「認知症と診断されたら、もう遺言書は作れないのだろうか」「認知症の親が作成した遺言書は有効なのだろうか」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
結論からいうと、認知症と診断されていても、遺言書が必ず無効になるわけではありません。遺言書の有効性を判断する際に重要なのは、認知症という診断名ではなく、遺言を作成した時点で遺言能力があったかどうかです。
実際には、認知症の方が作成した遺言書であっても有効と判断されるケースがあります。一方で、遺言能力が認められず無効と判断されるケースもあり、その判断は個々の事情によって異なります。
そのため、認知症に備えて遺言書の作成を検討している場合は、遺言書の有効性がどのように判断されるのかを理解しておくことが大切です。
この記事では、認知症と遺言書の関係、有効と判断されることがあるケース、認知症に備えて遺言書を作成する際のポイントについて解説します。

目次
①認知症でも遺言書が必ず無効になるわけではない
「認知症と診断されたら遺言書は無効になる」と考えている方もいますが、実際にはそうとは限りません。
遺言書の有効性を判断する際に重要なのは、認知症という診断名そのものではなく、遺言書を作成した時点で遺言能力があったかどうかです。
認知症は認知機能の低下を伴う状態を指しますが、その症状や進行度には個人差があります。そのため、認知症と診断されていても遺言能力が認められる場合があれば、反対に認知症と診断されていなくても遺言能力が問題となる場合があります。
まずは、認知症と遺言の有効性の関係について確認していきましょう。

認知症の診断と遺言の有効性は別の問題
認知症の診断は医師が行う医学的な判断ですが、遺言書の有効性は法律上の問題です。
そのため、認知症と診断されたことだけを理由に遺言書が無効になるわけではありません。
例えば、認知症の診断を受けていても、
- 自分の財産の内容を理解している
- 誰にどの財産を残したいのか判断できる
- 遺言によって生じる結果を理解している
といった状態であれば、遺言能力が認められる可能性があります。
一方で、認知症の進行により判断能力が著しく低下している場合には、遺言能力が否定されることもあります。
つまり、重要なのは「認知症かどうか」ではなく、「遺言作成時に遺言能力があったかどうか」です。
遺言の有効性は作成時の遺言能力によって判断される
遺言書の有効性は、遺言を作成した時点の状態を基準として判断されます。
例えば、遺言作成後に認知症が進行したとしても、そのことだけを理由に過去に作成した遺言書が無効になるわけではありません。
反対に、認知症の診断を受けていなくても、遺言作成時に遺言能力が欠けていたと判断されれば無効となる可能性があります。
遺言能力については、遺言の内容や複雑さ、本人の理解力、当時の生活状況などを踏まえて総合的に判断されます。
遺言能力の詳しい判断基準については、以下の記事で解説しています。
遺言能力とは?判断基準・認知症との関係・無効になるケースを解説
有効と判断されることがあるケース
認知症の方が作成した遺言書であっても、遺言能力があったことを裏付ける事情があれば、有効と判断される可能性があります。
ここでは代表的な例を紹介します。
公正証書遺言として作成されていた
公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認しながら作成する遺言書です。
作成時には証人2名の立会いも必要となるため、自筆証書遺言と比べて作成経緯が明確になりやすい特徴があります。
もちろん、公正証書遺言だから必ず有効になるわけではありません。しかし、本人の意思確認が行われていることから、遺言能力の有無を判断する際の重要な事情となることがあります。
医師の診断書や診療記録が残されていた
遺言書を作成した時期の診断書や診療記録が残されている場合、それらが遺言能力を判断する際の参考資料となることがあります。
例えば、
- 認知症の進行度
- 判断能力に関する医師の所見
- 日常生活の状況
などが記録されているケースです。
こうした資料があることで、遺言作成当時の状態を客観的に確認しやすくなります。
専門家が関与していた
行政書士や弁護士などの専門家が遺言書作成に関与していた場合も、遺言作成の経緯を示す資料の一つとなることがあります。
専門家は遺言内容の確認だけでなく、本人の意思を確認しながら手続きを進めるためです。
また、公正証書遺言の作成をサポートしていた場合には、打ち合わせ記録などが残っていることもあります。
そのため、認知症が心配な場合は、専門家に相談しながら遺言書を作成することも検討するとよいでしょう。
認知症の方が作成した遺言書が有効かどうかは、
最終的に「遺言能力」だけでなく、
・日付
・署名押印
・内容の明確性
・新しい遺言書の有無
なども含めて判断されます。
遺言書の有効性を確認する5つのチェックポイントについては、
こちらの記事で詳しく解説しています。
遺言書の有効性とは?有効・無効を判断する5つのチェックポイント
②認知症に備えて遺言書を作成する際のポイント
認知症と診断されていても遺言書が有効となる場合はあります。しかし、認知症の進行状況や遺言能力の有無をめぐって後に争いが生じることもあるため、遺言書を作成する際にはいくつかのポイントを意識することが大切です。
ここでは、認知症に備えて遺言書を作成する際のポイントを解説します。
判断能力が十分なうちに準備する
遺言書は、判断能力が十分なうちに作成しておくことが望ましいでしょう。
認知症の症状や進行度には個人差がありますが、将来にわたって判断能力が維持される保証はありません。
また、遺言書の有効性は作成時点の遺言能力によって判断されるため、判断能力が十分な時期に作成しておくことで、後に有効性が問題となるリスクを抑えられます。
「まだ元気だから大丈夫」と考えて先延ばしにするのではなく、相続について考え始めたタイミングで遺言書の作成を検討するとよいでしょう。
公正証書遺言を活用する

認知症への備えという観点からは、公正証書遺言の活用も有効な選択肢です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書であり、自筆証書遺言と比べて作成手続きが厳格に行われます。
作成時には公証人が本人の意思を確認し、証人2名の立会いも必要となります。
そのため、
- 本人の意思確認が行われたことを示しやすい
- 作成経緯が明確になる
- 方式不備による無効を防ぎやすい
といったメリットがあります。
なお、公正証書遺言であっても必ず有効になるわけではありませんが、認知症が心配な場合には有力な選択肢の一つといえるでしょう。
自筆証書遺言は専門家に相談しながら作成する

自筆証書遺言は、自分だけで作成できる手軽な遺言書です。
一方で、
- 法律上のルールを満たしていない
- 記載内容に不備がある
- 本人の意思が十分に伝わらない
といった問題が生じることもあります。
特に認知症が気になる場合には、後に遺言能力が問題となる可能性も考えられます。
そのため、自筆証書遺言を選択する場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談しながら作成することをおすすめします。
専門家のサポートを受けることで、形式面の不備を防ぎながら、自身の意思を適切に遺言書へ反映しやすくなります。
③遺言だけでは対応できない場合もある

遺言書は、自分の財産を誰にどのように承継させるかを決めるための有効な手段です。
しかし、認知症への備えという観点では、遺言書だけでは対応できない場面もあります。
なぜなら、遺言書の効力が生じるのは本人が亡くなった後であり、生前の財産管理や契約手続きまでは対応できないためです。
例えば、認知症が進行して判断能力が低下すると、
- 預貯金の管理
- 不動産の売却
- 介護施設への入所契約
- 賃貸住宅の契約手続き
などに支障が生じる場合があります。
そのため、認知症への備えを考える際は、遺言書だけでなく他の制度の活用も検討することが大切です。
家族信託
家族信託は、信頼できる家族に財産の管理や運用を任せる仕組みです。
認知症によって本人の判断能力が低下した場合でも、あらかじめ定めた内容に従って財産管理を継続できる可能性があります。
遺言書は亡くなった後の財産承継を定める制度ですが、家族信託は生前の財産管理にも活用できる点が特徴です。
任意後見
任意後見は、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人になってもらう人を決めておく制度です。
本人の判断能力が十分なうちに契約を結んでおくことで、認知症などにより判断能力が低下した後の生活や財産管理をサポートしてもらえます。
遺言書とは役割が異なるため、必要に応じて併用を検討することもあります。
成年後見
成年後見制度は、すでに判断能力が低下している方を保護・支援するための制度です。
家庭裁判所が選任した成年後見人等が、本人に代わって財産管理や法律行為を行います。
認知症への備えとして事前に利用する制度ではありませんが、認知症が進行した後の選択肢の一つとして知っておくとよいでしょう。
④よくある質問
Q:認知症と診断されたら遺言は作れませんか?
いいえ、認知症と診断されても直ちに遺言ができなくなるわけではありません。
遺言書の有効性は、遺言を作成した時点で遺言能力があったかどうかによって判断されます。
Q:要介護認定を受けていても遺言できますか?
はい、要介護認定を受けていても遺言できる場合があります。
要介護認定は介護の必要度を判断する制度であり、遺言能力の有無を直接判断するものではありません。
Q:成年後見制度を利用していても遺言できますか?
成年後見制度を利用していても、一定の条件を満たせば遺言できる場合があります。
ただし、通常の遺言よりも厳格な要件が設けられているため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
Q:公正証書遺言なら必ず有効になりますか?
いいえ、公正証書遺言であっても必ず有効になるわけではありません。
ただし、公証人が関与して作成されるため、自筆証書遺言に比べて有効性を巡る争いは生じにくい傾向があります。
まとめ
認知症と診断されていても、遺言書が直ちに無効になるわけではありません。
遺言書の有効性は、認知症という診断名ではなく、遺言を作成した時点で遺言能力があったかどうかによって判断されます。
また、次のような事情がある場合には、遺言能力があったことを裏付ける資料の一つとなることがあります。
- 公正証書遺言として作成されていた
- 医師の診断書や診療記録が残されていた
- 行政書士や弁護士などの専門家が関与していた
認知症になった後でも遺言できる場合はありますが、判断能力の確認が必要になるため、元気なうちから準備しておくと安心です。
また、認知症への備えとしては、遺言書だけでなく家族信託や任意後見などの制度が役立つ場合もあります。ご自身やご家族の状況に合わせて、適切な対策を検討しましょう。
遺言書の作成方法や認知症に備えた相続対策についてお悩みの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
無料相談受付中|まずは一度、お気軽にお話ししませんか?
この記事をここまで読んでくださったあなたへ。
もしかすると今、心の中にこういう想いがあるかもしれません。
- 「まだ元気だけど、そろそろ考えておいた方がいいかも」
- 「相続で家族が揉めるのは絶対に避けたい」
- 「親が高齢になってきて、何か準備が必要そう…」
そう感じた今こそ、行動を起こすチャンスです。
まだ何も決まっていなくてOK。まずは一度、お話をお聞かせください。
✅ 無料相談でできること
当事務所では、初回のご相談は無料で承っております。相談の内容は、まだ漠然としたものでまったく構いません。
ご相談内容の例
- 遺言って何から始めればいいの?
- うちの家族関係でもトラブルなく進められる?
- 自分で書いた遺言書を見てほしい
- 公正証書遺言ってどこに行けばいいの?
- 相続の流れも一緒に知りたい など
💡 専門家に話すことで、「今すべきこと」が明確になります。
✅ 実績・対応エリアについて
当事務所では、これまでに数十件以上の遺言・相続サポートを行ってきました。
地域に根ざした対応と、丁寧でわかりやすい説明をモットーに、多くのお客様から喜びの声をいただいています。
- 対応地域:大田区・品川区・近隣エリア(オンライン相談も対応可)
- ご高齢の方やご家族向けの「ご自宅訪問」も可能です
✅ ご相談の流れ
- 【STEP1】お問い合わせ
→ 電話・メールフォームのいずれかでご連絡ください - 【STEP2】日程調整
→ ご都合の良い日程を調整いたします(平日夜・土日対応もOK) - 【STEP3】無料相談(60分程度)
→ ご状況やお悩みをじっくりお伺いします - 【STEP4】ご提案・お見積り
→ ご希望に応じて、最適なプランをご提案。無理な営業は一切しません。
💬 「話してよかった」「気持ちが軽くなった」そんなご感想を多くいただいています。
✅ ご相談方法(選べます!)
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 📞 電話相談 | お急ぎの方や対面が難しい方におすすめ |
| 🖥 オンライン相談 | ご自宅から安心して相談できます(Zoom対応) |
| 🏠 訪問相談 | ご高齢の方、外出が難しい方のために訪問も可 |
✅ 行政書士プロフィール
特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)
- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
- メッセージ:
「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」
📩 お問い合わせはこちら
- ☎ お電話:03-6820-3968
- 📝 お問い合わせフォーム
- 📍 事務所所在地:東京都大田区大森北3-24-27 ルミエールN
あなたの「不安」を「安心」に変えるお手伝いを、私たち行政書士が全力でサポートいたします。
どんな小さなことでも構いません。
今すぐ、気軽にご連絡ください。

