作成済みの遺言書について、「内容を変えたい」「前の遺言を撤回したい」「一部だけ訂正したい」と考えることがあります。
遺言は、生前であれば撤回・変更することができます。
ただし、その方法としては、新しい遺言書に書き直した方がよい場合と、今ある遺言書を訂正することで対応できる場合があります。
特に、財産の分け方を変えたい、相続させる人を変えたい、前の遺言を撤回したい、公正証書遺言を変更したいという場合は、書き直しを検討するのが基本です。
一方で、自筆証書遺言の誤字、住所、表記などの軽微な修正であれば、法律上の方式に従って訂正できる場合があります。
なお、この記事で扱うのは、遺言者本人が生前に遺言を撤回・変更したい場合です。
遺言者が亡くなった後に、相続人が遺言書を訂正したり撤回したりすることはできません。
この記事では、遺言書を書き直すべきケース、訂正で対応できるケース、自筆証書遺言の訂正方法、公正証書遺言を変更する場合の注意点を解説します。

目次
①遺言は生前であれば撤回・変更できる
遺言は、一度作成したら二度と変えられないものではありません。
遺言者本人が生きている間であれば、前に作った遺言を撤回したり、内容を変更したりすることができます。
ただし、「撤回」「変更」「書き直し」「訂正」は、似た場面で使われる言葉ですが、それぞれ意味が異なります。
まずは、どの言葉が何を指しているのかを整理しておきましょう。

遺言の「撤回」とは
一般的に「遺言を撤回する」というと、前に作った遺言書を取り消す、やめる、なかったことにする、という意味で使われることが多いです。
たとえば、
「昔作った遺言書をやめたい」
「前の内容ではなく、今の考えに合わせたい」
「長男にすべて相続させる内容を取り消したい」
といった場面で、「遺言を撤回したい」と表現されます。
法律上の意味でいうと、撤回とは、前にした遺言の全部または一部の効力を失わせることです。
つまり、前の遺言書の内容をそのまま残さず、全部または一部について効力をなくすことを指します。
ただし、注意したいのは、撤回だけで終わらせると、相続時に遺言がない状態になる可能性があることです。
前の遺言を撤回しても、新しい遺言を作らなければ、本人が希望していた財産の分け方が残らないことがあります。
そのため、前の遺言を撤回したい場合でも、単に「撤回する」だけでなく、現在の意思に合った新しい遺言書に書き直すことを検討するのが重要です。
遺言の「変更」とは
遺言の変更とは、前に作った遺言書の内容を、現在の意思に合わせて変えることです。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
| 変更したい内容 | 具体例 |
|---|---|
| 財産の分け方を変えたい | 長男に多く渡す内容から、子ども全員で分ける内容にしたい |
| 相続させる人を変えたい | 特定の相続人ではなく、別の相続人に財産を渡したい |
| 遺言執行者を変えたい | 以前指定した人ではなく、別の人や専門家に依頼したい |
| 財産の記載を整理したい | 解約した口座や売却した不動産の記載を見直したい |
| 付言事項を変えたい | 家族へのメッセージを現在の気持ちに合わせたい |
このような変更をする方法としては、大きく分けて 書き直し と 訂正 があります。
撤回・変更の手段は「書き直し」と「訂正」
遺言を撤回・変更したい場合、実際の手段としては、新しい遺言書に書き直す方法と、今ある遺言書を訂正する方法があります。
| 読者の目的 | 主な手段 | 注意点 |
|---|---|---|
| 前の遺言を撤回したい | 書き直し | 撤回だけで終わると遺言がない状態になることがある |
| 財産の分け方を変えたい | 書き直し | 新旧の遺言内容が矛盾しないようにする |
| 相続させる人を変えたい | 書き直し | 遺言の中心部分なので訂正より書き直しが安全 |
| 誤字・住所・表記を直したい | 訂正 | 自筆証書遺言でも方式を誤ると訂正が無効になる可能性がある |
| 公正証書遺言を変更したい | 書き直し | 自分で直接書き換えるものではない |
基本的には、内容を大きく変えたい場合や、前の遺言を撤回したい場合は、新しい遺言書に書き直す方が安全です。
一方で、自筆証書遺言の誤字、住所、表記などの軽微な修正であれば、法律上の方式に従って訂正できる場合があります。
大切なのは、「撤回したいのか」「内容を変更したいのか」「単なる表記の修正なのか」を分けて考えることです。
そのうえで、書き直しで対応すべきか、訂正で足りるのかを判断していきましょう。
②遺言書に有効期限はないが、内容が古い場合は見直しが必要

遺言書に有効期限はありません。
有効な方式で作成された遺言書であれば、作成から何年経っていても、「期限が切れた」という理由だけで効力を失うわけではありません。
この点は、とてもシンプルです。
ただし、有効期限がないことと、内容が今の状況に合っていることは別問題です。
遺言書を作成した後に、家族構成や財産内容が変わっている場合、古い遺言書の内容がそのまま残ってしまうことで、かえって相続時のトラブルにつながることがあります。
そのため、遺言書は一度作って終わりではなく、状況が変わったときに見直すことが大切です。
法定相続人に変動があった場合は見直す
遺言書を作成した後に、法定相続人に変動があった場合は、遺言書の内容を見直した方がよいです。
特に、配偶者や子どもに関する変化があった場合は注意が必要です。
| 変化 | 見直しが必要になる理由 |
|---|---|
| 結婚した | 配偶者が法定相続人になるため |
| 離婚した | 元配偶者への記載が残っていると、現在の意思と合わない可能性があるため |
| 子どもが生まれた | 新たに子が法定相続人になるため |
| 養子縁組をした | 養子も法定相続人になるため |
| 想定していた相続人が亡くなった | 財産の渡し先を見直す必要があるため |
たとえば、遺言書を作成した当時は子どもがいなかったものの、その後に子どもが生まれた場合、古い遺言書の内容が今の家族関係に合わなくなることがあります。
また、離婚や再婚があった場合も、以前の配偶者や現在の配偶者との関係を踏まえて、遺言書の内容を確認する必要があります。
このような場合、単なる誤字や表記の訂正ではなく、誰にどの財産を渡すのかという内容そのものを見直すことになるため、遺言書を書き直すことを検討した方がよいでしょう。
財産内容が変わった場合は見直す
遺言書を作成した後に、財産内容が変わった場合も見直しが必要です。
特に、遺言書に特定の銀行口座、証券口座、不動産などを記載している場合は注意しましょう。
| 変化 | 見直しが必要になる理由 |
|---|---|
| 銀行口座を解約した | 遺言に書いてある預貯金が失われ、その記載どおりに渡せなくなるため |
| 証券口座を解約した | 遺言に書いてある株式・投資信託などが失われ、その記載どおりに渡せなくなるため |
| 不動産を売却した | 遺言に書いてある不動産が失われ、その記載どおりに渡せなくなるため |
| 不動産を購入した | 新たに取得した不動産が遺言書に反映されていないため |
| 新たに金融機関の口座を開いた | 新しい預貯金や金融資産が遺言書に反映されていないため |
| 財産の金額や構成が大きく変わった | 遺言書を作成した当時の分け方が、現在の財産状況に合わなくなるため |
たとえば、「○○銀行○○支店の預貯金を長男に相続させる」と書いていた場合に、その口座を解約していれば、遺言に書いてある資産は失われています。
また、「自宅不動産を長女に相続させる」と書いていた場合に、その不動産を売却していれば、遺言書に書いた内容どおりに財産を渡すことはできません。
反対に、遺言書を作成した後に新しい不動産を購入したり、新たに金融機関の口座を開いたりした場合、その財産が遺言書に反映されていないことがあります。
このような状態を放置すると、相続時に「この財産は誰が取得するのか」が不明確になり、相続人同士の話し合いが必要になる可能性があります。
内容が古い場合は訂正ではなく書き直しを検討する
遺言書の内容が古くなっている場合、まず考えるべきなのは、訂正で足りるのか、書き直した方がよいのかという点です。
誤字、住所、表記のゆれなど、軽微な修正であれば、自筆証書遺言の訂正で対応できる場合があります。
しかし、法定相続人が変わった場合や、財産内容が大きく変わった場合は、単なる訂正では対応しにくいことがあります。
特に、
誰に何を渡すかを変えたい場合
前の遺言を撤回したい場合
新しく増えた財産も含めて整理したい場合
遺言に書いてある資産が失われた場合
財産全体の配分を見直したい場合
には、新しい遺言書に書き直す方が安全です。
遺言書に有効期限はありません。
だからこそ、古い内容のまま残っていないかを定期的に確認し、現在の家族関係や財産状況に合う内容へ見直すことが大切です。
古い遺言書が有効かどうかを確認したい場合は、日付・署名・押印、内容の明確性、新しい遺言書の有無などを確認する必要があります。
古い遺言書の有効性を確認するポイント
③遺言を撤回・変更したいときの基本は「書き直し」

遺言を撤回したい場合や、内容を大きく変更したい場合は、今ある遺言書を訂正するよりも、新しい遺言書に書き直す方法が無難です。
特に、財産の分け方、相続させる人、遺言執行者などを変更したい場合は、遺言の中心部分に関わります。
このような内容を部分的な訂正で処理すると、どこまでが古い意思で、どこからが新しい意思なのか分かりにくくなることがあります。
そのため、単なる誤字や住所表記の修正ではなく、遺言の内容そのものを変えたい場合は、書き直しを検討した方が安全です。
書き直しが向いているケース
遺言書の書き直しが向いているのは、次のようなケースです。
| 変更したい内容 | 書き直しが向いている理由 |
|---|---|
| 前の遺言を全部撤回したい | 新しい遺言で撤回と新しい分け方をまとめて示せるため |
| 財産の分け方を変えたい | 訂正では内容が複雑になりやすいため |
| 相続させる人を変えたい | 遺言の中心部分に関わるため |
| 遺言執行者を変更したい | 旧遺言との関係を明確にしやすいため |
| 訂正箇所が多い | 読みにくくなり、解釈の争いが起きやすいため |
| 公正証書遺言を変更したい | 自分で直接訂正できないため |
たとえば、「長男にすべて相続させる」と書いていた遺言を、「長男と長女で分ける」内容に変えたい場合、単に一部を書き換えるだけでは不十分になる可能性があります。
また、以前指定した遺言執行者を別の人に変えたい場合や、財産の内容が大きく変わった場合も、古い遺言との関係を整理したうえで、新しい遺言書に書き直す方が分かりやすいでしょう。
前の遺言を全部撤回して書き直す場合の例文
前の遺言をすべて撤回して、新しい内容に書き直す場合は、新しい遺言書の中で、前の遺言を撤回することを明確にします。
たとえば、次のような書き方です。
遺言者は、令和○年○月○日付けで作成した遺言をすべて撤回し、本遺言により、次のとおり遺言する。
そのうえで、現在の意思に合った財産の分け方を記載します。
第1条 遺言者は、遺言者名義の下記不動産を、長男○○に相続させる。
第2条 遺言者は、遺言者名義の○○銀行○○支店の預貯金を、長女○○に相続させる。
第3条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、○○を指定する。
このように、前の遺言を撤回することと、新しい財産の分け方を同じ遺言書の中で示すと、遺言者の意思が分かりやすくなります。
一部だけ変更したい場合の例文
遺言の一部だけを変更したい場合もあります。
たとえば、前の遺言のうち、特定の条項だけを変更したい場合は、次のような書き方が考えられます。
遺言者は、令和○年○月○日付けで作成した遺言のうち、第○条を撤回し、同条に代えて次のとおり遺言する。
このように、一部だけ撤回して、新しい内容に置き換える方法もあります。
ただし、一部変更の場合は、古い遺言書と新しい遺言書をあわせて読まなければならないことがあります。
その結果、相続人が見たときに、「どの部分が有効なのか」「どこまで変更されたのか」が分かりにくくなる可能性があります。
そのため、一部だけを変更したい場合でも、内容が複雑になるときは、全文を書き直した方が安全です。
撤回だけで終わると遺言がない状態になることがある
前の遺言を撤回するだけで、新しい財産の分け方を書かない場合、相続時には遺言がない状態になる可能性があります。
その場合、本人が希望していた分け方ではなく、法定相続や相続人同士の遺産分割協議によって財産の分け方が決まることがあります。
もちろん、「あえて遺言を残さず、相続人の話し合いに任せたい」という意思があるなら、撤回だけで終わる選択もあり得ます。
しかし、特定の人に財産を渡したい、相続トラブルを防ぎたい、遺言執行者を指定しておきたいという目的があるなら、撤回だけで終わらせず、現在の意思に合った新しい遺言書を書き直すことが大切です。
④訂正で対応しやすいのは誤字・住所・表記などの軽微な修正
遺言書の内容を少し直したい場合、「わざわざ書き直さなくても、訂正すればよいのではないか」と考えることがあります。
特に、自筆証書遺言であれば、法律上の方式に従って訂正できる場合があります。
ただし、遺言書の訂正は、メモや契約書の修正とは違い、かなり慎重に考える必要があります。
訂正方法を誤ると、訂正した部分の効力が認められない可能性があるためです。
自筆証書遺言なら訂正できる場合がある
自筆証書遺言は、遺言者本人が自分で作成する遺言書です。
そのため、作成後に誤字や表記の誤りに気づいた場合、一定の方式に従って訂正できる場合があります。
たとえば、名前の漢字を間違えた、住所の表記が古い、不動産の地番に誤りがある、といったケースです。
ただし、単に二重線を引く、余白に書き足す、修正テープで消す、といった方法では不十分になる可能性があります。
自筆証書遺言を訂正する場合は、どこをどのように変更したのかが明確に分かる形で、法律上の方式に沿って行う必要があります。
訂正で対応しやすいケース
訂正で対応しやすいのは、遺言の内容そのものを大きく変えるものではなく、誤字や表記の修正など、比較的軽微なものです。
| 訂正で対応しやすいもの | 具体例 |
|---|---|
| 誤字脱字 | 氏名や文言の明らかな書き間違い |
| 名前の漢字の修正 | 「斉藤」と書くべきところを「斎藤」と書いた場合など |
| 住所の表記 | 旧住所、番地の表記、マンション名の誤りなど |
| 不動産の地番や表記 | 登記事項証明書と表記がずれている場合など |
| 明らかな書き間違い | 金融機関名、支店名、口座番号の一部誤記など |
| 軽微な文言の修正 | 意味を大きく変えない表現の補正など |
このような修正であれば、訂正で対応できる場合があります。
ただし、軽微に見える修正でも、相続の場面では大きな意味を持つことがあります。
たとえば、口座番号や不動産の表示を誤っている場合、財産の特定に影響する可能性があります。
そのため、「少し直すだけ」と思っても、訂正方法には注意が必要です。
内容の大きな変更は書き直しが安全
一方で、財産の分け方や相続させる人を変える場合は、訂正ではなく書き直しを検討した方が安全です。
たとえば、「長男にすべて相続させる」と書いていた内容を、「長男と長女で2分の1ずつ相続させる」に変えたい場合、これは単なる表記の修正ではありません。
財産の分け方そのものを変える内容です。
このような変更を訂正で処理しようとすると、古い記載と新しい記載が混在し、遺言者の最終的な意思が分かりにくくなる可能性があります。
また、複数箇所を訂正すると、遺言書全体が読みづらくなり、相続人の間で「どの内容が有効なのか」をめぐって争いになることもあります。
そのため、内容を大きく変える場合や訂正箇所が多い場合は、訂正ではなく、新しい遺言書に書き直す方が分かりやすく安全です。はなく、新しい遺言書に書き直す方が分かりやすく安全です。
訂正方法を誤ると訂正部分が無効になる可能性がある
自筆証書遺言を訂正する場合、単に二重線を引いたり、余白に正しい内容を書き足したりするだけでは、法律上の訂正として不十分になる可能性があります。
自筆証書遺言の訂正では、どこを変更したのかを示し、どのように変更したのかを付記し、その付記部分に遺言者本人が署名し、さらに変更した場所に押印する必要があります。
たとえば、名前の漢字を直したい場合でも、誤った文字に線を引いて正しい文字を書くだけでは足りない可能性があります。
「何字を削除し、何字を加入したのか」など、訂正の内容が分かるように記載する必要があります。
また、修正テープや修正液で元の文字を消してしまうと、もともと何が書かれていたのか分からなくなります。
このような訂正をすると、訂正した部分の効力が認められず、相続時に「元の記載が有効なのか」「訂正後の内容が有効なのか」をめぐって争いになる可能性があります。
そのため、自筆証書遺言を訂正する場合は、自己流で修正せず、法律上の方式に沿って行うことが大切です。
具体的な訂正の手順は、次の章で確認します。
⑤自筆証書遺言を訂正する場合の法律上の要件と手続き

自筆証書遺言を訂正する場合は、法律上の方式に従う必要があります。
ここで説明するのは、自筆証書遺言を遺言者本人が訂正する場合です。
公正証書遺言は、手元にある正本や謄本に自分で書き込みをしても、内容を変更したことにはなりません。公正証書遺言を変更したい場合は、次の章で説明するように、新しく作り直す方法を検討します。
自筆証書遺言の訂正には法律上の方式がある
自筆証書遺言の訂正は、単に間違えた部分に線を引いたり、正しい文字を書き足したりすればよいわけではありません。
法律上、自筆証書遺言を訂正する場合は、次のような対応が必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 変更した場所を示す | どの部分を訂正したのか分かるようにする |
| 変更した旨を付記する | 何を削除し、何を加入・変更したのかを記載する |
| 付記部分に署名する | 遺言者本人が署名する |
| 変更した場所に押印する | 訂正した箇所にも押印する |
たとえば、名前の漢字を訂正する場合でも、誤った文字に二重線を引いて、横に正しい文字を書くだけでは不十分になる可能性があります。
どこを、どのように変更したのかが分かるように記載し、遺言者本人が署名し、変更箇所に押印する必要があります。
訂正手続きのステップ図
自筆証書遺言を訂正する場合の流れは、次のように整理できます。
誤字・住所・表記の修正なのか、財産の分け方や相続させる人を変える内容なのかを確認します。
内容を大きく変える場合は、訂正ではなく書き直しを検討します。
どの行、どの文字、どの記載を訂正するのかをはっきりさせます。後から見た人が訂正箇所を特定できることが大切です。
元の文字を完全に消してしまうのではなく、何をどう直したのか分かる形で修正します。
修正テープや修正液は避けるべきです。
変更した場所を示し、変更した旨を付記する
「何字を削除した」「何字を加入した」など、訂正内容を欄外や末尾などに記載します。
単なる書き足しだけでは不十分になる可能性があります。
付記した部分に遺言者本人が署名する
訂正内容を記載した部分には、遺言者本人が署名します。本人以外が署名することはできません。
訂正した箇所には押印が必要です。本文全体の押印とは別に、変更場所にも押印する点に注意します。
訂正後の遺言書を読み返し、内容が分かりやすいか確認します。訂正箇所が多い場合や読みにくい場合は、新しく書き直す方が安全です。
この中でも特に重要なのは、訂正箇所を明確にすることと、変更した旨を付記することです。
相続人が後から遺言書を見たときに、「どこが訂正されたのか」「訂正後の内容は何なのか」が分からない状態だと、遺言書の解釈をめぐって争いになる可能性があります。
自筆証書遺言の訂正は、形式を満たしているかだけでなく、相続人が後から読んだときに内容を誤解しないかも重要です。少しでも分かりにくくなる場合は、無理に訂正で済ませず、新しい遺言書に書き直すことも検討しましょう。
訂正の書き方の例
たとえば、遺言書の本文中にある氏名の漢字を訂正する場合は、欄外や末尾などに、次のような形で訂正内容を記載する方法が考えられます。
本行中「斉藤」の2字を削除し、「齋藤」の2字を加入した。
遺言者 山田太郎
そのうえで、訂正した箇所に押印します。
ただし、実際の訂正方法は、訂正する場所や内容によって変わります。
特に、財産の表示や相続させる人の記載を直す場合は、単なる誤字の訂正なのか、遺言内容の変更なのかを慎重に判断する必要があります。
修正テープや単なる二重線だけでは不十分
自筆証書遺言では、修正テープや修正液を使うことは避けるべきです。
修正テープや修正液で元の文字を消してしまうと、もともと何が書かれていたのか分からなくなります。
その結果、訂正の経緯や内容が不明確になり、訂正部分の効力が問題になる可能性があります。
また、単に二重線を引いただけ、余白に正しい内容を書き足しただけ、欄外にメモのように追記しただけ、という方法も危険です。
遺言書は、亡くなった後に効力が問題になる書類です。
本人に直接確認できないからこそ、訂正の形式が厳格に求められます。
自筆証書遺言の形式不備や訂正方法のミスは、遺言書の有効性が争われる原因になることがあります。遺言書が無効になる具体的なケースは、以下の記事で詳しく整理しています。
遺言書が無効になるケースと確認ポイント
訂正箇所が多い場合は書き直しを検討する
訂正箇所が1か所だけで、内容も誤字や表記の修正にとどまる場合は、訂正で対応できることがあります。
しかし、訂正箇所が多い場合や、訂正によって財産の分け方が変わる場合は、書き直しを検討した方がよいでしょう。
訂正が多い遺言書は、どうしても読みにくくなります。
相続人が見たときに、「どの内容が最終的な意思なのか」が分かりにくくなる可能性もあります。
そのため、自筆証書遺言を訂正する場合でも、少しでも不安があるときは、無理に訂正で済ませるのではなく、新しい遺言書に書き直すことを検討しましょう。
⑥公正証書遺言を変更したい場合はどうする?

公正証書遺言を作成した後に、内容を変更したくなることもあります。
たとえば、財産の分け方を変えたい、相続させる人を変えたい、遺言執行者を変更したい、付言事項を書き直したい、といった場合です。
公正証書遺言も、生前であれば変更できます。
ただし、自筆証書遺言のように、手元の紙に自分で訂正を書き込んで変更するものではありません。
公正証書遺言は自分で直接訂正できない
公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言書です。
原本は公証役場で保管され、遺言者の手元には正本や謄本が渡されます。
そのため、手元にある公正証書遺言の正本や謄本に、自分で二重線を引いたり、余白に書き足したりしても、公正証書遺言の内容を変更したことにはなりません。
「この部分だけ直しておけば大丈夫」と考えて、手元の書類に書き込みをしてしまうと、後から相続人が見たときに混乱する可能性があります。
公正証書遺言を変更したい場合は、自分で直接訂正するのではなく、新しい遺言書を作成する方法を検討します。
内容を変更したい場合は新しい公正証書遺言を作成するのが基本
公正証書遺言の内容を変更したい場合は、新しい公正証書遺言を作成するのが基本です。
新しい公正証書遺言の中で、前に作成した遺言を撤回するのか、一部だけ変更するのかを明確にします。
たとえば、前の公正証書遺言をすべて撤回して新しい内容にする場合は、次のような考え方になります。
遺言者は、令和○年○月○日付け公正証書遺言をすべて撤回し、本遺言により、次のとおり遺言する。
このように書いておくと、古い公正証書遺言と新しい公正証書遺言の関係が分かりやすくなります。
一部だけ変更することも考えられますが、古い遺言と新しい遺言をあわせて読む必要が出るため、内容が複雑になることがあります。
財産の分け方や相続させる人を変更する場合は、全文を新しく作り直した方が分かりやすいでしょう。
古い公正証書遺言との関係を整理する
公正証書遺言を変更するときは、古い遺言との関係を整理することが重要です。
新しい遺言を作ったからといって、古い遺言のすべてが当然になくなるとは限りません。
古い遺言と新しい遺言で内容が矛盾する部分や、新しい遺言で撤回すると明記した部分が問題になります。
そのため、次の点を確認しておきましょう。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 前の遺言を全部撤回するのか | 古い遺言全体を使わないのか確認する |
| 一部だけ変更するのか | どの条項を変更するのか明確にする |
| 財産の記載に漏れがないか | 古い遺言にだけ書かれている財産がないか確認する |
| 遺言執行者をどうするか | 前の指定を残すのか、新しく指定するのか確認する |
| 付言事項を見直すか | 家族へのメッセージも現在の意思に合っているか確認する |
特に、複数の公正証書遺言が残る場合、相続人が「どの遺言が有効なのか」と迷う可能性があります。
そのため、公正証書遺言を変更する場合は、新旧の関係が明確になるように作成することが大切です。
公証役場での手続きと専門家への相談
新しい公正証書遺言を作成する場合は、公証役場で手続きを行います。
一般的には、遺言内容の原案を整理し、相続人や財産に関する資料を準備したうえで、公証人と内容を確認していきます。
準備する資料としては、次のようなものがあります。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 戸籍関係書類 | 相続人を確認するための資料 |
| 財産資料 | 不動産、預貯金、株式などを確認するための資料 |
| 本人確認書類 | 遺言者本人を確認するための資料 |
| 前の公正証書遺言 | どの内容を撤回・変更するか確認するための資料 |
| 遺言原案 | 新しく作成したい遺言の内容を整理したもの |
公正証書遺言の変更では、単に「前の内容を直す」だけでなく、現在の家族関係、財産内容、遺留分、遺言執行者の指定などもあわせて確認する必要があります。
内容が複雑な場合や、どのように書き直せばよいか迷う場合は、行政書士などの専門家に相談して、遺言原案や必要書類を整理すると進めやすくなります。
公正証書遺言は、作成後の安全性が高い一方で、変更するときにも慎重な整理が必要です。
変更したい内容がある場合は、自己判断で書き込みをするのではなく、新しい公正証書遺言として作り直すことを検討しましょう。
⑦書き直しと訂正の判断基準

遺言書を変更したい場合、最初に考えるべきなのは、訂正で対応できる内容なのか、それとも新しく書き直した方がよい内容なのかという点です。
判断の目安は、変更したい内容が「表記の修正」にとどまるのか、それとも「遺言の内容そのものを変える」のかです。
誤字、住所、名前の漢字、不動産の表記などの軽微な修正であれば、自筆証書遺言の訂正で対応できる場合があります。
一方で、財産の分け方、相続させる人、遺言執行者、前の遺言の撤回などに関わる場合は、新しい遺言書に書き直す方が安全です。
判断基準の一覧表
| 変更したい内容 | おすすめ対応 | 理由 |
|---|---|---|
| 誤字脱字を直したい | 訂正で対応できる場合がある | 内容そのものを変えるものではないため |
| 名前の漢字を直したい | 訂正で対応できる場合がある | 人物の特定を明確にするための修正であれば訂正になじみやすいため |
| 住所や表記を直したい | 訂正で対応できる場合がある | 表記の修正にとどまる場合があるため |
| 不動産の地番や表記を直したい | 訂正で対応できる場合がある | 財産の特定を補正する内容であれば訂正で足りる場合があるため |
| 財産の分け方を変えたい | 書き直しが安全 | 遺言の中心部分に関わるため |
| 相続させる人を変えたい | 書き直しが安全 | 誰に財産を渡すかが変わるため |
| 前の遺言を撤回したい | 書き直しが安全 | 撤回と新しい内容をまとめて残した方が分かりやすいため |
| 遺言執行者を変更したい | 書き直しが安全 | 手続きを行う人の指定に関わるため |
| 公正証書遺言を変更したい | 新しい公正証書遺言を作成 | 手元の正本や謄本に書き込んでも変更にならないため |
| 訂正箇所が多い | 書き直しが安全 | 遺言書全体が読みにくくなり、解釈の争いが起きやすいため |
| 古い遺言の内容が現状に合わない | 書き直しを検討 | 家族構成や財産状況が変わっている可能性があるため |
| 自筆証書遺言を法務局で保管している | 保管制度での扱いを確認し、新しい遺言の作成も検討 | 手元の遺言書を訂正する場合とは扱いが異なるため |
軽微な修正なら訂正を検討する
訂正で対応しやすいのは、遺言書の内容そのものを変えるのではなく、表記を整えるような修正です。
たとえば、氏名の漢字を間違えた、住所の表記が古い、不動産の地番に誤りがある、金融機関名や支店名の記載に誤りがある、といったケースです。
ただし、このような軽微な修正であっても、自筆証書遺言の訂正には法律上の方式があります。
自己流で修正すると、訂正した部分の効力が認められない可能性があるため、訂正方法には注意が必要です。
内容を変えるなら書き直しを検討する
財産の分け方や相続させる人を変える場合は、訂正ではなく書き直しを検討した方がよいです。
たとえば、以前は長男に自宅を相続させる内容だったものを、長女に相続させる内容に変えたい場合、これは単なる表記の修正ではありません。
遺言の内容そのものを変更することになります。
このような場合に訂正で対応しようとすると、古い記載と新しい記載が混在し、遺言者の最終的な意思が分かりにくくなる可能性があります。
また、前の遺言を撤回したい場合も、撤回だけで終わらせるのではなく、新しい遺言書で現在の意思を明確に残すことが大切です。
迷う場合は書き直しを優先する
訂正で足りるか、書き直した方がよいか迷う場合は、書き直しを優先して検討するのが安全です。
遺言書は、遺言者が亡くなった後に効力が問題になる書類です。
そのときには、本人に「どういう意味で訂正したのか」を確認することができません。
そのため、相続人が見たときに分かりやすいこと、古い内容と新しい内容が混在していないこと、現在の意思が明確に残っていることが重要です。
特に、相続人が複数いる場合、財産の種類が多い場合、公正証書遺言を変更したい場合、遺留分に配慮する必要がある場合は、無理に訂正で済ませず、新しく遺言書を書き直すことを検討しましょう。
⑧遺言書を書き直すときの注意点
遺言書を書き直す場合は、単に新しい内容を書けばよいわけではありません。
前の遺言との関係があいまいだったり、新しい遺言書の形式に不備があったりすると、相続時に「どちらの遺言が有効なのか」「この内容は本当に本人の意思なのか」が問題になることがあります。
書き直しをする場合は、次の点に注意しましょう。
前の遺言を撤回する条項を入れる
前の遺言を使わず、新しい遺言書の内容に一本化したい場合は、前の遺言を撤回する条項を入れると分かりやすくなります。
たとえば、次のような書き方です。
遺言者は、令和○年○月○日付けで作成した遺言をすべて撤回し、本遺言により、次のとおり遺言する。
このような条項があると、古い遺言書と新しい遺言書の関係が明確になります。
特に、過去に複数の遺言書を作成している場合は、「どの遺言を撤回するのか」「すべて撤回するのか」をはっきりさせることが大切です。
新旧の遺言内容が矛盾しないようにする
新しい遺言書を作ったからといって、古い遺言書のすべてが当然に消えるとは限りません。
新しい遺言と古い遺言の内容が矛盾する場合、その矛盾する部分については、古い遺言が撤回されたものとして扱われることがあります。
一方で、矛盾していない部分については、古い遺言の内容が残る可能性もあります。
そのため、書き直しをする場合は、古い遺言書を確認したうえで、新しい遺言書に漏れや矛盾がないかを整理しましょう。
特に、財産の一部だけを書き直す場合や、遺言執行者だけを変更する場合は注意が必要です。
古い遺言と新しい遺言をあわせて読まなければならない状態になると、相続人が内容を理解しにくくなる可能性があります。
迷う場合は、前の遺言をすべて撤回したうえで、現在の意思を新しい遺言書にまとめ直す方が分かりやすいでしょう。
日付・署名・押印など形式不備に注意する
自筆証書遺言を書き直す場合は、形式不備にも注意が必要です。
自筆証書遺言では、本文、日付、氏名、押印など、法律上必要とされる形式があります。
日付が抜けている、氏名がない、押印がない、内容が不明確といった場合、遺言書の効力が問題になる可能性があります。
また、日付についても、「令和○年○月吉日」のように日が特定できない書き方は避けるべきです。
複数の遺言書がある場合、どちらが新しい遺言なのかを判断するうえでも、日付は重要です。
書き直した遺言書が形式不備で無効になってしまうと、古い遺言書との関係や相続人間の話し合いが複雑になることがあります。
そのため、自筆証書遺言を書き直す場合は、内容だけでなく、形式面も丁寧に確認しましょう。
遺言書を書き直す場合は、内容だけでなく、有効な遺言書として成立する形式を満たしているかも確認する必要があります。遺言書の有効性を判断する基本ポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
遺言書の有効性を判断する5つのチェックポイント
遺留分にも配慮する
遺言書を書き直すときは、遺留分にも配慮する必要があります。
遺留分とは、一定の相続人に認められる最低限の取り分です。
たとえば、特定の相続人に多くの財産を相続させる内容に変更した場合、他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。
もちろん、遺留分を侵害する内容の遺言が、直ちに無効になるわけではありません。
しかし、相続開始後に遺留分侵害額請求がされると、相続人同士の争いにつながることがあります。
遺言書を書き直す際には、単に「誰に渡したいか」だけでなく、他の相続人がどのように受け止めるか、遺留分の問題が出ないかも確認しておくと安心です。
遺言執行者の指定も見直す
遺言書を書き直す場合は、遺言執行者の指定もあわせて見直しましょう。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きを行う人です。
預貯金の解約、不動産の名義変更に関する準備、相続人や関係者への連絡など、遺言内容によって重要な役割を担います。
前の遺言で指定していた遺言執行者が高齢になっている、すでに亡くなっている、連絡が取りにくい、事情が変わって依頼しづらいという場合は、新しい遺言書で指定し直すことを検討しましょう。
また、財産内容が複雑な場合や、相続人同士の対立が予想される場合は、専門家を遺言執行者として指定することも選択肢になります。
遺言書を書き直すときは、財産の分け方だけでなく、誰がその内容を実現するのかまで考えておくことが大切です。
⑨行政書士など専門家に相談した方がよいケース

遺言書の書き直しや訂正は、本人だけで進められる場合もあります。
たとえば、自筆証書遺言の明らかな誤字を、法律上の方式に従って訂正するだけであれば、自分で対応できることもあるでしょう。
しかし、内容が少しでも複雑な場合や、前の遺言との関係を整理する必要がある場合は、専門家に相談した方が安心です。
特に、遺言書は本人が亡くなった後に効力が問題になる書類です。
そのときには、本人に直接確認することができません。
そのため、作成時点で「読めば分かる内容」になっているか、「新旧の遺言の関係が明確か」「相続人同士の争いを招きにくいか」を意識しておくことが大切です。
公正証書遺言を変更したい場合
公正証書遺言を変更したい場合は、行政書士などの専門家に相談するメリットがあります。
公正証書遺言は、手元の正本や謄本に書き込んでも内容を変更したことにはなりません。
新しい公正証書遺言を作成する場合は、前の遺言を撤回するのか、一部だけ変更するのかを整理し、公証役場での手続きに向けて準備を進める必要があります。
行政書士に相談すれば、遺言内容の整理、必要書類の確認、遺言原案の作成、公証役場との手続き準備などをサポートしてもらえます。
相続人や財産の内容が複雑な場合
相続人が多い場合、再婚している場合、前婚の子がいる場合、不動産や金融資産が複数ある場合などは、遺言書の内容が複雑になりやすいです。
このようなケースでは、単に「誰に何を渡すか」だけでなく、遺留分、財産の特定方法、予備的な指定、遺言執行者の指定なども考える必要があります。
たとえば、特定の銀行口座や不動産を指定している場合、その財産が将来なくなったときにどうするのかも検討しておくと安心です。
財産内容が複雑な場合は、現在の財産を一覧にし、どの財産を誰に渡したいのかを整理したうえで、専門家に相談すると進めやすくなります。
前の遺言を確実に撤回したい場合
過去に遺言書を作成している場合は、前の遺言との関係を明確にすることが重要です。
新しい遺言書を作成しても、古い遺言のすべてが当然に消えるとは限りません。
内容が矛盾する部分や、新しい遺言で撤回すると明記した部分が問題になります。
そのため、前の遺言を確実に撤回したい場合は、新しい遺言書の中で、どの遺言を撤回するのかを明確にしておく必要があります。
過去に複数の遺言書を作成している場合や、自筆証書遺言と公正証書遺言が混在している場合は、自己判断で進めず、専門家に確認した方が安全です。
訂正で足りるか書き直すべきか迷う場合
誤字や住所表記の修正であれば、訂正で対応できる場合があります。
しかし、その修正が財産の特定に関わる場合や、相続させる人・財産の分け方に影響する場合は、訂正で済ませるべきか慎重に判断する必要があります。
訂正で足りるか、書き直した方がよいか迷う場合は、無理に自己判断で訂正しない方が安心です。
特に、訂正箇所が多い場合や、訂正後の遺言書が読みにくくなる場合は、新しい遺言書に書き直すことを検討しましょう。
将来の相続トラブルを防ぎたい場合
遺言書を書き直す目的は、単に内容を変えることだけではありません。
将来、相続人が困らないようにすることも大切です。
たとえば、財産の分け方に偏りがある場合は、その理由を付言事項で説明することがあります。
遺言執行者を指定しておけば、相続開始後の手続きを進めやすくなる場合もあります。
行政書士に相談すれば、遺言書の文案だけでなく、相続人や財産の整理、公正証書遺言の準備、遺言執行者の指定まで見据えて検討しやすくなります。
なお、相続人同士の争いがすでにある場合や、紛争性が高い場合は弁護士への相談が必要になることがあります。
また、相続税については税理士、不動産登記については司法書士に確認する場面もあります。
遺言書の書き直しや変更は、将来の相続を見据えた大切な準備です。
不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、現在の意思が正確に伝わる遺言書に整えておきましょう。
⑩よくある質問
Q:遺言書は何度でも書き直しできますか?
はい。
遺言者本人が生きている間であれば、遺言書は何度でも書き直すことができます。
ただし、複数の遺言書が残ると、新旧の内容の関係が分かりにくくなることがあります。
書き直す場合は、前の遺言を撤回する条項を入れるなどして、どの遺言を有効にしたいのかを明確にしておきましょう。
Q:遺言書に有効期限はありますか?
遺言書に法律上の有効期限はありません。
有効に作成された遺言書であれば、作成から長期間が経っていても、期限切れになるわけではありません。
ただし、家族構成や財産内容が変わっている場合は、古い内容のままでは現在の意思に合わないことがあります。
その場合は、訂正で足りるのか、書き直すべきかを検討しましょう。
Q:古い遺言書と新しい遺言書はどちらが有効ですか?
新しい遺言書を作成した場合、古い遺言書と内容が矛盾する部分については、新しい遺言が優先されることがあります。
ただし、新しい遺言書を作ったからといって、古い遺言書のすべてが当然になくなるとは限りません。
前の遺言を使わないつもりであれば、新しい遺言書の中で「前の遺言をすべて撤回する」と明記しておくと分かりやすくなります。
Q:自筆証書遺言の誤字は訂正できますか?
自筆証書遺言の誤字は、法律上の方式に従えば訂正できる場合があります。
ただし、単に二重線を引く、余白に書き足す、修正テープで消す、といった方法では不十分になる可能性があります。
訂正する場合は、変更した場所を示し、変更した旨を付記し、署名し、変更場所に押印する必要があります。
Q:修正テープで直した遺言書は有効ですか?
修正テープや修正液を使った訂正は避けるべきです。
元の記載が分からなくなると、どのように訂正したのかが確認できず、訂正部分の効力が問題になる可能性があります。
自筆証書遺言を訂正する場合は、法律上の方式に従って行う必要があります。
Q:公正証書遺言は自分で訂正できますか?
できません。
手元にある公正証書遺言の正本や謄本に書き込みをしても、公正証書遺言の内容を変更したことにはなりません。
公正証書遺言を変更したい場合は、新しい公正証書遺言を作成し、前の遺言との関係を明確にするのが基本です。
Q:前の遺言を撤回するだけでもよいですか?
前の遺言を撤回するだけという方法もあり得ます。
ただし、新しい遺言を作らない場合、相続時には遺言がない状態になる可能性があります。
特定の人に財産を渡したい、相続トラブルを防ぎたい、遺言執行者を指定したいという目的があるなら、撤回だけで終わらせず、新しい遺言書を書き直すことを検討しましょう。
Q:遺言者が亡くなった後でも、遺言書を訂正・撤回できますか?
できません。
遺言書を訂正・撤回できるのは、遺言者本人が生きている間です。
遺言者が亡くなった後に、相続人が遺言書を書き換えたり、訂正したり、撤回したりすることはできません。
内容に問題がある場合は、遺言の無効、遺留分、相続人全員の合意による対応など、別の問題として整理する必要があります。
Q:法務局で保管している自筆証書遺言を変更したい場合はどうすればよいですか?
法務局で保管している自筆証書遺言を変更したい場合は、手元の紙を訂正する場合とは扱いが異なります。
保管中の遺言書をどう扱うのか、新しい遺言書を作成して保管するのかを確認する必要があります。
法務局の保管制度を利用している場合は、自己判断で進めず、保管制度での手続きを確認しましょう。
Q:訂正と書き直しはどちらが安全ですか?
迷う場合は、書き直しを検討する方が安全です。
訂正は、誤字、住所、表記などの軽微な修正には使える場合があります。
一方で、財産の分け方、相続させる人、遺言執行者、前の遺言の撤回などに関わる場合は、新しい遺言書に書き直す方が、遺言者の意思を明確に残しやすくなります。
まとめ|遺言を撤回・変更したいときは、訂正より書き直しが安全な場合が多い
遺言は、生前であれば撤回・変更できます。
一度作成した遺言書でも、家族構成や財産状況が変わった場合、考え方が変わった場合、遺言執行者を変更したい場合などには、内容を見直すことができます。
自筆証書遺言の誤字、住所、名前の漢字、表記の誤りなど、軽微な修正であれば、法律上の方式に従って訂正できる場合があります。
ただし、単に二重線を引く、修正テープで消す、余白に書き足すだけでは、訂正として不十分になる可能性があります。
一方で、財産の分け方を変えたい、相続させる人を変えたい、前の遺言を撤回したい、遺言執行者を変更したいという場合は、訂正ではなく、新しい遺言書に書き直す方が安全です。
特に、前の遺言を撤回するだけで新しい遺言を作成しない場合、相続時に遺言がない状態になる可能性があります。
特定の人に財産を渡したい、相続トラブルを防ぎたい、遺言執行者を指定したいという目的があるなら、現在の意思に合った新しい遺言書を作成しておきましょう。
また、公正証書遺言を変更したい場合は、手元の正本や謄本に自分で書き込みをしても、内容を変更したことにはなりません。
新しい公正証書遺言を作成し、前の遺言との関係を明確にするのが基本です。
遺言書に法律上の有効期限はありません。
だからこそ、古い内容のまま残っていないかを定期的に確認し、現在の意思が正確に伝わる遺言書に整えておくことが大切です。
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