遺言書を作成したら、次に考えたいのが保管方法です。
せっかく遺言書を作成しても、相続開始後に発見されなかったり、紛失してしまったりすると、遺言者の意思を実現できない可能性があります。また、自筆証書遺言の保管方法によっては、相続開始後に家庭裁判所での検認が必要になるなど、手続きにも違いがあります。
遺言書の主な保管方法としては、
- 自筆証書遺言を自宅で保管する
- 自筆証書遺言を法務局で保管する
- 公正証書遺言を利用する
といった選択肢があります。
もっとも、それぞれ費用や手間、安全性には違いがあり、「どの方法が自分に合っているのか分からない」という方も少なくありません。
そこで本記事では、遺言書の主な保管方法やそれぞれの特徴を比較したうえで、どのような方に向いているのかを分かりやすく解説します。遺言書をどこに保管すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
①なぜ遺言書の保管方法が重要なのか
遺言書は作成することも大切ですが、相続開始後(遺言者が亡くなった後)に相続人等へ確実に伝わることも同じくらい重要です。
せっかく遺言書を作成しても、発見されなかったり、紛失してしまったりすると、遺言者の意思を実現できない可能性があります。
また、保管方法によっては相続開始後の手続きにも違いが生じます。
そのため、遺言書は「どのような内容を書くか」だけでなく、「どこでどのように保管するか」まで考えておくことが大切です。
遺言書は作成しただけでは十分ではない
遺言書は、作成すれば自動的にその内容が実現されるわけではありません。
相続開始後に相続人等が遺言書を発見し、その内容を確認できて初めて遺言としての役割を果たします。
そのため、遺言書を作成した後は、相続開始まで適切に保管しておく必要があります。
発見されない・紛失するリスクがある
自筆証書遺言(遺言者本人が作成する遺言)は、自宅で保管されることも少なくありません。
しかし、保管場所を家族が知らなかったり、他の書類に紛れてしまったりすると、相続開始後に遺言書が発見されない可能性があります。
また、紙の遺言書は火災や水濡れ、経年劣化などによって破損したり、紛失したりするおそれもあります。
遺言書を残す目的を実現するためには、相続人等が遺言書を見つけられる状態にしておくことが重要です。
隠蔽や改ざんのおそれもある
自筆証書遺言を自宅で保管する場合、一部の相続人等によって遺言書が隠されたり、内容を書き換えられたりするおそれも指摘されています。
もちろん、そのような行為は認められるものではありません。
しかし、自宅保管では第三者による管理が行われないため、保管方法によってはこうしたリスクを完全に避けることは難しい場合があります。
そのため、遺言書の内容だけでなく、保管方法についても慎重に検討することが大切です。
保管方法によって相続開始後の手続きも変わる
遺言書の保管方法によっては、相続開始後に必要となる手続きにも違いがあります。
例えば、自宅で保管されていた自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所での検認(遺言書の状態を確認し保存するための手続き)が必要です。
一方、法務局の遺言書保管制度(自筆証書遺言を法務局で保管する制度)を利用した遺言書や、公正証書遺言(公証人が作成する遺言)については検認が不要です。
このように、保管方法は遺言書の安全性だけでなく、相続開始後の手続きにも影響します。
次に、遺言書にはどのような保管方法があるのかを見ていきましょう。
②遺言書の主な保管方法
遺言書の保管方法は1つではありません。
どの方法を選ぶかによって、費用や手間、安全性、相続開始後の手続きが異なります。
特に自筆証書遺言の場合は、遺言者自身が保管方法を選ぶ必要があります。一方、公正証書遺言は公証役場で原本が保管されるため、保管の考え方が異なります。
ここでは、主な保管方法とそれぞれの特徴を見ていきましょう。
自筆証書遺言を自宅で保管する
自筆証書遺言は、自宅で保管することができます。
保管場所としては、
- 金庫
- 鍵付きの引き出し
- 書斎の保管庫
- 貸金庫
などが考えられます。
自宅保管の最大のメリットは、費用がかからず手軽に利用できることです。また、遺言内容を変更したい場合も、新しい遺言書を作成しやすいという利点があります。
一方で、自宅保管の場合は、相続開始後に相続人等が遺言書を発見できない可能性があるほか、紛失や破損のおそれもあります。また、保管状況によっては隠蔽や改ざんのリスクを完全に排除することもできません。
そのため、自宅保管を選ぶ場合は、保管場所を工夫するとともに、信頼できる家族へ保管場所を伝えておくことも検討するとよいでしょう。
自筆証書遺言を法務局で保管する
法務局の遺言書保管制度を利用すると、自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことができます。
この制度は、自宅保管に伴う紛失や隠蔽、改ざんなどのおそれを減らすために創設された制度です。
法務局で保管された遺言書は、相続開始後に相続人等が存在を確認しやすくなるほか、家庭裁判所での検認も不要になります。
また、保管手数料は3,900円であり、公正証書遺言と比べると費用を抑えやすい点も特徴です。
もっとも、法務局は遺言内容の添削やアドバイスを行う機関ではありません。そのため、内容に不安がある場合は専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。
法務局保管制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
自筆証書遺言の法務局保管制度とは
公正証書遺言は公証役場で原本が保管される
公正証書遺言は、公証人が作成に関与する遺言です。
作成された公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるため、自筆証書遺言のように「どこに保管するか」で悩む場面は多くありません。
また、公正証書遺言は検認が不要であり、公証人が作成に関与するため方式面の不備が生じる可能性も低くなります。
一方で、財産額などに応じた費用がかかるほか、証人の手配など一定の準備が必要になります。
そのため、公正証書遺言は「保管の安全性」だけでなく、「作成段階から確実性を重視したい方」に向いている方法といえるでしょう。

③遺言書の保管方法を比較
ここまで見てきたように、遺言書の保管方法にはそれぞれ特徴があります。
どの方法が適しているかは、費用を重視するのか、安全性を重視するのか、作成段階から専門家の関与を求めるのかによって異なります。
まずは、自宅保管・法務局保管・公正証書遺言の主な違いを比較してみましょう。
自宅保管・法務局保管・公正証書遺言の比較表
| 比較項目 | 自宅保管 | 法務局保管 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|---|
| 費用 | ◎ 無料 | ○ 3,900円 | △ 財産額等に応じて費用が発生 |
| 発見されやすさ | △ | ◎ | ◎ |
| 紛失リスク | △ | ◎ | ◎ |
| 隠蔽・改ざんリスク | △ | ◎ | ◎ |
| 検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 保管場所の管理 | 自分で行う | 法務局が保管 | 公証役場が保管 |
| 作成時のサポート | なし | なし | 公証人が関与 |
| 手軽さ | ◎ | ○ | △ |
比較すると、自宅保管は費用や手間を抑えられる一方で、発見されないリスクや保管上の不安が残ります。
これに対し、法務局保管制度は比較的低額な費用で保管の安全性を高められる点が特徴です。
また、公正証書遺言は保管面だけでなく、作成段階から公証人が関与するため、より確実性を重視したい場合に適しています。
もっとも、どの方法が最適かは一概にはいえません。
次の章では、それぞれの保管方法がどのような方に向いているのかを見ていきましょう。
④自宅保管が向いている人
自宅保管は、遺言書を自分で管理する方法です。
費用がかからず手軽に始められる一方で、保管場所や管理方法には注意が必要です。
そのため、自宅保管は次のような方に向いています。
費用や手間をできるだけ抑えたい人
自宅保管の最大のメリットは、保管のための費用がかからないことです。
法務局保管制度を利用する場合は手数料が必要になり、公正証書遺言を作成する場合は公証人手数料なども発生します。
これに対し、自宅保管であれば特別な手続きは不要であり、遺言書を作成した後すぐに保管できます。
まずは費用や手間を抑えて遺言書を残したいという方にとって、自宅保管は選択肢の一つとなるでしょう。
自分で保管場所を管理できる人
自宅保管では、遺言書をどこに保管するかを自分で決めることになります。
そのため、
- 金庫や鍵付きの引き出しで管理する
- 湿気や直射日光を避ける
- 重要書類として適切に保管する
といった管理ができる方に向いています。
また、保管場所を家族へ伝えるなど、相続開始後に遺言書が発見される工夫も大切です。
遺言内容を頻繁に見直す可能性がある人
遺言書は、一度作成したら終わりではありません。
家族構成や財産状況の変化によって、内容を見直したくなることもあります。
自宅保管であれば、保管している遺言書を確認しながら修正や作り直しを行いやすいという特徴があります。
もっとも、新しい遺言書を作成した場合は、どれが最新の遺言書なのか分かるよう整理しておくことが重要です。
自宅保管は手軽に利用できる方法ですが、その分、遺言書の管理責任は遺言者自身にあります。
そのため、保管上の不安がある場合は、法務局保管制度の利用も検討するとよいでしょう。

⑤法務局保管が向いている人
法務局の遺言書保管制度は、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度です。
自宅保管と比べると手続きや費用は必要になりますが、遺言書の保管に関する不安を減らしやすいという特徴があります。
そのため、次のような方には法務局保管制度が向いているでしょう。
自宅保管に不安がある人
自筆証書遺言は自宅で保管することもできますが、保管場所の管理は遺言者自身が行わなければなりません。
そのため、
- 遺言書をなくしてしまわないか心配
- 火災や水濡れによる破損が不安
- 保管場所の管理に自信がない
という方もいるでしょう。
法務局保管制度を利用すれば、遺言書を法務局で保管してもらえるため、自宅保管に伴う不安を軽減しやすくなります。
相続人に遺言書を確実に見つけてもらいたい人
遺言書は、相続開始後に発見されなければ意味がありません。
自宅保管の場合は、保管場所を家族が把握していなかったり、他の書類に埋もれてしまったりする可能性があります。
一方、法務局保管制度を利用した遺言書は、相続人等が法務局で存在や内容を確認できる仕組みが整えられています。
そのため、「遺言書を残したのに見つけてもらえなかった」という事態を避けたい方に向いています。
隠蔽や改ざんのリスクを減らしたい人
自宅保管では、保管状況によっては遺言書が隠されたり、書き換えられたりするリスクを完全に排除することはできません。
法務局保管制度は、こうした自筆証書遺言の課題を解消するために創設された制度です。
法務局で保管されることにより、遺言書の紛失や隠蔽、改ざんのおそれを抑えることができます。
そのため、遺言書をより安全に保管したい方には有力な選択肢となるでしょう。
法務局保管制度は、自筆証書遺言の手軽さを維持しながら、保管面の不安を減らせる制度です。
特に、自宅保管に不安がある場合や、相続人等に確実に遺言書を見つけてもらいたい場合には、法務局保管制度を第一候補として検討する価値があります。
法務局保管制度の利用方法やメリット・注意点について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
自筆証書遺言の法務局保管制度とは
⑥公正証書遺言が向いている人
公正証書遺言は、公証人が作成に関与し、公証役場で原本が保管される遺言です。
自筆証書遺言と比べると費用や手間はかかりますが、その分、作成から保管まで公的な関与を受けられるという特徴があります。
そのため、次のような方には公正証書遺言が向いているでしょう。
内容も含めて確実性を重視したい人
自筆証書遺言では、保管方法を工夫しても、遺言内容そのものに問題があれば希望どおりに実現できない場合があります。
一方、公正証書遺言は公証人が作成手続に関与するため、方式面の不備が生じる可能性は低くなります。
費用や手間がかかっても、できるだけ確実な形で自分の意思を残したい方に向いています。
公証人の関与を受けながら作成したい人
公正証書遺言は、公証人が関与して作成される遺言です。
そのため、自筆証書遺言のように遺言者だけで作成する場合と比べて、方式面の不備が生じる可能性は低くなります。
もっとも、公証人が相続対策のアドバイスや遺言内容の提案を行うわけではありません。
実際には、あらかじめ遺言内容を整理したうえで公正証書遺言の作成手続を進めることが一般的です。
そのため、
- どのような内容の遺言書を作成すべきか分からない
- 財産の分け方に悩んでいる
- 文案の作成に不安がある
という場合は、事前に行政書士などの専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。
公正証書遺言は、費用や手間をかけてでも、自分の意思をより確実な形で残したい方に適した方法といえます。います。
財産関係や家族関係が複雑な人
財産の種類が多い場合や、相続人以外へ財産を残したい場合などは、遺言内容の検討が重要になります。
また、家族構成によっては、誰にどの財産を残すかを慎重に考える必要があるケースもあります。
このような場合には、保管方法だけでなく、遺言内容そのものを適切に整理することが大切です。
そのため、財産関係や家族関係が複雑な場合は、公正証書遺言も有力な選択肢となるでしょう。
もっとも、公正証書遺言は誰にでも必要というわけではありません。
自筆証書遺言でも、法務局保管制度を利用することで保管面の不安を軽減することは可能です。
そのため、
- 保管の安全性を重視するのか
- 作成段階からの確実性を重視するのか
によって、適した方法は異なります。
⑦遺言書を保管する際の注意点
どの保管方法を選ぶ場合でも、遺言書が適切な状態で保管されていなければ、本来の目的を十分に果たせない可能性があります。
特に自宅保管を選ぶ場合は、保管場所や管理方法にも注意が必要です。
ここでは、遺言書を保管する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
自宅保管の場合は封筒に入れて保管する
自筆証書遺言は、封筒に入れなければ無効になるわけではありません。
しかし、封筒に入れて保管することで、遺言書が重要な書類であることを明確にできるほか、汚損や破損の防止にもつながります。
また、封筒の表面に「遺言書在中」などと記載しておけば、相続開始後に相続人等が遺言書を発見しやすくなるでしょう。
なお、封筒の書き方や封印の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
自筆証書遺言に封筒は必要?書き方や封印方法を解説
保管場所を家族に伝えておく
自宅保管の場合、相続人等が遺言書の存在や保管場所を知らなければ、発見が遅れたり、見つからなかったりする可能性があります。
そのため、信頼できる家族に保管場所を伝えておくことも検討するとよいでしょう。
もっとも、遺言内容まで生前に伝えなければならないわけではありません。
まずは「遺言書があること」と「どこに保管しているか」を共有しておくだけでも、相続開始後の確認がしやすくなります。
作成日が分かるようにしておく
遺言書を作り直した場合、複数の遺言書が存在することがあります。
そのような場合に備え、遺言書本体の日付だけでなく、封筒にも作成日や氏名を記載しておくと管理しやすくなります。
例えば、封筒に「遺言書在中」とともに作成日や氏名を記載しておけば、遺言書を管理しやすくなります。複数の遺言書が存在する場合でも、作成時期を確認しやすくなるでしょう。
また、保管場所を変更した場合や遺言書を書き直した場合には、古い遺言書との関係も整理しておくことが大切です。
どの保管方法を選ぶとしても、重要なのは相続開始後に遺言書を確実に確認できる状態にしておくことです。
保管場所だけでなく、保管方法や管理方法にも目を向けておきましょう。
⑧結局どの保管方法を選ぶべきか

ここまで見てきたように、遺言書の保管方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
どの方法が適しているかは、費用を重視するのか、安全性を重視するのか、作成段階からの確実性を重視するのかによって異なります。
次の表は、保管方法を選ぶ際の目安です。
| こんな人 | おすすめの方法 |
|---|---|
| 費用や手間をできるだけ抑えたい | 自宅保管 |
| 自宅保管に不安がある | 法務局保管 |
| 相続人等に遺言書を確実に見つけてもらいたい | 法務局保管 |
| 隠蔽や改ざんのリスクを減らしたい | 法務局保管 |
| 内容も含めて確実性を重視したい | 公正証書遺言 |
| 公証人の関与を受けながら作成したい | 公正証書遺言 |
自宅保管は費用がかからず手軽ですが、遺言書の管理責任は遺言者自身が負うことになります。
一方、法務局保管制度を利用すれば、自筆証書遺言の手軽さを維持しながら、発見されないリスクや保管上の不安を軽減できます。そのため、自筆証書遺言を利用するのであれば、法務局保管制度を第一候補として検討する価値があるでしょう。
また、保管の安全性だけでなく、作成段階からの確実性を重視したい場合は、公正証書遺言も有力な選択肢となります。
大切なのは、「どの方法が絶対に正しいか」ではなく、ご自身の状況や希望に合った方法を選ぶことです。
保管方法に迷った場合は、遺言内容も含めて専門家へ相談することも検討するとよいでしょう。
⑨よくある質問
Q:家族に遺言書の保管場所を伝えた方がよいですか?
自宅保管を選ぶ場合は、信頼できる家族に保管場所を伝えておくことをおすすめします。
遺言書が発見されなければ、その内容を実現できない可能性があるためです。
もっとも、生前に遺言内容まで伝えなければならないわけではありません。まずは「遺言書があること」と「どこに保管しているか」を共有しておくとよいでしょう。
Q:遺言書は封筒に入れて保管した方がよいですか?
自筆証書遺言は、封筒に入れなければ無効になるわけではありません。
しかし、封筒に入れて保管することで、遺言書が重要な書類であることを明確にできるほか、汚損や破損の防止にもつながります。
また、「遺言書在中」や作成日などを記載しておけば、管理もしやすくなります。
封筒の書き方や封印方法については、関連記事をご覧ください
自筆証書遺言に封筒は必要?書き方や封印方法を解説
Q:遺言書は金庫で保管してもよいですか?
金庫で保管すること自体に問題はありません。
むしろ、自宅保管をする場合は、鍵付きの保管場所や金庫を利用することで紛失や破損のリスクを減らすことができます。
ただし、相続人等が金庫の存在や開け方を知らないと、遺言書が発見されない可能性があります。
そのため、自宅保管を選ぶ場合は、保管場所を家族へ伝えておくことも大切です。
Q:遺言書を何度も書き直した場合はどうなりますか?
遺言書は何度でも作り直すことができます。
ただし、複数の遺言書が存在すると管理が複雑になるため、どの遺言書がいつ作成されたものか分かるよう整理しておくことが重要です。
自宅保管の場合は、遺言書本体だけでなく封筒にも作成日を記載しておくと管理しやすくなるでしょう。
Q:自宅保管と法務局保管ではどちらがおすすめですか?
どちらが適しているかは状況によって異なります。
もっとも、自筆証書遺言を利用する場合、自宅保管には発見されない、紛失する、隠蔽や改ざんのおそれがあるといった課題があります。
そのため、自宅保管に不安がある場合は、法務局保管制度を第一候補として検討する価値があるでしょう。
法務局保管制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
自筆証書遺言の法務局保管制度とは
まとめ|自分に合った遺言書の保管方法を選ぼう
遺言書は、作成するだけでなく、相続開始後に相続人等が確実に確認できる状態で保管しておくことが重要です。
自筆証書遺言の保管方法には、自宅保管と法務局保管があります。
自宅保管は費用や手間を抑えられる一方で、発見されない、紛失する、隠蔽や改ざんのおそれがある点に注意が必要です。
これに対し、法務局保管制度を利用すれば、自筆証書遺言の手軽さを維持しながら、保管面の不安を軽減することができます。
また、保管の安全性だけでなく、作成段階からの確実性も重視したい場合は、公正証書遺言も選択肢となるでしょう。
それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。
| 保管方法 | 向いている人 |
|---|---|
| 自宅保管 | 費用や手間をできるだけ抑えたい人 |
| 法務局保管 | 自宅保管に不安がある人、相続人等に確実に遺言書を見つけてもらいたい人 |
| 公正証書遺言 | 内容も含めて確実性を重視したい人 |
大切なのは、「どの方法が良いか」ではなく、ご自身の状況や希望に合った方法を選ぶことです。
特に自筆証書遺言を利用する場合は、保管方法によって遺言書の安全性や相続開始後の手続きが大きく変わります。
遺言書を作成した後は、内容だけでなく保管方法についても十分に検討し、ご自身の意思を確実に残せる環境を整えておきましょう。

