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民法の相続ルールとは?遺言がない場合・相続人・法定相続分を解説

2025年4月20日2026年8月3日

民法に基づく相続の基本を説明する行政書士のイメージ

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相続では、遺言によって亡くなった方の意思が示されている場合、その内容が重要な基準になります。

一方で、遺言がない場合や、遺言に書かれていない財産・事項がある場合もあります。そうしたときに、誰が相続人になるのか、どのように財産を引き継ぐのかを支えるのが民法です。

民法は、相続人や法定相続分を定めるだけではありません。遺言や相続人同士の話し合いと組み合わさりながら、相続手続き全体の土台となるルールです。

この記事では、民法における相続の基本と、民法で決まること・遺言や話し合いで変えられることの違いをわかりやすく解説します。

相続とは何か、どのような財産や権利・義務を引き継ぐのか、相続放棄や限定承認にはどのような違いがあるのかなど、相続全体の基本を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
相続とは?意味・種類・法律上の基本を簡単にわかりやすく解説

目次

  • ①民法における相続とは
  • ②相続では遺言による本人の意思が尊重される
  • ③遺言がない場合は民法のルールが基準になる
  • ④遺言に書かれていない事項は民法と話し合いで補う
  • ⑤民法で決まることと、遺言や話し合いで変えられること
    • 民法で決まること
    • 遺言や話し合いで決められること
  • ⑥相続財産の範囲にも民法上のルールがある
  • ⑦旧民法の相続と現在の民法の違い
  • ⑧【行政書士の視点】今も残る「家を継ぐ」という相続観
  • ⑨民法における相続についてよくある質問
    • Q:相続は必ず民法どおりに分けるのですか
    • Q:遺言があれば民法は関係なくなりますか
    • Q:遺言に書かれていない財産はどうなりますか
    • Q:相続人全員が合意すれば、自由に分けられますか
    • Q:遺留分とは何ですか
    • Q:旧民法が適用される相続もありますか
  • ⑩まとめ|民法は相続実務を支える基本ルール
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①民法における相続とは

民法の本を中心に、家族・住宅・預貯金・遺言書・遺産分割の話し合いを配置した相続のイラスト
民法は、相続人の範囲や財産の引継ぎ、遺言、遺産分割など、相続手続きの基本的なルールを定めています。

民法では、相続がいつ始まり、誰が相続人となり、亡くなった方の財産や権利、義務をどのように引き継ぐのかについて、基本的なルールが定められています。

相続は、相続人が手続きを始めたときではなく、亡くなった方が死亡した時点で開始します。その後、遺言の有無、相続人の範囲、財産や借金の内容などを確認しながら、具体的な手続きを進めていきます。

ただし、民法が相続の結果をすべて一律に決めるわけではありません。遺言によって亡くなった方の意思が示されている場合は、その内容が重要な基準になります。

一方、遺言がない場合や、遺言に記載されていない財産がある場合には、民法が定める相続人や法定相続分などのルールをもとに整理します。

また、民法は、誰が相続人になるのか、どのような割合を基準に財産を分けるのか、相続を承認するか放棄するかといった点についても定めています。

このように、民法は相続人や割合を決めるだけでなく、遺言や遺産分割の話し合いを含め、相続実務を進めるための土台となる法律です。

②相続では遺言による本人の意思が尊重される

相続では、亡くなった方が遺言を残している場合、その内容が重要な基準になります。

たとえば、自宅は配偶者に、預貯金は子どもに相続させるなど、法定相続分とは異なる分け方を定めることができます。また、相続人ではない人に財産を渡す内容を遺言に記載することも可能です。

ただし、遺言であれば、どのような内容でも自由に実現できるわけではありません。遺言には法律上の方式があり、内容によっては一定の相続人に認められた権利との調整が必要になることもあります。

そのため、相続ではまず遺言の有無を確認し、遺言がある場合は、その内容と法律上のルールをあわせて確認することが大切です。

③遺言がない場合は民法のルールが基準になる

亡くなった方と配偶者を中心に、子・父母・兄弟姉妹を相続順位に沿って配置した家族関係のイラスト
配偶者は常に相続人となり、子、父母、兄弟姉妹は民法で定められた順位に従って相続人になります。

遺言が残されていない場合は、民法のルールをもとに、誰が相続人になるのかを確認します。

遺言がない場合は、民法のルールをもとに、誰が相続人になるのか、どの割合を基準に財産を分けるのかを確認します。

配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の相続人には順位があります。

  • 第1順位:子
  • 第2順位:父母や祖父母などの直系尊属
  • 第3順位:兄弟姉妹

上の順位の人がいる場合、下の順位の人は原則として相続人になりません。たとえば、亡くなった方に子がいる場合、父母や兄弟姉妹は原則として相続人になりません。

また、本来相続人になるはずだった子や兄弟姉妹が、亡くなった方より先に死亡している場合は、その子が代わって相続人になることがあります。これを代襲相続といいます。

相続人の組み合わせごとの法定相続分は、次のとおりです。

相続人の組み合わせ法定相続分
配偶者と子配偶者2分の1、子全体で2分の1
配偶者と直系尊属配偶者3分の2、直系尊属全体で3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者4分の3、兄弟姉妹全体で4分の1
配偶者のみ配偶者がすべて相続
子のみ子がすべて相続
直系尊属のみ直系尊属がすべて相続
兄弟姉妹のみ兄弟姉妹がすべて相続

同じ順位の相続人が複数いる場合は、その人たちで原則として均等に分けます。

ただし、法定相続分は、必ずその割合どおりに分けなければならないという意味ではありません。相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる分け方をすることもできます。

このように民法は、遺言がない場合に、相続人の範囲と取り分の基準を示し、遺産分割の話し合いを進めるための土台になります。

④遺言に書かれていない事項は民法と話し合いで補う

遺言があっても、すべての財産や事項について書かれているとは限りません。

たとえば、遺言を作成した後に新たな預貯金や不動産が増えた場合や、一部の財産についてしか承継先が指定されていない場合があります。また、遺言の内容だけでは、実際の分け方や手続きまで決められないこともあります。

このような場合、遺言に書かれていない部分については、民法のルールを基準に整理します。

具体的には、まず相続人の範囲を確認し、そのうえで、記載のない財産について相続人全員で遺産分割協議を行います。話し合いがまとまれば、法定相続分とは異なる分け方をすることもできます。

たとえば、遺言で「自宅は配偶者に相続させる」とだけ定められていた場合、預貯金や株式など、遺言に記載されていない財産については、相続人全員で分け方を決める必要があります。

このように、遺言は本人の意思を示す重要な手段ですが、遺言だけですべての相続関係が完結するとは限りません。民法は、遺言に書かれていない部分を補い、相続手続きを進めるための基準になります。

⑤民法で決まることと、遺言や話し合いで変えられること

民法の基本ルールと、遺言や相続人全員の話し合いによる遺産の分け方を橋でつないだ相続のイラスト
相続では民法が基本的なルールを定め、そのうえで遺言や相続人全員の合意により、具体的な財産の分け方を決めます。

相続では、すべてが民法によって一律に決まるわけではありません。

民法は、相続を進めるための基本的な枠組みを定めています。一方で、具体的に誰がどの財産を取得するかについては、遺言や相続人全員の話し合いによって決まることがあります。

民法で決まること

民法では、主に次のような事項が定められています。

  • 相続が始まる時期
  • 相続人になる人の範囲と順位
  • 法定相続分
  • 相続の承認や放棄
  • 遺言の方式や効力に関する基本ルール

これらは、相続関係を整理するための共通の基準です。

遺言や話し合いで決められること

一方、次のような事項は、遺言や相続人全員の合意によって決めることができます。

  • 誰がどの財産を取得するか
  • 法定相続分と異なる割合で分けるか
  • 不動産を一人が取得し、ほかの相続人に金銭を支払うか
  • 財産を売却し、その代金を分けるか

たとえば、配偶者と子が相続人であっても、必ずすべての財産を2分の1ずつ分ける必要はありません。相続人全員が合意すれば、配偶者が自宅を取得し、子が預貯金を取得するなど、財産の内容に応じた分け方ができます。

このように、民法は相続の基準を示しますが、具体的な財産の分け方まで一律に決めるものではありません。民法のルールを土台として、遺言や相続人全員の話し合いによって、実際の相続内容を決めていきます。

⑥相続財産の範囲にも民法上のルールがある

預貯金や不動産、借金など相続されるものと、生活保護や公営住宅など自動的に引き継がれないものを対比したイラスト
財産や借金は原則として相続の対象になりますが、生活保護や公営住宅の利用関係など、本人の状況や行政の判断に基づくものは自動的に引き継がれません。

相続では、亡くなった方の預貯金や不動産だけでなく、財産上の権利や義務も引き継ぐことがあります。

たとえば、他人に貸していたお金を返してもらう権利や、借金・未払金などの支払義務も、原則として相続の対象になります。

一方で、亡くなった方に関係するものが、すべて相続されるわけではありません。その人自身の生活状況や身分に強く結びついた権利は、相続人にそのまま引き継がれないことがあります。

具体例としては、次のようなものがあります。

  • 生活保護を受ける権利
  • 公営住宅に住み続ける権利

生活保護を受ける権利は、本人の収入や資産、生活状況をもとに認められるものです。そのため、受給者が亡くなっても、家族がその権利をそのまま相続することはできません。

公営住宅についても、亡くなった入居者の地位が当然に相続されるわけではありません。同居していた家族が住み続けられる場合はありますが、自治体ごとの条件を満たし、承認を受ける必要があります。

このように、相続財産に含まれるかどうかは、財産の名称だけでなく、その権利や義務が他の人に引き継げる性質かどうかによって判断されます。

相続財産に含まれるもの・含まれないもの、借金や未払金、生命保険金、公営住宅の入居者としての地位など、具体的な扱いについては、以下の記事で詳しく整理しています。
相続財産とは?含まれるもの・含まれないものを一覧でわかりやすく解説

⑦旧民法の相続と現在の民法の違い

旧民法の家督相続で長男が家や土地を引き継ぐ様子と、現在の共同相続で配偶者と子どもが財産を承継する様子を対比したイラスト
旧民法では家督相続を中心に家や財産を一人が承継しましたが、現在は配偶者や子どもなど複数の相続人が共同で財産を引き継ぐ仕組みです。

現在の相続制度と旧民法では、相続の考え方が大きく異なります。

旧民法の相続制度は、原則として1947年(昭和22年)までの相続に関係します。現在の相続制度の基礎となる改正民法は、1948年(昭和23年)1月1日に施行されました。

なお、1947年5月3日から同年12月31日までの間には、日本国憲法の施行に伴う応急的な法律が適用されていたため、古い相続を確認するときは、単に「1947年以前かどうか」だけでなく、死亡した正確な日付を確認する必要があります。

旧民法では、家の財産や戸主としての地位を一人が引き継ぐ「家督相続」が中心でした。家を存続させることが重視され、長男が家を継ぐという考え方とも結びついていました。

これに対して、現在の民法では、配偶者や子など複数の相続人が財産を引き継ぐ共同相続が基本です。長男だから当然に多く相続する、家を継ぐ人がすべての財産を受け取る、といった仕組みではありません。

旧民法が廃止された時代を知る高齢の方や、その考え方を家庭内で受け継いできた方の中には、「長男が家を継ぐ」「実家や墓を守る人が財産を多く受け取る」といった旧来の相続観になじみがある場合があります。

ただし、これは世代全体に当てはまるものではありません。実際の相続では、家族の慣習や意向だけでなく、遺言の内容と現在の民法上のルールを分けて考えることが大切です。

また、長期間名義変更がされていない不動産などでは、過去の相続に旧民法が関係することがあります。古い相続については、現在のルールだけで判断せず、相続が始まった年月日を確認する必要があります。

⑧【行政書士の視点】今も残る「家を継ぐ」という相続観

私が子どものころは、「家を継ぐ」「墓を守る」といった考え方が、今よりも強く残っていました。

長男だった私は、親族から自然に「跡継ぎ」と見られていたように思います。法律上の説明を受けたわけではありませんが、家や土地、墓を守る役割は長男が担うものだ、という空気が身近にありました。

現在の民法では、長男だから当然に多く相続する、家を継ぐ人がすべての財産を受け取る、という仕組みにはなっていません。それでも、実際の相続の話し合いでは、こうした旧来の考え方が家族の意識に残っていることがあります。

「長男なのだから家を継ぐべきだ」
「墓を守る人が不動産を受け取るのが当然だ」
「家を出た子は相続分を控えるべきだ」

このような価値観は、法律上の相続分とは別のところで、遺産分割の話し合いに影響します。

行政書士として相続に関わる際には、法律上のルールだけでなく、家族がどのような考え方を受け継いできたのかにも目を向ける必要があると感じます。

一方で、昔ながらの慣習をそのまま前提にすると、家族の中で不公平感が生まれることもあります。大切なのは、誰かの役割を当然視することではなく、現在の民法上のルールを確認したうえで、家や墓を誰が守るのか、その負担をどのように考えるのかを、家族で丁寧に話し合うことです。

⑨民法における相続についてよくある質問

Q:相続は必ず民法どおりに分けるのですか

必ずしも、法定相続分どおりに分ける必要はありません。

遺言がある場合は、その内容が重要な基準になります。また、遺言がない場合でも、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる分け方をすることができます。

Q:遺言があれば民法は関係なくなりますか

遺言があっても、民法が関係しなくなるわけではありません。

遺言の作成方法や効力も民法で定められています。また、遺言に書かれていない財産がある場合や、内容の解釈が必要な場合には、民法のルールをもとに整理します。

Q:遺言に書かれていない財産はどうなりますか

遺言に記載されていない財産については、相続人全員で遺産分割協議を行い、分け方を決めるのが一般的です。

その際、法定相続分は話し合いの基準になりますが、相続人全員が合意すれば、異なる分け方もできます。

Q:相続人全員が合意すれば、自由に分けられますか

相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる分け方をすることができます。

ただし、一部の相続人だけで決めることはできません。相続人を正確に確認し、全員で話し合う必要があります。

Q:遺留分とは何ですか

遺留分とは、一定の相続人に認められた最低限の取り分に関する権利です。

遺言の内容によって遺留分が侵害されている場合には、一定の手続きによって金銭の支払いを求められることがあります。

Q:旧民法が適用される相続もありますか

古い時代に発生した相続では、相続が開始した時期によって旧民法が関係することがあります。

特に、長期間名義変更がされていない不動産などでは、過去の相続について当時の法律を確認する必要があります。

⑩まとめ|民法は相続実務を支える基本ルール

相続では、遺言によって亡くなった方の意思を示すことができます。

一方で、遺言がない場合や、遺言に書かれていない財産・事項がある場合には、民法のルールをもとに整理します。

民法では、主に次のようなことが定められています。

  • 相続が始まる時期
  • 相続人の範囲と順位
  • 法定相続分
  • 財産や権利、義務の承継
  • 相続の承認や放棄
  • 遺言の方式や効力

ただし、実際の財産の分け方が、すべて法定相続分どおりになるわけではありません。遺言や相続人全員の合意によって、誰がどの財産を取得するかを決めることもできます。

つまり民法は、相続の結果を一律に決めるための法律ではなく、本人の意思や家族の話し合いを支える共通の土台です。

実際の相続では、遺言の確認、相続人の確定、財産や借金の調査、遺産分割協議などを順番に進める必要があります。判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談することが大切です。

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  • 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
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この記事を書いた人
行政書士 野中雅敏
法律とITに詳しい人

東京都大田区大森で行政書士事務所を運営しています。 IT業界で30年以上の会社員経験があります。 各種許認可取得、起業支援、財産管理、終活など、人生の転機に寄り添いながら、迅速で信頼性の高いサービスを、法務の視点から全力でサポートします。

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