遺言書を作成したいと考えたとき、「税理士に相談すべきなのか」と悩む方は少なくありません。特に、相続税が関係してくる場合は、税理士に依頼した方がよいのではないかと考えるのは自然なことです。
しかし結論から言うと、遺言書の作成を業として行えるのは、行政書士や弁護士であり、税理士が遺言書を作成することはできません。
では、遺言書について税理士に相談する意味はないのでしょうか。実はそうではありません。相続税が発生する可能性がある場合や、節税を考慮した遺言内容を検討したい場合には、税理士の知見が重要になるケースもあります。
つまり、遺言書の作成においては「誰に依頼するか」が非常に重要であり、専門家の役割を正しく理解したうえで、適切に使い分けることが大切です。
本記事では、遺言書と税理士の関係を整理しながら、行政書士・弁護士との違いや、それぞれに依頼すべきケースについてわかりやすく解説します。これから遺言書の作成を検討している方が、自分にとって最適な選択ができるよう、ポイントを押さえてご紹介していきます。

目次
1.遺言書は税理士に相談すべき?結論から解説
遺言書の作成を検討する際、「税理士に相談すべきか」と悩む方は多いですが、まず押さえておくべき結論があります。
それは、遺言書の作成を業として行えるのは行政書士や弁護士であり、税理士は遺言書を作成することができないという点です。
遺言書の作成は税理士の業務ではない
税理士は、税務申告や税務相談を専門とする国家資格であり、相続税の申告や節税対策については専門的な知識を有しています。
しかし、遺言書のような民亊に関わる法律文書の作成を業として行うことは認められていません。そのため、遺言書の作成そのものを税理士に依頼することはできず、依頼先としては適切ではない点に注意が必要です。
この点を誤解したまま進めてしまうと、結果的に別の専門家に依頼し直すことになり、時間や手間が増えてしまう可能性もあります。
遺言書は行政書士・弁護士が対応する業務
遺言書の作成を正式に依頼できる専門家は、行政書士と弁護士です。
行政書士は、遺言書の作成支援や文案作成、必要書類の整備などを通じて、法的に有効な遺言書の作成をサポートします。特に、円満な相続を目的とした遺言書作成においては、行政書士が適任となるケースが多いです。
一方で、相続人同士の争いが予想される場合や、法的トラブルの可能性がある場合には、弁護士への依頼が適しています。
ただし税理士が必要になるケースもある
ここまで見ると「税理士は不要なのでは」と感じるかもしれませんが、そうとは限りません。
相続税が発生する可能性がある場合や、財産の分け方によって税額が大きく変わるケースでは、税理士の関与が重要になります。
たとえば、不動産や金融資産が多い場合、誰にどの財産を相続させるかによって相続税の負担が大きく変わることがあります。このようなケースでは、税理士の視点を踏まえたうえで遺言内容を設計することが重要です。
つまり、遺言書の作成は行政書士や弁護士に依頼しつつ、必要に応じて税理士と連携することが、最も合理的な進め方といえるでしょう。
2.遺言書作成に関わる専門家の違い

遺言書の作成を検討する際に多くの方が迷うのが、「誰に依頼すべきか」という点です。
行政書士・弁護士・税理士はいずれも相続に関わる専門家ですが、それぞれ役割や対応できる業務は大きく異なります。ここでは、それぞれの違いを整理していきます。
行政書士ができること
行政書士は、遺言書の作成支援を専門とする国家資格者であり、遺言書の文案作成や必要書類の収集、手続きのサポートなどを行うことができます。
特に、公正証書遺言の作成においては、内容の整理から公証人との調整まで一貫してサポートできるため、初めて遺言書を作成する方でも安心して進めることができます。
また、相続人同士の争いを未然に防ぐための内容設計や、円満な相続を実現するためのアドバイスができる点も大きな特徴です。
弁護士ができること
弁護士は、法律全般を扱う専門家であり、相続に関する紛争対応や法的トラブルの解決を得意としています。
遺言書の作成についても対応可能ですが、特に強みを発揮するのは、相続人間で争いが予想されるケースや、すでにトラブルが発生しているケースです。
たとえば、「遺留分をめぐる争いが起きそう」「特定の相続人に多く財産を残したい」など、法的リスクが高い場合には、弁護士に依頼することでトラブルを回避しやすくなります。
税理士ができること
税理士は、相続税の申告や税務相談、節税対策を専門とする資格です。
遺言書の作成そのものを行うことはできませんが、財産の分け方によって変わる相続税のシミュレーションや、税負担を抑えるためのアドバイスを行うことができます。
特に、資産が多い場合や不動産が含まれる場合には、税理士の視点を取り入れることで、相続後の税負担を大きく軽減できる可能性があります。
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それぞれに依頼すべきケース
では、どの専門家に依頼すべきかは、状況によって異なります。
- 遺言書を適切に作成したい場合
→ 行政書士への依頼が適しています - 相続トラブルのリスクが高い場合
→ 弁護士への依頼が適しています - 相続税や節税を重視したい場合
→ 税理士への相談が有効です
このように、それぞれの専門家には明確な役割があります。
そのため、遺言書の作成においては「どの専門家が優れているか」ではなく、目的に応じて適切な専門家を選ぶこと、または連携させることが重要です。
迷った場合は、まず行政書士に相談し、必要に応じて弁護士や税理士へ連携するのが一般的です
3.行政書士に遺言書作成を依頼するメリット

遺言書の作成は自分で行うことも可能ですが、内容や形式に不備があると無効になったり、相続トラブルの原因になったりするおそれがあります。
そのため、専門家に依頼することが重要ですが、特に行政書士に依頼することで得られるメリットは多くあります。
法的に有効な遺言書を作成できる
遺言書は、法律で定められた形式を満たしていなければ無効となる可能性があります。
たとえば、自筆証書遺言の場合は全文を自筆で書く必要があるほか、日付や署名押印の不備があると効力が認められないケースもあります。
行政書士に依頼することで、こうした法的要件を満たした遺言書を確実に作成することができ、無効リスクを大きく減らすことができます。
手続きがスムーズになる
遺言書の作成には、相続人の確認や財産の整理、必要書類の収集など、さまざまな準備が必要です。
行政書士はこれらの手続きを一括してサポートできるため、何から始めればよいかわからない方でもスムーズに進めることができます。
特に、公正証書遺言を作成する場合には、公証人とのやり取りや証人の手配なども必要になりますが、行政書士に依頼することでこれらの負担を軽減できます。
比較的費用を抑えられる
遺言書の作成を専門家に依頼する場合、弁護士に比べて行政書士の方が費用を抑えられるケースが多いです。
もちろん、案件の内容や難易度によって異なりますが、「トラブルが想定されていない一般的な遺言書作成」であれば、行政書士への依頼が費用対効果の高い選択となります。
相続トラブルを防ぎやすい
遺言書は単に財産の分け方を決めるだけでなく、相続人同士のトラブルを防ぐ役割もあります。
行政書士は、これまでの実務経験をもとに、トラブルになりやすいポイントを踏まえた遺言内容の設計をサポートすることができます。
たとえば、「特定の相続人に偏った内容になっていないか」「遺留分に配慮されているか」など、後々の争いにつながりやすい点についても事前に検討することが可能です。
このように、行政書士に依頼することで、単に遺言書を作るだけでなく、将来の相続全体を見据えた安心できる準備を行うことができます。
4.税理士に相談すべきケースとは?
ここまで解説してきた通り、遺言書の作成そのものは行政書士や弁護士の業務であり、税理士に依頼することはできません。
しかし、相続においては税金の問題が密接に関わるため、状況によっては税理士への相談が非常に重要になるケースもあります。
ここでは、税理士に相談すべき代表的なケースを解説します。
相続税が発生する可能性がある場合

相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税が発生します。
このようなケースでは、遺言書の内容によって相続税の負担が大きく変わる可能性があるため、税理士の関与が重要になります。
事前に税理士へ相談し、相続税のシミュレーションを行うことで、無理のない遺産分割や納税計画を立てることができます。
節税を考慮した遺言設計をしたい場合
遺言書は単に財産を分けるためのものではなく、工夫次第で相続税の負担を軽減できる場合があります。
たとえば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、税制上の特例を活用することで、大きな節税効果が得られるケースもあります。
ただし、これらの制度は適用要件が複雑なため、誤った理解のまま遺言書を作成してしまうと、想定していた節税効果が得られないこともあります。
そのため、節税を意識した遺言書を作成する場合には、税理士のアドバイスを受けながら内容を検討することが重要です。
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不動産や資産が多い場合
相続財産に不動産が含まれる場合、その評価や分け方によって相続税額が大きく変動します。
また、不動産は現金のように単純に分割することが難しいため、遺言内容の設計にも工夫が必要です。
このようなケースでは、税理士による評価やシミュレーションを踏まえたうえで、行政書士が遺言書を作成するという形での連携が有効です。
税理士との連携が重要な理由
遺言書の作成においては、「誰にどの財産を渡すか」という決定が、そのまま税負担に影響します。
そのため、税務の視点を無視して遺言書を作成してしまうと、相続人にとって不利な結果になる可能性もあります。
こうしたリスクを避けるためにも、必要に応じて税理士と連携しながら遺言書を作成することが、より適切な方法といえるでしょう。
5.遺言書と相続税の関係
遺言書は財産の分け方を指定するためのものですが、その内容によって相続税の負担が変わることがあります。
そのため、遺言書を作成する際には、税務の観点も踏まえて検討することが重要です。
遺言書で相続税は変わるのか
結論から言うと、遺言書の内容によって相続税額が変わるケースはあります。
相続税は、「誰がどの財産を取得するか」によって課税額が決まるため、遺産の分け方次第で税負担に差が生じます。
たとえば、配偶者には「配偶者の税額軽減」という制度があり、一定の範囲内であれば相続税が大きく軽減されます。一方で、同じ財産でも子どもが取得した場合には、税負担が増えることがあります。
このように、遺言書で財産の分け方を指定することは、結果的に相続税にも影響を与えるのです。
節税につながる遺言の考え方

遺言書を活用した節税対策としては、主に以下のような考え方があります。
- 配偶者の税額軽減を活用する
- 小規模宅地等の特例を考慮する
- 相続人ごとの税負担バランスを調整する
これらを適切に組み合わせることで、全体としての相続税負担を抑えることが可能になります。
ただし、これらの制度には細かい適用要件があるため、単純に「節税になるから」といった理由だけで遺言内容を決めるのは危険です。
税務上有利であっても、相続人間の不公平感を生んでしまえば、かえってトラブルにつながる可能性もあります。
よくある失敗例
遺言書と相続税の関係においては、以下のような失敗がよく見られます。
税金を考えずに遺言書を作成してしまう
税務の視点を考慮せずに遺言書を作成すると、結果として相続税の負担が大きくなってしまうことがあります。
たとえば、不動産ばかりを特定の相続人に集中させてしまい、納税資金が不足するケースなどが典型です。
節税だけを重視してしまう
一方で、節税だけを優先しすぎるのも問題です。
税負担を抑えることばかりに意識が向いてしまい、相続人同士の関係性や公平性への配慮が不足すると、後々のトラブルにつながる可能性があります。
専門家に相談せずに進めてしまう
遺言書と相続税は、それぞれ専門性の高い分野です。
どちらか一方の視点だけで判断してしまうと、思わぬリスクを見落とすことがあります。
そのため、遺言書の作成においては、行政書士と税理士が連携し、それぞれの専門性を活かして進めることが重要です。
6.遺言書作成の流れと依頼先の選び方
遺言書の作成を検討していても、「具体的に何から始めればよいのか分からない」という方は少なくありません。
ここでは、遺言書作成の基本的な流れと、状況に応じた依頼先の選び方について解説します。
遺言書作成の基本的な流れ

遺言書は“いきなり書く”のではなく、事前準備が8割を占めます
遺言書の作成は、一般的に以下のような流れで進みます。
戸籍をもとに正確に把握しないと、遺言の効力に影響する可能性があります。
不動産や預貯金などを漏れなく洗い出すことで、トラブル防止につながります。
税負担や相続人間のバランスを考慮することが重要です。
法的要件を満たさないと無効になるため、慎重な作成が必要です。
紛失や改ざんを防ぐためにも、適切な方法で保管することが大切です。
この中でも特に重要なのが、「財産の整理」と「遺言内容の設計」です。
ここが曖昧なまま進めてしまうと、遺言書の内容に不備が生じたり、相続人同士のトラブルにつながる可能性があります。
行政書士に依頼する場合の流れ
行政書士に依頼する場合は、初回相談から遺言書の完成まで、以下のように進むのが一般的です。
専門家が整理することで、見落としや認識のズレを防ぐことができます。
煩雑な書類収集もサポートしてもらえるため、手間を大きく軽減できます。
法的リスクや将来のトラブルを踏まえた内容に整えることが可能です。
専門家が間に入ることで、手続きをスムーズに進めることができます。
最終確認までサポートがあるため、安心して遺言書を残すことができます。
行政書士が関与することで、手続きの抜け漏れを防ぎながら、スムーズに遺言書を作成することができます。
また、専門家の視点で内容を整理できるため、「自分では気づかなかったリスク」にも事前に対応できる点が大きなメリットです。
税理士と連携するケース
相続税が関係する場合には、税理士との連携を検討することが重要です。
たとえば、以下のようなケースでは税理士の関与が有効です。
- 相続税が発生する可能性がある
- 財産額が大きい、または不動産が多い
- 節税を意識した遺言内容にしたい
このような場合には、税理士によるシミュレーションを踏まえたうえで、行政書士が遺言書を作成することで、よりバランスの取れた相続対策が可能になります。
依頼先の選び方のポイント
遺言書の作成においては、「誰に依頼するか」が非常に重要です。
基本的には以下のように考えると分かりやすいでしょう。
- 遺言書を適切に作成したい → 行政書士
- トラブル対応が必要 → 弁護士
- 相続税・節税を重視 → 税理士
そして、相続税が関係する場合には、行政書士と税理士が連携して対応する体制が理想的です。
このように、それぞれの専門家の役割を理解し、状況に応じて適切に選ぶことが、後悔しない遺言書作成につながります。
7.よくある質問(FAQ)
税理士に遺言書の作成を依頼できますか?
税理士は遺言書の作成を業として行うことはできません。遺言書の作成は、行政書士または弁護士に依頼する必要があります。
ただし、相続税が関係する場合には、税理士に相談しながら遺言内容を検討することが有効です。
行政書士と弁護士どちらに依頼すべきですか?
相続トラブルの可能性がない一般的な遺言書作成であれば、行政書士への依頼が適しています。
一方で、相続人間の争いが予想される場合や、法的な交渉が必要な場合には、弁護士への依頼を検討する必要があります。
遺言書があれば相続税はかかりませんか?
遺言書の有無にかかわらず、相続税は一定の条件を満たせば発生します。
ただし、遺言書によって財産の分け方を工夫することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
遺言書の作成にはどれくらい費用がかかりますか?
費用は依頼先や内容によって異なりますが、行政書士に依頼する場合は比較的費用を抑えられるケースが多いです。
また、公正証書遺言を作成する場合には、公証役場の手数料も別途必要になります。

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まとめ|遺言書は専門家の使い分けが重要
遺言書の作成において重要なのは、「誰に依頼するか」を正しく判断することです。
遺言書の作成そのものは、行政書士や弁護士が対応する業務であり、税理士に依頼することはできません。
一方で、相続税が関係する場合には、税理士の知見が重要になるケースもあります。
そのため、
- 遺言書の作成は行政書士
- トラブル対応は弁護士
- 税務や節税は税理士
というように、それぞれの専門家の役割を理解し、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。
特に、相続税が関係する場合には、行政書士と税理士が連携して対応することで、より安心で無理のない遺言書作成が可能になります。
遺言書は、将来の相続を円滑に進めるための大切な準備です。後悔のない形で残すためにも、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。
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- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
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「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
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