【行政書士が解説】遺言と相続でもめないために|トラブル事例・対策・書き方完全ガイド

目次

1. 実務家から見る「遺言がないことで起こる相続トラブル」事例集

「うちは家族仲がいいから、相続でもめることなんてないよ」

これまで数多くのご相談を受けてきた中で、何度となく聞いてきた言葉です。しかし、実際に相続が発生した後に起きるのは、「遺言がなかったことで仲の良かった家族が不信感を募らせてしまう」という現実です。

本章では、行政書士として関わってきた実例を交えながら、「遺言がない」ことで起こりやすい典型的なトラブルをご紹介します。

よくあるトラブル①:財産の分け方で兄弟姉妹が絶縁に

事例:亡くなった父親に遺言がなく、相続人は3人兄弟

父親名義の不動産と預貯金が遺されたものの、どちらも「現物」でしか分けられず、兄弟3人で話し合いがまとまりませんでした。長男は「家は俺が引き継ぐから、金銭で調整しよう」と主張。しかし次男・三男は「それでは不公平だ」と反発。

結局、話し合いが泥沼化して家庭裁判所の調停にまで発展し、調停終了後も兄弟間の関係は完全に絶たれてしまいました。

💡 実務家のポイント
相続人同士が揉めるのは「金額」ではなく「気持ちの温度差」です。遺言で「なぜその分け方にしたか」まで書いておくことで、こうした誤解や争いを防ぐことができます。

よくあるトラブル②:法定相続人が多くて話がまとまらない

事例:子どもがいない夫婦。夫が他界し、相続人が多数に

夫婦には子どもがおらず、夫が亡くなったことで相続人は「妻+夫の兄弟5人」に。亡くなった夫の財産を妻が受け継ぐには、兄弟5人全員の同意が必要になります。

ところが、兄弟の1人とは音信不通、もう1人は海外在住、残り3人のうち1人は「金銭をもらえるなら同意する」と主張。協議が進まず、結果的に妻が亡くなった夫の通帳を使えないまま何年も放置されることに。

💡 実務家のポイント
「相続人が誰になるか」は、普段の生活では意識されにくいですが、実は非常に重要。特に兄弟姉妹が相続人になる場合、関係が薄くトラブルになりやすいため、遺言によって妻に全財産を相続させる旨を書いておくことで、問題を未然に防げます。

よくあるトラブル③:介護を担ってきた子が何ももらえない?

事例:長男が親の介護を10年以上担ってきたが、遺言がなかった

高齢の母親を、長男夫婦が自宅で10年以上介護。母親が亡くなった際、相続財産は自宅と預貯金。母親は遺言を残していなかったため、相続は4人兄弟で均等に分けられることに。

介護を担っていた長男としては「自分は金銭的にも時間的にも多く負担してきたのに…」という思いが強く、不満を感じる結果に。一方、他の兄弟からすると「法律通りに分けるのは当然」という主張があり、感情の衝突に。

💡 実務家のポイント
介護や同居、面倒を見た実績があっても、法律上は自動的に相続に反映されることはありません。こうした想いを尊重するには、「長男に多く遺す」「付言事項で感謝の言葉を残す」など、遺言で明示することが不可欠です。

専門家として感じる「遺言がないリスクの本質」

どの事例も、金額の多寡よりも「不公平感」や「納得感のなさ」が争いの引き金になっています。

遺言は単なる法的な文書ではなく、「自分が亡くなったあとも、家族が仲良くいられるように配慮する最後の手紙」とも言えるものです。

特に、財産の多い少ないにかかわらず、家庭に特有の事情(介護・不仲・再婚など)がある場合には、遺言による事前の整理が絶対に必要です。

次のセクションでは、こうした誤解やトラブルの根本にある「そもそも遺言って誰に必要なの?」という問いに、専門家の視点から答えていきます。

2. 「遺言は誰にでも必要」は本当?〜誤解と現実〜

「うちは財産なんてほとんどないから、遺言なんて必要ないと思ってます」

これは相談の現場で、非常によく聞く言葉です。確かに、遺言は「お金持ちの人が書くもの」というイメージがあるかもしれません。でも実はそれ、大きな誤解です。

ここでは、「遺言って誰にでも必要なの?」という素朴な疑問に対して、実務家の目線から丁寧に解説していきます。

「財産が少ないから遺言は不要」は本当?

結論から言うと、財産の多寡は、遺言の必要性にあまり関係ありません。

実際、相続で争いになる人たちの多くは、「資産数千万円未満」のごく一般的なご家庭です。なぜなら、遺産が少ないほど、「どう分けるか」の余地が少なく、誰かが損をする形になりやすいからです。

たとえば以下のようなケースでは、少額な財産でもトラブルになります。

  • 預貯金が300万円だけ → 兄弟3人で「1円単位」で揉める
  • 実家の土地だけ → 「誰が住む?売る?管理する?」で口論に
  • 自動車や仏壇 → 法定相続では扱いづらいが、感情的な価値が高い

💡 専門家の見解
「分けられない財産」がある場合こそ、誰に何をどう残すかを明確にしておく遺言の価値は非常に高いです。

「口頭で伝えてあったから大丈夫」では絶対に通用しない

親が生前に、「これは長男にあげる」「実家は妹が継げばいい」と口頭で言っていた。

こうした話も、現場ではよく聞きます。

しかし、相続の世界では「口頭で言っていたこと」には一切の法的効力がありません。

実際にあった相談例では、亡くなった父親が「実家は長男にやる」と言っていたにも関わらず、遺言書がなかったため、兄弟全員で法定相続を主張。調停にまで発展しました。

💡 専門家の見解
大切な意思は、書面=遺言書で正式に残すことが唯一の確実な手段です。

「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」、どっちを選ぶべき?

遺言にはいくつかの種類がありますが、代表的なものは以下の2つです。

▶ 自筆証書遺言

  • 自分で書くため、費用がかからない
  • ただし書き方を間違えると無効になる可能性あり
  • 家庭裁判所での「検認」が必要

▶ 公正証書遺言

  • 公証人が関与して作成するため、形式ミスの心配がない
  • 費用は数万円〜十数万円ほど
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配もない
  • 検認が不要

「簡単なのは自筆証書」「確実性が高いのは公正証書」と覚えておくとよいでしょう。

💡 専門家の見解
特にトラブルが起きやすい家庭事情(再婚・事実婚・相続人が多いなど)がある方には、迷わず公正証書遺言をおすすめします。

「遺言は誰のためのものか?」を考える

遺言は、自分の財産をどう残すかを決めるものですが、本質的には「遺された家族のため」に書くものです。

  • 「これで揉めないように」と思って書いたか
  • 「相続人の立場を想像して」書かれているか
  • 「なぜそう分けるのか」理由も伝えようとしているか

こうした想いがあるだけで、遺された人たちが「納得しやすく」なります。

法律の知識があっても、感情的な衝突を完全に防ぐことはできません。だからこそ、遺言は言葉ではなく、行動で残す愛情だと言えるのです。

実務家からのアドバイス:「書くべきかどうか」で迷ったら…

  • 「財産を持っている人」=書くべき人
  • 「相続人が複数いる」=書くべき人
  • 「感謝や想いを伝えたい」=書くべき人

つまり、ほぼすべての人が対象だと考えて問題ありません。

💡 専門家の見解
遺言は、“最後の家族会議”の司会進行役のようなもの。
書かれていないと、誰が仕切るのかで揉めてしまうのです。

次のセクションでは、そんな遺言の種類をさらに詳しく、メリット・デメリットも含めて解説していきます。

3. 遺言の種類とそれぞれのメリット・デメリット

遺言の大切さを理解して、「よし、遺言書を書こう!」と思っても、次に悩むのが「どの種類を選べばいいのか?」という問題です。

遺言には複数の方式があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

この章では、代表的な4つの遺言方式を紹介しつつ、実務家としてどのような選択が適しているかを解説します。

①-1 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

最も手軽で、自分ひとりでも作成できるのが「自筆証書遺言」です。

特徴

  • 全文を自筆で書く必要がある(例外あり)
  • 日付・署名・押印が必要
  • 保管方法は自由(ただし紛失や偽造のリスクあり)

メリット

  • 費用がほとんどかからない
  • 思い立ったときにすぐに書ける
  • 内容を誰にも知られずに書ける

デメリット

  • 法的要件を満たさなければ「無効」になるリスクが高い
  • 保管が個人任せになるため、紛失や改ざんの恐れがある
  • 死後に家庭裁判所の「検認手続き」が必要

💡 実務家からのポイント
実際には、形式不備による無効事例が非常に多いです。「書いたつもりが無効だった」という事態を避けるためにも、専門家のチェックを受けるのが安心です。

①-2 自筆証書遺言(法務局保管制度を利用)

2020年に始まった制度で、従来の自筆証書遺言を法務局に預けることができるようになりました。

特徴

  • 法務局で原本を預かってくれる
  • 一定の方式で作成すれば、検認手続きが不要
  • 保管制度の申請には本人の出頭が必要

メリット

  • 紛失や改ざんの心配がない
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 低コストで安全に保管できる

デメリット

  • 書き方に不備があると保管を拒否される
  • 法務局では「内容のアドバイス」はしてくれない
  • 本人の出頭が必要なため、体調や交通事情で負担になることも

💡 実務家からのポイント
自筆証書の手軽さと、公的な保管の安心感を両立できるのがこの制度。ただし、書式や内容の不備で保管を断られるケースもあるため、専門家のサポートは依然として重要です。


② 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

最も信頼性が高く、実務家の立場からも最も推奨されるのが「公正証書遺言」です。

特徴

  • 公証人が作成をサポートし、内容を法的にチェック
  • 証人2名が立ち会う必要がある
  • 原本は公証役場に保管され、写しを本人が持つ

メリット

  • 法的に最も確実な形式
  • 無効になるリスクがほぼゼロ
  • 紛失・改ざんの心配がない
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 高齢・身体が不自由な方でも出張作成が可能

デメリット

  • 費用が数万円~十数万円かかる(財産額により変動)
  • 証人が必要(※士業が手配可能)
  • 作成に日数がかかる(打ち合わせ〜完成まで1〜2週間)

💡 実務家からのポイント
トラブルを絶対に避けたい人、遺産の内容が複雑な人、相続人の関係が微妙な人には、迷わず公正証書遺言をおすすめしています。

③ 秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

現在ではあまり使われなくなった形式ですが、一応紹介します。

特徴

  • 内容を秘密にしたまま、公証人に提出・認証してもらう形式
  • 自筆でなくても、パソコン等で作成した文書もOK

メリット

  • 内容を誰にも知られずに遺言を作成できる

デメリット

  • 自筆証書遺言と同様に、形式不備で無効になるリスクが高い
  • 検認手続きが必要
  • 実務上あまり使われていない(手続きが煩雑)

💡 実務家からのポイント
よほど特殊な事情がない限り、あえてこの形式を選ぶメリットは少ないと感じています。

遺言の選び方:実務家が考える「あなたに最適な遺言」

状況おすすめの遺言
財産が少なく、トラブルの可能性も低い自筆証書遺言(+法務局保管)
相続人が複数いて、トラブルの可能性がある公正証書遺言
法的に絶対に無効にしたくない公正証書遺言
相続人に想いをしっかり伝えたい公正証書遺言+付言事項
家族に秘密で作成したい公正証書遺言(証人を外部に依頼)

💡 実務家からのポイント

専門家の支援を受けることで、「自分に最適な遺言」を迷わず選べるようになります。

行政書士の立場では、「公正証書遺言+付言事項」をお勧めしております。

次のセクションでは、「実際に遺言を書くとき、どんな構成で書けばいいの?」という実務的なステップを解説します!

4. 「じゃあ実際どう書けばいいの?」遺言の基本構成と注意点

遺言の種類を選べたら、次に気になるのは「具体的にどう書けばいいのか?」という点ですよね。

特に自筆証書遺言の場合は、自分自身で書くため、「何を書けばいいの?」「どう書いたら間違えない?」という不安を持つ方が非常に多いです。

このセクションでは、遺言書の基本構成と、書くときに注意すべきポイントを実務家目線で整理します。

遺言書に必ず書くべき「3つの基本要素」

遺言書には形式的に書かなければならない項目があります。これを間違えると無効になる可能性があるため、要注意です。

1. 日付

  • 「令和◯年◯月◯日」など、年月日を明確に記載
  • 「◯年◯月吉日」など曖昧な表現はNG(無効になる可能性あり)

2. 署名・押印

  • 自筆でフルネームを書くことが必須
  • 実印が望ましいが、認印でも一応有効(ただし偽造リスクに注意)

3. 本文(遺言内容)

  • 誰に何を相続させるかを明確に
  • 「長男 太郎に自宅不動産(東京都〇〇区〇〇1-2-3)を相続させる」と詳細に書くのがベスト

💡 専門家のポイント
内容を簡潔に書きたくても、具体的すぎるほど具体的に書くことが重要です。あいまいな表現は、相続人間の誤解を生む原因になります。

よくあるミス①:財産の特定が不十分

例:「預貯金を長男に相続させる」

この書き方では、どの金融機関のどの口座なのかが不明瞭です。
正しくは:

「〇〇銀行〇〇支店 普通預金口座 番号:1234567 を長男〇〇に相続させる」

のように、特定可能な記載が必要です。

よくあるミス②:「相続させる」と「遺贈する」の違い

  • 「相続させる」→ 法定相続人に対して使用
  • 「遺贈する」→ 法定相続人以外に渡すときに使用

たとえば、内縁の妻や長年介護してくれた知人など、相続権がない人に財産を渡したいときは、必ず「遺贈する」という言葉を使います。

よくあるミス③:遺言の内容が矛盾している

複数の財産について指示を書いていくうちに、「同じ財産を複数の人に与えるような内容」になってしまうことがあります。

例:

  • 第1条:〇〇土地を長男に相続させる
  • 第3条:同じ〇〇土地を次男に相続させる

このような矛盾があると、相続人間での争いの火種になるため注意が必要です。

遺言執行者を定めるべき理由

遺言の内容を実際に執行(実行)してくれる「遺言執行者」という役割を、遺言書内で指定することができます。

遺言執行者の役割

  • 相続人に代わって財産の名義変更や分配を進める
  • 遺産整理を中立的に行える
  • 相続人間の連絡・手続きの調整を担う

💡 実務家のアドバイス
家族の中から選んでもよいですが、感情的な対立を避けるため、第三者(行政書士・弁護士など)を指定することをおすすめします。

「付言事項」で想いを伝える

遺言書には、法的拘束力のある「本論」部分だけでなく、自由に書ける「付言事項(ふげんじこう)」というパートも設けることができます。

ここでは、次のような内容を書くことが多いです。

  • 相続の方針を決めた理由
  • 感謝の気持ち
  • 家族へのお願い
  • 仲良くしてほしいというメッセージ

📝 例文:
「これまで家族の支えのおかげで幸せな人生を送れました。
相続については公平性とこれまでの関係性を踏まえて判断しました。
どうか皆が納得し、これからも助け合って生きていってくれることを願っています。」

💡 実務家の見解
トラブルを未然に防ぐ「一番の鍵」は、付言事項に込められた想いです。相続人の心に届く、あたたかな言葉を添えることをおすすめします。

書いたら終わりじゃない。定期的な見直しを!

人生は変化していきます。相続関係も、時間が経てば状況が変わることがあります。

  • 相続人の増減(死亡・出生・婚姻など)
  • 財産の増減(売却・購入・退職金など)
  • 相続に対する気持ちの変化

少なくとも3〜5年ごとに見直すことをおすすめします。
書き直しをする際は、新しい日付の新しい遺言書を作成するのが原則です(古い遺言は破棄してOK)。

次のセクションでは、「行政書士として、遺言の作成支援でどんなことができるのか」を詳しく解説していきます!

5. 行政書士としてできること・できないこと

「遺言書って、自分で書いてもいいけど…やっぱり専門家に頼んだ方が安心ですよね?」
「行政書士ってどこまでやってくれるんですか?」
実際の相談現場では、こういったご質問をよくいただきます。

このセクションでは、行政書士として遺言に関してできること・できないことを明確にしながら、「なぜ専門家に頼むと安心なのか」をお伝えしていきます。

行政書士ができること【できる ✅】

行政書士は「法律に基づく文書の作成」を業とする国家資格です。遺言書に関しても、以下のような支援が可能です。

✅ ① 遺言書作成に関する相談・ヒアリング

  • ご家族構成・財産状況・ご希望を丁寧にヒアリング
  • トラブルリスクを見越した分割案の提案
  • 「遺言は必要かどうか」の判断サポート

💡 実務家のポイント
どんな遺言が必要かは、ご家族の事情によって全く異なります。
「一人ひとりに最適な設計」を一緒に考えるのが、私たちの仕事です。

✅ ② 自筆証書遺言の文案作成サポート

  • 法的要件を満たした原案を作成
  • 財産・相続人の記載ミスを防ぐチェック体制
  • 付言事項のアドバイスも可能

✅ ③ 公正証書遺言の原案作成・公証人との連携

  • 公正証書遺言の文案を行政書士が作成し、公証人と調整
  • 必要書類の収集サポート(戸籍謄本・固定資産評価証明など)
  • ご本人に代わって公証役場とのやりとりを代行

💡 実務家のポイント
公正証書遺言は「公証人が作る」と思われがちですが、実務上は行政書士や弁護士が下書きを用意し、公証人が確認して完成させるケースが大半です。

✅ ④ 証人の手配

公正証書遺言には2名の証人が必要です。行政書士が中立的な立場の証人を手配することができます(守秘義務を遵守)。

✅ ⑤ 遺言執行者への就任

  • 相続発生後、遺言の内容を実行する役割として「遺言執行者」に就任可能
  • 財産の名義変更・金融機関手続きの代行も行える
  • 相続人同士が直接やり取りせずに済むため、トラブル回避に効果的

✅ ⑥ 相続発生後の手続き一式

  • 相続人の確定(戸籍の収集など)
  • 相続関係説明図の作成
  • 遺産分割協議書の作成
  • 各種名義変更の手続き(預金・不動産・自動車など)

💡 実務家のポイント
行政書士は、「生前の遺言作成」から「亡くなった後の相続手続き」まで一貫してサポート可能な専門家です。

行政書士ができないこと【できない ❌】

行政書士には明確な業務の範囲があります。以下の業務は、他士業との連携が必要になります。

❌ 税務相談・税額の試算 → 税理士の業務

  • 相続税がかかるケース(財産が基礎控除を超える場合)では、税理士による申告・試算が必要になります

❌ 紛争性のある案件 → 弁護士の業務

  • 相続人同士でもめている、調停・裁判になっている場合は弁護士の対応範囲です
  • 争いを防ぐ目的での事前相談は行政書士でも可能

❌ 不動産登記 → 司法書士の業務

  • 相続による不動産の名義変更(登記申請)は司法書士の独占業務です

💡 実務家のポイント
私たちは、信頼できる税理士・司法書士・弁護士と連携して対応しています。ワンストップ体制でご相談いただけるよう配慮していますので、ご安心ください。

行政書士に相談するメリット

メリット内容
✅ 話しやすい法律家の中でも「相談しやすい存在」として選ばれています。初めての方も安心。
✅ 費用が明確業務ごとに報酬体系が明確で、事前にお見積もり可能です。
✅ 書類に強い書類の正確性・形式チェックは行政書士の得意分野です。
✅ ワンストップ対応他士業との連携で、複雑なケースにも柔軟に対応可能です。
✅ プライバシー保護守秘義務があり、個人情報の管理も厳重に行っています。

相談から作成完了までの流れ

以下は、行政書士に遺言作成を依頼した場合の一般的な流れです。

初回相談(ヒアリング・現状確認)
ご提案(遺言の種類・財産配分案など)
原案作成・内容確認
必要書類の収集サポート
公証人との調整・証人手配(公正証書の場合)
遺言書完成・控えのお渡し
遺言書完成・控えのお渡し

💡 実務家のポイント

「書くだけ」で終わらせない支援体制が整っていることが、行政書士に依頼する大きな価値の一つです。

次のセクションでは、実際によくある「遺言と相続に関するQ&A」をご紹介します。

6. 【よくある質問Q&A】

ここでは、実際にご相談の現場でよく聞かれる「遺言と相続」に関する質問をまとめました。
専門家に聞くほどではないけど、気になる…。そんな悩みに丁寧にお答えします!

Q1. 遺言って何歳から書くべきですか?

A:法律上は15歳から可能ですが、「家族に財産を遺したい」と思ったらその時が書き時です。

実際には、60代〜70代で初めて書く方が多いですが、近年は40〜50代でも作成する方が増えています。
持病や家庭事情、親の介護など、タイミングは人それぞれ。「元気なうちに書いておいて良かった」という声が多いのが現実です。

💡 実務家のポイント
見直しも可能なので、「まずは一度作ってみる」ことをおすすめします!

Q2. どのくらいの財産があったら遺言を書くべき?

A:金額より「分けづらさ」がある場合にこそ必要です。

たとえば…

  • 預貯金が300万円
  • 不動産が1件(分けにくい)
  • 相続人が複数いる(兄弟など)

このようなケースでも、遺言がないと揉める可能性が十分にあります。「うちは財産少ないから大丈夫」と思っている人ほど、しっかり準備しておくと安心です。

Q3. 子どもがいない夫婦です。遺言は必要ですか?

A:必須レベルで必要です。

子どもがいない場合、相続人は「配偶者+亡くなった方の兄弟姉妹」になります。つまり、夫が亡くなったときに妻だけでは全財産を相続できないのです。

兄弟姉妹とは疎遠で連絡が取れない、連絡を取りたくない…そんな状況は非常に多く、遺言がないと遺された配偶者が大変な思いをします。

💡 実務家のポイント

公正証書遺言で「全財産を妻に相続させる」と書いておくのがベストです。

Q4. 親が認知症になったら、もう遺言は書けませんか?

A:判断能力が不十分になると、遺言の作成は難しくなります。

遺言は「意思能力」が必要なため、認知症が進行していると無効になる可能性があります。
そのため、元気なうちの作成が重要です。

まだ軽度であれば、医師の診断書を添えることで有効性を担保できるケースもありますが、判断は専門家に相談したほうが安心です。

Q5. 家族に内緒で遺言を書くことはできますか?

A:可能です。

自筆証書遺言であれば、完全に自分ひとりで作成できますし、公正証書遺言でも、証人を第三者(行政書士など)に依頼すれば、家族に知られずに作成可能です。

ただし、亡くなった後には内容が開示されるため、できる限り付言事項で思いを伝えておくことをおすすめします。

Q6. 一度書いた遺言は、あとで書き直せますか?

A:何度でも書き直せます。

遺言は、「いつ書いたか」が重要。最新の日付の遺言書が有効になります。人生の節目(退職・財産の増減・家族の変化)などに合わせて、3〜5年に一度の見直しが理想的です。

Q7. 相続税のことも考えたいけど、行政書士に相談してもいいの?

A:可能ですが、相続税の計算・申告は税理士の領域です。

行政書士は、相続税のかかるかどうかの判断や、税理士との連携サポートは可能です。「税金が心配…」という段階でも、まずは行政書士に相談いただければ、必要に応じて信頼できる税理士をご紹介します。

Q8. 遺言書はどこに保管しておけばいい?

A:信頼できる場所に、確実に見つかる形で保管することが大切です。

おすすめの保管方法

保管場所メリットデメリット
自宅の金庫取り出しやすい紛失・火災・改ざんのリスク
法務局の遺言書保管制度公的に安全に保管される手続きに出頭が必要
公証役場(公正証書遺言)原本が安全に保管される作成に費用がかかる

💡 実務家のポイント
専門家が控えを預かるケースもあります。心配な方は事前にご相談を。

7. まとめ:今、動き出すべき理由とメッセージ

ここまで、遺言と相続に関する基本的な情報、実際のトラブル事例、遺言の種類と書き方、そして専門家の役割についてお伝えしてきました。

情報が多くて少し疲れたかもしれません。でも、それだけ遺言は人生の最後にできる大切な準備であることが、ご理解いただけたのではないでしょうか。

遺言とは、「家族への最後の思いやり」

遺言は、財産の話をする冷たい書類ではありません。
むしろ、自分がいなくなった後も、家族が平穏に、できるだけ笑顔で過ごせるようにするための“ラストメッセージです。

書かれているのは、

  • 誰に、何を、どう残すか
  • なぜそう決めたのか
  • どんな思いで書いたのか
  • どんな未来を家族に託したいのか

という、あなたの想いそのものです。

トラブルは「仲が良い家族」にも起こります

「うちは大丈夫」と思っていた家族ほど、トラブルになったときの衝撃は大きくなります。

  • 相続人が複数いる
  • 親族間の関係が複雑
  • 財産が「分けにくい」内容(不動産・事業など)
  • 介護や金銭的な貢献に差がある

このような条件が揃うと、想定外のもめごとが起きる確率がぐっと高まります。遺言があるだけで、それらの火種を事前に断つことができるのです。

動き出すのに「早すぎる」はない

遺言は、「もしものため」の準備ではありません。
むしろ、「今の気持ちを形にしておく」という、ごく自然な行動です。

  • 年齢が若くてもOK
  • 財産が多くなくてもOK
  • 今は元気でもOK

遺言を書いたからといって、すぐに何かが変わるわけではありません。でも、「いつでも安心できる」状態にしておくことが、心の余裕に繋がります。

行政書士は、あなたの「伴走者」です

「一人で書くのは不安…」
「家族にどう伝えたらいいかわからない…」
そんなときこそ、私たち行政書士がいます。

  • 現状を丁寧にヒアリングし
  • あなたの想いを形にし
  • 法律的なミスを防ぎ
  • 家族への伝え方までアドバイスする

ただ書類を作るだけでなく、心のケアも含めてサポートする存在でありたいと、私たちは思っています。

今日が「最初の一歩」です

ここまで読んでくださったあなたは、もう十分に最初の一歩を踏み出しています。

あとは、小さな行動でOKです。

  • 気になる点をメモしてみる
  • 家族に「遺言って知ってる?」と話してみる
  • 無料相談を申し込んでみる

その一歩が、未来のあなた自身、そしてご家族の安心に直結します。

最後に:あなたの想いを、未来につなぐために

あなたの人生の中で築いた財産、人間関係、価値観、それらすべてを、「遺言」という形で未来に手渡していくこと。

それは決して重たいことではなく、あなた自身の人生をきちんと締めくくる、美しい儀式でもあります。

どうか、あなたの声を、未来へ届けてください。

私たち行政書士は、そのお手伝いを、心を込めてさせていただきます。