「遺言書はまだ早いのではないか」
「うちは家族仲がいいから大丈夫」
そう考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、相続トラブルの多くは「特別な家庭」ではなく、ごく普通の家庭で起きているのが現実です。
特に注目すべき点として、遺産総額が5,000万円以下の相続のほうが、調停や裁判に発展するケースが多いというデータもあります。
これは、「財産が少ないから争いにならない」というイメージとは逆の結果です。
なぜこのようなことが起きるのかというと、
不動産など分けにくい財産が含まれていたり、感情的な対立が表面化しやすかったりするためです。
その結果、遺言書がないまま相続を迎えると、財産の分け方をめぐって家族の意見が食い違い、思わぬトラブルにつながることがあります。
また、自宅や土地などの不動産がある場合や、特定の人に多く財産を残したい場合、あるいは相続人以外の人に財産を渡したい(遺贈)といったケースでは、遺言書がないことで希望が実現できない可能性もあります。
では、遺言書は本当に必要なのでしょうか。
また、作るとしたら「自分で書けばよいのか」「専門家に依頼すべきなのか」で迷う方も多いはずです。
結論から言うと、相続トラブルを防ぎ、確実に意思を残したいのであれば、公正証書遺言を作成し、専門家のサポートを受けることが有効です。
この記事では、
- 遺言書が必要なケース
- 相続トラブルが起こる原因
- 公正証書遺言のメリット
- 行政書士に依頼することで得られる安心
などを、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
「自分にはまだ必要ないのか、それとも今から準備すべきか」
判断に迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次
①:遺言書は必要?まず結論から解説
結結論から言うと、遺言書はすべての人に必ず必要というわけではありません。
しかし、相続でトラブルが起きる可能性が少しでもある場合は、作成しておくべき重要な備えです。
なぜなら、遺言書がない場合、相続は民法で定められた「法定相続分」に従うか、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)によって決めることになるからです。
一見、公平に見える仕組みですが、実際にはこの「話し合い」が大きなトラブルの原因になることがあります。
例えば、次のようなケースです。
- 自宅しか大きな財産がなく、現金はあまりない場合、均等に分けることができず、誰が不動産を取得するかで対立が生じる
- 介護の負担が一人の子どもに集中していた場合、その人は「多く財産をもらうべき」と考える一方で、他の相続人がその負担を十分に評価せず、話し合いがまとまらない
- もともと兄弟姉妹の関係性は悪くなかったにもかかわらず、相続をきっかけに意見が対立し、関係が悪化してしまう
このように、相続におけるトラブルは、特別な事情がある場合に限らず、どの家庭でも起こり得る現実的な問題です。
遺言があっても遺産分割協議は必要?判断基準と注意点をわかりやすく解説
さらに、遺言書がない場合には、次のような問題が生じる可能性があります。
- 特定の人に多く財産を残したいという意思が反映されない
- 内縁の配偶者やお世話になった人に財産を渡せない(遺贈ができない)
- 手続きが進まず、相続が長期化する
このように、遺言書がないことで「思いどおりに財産を残せない」「相続手続きが滞る」といったリスクが生じます。
こうしたリスクを防ぐためには、あらかじめ遺言書で財産の分け方を明確にしておくことが重要です。
では、どのような人が特に遺言書を作成すべきなのでしょうか。
ひとつの目安としては、次のような方です。
- 子どもが複数おり、財産の分け方について事前に整理しておきたいと考えている人
- 自宅や土地などの不動産があり、どのように分けるかで相続人の意見が分かれる可能性がある人
- 家族間で財産の分け方に対する考え方に違いがあり、相続時にもめる可能性を感じている人
- 特定の家族やお世話になった人に、より多く財産を残したいという意思がある人
- 相続人以外の人(内縁の配偶者やお世話になった方など)に財産を渡したいと考えている人(遺贈を検討している人)
- 自分の死後、相続手続きや財産の分け方で家族に負担や迷いをかけたくないと考えている人
これらに一つでも当てはまる場合は、遺言書の作成を前向きに検討する価値があります。
また、「自分は大丈夫」と思っているケースでも注意が必要です。
相続トラブルは遺産総額が大きい場合だけでなく、比較的少額の相続でも多く発生しているため、誰にでも起こり得る問題といえます。
そのため、相続トラブルを未然に防ぎ、自分の意思を確実に実現するためには、早い段階から遺言書について考えておくことが大切です。

遺言書がある場合・ない場合の違い
遺言書がある場合とない場合では、相続の進み方やトラブルの起こりやすさに大きな違いがあります。
以下の表をご覧ください。
| 項目 | 遺言書がある場合 | 遺言書がない場合 |
|---|---|---|
| 財産の分け方 | 遺言の内容に従って分ける | 相続人同士の話し合いで決める |
| 手続きの進み方 | 比較的スムーズに進む | 合意が必要なため時間がかかることがある |
| トラブルの可能性 | 低く抑えられる | 意見の対立によりトラブルになりやすい |
| 特定の人への配分 | 遺言により指定できる | 原則として法定相続分に従う |
| 相続人以外への財産 | 遺贈により可能 | 原則として不可能 |
このように、遺言書がある場合は「誰に・何を・どのように」分けるかがあらかじめ決まっているため、相続人同士で話し合う負担が大きく軽減されます。
一方で、遺言書がない場合は、すべてを相続人同士の話し合いで決める必要があります。
そのため、意見がまとまらない場合には手続きが進まず、相続が長期化したり、最終的には調停や裁判に発展するケースもあります。
特に、不動産など分けにくい財産がある場合や、家族間で考え方に違いがある場合には、遺言書の有無が結果に大きく影響します。
相続をスムーズに進めたいのであれば、遺言書の有無は非常に重要なポイントになります。
②:相続トラブルはなぜ起こるのか

相続トラブルは、特別な家庭や資産家だけに起こるものではありません。
むしろ、一般的な家庭ほど起こりやすい側面があります。
では、なぜ相続トラブルは起きてしまうのでしょうか。
主な理由は、次の3つに集約されます。
相続人それぞれの「考え方の違い」
相続では、「公平に分けたい」という考えが基本になります。
しかし、この“公平”の捉え方は人によって異なります。
例えば、
- 「法律どおりに平等に分けるべき」と考える人
- 「介護をした分、多くもらうべき」と考える人
- 「実家を守ってきた自分が引き継ぐべき」と考える人
このように、それぞれの立場や価値観によって“正しい”と考える基準が違うため、話し合いがまとまりにくくなります。
相続においては、事実としての財産や状況は一つですが、
それをどう捉えるかは人それぞれ異なります。
いわば、「事実は一つでも、人の数だけ正しさがある」状態になりやすく、
その違いが対立につながってしまうのです。
財産の内容が「分けにくい」
相続トラブルの大きな原因のひとつが、財産の分けにくさです。
特に多いのが、不動産が中心のケースです。
- 自宅しか大きな財産がない
- 売却するか、そのまま住むかで意見が分かれる
- 評価額に納得できない人が出てくる
現金であれば単純に分けることができますが、不動産はそうはいきません。
そのため、誰が取得するのか、どう補償するのかで対立が生じやすくなります。
さらに、こうした問題の背景には、相続人それぞれが期待するほど遺産が多くないという現実もあります。
遺産が十分に多ければ、不動産を取得する人が他の相続人に現金で補償するなど、柔軟な解決が可能です。
しかし、遺産総額が限られている場合にはそのような調整が難しく、結果として不満が残りやすくなります。
実際に、遺産総額が5,000万円以下の相続のほうが、調停や裁判に発展するケースが多いとされているのも、こうした背景があるためです。
このように、「分けにくい財産」と「十分とはいえない遺産規模」が重なることで、相続トラブルはより起こりやすくなるのです。
感情的な問題が表面化する
相続は単なるお金の問題ではなく、感情が強く関わる問題です。
例えば、
- 「これまでの関係性への不満」
- 「親からの評価への不公平感」
- 「兄弟間の長年のわだかまり」
実際には、次のような思いが背景にあるケースも少なくありません。
- 本当は希望する進学をしたかったが、家庭の事情であきらめざるを得なかった一方で、兄弟は希望どおりの進路に進んでいた
- 実家を離れた兄弟には親から仕送りや住宅購入資金の援助があったが、自分にはそうした支援がなかった
- 末っ子ばかりがかわいがられ、自分は長子として我慢することが多かったと感じている
このようなこれまで積み重なってきた感情が、相続という場面で一気に表に出てくることがあります。
その結果、本来であれば話し合いで解決できる問題であっても、感情的な対立によって冷静な判断が難しくなり、話し合いがまとまらなくなってしまうのです。
相続トラブルはなぜ起こるのか|3つの原因まとめ
このように、相続トラブルは
- 考え方の違い
- 財産の分けにくさ
- 感情的な対立
といった複数の要因が重なって発生します。
そして重要なのは、これらのトラブルの多くが、「誰がどのように財産を受け取るべきか」という基準が明確になっていないことに起因している点です。
遺言書がない場合、相続は法律で定められた「法定相続分」をベースに進めることになります。
しかし、この法定相続分はあくまで一般的な基準にすぎず、個々の家庭の事情や感情までは反映されていません。
そのため、
- 「介護の負担を考慮してほしい」
- 「実家を守ってきた自分が引き継ぎたい」
- 「これまでの関係性を踏まえて分けてほしい」
といった、それぞれの思いとの間にズレが生じ、納得できないまま対立に発展してしまうのです。
本来であれば、こうした判断は被相続人自身の意思として示されるべきものです。
つまり、遺言書は単なる書類ではなく、「財産をどのように分けるかという明確なガイドライン」の役割を持っています。
このガイドラインがない状態では、相続人それぞれが自分の考えを基準に主張することになり、結果として話し合いがまとまりにくくなります。
だからこそ、相続トラブルを未然に防ぐためには、被相続人の意思を遺言書という形で明確に残しておくことが重要です。
あらかじめ分け方の指針を示しておくことで、相続人同士の無用な対立を防ぎ、円滑に手続きを進めることができます。
③:遺言書の種類と選び方

遺言書にはいくつかの種類がありますが、実務上よく利用されるのは、主に次の2つです。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
このほかに「秘密証書遺言」という方式もありますが、実際には利用されるケースは多くありません。
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま公証人に存在を証明してもらう方式ですが、形式面の不備による無効リスクや手続きの煩雑さなどから、現在の実務ではあまり選ばれていないのが実情です。
そのため、これから遺言書を作成する場合は、自筆証書遺言か公正証書遺言のいずれかを選ぶケースが一般的です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
まずは、それぞれの違いを整理してみましょう。
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 自分で作成 | 公証役場で作成 |
| 費用 | ほとんどかからない | 数万円〜数十万円程度 |
| 手軽さ | 手軽に作れる | 手続きが必要 |
| 有効性 | 不備があると無効になる可能性あり | 公証人が関与するため無効リスクが低い |
| 保管 | 自宅などで保管 | 公証役場で原本保管 |
| 検認手続き | 原則必要 | 不要 |
このように、自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、形式の不備や内容の曖昧さによって無効になるリスクがあります。
一方、公正証書遺言は費用や手間がかかるものの、法的に有効な形で確実に遺言を残せるという大きなメリットがあります。
どちらを選ぶべきかの判断基準
では、どちらを選べばよいのでしょうか。
結論から言うと、相続トラブルを確実に防ぎたい場合は、公正証書遺言を選ぶことが望ましいといえます。
特に、次のようなケースでは公正証書遺言が適しています。
- 不動産があり、分け方が複雑になりそうな場合
- 相続人が複数いて、意見の対立が想定される場合
- 特定の人に多く財産を残したい場合
- 相続人以外に財産を渡したい(遺贈を考えている)場合
- 遺言の内容を確実に実現したい場合
これらに当てはまる場合、自筆証書遺言では不備や解釈の違いが原因で、かえってトラブルになるリスクがあります。
自筆証書遺言の注意点(失敗しやすいポイント)
自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、次のような理由で問題になるケースも少なくありません。
- 法律上必要な形式を満たしておらず、無効になる
- 表現が曖昧で、解釈をめぐって争いになる
- 財産の記載漏れがある
- 紛失や改ざんのリスクがある
せっかく遺言書を作成しても、内容に不備があれば意味をなさないどころか、かえってトラブルの原因になることもあります。
なぜ公正証書遺言が選ばれるのか
こうしたリスクを踏まえると、公正証書遺言が選ばれる理由は明確です。
- 公証人が関与するため、形式不備の心配がない
- 内容の確認が行われるため、意図が明確に伝わる
- 原本が保管されるため、紛失や改ざんのリスクがない
- 相続開始後、すぐに手続きを進めることができる
さらに近年では、公証役場の手続きにおいてもデジタル化が進んでおり、
公正証書の作成や管理の信頼性・利便性はより高まっています。
そのため、公正証書遺言は単に安全性が高いだけでなく、実務的にも利用しやすい制度として整備が進んでいるといえます。
つまり、公正証書遺言は、「確実に意思を残し、確実に実現するための方法」といえます。
これにより、高齢の方でも安心して手続きを進めやすい環境が整いつつあります。
④:公正証書遺言が安心な理由

公正証書遺言は、遺言書の中でも特に確実性が高く、実務上も広く利用されている方法です。
では、なぜ公正証書遺言はそれほどまでに安心できるのでしょうか。
主な理由を見ていきましょう。
公正証書遺言が安心な4つの理由
無効になるリスクを防げる
自筆証書遺言の場合、法律で定められた形式を満たしていなかったり、内容が曖昧であったりすると、無効になる可能性があります。
例えば、
- 日付や署名の不備により、形式的に無効となる
- 財産の記載が不十分で、どの財産を指しているのか特定できない
- 表現が曖昧で、相続人ごとに解釈が分かれてしまう
といったケースです。
一方、公正証書遺言では、公証人が関与して作成されるため、こうした問題を未然に防ぐことができます。
- 法律に基づいた形式で作成されるため、形式不備による無効リスクがない
- 財産や相続人の内容を整理したうえで文書化されるため、内容の不明確さが残りにくい
- 表現についても公証人が確認するため、解釈の違いが生じにくい
このように、公正証書遺言は、自筆証書遺言で起こりがちな「形式の不備」や「内容の曖昧さ」といった問題をあらかじめ解消したうえで作成される仕組みになっています。
相続手続きがスムーズに進む
公正証書遺言は、相続開始後すぐに手続きに利用することができます。
自筆証書遺言の場合、原則として家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になりますが、公正証書遺言ではこの手続きが不要です。
さらに実務上は、それ以外にも次のような違いがあります。
- 内容が明確に整理されているため、金融機関や法務局での手続きが進めやすい
- 相続人全員の合意(遺産分割協議)が不要なケースが多い
- 書類不備による差し戻しや確認作業が少ない
一方で、自筆証書遺言の場合は、
- 手続きの前提として検認が必要となり、すぐに実行に移れない
- 内容の確認や書類の補足を求められる場面が多く、手続きが滞りやすい
- 相続人間での認識のすり合わせや追加の手続きが必要になるケースがある
といった理由から、手続きに時間がかかることも少なくありません。
その結果、相続人の負担が増え、精神的・時間的な負担が大きくなる傾向があります。
このように、公正証書遺言は単に検認が不要というだけでなく、実務全体を通じてスムーズに手続きを進めやすい仕組みになっているのが大きな特徴です。
紛失・改ざんのリスクがない
自筆証書遺言の場合、遺言書は自宅で保管されることが多く、次のようなリスクがあります。
- 保管場所が分からず、相続開始後に見つからない
- 家族が存在を知らず、そのまま手続きが進んでしまう
- 意図せず廃棄されてしまう
- 内容を書き換えられる、または一部が失われる可能性がある
こうしたリスクに対応する制度として、法務局で自筆証書遺言を保管する「自筆証書遺言保管制度」もあります。
この制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクは一定程度軽減されます。
しかし、法務局の保管制度では遺言書の内容の適法性や記載内容の妥当性までは確認されないため、
- 内容が曖昧で解釈に争いが生じる
- 財産の記載方法に不備がある
といったリスクまでは防ぐことができません。
一方、公正証書遺言は公証役場で原本が保管されるだけでなく、公証人が内容の確認も行ったうえで作成されます。
そのため、紛失や改ざんのリスクに加えて、内容面での不備やトラブルのリスクも含めて防ぐことができるという大きな違いがあります。
本人の意思を確実に確認できる仕組みがある
公正証書遺言では、公証人が本人確認と意思確認を行うため、遺言能力に関する争いが起こりにくいという特徴があります。
さらに実務上は、次のような対応が可能であることから、認知症や判断能力に関するリスクにも配慮された仕組みとなっています。
- 公証人が病院や自宅に出張し、本人の状況を直接確認したうえで作成できる
- 必要に応じて医師を同席させ、医学的な観点から判断能力を確認することができる
- 作成時には2名の証人が立ち会い、遺言者の意思どおりに作成されていることを客観的に担保する
また、近年の制度改正により、口がきけない方や耳が聞こえない方であっても、
- 筆談や通訳を通じて意思を伝える
- 閲覧などにより内容の正確性を確認する
といった方法により、公正証書遺言を作成することが可能となっています。
このように、公正証書遺言は、本人の意思を確認するための複数の手続きが組み合わされている点に大きな特徴があります。
公正証書遺言は“意思を確実に残す手段”
これまで見てきたように、公正証書遺言は単なる形式的な書類ではありません。
相続トラブルの多くは、「なぜこの分け方なのか」という納得感の欠如から生まれます。
公正証書遺言では、作成時に本人の意思が丁寧に確認され、その内容が明確な形で文書化されるため、
相続人もその意図を理解しやすくなります。
その結果、後になって「本当に本人の意思だったのか」といった争いが生じにくくなり、無用な対立を防ぐことにつながります。
つまり、公正証書遺言は、本人の意思を確実に残し、相続人に伝えるための有効な手段といえるでしょう。
⑤:行政書士に依頼できること・できないこと
行政書士とはどのような専門家か
行政書士は、行政書士法に基づく国家資格であり、官公署に提出する書類の作成や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を業とする専門家です。
具体的には、行政書士法第1条の2において、次のような業務が定められています。
- 官公署に提出する書類の作成
- 権利義務に関する書類の作成
- 事実証明に関する書類の作成
遺言書は、このうち「権利義務に関する書類」に該当します。
そのため行政書士は、法律で定められた権限に基づき、遺言書の作成をサポートすることができます。
つまり、行政書士は単に文章を書くのではなく、法的に有効な書類として遺言を作成するための専門家として関与しています。
行政書士に依頼できること

行政書士は、遺言書の作成に関する手続きを幅広くサポートする専門家です。
具体的には、次のようなサポートが可能です。
遺言書の内容設計・文案作成
遺言書でもっとも重要なのは、「何をどのように書くか」です。
行政書士は、まず遺言者の希望や家族構成、財産状況について丁寧にヒアリングを行い、その内容が実現可能かどうかを検討します。
その際には、例えば「遺留分」と呼ばれる制度にも配慮する必要があります。
遺留分とは、配偶者や子などの一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分のことで、これを大きく侵害する内容の場合、後にトラブルとなる可能性があります。
このような点も踏まえながら、
- トラブルになりにくい遺産配分の検討
- 法的に有効な表現での文案作成
- 曖昧さを排除した具体的な記載
などを行い、実務的に使える遺言書の作成をサポートします。
もっとも、最終的にどのように財産を分けるかは、遺言者本人の意思が最も尊重されるべきものです。
そのため、仮に遺留分などの観点から将来的なリスクが考えられる場合でも、その内容や影響を丁寧に説明したうえで、遺言者の意思を最大限尊重した形で文案を作成します。
また、必要に応じて「付言事項」を活用することもあります。
付言事項とは、遺産の分け方だけでなく、その理由や家族への想いなどを自由に記載できる部分のことです。
これを適切に盛り込むことで、
- なぜこの分け方にしたのかという意図が伝わる
- 相続人の納得感が高まる
- 無用な対立を防ぐ
といった効果が期待できます。
このように行政書士は、単に遺言書を作成するだけでなく、法的な観点と実務的な視点の両面から、遺言者の意思を実現するための設計を行う役割を担っています。ます。
公正証書遺言の作成サポート
公正証書遺言は、公証役場で作成する必要があり、事前準備や手続きも含めて一定の手間がかかります。
実際には、次のようなステップで進めていくことになります。
- 戸籍謄本や住民票
- 不動産の登記事項証明書
- 固定資産評価証明書 など
これらを正確に揃える必要があり、不足や不備があると手続きが進まなくなります。
遺言の内容について、公証人と事前に調整を行います。
この際、
- 財産の記載方法
- 表現の適切性
- 法的に問題がないか
など細かい確認が行われるため、専門知識がないとやり取りがスムーズに進まないこともありま
公正証書遺言の作成には、法律上2名の証人が必要です。
この点については、公証役場を通じて証人を手配するのが一般的です。
一方で、状況によっては行政書士が証人の一人として立ち会うことも可能であり、手続き全体を把握している専門家が関与することで、よりスムーズに進めることができます。
最終的に、公証役場で遺言書を作成します。
公証人が内容を読み上げ、本人および証人が確認したうえで署名・押印を行うことで、正式な公正証書遺言が完成します。
なお、公証人は公証役場だけでなく、病院や自宅などへの出張にも対応しています。
そのため、体調面などの理由で公証役場へ行くことが難しい場合でも、無理に外出する必要はありません。出張費用等はかかるものの、指定した場所で公正証書遺言を作成することが可能です。
このように、公正証書遺言の作成は複数の手続きを経て進める必要があり、慣れていない方にとっては負担が大きいものです。
行政書士に依頼することで、
- 必要書類の収集から手続きの進行管理まで任せることができる
- 公証人とのやり取りもスムーズに進められる
- 証人の手配を含め、全体を一括して対応してもらえる
ため、安心して遺言書の作成を進めることができます。
遺言書の必要書類を完全解説|種類別一覧・取得方法・チェックリスト【行政書士監修】
遺言執行者に関するアドバイス
遺言書では、「誰がその内容を実現するのか(遺言執行者)」も重要なポイントです。
遺言執行者とは、遺言の内容に従って財産の分配や各種手続きを行う人のことをいい、相続手続きを実際に進めていく役割を担います。
なお、遺言執行者になるために特別な資格は必要なく、家族や親族を指定することも可能です。
ただし、実務上は
- 手続きの負担が大きい
- 相続人間の調整が必要になる場合がある
といった理由から、誰を指定するかは慎重に検討する必要があります。
そのため、
- 手続きに精通した行政書士などの専門家
- 家族の事情をよく理解している信頼できる親族
を組み合わせて指定する方法も、有効な選択肢の一つです。
例えば、行政書士が実務面をサポートしつつ、親族が意思の橋渡し役となることで、円滑に手続きを進めやすくなります。
行政書士は、
- 適切な遺言執行者の選定
- 執行者を指定する際の注意点
についてもアドバイスを行い、遺言内容が確実に実現されるようサポートします。
相続手続き(名義変更等)のサポート
相続が発生した後には、各種名義変更手続きが必要になります。
不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の業務となるため、行政書士が直接行うことはできませんが、司法書士と連携して進めることが可能です。
一方で、
- 預貯金口座の解約・名義変更
- 有価証券の名義変更
- 各種契約の名義変更手続き
などについては、行政書士が対応可能なケースも多く、相続手続き全体をサポートすることができます。
このように、行政書士は相続手続きの中核を担いながら、必要に応じて他の専門家と連携することで、スムーズな手続きの実現をサポートします。
行政書士に依頼できないこと
一方で、行政書士には対応できない業務もあります。
ここを正しく理解しておくことが重要です。
相続トラブルの交渉・代理
相続人同士でトラブルが発生している場合、その交渉や代理は弁護士の業務となります。
例えば、
- 遺産分割で揉めている
- 遺留分を巡って対立している
といったケースでは、弁護士への相談が必要になります。
遺言は弁護士に依頼すべき?【必須となるケースあり】費用と行政書士との違いを解説
不動産の名義変更(相続登記)
不動産の名義変更(相続登記)は、司法書士の業務です。
遺言書に基づいて不動産の名義を変更する場合は、司法書士と連携して進めることになります。
相続税の申告
相続税が発生する場合、その申告や税務相談は税理士の業務となります。
財産の規模によっては、税理士の関与が必要になるケースもあります。
専門家と連携することで安心して進められる
このように、相続や遺言に関する手続きは、内容によって関わる専門家が異なります。
行政書士は、遺言書作成の中心となる部分を担いながら、
- 弁護士(トラブル対応)
- 司法書士(登記)
- 税理士(税務)
といった専門家と連携することで、全体をスムーズに進める役割を果たします。
そのため、「どこに相談すればよいかわからない」という段階でも、まずは行政書士に相談することで、適切な方向性を示してもらうことができます。
⑥:こんな人は行政書士に相談をおすすめします
ここまで見てきたように、遺言書の作成は単に書面を用意するだけでなく、法的な観点や家族関係、財産の状況などを踏まえて慎重に進める必要があります。
では、具体的にどのような方が行政書士に相談すべきなのでしょうか。
ひとつの目安として、次のような方は専門家への相談をおすすめします。
行政書士への相談をおすすめする人
- 子どもが複数おり、財産の分け方について事前に整理しておきたいと考えている人
- 自宅や土地などの不動産があり、どのように分けるかで相続人の意見が分かれる可能性がある人
- 家族関係に大きな問題はないものの、相続の話になると意見が食い違いそうだと感じている人
- 特定の家族やお世話になった人に、より多く財産を残したいという意思がある人
- 相続人以外の人(内縁の配偶者やお世話になった方など)に財産を渡したいと考えている人(遺贈を検討している人)
- 自分の死後、相続手続きや財産の分け方で家族に負担や迷いをかけたくないと考えている人
これらに一つでも当てはまる場合、遺言書の内容によっては将来的にトラブルが生じる可能性があります。
行政書士に相談することで、
- 法的に有効な形で遺言書を作成できる
- トラブルになりにくい分け方を検討できる
- 手続きの負担を軽減できる
といったメリットがあり、結果として安心して将来に備えることができます。
すぐに作成を急がなくてもよいケース
一方で、すべての方がすぐに遺言書を作成すべきとは限りません。
例えば、
- 相続人が配偶者と子ども1人のみで、財産の内容もシンプルな場合
- 現時点で財産がほとんどなく、分配で争いが生じる可能性が低い場合
などは、状況を見ながら検討するという考え方もあります。
ただし、このような場合であっても、
- 今後財産が増える可能性がある
- 家族関係や状況が変化する可能性がある
といった点を踏まえると、一度専門家に相談しておくこと自体には大きな意味があります。
遺言書は、「必要になってから考えるもの」ではなく、トラブルを防ぐために事前に備えておくものです。
そして実際には、「まだ大丈夫」と思っている段階でこそ、準備を始めることに意味があります。
相続はいつ起こるか分からないからこそ、元気なうちに意思を整理しておくことが大切です。
少しでも不安や疑問がある場合は、まずは一度専門家に相談してみてください。
ご自身の状況に合わせて、どのような備えが必要かを具体的に知ることができます。
なお、私自身も行政書士として、毎年年初に遺言書の見直しと作成を行っています。
あわせて、万が一に備えて遺影を兼ねた証明写真の撮影も行うようにしています。
遺言書は一度作って終わりではなく、家族構成や財産状況の変化に応じて見直していくことが大切です。
その重要性を実感しているからこそ、日頃からこうした備えを大切にしています。
⑦:よくあるご質問(Q&A)
Q1. 遺言書は必ず作らなければいけませんか?
必ずしもすべての方に必要というわけではありません。
ただし、相続人が複数いる場合や、不動産がある場合、特定の人に多く財産を残したい場合などは、トラブル防止の観点から作成しておくことをおすすめします。
Q2. 自筆証書遺言でも問題ありませんか?
自筆証書遺言でも有効に作成することは可能です。
ただし、形式不備による無効や、内容の曖昧さによるトラブルのリスクがあるため、確実性を重視する場合は公正証書遺言が適しています。
Q3. 公正証書遺言の作成にはどれくらい費用がかかりますか?
公証役場に支払う手数料は、財産の金額に応じて数万円〜数十万円程度が一般的です。
これに加えて、専門家に依頼する場合は別途報酬が発生します。
Q4. どのタイミングで遺言書を作るべきですか?
「まだ早い」と感じている段階で作成するのが理想です。
判断能力が十分にあるうちに準備しておくことで、確実に意思を反映した遺言を残すことができます。
Q5. 家族に知られずに遺言書を作ることはできますか?
可能です。
特に公正証書遺言の場合は、公証役場で手続きを行うため、内容を家族に開示せずに作成することもできます。
Q6. 相談したら必ず依頼しなければいけませんか?
いいえ、そのようなことはありません。
ご相談いただいたうえで、ご自身にとって必要かどうかを判断していただければ問題ありません。
Q7. 遺言書は一度作ればそのままで大丈夫ですか?
遺言書は一度作成して終わりではなく、財産状況や家族構成の変化に応じて見直すことが重要です。
定期的に内容を確認し、必要に応じて修正することをおすすめします。
Q8. 行政書士に依頼するメリットは何ですか?
遺言内容の整理から文案作成、公正証書遺言の手続きまで一貫してサポートを受けることができる点です。
また、他の専門家と連携しながら、相続全体を見据えたアドバイスを受けることができます。

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遺言書の作成は、「まだ早いかもしれない」と感じている段階でこそ、一度整理しておくことに意味があります。
実際には、
- 自分の場合は本当に遺言が必要なのか
- どの方法で作成するのが適しているのか
- 今の状況でどこまで準備しておくべきか
といった点は、個々の状況によって大きく異なります。
そのため、まずは一度ご相談いただくことで、ご自身にとって最適な進め方を明確にすることができます。
当事務所では、
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- 相続を見据えた全体的なアドバイス
まで、状況に応じて丁寧に対応しております。
また、必要に応じて弁護士・司法書士・税理士とも連携し、トラブル対応や登記、税務まで一貫してサポートできる体制を整えています。
「何から始めればいいか分からない」という段階でも問題ありません。
無理に作成をすすめることはありませんので、まずはお気軽にご相談ください。
将来に向けた不安を整理する一歩として、お役に立てれば幸いです。
✅ 無料相談でできること
当事務所では、初回のご相談は無料で承っております。相談の内容は、まだ漠然としたものでまったく構いません。
ご相談内容の例
- 遺言って何から始めればいいの?
- うちの家族関係でもトラブルなく進められる?
- 自分で書いた遺言書を見てほしい
- 公正証書遺言ってどこに行けばいいの?
- 相続の流れも一緒に知りたい など
💡 専門家に話すことで、「今すべきこと」が明確になります。
✅ 実績・対応エリアについて
当事務所では、これまでに数十件以上の遺言・相続サポートを行ってきました。
地域に根ざした対応と、丁寧でわかりやすい説明をモットーに、多くのお客様から喜びの声をいただいています。
- 対応地域:大田区・品川区・近隣エリア(オンライン相談も対応可)
- ご高齢の方やご家族向けの「ご自宅訪問」も可能です
✅ ご相談の流れ
- 【STEP1】お問い合わせ
→ 電話・メールフォームのいずれかでご連絡ください - 【STEP2】日程調整
→ ご都合の良い日程を調整いたします(平日夜・土日対応もOK) - 【STEP3】無料相談(60分程度)
→ ご状況やお悩みをじっくりお伺いします - 【STEP4】ご提案・お見積り
→ ご希望に応じて、最適なプランをご提案。無理な営業は一切しません。
💬 「話してよかった」「気持ちが軽くなった」そんなご感想を多くいただいています。
✅ ご相談方法(選べます!)
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 📞 電話相談 | お急ぎの方や対面が難しい方におすすめ |
| 🖥 オンライン相談 | ご自宅から安心して相談できます(Zoom対応) |
| 🏠 訪問相談 | ご高齢の方、外出が難しい方のために訪問も可 |
✅ 行政書士プロフィール
特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)
- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
- メッセージ:
「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」
📩 お問い合わせはこちら
- ☎ お電話:03-6820-3968
- 📝 お問い合わせフォーム
- 📍 事務所所在地:東京都大田区大森北3-24-27 ルミエールN
あなたの「不安」を「安心」に変えるお手伝いを、私たち行政書士が全力でサポートいたします。
どんな小さなことでも構いません。
今すぐ、気軽にご連絡ください。

