「親が亡くなったのだけれど、何をすればいいのかわからない」
「遺言書があると聞いたけど、どう扱えばいいの?」
「行政書士に相談した方がいいのだろうか?」
相続や遺言は、誰もが人生で一度は直面する大切な問題です。ですが、突然起こることが多く、何から始めればよいのか迷ってしまう人も少なくありません。
実際、当事務所にも「兄弟と揉めたくない」「両親が元気なうちに準備したい」「相続の手続きが難しくて不安」といった相談が数多く寄せられます。
この記事では、相続と遺言の基本的な知識から、行政書士にできること、相談するメリット、費用の目安まで、幅広く丁寧に解説していきます。
あなたやご家族が、将来の相続で困らないために。
そして、大切な人の想いを正しく引き継ぐために。
今からできる備えを、この記事と一緒に始めてみませんか?
目次
そもそも「遺言」と「相続」はどう違う?
遺言とは?法的な効力と作成方法
遺言とは、人生の最期に「自分の想い」を遺すための大切な手段です。単に「財産を誰に渡すか」だけでなく、「感謝の言葉」「家族への配慮」など、心のこもったメッセージを伝えることも可能です。
民法では、遺言は法的な効力を持つ文書として位置付けられており、正しい形式で作成すれば、法定相続よりも優先される効力を持ちます。
たとえば、法定相続では「配偶者と子で2分の1ずつ相続する」と決められていますが、遺言で「全財産を妻に相続させる」と記せば、その内容が原則的に優先されます。
ただし、遺留分という「最低限の取り分」は法定相続人に認められており、完全に排除することはできません(※例外あり)。
遺言の種類と特徴
遺言の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
自筆証書遺言 | 本人がすべて手書きする遺言。 | 費用がかからず気軽に作れる | 検認が必要/形式ミスで無効になる可能性 |
公正証書遺言 | 公証人役場で作成する正式な遺言。証人2人が必要。 | 検認不要・確実性が高い | 費用と手間がかかる |
秘密証書遺言 | 内容を秘密にしたまま公証人に提出し保管する方法。 | 内容の秘匿性が高い | 形式ミスのリスクが高く、利用者は少ない |
相続とは?手続きの流れと関係する人
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利義務を、一定の関係者(相続人)が引き継ぐことをいいます。
しかし、相続と聞くと「財産がある人の話」と思われがちですが、実は不動産・預貯金・保険金だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も含まれる点に注意が必要です。
また、手続きには多くの書類や証明書が必要で、法律的な知識や時間もかかることから、「何から手をつけてよいかわからない」という声が後を絶ちません。
相続手続きの一般的な流れ
- 死亡届の提出と火葬許可証の取得
- 遺言書の有無を確認(自宅、公正証書検索など)
- 遺言書があれば検認(自筆証書・秘密証書の場合)
- 相続人の確定(戸籍謄本を取得し、相続関係説明図を作成)
- 相続財産の調査(不動産、預貯金、有価証券、借金など)
- 相続放棄や限定承認の判断(3か月以内に家庭裁判所へ)
- 遺産分割協議の実施(相続人全員で協議)
- 遺産分割協議書の作成と署名捺印
- 名義変更・不動産登記・預貯金解約手続き
- 相続税申告(基礎控除を超える場合は10か月以内に申告・納付)
この流れを見るとわかるように、相続手続きは一度に済むものではなく、数か月〜1年以上かかるケースも珍しくありません。
遺言書がある場合・ない場合の相続手続きの違い
遺言書があると相続はスムーズになる?
「遺言書があったおかげで、兄弟間で揉めることなく手続きができた」
こうした声を聞くたびに、遺言書の重要性を実感します。
遺言書がある場合、その内容に従って相続が進められるため、原則として遺産分割協議が不要となります。これは、相続人間のトラブルを回避できる大きなポイントです。
ただし、自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所による「検認」という手続きを経なければ効力を発揮しません。
これに対し、公正証書遺言であれば、検認は不要で、相続開始後すぐに名義変更や解約手続きに進めます。
体験談:遺言があって助かったAさんのケース
Aさんの父親が亡くなった際、財産の配分について父親が公正証書遺言を残していました。
「妻に自宅を、長男には預貯金を、次男には株式を」と明確に記されていたため、相続人間での争いは一切なく、スムーズに各人が手続きを行えたとのことです。
Aさんは「父が遺言を残してくれて本当にありがたかった」と語っています。
遺言書がないとどうなる?相続人同士のトラブル事例
遺言書がない場合、被相続人の死亡後、法定相続人全員で「遺産分割協議」を行い、その結果を文書(遺産分割協議書)にまとめて署名・押印する必要があります。
ここで問題になるのが、相続人間の意見の不一致や感情的な対立です。
典型的な相続トラブルの事例
事例1:兄弟間で不動産の取得を巡って紛糾
- 長男が同居していた実家を「自分が継ぐのは当然」と主張。
- 一方で次男・三男は「売却して現金化して分けるべき」と主張。
- 結局まとまらず、家庭裁判所の調停に発展。
事例2:生前贈与の有無で遺産の不公平感が爆発
- 長女が生前に多額の学費援助を受けていたことを他の兄弟が問題視。
- 「すでに特別受益があるのだから、相続分を減らすべきだ」との主張で口論に。
- 家族関係に亀裂が入り、その後絶縁状態に。
事例3:音信不通の相続人の連絡がつかない
- 10年以上連絡がなかった兄が相続人として登場。
- 協議に応じず、印鑑も押さないため、すべての手続きがストップ。
- 結果、他の相続人が弁護士を通じて訴訟対応へ。
こうしたケースに共通するのは、「故人の意思が不明確」なことにより、相続人それぞれが自分の正義で行動してしまう点です。
そのため、遺言書を残しておくことは、家族への最後の思いやりとも言えるのです。
行政書士がサポートできることとは?
相続や遺言の手続きは、専門的な知識・書類作成・期限管理などが求められる複雑な作業です。
そこで頼りになるのが「行政書士」という国家資格者です。
遺言書作成のサポート内容(詳細拡充)
行政書士は、遺言書の作成にあたって法的要件を満たした文案を作成するほか、本人の意思を丁寧にヒアリングし、実現可能かつトラブルになりにくい内容をアドバイスします。
行政書士ができる具体的支援
- 遺言内容のヒアリングと整理(財産・家族関係・想い)
- 文案の起案(法的形式に適合した記述)
- 公証役場との打ち合わせ・日程調整
- 証人の手配と立会い(公正証書遺言)
- 保管方法や執行時のアドバイス
遺言書は、形式が正しくても内容が曖昧であればトラブルを招く可能性があります。
行政書士が関与することで、形式的・実質的にも有効な遺言書の作成が可能になるのです。
行政書士は、あなたの「想い」や「配慮」まで丁寧に組み取って、確実に家族へ届く形へと整えてくれるプロフェッショナルです。
「書けるかどうか」ではなく、「正しく、想いが伝わるかどうか」で選ぶべき相手、それが行政書士なのです。
相続に関する書類作成と手続き代行
行政書士は、遺言書の作成サポートだけでなく、相続発生後の各種手続きにも大きな役割を果たします。
中でも特に重要なのが、書類の正確な作成と手続きの進行支援です。
行政書士が対応可能な相続関連業務
- 相続関係説明図の作成(戸籍をもとに家系図を整備)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍収集(郵送対応も可)
- 財産目録の作成(預貯金、不動産、株式、借金の一覧化)
- 遺産分割協議書の作成(相続人の合意内容を法的に記録)
- 銀行・証券会社・保険会社への提出書類作成
- 各種名義変更の手続き支援
これらの業務は、相続人自身が行うことも可能ですが、不備があると差し戻されたり、相続人全員の署名押印が必要だったりと、非常に煩雑で手間がかかる作業です。
行政書士はこれらを代理で進めることはできない場合もありますが、作成・準備の支援を通じて手続きを円滑に進める潤滑油のような存在です。
他士業(司法書士・税理士等)との連携
行政書士がカバーできる業務には範囲があります。以下のような分野は、他の専門職と連携して対応するのが一般的です。
業務内容 | 対応する士業 |
---|---|
不動産の名義変更(相続登記) | 司法書士 |
相続税の申告・税務相談 | 税理士 |
相続人間の紛争対応・調停申立て | 弁護士 |
相続財産の評価(不動産・株式など) | 不動産鑑定士・税理士等 |
行政書士が「一次窓口」として依頼者の状況を整理し、必要な専門家を適切につなげていくことで、依頼者にとって負担の少ないスムーズな相続が実現できます。
こうした連携体制の有無は、事務所選びのポイントにもなります。
行政書士に依頼するメリットと費用感
この章では、行政書士に依頼することの「価値」を明確に伝えることを目的に、トラブル回避・時間短縮・心理的安心・コスト面から具体的に拡充します。
トラブル予防と安心感
相続や遺言は「家族の問題」であると同時に「法律の問題」でもあります。
そのため、感情や常識だけで進めようとすると、法的な不備や思わぬトラブルに発展することもあります。
たとえば
- 遺言書に形式ミスがあり無効とされてしまった
- 遺産分割協議書が不備で金融機関に受理されなかった
- 相続人の一人が不在で、遺産分割協議が成立しなかった
こうした事態を防ぐには、法律や書類作成のプロである行政書士の関与が大きな意味を持ちます。
また、相続人間で話がこじれそうな場合でも、第三者である行政書士が介在することで話し合いが円滑に進むという効果もあります。
実際にかかる費用の相場とは?
行政書士に依頼する費用は、事務所の方針や地域、手続きの内容によって異なりますが、以下が一般的な目安です。
サービス内容 | 費用相場(税込) |
---|---|
自筆証書遺言の作成支援 | 3〜7万円程度 |
公正証書遺言作成サポート(証人含む) | 5〜12万円程度+公証人手数料 |
相続関係説明図の作成 | 1〜3万円程度 |
遺産分割協議書の作成 | 3〜5万円程度 |
相続手続き一括支援パック | 10〜30万円程度 |
ポイントは「どこまでサポートしてもらうか」です。
たとえば、戸籍収集や銀行・証券の解約手続きも依頼する場合は、オプション料金が追加されることがあります。
逆に、必要最小限の書類だけをお願いすれば、コストを抑えることも可能です。
信頼できる行政書士の選び方
多くの行政書士が「相続・遺言」を取り扱っていますが、誰に相談すればいいか迷う方も多いのが実情です。
以下のようなポイントで選ぶと安心です。
チェックポイント
- 相続・遺言に関する実績が豊富か
- 初回相談が無料であるか(気軽に相談できる)
- 他士業との連携体制が整っているか
- 書類だけでなく「心のケア」も意識しているか
- 対応の丁寧さ・レスポンスの速さ
可能であれば、複数の事務所で比較・面談するのもおすすめです。
相続・遺言に関するよくある質問(Q&A)
Q1:公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらが良いのでしょうか?
どちらにもメリット・デメリットがありますが、確実性とトラブル防止を重視するなら「公正証書遺言」がおすすめです。
比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
---|---|---|
費用 | 無料〜(用紙代など) | 数万円〜+公証人費用がかかる |
保管 | 自宅等で保管(紛失・改ざんリスク) | 公証役場で保管(安全) |
検認 | 必要 | 不要 |
トラブルリスク | 書式ミス・内容不備で無効になる可能性 | 公証人がチェックするため安心 |
将来的な「争族」を避けたいなら、公証人のチェックが入る公正証書遺言を行政書士の支援付きで作成するのが安心です。
Q2:相続放棄や限定承認も行政書士に相談できますか?
行政書士は、相続放棄や限定承認の「書類作成支援」までは対応可能です。
ただし、実際の申述手続きは家庭裁判所に提出する必要があり、法的代理人としての対応はできません。
場合によっては司法書士や弁護士と連携する体制が整っている事務所を選ぶと安心です。
Q3:遺言書の内容を一部変更したい場合、どうすればいい?
一度作成した遺言書は、「遺言の撤回」または「新しい遺言書の作成」で内容を変更できます。
古い遺言書の破棄だけでは無効になる可能性もあるため、法的に有効な新しい遺言書を作り直すことが望ましいです。
特に公正証書遺言であれば、過去の記録も残るため安心です。
Q4:相続手続きを自分で全部やるのは難しいですか?
戸籍の収集、財産調査、協議書の作成、金融機関とのやり取り、不動産登記…
相続手続きは一見シンプルに見えても、膨大な作業と専門知識を要する実務です。
特に忙しい社会人や高齢の相続人にとっては、大きなストレスになることも。
そのため、「時間と手間を省きたい」「トラブルを防ぎたい」と考える方には、行政書士のサポートが非常に有効です。
まとめ|専門家の力で、安心・円満な相続を実現しよう
相続や遺言の問題は、家族の絆を試す瞬間でもあります。
遺産をどう分けるか、親の意思をどう尊重するか――その判断を誤ると、兄弟姉妹の関係が壊れてしまうケースも少なくありません。
しかし、行政書士など専門家の支援を受ければ、そのリスクを大きく減らすことができます。
遺言書の作成から相続手続きまで、法的に正確で、感情面にも配慮されたサポートが受けられます。
この記事で伝えたいこと
- 遺言書があると相続がスムーズでトラブルも防げる
- 遺言の作成には行政書士の助けが有効
- 相続手続きの複雑さを軽減するには専門家の支援が不可欠
- 費用はかかるが、それ以上に「安心」と「確実性」が得られる
大切な人の“想い”をきちんと引き継ぎ、家族が安心して暮らしていける未来のために。
早めに備え、信頼できる行政書士とともに、一歩を踏み出してみてください。