公正証書遺言を作成したいけれど、自分の希望を専門家にうまく伝えられるだろうか。そんな不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
行政書士は、ご本人の思いを丁寧に伺い、遺言書の作成を法律に基づいて支援できる専門職です。
例えば、財産を誰にどのように残したいか、まだ考えがまとまっていなくても、相談しながら希望を整理し、遺言書の文案にまとめることができます。
この記事では、行政書士に公正証書遺言の作成を依頼できる法的根拠や、任せられる業務の範囲、本人の意思が尊重される仕組みについて解説します。
目次
①公正証書遺言の作成は行政書士にどこまで依頼できる?
公正証書遺言の作成では、遺言内容の整理から必要書類の準備、公証役場との調整まで、さまざまな業務を行政書士に依頼できます。
ただし、すべてを行政書士に任せられるわけではありません。財産を誰にどのように残すかを決めるのは、遺言者ご本人だからです。
例えば、行政書士に依頼した場合、次のように役割を分担しながら作成を進めます。

| 作成に必要なこと | 行政書士に依頼できること | ご本人が行うこと |
|---|---|---|
| 遺言内容の検討 | 希望の聞き取り・整理 | 財産の残し方を決める |
| 遺言書の文案作成 | 希望に基づく文案の作成・修正 | 文案の内容を確認する |
| 必要書類の準備 | 戸籍等の収集や必要書類の案内 | 財産情報などを提供する |
| 公証役場との調整 | 文案の事前確認・日程調整 | 必要な確認に応じる |
| 証人の手配 | 証人の手配や紹介の調整 | 必要に応じて協力する |
| 公正証書遺言の作成 | 作成当日の同行など | 公証人に意思を伝え、内容を確認する |
※行政書士が対応する業務の範囲は、事務所や契約内容によって異なります。
公正証書遺言の具体的な作成手順については、関連記事「公正証書遺言の作り方」で詳しく解説しています。
このように、行政書士は遺言書の作成に必要な準備や調整を支援しますが、遺言の内容を本人に代わって決定することはありません。
ご本人の意思を大切にしながら、行政書士と役割を分担して作成を進めることができます。
②公正証書遺言の作成は、希望がまとまっていなくても相談できる?
公正証書遺言の内容がまだ決まっていなくても、行政書士に相談することができます。
遺言書の作成では、最初から財産の残し方をすべて決めておく必要はありません。ご本人の思いやご家族の状況を伺いながら、希望を一つひとつ整理していくことができます。
例えば、「自宅は妻に残したいけれど、預貯金を子どもたちにどう分けるか迷っている」という場合も、行政書士と相談しながら考えをまとめていくことができます。
ご本人の思いを丁寧に聞き取り、遺言内容を整理する
遺言書を作成する際には、財産の分け方だけでなく、ご家族への思いや将来への希望を整理することも大切です。
行政書士は、ご本人のお話を伺いながら、誰にどの財産を残したいのか、どのような希望があるのかを確認していきます。
例えば、特定のご家族に財産を残したい理由や、遺言書に添えたい感謝の気持ちなども、相談の中で整理することができます。
整理した希望を遺言書の文案にまとめる
ご本人の希望が整理できたら、その内容をもとに行政書士が遺言書の文案を作成します。
作成した文案はご本人に確認していただき、必要に応じて表現や内容を調整しながら、公正証書遺言の作成に向けて準備を進めます。
最終的には、公証人がご本人の意思を確認し、法律で定められた方式に従って公正証書遺言を作成します。
行政書士は、ご本人の思いを大切にしながら、その希望を遺言書として形にするためのお手伝いをします。
③行政書士に公正証書遺言の作成を依頼できる法的根拠
行政書士は、法律に基づいて遺言書の作成を支援できる専門職です。
行政書士法では、権利義務に関する書類の作成が行政書士の業務として定められています。遺言書もこれに該当するため、行政書士は、ご本人の希望を整理し、遺言書の文案を作成するなどの支援を行うことができます。
また、行政書士には法律上の守秘義務があり、ご家族の事情や財産に関する情報を取り扱う際にも、その義務が適用されます。
行政書士法に基づいて遺言書の作成を支援できる
行政書士法第1条の3第1項では、行政書士の業務として「権利義務又は事実証明に関する書類」の作成が定められています。
遺言書は、財産の承継などに関する権利義務を定める書類です。そのため、行政書士は、ご本人から依頼を受けて、遺言内容の整理や文案の作成などを行うことができます。
ただし、公正証書遺言そのものを作成するのは公証人です。行政書士は、遺言書の文案作成や必要書類の準備、公証役場との調整などを通じて、公正証書遺言の作成を支援します。
遺言書の作成を依頼できる専門職の違いについては、関連記事「遺言書は誰に頼むべき?」もご覧ください。
参考資料

行政書士には法律上の守秘義務がある
遺言書の作成では、財産の内容だけでなく、ご家族との関係や、財産を残したい理由など、個人的な事情について相談することもあります。
行政書士法第12条では、行政書士が業務上知り得た秘密を、正当な理由なく漏らしてはならないと定めています。
この守秘義務は、行政書士でなくなった後も続きます。
行政書士は、法律上の守秘義務を負う立場で、ご本人の思いやご家族の事情を伺い、公正証書遺言の作成を支援します。
④公正証書遺言の作成依頼に関するよくある質問

Q. 遺言書の作成は司法書士に依頼するものではないのですか?
遺言書の作成を司法書士に依頼しなければならないという法律上の決まりはありません。
行政書士法第1条の3第1項では、権利義務に関する書類の作成が行政書士の業務として定められています。また、弁護士法第3条にも、法律事務を取り扱う業務上の根拠があります。
行政書士は、法律に基づいて、ご本人の希望を整理し、遺言書の文案作成などを支援できます。
Q. 不動産がある場合も行政書士に依頼できますか?
はい。不動産を所有している場合も、公正証書遺言の作成支援を行政書士に依頼できます。
例えば、自宅を配偶者に残したい場合や、複数の不動産をそれぞれ異なる方に残したい場合も、ご本人の希望を伺いながら遺言書の文案を作成できます。
Q. 家族に知られずに公正証書遺言を作成できますか?
はい。公正証書遺言は、ご家族に事前に知らせたり、同意を得たりすることなく作成できます。
行政書士には法律上の守秘義務があり、業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らすことは禁止されています。
また、公正証書遺言の作成には証人2名の立会いが必要ですが、推定相続人などは証人になることができません。
ご家族以外の証人を手配することで、ご本人の希望に沿って作成を進めることができます。
Q. 公正証書遺言の作成当日は、本人が公証役場に行く必要がありますか?
公正証書遺言の作成には、ご本人による意思表示が必要です。行政書士が代理人として遺言をすることはできません。
通常は公証役場で作成しますが、病気や身体の事情などで出向くことが難しい場合には、公証人に出張してもらう方法もあります。
行政書士は、ご本人の状況に応じて、公証役場との事前調整などを支援できます。
行政書士に依頼する場合の報酬相場や、公証人手数料を含めた総額については、関連記事「公正証書遺言を行政書士に依頼する費用は?」で解説しています。
まとめ|公正証書遺言の作成は行政書士に相談できる
公正証書遺言の作成は、行政書士に相談・依頼することができます。
行政書士は、ご本人の希望を丁寧に伺い、遺言内容の整理や文案作成、必要書類の準備、公証役場との調整などを通じて、公正証書遺言の作成を支援します。
また、行政書士には法律に基づく業務上の根拠と守秘義務があり、ご家族の事情や財産に関する相談にも対応できます。
遺言内容がまだ具体的に決まっていなくても、相談しながらご自身の思いを整理していくことができます。
IT行政書士事務所では、公正証書遺言の作成に向けて、ご本人の希望を伺いながら準備から完成までサポートしています。
サービス内容や料金については、以下のページをご覧ください。
公正証書遺言の作成サポート
ご本人の希望を丁寧に伺い、遺言書の文案作成から公証役場との調整まで支援します。
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