遺言執行者を指定する際、
「家族がやれば費用はかからないのでは?」
「行政書士へ依頼すると数十万円かかると聞いたけれど、その価値はあるのだろうか?」
と悩む方は少なくありません。
確かに、財産が預貯金中心で相続人も少ない場合は、家族が遺言執行者として対応できるケースもあります。
一方で、遺言執行者には相続人調査や財産調査、金融機関との手続きなど、多くの業務が発生します。そのため、相続関係や財産内容によっては、専門家へ依頼した方が結果的に負担を減らせることもあります。
大切なのは、単純に報酬の高い・安いで判断するのではなく、家族で対応できるケースなのか、それとも専門家へ依頼した方がよいケースなのかを見極めることです。
この記事では、遺言執行者の報酬相場、家族で対応できるケース、行政書士へ依頼するメリットについて分かりやすく解説します。
遺言執行者の役割や権限、必要になるケースについて詳しく知りたい方は、遺言執行者とは?役割・権限・義務をわかりやすく解説をご覧ください。
目次
①遺言執行者に報酬は必要?
遺言執行者は報酬を受け取ることができる
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人です。
相続人の調査や財産調査、預貯金の解約、不動産に関する手続きなど、遺言執行には一定の時間と労力がかかります。
そのため、民法では遺言執行者が報酬を受け取ることが認められています。
ただし、必ず報酬を支払わなければならないわけではありません。遺言書の内容や相続人との話し合いによって、無報酬とすることも可能です。
家族が遺言執行者の場合も報酬を受け取ることは可能
遺言執行者の報酬は、行政書士や弁護士などの専門家だけに認められているものではありません。
長男や長女、配偶者など家族が遺言執行者となった場合でも、報酬を受け取ることは可能です。
実際には無報酬で対応するケースも少なくありませんが、遺言執行者は相続人全員のために手続きを行う立場です。
また、遺言によって各相続人が取得する財産は既に決まっているため、遺言執行者が負担する業務量に応じて一定の報酬を受け取ることには合理性があります。
特に、金融機関が複数ある場合や相続人が多い場合には、家族が遺言執行者となるケースでも報酬を検討する余地があるでしょう。
経験豊富な行政書士へ遺言作成支援を依頼した場合は、報酬も含めて決めておくことが多い
行政書士へ遺言作成支援を依頼する場合には、遺言執行まで見据えて準備を進めることがあります。
その場合、
- 誰を遺言執行者に指定するのか
- 遺言執行者へ報酬を支払うのか
- 報酬額をいくらにするのか
- どの財産から支払うのか
といった点も、遺言作成時にあわせて整理しておくことが一般的です。
あらかじめ決めておくことで、相続開始後に相続人同士で報酬額や負担方法を巡って話し合う必要がなくなり、トラブルの予防にもつながります。
②遺言執行者の報酬相場

遺言執行者の報酬に法律上の決まりはありません。
そのため、実際の報酬額は、遺言執行者を誰にするのか、相続財産の内容や手続き量がどの程度あるのかによって大きく異なります。
一般的な目安は次のとおりです。
| 遺言執行者 | 報酬の目安 |
|---|---|
| 家族・親族 | 無報酬〜30万円程度 |
| 行政書士 | 30万円〜100万円程度 |
| 弁護士 | 50万円〜150万円程度 |
※上記はあくまで目安です。財産額や手続き内容、事務所ごとの料金体系によって異なります。
家族や親族が遺言執行者となる場合は、無報酬で対応するケースも少なくありません。
一方で、複数の金融機関や証券会社の手続きがある場合、不動産が複数ある場合、相続人が多い場合などは、家族が遺言執行者であっても一定の報酬を定めるケースがあります。
その場合は、遺言書であらかじめ報酬額や負担方法を定めておくことが望ましいでしょう。
行政書士や弁護士などの専門家へ依頼する場合は、相続財産の規模や業務量に応じて報酬が設定されるのが一般的です。
ただし、重要なのは金額だけではありません。
例えば、家族が無報酬で対応したとしても、
- 平日に金融機関へ何度も出向く
- 戸籍を収集して相続人を確定する
- 証券会社ごとに異なる手続きを行う
といった負担が発生します。
そのため、「家族で対応した場合の負担」と「専門家へ依頼した場合の報酬」を比較しながら考えることが大切です。
次に、実際に遺言執行者の報酬額はどのような要素によって決まるのかを見ていきましょう。
③遺言執行者の報酬額を左右する要素

遺言執行者の報酬は一律ではありません。
同じ行政書士へ依頼する場合でも、相続財産の内容や必要となる手続きによって業務量が大きく変わるためです。
一般的には、遺言執行に必要な業務量が増えるほど報酬も高くなる傾向があります。
ここでは、報酬額を左右する主な要素を見ていきましょう。
相続人の人数
相続人が増えるほど、遺言執行者の負担も大きくなります。
相続人が2人程度であれば連絡や説明も比較的容易ですが、5人、6人と増えると、遺言執行の進捗報告や問い合わせ対応の回数も増えていきます。
特に相続人が遠方に住んでいる場合や、相続に対する考え方に違いがある場合には、想定以上に時間がかかることもあります。
不動産の数
不動産の有無や件数も、遺言執行者の報酬額を左右する要素の一つです。
自宅のみを所有しているケースであれば、対象となる不動産は1件であり、財産の把握や相続手続きも比較的シンプルです。
一方で、自宅に加えて賃貸アパートや貸家、駐車場、遊休地などの投資用不動産を所有している場合は、確認すべき不動産が増えるため、遺言執行者の負担も大きくなります。
特に投資用不動産が複数ある場合は、物件ごとの資料確認や財産整理が必要になるため、一般的には不動産の数が増えるほど業務量も増加する傾向があります。があります。
預貯金・証券口座の数
金融機関ごとに必要書類や手続きの流れは多少異なりますが、基本的には残高確認、必要書類の準備、解約や払戻しの申請などの作業が発生します。
そのため、銀行1行のみの場合と、銀行3行と証券会社2社がある場合とでは、同様の手続きを繰り返し行う回数が大きく異なります。一般的には、金融機関や証券会社の件数が増えるほど、遺言執行者の業務量も増加します。
また、地方銀行や信用金庫では郵送で手続きを受け付けていない場合もあります。その場合は支店窓口へ出向く必要があり、さらに支店が遠方にある場合には移動時間や交通費などの負担も発生します。
特に会社員や公務員が遺言執行者になる場合は、平日に休暇を取得して対応しなければならないことも少なくありません。
遺贈の有無
遺贈とは、相続人以外の人へ財産を渡すことです。
例えば、内縁の配偶者や孫、お世話になった知人、公益法人などへ財産を残すケースがあります。
相続人に対して財産を承継する場合は、相続開始の事実や遺言の存在を把握していることが多く、戸籍などの資料も比較的収集しやすい傾向があります。
これに対して遺贈の相手は相続人ではないため、まず連絡先を確認し、相続が発生したことや遺言の内容を説明するところから始めなければなりません。
また、
- 本人確認資料の取得
- 財産の受取意思の確認
- 必要書類の案内
- 財産の引渡し方法の調整
なども必要になります。
さらに、相続人ではない人に突然連絡することになるため、
「本当に遺言執行者なのか」
「詐欺ではないのか」
「なぜ自分が財産を受け取ることになっているのか」
と警戒されることもあります。
そのため、遺言執行者は自身の立場や遺言の内容を丁寧に説明し、理解を得ながら手続きを進める必要があります。
また、相続人の中には「なぜ相続人ではない人に財産を渡すのか」と疑問を持つ人もいるため、相続人と受遺者(遺贈を受ける人)の双方への説明や連絡が必要になることもあります。
このように、遺贈がある場合は関係者が増え、調整や説明に要する時間も長くなるため、遺言執行者の業務量や報酬額に影響する要素の一つとなります。
相続人の所在地
相続人の所在地も、遺言執行者の業務量に影響する要素の一つです。
相続人全員が近隣に居住している場合と比べて、全国各地に分散している場合は、連絡や書類のやり取りに時間がかかる傾向があります。
また、海外在住の相続人がいる場合には、通常の相続手続きではあまり使用しない書類が必要になることもあり、確認事項も増えます。
さらに、住所変更が行われていない、長期間連絡を取っていないなどの理由で連絡が取りにくい相続人がいる場合には、所在確認や連絡調整に相当な時間を要することもあります。
このように、相続人の人数だけでなく、居住地や連絡の取りやすさによっても遺言執行者の負担は大きく変わるため、報酬額を左右する要素の一つとなります。
次に、どのようなケースであれば家族が遺言執行者として対応できるのかを見ていきましょう。
④家族でも対応ができそうなケース

財産が預貯金中心の場合
相続財産が預貯金中心であれば、家族が遺言執行者として対応しやすいケースといえます。
例えば、
- 自宅以外の不動産がない
- 証券口座がない
- 金融機関も数行程度
といった場合は、必要となる手続きが比較的限定されます。
もちろん金融機関ごとの手続きは必要になりますが、財産の種類が少ないほど遺言執行者の負担も軽くなります。
そのため、相続関係がシンプルであれば、家族が遺言執行者として対応できる可能性は十分あります。
相続不動産が自宅のみの場合
不動産がある場合でも、自宅のみであれば比較的対応しやすいケースが多いでしょう。
一方で、
- 賃貸アパート
- 貸家
- 駐車場
- 遊休地
などの投資用不動産が複数ある場合は、財産整理や管理状況の確認なども必要になるため、遺言執行者の負担は大きくなります。
そのため、不動産の有無よりも、
「自宅のみなのか、自宅以外の不動産もあるのか」
が一つの判断基準になります。
相続人が少なく関係が良好な場合
相続人が少なく、お互いの連絡も取りやすい場合は、家族による遺言執行も現実的な選択肢になります。
例えば、
- 配偶者と子ども1人
- 子ども2人のみ
といったケースであれば、連絡や説明の負担も比較的少なく済みます。
また、相続人同士の関係が良好であれば、遺言執行に関する説明や報告もスムーズに進めやすいでしょう。
遺言執行を担える家族がいる場合
家族が遺言執行者になる場合には、「誰が就任するか」も重要です。
実務上は、概ね35歳から55歳程度で、
- 一定の事務処理能力がある
- 書類作成や手続きに抵抗がない
- 金融機関や行政機関とのやり取りができる
といった人がいる場合は、家族による対応も十分検討できます。
ただし、遺言執行では金融機関や証券会社、法務局、市区町村役場などとのやり取りが発生します。
これらの窓口は平日のみ対応していることが多く、会社員や公務員が遺言執行者になる場合には、休暇を取得しながら手続きを進めなければならないことも少なくありません。
そのため、「知識があるか」だけでなく、「時間を確保できるか」も重要な判断材料になります。
家族でも対応ができそうなケース セクションまとめ
ここまで見てきたように、財産内容や相続人構成によっては、家族が遺言執行者として対応できるケースもあります。
一方で、財産が多い場合や相続関係が複雑な場合には、専門家へ依頼した方が負担を大きく減らせることもあります。
次に、行政書士を遺言執行者に指定するメリットについて見ていきましょう。
家族・親族と行政書士などの専門家のどちらを選ぶべきか迷っている方は、遺言執行者は誰を選ぶべき?家族・親族・専門家の違いと選び方を解説も参考にしてください。
もっとも、家族が遺言執行者になる場合であっても、相続人への通知や財産管理などの義務を負います。
そのため、「家族だから気軽に引き受ければよい」というものではありません。
遺言執行者の責任や義務について詳しく知りたい方は、「遺言執行者の責任とは?義務違反・解任・損害賠償について解説」をご覧ください。
⑤行政書士を遺言執行者に指定するメリット

遺言執行まで見据えた遺言書を作成できる
行政書士へ遺言作成支援を依頼する場合は、単に遺言書を作成するだけではありません。
相続人の構成や財産内容を確認しながら、
- 誰に何を相続させるのか
- 遺言執行者を誰にするのか
- 報酬をどのように定めるのか
といった点もあわせて検討できます。
特に、不動産や証券口座が複数ある場合には、実際の遺言執行まで見据えて遺言内容を整理しておくことで、相続開始後の負担を減らしやすくなります。
遺言書に行政書士を遺言執行者として記載できる
IT行政書士事務所では、遺言作成支援だけでなく、遺言執行者への就任もお引き受けしています。
遺言作成の段階で遺言執行者を指定しておけば、報酬額や報酬の取り扱いについても事前に決めておくことができます。
相続開始後に相続人が遺言執行者の選任や報酬について協議する必要がなくなるため、相続手続きをスムーズに進めやすくなります。
特に、
- 相続人が複数いる
- 不動産がある
- 証券口座がある
- 遺贈を予定している
といったケースでは、遺言作成の段階から遺言執行まで見据えて準備しておくことで、相続開始後の負担を大きく軽減できます。
相続開始後は行政書士へ連絡するだけでよい
被相続人が亡くなった後、相続人は遺言書に記載された行政書士へ連絡します。
家族が遺言執行者になる場合は、
- 何から始めればよいのか調べる
- 必要書類を確認する
- 手続き先を把握する
ところから始めなければなりません。
一方で、あらかじめ遺言執行者として指定されている行政書士であれば、相続開始後の流れを把握しているため、比較的スムーズに手続きを開始できます。
行政書士が遺言執行者として行う手続きの流れ
遺言執行者に就任した行政書士は、遺言内容を実現するために必要な手続きを進めていきます。
・遺言執行者就任通知
・戸籍収集
・相続人の確定
・相続関係説明図の作成
・預貯金の残高確認
・証券口座の確認
・不動産調査
・財産目録(遺産目録)の作成
・預貯金の解約・払戻し
・証券会社の相続手続き
・不動産に関する手続き
・遺贈の実行
・遺言執行結果の報告
・財産引渡しの確認
・遺言執行完了報告
相続人の負担を大幅に軽減できる

家族が遺言執行者になる場合、金融機関や証券会社、法務局、市区町村役場などとのやり取りを自ら行う必要があります。
また、これらの窓口は平日のみ対応していることが多く、会社員や公務員の場合は休暇を取得しながら対応しなければなりません。
金融機関が1行だけであれば大きな負担にならないかもしれません。しかし、
- 銀行が複数ある
- 証券会社がある
- 投資用不動産がある
- 相続人が多い
- 遺贈がある
といったケースでは、想像以上に時間と労力がかかることがあります。
行政書士を遺言執行者に指定しておけば、相続人は仕事や日常生活への影響を抑えながら、遺言内容の実現を任せることができます。
なお、遺言執行者にはこれらの手続きを行うための法律上の権限が認められています。
遺言執行者ができることや単独で行える手続きについて詳しく知りたい方は、「遺言執行者の権限とは?できること・単独でできる手続きをわかりやすく解説」をご覧ください。
⑥遺言書に遺言執行者の報酬を記載する際の考え方
家族を遺言執行者に指定する場合
遺言執行者の報酬は、遺言書であらかじめ定めておくことができます。
また、遺言書に定めがない場合には、相続人間の協議や家庭裁判所の判断によって決まることがあります。
もっとも、報酬額が決まったとしても、次に問題となるのが「誰がどのように負担するのか」という点です。
遺言執行者は相続人全員のために職務を行う立場であるため、本来は特定の相続人だけが負担する性質のものではありません。
例えば、預貯金1,000万円を長男と長女が半分ずつ相続するケースであれば、遺言執行者である長男の負担を考慮し、取得額を調整することも考えられるでしょう。
一方で、財産の分け方によっては調整が難しい場合もあります。
例えば、A銀行の預金は長男、B証券の株式は長女というように財産ごとに取得者が決まっている場合には、どのように報酬相当額を考慮するのかが問題になることがあります。
また、自宅は配偶者が相続し、預貯金は子ども2人が相続するというケースでは、遺言執行者の負担を誰がどのように考慮するのかについて意見が分かれる可能性もあります。
そのため、家族を遺言執行者に指定する場合であっても、報酬を支払うのか、無報酬とするのかを遺言作成時に検討しておくと、相続開始後のトラブルを防ぎやすくなります。
行政書士を遺言執行者に指定する場合
行政書士を遺言執行者に指定する場合は、遺言作成時に報酬額を決めておくことが一般的です。
相続開始後に改めて報酬額を協議する必要がなくなるため、相続人の負担軽減やトラブル防止につながります。
IT行政書士事務所では、遺言作成支援だけでなく、遺言執行者への就任もお引き受けしています。
そのため、遺言作成の段階で、
- 遺言執行者への就任の可否
- 想定される遺言執行業務
- 報酬額の考え方
- 報酬の負担方法
まで含めてご相談いただくことが可能です。
特に、相続人が多い場合や、不動産・証券口座・遺贈がある場合には、遺言執行まで見据えて準備しておくことで、相続開始後の負担を大きく軽減できます。
報酬額だけでなく負担方法も検討しておく
遺言執行者の報酬を定める際は、金額だけでなく「誰がどのように負担するのか」も検討しておくことが重要です。
例えば、遺言執行者の報酬を預貯金から支払う方法があります。
預貯金が十分にある場合は、遺言執行者報酬を支払った後に残額を相続人へ分配できるため、比較的分かりやすい方法といえるでしょう。
一方で、相続人が取得する割合に応じて負担する方法も考えられます。
例えば、相続財産の3分の2を配偶者、3分の1を長男が取得する場合には、その割合に応じて遺言執行者報酬を負担するという考え方です。
ただし、
- 不動産は配偶者
- 預貯金は子ども
- 証券口座は別の相続人
というように財産ごとに取得者が異なる場合は、負担方法が分かりにくくなることもあります。
そのため、遺言執行者の報酬を定める際は、金額だけでなく負担方法まであわせて整理しておくことが望ましいでしょう。
⑦遺言執行者の報酬を決めていない場合はどうなる?
遺言書に報酬の記載がない場合
家族を遺言執行者に指定する場合、報酬について何も定めないケースは少なくありません。
実際には、長男や長女などが遺言執行者となり、無報酬で対応することも多く見られます。
もっとも、遺言執行には相続人調査や財産調査、金融機関や証券会社での手続きなど、多くの時間と労力が必要になることがあります。
そのため、家族を遺言執行者に指定する場合には、報酬を定める代わりに、遺言執行者へ多めに財産を取得させる方法も考えられます。
例えば、長男を遺言執行者に指定する場合には、その負担を考慮して長男へ多めに財産を相続させる方法も考えられます。
遺言執行には、相続人調査や財産調査、金融機関での手続きなど、多くの時間と労力が必要になることがあります。そのため、遺言執行者となる家族に対し、遺産の取得割合を調整することで実質的に負担へ配慮するという考え方です。
この方法であれば、相続開始後に報酬額や負担方法について相続人同士で協議する必要がなくなり、遺言執行者となる家族も職務を引き受けやすくなるでしょう。るかどうかだけでなく、遺言執行に伴う負担をどのように考慮するのかという視点で遺言内容を検討するとよいでしょう。
遺言執行者を指定していない場合
遺言書で遺言執行者を指定しないことも可能です。
実際には、自筆証書遺言などでは遺言執行者が指定されていないケースも少なくありません。
相続人が少なく、財産も預貯金中心である場合には、相続開始後に家族が協力して手続きを進めることも十分可能です。
一方で、
- 相続人が多い
- 投資用不動産がある
- 証券口座が複数ある
- 遺贈がある
といったケースでは、誰が遺言執行を担当するのかが問題になることがあります。
また、特定の相続人に負担が集中したり、専門家へ依頼するべきかどうかで意見が分かれたりすることもあります。
そのため、相続関係や財産内容が複雑になることが予想される場合には、遺言作成時に遺言執行者まで指定しておくことで、相続開始後の負担を軽減しやすくなります。
後から専門家へ依頼する場合の報酬の決め方
遺言執行者を指定していない場合や、指定された人が就任を辞退した場合には、相続開始後に行政書士や弁護士へ依頼することもあります。
その場合は、遺言執行者に就任する専門家との間で報酬を決めることになります。
もっとも、この段階では既に相続が開始しているため、
- 誰が依頼するのか
- 誰が費用を負担するのか
- 報酬額は妥当なのか
について相続人間で意見が分かれることもあります。
遺言作成時に報酬まで含めて決めておく場合と比べると、調整の負担は大きくなる傾向があります。
家族が遺言執行者になる場合の報酬の考え方
遺言執行者を指定していない場合や、指定された人が就任を辞退した場合には、相続開始後に行政書士や弁護士へ遺言執行を依頼することがあります。
この場合、報酬額は専門家の報酬規程や業務内容をもとに決定されるため、遺言者の意向を反映することはできません。
また、遺言書に報酬や負担方法についての定めがないため、
- 誰が依頼するのか
- 誰が費用を負担するのか
- 相続人全員が同意するのか
といった点を相続開始後に調整する必要があります。
特に、特定の相続人だけが専門家への依頼を希望している場合には、「なぜ自分も費用を負担しなければならないのか」という意見が出ることもあります。
そのため、専門家へ遺言執行を依頼する可能性が高いのであれば、遺言作成時に遺言執行者を指定し、報酬についてもあわせて整理しておく方が望ましいでしょう。
⑧遺言執行者の報酬でよくあるトラブル

家族へ負担が集中してしまう
家族を遺言執行者に指定した場合、特定の相続人へ負担が集中することがあります。
遺言執行者は、
- 相続人調査
- 財産調査
- 預貯金の解約・払戻し
- 証券会社の相続手続き
- 相続人への連絡や報告
など、多くの業務を行います。
相続人が少なく財産もシンプルであれば大きな問題にならないこともありますが、金融機関や証券会社が多い場合には、想像以上に時間と労力がかかることがあります。
そのため、家族を遺言執行者に指定する場合には、その負担も考慮して遺言内容を検討することが大切です。
専門家へ依頼する場合の費用負担で意見が分かれる
遺言執行者を指定していない場合や、指定された人が就任を辞退した場合には、相続開始後に行政書士や弁護士へ依頼することがあります。
しかし、その段階では
- 誰が依頼するのか
- 誰が費用を負担するのか
- 報酬額は妥当なのか
について相続人間で意見が分かることがあります。
特に相続人の一部だけが専門家への依頼を希望している場合には、費用負担を巡って協議が必要になることもあります。
遺言執行者を指定していなかった
自筆証書遺言では、遺言執行者が指定されていないケースも少なくありません。
相続人が少なく、財産も預貯金中心であれば問題にならないこともあります。
一方で、
- 相続人が多い
- 投資用不動産がある
- 証券口座が複数ある
- 遺贈がある
といったケースでは、誰が遺言執行を担当するのかが問題になることがあります。
相続開始後に慌てて専門家を探すよりも、遺言作成時にあらかじめ遺言執行者を決めておいた方がスムーズに手続きを進めやすいでしょう。
遺言執行者の報酬でよくあるトラブル セクションまとめ
ここまで見てきたように、遺言執行者の報酬に関するトラブルの多くは、相続開始後ではなく、遺言作成時の準備によって防ぐことができます。
特に、
- 家族が対応できる内容なのか
- 専門家へ依頼した方がよいのか
- 報酬や負担方法をどう考えるのか
をあらかじめ整理しておくことが大切です。
Q&Aの次のまとめでは、遺言執行者の選び方と報酬について、あらためて整理していきます。
⑨遺言執行者の報酬に関するよくある質問
Q. 家族が遺言執行者になる場合も報酬は必要ですか?
必ずしも必要ではありません。
実際には長男や長女などの家族が無報酬で対応するケースも多くあります。
ただし、金融機関や証券会社が多い場合や、相続人が多数いる場合には負担が大きくなるため、遺言執行者となる家族へ配慮して遺産の取得割合を調整することもあります。
Q. 遺言執行者の報酬相場はいくらですか?
家族・親族の場合は無報酬から30万円程度、行政書士の場合は30万円から100万円程度が一つの目安です。
ただし、相続人の人数や財産内容、金融機関や証券会社の件数によって大きく変わるため、実際の報酬は個別に確認する必要があります。
Q. 遺言執行者の報酬は誰が負担するのですか?
法律で一律に決まっているわけではありません。
遺言書で報酬や負担方法を定めている場合はその内容に従います。
定めがない場合は、相続人間で協議することになります。
そのため、遺言作成時に報酬の有無や負担方法についても検討しておくことが望ましいでしょう。
Q. 遺言執行者を指定しないとどうなりますか?
遺言執行者を指定しなくても遺言書は有効です。
実際に自筆証書遺言では、遺言執行者が指定されていないケースも少なくありません。
ただし、相続人が多い場合や不動産・証券口座が複数ある場合には、相続開始後に誰が手続きを行うのかで負担が集中することがあります。
Q. 行政書士を遺言執行者に指定することはできますか?
できます。
IT行政書士事務所では、遺言作成支援だけでなく、遺言執行者への就任もお引き受けしています。
遺言作成時に遺言執行者として指定しておくことで、相続開始後の手続きをスムーズに進めやすくなります。
Q. 遺言執行者の報酬は遺言書に記載した方がよいですか?
行政書士などの専門家を遺言執行者に指定する場合は、報酬額についても遺言作成時に整理しておくことをおすすめします。
一方で、家族を遺言執行者に指定する場合は、必ずしも報酬を定める必要はありません。
ただし、手続き負担が大きくなることが予想される場合には、遺産の取得割合を調整するなどの方法も検討するとよいでしょう。
まとめ
遺言執行者の報酬には法律で決められた一律の金額はありません。
実際の報酬は、
- 相続人の人数
- 預貯金や証券口座の件数
- 不動産の内容
- 遺贈の有無
などによって大きく変わります。
家族を遺言執行者に指定する場合は、無報酬で対応するケースも少なくありません。
一方で、金融機関や証券会社が多い場合や、相続人が多数いる場合には、相続人調査や財産調査、各種手続きに多くの時間と労力が必要になります。
そのような場合には、遺言執行者となる家族へ配慮して遺産の取得割合を調整することも検討するとよいでしょう。
また、行政書士などの専門家を遺言執行者に指定する場合は、報酬額だけでなく、誰がどのように負担するのかについてもあらかじめ整理しておくことが大切です。
特に、
- 相続人が多い
- 前婚の子がいる
- 投資用不動産がある
- 証券口座が複数ある
- 遺贈を予定している
といったケースでは、遺言執行まで見据えて遺言書を作成することで、相続開始後の負担を大きく軽減できます。
IT行政書士事務所では、遺言作成支援だけでなく、遺言執行者への就任もお引き受けしています。
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