遺言書を自分で作成しようと思ったとき、
「専用の用紙が必要?」
「便箋やコピー用紙でも大丈夫?」
「法務局保管制度を利用する場合は決まりがある?」
と迷う方は少なくありません。
特に、自筆証書遺言は自分で作成できる反面、形式を間違えると無効になる可能性があるため、「どんな紙を使えばいいのか」と不安になる方も多いでしょう。
結論からいうと、自筆証書遺言には「この用紙でなければならない」という厳格な指定はありません。便箋やコピー用紙でも作成自体は可能です。
もっとも、実務上は、長期保存のしやすさや管理のしやすさを考え、A4普通紙(コピー用紙)を使用するケースが多く見られます。また、財産目録をパソコンで作成する場合は、遺言書本文と用紙サイズを揃えた方が管理しやすいでしょう。
さらに、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、A4サイズや余白など一定のルールもあります。
この記事では、
- 遺言書に使える用紙の種類
- A4・便箋・ノートなどの違い
- 実務上おすすめされる用紙や筆記具
- 財産目録を作成する際の注意点
- 封筒や保管方法
まで、実務的な視点からわかりやすく解説します。
目次
①遺言書を書く用紙に決まりはある?
自筆証書遺言には、「この用紙でなければならない」という専用用紙の指定はありません。
そのため、
- A4普通紙(コピー用紙)
- 便箋
- ノート
- 原稿用紙
などでも作成自体は可能です。
もっとも、現在はA4普通紙(コピー用紙)が使われるケースが多く見られます。
これは、自筆証書遺言では、遺言書本文とは別に「財産目録」を添付するケースが多いためです。
財産目録はパソコンで作成できるため、A4サイズで印刷されることが一般的です。すると、遺言書本文も同じA4サイズで統一した方が、管理や保管をしやすくなります。
また、自筆証書遺言では、遺言者本人が全文・日付・氏名を自書し、押印するという法律上の方式要件を満たす必要があります。
そのため、専用用紙を使っていても、方式要件を欠いていれば無効になる可能性があります。
一方で、コピー用紙や便箋であっても、必要な要件を満たしていれば、有効に成立する可能性があります。
自筆証書遺言に専用用紙は必要ない
市販の「遺言書キット」や「遺言書専用用紙」を使わなくても、自筆証書遺言は作成できます。
実際には、白無地のA4普通紙(コピー用紙)を使用して作成されるケースも少なくありません。
市販キットには、
- 記載欄
- 記載例
- チェックリスト
- 封筒
などが付属していることがあり、初めて遺言書を作成する方にとっては便利な場合があります。
もっとも、財産が多い場合や複数枚構成になる場合は、自由に記載できるA4普通紙(コピー用紙)の方が扱いやすいケースもあります。
特に、財産目録をパソコンで作成する場合や、複数ページ構成になる場合、後から整理や差し替えを行う可能性がある場合は、用紙サイズを統一しておいた方が管理しやすいでしょう。
重要なのは「紙」より方式要件
自筆証書遺言では、どの用紙を使うかよりも、法律で定められた方式要件を満たしているかが重要です。
民法では、自筆証書遺言について、遺言者本人が全文・日付・氏名を自書し、押印することが求められています。
そのため、高価な遺言書専用用紙を使っていても、日付の記載が曖昧だったり、押印が漏れていたり、本文をパソコンで作成していたりすると、遺言書が無効になる可能性があります。
一方で、一般的な便箋やノート、普通紙であっても、法律上の方式要件を満たしていれば、直ちに無効になるわけではありません。
遺言書を作成する際は、どの用紙を使うかだけではなく、法律上必要とされる方式要件を正しく満たしているかも確認することが大切です。
法務局保管制度を利用する場合の用紙ルール
余白確認サンプル 引用元:法務省 自筆証書遺言保管制度
法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する場合は、用紙サイズや余白に一定のルールがあります。
便箋や小型ノートなどで作成してしまうと、後から法務局保管制度を利用したいと思った際に、書き直しが必要になる場合があります。
用紙サイズや余白の指定
具体的には、A4サイズの用紙を使用し、上下左右に所定の余白を設けたうえで、片面のみで作成する必要があります。
余白については、
- 上部5mm以上
- 下部10mm以上
- 左部20mm以上
- 右部5mm以上
を確保する必要があります。
そのため、将来的に法務局保管制度を利用する可能性がある場合は、最初からA4普通紙(コピー用紙)で作成しておくとスムーズです。
②遺言書に使われる用紙の種類

遺言書には、「この紙しか使えない」という決まりはありません。
そのため、実際にはさまざまな用紙で作成されています。
もっとも、用紙によっては管理しやすさや保存性に違いがあるため、実務上は用途に応じて使い分けられることもあります。
ここでは、自筆証書遺言で使われることがある代表的な用紙を紹介します。
A4普通紙(コピー用紙)
現在、実務上もっとも使われることが多いのが、A4普通紙(コピー用紙)です。
財産目録をパソコンで作成する場合もA4サイズになることが多いため、遺言書本文とサイズを統一しやすいというメリットがあります。
また、
- 保管しやすい
- 印刷しやすい
- ページ管理しやすい
といった点からも扱いやすく、法務局保管制度との相性も良好です。
特にこだわりがなければ、白無地のA4普通紙(コピー用紙)を使用するのがもっとも無難でしょう。
便箋・ノートでも作成できる
自筆証書遺言は、便箋やノートなどでも作成できます。
実際には、罫線入りの便箋や大学ノート、原稿用紙などが使われるケースもあります。また、ルーズリーフやメモ用紙を使用して作成すること自体は禁止されていません。
もっとも、遺言書は長期間保管される重要書類です。
そのため、後から相続人や金融機関などが確認しやすいよう、判読しやすく、複数枚になった場合でも管理しやすい形で作成することが重要になります。
また、便箋は「遺書」のイメージで使われることもありますが、法律上は便箋だから無効になるわけではありません。
一方で、装飾が強いものや色付きの便箋、小さすぎるメモ用紙などは、判読性や保管性の観点からはあまりおすすめできません。
ノートやルーズリーフを使用する場合も、複数ページになるときはページ番号を記載するなど、順番や構成が分かる形で整理しておくとよいでしょう。
原稿用紙
原稿用紙を使用して作成するケースもあります。
縦書きで整然と書きやすい一方、枚数が増えやすく、訂正や追記を行いづらい場合があります。
また、マス目に合わせて細かく書こうとして、文字が小さくなりすぎないよう注意が必要です。
市販の遺言書キット
文房具店や書店では、遺言書専用キットが販売されています。
記載例やチェック欄、封筒などが付属していることもあり、初めて作成する方にとっては便利です。
一方で、記載スペースが限られている場合や、複数枚構成になった際に管理しづらい場合もあります。
そのため、財産が多い場合や、財産目録を別紙で整理する場合は、A4普通紙(コピー用紙)の方が扱いやすいケースもあります。
財産目録用の印刷用紙
財産目録はパソコンで作成できるため、プリンタで印刷して添付するケースも多く見られます。
実務上は、遺言書本文と同じA4普通紙(コピー用紙)で統一されることが一般的です。
また、長期間保管することを考えると、にじみにくく耐久性のある印刷が望ましいため、可能であればレーザープリンタを使用すると安心でしょう。
もっとも、インクジェットプリンタで印刷したからといって、直ちに無効になるわけではありません。
③遺言書を書くときの用紙サイズ
遺言書には、法律上「このサイズでなければならない」という厳格な指定はありません。
そのため、A4サイズだけでなく、B5サイズや便箋サイズなどで作成されるケースもあります。
もっとも、実務上はA4サイズで統一されることが多く見られます。
これは、
- 財産目録を添付しやすい
- 複数枚管理しやすい
- コピーやスキャンを行いやすい
といった理由があるためです。
また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合も、A4サイズが前提となっています。
そのため、特にこだわりがなければ、A4普通紙(コピー用紙)を使用するのが無難でしょう。
A4サイズは実務上もっとも使いやすい

現在、実務上もっとも使われることが多いのがA4サイズです。
特に、自筆証書遺言では財産目録を別紙で添付するケースが多く、財産目録はパソコンで作成・印刷されることが一般的です。
そのため、遺言書本文もA4サイズで統一しておくと、
- ページ管理しやすい
- 保管しやすい
- 差し替え時に整理しやすい
といったメリットがあります。
また、将来的に法務局保管制度を利用する可能性がある場合でも、A4サイズであればそのまま利用しやすいでしょう。
B5や便箋サイズでも直ちに無効ではない
B5サイズや便箋サイズでも作成は可能です。
実際、便箋や小型ノートで作成された自筆証書遺言も存在します。
もっとも、サイズが小さい用紙は、複数枚構成になりやすく、ページ管理が煩雑になる場合があります。
また、後から財産目録を追加したり、法務局保管制度を利用したりする際に、サイズが統一されていないことで管理しづらくなるケースもあります。
そのため、実務上はA4サイズで揃えておく方が扱いやすいでしょう。
縦書き・横書きに決まりはない
自筆証書遺言は、縦書きでも横書きでも作成できます。
法律上、どちらで書かなければならないという決まりはありません。
もっとも、不動産情報や銀行口座番号などを記載する場合は、横書きの方が整理しやすいケースもあります。
一方で、便箋や原稿用紙を使う場合は、縦書きで作成されることも少なくありません。
重要なのは、後から読んだ人が内容を正確に判読できることです。
④複数枚で遺言書を作成するときの注意点
自筆証書遺言は、1枚で作成しなければならないわけではありません。
財産内容が多い場合や、財産目録を添付する場合は、複数枚構成になることも一般的です。
もっとも、複数枚になる場合は、後から見ても順番や構成が分かるよう整理しておくことが重要になります。
複数枚でも作成できる
自筆証書遺言は、複数枚で作成しても問題ありません。
実際には、財産が多い場合や、不動産・預貯金が複数ある場合、財産目録を別紙添付する場合などには、複数ページ構成になるケースも多く見られます。
特に財産目録を添付する場合は、本文と財産目録を分けて整理した方が見やすくなることもあります。
複数枚の場合はページ番号を記載しておく

複数枚で作成する場合は、「1/3」「2/3」のようにページ番号を記載しておくと管理しやすくなります。
ページ番号があることで、ページの抜け落ちや順番の入れ替わり、一部紛失などにも気づきやすくなります。
また、財産目録を別紙添付する場合も、本文との対応関係を整理しやすくなるでしょう。
ホチキス止めは必須ではない
自筆証書遺言では、ホチキス止めをしなければならないという決まりはありません。
また、ホチキス止めをしたからといって、書面としての一体性が法的に保証されるわけでもありません。
一方で、ホチキス止めをすると、後から署名押印漏れや訂正箇所の確認がしづらくなる場合もあります。
そのため現在は、ホチキス止めよりも、ページ番号を付けて管理する方法がよく用いられます。
完成後は封筒へ入れて保管すると管理しやすい
自筆証書遺言は、封筒へ入れなくても成立自体は可能です。
もっとも、複数枚構成の場合は、ページの紛失や混在を防ぐため、封筒やクリアファイルへまとめて保管する方法が実務上よく用いられます。
また、封筒へ「遺言書在中」と記載しておくことで、相続開始後に相続人が気づきやすくなる場合もあります。
⑤遺言書を書くときの筆記具の注意点

遺言書では用紙だけでなく、どの筆記具を使うかも重要です。
自筆証書遺言は長期間保管されることを前提とした書類であるため、後から内容を判読できる状態で残っている必要があります。
そのため実務上は、消えにくく、にじみにくい筆記具を使用することが望ましいでしょう。
黒ボールペンで書くのが一般的
自筆証書遺言では、黒ボールペンで作成されるケースが一般的です。
黒インクは視認性が高く、コピーやスキャンを行った際にも判読しやすいという特徴があります。
また、ボールペンはにじみにくく、長期間保管にも比較的向いています。
特にこだわりがなければ、一般的な黒ボールペンを使用するのが無難でしょう。
消せるボールペンは避ける
いわゆる「消せるボールペン」は、実務上あまりおすすめできません。
摩擦や熱によって文字が消える可能性があり、長期間保管される遺言書には適していないためです。
また、後から内容を書き換えたのではないかという疑義につながる可能性もあります。
そのため、遺言書では通常の油性ボールペンを使用した方が安心でしょう。
鉛筆・シャープペンシルはおすすめできない
鉛筆やシャープペンシルでも作成自体は可能です。
もっとも、文字が消えやすく、後から加筆や修正もしやすいため、実務上はおすすめできません。
特に、長期間保管する中で文字が薄くなったり、擦れて読めなくなったりする可能性があります。
そのため、鉛筆やシャープペンシルではなく、消えにくい筆記具を使用する方が望ましいでしょう。
万年筆・筆ペンは使える?
万年筆や筆ペンを使用して作成することも可能です。
特に縦書きの遺言書では、筆ペンや万年筆を使用するケースもあります。
もっとも、インクによってはにじみやかすれが生じやすく、長期間保管する中で判読しづらくなる場合があります。
また、裏写りしやすい紙では、文字が読みにくくなることもあります。
そのため、使用する場合は、にじみにくいインクや用紙を選ぶよう注意した方がよいでしょう。
修正液や修正テープは使わない方がよい
遺言書では、修正液や修正テープの使用は避けた方がよいでしょう。
自筆証書遺言には、法律上、訂正方法に一定のルールがあります。
修正液などで文字を消してしまうと、後からどのように修正されたのか分からなくなる場合があります。
訂正が必要になった場合は、民法で定められた方法に従って修正することが重要です。
⑥IT行政書士事務所で提案する遺言書の作成方法
IT行政書士事務所でも、自筆証書遺言について相談を受ける際は、「法律上有効か」だけでなく、後から管理しやすく、確認しやすい形で作成することをおすすめしています。
自筆証書遺言は、作成後すぐに使われるものではなく、長期間保管された後、相続開始時に相続人や金融機関、法務局などが確認する書類です。
そのため実務上は、書きやすさだけでなく、
- 判読しやすいこと
- 管理しやすいこと
- 保管しやすいこと
も重要になります。
遺言書本文は自筆、財産目録はパソコン作成を提案している
自筆証書遺言では、遺言書本文は遺言者本人が自書する必要があります。
一方で、財産目録についてはパソコンで作成することも認められています。
そのため、IT行政書士事務所では、
- 遺言書本文:自筆
- 財産目録:パソコン作成
という形で作成する方法を提案しています。
特に、不動産や預貯金が多い場合は、財産目録をパソコンで整理した方が、誤記を防ぎやすく、修正や追加もしやすくなります。
自筆証書遺言の基本ルールや、無効になりやすいケースを詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
自筆証書遺言とは?書き方・無効になるケース・検認まで解説
用紙はA4普通紙(コピー用紙)で統一すると管理しやすい
財産目録をパソコンで作成する場合、A4サイズで印刷されることが一般的です。
そのため、遺言書本文もA4普通紙(コピー用紙)で統一しておくと、ページ管理や保管をしやすくなります。
また、
- コピーやスキャンをしやすい
- ファイル保管しやすい
- 法務局保管制度にも対応しやすい
といったメリットもあります。
そのため、IT行政書士事務所では、特別な事情がなければ、白無地のA4普通紙(コピー用紙)を使用する方法をおすすめしています。
財産目録はレーザープリンタ印刷が望ましい

財産目録を印刷する場合は、にじみにくく、長期間保存しやすいレーザープリンタをおすすめすることがあります。
特に、不動産一覧や預貯金一覧など、数字や固有名詞が多い財産目録では、文字が鮮明であることが重要になるためです。
もっとも、家庭用インクジェットプリンタでも印刷自体は可能です。
ただし、インクジェットプリンタは、長期間保管する中でインクがにじんだり、擦れて薄くなったりする可能性があります。特に、直射日光が当たる場所で保管すると、文字の色が抜けやすくなることもあります。
印刷直後は問題なく見えていても、10年後、20年後まで同じ状態を維持できるとは限りません。
もっとも、自宅にレーザープリンタがない場合は、コンビニなどのプリントサービスを利用する方法もあります。
コンビニのマルチコピー機はレーザープリンタ方式が採用されていることが多く、家庭用インクジェットプリンタよりも、にじみや色あせに強い印刷が期待できます。
装飾より「読みやすさ」と「保存性」を優先する
遺言書は、相続開始後に相続人や金融機関、法務局などが内容を確認する文書です。
そのため、見た目の装飾よりも、後から誰が見ても判読しやすい状態で作成することが重要になります。
例えば、
- 色付き用紙
- 装飾の多い便箋
- 小さすぎる文字
- にじみやすい筆記具
などは、判読性の観点からあまりおすすめできません。
IT行政書士事務所でも、白無地の用紙に黒ボールペンを使用し、シンプルで読みやすい形で作成する方法をおすすめしています。
実際の全文サンプルや、不動産・預貯金の具体的な記載例を確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
自筆証書遺言の書き方|例文・全文サンプル付きで解説
⑦遺言書を作成するときの実務上の注意点
遺言書は、作成後すぐに使われるものではなく、長期間保管された後に相続人や金融機関などが確認する書類です。
そのため、法律上有効であることだけでなく、後から見ても内容や構成が分かりやすい形で整理しておくことが重要になります。
特に、自筆証書遺言では、財産目録を別紙で添付したり、複数枚構成になったりするケースも少なくありません。
そのため、本文・財産目録・署名押印の位置関係などを含め、全体を整理して作成することが大切です。
パソコン作成できるのは「財産目録部分」
自筆証書遺言では、遺言書本文は遺言者本人が自書する必要があります。
一方で、財産目録については、パソコンで作成したものを添付することが認められています。
そのため、
- 遺言書本文:自筆
- 財産目録:パソコン作成
という形で作成されるケースも多く見られます。
もっとも、遺言書本文までパソコンで作成してしまうと、自筆証書遺言として無効になる可能性があるため注意が必要です。
財産目録を添付する場合は各ページに署名押印が必要
パソコンで作成した財産目録を添付する場合は、財産目録の各ページに署名押印を行う必要があります。
これは、財産目録部分についても、遺言者本人が内容を確認したことを明確にするためです。
署名押印が漏れているページがあると、後から問題になる可能性もあるため、複数枚になる場合は特に注意した方がよいでしょう。
訂正には法律上のルールがある
自筆証書遺言では、訂正方法にも法律上のルールがあります。
自筆証書遺言を訂正する場合は、遺言者が訂正箇所を指示し、変更した旨を付記したうえで、その箇所に署名し、さらに訂正箇所へ押印する必要があります。
これらの方式を欠くと、訂正部分が無効と判断される可能性もあるため注意が必要です。
下書きと完成版を混在させない

遺言書を作成する際は、下書きと完成版を混在させないよう注意した方がよいでしょう。
特に、自宅保管をしている場合は、古い下書きや修正前の原稿が残っていることで、後から相続人間で混乱が生じるケースもあります。
そのため、IT行政書士事務所では、完成版のみへ署名押印を行い、下書きには押印しない運用をおすすめしています。
また、完成版を確定した後は、不要な下書きやメモ類を整理しておくことで、後から誤解が生じるリスクを減らしやすくなります。

⑧遺言書の用紙に関するよくある質問
Q:コピー用紙で作成しても無効になりませんか?
コピー用紙で作成したからといって、直ちに無効になるわけではありません。
自筆証書遺言では、用紙そのものよりも、法律上の方式要件を満たしていることが重要です。
実務上も、A4普通紙(コピー用紙)を使用して作成されるケースは多く見られます。
Q:便箋で作成しても問題ありませんか?
便箋を使用して遺言書を作成することも可能です。
もっとも、サイズが小さいものや装飾が強いものは、複数枚構成になりやすかったり、判読性が下がったりする場合があります。
また、長期間保管する書類であることを考えると、色付き用紙や特殊な紙質のものは、実務上あまりおすすめできません。
Q:縦書きと横書きはどちらがよいですか?
自筆証書遺言は、縦書きでも横書きでも作成できます。
法律上、どちらで書かなければならないという決まりはありません。
もっとも、不動産情報や銀行口座番号などを記載する場合は、横書きの方が整理しやすいケースもあります。
Q:複数枚で作成しても問題ありませんか?
自筆証書遺言は、複数枚で作成しても問題ありません。
財産目録を添付する場合や、財産内容が多い場合は、複数ページになるケースも一般的です。
もっとも、複数枚になる場合は、「1/3」「2/3」のようにページ番号を付け、順番や構成が分かるよう整理しておくとよいでしょう。
Q:市販の遺言書キットを使った方がよいですか?
市販の遺言書キットを使用しなくても、自筆証書遺言は作成できます。
もっとも、記載例やチェック欄、封筒などが付属していることもあり、初めて作成する方にとっては便利な場合があります。
一方で、一般的には、A4普通紙(コピー用紙)でシンプルに作成した方が、財産目録との統一やページ管理をしやすいケースもあります。
Q:法務局保管制度を利用する場合の注意点はありますか?
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、A4サイズや余白などに一定のルールがあります。
便箋や小型ノートなどで作成してしまうと、保管制度を利用する際に書き直しが必要になる場合もあります。
そのため、将来的に法務局保管制度を利用する可能性がある場合は、最初からA4普通紙(コピー用紙)で作成しておくとスムーズでしょう。
自筆証書遺言以外にも、公正証書遺言や秘密証書遺言など、遺言には複数の方式があります。
遺言とは?種類・効力・無効になるケースをわかりやすく解説
まとめ
自筆証書遺言には、「この用紙でなければならない」という専用用紙の指定はありません。
そのため、便箋やノートなどでも作成自体は可能です。
もっとも、実務上は、
- 判読しやすいこと
- 長期間保管しやすいこと
- 財産目録と整理しやすいこと
などを考慮し、A4普通紙(コピー用紙)で作成されるケースが多く見られます。
特に、財産目録をパソコンで作成する場合は、遺言書本文もA4サイズで統一した方が、ページ管理や保管をしやすくなります。
また、自筆証書遺言では、用紙そのものよりも、
- 自筆
- 日付
- 署名
- 押印
といった法律上の方式要件を満たすことが重要です。
IT行政書士事務所でも、
- 遺言書本文は自筆
- 財産目録はパソコン作成
- 用紙はA4普通紙(コピー用紙)
- 筆記具は黒ボールペン
という形で、シンプルで管理しやすい方法をおすすめしています。
遺言書は、作成した時点ではなく、相続開始後に初めて確認される書類です。
そのため、「書きやすさ」だけでなく、「後から見ても分かりやすいか」という視点も意識して作成するとよいでしょう。


