建設業許可の欠格要件と誠実性を申請前に確認する方法|対象者・チェック項目を解説

建設業許可の欠格要件と誠実性を申請書類で確認する建設会社経営者

建設業許可では、経営経験や資格、財産的基礎などに目が向きやすい一方で、欠格要件や誠実性の確認は見落としやすいポイントです。

欠格要件に該当すると、ほかの要件を満たしていても許可を受けることはできません。また、誠実性は「〇年以上の経験」「〇円以上の資産」といったように、数値だけで判断できるものではありません。

そのため申請前には、誰が確認対象になるのか、どのような事情が欠格要件に該当するのか、不正・不誠実な行為とは何を指すのかを整理しておくことが大切です。

この記事では、建設業許可の欠格要件と誠実性について、申請前に確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。

目次

①欠格要件と誠実性とは

建設業許可を受けるためには、常勤役員等や営業所技術者等、財産的基礎などの要件を満たすだけでなく、欠格要件に該当しないこと、そして請負契約に関して誠実性があることも必要です。

この2つは似たような要件に見えますが、確認する内容は異なります。

項目主な確認内容
欠格要件破産、一定の刑罰、許可取消歴、暴力団関係など、法律で定められた事由に該当していないか
誠実性建設工事の請負契約に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかではないか
建設業許可の欠格要件で確認対象となる代表者・役員・個人事業主・支配人・令3条使用人を示す図解
欠格要件は、代表者や役員、個人事業主、支配人、令3条使用人など、その人の立場に応じて確認します。常勤役員等や営業所技術者等という役割名だけで判断するものではありません。

まずは、それぞれの意味を分けて確認しておきましょう。

欠格要件とは

欠格要件とは、一定の事情に該当する場合に、建設業許可を受けることができないと定められている要件です。

たとえば、破産して復権を得ていない場合や、一定の許可取消処分を受けた場合、一定の刑罰を受けた場合、暴力団との関係がある場合などが問題になります。

重要なのは、ほかの許可要件をすべて満たしていても、欠格要件に該当していれば許可を受けられないという点です。

また、法人の場合は代表者だけを確認すればよいわけではありません。役員等や令3条使用人(支店長・営業所長など、建設工事の請負契約などについて一定の権限を委任されている営業所の責任者)など、申請者以外の関係者についても確認が必要になる場合があります。

誰が確認対象になるのかについては、次の章で整理します。

誠実性とは

建設業許可では、申請者などが請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことも求められます。

欠格要件のように、「この刑罰を受けた」「この処分を受けた」といった事実だけを一覧に当てはめれば判断できるものではありません。

たとえば、請負契約の締結や履行にあたって詐欺や脅迫などの行為があった場合や、工事内容・工期などについて契約に反する行為を繰り返している場合など、その行為の内容から判断されることになります。

そのため、誠実性については単純な年数や金額では判断できないところが、ほかの許可要件との大きな違いです。

過去に取引先とのトラブルや契約上の問題があったからといって、それだけで直ちに誠実性の要件を満たさないというわけではありません。どのような行為が問題になるのかは、後ほど具体例を交えて説明します。

欠格要件と誠実性は別の確認事項

欠格要件と誠実性は、どちらも建設業許可を受けるうえで重要ですが、同じ基準で判断するものではありません。

欠格要件は、法律で定められた一定の事由に該当するかを確認するものです。一方、誠実性は、建設工事の請負契約に関する過去の行為などから、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかではないかを確認します。

そのため申請前には、

「誰について確認するのか」
「欠格要件のどの項目を確認するのか」
「誠実性について問題となる事情がないか」

を分けて考えることが大切です。

次から、まず誰が欠格要件・誠実性の確認対象になるのかを詳しく見ていきます。

欠格要件や誠実性以外にも、建設業許可では常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所など複数の取得条件を満たす必要があります。
建設業許可の取得条件・申請要件

②誰が欠格要件・誠実性の確認対象になる?

建設業許可の欠格要件や誠実性は、代表者だけを確認すればよいわけではありません。

法人であれば役員等、個人事業主であれば本人のほか、一定の権限を持つ営業所の責任者なども確認対象になります。

一方、常勤役員等や営業所技術者等については、その役割名だけで判断するのではなく、その人が役員、個人事業主、令3条使用人などのどの立場にあるのかを確認することが重要です。

まずは全体像を整理してみましょう。

対象者欠格要件・誠実性の確認確認するときの考え方
法人の代表取締役対象法人の役員等として確認
取締役などの役員等対象役員等として確認
個人事業主本人対象申請者本人として確認
支配人対象個人事業主の支配人として確認
令3条使用人対象営業所について一定の権限を持つ使用人として確認
常勤役員等その人の立場に応じて対象法人の役員、個人事業主本人などの立場で確認
営業所技術者等その役割だけでは対象にならない役員や令3条使用人などを兼ねていれば、その立場で確認

ポイントは、「常勤役員等だから」「営業所技術者等だから」という理由だけで判断しないことです。

一人の人が複数の立場を兼ねていることもあるため、申請前に会社の役員構成や各営業所の責任者を整理しておくと確認しやすくなります。

法人の役員等

法人で建設業許可を申請する場合、代表取締役だけでなく、取締役などの役員等についても欠格要件や誠実性の確認が必要です。

そのため、

「社長に問題がなければ大丈夫」

とは限りません。

複数の役員がいる会社であれば、代表者だけではなく、対象となる役員等について一人ずつ確認しておく必要があります。

また、「役員等」には登記上の取締役などだけでなく、法人に対して一定の支配力を持つ人が含まれることがあります。

そのため、形式的な肩書だけでなく、実際の経営への関与も含めて確認が必要になるケースがあることには注意しましょう。

個人事業主・支配人

個人事業主として建設業許可を申請する場合は、事業主本人が欠格要件・誠実性の確認対象になります。

また、支配人を置いている場合は、その支配人についても確認が必要です。

法人と比べると対象者は分かりやすいように見えますが、複数の営業所を設け、それぞれに責任者を置いている場合などは、令3条使用人に該当する人がいないかも確認しておきましょう。

個人事業主本人に加えて支配人を置く場合の確認も含め、許可取得までの流れを具体例で見たい方はこちらをご覧ください。
個人事業主が支配人を置いて建設業許可を申請するケース

令3条使用人

令3条使用人とは、支店長・営業所長など、建設工事の請負契約などについて一定の権限を委任されている営業所の責任者です。

ここで重要なのは、役職名だけでは決まらないという点です。

たとえば「営業所長」という肩書があっても、その人が建設工事の請負契約などについてどのような権限を持っているのかによって判断します。

反対に、別の肩書であっても、その営業所を代表して契約などの重要な業務を行う権限を与えられていれば、確認が必要になることがあります。

支店や営業所がある会社では、誰にどのような権限を任せているのかまで整理しておくことが大切です。

支店や営業所を設ける場合は、人の配置だけでなく、その場所自体が建設業許可上の営業所要件を満たしているかも確認が必要です。
建設業許可の営業所要件

常勤役員等はどの立場で確認される?

常勤役員等は、建設業許可の経営業務の管理に関する要件を満たすための立場です。

ただし、欠格要件については「常勤役員等」という名称だけを見て判断するのではありません。

たとえば法人の常勤役員等であれば、その人は法人の役員として欠格要件・誠実性の確認対象になります。

個人事業主本人が経営業務の管理に関する要件を満たしている場合には、申請者本人として確認されます。

つまり、常勤役員等という役割と、欠格要件・誠実性を確認する法律上の立場を分けて考えると理解しやすくなります。

常勤役員等については、欠格要件とは別に、経営業務の管理に関する経験要件を満たしているかも確認が必要です。
常勤役員等の要件

営業所技術者等は欠格要件の対象になる?

営業所技術者等は、営業所ごとに置かれる技術面の要件を満たす人です。

そのため、営業所技術者等であることだけを理由に、欠格要件の確認対象になるわけではありません。

ただし、同じ人が取締役や令3条使用人などを兼ねている場合は、その兼ねている立場で確認対象になります。

たとえば、

「営業所技術者等であり、同時に取締役でもある」

という人であれば、営業所技術者等としてではなく、取締役という立場で欠格要件・誠実性を確認することになります。

このように、建設業許可では一人の人が複数の役割を兼ねることがあります。

申請前には、誰がどの役割を担当しているかだけでなく、その人が法律上どの立場にあるのかまで整理することが重要です。

営業所技術者等については、欠格要件とは別に、資格・学歴・実務経験などの技術要件を満たしているかを確認します。
営業所技術者等の要件

③建設業許可の欠格要件を一覧で確認

建設業許可の欠格要件について、破産・許可取消し・刑罰・営業禁止・暴力団関係・虚偽記載を確認するチェック図
建設業許可の申請前には、破産、許可取消し、一定の刑罰、営業停止・営業禁止、暴力団関係、申請書類の虚偽記載など、欠格要件に該当しないか確認します。

建設業許可では、一定の欠格要件に該当すると許可を受けることができません。

ただし、「過去に破産した」「前科がある」といった事実だけで、すぐに許可を受けられないと判断するものではありません。

処分や刑罰の内容、時期、現在の状態などによって判断が変わるものがあります。

申請前に確認しておきたい主な項目を整理すると、次のとおりです。

主なチェック項目確認するポイント
破産破産手続開始の決定を受け、現在も復権を得ていないか
許可取消し一定の理由で建設業許可を取り消され、取消しの日から5年を経過していないか
取消処分前の廃業一定の取消処分に関する聴聞の通知後に廃業し、届出から5年を経過していない場合などに該当しないか
営業停止営業停止を命じられ、その停止期間が終わっていないか
営業禁止許可を受けようとする建設業について営業を禁止され、その期間が終わっていないか
拘禁刑以上の刑刑の執行を終わった日などから5年を経過していないか
一定の犯罪による罰金刑建設業法など一定の法令違反や一定の犯罪で罰金刑を受け、刑の執行を終わった日などから5年を経過していないか
暴力団関係暴力団員または暴力団員でなくなってから5年を経過していない者などに該当しないか
心身の故障心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として定められた状態に該当しないか
暴力団員等による支配暴力団員等が事業活動を支配していないか

このほか、未成年者が申請する場合の法定代理人や、法人の役員等・令3条使用人などについても欠格要件が定められています。

また、欠格要件とは少し見せ方を分けて理解しておきたいのが、許可申請書や添付書類の重要事項に虚偽の記載がある場合や、重要な事実の記載が欠けている場合です。この場合も許可を受けることはできません。

つまり、申請前には「自分自身に問題がないか」だけではなく、役員等の関係者と申請書類の内容まで含めて確認する必要があります。

破産したことがある場合

過去に自己破産したことがあるからといって、それだけで建設業許可を受けられないわけではありません。

欠格要件となるのは、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合です。

そのため、

「10年前に自己破産したから建設業許可は無理」

といった判断をするのではなく、現在、復権を得ているかを確認することがポイントになります。

破産歴そのものを理由として、一生建設業許可を受けられなくなるわけではありません。

過去に建設業許可を取り消された場合

建設業許可の取消歴がある場合も、すべてのケースを同じように考えるわけではありません。

たとえば、不正な手段で許可を受けたことや営業停止処分に違反したことなどを理由に許可を取り消された場合、取消しの日から5年を経過していないと欠格要件に該当します。

また、注意したいのが取消処分を受ける前の廃業です。

一定の取消処分に関する聴聞の通知を受けた後に廃業届を提出した場合などにも、5年間の欠格期間が設けられています。

さらに、その法人の役員等や令3条使用人だった人まで対象となる場合があります。

そのため過去に、

「建設業許可の取消しに関係する処分を受けた」
「処分を受ける前に会社を廃業した」

といった経緯がある場合は、当時の処分内容や日付、誰が役員等だったのかまで確認する必要があります。

営業停止・営業禁止を受けている場合

営業停止と営業禁止は、分けて確認します。

営業停止を命じられている場合は、その停止期間が終わっていなければ欠格要件に該当します。

また、許可を受けようとする建設業について営業を禁止されている場合も、禁止期間が終わっていなければ欠格要件に該当します。

ここは「過去に営業停止処分を受けたことがある=その後5年間は許可を取れない」と単純に考えないことが重要です。

許可取消しの5年間とは分けて、現在も停止・禁止の期間中なのかを確認します。

前科・刑罰歴がある場合

刑罰歴についても、

「前科がある=建設業許可を受けられない」

というわけではありません。

まず確認するのが、拘禁刑以上の刑です。

拘禁刑以上の刑に処せられた場合、刑の執行を終わった日、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない場合は欠格要件に該当します。

一方、罰金刑については、すべての罰金刑が対象になるわけではありません。

建設業法や建設工事の施工・労働者の使用に関する一定の法令、暴力団対策法の一定の規定のほか、傷害・暴行・脅迫・背任など一定の犯罪による罰金刑が対象となります。

そのため刑罰歴に心当たりがある場合は、

「何年前か」だけではなく、何の罪で、どのような刑を受け、いつ刑の執行を終えたのか

まで確認する必要があります。

暴力団関係がある場合

暴力団関係については、現在暴力団員である場合だけが問題になるわけではありません。

暴力団員でなくなった日から5年を経過していない場合も欠格要件に該当します。

また、法人の役員等や令3条使用人などに該当者がいる場合にも問題となります。

さらに、役員等が形式上該当していなくても、暴力団員等が申請者の事業活動を支配している場合には許可を受けることができません。

つまり、暴力団関係については、本人や役員等の属性だけではなく、事業が実質的に支配されていないかまで確認されます。

虚偽記載や重要な事実の記載漏れがある場合

建設業許可では、申請者や役員等が欠格要件に該当していないことだけでなく、申請書類が正しく作成されていることも重要です。

許可申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載がある場合や、重要な事実の記載が欠けている場合には、許可を受けることができません。

たとえば、過去の刑罰や処分について心当たりがあるときに、

「これは書かなくても大丈夫だろう」

と自己判断するのは避けたほうがよいでしょう。

欠格要件に該当するか分からない事情がある場合は、事実を隠すのではなく、何があったのか、いつのことなのか、どのような処分・刑罰だったのかを整理したうえで、申請前に確認することが重要です。合は、隠すのではなく、申請前に該当する事実を整理して確認することが重要です。

④「誠実性」の要件とは

建設業許可では、申請者などについて、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められます。

欠格要件のように「この刑罰を受けたら5年間」といった形で判断できる要件ではないため、誠実性は少し分かりにくく感じるかもしれません。

ポイントは、単に「過去にトラブルがあったか」ではなく、建設工事の請負契約に関して、どのような行為をしていたのかを見ることです。

不正な行為とは

不正な行為とは、請負契約の締結や履行に際して行われる、詐欺・脅迫・横領などの法律に違反する行為をいいます。

たとえば、

  • 契約を取るために事実と異なる説明をして相手をだます
  • 相手を脅して契約を締結させる
  • 工事代金など預かった金銭を不正に自分のものにする

といった行為が典型的な例です。

つまり、「仕事上のミス」というより、契約の締結や履行にあたって違法な手段を使うような行為が問題になります。

不誠実な行為とは

不誠実な行為は、必ずしも詐欺や脅迫のような犯罪行為に限られません。

建設工事の請負契約について、工事内容や工期など契約で約束した内容に違反する行為などが問題になります。

たとえば、

  • 契約した内容と異なる工事を行う
  • 正当な理由なく工期を守らない
  • 契約上必要な対応を繰り返し行わない

といったケースです。

ただし、一度工期が遅れた、施工上のトラブルが一度あったというだけで、直ちに誠実性の要件を満たさなくなるわけではありません。

行為の内容や原因、継続性などを含めて判断する必要があります。

建設業許可の誠実性について、不正な行為と不誠実な行為の違いを比較した図解
建設業許可の誠実性では、請負契約に関する不正な行為や不誠実な行為をするおそれがないことが求められます。

建設工事の請負契約で問題になりやすい具体例

誠実性を考えるときは、建設業者としての日常的な請負契約をイメージすると分かりやすくなります。

ケース誠実性を考えるうえでのポイント
契約を取るために虚偽の説明をした相手をだまして契約を締結したのであれば、不正な行為が問題になる
相手を脅して契約や支払いを迫った脅迫など違法な手段を用いていれば、不正な行為が問題になる
契約と異なる工事を意図的に行った工事内容について契約に反する行為として、不誠実な行為が問題になる
工期を繰り返し守らなかった原因や状況によっては、契約に関する不誠実な行為として検討が必要
工事で一度クレームを受けたクレームがあったという事実だけで、直ちに誠実性が否定されるわけではない
取引先と代金をめぐって争いになった金銭トラブルがあっただけでは判断できず、具体的な行為の内容を確認する必要がある

大切なのは、「トラブルがあったか」ではなく、そのときにどのような行為をしたのかです。

過去のトラブルがあるだけで直ちにNGになるのか

過去に取引先と揉めたことがある、工期が遅れたことがある、クレームを受けたことがある。

こうした経験だけで、直ちに「誠実性がない」と判断されるわけではありません。

建設工事では、追加工事や仕様変更、天候、資材調達などを理由にトラブルが生じることもあります。

そのため確認すべきなのは、単なる契約上のトラブルなのか、それとも不正・不誠実な行為と評価される事情があるのかです。

特に、

過去に詐欺や脅迫など契約に関係する問題があった
契約違反を理由に行政処分などを受けたことがある
同じような契約上の問題を繰り返している

といった事情に心当たりがある場合は、申請前に具体的な経緯を整理しておいたほうがよいでしょう。

誠実性は、資格や財産的基礎のように数字だけを見て判断できるものではありません。

だからこそ、「自分では大丈夫だと思う」で終わらせず、気になる事情があれば申請前に確認することが重要です。

⑤心当たりがある場合は申請前に確認する

建設業許可の申請前に欠格要件や過去の処分歴を行政書士と確認する建設会社経営者
過去の処分や刑罰などに心当たりがある場合は、申請前に事実関係や時期を整理し、欠格要件に該当するか確認しておくことが大切です。

欠格要件や誠実性について少しでも心当たりがある場合は、許可申請を出す前に事実関係を整理しておくことが重要です。

特に刑罰や許可取消しなどは、「かなり昔のことだから大丈夫だろう」「罰金を払って終わっているから問題ないだろう」といった記憶だけで判断すると、必要な確認を見落とす可能性があります。

また、自分自身に問題がなくても、法人の役員等や令3条使用人(支店長・営業所長など、建設工事の請負契約などについて一定の権限を委任されている営業所の責任者)が確認対象になることもあります。

申請前に、次のような事情がないか確認してみましょう。

心当たりがあるケース申請前に確認したいこと
過去に刑罰を受けたことがある罪名、刑の種類、刑が確定した時期、刑の執行を終えた時期など
罰金刑を受けたことがある何の法令・犯罪による罰金だったのか、刑の執行を終えた時期など
自己破産したことがある現在、復権を得ているか
建設業許可を取り消されたことがある取消しの理由、取消日、当時の役員等
処分に関連して廃業したことがある聴聞の通知や廃業の時期、当時の役員等
過去の会社で許可取消しがあった当時その会社で自分がどの立場にあり、いつ在籍していたか
役員の一人に刑罰歴などがあるその人が確認対象となる役員等に該当するか、刑罰等の内容と時期
支店長・営業所長に心当たりがある令3条使用人に該当するか、該当する事情の内容
請負契約に関する過去の問題がある何が起きたのか、不正・不誠実な行為に関係する事情があるか

「何年前だったか」だけで判断しない

欠格要件では「5年」という期間が出てくるものがありますが、単純に、

「事件から5年以上経っているから大丈夫」

と判断できるとは限りません。

刑罰であれば、何の刑を受けたのか、どの法令・犯罪によるものなのか、いつ刑の執行を終えたのか、または執行を受けることがなくなったのかなどを確認する必要があります。

許可取消しについても、取消しの理由や時期によって確認内容が変わります。

記憶だけでは日付や処分内容が曖昧なこともあるため、手元に判決書、略式命令、処分に関する通知などが残っていれば、内容を確認しておきましょう。

役員の一人に心当たりがある場合も確認する

法人では、代表者本人に問題がなくても安心とは限りません。

たとえば複数の取締役がいる会社で、そのうち一人に欠格要件に関係しそうな事情がある場合には、その人についても確認が必要です。

また、

「ほとんど会社に来ない役員だから関係ない」
「名前だけの役員だから大丈夫だろう」

と自己判断するのも避けたほうがよいでしょう。

まずは、その人が建設業法上の確認対象となる役員等に該当するのかを整理したうえで、該当する事情を確認します。

自分が確認対象になるか分からない場合

建設業許可では、一人の人が複数の立場を兼ねていることがあります。

たとえば、

取締役+常勤役員等
取締役+営業所技術者等
令3条使用人+営業所技術者等

といったケースです。

この場合、「営業所技術者等だから対象外」といった役割名だけで判断するのではなく、役員や令3条使用人など、別の立場で確認対象になっていないかを見る必要があります。

組織図や役員一覧、各営業所の責任者とその権限を整理してみると、誰について確認すべきか分かりやすくなります。

判断に迷ったら行政書士へ事前に相談する

欠格要件は、事実関係によって結論が変わるものがあります。

特に刑罰歴については、単に「前科がある」「罰金を受けた」という情報だけでは十分ではありません。許可取消歴についても、処分理由や時期、当時の立場などを確認する必要があります。

誠実性についても、過去に契約トラブルがあったというだけで判断するのではなく、実際にどのような行為があったのかを見る必要があります。

少しでも心当たりがある場合は、申請してから問題になることを避けるためにも、行政書士へ事前に相談して、欠格要件や誠実性に関係する事情を確認しておくことをおすすめします。

相談するときは、

「誰について」「いつ」「何があり」「どのような処分・刑罰を受けたのか」

が分かる資料や情報を用意しておくと、状況を整理しやすくなります。

⑥建設業許可の欠格要件・誠実性に関するよくある質問

Q:破産歴があっても建設業許可は取れますか?

過去に自己破産したことがあるだけで、建設業許可を受けられなくなるわけではありません。

欠格要件となるのは、破産手続開始の決定を受けて、復権を得ていない場合です。

すでに復権を得ている場合は、過去に破産したという事実だけを理由に欠格要件へ該当するものではありません。

Q:前科があると必ず建設業許可を取れませんか?

いいえ。前科があるというだけで、一律に建設業許可を受けられなくなるわけではありません。

拘禁刑以上の刑を受けた場合のほか、一定の法令違反・犯罪による罰金刑などが欠格要件の対象になります。

また、対象となる刑罰であっても、刑の執行を終わった日または刑の執行を受けることがなくなった日からの経過期間が関係します。

そのため、刑罰歴がある場合は、罪名・刑の種類・刑の執行を終えた時期などを確認して判断する必要があります。

Q:法人の場合は役員全員が確認対象になりますか?

法人では、代表取締役だけでなく、建設業法上の「役員等」に該当する人について確認が必要です。

株式会社の取締役などが含まれるほか、一定の要件に該当する相談役・顧問や、法人に対して一定の支配力を持つ人が「役員等」に含まれることがあります。

そのため、「登記されている代表者だけ確認すればよい」と考えないことが重要です。

Q:営業所技術者等も欠格要件の対象ですか?

営業所技術者等であることだけを理由に、欠格要件の確認対象になるわけではありません。

ただし、その人が取締役などの役員等や、令3条使用人(支店長・営業所長など、建設工事の請負契約などについて一定の権限を委任されている営業所の責任者)を兼ねている場合は、その立場で確認対象になります。

たとえば「取締役兼営業所技術者等」であれば、取締役として欠格要件を確認します。

Q:昔の許可取消歴はいつまで影響しますか?

一定の理由によって建設業許可を取り消された場合は、取消しの日から5年間が欠格要件に関係します。

ただし、すべての許可取消しを「5年間」と一括りにすることはできません。

取消しの理由のほか、取消処分に関する聴聞の通知後に廃業したケースなどでは、当時の役員等や時期についても確認が必要になることがあります。

過去に取消しや処分に関連する廃業がある場合は、当時の処分内容と日付を確認してから判断することが大切です。

Q:誠実性は何をもって判断されますか?

誠実性では、建設工事の請負契約について、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者ではないかが確認されます。

たとえば、請負契約に関する詐欺・脅迫・横領などの不正な行為や、工事内容・工期など契約上の約束に反する不誠実な行為などが問題になります。

一方、工事でクレームを受けた、取引先と代金について争いになったといった事実だけで、直ちに誠実性が否定されるわけではありません。

何が起きたかではなく、実際にどのような行為をしたのかを確認することが重要です。

Q:欠格要件に該当するか分からない場合はどうすればいいですか?

刑罰歴や許可取消歴などに心当たりがある場合は、まず、

誰についてのことか・いつのことか・どのような処分や刑罰だったか

を整理しましょう。

特に「罰金だから大丈夫」「5年以上前だから大丈夫」といった自己判断は避けたほうが安全です。

欠格要件や誠実性に該当するか判断しにくい場合は、建設業許可を申請する前に行政書士へ相談することをおすすめします。

まとめ

建設業許可では、経営経験や資格、財産的基礎だけでなく、欠格要件に該当しないことと、請負契約に関して誠実性があることも重要な許可要件です。

特に申請前には、次の点を確認しておきましょう。

確認項目ポイント
確認対象者代表者だけでなく、役員等、個人事業主、支配人、令3条使用人なども確認する
破産現在、復権を得ているか
許可取消歴取消理由や時期、当時の役員等を確認する
刑罰歴刑の種類、対象となった法令・犯罪、刑の執行を終えた時期などを確認する
暴力団関係本人だけでなく、役員等や事業活動への支配関係も確認する
誠実性請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかではないか確認する
申請書類重要事項の虚偽記載や重要な事実の記載漏れがないようにする

また、常勤役員等や営業所技術者等という役割名だけで、欠格要件の確認対象になるかどうかを判断するものではありません。 その人が役員、個人事業主、令3条使用人など、どの立場にあるのかまで整理する必要があります。

過去に自己破産や刑罰、建設業許可の取消しなどがあっても、その事実だけで必ず許可を受けられないとは限りません。一方で、処分内容や時期によっては欠格要件に該当するため、「昔のことだから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。

誠実性についても、数値や年数だけで判断できるものではありません。過去の契約や工事について気になる事情がある場合は、具体的にどのような行為があったのかを整理して確認します。

少しでも心当たりがある場合は、申請を出してから問題になる前に、行政書士へ事前に相談することをおすすめします。

当事務所では、欠格要件や誠実性の事前確認から、建設業許可の取得条件の確認、申請書類の作成・提出までまとめてご相談いただけます。

欠格要件や誠実性を含め、建設業許可の取得条件を満たせる見込みが立ったら、必要書類を準備して新規申請へ進みます。
東京都知事の建設業許可を新規申請する方法