親の遺産相続で兄弟が揉めないために|原因と回避策を行政書士が解説

目次

【はじめに】

親の死後、兄弟同士で遺産の話をする。

想像するだけで気まずさや不安を感じる人は少なくありません。
「うちは仲がいいから大丈夫」「兄弟だから揉めるはずがない」
そう思っていたのに、いざ相続が発生した途端にトラブルが勃発するケースは、実は非常に多いのです。

相続に関する裁判の約7割が、「相続人同士の争い(いわゆる争族)」によるものだと言われています。
特に兄弟間では、「自分は親の面倒を見てきた」「あの人は何もしていないのに同じ額をもらうの?」という感情的な対立が起きやすく、法的知識の不足や認識のズレが拍車をかけてしまうのです。

そこで本記事では、以下のような疑問や不安を持つ方に向けて、

  • 「親の遺産相続で、兄弟間でもめたくない」
  • 「相続放棄をしたらトラブルは回避できるの?」
  • 「事前にどんな対策ができるのか知りたい」
  • 「遺言書って本当に有効なの?どう作ればいいの?」

行政書士の立場から、法律的に正確かつ、わかりやすく解説していきます。

さらに、実際のトラブル事例や具体的な解決策も紹介しながら、「今すぐできる対策」についても深掘りしていきます。

兄弟間の相続トラブルは、事前の備えと正しい知識で防ぐことができます。
「いつか」のためではなく、「いま」から考えておくべき大切なテーマとして、ぜひ最後までお読みください。

第1章:なぜ兄弟で遺産相続が揉めるのか?

親の死後に起こる兄弟間の相続トラブル。

実はそれには、感情面・財産の評価・法律知識の不足といった、さまざまな原因が複雑に絡み合っています。
ここでは、代表的なトラブルの原因を4つ取り上げて解説します。

1-1 感情の対立:「介護してきたのに不公平」問題

相続でもっとも揉めやすいのは、お金そのものの問題ではなく「感情」です。

よくあるのが、「長男である自分が長年親の介護をしてきたのに、疎遠だった弟と遺産の取り分が同じ」という不満です。

たとえば介護や生活のサポートに多くの時間と労力を費やした兄が、ほとんど実家に顔を出さなかった妹と同じ額を相続すると知ったとき、納得できない気持ちになるのは自然なことです。

しかし、民法上の法定相続分では、そうした「貢献度」は基本的に考慮されません。
結果として、「自分ばかり損をしている」という感情が対立を生み、関係悪化に発展します。

1-2 財産の評価が曖昧:「この家は誰のもの?」問題

親の遺産の中で特に厄介なのが、不動産(家や土地)です。

たとえば、親と同居していた兄がそのまま実家に住み続けている場合、他の兄弟は「家を共有財産として評価してほしい」と思う一方、同居していた兄は「もう自分の家だ」と感じているケースが少なくありません。

さらに、不動産の評価額が専門家によって異なることも多く、「自分の取り分が少ないのでは?」という不信感を呼びやすいのです。

1-3 曖昧な記憶と主張:「親はこう言っていた」証拠なし問題

「お母さんは、生前に『この土地はお前に譲る』って言っていた」
「いや、それは聞いたことがない」
こうした口約束や記憶の食い違いが、兄弟間の火種になることもあります。

遺言書がない場合、こうした曖昧な主張がそのまま対立を生む原因となります。
証拠がないため、法律的に認められず、争いが長期化することも。

1-4 法律の知識不足:「相続放棄すれば終わり?」誤解問題

「自分は相続放棄するから関係ない」
「兄弟が全部やってくれるでしょ」
こうした誤解や無関心もトラブルの元です。

たとえば、相続放棄をしても、「他の相続人の負担が増える」「借金や財産の手続きで残された兄弟に迷惑がかかる」など、放棄者の行動によっても他の兄弟に影響が出ることがあります。

また、放棄したつもりが正式に手続きされていなかった…というケースも実際にあります。

小まとめ:兄弟間でも油断できないのが相続

相続は単なるお金の分け前ではなく、それまでの人間関係や感情が凝縮される場面です。
特に兄弟間では、「近い関係だからこそ傷つけ合ってしまう」ことも多く、正しい知識・冷静な判断・そして事前の備えが不可欠です。

第2章:実際にあった兄弟間の相続トラブル事例

相続トラブルを「他人事」だと思っていませんか?

実際の相談現場では、家族間での相続争いは日常茶飯事。
ここでは、実際にあった兄弟間のトラブル事例を3つ紹介し、何が原因だったのか、どうすれば回避できたのかを解説します。

2-1:相続割合でもめた兄弟Aさん一家のケース

Aさんの父親が亡くなり、相続人は長男Aさんと妹Bさんの2人。
財産は、父名義の預貯金と一軒家(時価2,000万円相当)のみでした。

問題は、父が遺言を残していなかったこと。
法律に従って遺産を半分ずつ分けることになったのですが、長男Aさんはこう主張しました:

「実家は俺が建て替え費用も出したし、ずっと同居して世話もしてきた。妹と半分は納得いかない」

一方の妹Bさんは、

「それはあなたの勝手でしょ。法律では50%ずつでしょ」

結果、協議は平行線のまま1年近く泥沼化し、最終的に家庭裁判所での調停へ。
専門家の関与が遅れたことで、兄妹関係は完全に断絶してしまいました。

回避できたポイント

  • 父親が遺言書で不動産の処遇を明記していれば、争いの余地は減らせた
  • 感情的な主張に陥る前に第三者(行政書士など)の介入があれば冷静な協議が可能だった

2-2:介護してきた長男と疎遠だった妹の対立

母親の面倒を10年以上にわたってみてきた長男Cさん。
一方、妹Dさんは遠方に嫁いでおり、ほとんど帰省もしていませんでした。

そんな中、母親が亡くなり、遺産は約1,000万円の預金と実家の土地です。
法定相続分に従えば、兄妹で5:5ですが、Cさんは言いました。

「俺が全部面倒見たんだから、相続の取り分は多くて当然」

ところが妹Dさんは、

「法律通りに半分もらいます」

ここで兄が激昂し、話し合いは完全決裂。妹Dさんは弁護士を立てて対応する事態に。
結果として、相続調停に発展し、手元に残る金額は双方とも予定より大幅に減ってしまいました。

回避できたポイント

  • 介護に対する感謝の気持ちを遺言で示す「付言事項」や寄与分の記述があればよかった
  • 生前に母親が兄妹に「相続の意向」を明確に伝えていれば、心情的な理解が得られた可能性あり

2-3:相続放棄したはずの弟が、後からクレーム?

次男Eさんは、親が亡くなった際に「自分は財産に興味がないから」と口頭で相続放棄を表明しました。
長男Fさんはその言葉を信じ、他の兄妹と協議を進めて遺産分割協議書を作成。

しかし数か月後、Eさんが突然こう言い出します:

「あの家はやっぱり兄弟で共有にすべきだった。勝手に決めるな」

実は、正式な法的手続きとしての相続放棄はしていなかったため、Eさんは依然として相続人のまま。
遺産分割協議も無効となり、再度すべての手続きがやり直しに。兄弟関係は完全に崩壊しました。

回避できたポイント

  • 相続放棄は「家庭裁判所での正式な申立て」が必要だと認識すべきだった
  • 相続人全員で行政書士を交えて遺産分割協議を行い、法的に有効な手続きにしておくべきだった

小まとめ:事例から学ぶ、備えの重要性

これらの事例からわかるのは、兄弟間での相続問題は感情・誤解・手続きミスが重なると一気に泥沼化するということです。

しかし、遺言書や専門家のサポートがあれば、こうした事態は未然に防げます。

「うちは大丈夫」と思わず、今から備えることこそが、家族の関係を守る最善の策なのです。

第3章:相続トラブルを回避するための根本的な対策

兄弟間の相続トラブルは、避けようと思えば事前に防ぐことができる問題です。

この章では、トラブルを未然に防ぐために特に重要な3つの対策をご紹介します。
これらは「今すぐできる備え」であり、家族の関係性を守る大切なステップでもあります。

3-1:相続前にできる最大の対策は「遺言書の作成」

兄弟間の相続トラブルを防ぐ最も有効な方法、それは、親が生前に「遺言書」を残しておくことです。

遺言書には、以下のようなメリットがあります。

  • 相続人同士で「誰が何をもらうか」を明確にできる
  • 家族の気持ちを汲んだ分配ができる(介護の貢献など)
  • 言った言わないのトラブルを防ぐ
  • 相続手続きがスムーズになる

ただし、遺言書には種類があります(自筆証書遺言・公正証書遺言など)。
法律に則った形式でなければ無効になる可能性もあるため、作成には注意が必要です。

特におすすめなのは、行政書士などの専門家が関与する公正証書遺言です。
これにより、法的に有効かつトラブル回避に強い遺言書が残せます。

3-2:親が元気なうちに「家族会議」を開いておくこと

遺言書とあわせて有効なのが、家族間であらかじめ話し合っておくことです。
これを「家族会議」と呼ぶことがあります。

特に有効なタイミングは以下のような場面です。

  • 親がまだ健康で判断能力があるうち
  • 不動産や事業など、分けづらい財産があるとき
  • 誰かが親の介護を担っている状況にあるとき

家族会議では、親の希望や家族それぞれの立場、価値観を事前に共有することが目的です。
これにより、「後から不公平に感じる」という感情トラブルを大幅に減らすことができます。

ただし、感情的な話し合いになりがちなため、第三者(行政書士など)を同席させるとスムーズです。

3-3:相続人同士が話すより、専門家を介すことで冷静になれる

相続の話はどうしても感情が入り混じるもの。
特に兄弟間では、「昔の恨み」や「思い込み」が爆発しやすく、話し合いが冷静に進まないことも少なくありません。

そこで重要になるのが、行政書士や弁護士など、第三者の専門家を介したサポートです。

専門家が入ることで、

  • 法律的な根拠に基づいた解決案を提示できる
  • 家族同士で直接対立せずに済む
  • 曖昧な情報や感情的な主張を整理できる
  • 万が一のときも調停・裁判にスムーズにつなげられる

特に行政書士は、相続手続き・遺言作成・家族間の調整支援など、幅広く現実的なアドバイスを行える立場です。
「まだ弁護士に頼むほどでは…」という段階でも、安心して相談できます。

小まとめ:「想定外」をなくすことがトラブル予防の鍵

遺産相続における兄弟間トラブルは、事前の想定と準備があるかどうかでほぼ決まります。

遺言書、家族会議、専門家の関与、これらは、「うちの家族に限って…」という慢心から抜け出し、本当に仲の良い家族関係”を守るために必要なプロセスです。

第4章:遺言書を正しく作成するには行政書士のサポートを

前章でお伝えした通り、兄弟間の相続トラブルを防ぐには「遺言書」が有効な手段です。

しかしその一方で、「間違った遺言書」や「形式を満たしていない遺言書」が、かえってトラブルを招いてしまうケースも少なくありません。

ここでは、遺言書作成におけるよくある落とし穴と、行政書士に依頼するメリットについて解説します。

4-1:自分で書く遺言書には無効リスクや誤解のもとが多い

遺言書は基本的に「自筆」で書くこともできます(=自筆証書遺言)。
ですが、以下のようなミスが多く、法的に無効になることもあるため注意が必要です。

よくある失敗例

  • 日付が「令和◯年◯月吉日」など曖昧で無効扱いに
  • 遺産の分配が不明確で兄弟間でも解釈が分かれる
  • 署名・押印を忘れてしまっていた
  • 財産の記述が古く、すでに存在しない口座や不動産が含まれていた
  • 相続人以外に分配しようとして揉めた(例:内縁の妻、介護ヘルパー等)

また、せっかく作っても「どこに保管したかわからない」「家族に見せずに死後見つからなかった」などの理由で、遺言の存在自体が活かされないケースもあります。

4-2:行政書士なら法律的に有効で、誤解を招かない遺言が作れる

行政書士は、遺言書の作成支援や相続に関する書類作成を専門的に取り扱う国家資格者です。

行政書士に依頼することで、以下のようなサポートが受けられます。

行政書士に依頼するメリット

  • 法律に準拠した正しい遺言書が作れる
  • 相続人全体の構成や家族の事情を加味してアドバイスしてくれる
  • 財産内容を明確に整理・把握してもらえる
  • 公正証書遺言の作成手続きまで一貫して支援してくれる
  • 万一のときの遺言執行についても相談できる

特に「公正証書遺言」の作成は、行政書士が下書きを整え、公証人とのやり取りまで対応してくれるので、形式ミスの心配がありません。

兄弟間で揉めたくない人ほど、第三者である行政書士の手を借りることは非常に有効です。

4-3:行政書士への依頼内容と、よくある質問Q&A(概要)

依頼内容の一例

  • 遺言書の内容整理(財産目録の作成、希望のヒアリング)
  • 相続人調査と分配案の調整
  • 公証役場との連携、公正証書化のサポート
  • 保管・執行についてのアドバイス
  • 相続開始後の手続き代行(名義変更、遺産分割協議書作成など)

よくある相談・不安

  • 「費用はどのくらいかかる?」
    → 内容によりますが、一般的には数万円〜十数万円が相場。トラブル防止の保険と考えれば合理的です。
  • 「親が認知症っぽいけど、遺言書は作れるの?」
    → 判断能力が明確にある状態でなければ作成は難しくなります。早めの対策が必要です。
  • 「家族に話しづらい内容だけど、相談して大丈夫?」
    → 守秘義務があるため安心して相談できます。感情の調整も含めた支援が可能です。

小まとめ:遺言書は自分で書けるけれど、一人で作るべきではない

「自分で遺言書を書いておけば安心」と思っている方は多いですが、
実際には正しく・確実に効力を持たせることの方がずっと大切です。

家族のために遺言書を残すなら、専門家の力を借りて万全な形で残すことが、本当の優しさかもしれません。

第5章:相続放棄と兄弟の関係 ― 本当に“縁”は切れるのか?

相続について話し合う中で、兄弟のうち誰かが「もう放棄するよ」「関わりたくない」と言い出すケースは少なくありません。

ですが、「相続放棄=すべて無関係になる」と思っていると、重大な誤解やトラブルにつながる可能性があります。

この章では、相続放棄の正しい知識と、兄弟関係に与える影響について解説します。

5-1:相続放棄をしても、兄弟間の感情のしこりは残る

たとえば、次男が「揉めたくないから相続は放棄する」と言って財産を受け取らなかったとしても――
兄としては「逃げられた」と感じたり、他の兄弟からは「放棄するなら何も言わないで」と反感を持たれることも。

法律上の手続きとしての放棄はできても、感情的なしこりまでは処理できないのが現実です。

特に、口頭で「放棄する」と言っただけで正式な手続きが取られていない場合、後になって意見を変えられ、「え? まだ相続人なの?」と混乱を招く事例もあります(第2章でも紹介しましたね)。

5-2:相続放棄したのに請求された?誤解しがちなパターン

「相続放棄したから、借金の請求も来ないよね?」と安心していたら、債権者から連絡が来た!
実際にこうした相談は珍しくありません。

これは、相続放棄の手続きが家庭裁判所に受理されていなかった、もしくは放棄していない相続人が責任を問われているパターンです。

ポイント

  • 相続放棄は「家庭裁判所に申立てをして、受理されて初めて成立」
  • 単なる口約束、家族内の話し合いだけでは、法律上の効力は一切なし
  • 手続きが完了していても、放棄者が一時的に財産を処分していた場合、放棄が無効とみなされることも

さらに、放棄者の子ども(代襲相続人)にも相続権が移るケースもあるため、「放棄したつもり」が新たな問題の種になることも。

5-3:相続放棄も含めて、専門家に相談することが安心への近道

「放棄した方がスムーズかも」と思っても、それが本当にベストな選択なのかはケースによって異なります。
たとえば:

  • 相続財産にマイナスが多く見えても、後からプラスの資産が出てくることも
  • 他の兄弟の意向とズレると、手続きそのものが進まなくなる
  • 放棄によって、次の相続順位の人にリスクを押し付ける結果になる場合も

だからこそ、相続放棄も含めて、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に事前相談することが重要です。

特に行政書士は、相続放棄の申述書の作成や、他の手続きとのバランスまでトータルでアドバイスできます。

小まとめ:放棄しても関係は完全には切れない

相続放棄は、「財産をもらわない」という手続きではありますが、家族との関係性や責任までは完全に断ち切れるものではありません。

特に兄弟間では、「放棄したから文句は言うな」というスタンスが逆に火種になり、感情のズレが修復不可能なトラブルに発展することもあります。

相続放棄は、「逃げ」ではなく、「戦略的に選ぶ選択肢」だという視点を持つことが大切です。

第6章:よくある質問Q&A(兄弟間の相続編)

兄弟間の相続に関しては、法律的な疑問だけでなく、感情面・手続き・日常の対応に関する悩みが数多く寄せられます。

ここでは、実際に行政書士としてよく聞かれる質問を厳選し、わかりやすくQ&A形式で解説します。

Q1:親が「口頭で伝えた遺言」だけでも有効ですか?

A:原則として無効です。

遺言は民法で定められた「方式」に従わないと法的に無効になります。
口頭で「この家はお前にやる」と言われていても、書面で正式に遺言が残されていない限りは効力を持ちません。

ただし、兄弟間で納得し合意ができれば、遺産分割協議として調整することは可能です。
しかし感情的な対立があると、「そんな話は聞いていない」と言われて終わることも。

やはり、文書での遺言書の作成が絶対に必要です。

Q2:相続放棄した兄弟に、借金の請求が来ることはある?

A:適切に放棄の手続きをしていれば、基本的には請求されません。

ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 放棄の申述を家庭裁判所に出していない
  • 放棄後に財産を処分してしまい、放棄が無効になる
  • 債権者が放棄の事実を知らずに請求してくる

請求されたら無視せず、「放棄が成立している」ことを証明する書類(申述受理証明書など)を提示するとスムーズです。

Q3:遺言書に納得できない兄弟がいても効力はある?

A:基本的にはあります。

遺言書が法律の要件を満たしていれば、有効です。
相続人が納得していなくても、内容通りに財産は分配されます。

ただし、以下のような例外もあります。

  • 著しく不公平な内容で、特定の相続人の「遺留分(最低限の取り分)」を侵害している
  • 作成時に親の意思能力がなかった可能性がある
  • 誰かが無理やり書かせた(=遺言の無効を主張)という場合

このようなケースでは、裁判で争われる可能性も出てくるため、早い段階で専門家に相談することが重要です。

Q4:兄弟の一人が勝手に財産を処分していたら?

A:法的に問題がある可能性が高いです。

相続が発生した後、全員の同意を得ないまま財産を処分するのはNGです。
たとえば実家の土地を長男が勝手に売却した場合、他の兄弟は「無断処分」として損害賠償や分与を求めることができます。

また、預金を勝手に引き出したり、親の死後すぐに名義変更をしてしまうケースもありますが、いずれも相続人全員での協議が原則です。

トラブルを避けるには、遺産分割協議書を正式に作成し、署名捺印をしておくことが大切です。

Q5:行政書士と弁護士、どちらに相談すればいいの?

A:状況によって使い分けるのがおすすめです。

目的行政書士弁護士
遺言書の作成・アドバイス
相続人調査や財産整理
遺産分割協議書の作成
トラブルが起きていない状態での相談
相続トラブルがすでに発生・争いがある×◎(代理人として交渉や裁判ができる)

トラブルが起きる前の段階では行政書士に相談するのが効率的で費用も抑えられるため、早めのアクションがおすすめです。

小まとめ:疑問や不安は、早いうちに潰しておくことが大切

相続に関する「ちょっとした疑問」こそ、大きなトラブルの引き金になることがあります。
Q&Aで紹介したようなケースは決して珍しくなく、多くの家庭で現実に起きていることです。

兄弟間の信頼関係を守るためにも、モヤモヤしたままにせず、早めにプロに相談することが家族全体の安心につながります。

まとめ:兄弟で揉めない相続のために、今からできること

「相続」は、お金の問題だけではありません。
それは、親の想いや家族の歴史、兄弟の関係性、人生のあらゆる局面が交差する最後の共同作業です。

本記事では、親の遺産相続において兄弟間でどのようなトラブルが起こりやすいのか、そしてその予防策として何ができるのかを、行政書士の視点からお伝えしてきました。

改めて確認!兄弟間トラブルを防ぐ3つの柱

1. 親が元気なうちに「遺言書」を残すこと

  • 財産の分け方や気持ちを明確に伝える最大の手段
  • 公正証書遺言なら確実性が高く、争いの余地が少ない

2. 家族全員で「話し合う」機会を設けること

  • 介護、生活支援、感情の不満などを事前に共有できる
  • 感情的になりやすい場面では、第三者の同席が有効

3. 行政書士などの専門家に早めに相談すること

  • 曖昧な手続きや誤解を未然に防げる
  • 公平かつ冷静な視点で、家族の橋渡し役となれる

「うちは大丈夫」と思っている人ほど、備えが必要です

兄弟仲が良くても、相続という現実の前では思いもよらない亀裂が入ることもあります。
そして一度壊れた関係は、金銭以上に大きな代償を伴います。

だからこそ、「まだ親は元気だし、急がなくても…」という今だからこそ、備えておく価値があるのです。

誰のためでもなく、家族みんなの安心のために

相続の備えとは、「誰がいくらもらうか」を決めるだけではありません。
それは、家族の未来を守るための、大切な優しさの表現です。

  • もう揉めたくない
  • 親の想いをきちんと形にしたい
  • 自分の家族も、兄弟も、大切にしたい

そんなあなたのために、行政書士として、専門的かつ実務的なサポートをご用意しています。

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どんな小さなことでも構いません。

最後に

相続は準備をした人が、家族にとっての真の安心を残せる時代です。
どうかこの記事をきっかけに、「うちもそろそろ準備を…」と一歩踏み出していただければ幸いです。