遺言書で一人に相続させる書き方|例文・遺留分・付言事項を解説

たとえ他の相続人に不満が出る可能性があっても、これまでの関係性や受けた支援、今後の生活への配慮から、特定の一人に財産を残したいと考えることがあります。

「面倒を見てくれた長女に財産を残したい」
「兄弟ではなく、世話をしてくれた甥に渡したい」
「内縁の妻が困らないように財産を残したい」

相続では、必ずしも法定相続分どおりに分けることが、本人の想いや家族の事情に合っているとは限りません。

遺言書を作成すれば、法定相続分とは異なる分け方を指定し、一人に財産を相続させることは可能です。

この記事では、遺言書で一人に相続させる書き方を、基本例文やケース別の文例を交えて解説します。
あわせて、遺留分への配慮や、想いを伝える付言事項、トラブルを防ぐための注意点についてもわかりやすく紹介します。

高齢男性が遺言書を書き、家族写真や封筒のそばで特定の家族に財産を残す意思を表した相続イラスト
遺言書を作成することで、誰にどの財産を残したいのかを自分の意思として示すことができます。

目次

①結論|遺言書で一人に相続させることはできる

結論からいうと、遺言書で特定の一人に財産を相続させることは可能です。

通常、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを話し合って決めます。
一方、有効な遺言書がある場合は、原則として遺言書に書かれた内容に沿って相続手続きが進められます。

そのため、たとえば次のような内容を遺言書に書くこともできます。

  • 長女にすべての財産を相続させる
  • 一人息子に自宅と預貯金を相続させる
  • 自分の子どものうち、特定の一人に財産を集中させる

ただし、一人に財産を集中させる遺言書を作る場合は、単に「〇〇に全部渡す」と書けばよいわけではありません。

まず確認すべきなのは、財産を渡したい相手が相続人かどうかです。

子どもや配偶者など、法律上の相続人に財産を渡す場合は、遺言書では「相続させる」と書くのが基本です。
一方で、甥や内縁の妻など、法律上の相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書く必要があります。

この違いをあいまいにしたまま遺言書を作ると、相続発生後に手続きが進みにくくなったり、相続人との間で解釈をめぐって揉めたりする可能性があります。

また、一人に相続させるということは、他の相続人の取り分が減るということでもあります。
場合によっては、他の相続人の遺留分を侵害することもあります。

そのため、一人に相続させる遺言書では、次の3点を意識することが大切です。

  • 誰に財産を渡すのかを明確にする
  • 「相続させる」と「遺贈する」を正しく使い分ける
  • 他の相続人への配慮や遺留分対策も考える

つまり、遺言書で一人に相続させること自体はできます。
ただし、後日のトラブルを防ぐためには、法律上有効な書き方にするだけでなく、なぜその人に財産を残すのかが伝わる内容に整えることが重要です。

なお、遺言書では、一人に財産を相続させること以外にも、財産の分け方の指定、相続人以外への遺贈、遺言執行者の指定など、さまざまな内容を定めることができます。
遺言で指定できる内容全体を確認したい方は、「遺言でできること・できないこと」もあわせてご覧ください。

②「相続させる」と「遺贈する」は相手によって使い分ける

遺言書を持つ高齢者から、左側の相続人である家族と右側の相続人以外の大切な人へ財産の意思が伝わるイラスト
遺言書では、相続人には「相続させる」、相続人以外の人には「遺贈する」といった表現を使い分けることがあります。

遺言書で一人に財産を残す場合、まず確認したいのが、財産を渡したい相手が法律上の相続人かどうかです。

相手が相続人である場合と、相続人ではない場合では、遺言書で使う言葉が変わります。

相続人に渡す場合は「相続させる」と書く

子ども、配偶者、親など、法律上の相続人に財産を渡す場合は、遺言書では基本的に「相続させる」と書きます。

たとえば、次のような書き方です。

遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長女〇〇〇〇に相続させる。

このように書くことで、「長女に財産を取得させたい」という意思を明確にできます。

一人息子にすべて相続させたい場合や、介護してくれた長女に財産を集中させたい場合などは、この「相続させる」という表現を使います。

まずは、財産を残したい相手が法律上の相続人にあたるかを確認しておきましょう。

相続人以外に渡す場合は「遺贈する」と書く

一方で、甥や姪、内縁の妻、友人、お世話になった人など、法律上の相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書きます。

たとえば、甥にすべての財産を渡したい場合は、次のように書きます。

遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、甥〇〇〇〇に包括して遺贈する。

内縁の妻に財産を残したい場合も、法律上の婚姻関係がなければ、原則として相続人にはなりません。
そのため、遺言書で明確に「遺贈する」と書いておく必要があります。

相続人以外は、遺言書がないと財産を受け取れない

相続人以外の人に財産を残したい場合、特に重要なのは、遺言書がなければ原則として財産を取得できないという点です。

相続が発生したあと、遺言書がなければ、財産の分け方は法定相続人同士の遺産分割協議で決めることになります。

しかし、甥や内縁の妻など相続人ではない人は、通常、その遺産分割協議に参加する立場ではありません。

つまり、相続人以外の一人に財産を残したい場合は、遺言書で「遺贈する」と明確に書いておくことが非常に重要です。

また、相続人以外への遺贈では、相続人側との手続きが必要になる場面もあります。
そのため、遺言書の中で遺言執行者を指定しておくと、手続きを進めやすくなります。

③遺言書で一人に相続・遺贈させる基本の書き方

遺言書で一人に財産を残す場合は、「誰に」「どの財産を」「どの形で取得させるのか」を明確に書くことが大切です。

ここでいう「どの形で取得させるのか」とは、相続人に財産を渡すのか、相続人以外に財産を渡すのか、また、全財産をまとめて渡すのか、特定の財産だけを渡すのか、という意味です。

たとえば、長女や一人息子などの相続人に財産を残す場合は「相続させる」と書きます。
一方で、甥や内縁の妻など、相続人ではない人に財産を残す場合は「遺贈する」と書きます。

また、すべての財産を一人に渡したい場合は「一切の財産」と書くことがあります。
特定の不動産や預貯金だけを渡したい場合は、その財産を具体的に特定して記載します。

財産を渡す相手を正確に書く

財産を残したい相手の氏名は、できるだけ正確に記載します。

同姓同名の人がいる可能性もあるため、続柄や生年月日を添えると、より相手を特定しやすくなります。

たとえば、長女に相続させる場合は、

長女〇〇〇〇
昭和〇年〇月〇日生

のように書くと分かりやすくなります。

甥や内縁の妻などに遺贈する場合も、氏名だけでなく、生年月日や住所などを記載し、誰に財産を渡すのかが明確になるようにしておきましょう。

どの財産を渡すのかを具体的に書く

特定の財産を一人に渡す場合は、その財産をできるだけ具体的に書きます。

不動産であれば、登記事項証明書の記載に沿って、所在・地番・家屋番号などを記載します。
預貯金であれば、金融機関名・支店名・口座種別・口座番号などを記載します。

一方で、すべての財産を一人に渡したい場合は、

遺言者の有する一切の財産

という表現を使うことがあります。

このように書くことで、不動産や預貯金だけでなく、あとから判明した財産も含めて、その人に取得させたい意思を示しやすくなります。

書き漏れを防ぐために残余財産も意識する

遺言書では、自宅不動産や預貯金を個別に書いたつもりでも、別の口座や少額の財産を書き漏らしてしまうことがあります。

一人に財産を集中させたい場合は、個別の財産だけでなく、遺言書に書ききれなかった財産を誰に取得させるのかも考えておくことが大切です。

具体的な文例は、次の章で紹介します。

④基本例文|一人にすべての財産を相続・遺贈させる書き方

ここでは、一人に財産を集中させたい場合の基本的な文例を紹介します。

相続人にすべての財産を相続させる例文

長女や一人息子など、法律上の相続人にすべての財産を残したい場合は、次のように書きます。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長女〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

相続人以外にすべての財産を遺贈する例文

甥や内縁の妻など、法律上の相続人ではない人に財産を残したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書きます。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、甥〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に包括して遺贈する。

書き漏れを防ぐ残余財産の例文

個別の財産を記載する場合は、書き漏れた財産に備えて、次のような条項を入れることがあります。

第〇条 前各条に記載のない遺言者に属する一切の財産は、長女〇〇〇〇に相続させる。

なお、ここで紹介した例文は一般的なサンプルです。
実際には、家族関係、財産の内容、相続人の人数、遺留分の有無によって適切な文言は変わります。

⑤一人に相続させるときは遺留分に注意する

遺言書と財産資料を前に、一人の相続人へ多くの財産が向かい、他の相続人の遺留分をバランススケールで示したイラスト
遺言書で特定の相続人に多くの財産を残す場合でも、他の相続人の遺留分に配慮することが大切です。

基本例文のように、一人に財産を集中させる遺言書を作ることは可能です。
ただし、他に相続人がいる場合は、遺留分に注意する必要があります。

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分のことです。

配偶者や子どもなどには遺留分が認められるため、遺言書で「長女にすべて相続させる」と書いた場合でも、他の子どもが遺留分を主張する可能性があります。

たとえば、子どもが2人いるにもかかわらず、遺言書で長女にすべての財産を相続させると、もう一方の子どもから遺留分侵害額請求を受けることがあります。

この請求は、遺言書そのものを当然に無効にするものではありません。
ただし、請求を受けた人は、原則として金銭で支払いを求められることになります。

このように、遺言書には本人の意思を実現する効力がありますが、遺留分のように法律上の限界もあります。
遺言書にどのような効力があり、どこまで本人の意思を実現できるのかについては、「遺言の法的効力と限界」で詳しく解説しています。

一方で、兄弟姉妹には遺留分がありません。
そのため、独身で子どもがおらず、相続人が兄弟姉妹だけというケースでは、甥や内縁の妻に財産を遺贈しても、兄弟姉妹から遺留分を請求されることは通常ありません。

もっとも、遺留分の有無だけで判断するのは危険です。
遺留分がない場合でも、親族が感情的に反発することはあります。
また、遺留分がある場合には、どの程度の請求が想定されるのか、相続する人が支払えるのかまで考えておく必要があります。

一人に相続・遺贈させる遺言書では、単に「誰に渡すか」だけでなく、他の相続人がどのように受け止めるか、遺留分請求が起きた場合に対応できるかまで想定しておくことが大切です。

そのうえで重要になるのが、なぜその人に財産を残すのかを伝える付言事項です。
次の章では、具体的なケースごとに、相続条項だけでなく付言事項の例も紹介します。

⑥付言事項は「なぜ一人に残すのか」を伝えるために重要

高齢男性が家族写真と遺言書の封筒のそばで手紙を書き、介護してくれた家族への感謝を表す付言事項のイラスト
付言事項では、財産の分け方だけでは伝えきれない感謝の気持ちや、遺言に込めた想いを家族へ残すことができます。

一人に相続・遺贈させる遺言書では、財産の取得者を明確に書くだけでなく、なぜその人に財産を残したいのかを伝えることも大切です。

遺言書の本文に、

長女〇〇にすべての財産を相続させる
甥〇〇にすべての財産を遺贈する

と書けば、誰に財産を取得させるのかは明確になります。

しかし、それだけでは、他の相続人や親族から見ると、なぜその人だけが財産を取得するのかが分からないことがあります。

そこで活用したいのが、付言事項です。

付言事項とは、遺言書の中に残す本人の想いやメッセージのことです。
財産の分け方そのものを定める条項とは異なり、法的な効力を持つものではありませんが、相続人や親族に本人の意思を伝える役割があります。

たとえば、介護してくれた長女に財産を残す場合は、長女がどのように支えてくれたのか、どのような感謝があるのかを書きます。
内縁の妻に財産を遺贈する場合は、長年生活を共にしてきたことや、死後の生活を支えたいという想いを書くことが考えられます。

付言事項を書くときは、他の相続人を責めるような表現は避けましょう。

「〇〇には何もしてもらえなかった」
「〇〇には財産を渡したくない」

という書き方では、かえって感情的な対立を招く可能性があります。

大切なのは、誰かを否定することではなく、なぜその人に財産を残したいのかを、自分の言葉で丁寧に説明することです。

付言事項は、法律上つねに義務づけられているものではありません。
しかし、一人に相続・遺贈させる遺言書では、他の相続人の相続分や遺留分に影響することがあるため、後日のトラブルを防ぐ観点から強くおすすめしたい内容です。

また、付言事項は自由に書ける一方で、表現の仕方によっては、本人の意図と違う受け止め方をされることもあります。

そのため、一人に財産を集中させたい場合は、財産の分け方だけでなく、家族関係やこれまでの経緯も踏まえて、付言事項の内容を考えることが大切です。

次の章では、実際に一人に相続・遺贈させたいケースごとに、相続条項と付言事項の文例を紹介します。

⑦ケース別|一人に相続・遺贈させたい場合の書き方例

行政書士が高齢者に公正証書遺言や遺言執行者の指定について説明している遺言書作成サポートのイラスト
公正証書遺言の作成や遺言執行者の指定を検討しておくことで、遺言内容を円滑に実現しやすくなります。

ここからは、実際に相談で想定されやすいケースごとに、遺言書の書き方を見ていきます。

一人に財産を残したいといっても、相手が相続人なのか、相続人以外なのかによって文言は変わります。
また、再婚家庭・介護・内縁関係など、家庭の事情によって、付言事項や遺言執行者の必要性も変わります。

再婚同士で、自分の子どもだけに相続させたい場合

夫婦が再婚同士で、それぞれに子どもがいる場合、「自分の財産は、自分の子どもに残したい」と考えることがあります。

たとえば、自分の子どもも配偶者の子どももすでに独立しており、生活面での扶養関係が薄い場合、自分の財産は自分の子どもに承継させたいという希望は自然なものです。

この場合、自分の子どもが法律上の相続人であれば、次のように書きます。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長男〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

付言事項
私は、これまでの家族関係や生活状況を踏まえ、自分の財産は実子である長男〇〇に承継してほしいと考え、この遺言を作成しました。
再婚後の家族関係の中で、さまざまな思いがあることは承知していますが、私自身の財産については、私の意思として長男〇〇に残したいと考えています。
関係者の皆さまには、私の意思を尊重し、円満に手続きを進めてもらうことを願っています。

再婚家庭では、家族関係が複雑になりやすいため、財産の取得者だけでなく、自分の財産を誰に承継してほしいのかを遺言書と付言事項で明確にしておくことが大切です。

介護してくれた長女にすべて相続させたい場合

長女が同居して介護をしてくれた、通院や日常生活の世話を長年担ってくれたという場合、他の子どもより多く財産を残したいと考えることがあります。

このようなケースでは、単に財産の取得者を書くのではなく、なぜ長女に財産を集中させるのかまで伝わる内容にしておくことが大切です。

たとえば、次のように相続条項と付言事項を組み合わせる方法があります。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長女〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

付言事項
長女〇〇には、長年にわたり私の通院、日常生活の世話、介護を支えてもらいました。
私が安心して生活を続けることができたのは、長女〇〇のおかげです。
その感謝の気持ちと、これまでの負担を考慮し、私の財産を長女〇〇に相続させることにしました。
他の相続人には、私の意思を理解し、円満に手続きを進めてもらうことを願っています。

介護の負担が特定の子どもに偏っていた場合、法定相続分どおりに分けることが、かえって本人の感覚に合わないこともあります。

ただし、付言事項では、他の相続人を責めるような表現は避けるべきです。
「誰が何をしてくれなかったか」ではなく、「長女にどのような支援を受け、なぜ財産を残したいのか」を中心に書く方が、相続発生後の感情的な対立を抑えやすくなります。

兄弟ではなく、世話をしてくれた甥にすべて遺贈したい場合

独身で子どもがいない方の場合、親がすでに亡くなっていれば、兄弟姉妹が相続人になることがあります。

しかし、実際に通院や日常生活を支えてくれたのが近くに住む甥だった場合、「兄弟ではなく、甥に財産を渡したい」と考えることもあります。

甥が法律上の相続人ではない場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書きます。

また、甥は相続人ではないため、遺言の内容を実現する際に、相続人側との手続きが必要になる場面があります。
そのため、甥に遺贈するケースでは、遺言書の中で行政書士を遺言執行者に指定しておくと、手続きを進めやすくなります。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、甥〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に包括して遺贈する。

第2条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、行政書士〇〇〇〇を指定する。

付言事項
甥〇〇には、私が体調を崩してから、通院の付き添いや日常生活の支援を続けてもらいました。
近くに住み、折に触れて私を気にかけてくれたことに深く感謝しています。
私の財産は多くありませんが、これまで支えてくれた甥〇〇に残したいと考え、この遺言を作成しました。
また、遺言内容が円滑に実現されるよう、遺言執行者として行政書士〇〇〇〇を指定しています。
親族の皆さまには、私の意思を尊重し、円満に手続きを進めてもらうことを願っています。

このケースでは、遺言書がないと、原則として甥が財産を取得できない可能性があります。
そのため、甥に財産を残したい場合は、遺言書で明確に意思を示すことが重要です。

なお、兄弟姉妹には遺留分がありません。
そのため、相続人が兄弟姉妹だけであれば、遺留分侵害額請求の問題は通常生じません。

ただし、遺留分がないからといって、親族間の感情的な反発が起きないとは限りません。
甥に財産を遺贈する理由を付言事項で残しておくことで、「なぜ甥なのか」という本人の意思を伝えやすくなります。

疎遠な一人息子にすべて相続させたい場合

長年疎遠になっている一人息子に、自分の財産を残したいというケースもあります。

疎遠であっても、法律上の親子関係がある限り、子どもは相続人です。
そのため、一人息子に財産を残したい場合は、「相続させる」と書きます。

また、長年疎遠だった場合、相続発生後に息子が財産の内容や手続きの進め方を把握できない可能性があります。
そのため、行政書士を遺言執行者に指定しておくと、遺言内容を実現するための手続きを進めやすくなります。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長男〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、行政書士〇〇〇〇を指定する。

付言事項
長男〇〇とは、長い間十分に連絡を取ることができませんでした。
それでも、私にとって〇〇が大切な子であることに変わりはありません。
私の財産は、私の意思として長男〇〇に残したいと考え、この遺言を作成しました。
また、相続手続きが円滑に進むよう、遺言執行者として行政書士〇〇〇〇を指定しています。
この遺言が、私の最後の意思として受け止められることを願っています。

一人息子以外に配偶者などの相続人がいない場合、結果として一人息子が財産を取得する形になることもあります。
それでも遺言書を作成しておくことで、「疎遠ではあったが、自分の意思として息子に財産を残したい」という気持ちを明確にできます。

内縁の夫が、内縁の妻にすべて遺贈したい場合

長年一緒に暮らしてきた内縁の妻がいる場合でも、法律上の婚姻関係がなければ、内縁の妻は原則として法定相続人にはなりません。

そのため、内縁の妻に財産を残したい場合は、遺言書で「遺贈する」と明確に書く必要があります。

また、内縁の妻は相続人ではないため、遺言書があっても、相続発生後の手続きで相続人側との調整が必要になることがあります。
内縁の妻に確実に財産を残したい場合は、公正証書遺言で作成し、行政書士を遺言執行者に指定しておくことを強くおすすめします。

第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、内縁の妻〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に包括して遺贈する。

第2条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、行政書士〇〇〇〇を指定する。

付言事項
〇〇は、法律上の配偶者ではありませんが、長年にわたり私と生活を共にし、私を支えてくれた大切な存在です。
私の死後も〇〇が安心して生活できるよう、私の財産を〇〇に遺贈することにしました。
また、遺言内容が円滑に実現されるよう、遺言執行者として行政書士〇〇〇〇を指定しています。
親族の皆さまには、私の意思を尊重し、円満に手続きを進めてもらうことを願っています。

内縁の妻に遺言書で財産を残しておかなければ、財産は兄弟姉妹などの法定相続人に承継される可能性があります。

相続人以外の人に財産を遺贈するケースでは、遺言内容を実現するための手続きが複雑になりやすいため、遺言執行者の指定まで含めて準備しておくことが大切です。

⑧公正証書遺言と遺言執行者の指定を強くおすすめする理由

行政書士が高齢者に公正証書遺言や遺言執行者の指定について説明している遺言書作成サポートのイラスト
公正証書遺言の作成や遺言執行者の指定を検討しておくことで、遺言内容を円滑に実現しやすくなります。

一人に相続・遺贈させる遺言書では、公正証書遺言で作成することと、遺言執行者を指定しておくことを強くおすすめします。

どちらも法律上、すべての遺言書で必須とされているわけではありません。
自筆証書遺言でも、法律上の要件を満たしていれば有効な遺言書を作成することはできます。

しかし、一人に財産を集中させる遺言書では、他の相続人の取り分や遺留分に影響することがあります。
また、相続人以外の人に遺贈する場合は、相続発生後の手続きで相続人側との調整が必要になることもあります。

そのため、できるだけ形式不備や手続き上の混乱を避けるために、公正証書遺言と遺言執行者の指定を組み合わせておくと安心です。

公正証書遺言にしておくと、形式不備や紛失のリスクを抑えやすい

公正証書遺言は、公証人が関与して作成する遺言書です。

自筆証書遺言の場合、日付や署名押印、財産の記載方法などに不備があると、相続発生後に有効性をめぐって問題になることがあります。
また、遺言書が見つからなかったり、保管場所が分からなかったりするリスクもあります。

一方、公正証書遺言であれば、公証人が関与して作成され、原本も公証役場で保管されます。
そのため、形式不備や紛失のリスクを抑えやすくなります。

特に、一人にすべての財産を相続・遺贈させる内容では、他の相続人や親族から内容に疑問を持たれる可能性があります。
だからこそ、「本人の意思に基づいて、きちんと作成された遺言書である」と示しやすい形にしておくことが大切です。

遺言執行者を指定すると、相続手続きを進めやすくなる

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続きを行う人のことです。

一人に財産を残す遺言書では、次のようなケースで遺言執行者の指定が特に重要になります。

  • 相続人以外の人に遺贈する場合
  • 内縁の妻や甥などに財産を残す場合
  • 相続人同士の関係が疎遠な場合
  • 財産を受け取る人が相続手続きに不慣れな場合
  • 他の相続人から反発が出る可能性がある場合

遺言執行者を指定していないと、財産を受け取る人が相続人側と連絡を取りながら手続きを進めなければならない場面があります。

特に、内縁の妻や甥など、法律上の相続人ではない人に財産を遺贈する場合は、遺言書があっても手続きがスムーズに進まないことがあります。

そのため、遺言書の中であらかじめ遺言執行者を指定しておくことで、遺言内容を実現するための手続きを進めやすくなります。

行政書士を遺言執行者に指定することもできる

遺言執行者には、相続人や受遺者だけでなく、行政書士などの専門家を指定することもできます。

一人に相続・遺贈させる遺言書では、単に財産の渡し先を書くだけでは不十分です。
なぜその人に財産を残すのか、他の相続人がどう受け止める可能性があるのか、遺留分への配慮をどうするのかまで考える必要があります。

行政書士は、こうした事情を整理し、問題が起きる可能性をできるだけ低くするための遺言書作成や付言事項の作成をサポートできます。
また、遺言執行者として指定しておくことで、相続発生後に遺言内容を実現するための手続きを進めやすくなります。

公正証書遺言や遺言執行者の指定は、法律上つねに義務づけられているものではありません。
しかし、一人に財産を集中させる遺言書では、後日のトラブルを防ぎ、本人の意思をできるだけ確実に実現するために、強く検討したい対策です。

⑨よくある質問

Q:遺言書で一人にすべて相続させることはできますか?

はい、遺言書で特定の一人にすべての財産を相続させることは可能です。

たとえば、長女にすべての財産を相続させたい場合は、

遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長女〇〇〇〇に相続させる。

といった形で記載します。

ただし、他に遺留分を持つ相続人がいる場合は、相続発生後に遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

Q:一人にすべて相続させる遺言書は無効になりますか?

一人にすべて相続させる内容だからといって、遺言書が当然に無効になるわけではありません。

ただし、遺言書の形式に不備がある場合や、作成当時の判断能力に疑いがある場合などは、有効性が問題になることがあります。

また、遺留分を侵害する内容であっても、遺言書そのものが当然に無効になるわけではありません。
ただし、遺留分を持つ相続人から金銭の支払いを求められる可能性があります。

Q:相続人以外の人に「相続させる」と書いてもよいですか?

甥、姪、内縁の妻、友人など、法律上の相続人ではない人に財産を渡したい場合は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書くのが基本です。

相続人以外の人は、遺言書がなければ原則として財産を取得できません。
そのため、相続人以外の一人に財産を残したい場合は、遺言書で「遺贈する」と明確に書いておくことが重要です。

Q:兄弟姉妹にも遺留分はありますか?

兄弟姉妹には遺留分がありません。

そのため、相続人が兄弟姉妹だけの場合、甥や内縁の妻などにすべての財産を遺贈しても、兄弟姉妹から遺留分侵害額請求を受けることは通常ありません。

ただし、遺留分がない場合でも、親族が感情的に反発する可能性はあります。
そのため、なぜその人に財産を残したいのかを付言事項で説明しておくとよいでしょう。

Q:付言事項は必ず書く必要がありますか?

付言事項は、法律上必ず書かなければならないものではありません。

しかし、一人に相続・遺贈させる遺言書では、他の相続人や親族から「なぜその人だけなのか」と受け止められる可能性があります。

そのため、介護してくれたことへの感謝、内縁の妻の生活への配慮、甥に支えてもらった事情などを付言事項に書いておくことをおすすめします。

Q:公正証書遺言にした方がよいですか?

一人にすべて相続・遺贈させる遺言書では、公正証書遺言で作成することを強くおすすめします。

自筆証書遺言でも、法律上の要件を満たしていれば有効です。
しかし、一人に財産を集中させる内容では、相続発生後に他の相続人や親族から内容を疑われる可能性があります。

公正証書遺言であれば、公証人が関与して作成され、原本も公証役場で保管されるため、形式不備や紛失のリスクを抑えやすくなります。

Q:遺言執行者は指定した方がよいですか?

一人に相続・遺贈させる遺言書では、遺言執行者を指定しておくことをおすすめします。

特に、甥や内縁の妻など相続人以外の人に遺贈する場合や、相続人同士の関係が疎遠な場合は、手続きがスムーズに進まないことがあります。

遺言書の中で行政書士などを遺言執行者に指定しておくことで、遺言内容を実現するための手続きを進めやすくなります。

まとめ

遺言書を作成すれば、特定の一人に財産を相続・遺贈させることは可能です。

相手が子どもや配偶者などの相続人であれば「相続させる」と書き、甥や内縁の妻など相続人ではない人に財産を渡したい場合は「遺贈する」と書きます。

ただし、一人に財産を集中させる遺言書では、単に「〇〇にすべて渡す」と書くだけでは不十分です。
誰に財産を残すのか、どの財産を取得させるのか、相続人以外への遺贈にあたるのかを明確にしたうえで、遺留分や相続発生後の手続きまで考えておく必要があります。

特に、他の相続人の遺留分に影響する場合や、甥・内縁の妻など相続人以外に財産を残す場合は、後日のトラブルが起きやすくなります。
そのため、付言事項で「なぜその人に財産を残したいのか」を伝え、公正証書遺言で作成し、遺言執行者を指定しておくことを強くおすすめします。

一人に相続・遺贈させる遺言書は、本人の意思を実現するための大切な手段です。
しかし、その意思を確実に形にするためには、家族関係、財産の内容、遺留分、手続きの進めやすさまで踏まえて作成することが大切です。

遺言書そのものの基本や種類から確認したい方は、「遺言書の基本や種類」も参考にしてください。

行政書士は、こうした事情を整理し、問題が起きる可能性をできるだけ低くするための遺言書作成や付言事項の作成をサポートできます。
「特定の一人に財産を残したい」と考えている方は、早めに専門家へ相談し、自分の想いがきちんと伝わる遺言書を準備しておきましょう。

無料相談受付中|まずは一度、お気軽にお話ししませんか?

この記事をここまで読んでくださったあなたへ。
もしかすると今、心の中にこういう想いがあるかもしれません。

  • 「まだ元気だけど、そろそろ考えておいた方がいいかも」
  • 「相続で家族が揉めるのは絶対に避けたい」
  • 「親が高齢になってきて、何か準備が必要そう…」

そう感じた今こそ、行動を起こすチャンスです。
まだ何も決まっていなくてOK。まずは一度、お話をお聞かせください。

✅ 無料相談でできること

当事務所では、初回のご相談は無料で承っております。相談の内容は、まだ漠然としたものでまったく構いません。

ご相談内容の例

  • 遺言って何から始めればいいの?
  • うちの家族関係でもトラブルなく進められる?
  • 自分で書いた遺言書を見てほしい
  • 公正証書遺言ってどこに行けばいいの?
  • 相続の流れも一緒に知りたい など

💡 専門家に話すことで、「今すべきこと」が明確になります。

✅ 実績・対応エリアについて

当事務所では、これまでに数十件以上の遺言・相続サポートを行ってきました。
地域に根ざした対応と、丁寧でわかりやすい説明をモットーに、多くのお客様から喜びの声をいただいています。

  • 対応地域:大田区・品川区・近隣エリア(オンライン相談も対応可)
  • ご高齢の方やご家族向けの「ご自宅訪問」も可能です

✅ ご相談の流れ

  1. 【STEP1】お問い合わせ
     → 電話・メールフォームのいずれかでご連絡ください
  2. 【STEP2】日程調整
     → ご都合の良い日程を調整いたします(平日夜・土日対応もOK)
  3. 【STEP3】無料相談(60分程度)
     → ご状況やお悩みをじっくりお伺いします
  4. 【STEP4】ご提案・お見積り
     → ご希望に応じて、最適なプランをご提案。無理な営業は一切しません。

💬 「話してよかった」「気持ちが軽くなった」そんなご感想を多くいただいています。

✅ ご相談方法(選べます!)

方法内容
📞 電話相談お急ぎの方や対面が難しい方におすすめ
🖥 オンライン相談ご自宅から安心して相談できます(Zoom対応)
🏠 訪問相談ご高齢の方、外出が難しい方のために訪問も可

✅ 行政書士プロフィール

特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)

  • 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
  • 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
  • 趣味:競泳
  • メッセージ:
     「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
    家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」

📩 お問い合わせはこちら

あなたの「不安」を「安心」に変えるお手伝いを、私たち行政書士が全力でサポートいたします。
どんな小さなことでも構いません。
今すぐ、気軽にご連絡ください。