「遺言書にはどんな種類があるの?」
「自筆証書遺言と公正証書遺言は何が違う?」
「結局、自分にはどの遺言方式が合っているの?」
遺言について調べると、さまざまな種類や名称が出てきて、違いがわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
法律上、一般的な遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれ、作成方法や費用、無効リスク、保管方法などに違いがあります。
また、病気や事故など緊急時に利用される「特別方式遺言」という制度もあります。
この記事では、遺言書の種類ごとの特徴や違いを比較しながら、どんな人に向いているのかをわかりやすく解説します。
「費用を抑えたい」「できるだけ確実に残したい」など、自分に合った遺言方式を選びたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次
①まず結論|迷ったら公正証書遺言が最も安心

遺言書には複数の種類がありますが、どれを選ぶか迷った場合は、公正証書遺言を選ぶ人が多いです。
公正証書遺言は、公証人が法律に沿って作成するため、形式不備によって無効になるリスクを抑えやすく、相続トラブルの予防にもつながります。
また、公証役場で原本が保管されるため、自宅保管の遺言で起こりがちな「遺言書が発見されない」「親族間で保管状況をめぐってトラブルになる」「改ざんが疑われる」といったリスクも抑えやすくなります。
- 相続人が多い
- 再婚家庭など家族関係が複雑
- 不動産など分けにくい財産がある
- 特定の人に確実に財産を残したい
- 相続トラブルをできるだけ避けたい
といった場合には、特に公正証書遺言が選ばれることが多くなっています。
費用や手間はかかるものの、「確実に意思を残したい」「家族が揉めないようにしたい」という場合には、まず検討されることが多い遺言方式です。していないと無効になる可能性があるため、作成時お問い合わせには注意が必要です。
②遺言書には「普通方式」と「特別方式」がある
法律上の遺言は、「普通方式遺言」と「特別方式遺言」の2つに分かれます。
一般的に利用されるのは普通方式遺言で、多くの人が作成する遺言書はこの分類に含まれます。一方、特別方式遺言は、病気や事故などによって通常の方法で遺言を作成できない場合に認められる例外的な制度です。
まずは、それぞれの違いを見ていきましょう。
普通方式遺言とは
普通方式遺言とは、通常の状況で作成する一般的な遺言方式です。
法律上、普通方式遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれ、作成方法や費用、無効リスクなどに違いがあり、目的や状況に応じて選ばれています。
特別方式遺言とは
特別方式遺言とは、病気や事故などによって通常の方法で遺言を作成できない場合に認められる例外的な遺言方式です。
代表的なものとして、死が差し迫った状況で行う「危急時遺言」や、船舶内・隔離地域など特殊な環境で作成する遺言があります。
もっとも、利用できる場面は限定されており、一般的に「遺言書の種類」として比較されるのは、普通方式遺言の3種類です。比較されるのは、主に普通方式遺言の3種類になります。
③普通方式の遺言書は3種類ある
一般的に利用されている普通方式遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれ、作成方法や費用、安全性などに違いがあり、目的や状況に応じて選ばれています。

まずは、3種類の違いを比較表で確認してみましょう。
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 作成方法 | 自分で作成 | 公証人が作成 | 自分で作成し、公証役場で存在を証明 |
| 費用 | ほぼ不要 | 費用がかかる | 費用がかかる |
| 無効リスク | 比較的高い | 低い | 比較的高い |
| 検認 | 必要※ | 不要 | 必要 |
| 保管方法 | 自宅・法務局保管 | 公証役場で保管 | 自宅保管 |
| 特徴 | 手軽に作成できる | 安全性・確実性が高い | 内容を秘密にできる |
※法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合は検認不要です。
④遺言書3種類の主な違い
遺言書は種類によって、「費用を抑えやすいか」「無効リスクが低いか」「手続きがスムーズか」などが大きく異なります。
ここからは、比較表の内容をもとに、それぞれの違いを見ていきましょう。
費用・手間の違い
自筆証書遺言は、自分で作成できるため、費用を抑えやすく、比較的手軽に準備できる点が特徴です。
一方、公正証書遺言は、公証役場での手続きや証人の準備が必要になるため、一定の手間と費用がかかります。ただし、公証人が作成をサポートするため、安心感があります。
秘密証書遺言も、公証役場での手続きや証人が必要です。自筆証書遺言ほど手軽ではなく、公正証書遺言ほど利用されているわけでもないため、現在は選ばれるケースは多くありません。
無効リスク・安全性の違い
自筆証書遺言は、自分で作成できる反面、法律上のルールを満たしていないと無効になる可能性があります。
また、自宅で保管するケースが多いため、紛失や未発見、親族間で保管状況をめぐるトラブルが起こる可能性もあります。
一方、公正証書遺言は、公証人が法律に沿って作成し、原本も公証役場で保管されるため、形式不備による無効が起こりにくく、紛失や改ざん、発見されないといったトラブルも防ぎやすい点が特徴です。
秘密証書遺言は、内容を秘密にできる一方、公証人が内容自体を確認するわけではないため、形式不備によって無効になる可能性があります。また、自宅保管になるため、安全性の面では公正証書遺言ほど高くありません。
検認・保管方法の違い
自筆証書遺言は、自宅で保管することもできますが、法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用して保管することもできます。
秘密証書遺言は、公証役場で遺言書の存在を証明してもらう方式ですが、原本自体は本人が保管します。
一方、公正証書遺言は、公証役場で原本が保管されるため、紛失や発見されないリスクを防ぎやすい点が特徴です。
また、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、原則として、開封前に家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。
ただし、自筆証書遺言でも、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用している場合は検認が不要になります。
公正証書遺言は、公証役場で原本が保管されるため、検認も不要です。
それぞれ向いている人の違い
自筆証書遺言は、「まずは自分で作成したい」「できるだけ費用を抑えたい」という場合に向いている遺言方式です。
- 相続人が配偶者や子ども中心
- 財産内容が比較的シンプル
- まずは早めに遺言を準備したい
といったケースで利用されることがあります。
一方、公正証書遺言は、「確実に法的効力を持たせたい」「相続トラブルを避けたい」という場合に向いています。
- 相続人が多い
- 再婚家庭など家族関係が複雑
- 不動産など分けにくい財産がある
- 特定の人に確実に財産を残したい
といったケースでは、公正証書遺言が選ばれることが多くなっています。
秘密証書遺言は、「遺言内容を秘密にしたい」というニーズには対応できますが、現在は利用されるケースは多くありません。
⑤特別方式遺言はどんなときに使う?

遺言の特別方式遺言は、病気や事故などによって、通常の方法で遺言を作成できない場合に認められる例外的な遺言方式です。
一般的に利用されるケースは多くありませんが、「急に命の危険が迫った場合でも、最後の意思を残せるようにする」という役割があります。
危急時遺言
危急時遺言は、病気や事故などによって死が差し迫っている場合に認められる遺言方式です。
通常の遺言書を作成する時間がない場合でも、証人の立会いのもとで遺言を残すことができます。
ただし、利用できる状況や手続きには厳しい条件があり、家庭裁判所での確認手続きも必要になります。
隔絶地遺言
隔絶地遺言は、船舶内や隔離地域など、通常の方法で遺言を作成することが難しい状況で利用される遺言方式です。
たとえば、船の航海中や、感染症による隔離状態などが該当します。
もっとも、実際に利用されるケースは非常に少なく、一般的な遺言として利用されることはほとんどありません。
⑥よくある質問(FAQ)
Q:遺言書は全部で何種類ありますか?
法律上、一般的な遺言書には、
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
の3種類があります。
これらは「普通方式遺言」と呼ばれ、実際に利用されることが多い遺言方式です。
また、病気や事故など緊急時に利用される「特別方式遺言」もあります。
Q:自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらが多いですか?
一般的には、公正証書遺言が増加傾向にあります。
自筆証書遺言は費用を抑えやすい一方、形式不備による無効リスクや、自宅保管によるトラブルが起こる可能性があります。
そのため、「確実に遺言を残したい」と考える人を中心に、公正証書遺言を選ぶケースが増えています。
Q:遺言書で一番安全なのはどれですか?
一般的には、公正証書遺言が最も安全性・確実性が高いとされています。
公証人が法律に沿って作成し、原本も公証役場で保管されるため、形式不備による無効や、紛失・改ざんなどのリスクを防ぎやすいためです。
Q:自筆証書遺言でも法的効力はありますか?
はい。法律上のルールに沿って作成されていれば、自筆証書遺言にも法的効力があります。
ただし、日付や署名などに不備があると無効になる可能性があるため、作成時には注意が必要です。
Q:秘密証書遺言が使われないのはなぜですか?
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま遺言書の存在を証明できる方式です。
ただし、公証人が内容自体を確認するわけではないため、形式不備によって無効になる可能性があります。
また、公証役場での手続きや証人も必要になるため、手間や費用をかけて作成したにもかかわらず、内容によっては無効になってしまう可能性がある点には注意が必要です。
そのため、現在は自筆証書遺言や公正証書遺言が選ばれるケースが多くなっています。
Q:病院でも遺言は作れますか?
はい。状況によっては、病院でも遺言を作成できる場合があります。
たとえば、死が差し迫った状況では、「危急時遺言」という特別方式遺言が認められるケースがあります。
ただし、利用には厳しい条件があり、証人の立会いや家庭裁判所での確認手続きなども必要になります。
また、病院に入院している場合でも、判断能力があり意思表示ができる状態であれば、公証人に病院へ出張してもらい、公正証書遺言を作成できるケースもあります。
そのため、緊急時であっても、状況によっては公正証書遺言を検討できる場合があります。
飛行機事故などで書いた「遺書」に法的効力はありますか?
飛行機事故や災害などで死が差し迫った状況で書かれた「遺書」でも、必ずしも法的効力が認められるわけではありません。
単なるメモやメッセージとして書かれている場合は、法律上の遺言として無効になる可能性があります。
「遺言」と「遺書」の違いや法的効力の違いはこちらで詳しく解説しています
一方で、法律上の要件を満たしている場合には、「危急時遺言」などの特別方式遺言として有効になるケースもあります。
ただし、証人の立会いや家庭裁判所での確認手続きなど、厳しい条件があるため、実際に有効と認められるケースは限定的です。

まとめ|遺言書は「手軽さ」と「確実性」で選ぶことが重要
遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
それぞれ、
- 費用
- 作成の手間
- 無効リスク
- 保管方法
- 安全性
などに違いがあり、どの遺言方式が適しているかは、財産内容や家族構成によって変わります。
費用を抑えながら自分で作成したい場合は、自筆証書遺言が向いているケースもあります。
一方で、
- 相続トラブルを避けたい
- 不動産など分けにくい財産がある
- 確実に法的効力を持たせたい
といった場合には、公正証書遺言が選ばれることが多くなっています。
また、病気や事故など通常の方法で遺言を作成できない場合には、「危急時遺言」などの特別方式遺言が認められるケースもあります。
「どの遺言方式を選べばよいかわからない」という場合は、早めに専門家へ相談し、自分の状況に合った方法を検討することが大切です。
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特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)
- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
- メッセージ:
「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」
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