録の作成サポート
  • 必要書類の案内・収集代行
  • 遺言文案の作成支援(法的要件を満たすように)
  • 公正証書遺言の公証人との調整・予約手続き
  • 自筆証書遺言の内容チェック など

ポイント:「何をどうすればいいか分からない」状態でも、行政書士がヒアリングを通じて必要な内容を整理してくれるため、自分一人で悩み続ける必要がありません。

トラブル防止・公証人との調整もお任せ

遺言書は、後になって争いを招く可能性があります。

内容が曖昧だったり、相続人が納得できないような記載があると、家庭裁判所での調停や、最悪の場合は訴訟に発展することもあります。

行政書士に相談することで、

  • 曖昧な表現の回避
  • 相続人間の誤解を防ぐ配慮
  • 不動産や資産の分配バランスへのアドバイス

など、実際に“争いにならない遺言”を意識したアドバイスを受けることができます。

また、公正証書遺言を作成する場合には、

  • 公証人との事前打ち合わせ
  • 書類の提出
  • 面談日時の調整

といった煩雑な手続きも、行政書士がすべて対応してくれます。

遺言書保管制度や遺言執行者の相談にも対応

遺言書は、書いて終わりではありません。
「確実に見つけてもらえるか」「実行してもらえるか」が非常に重要です。

行政書士ができるサポート

  • 自筆証書遺言の法務局保管制度への申請サポート
  • 遺言執行者の選定についての相談(本人が行政書士を指定することも可能)
  • 定期的な遺言内容の見直しサポート

豆知識:行政書士が遺言執行者として指定されると、亡くなった後の相続手続き全体を代行でき、家族の負担を大幅に減らせます。

行政書士に依頼する費用とその価値

費用面が気になる方も多いと思います。もちろん地域や内容によって異なりますが、目安は以下の通りです。

費用の相場感(例)

  • 自筆証書遺言の文案チェック:3万円〜5万円前後
  • 公正証書遺言のサポート(書類準備含む):5万円〜10万円程度
  • 書類の収集代行:実費+1〜3万円程度

費用を抑えるコツ

  • 必要書類を自分で一部用意することで、依頼費用を軽減できます
  • 相続人が複雑でない場合は、相談内容を簡潔にまとめるのも◎

費用対効果の視点:遺言書が不備で無効になり、何百万円・何千万円の相続が争いに…というリスクを防げると考えれば、決して高い投資ではありません。

「何となく不安」「自分でやってミスしたくない」と感じているなら、まずは無料相談を実施している行政書士事務所に連絡してみるのがおすすめです。

専門家の伴走があるだけで、不安が安心に変わり、遺言作成が一気に現実的なものになります。

次章では、この記事のまとめと、今すぐ始めるための行動指針をお伝えします。

Q&A:遺言書の作成・必要書類に関するよくある質問

Q1. 遺言書を作成するのに最低限必要な書類は何ですか?

A.遺言書の種類によって異なりますが、最低限必要なのは以下の通りです。

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 戸籍謄本(自分と推定相続人)
  • 財産情報(通帳のコピー、不動産登記事項証明書など)

自筆証書遺言なら比較的少ない書類で始められますが、公正証書遺言では証人の身分証や印鑑証明書なども必要です。

Q2. 不動産を相続させたい場合、どんな書類が必要ですか?

A.以下の2つは必須になります。

  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 固定資産評価証明書

これらにより、不動産の正確な所在や評価額、所有者情報を明確にできます。特に公正証書遺言では、公証人がこれらの情報を確認するため、最新のものを準備しましょう。

Q3. 預貯金や株式など、金融資産を記載するには何が必要ですか?

A.

  • 銀行の通帳のコピー(支店名・口座番号が分かるページ)
  • 証券会社の残高証明書や取引明細
  • 保険証券のコピー(契約内容・受取人が分かるもの)

これらの書類をもとに、財産目録を正確に作成することが重要です。口座や契約番号の記載漏れがあると、手続きに支障が出ることがあります。

Q4. 書類が不足していたら、遺言は無効になりますか?

A.書類の不足だけで即無効になることはありませんが、遺言の内容が不明確になり、実行できなくなる可能性が高くなります。

例えば、相続させる財産が「○○の土地」とだけ記載されていても、その土地が特定できなければ執行できません。

ですので、書類は遺言の信頼性を裏付ける重要な証拠と考えておくのが良いでしょう。

Q5. 書類は古くても大丈夫ですか?

A.原則として最新の書類を使うことを推奨します。

特に次のようなケースでは古い書類では不十分です。

  • 登記事項証明書:不動産の権利関係が変更されている場合あり
  • 印鑑証明書:多くの手続きでは「発行から3か月以内」が条件
  • 戸籍:転籍・結婚・出生で記録が分割されている可能性あり

行政書士に相談すれば、必要な書類の種類と有効期限についても丁寧に教えてもらえます。

Q6. 遺言書を作成するベストなタイミングはいつですか?

A.「迷ったら今がその時」です。

遺言書は、判断能力があるうちに作成する必要があります。特に以下の方は早めに準備しておくのがおすすめです。

  • 高齢または持病がある方
  • 相続人が複数いて関係が複雑な方
  • 不動産や事業など、分割が難しい資産を持つ方

Q7. 行政書士に依頼すると、どこまでやってもらえますか?

A.行政書士は、次のような支援を提供しています。

  • 財産目録や相続人の整理
  • 書類の収集代行
  • 遺言文案の作成・チェック
  • 公正証書遺言の公証人との調整・同行
  • 自筆証書遺言の法務局保管申請サポート
  • 遺言執行者としての指定も可能

ご自身でやるのが不安な方、忙しくて準備が難しい方には特に心強いパートナーです。

まとめ|“準備がすべて”の遺言書。早めに動こう

ここまで、「遺言書の種類」「必要な書類」「作成手順」「つまずきやすいポイント」「行政書士への相談メリット」などを順を追って解説してきました。

読み終えた今、あなたはもうお気づきのはずです。

遺言書の作成は、
「ただ気持ちを綴るだけでは不十分」
「必要な書類と正確な知識がなければ成立しない」
ということをご理解いただけたかと思います。

必要書類の不備が、遺言の効力を左右する

たとえどんなに思いを込めた遺言書であっても、

  • 署名や日付がない
  • 曖昧な表現がある
  • 添付書類が不足している

といった形式的な不備によって、無効になることがあります。

さらに、仮に有効でも、情報不足によって相続手続きが進められなかったり、残された家族にストレスや負担を与えてしまうことも。

いつかやろうが、間に合わないかもしれない

遺言書の作成には、思った以上に時間と準備が必要です。

特に以下のような人は、早めの準備が重要です。

  • 60代以上で、体調や判断能力に不安がある
  • 家族構成が複雑(再婚・内縁関係・疎遠な相続人など)
  • 事業や不動産など、分割が難しい資産がある
  • 相続人間の関係性に不安がある

遺言書は、思い立ったときがベストタイミングです。

作成に早すぎることはありませんが、遅すぎた場合にはもう作れない可能性があります。

不安や迷いがあるなら、まずは行政書士に相談を

「自分で書いてみようかと思ったけど、ちょっと不安…」
「何から手をつければいいか分からない…」

そう思ったときこそ、専門家の力を借りるべきタイミングです。

行政書士に相談することで、

  • 書類の収集サポート
  • 正しい遺言書の形式・文案作成
  • 公証役場とのやりとり代行

など、一人では難しい部分を安心して任せることができます。

“思い”を、しっかりと“かたち”に

遺言書は、残された家族への最後のメッセージです。

争いを防ぐためだけでなく、「ありがとう」や「お疲れさま」といった感謝の気持ちを伝える大切な手段でもあります。

だからこそ、書類と法律の整備を怠らず、安心して“かたち”として残せる準備をしておきましょう。

「今なら、間に合います。」

まずは一歩踏み出して、未来の安心を手に入れましょう。