親が亡くなった後、遺品整理をしていたら、封筒に入った遺言書が見つかった。
中を開けて確認してみると、そこには、生前に親から聞いていた話とは大きく違う内容が書かれていた。
「どうして私への相続がこんなに少ないのか」
「親は、兄弟で分けてほしいと言っていたはずなのに」
「この遺言書に従わなければいけないのか」
そう感じるのは、決して不自然なことではありません。
特定の相続人だけが多く財産を受け取る内容だった場合や、自分の取り分がほとんどない内容だった場合、「こんな遺言書には納得できない」「できれば無視したい」「なかったことにしたい」と思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、遺言書の内容に納得できないからといって、遺言書が存在しなかったかのように振る舞うことは危険です。
遺言書を見つけたにもかかわらず他の相続人に知らせない、遺言書と違う内容を親の意思として説明する、その内容を通すために遺言書を隠す、書き換える、証拠を整えようとする、といった行動は避けなければなりません。
また、封印された遺言書を開けてしまった場合でも、慌てて隠したり、元に戻そうとしたりするのは逆効果です。
大切なのは、これ以上状況を悪化させず、遺言書の状態や発見時の状況をできるだけ正確に残すことです。
この記事では、遺言書に納得できないときに「遺言を無視する」とはどういう行動を指すのか、破棄・隠蔽・改ざん・放置がなぜ危険なのかを解説します。
あわせて、遺言書を見つけた後の正しい対応、遺言執行者が指定されている場合の注意点、遺留分や遺産分割協議による解決方法、相談先の整理についても紹介します。
親の死後、実家で見つかった遺言書を前に、40代〜50代の相続人が内容を確認している様子を描いたイラストです。人物は怒りや対立ではなく、突然の遺言書の発見に戸惑いや不安を感じている表情をしています。机の上には封筒に入った遺言書、家族写真、相続関係の書類が置かれており、遺言書が見つかった後の相続人の心境や、これから始まる相続手続きを象徴しています。

目次
①遺言書に納得できなくても無視してはいけない
遺言書の内容に納得できないと、「こんな遺言書は認めたくない」「なかったことにできないか」と感じることがあります。
しかし、遺言書に不満を持つことと、遺言書を無視することは別です。
不満や疑問を持つこと自体は自然ですが、その後の行動を誤ると、自分自身が不利な立場になる可能性があります。
ここでいう「遺言を無視する」とは
この記事では、「遺言を無視する」「遺言書をなかったことにする」という表現を、ほぼ同じ意味で使っています。
いずれも、遺言書の存在を知っているにもかかわらず、存在しなかったかのように扱う行動を指します。
たとえば、遺言書を見つけたのに他の相続人に知らせない、遺言書と違う内容を親の意思として説明する、遺言書がない前提で相続手続きを進めようとする、といった行動です。
特に、自分に都合のよい内容を通すために、遺言書を隠したり、書き換えたり、発見状況をごまかしたりする行為は非常に危険です。
遺言書に納得できないと思うこと自体は問題ではありません。
問題になるのは、遺言書の存在や内容をなかったことにして、相続を自分に都合よく進めようとする行動です。
破棄・隠蔽・改ざん・放置とは
遺言書を無視する行動には、次のようなものがあります。
| 行動 | 意味 | 具体例 |
|---|---|---|
| 破棄 | 遺言書そのものを失わせること | 破る、捨てる、燃やす、重要なページを抜き取る |
| 隠蔽 | 遺言書の存在や所在を隠すこと | 見つけたのに知らせない、原本を見せない、発見場所を説明しない |
| 改ざん | 遺言書の内容を勝手に変えること | 名前や金額を書き換える、日付を変える、文章を消す |
| 放置 | 必要な確認や共有をしないまま抱え込むこと | 誰にも知らせず保管する、封印のある遺言書について手続きを確認しない |
これらの行動は、「納得できないから」「無効だと思ったから」という理由があっても、自己判断で行ってよいものではありません。
遺言書が有効か無効かは、遺言書の状態や作成時の事情、法律上の要件をもとに確認すべき問題です。
相続人の一人が勝手に処分したり、隠したり、内容を変えたりすると、後から自分自身が疑われる立場になる可能性があります。
遺言書を見つけたときは、まず状態を変えずに保管し、発見した日時・場所・封筒や封印の状態を記録しておくことが大切です。
納得できないときほど、遺言書の状態を変えない
遺言書に納得できない場合でも、まず守るべきことは、遺言書の状態を変えないことです。
破棄しない。
隠さない。
書き換えない。
放置しない。
封印がある場合は、自己判断で開封しない。
そのうえで、遺言書が有効なのか、遺留分を請求できるのか、相続人全員で別の分け方を話し合えるのかを整理していきます。
遺言書に納得できないときこそ、感情で動かず、正しい手続きで対応することが重要です。対応することが重要です。
②遺言書を無視したくなる主なケース

遺言書を無視してはいけないと分かっていても、実際に不利な内容を目にすると、冷静ではいられないことがあります。
特に、これまでの家族関係や介護の負担、生前に聞いていた話と遺言書の内容が違う場合には、「この遺言書は受け入れられない」と感じやすくなります。
ここでは、遺言書を無視したくなりやすい主なケースを整理します。
特定の相続人だけが有利な内容だった
よくあるのが、特定の相続人だけが多く財産を受け取る内容になっているケースです。
たとえば、長男だけが自宅不動産を相続する内容だった。
同居していた子どもだけが預貯金を多く受け取る内容だった。
特定の兄弟姉妹にほとんどの財産が渡る内容だった。
このような遺言書を見ると、「なぜ自分だけ少ないのか」「親は本当にこの内容を望んでいたのか」と感じるのは自然です。
ただし、特定の相続人に有利な内容だからといって、それだけで遺言書を無視できるわけではありません。
亡くなった方が、同居や介護への感謝、生前贈与とのバランス、今後の生活への配慮などを考えて、そのような内容にした可能性もあります。
自分の取り分が少ない、またはゼロだった
遺言書に、自分への相続分がほとんど書かれていない場合や、まったく財産を受け取れない内容になっている場合もあります。
「子どもなのに何ももらえないのか」
「他の兄弟は受け取るのに、自分だけ少ないのはおかしい」
「こんな内容なら、遺言書をなかったことにしたい」
そう感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、自分の取り分が少ないからといって、遺言書を勝手に破棄したり、他の相続人に知らせなかったりしてはいけません。
この場合は、遺言書を無視するのではなく、遺留分侵害額請求を検討できるかを整理する必要があります。
遺言書自体は有効でも、一定の相続人には最低限の取り分として遺留分が認められる場合があります。
生前に聞いていた話と遺言書の内容が違う
親が生前に話していた内容と、実際に見つかった遺言書の内容が違うこともあります。
「兄弟で平等に分けてほしいと言っていた」
「自宅は自分に残すと言われていた」
「介護をしてくれた人に多く渡すと言っていた」
このような話を聞いていた場合、遺言書の内容が違っていると強い違和感を覚えるかもしれません。
ただし、生前の口頭での発言と遺言書の内容が違うだけで、直ちに遺言書が無効になるわけではありません。
人の考えは、家族関係や財産状況、介護の状況によって変わることがあります。
大切なのは、「話が違うから無視する」のではなく、なぜ内容が変わったのか、遺言書がどのような経緯で作成されたのかを冷静に確認することです。
介護や貢献が反映されていないと感じる
親の介護を長年してきた人ほど、遺言書の内容に納得できないと感じることがあります。
「介護をしてきたのは自分なのに、相続分が少ない」
「遠方に住んでいて何もしていない兄弟の方が多く受け取る」
「親の生活を支えてきたのに、そのことがまったく反映されていない」
このような気持ちは、とても現実的です。
ただし、介護や貢献があったからといって、遺言書を無視してよいわけではありません。
納得できない場合は、寄与分の問題として整理できるのか、相続人同士で話し合えるのか、遺言書と異なる遺産分割協議が可能なのかを確認する必要があります。
再婚など家族関係が複雑な場合
再婚家庭や前婚の子どもがいる家庭では、遺言書の内容に納得できないと感じることがあります。
たとえば、後妻に多くの財産を残す内容になっていた場合、前妻との間の子どもは「自分たちの取り分が不当に少ないのではないか」と感じることがあります。
また、同居期間、介護の有無、生活支援の状況などによって、相続人ごとの納得感に差が出ることもあります。
ただし、家族関係が複雑だからといって、遺言書を無視してよいわけではありません。
納得できない場合でも、遺言書の有効性、遺留分、相続人全員での話し合いによる調整など、正しい方法で対応を検討する必要があります。
遺言書の内容が信じられない
遺言書の内容があまりにも意外な場合、「本当に親がこのような内容を書いたのか」と疑いたくなることもあります。
たとえば、長年疎遠だった相続人に多く財産を残す内容だった。
親が嫌っていたはずの親族に財産を渡す内容だった。
急に特定の人だけが有利になる内容へ変わっていた。
このような場合、遺言書の有効性を確認したくなるのは自然です。
ただし、「信じられない」「納得できない」という気持ちだけで、遺言書を偽造だと決めつけたり、勝手に処分したりするのは危険です。
偽造や勝手な作成が疑われる場合でも、まずは原本の状態を保ち、発見状況や作成時期の事情を整理することが大切です。
遺言書を無視したくなる背景には、家族関係や感情の積み重ねがあります。
しかし、どのような事情があっても、遺言書をなかったことにする行動は避けるべきです。
納得できないときほど、感情と手続きを分けて考える必要があります。
次に、遺言書に納得できないときにやってはいけない行動を具体的に確認していきましょう。
遺言書の筆跡、署名、押印、作成時期、発見状況などに不自然な点があり、「誰かが勝手に作成したのではないか」と疑う場合は、別の観点から確認が必要です。
遺言書を勝手に作成されたかもしれない場合の確認ポイント
③遺言書に納得できないときにやってはいけないこと

遺言書の内容に納得できないときほど、最初の対応が重要です。
「この遺言書はおかしい」と感じたとしても、自己判断で遺言書を処分したり、隠したり、相続手続きを進めたりしてはいけません。
ここでは、遺言書を見つけた後に避けるべき行動を整理します。
遺言書を破棄しない
遺言書の内容に納得できなくても、遺言書を破ったり、捨てたり、燃やしたりしてはいけません。
「どうせ無効だと思った」
「こんな内容は認められない」
「他の相続人に見せたら不利になる」
このように感じたとしても、相続人の一人が勝手に遺言書を処分することは危険です。
遺言書が有効か無効かは、遺言書の形式、作成時の状況、本人の判断能力などをもとに確認する必要があります。
自分の判断で遺言書を破棄してしまうと、後から事実関係を確認できなくなり、他の相続人との争いが大きくなる可能性があります。
遺言書を隠さない
遺言書を見つけたにもかかわらず、他の相続人に知らせず、自分だけで保管し続けることも避けるべきです。
遺言書の内容が自分に不利だった場合、「しばらく黙っておこう」「今は見せない方がよい」と考えてしまうことがあるかもしれません。
しかし、遺言書の存在を隠していると、後から発覚したときに「都合の悪い遺言書を隠していたのではないか」と疑われます。
特に、遺言書の原本を自分だけが持っている状態が続くと、改ざんや差し替えを疑われる原因にもなります。
遺言書を見つけた場合は、発見した日時や場所、封筒の状態などを記録し、相続人間で確認できる状態にすることが大切です。
遺言書を改ざんしない
遺言書の内容を勝手に書き換えることは、絶対に避けるべきです。
たとえば、財産を受け取る人の名前を書き換える、金額を書き足す、日付を変更する、一部の文言を消す、訂正したように見せかける、といった行為です。
たとえ「親は本当はこう書きたかったはずだ」と思っても、相続人が遺言書の内容を修正してよいわけではありません。
遺言書に誤りがあるように見える場合や、内容に疑問がある場合は、原本の状態を保ったまま、どの点が問題なのかを整理する必要があります。
自分で書き換えてしまうと、遺言書の有効性を確認する以前に、自分の行為が問題になります。
遺言書を見つけたまま放置しない
遺言書を見つけたものの、何もせずそのままにしておくことも注意が必要です。
「まだ相続人同士で話し合う気になれない」
「内容を見るのがつらい」
「開けていないから大丈夫だろう」
そう思って放置してしまうこともあります。
もちろん、遺言書を見つけた直後にすぐ結論を出す必要はありません。
ただし、長期間誰にも知らせずに保管していると、後から「なぜすぐに共有しなかったのか」と疑われる可能性があります。
遺言書を見つけたら、まず状態を変えずに保管し、発見状況を記録しましょう。
そのうえで、必要な手続きや共有方法を確認することが大切です。
封印された遺言書を勝手に開封しない
封印された遺言書を見つけた場合は、自己判断で開封しないよう注意が必要です。
特に、自筆証書遺言で封印がある場合、家庭裁判所で相続人または代理人の立会いのもと開封する必要があるケースがあります。
「中身を早く確認したい」
「自分に不利な内容か知りたい」
「開けても元に戻せば分からない」
このように考えて開封してしまうと、後から開封時期や保管状況をめぐって争いになることがあります。
もし、すでに開封してしまった場合でも、慌てて隠したり、封筒を元に戻そうとしたりするのは避けましょう。
まずは現状を変えず、いつ、どのような状況で開封したのかを整理することが重要です。
遺言書がない前提で相続手続きを進めない
遺言書の存在を知っているにもかかわらず、遺言書がないものとして相続手続きを進めることも避けるべきです。
たとえば、遺言書の内容と違う説明をして遺産分割協議を進める、預貯金の解約や不動産の手続きを進めようとする、といった行動です。
遺言書がある場合、その内容や遺言執行者の指定の有無によって、手続きの進め方が変わることがあります。
そのため、遺言書の内容に納得できないとしても、まずは遺言書が存在することを前提に整理する必要があります。
遺言書に従うべきかどうか、別の分け方ができるかどうかは、その後に検討する問題です。
最初から遺言書をなかったことにして進めるのは、相続人同士の不信感を強める原因になります。
④遺言書を破棄・隠蔽・改ざん・放置するとどうなる?
遺言書に納得できないからといって、破棄・隠蔽・改ざんなどをしてしまうと、相続手続きに大きな影響が出ます。
特に注意したいのは、遺言書の内容が不満だった側が、遺言書の扱いを誤ったことで、かえって自分自身が不利な立場になる可能性があることです。
ここでは、遺言書を勝手に処分したり、隠したり、書き換えたり、必要な確認をしないまま抱え込んだ場合のリスクを整理します。
民事上のリスク|相続欠格になる可能性がある
相続人が遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合、相続欠格として相続人の資格を失う可能性があります。
相続欠格とは、一定の重大な行為をした相続人が、法律上当然に相続人としての資格を失う制度です。
たとえば、自分に不利な遺言書を見つけたために破棄した場合や、特定の財産の取得者を書き換えた場合、他の相続人に遺言書の存在を知らせず隠していた場合などは、重大な問題になります。
相続欠格に該当すると、遺言書の内容がどうなるか以前に、自分自身が相続から外れる可能性があります。
つまり、遺言書をなかったことにしようとする行動は、相続を有利に進める手段ではありません。
むしろ、自分の相続権そのものを失う危険のある行為です。
刑事上のリスク|犯罪として問題になる可能性がある
遺言書を破棄したり、改ざんしたりする行為は、刑事上の責任を問われる可能性もあります。
遺言書は、相続人の権利関係に大きな影響を与える重要な書類です。
そのため、内容に納得できないからといって、勝手に破ったり、捨てたり、書き換えたりすることは、単なる家族内の問題では済まないことがあります。
また、封印された遺言書を自己判断で開封した場合にも、後から開封時期や保管状況をめぐって問題になることがあります。
実際に刑事事件として扱われるかどうかは、行為の内容、故意の有無、証拠の状況などによって異なります。
ただし、「家族のことだから大丈夫」「自分にも相続権があるから問題ない」と軽く考えるのは危険です。
相続手続きが混乱し、やり直しになる可能性がある
遺言書を隠したり、放置したりすると、相続手続きがスムーズに進まなくなることがあります。
遺言書がある場合は、その内容を確認したうえで、預貯金、不動産、株式などの相続手続きを進める必要があります。
また、遺言執行者が指定されている場合には、誰がどの手続きを行うのかも重要になります。
それにもかかわらず、遺言書の存在を共有しなかったり、遺言書がない前提で遺産分割協議を進めたりすると、後から手続きのやり直しが必要になることがあります。
たとえば、遺言書がないものとして遺産分割協議書を作成した後に、遺言書の存在が明らかになると、「その協議は有効なのか」「なぜ遺言書を出さなかったのか」が問題になる可能性があります。
遺産分割協議書を作成する場合でも、遺言書の有無、遺言執行者の指定、受遺者の有無を確認したうえで進めることが大切です。
不動産の名義変更や預貯金の解約などを進めた後で遺言書が出てきた場合も、相続人間の不信感が一気に強まり、手続き全体が止まってしまうことがあります。
そのため、遺言書を見つけた場合は、内容に納得できるかどうかにかかわらず、まず存在を共有し、遺言書を前提に対応方法を整理することが大切です。
親族関係が悪化する可能性がある
遺言書をめぐる問題は、法律上のリスクだけではありません。
遺言書を隠した、見せなかった、内容を変えたのではないかという疑いが生じると、親族関係に大きな影響を与えます。
相続では、もともと家族関係に不満や不公平感があることも少なくありません。
そこに遺言書の破棄・隠蔽・改ざんの疑いが加わると、話し合いで解決できたはずの問題が、深刻な対立に発展することがあります。
一度「遺言書を隠した人」という印象を持たれてしまうと、後から冷静に説明しても、信頼を回復するのは簡単ではありません。
自分が疑われる側になることもある
遺言書の内容に納得できない場合、本来は「確認したい側」「説明を求めたい側」だったはずです。
しかし、遺言書を自分だけで保管したり、他の相続人に知らせなかったり、封筒や原本の状態を変えてしまったりすると、今度は自分が疑われる側になります。
「なぜすぐに知らせなかったのか」
「その間に書き換えたのではないか」
「都合の悪い部分を隠したのではないか」
このような疑いを持たれると、遺言書の内容について冷静に話し合う前に、自分の行動を説明しなければならなくなります。
遺言書に納得できないときほど、まずは状態を変えず、発見状況を記録し、透明性のある形で共有することが大切です。
⑤遺言書を見つけた後の正しい対応の流れ

遺言書を見つけたときは、内容に納得できるかどうかよりも、まず初動が大切です。
特に、自分に不利な内容だった場合や、生前に聞いていた話と違う内容だった場合は、感情的に動きたくなるかもしれません。
しかし、遺言書の扱いを誤ると、後から「隠した」「改ざんした」「都合よく進めようとした」と疑われる原因になります。
まずは、次の流れで対応しましょう。
見つけた日時、場所、封筒や封印の状態を記録します。
原本を保全する
破棄・書き込み・持ち去りをせず、発見時の状態をできるだけ保ちます。
封印がある場合は開封せず手続きを確認する
確認する
家庭裁判所での検認が必要になる場合があるため、自己判断で開封しないようにします。
遺言書に遺言執行者の記載がある場合は、相続人だけで勝手に進めないよう注意します。
相続人・関係者と情報共有する
遺言書の存在を一人で抱え込まず、相続人や必要な関係者と確認できる状態にします。
内容を確認し、対応方法を整理する
無効、遺留分、遺産分割協議など、どの対応が現実的かを検討します。
紛争性が高い場合は弁護士、合意済みの書類作成は行政書士などに相談します。
STEP1 遺言書の状態を記録する
まずは、遺言書がどのような状態で見つかったのかを記録します。
いつ、どこで、誰が見つけたのか。
封筒に入っていたのか。
封印はされていたのか。
開封済みだったのか。
保管場所はどこだったのか。
こうした情報は、後から遺言書の発見状況や保管経緯を確認するうえで重要になります。
ここで大切なのは、評価ではなく事実を残すことです。
「怪しい」「おかしい」といった感想ではなく、発見時の状況をそのまま記録しておきましょう。
STEP2 原本を保全する
次に、遺言書の原本を保全します。
遺言書に書き込みをしたり、折り目を直したり、封筒を捨てたりしてはいけません。
封筒、押印、封印、紙の状態、訂正箇所なども、後から確認が必要になることがあります。
遺言書の内容に納得できない場合でも、原本の状態を変えないことが大切です。
また、スマートフォンなどで写真を撮る場合でも、原本そのものは勝手に持ち去らず、相続人間で確認できる形を意識しましょう。
STEP3 封印がある場合は開封せず手続きを確認する
封印された遺言書を見つけた場合は、自己判断で開封しないよう注意が必要です。
自筆証書遺言などで封印がある場合、家庭裁判所で相続人または代理人の立会いのもと開封する必要があるケースがあります。
「中身を見ないと判断できない」と思うかもしれませんが、勝手に開けてしまうと、後から開封時期や保管状況をめぐって争いになる可能性があります。
すでに開封してしまった場合でも、慌てて隠したり、封筒を元に戻そうとしたりするのは避けましょう。
現状を変えず、いつ、どのような状況で開封したのかを整理することが重要です。
STEP4 遺言執行者の指定があるか確認する
遺言書の内容を確認できる状態になったら、遺言執行者が指定されているかを確認します。
遺言書の中に、「遺言執行者として〇〇を指定する」といった記載がある場合、その人が遺言の内容を実現するための手続きを進める立場になります。
遺言執行者が指定されている場合、相続人だけで勝手に遺言と異なる手続きを進めるのは避けるべきです。
遺言書の内容に納得できないとしても、まずは遺言執行者の有無、遺言執行者が誰なのか、どの財産について手続きが必要なのかを確認しましょう。
STEP5 相続人・関係者と情報共有する
遺言書を見つけた場合は、自分だけで抱え込まず、相続人や必要な関係者と情報共有することが大切です。
特に、遺言執行者が指定されている場合や、相続人以外の受遺者がいる場合は、相続人だけで話を進めると問題になることがあります。
共有するときは、いきなり「この遺言書はおかしい」「納得できない」と主張するよりも、まずは遺言書が見つかった事実、発見状況、保管状態を冷静に伝える方がよいです。
感情的な言い方をすると、相続人同士の対立が深まり、話し合いが難しくなることがあります。
STEP6 内容を確認し、対応方法を整理する
遺言書の状態や関係者を確認したら、次に対応方法を整理します。
遺言書に形式上の問題があるのか。
作成時の判断能力に疑問があるのか。
遺留分を請求できる可能性があるのか。
相続人全員で、遺言と異なる遺産分割協議ができるのか。
合意内容を遺産分割協議書にまとめる必要があるのか。
ここで大切なのは、「納得できない」という感情と、「どの対応が取れるのか」という手続きを分けて考えることです。
STEP7 争いがある場合は専門家に相談する
相続人同士で意見が対立している場合や、遺言書の有効性を争いたい場合は、早めに専門家へ相談しましょう。
遺言書の無効を主張したい場合、相手方との交渉が必要な場合、遺留分侵害額請求を行いたい場合など、紛争性が高い場面では弁護士への相談が基本です。
一方で、相続人全員の合意がまとまっていて、遺産分割協議書を作成したい場合には、行政書士に相談できるケースがあります。
また、これから家族が揉めない遺言書を作成する場合には、行政書士に相談することで、遺言書の内容だけでなく、遺言執行者を誰にするかまで見据えて準備しやすくなります。
遺言書を見つけた直後は、気持ちが大きく揺れるものです。
しかし、最初の対応を誤らなければ、無効、遺留分、遺産分割協議など、正しいルートで解決を検討できます。
遺言書に納得できないときほど、まずは記録し、保全し、共有し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。
⑥遺言書に納得できないときの正しい対応方法
遺言書の内容に納得できない場合でも、取るべき対応は「無視すること」ではありません。
大切なのは、遺言書をなかったことにするのではなく、法律上どのような対応ができるのかを整理することです。
主な対応方法は、次の4つです。
| 対応方法 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 遺言書の無効を確認する | 形式不備、判断能力、本人の意思に疑問がある場合 | 不公平という理由だけでは無効にならない |
| 遺留分侵害額請求を検討する | 自分の取り分が少ない、またはゼロの場合 | 遺言書を無効にする手続きではない |
| 遺産分割協議で別の分け方を話し合う | 相続人全員が遺言と異なる分け方に合意できる場合 | 遺言執行者や受遺者がいる場合は慎重な確認が必要 |
| 家庭裁判所での手続きを検討する | 話し合いで解決できない場合 | 紛争性が高い場合は弁護士への相談が基本 |
相続人同士の話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所での手続きが問題になることもあります。
ただし、遺言書の有効性を争うのか、遺産分割の話し合いを進めるのかによって、検討すべき手続きは異なります。
争いがある場合は、自己判断で進めず、弁護士に相談して方針を確認しましょう。
遺言書が無効になる可能性を確認する
遺言書に納得できない場合、まず確認したいのが、遺言書に無効理由があるかどうかです。
たとえば、自筆証書遺言の形式に不備がある場合、作成当時に本人の判断能力に問題があった場合、本人の自由な意思で作成されたとはいえない事情がある場合などには、遺言書の有効性が問題になることがあります。
ただし、内容が不公平に見えるだけでは、直ちに無効になるわけではありません。
「自分の取り分が少ない」
「生前に聞いていた話と違う」
「特定の相続人だけが有利になっている」
このような事情があっても、それだけで遺言書を無効にできるとは限らない点に注意が必要です。
遺言書の無効を主張したい場合は、感情ではなく、形式面の不備、作成当時の判断能力、作成経緯などを資料に基づいて整理する必要があります。
遺言書が無効になる可能性があるかどうかは、形式不備、遺言能力、本人の自由な意思、偽造・変造の疑いなどを分けて確認する必要があります。遺言書が無効になる可能性を確認する
無効になるケースを詳しく知りたい場合は、以下の記事で整理しています。
遺言書が無効になるケースと確認ポイント
遺留分侵害額請求を検討する
自分の取り分が少ない場合でも、遺言書を無視するのではなく、遺留分侵害額請求を検討できることがあります。
遺留分とは、一定の相続人に認められる最低限の取り分のことです。
たとえば、「全財産を長男に相続させる」という遺言書があった場合でも、他の相続人に遺留分が認められるケースがあります。
ここで重要なのは、遺留分侵害額請求は、遺言書そのものを無効にする手続きではないという点です。
遺言書は有効であっても、その内容によって遺留分を侵害された相続人が、金銭的な請求を検討するという整理になります。
つまり、遺言書に納得できないときは、
「遺言書そのものに無効理由があるのか」
「遺言書は有効だが、遺留分の問題として対応すべきなのか」
を分けて考えることが大切です。
相続人全員の合意があれば遺言と異なる遺産分割協議ができる場合がある
遺言書がある場合でも、相続人全員が合意できるなら、遺言書と異なる内容で遺産分割協議を行える場合があります。
たとえば、遺言書では長男が不動産を取得する内容になっていたものの、相続人全員の話し合いにより、別の相続人が不動産を取得し、長男は預貯金を多めに取得する、といった調整です。
この方法は、相続人全員が納得している場合には、現実的な解決策になることがあります。
ただし、一部の相続人だけで勝手に決めることはできません。
相続人全員の合意が必要です。
また、遺言執行者が指定されている場合や、相続人以外の受遺者がいる場合には、相続人だけで自由に変更できないことがあります。
そのため、遺言と異なる分け方をしたい場合は、遺言書の内容、遺言執行者の有無、受遺者の有無を確認したうえで進める必要があります。
合意した内容は遺産分割協議書にまとめる
相続人全員で遺言書と異なる分け方に合意した場合は、その内容を遺産分割協議書にまとめます。
口頭で「この分け方でよい」と話し合っただけでは、後から認識の違いが生じる可能性があります。
遺産分割協議書には、誰が、どの財産を、どのように取得するのかを明確に記載します。
また、遺産分割協議書は、預貯金の解約、不動産の相続登記、相続税申告などの手続きで必要になることがあります。
相続人全員の合意がまとまっている場合は、行政書士に遺産分割協議書の作成を相談できるケースがあります。
一方で、相続人同士で意見が対立している場合や、交渉が必要な場合は、弁護士に相談するのが基本です。
遺言書に納得できないときは、無視するのではなく、無効、遺留分、遺産分割協議のどれで対応するべきかを整理しましょう。
⑦遺言と異なる遺産分割協議をする場合の注意点

遺言書がある場合でも、相続人全員が納得しているのであれば、遺言書とは異なる内容で遺産分割協議を行える場合があります。
ただし、「相続人同士で話がまとまったから大丈夫」と単純に考えるのは危険です。
遺言執行者が指定されている場合や、相続人以外の受遺者がいる場合など、遺言書の内容によっては慎重な確認が必要になります。
相続人全員の合意があることが前提
遺言書と異なる内容で遺産分割協議をする場合、まず前提になるのは、相続人全員の合意です。
一部の相続人だけで話し合って、遺言書と違う分け方を決めることはできません。
たとえば、遺言書では長男が不動産を取得する内容だったものの、相続人全員が話し合い、長女が不動産を取得し、長男は預貯金を多めに取得する形で合意するようなケースです。
このように、全員が内容を理解し、納得している場合には、遺産分割協議による調整が現実的な解決策になることがあります。
一方で、相続人の一人でも反対している場合は、無理に遺言と異なる分け方を進めることはできません。
その場合は、遺言書の内容に従うのか、遺言書の無効や遺留分の問題として対応するのかを整理する必要があります。
遺言執行者がいる場合は慎重に確認する
遺言書に遺言執行者が指定されている場合は、特に注意が必要です。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために指定される人です。
そのため、相続人だけで遺言と異なる分け方を決めたとしても、遺言執行者の立場や遺言の内容を無視して手続きを進めると、後から問題になる可能性があります。
たとえば、遺言執行者が預貯金の解約や不動産の名義変更などを進める予定だった場合、相続人だけで別の内容の遺産分割協議書を作成しても、金融機関や関係機関でスムーズに手続きできないことがあります。
遺言執行者がいる場合は、遺言書の内容、遺言執行者の権限、相続人全員の合意内容を整理したうえで、どのように手続きを進めるか確認することが大切です。
受遺者がいる場合は相続人だけで決められないことがある
遺言書の中で、相続人以外の人に財産を渡す内容になっていることもあります。
たとえば、内縁の配偶者、孫、親族以外の第三者、団体などに財産を遺贈する内容です。
このような人を受遺者といいます。
受遺者がいる場合、相続人全員が合意したとしても、相続人だけでその受遺者の権利を無視するような分け方を決めることはできない場合があります。
「相続人全員で合意したから、遺言書と違う内容でよい」と考える前に、相続人以外に財産を受け取る人がいるかどうかを確認しましょう。
受遺者が関係する場合は、手続きが複雑になりやすいため、専門家に確認しながら進める方が安心です。
合意内容は遺産分割協議書に明確に記載する
相続人全員で遺言書と異なる分け方に合意した場合は、その内容を遺産分割協議書にまとめます。
口頭で「この内容でよい」と話し合っただけでは、後から認識の違いが生じる可能性があります。
遺産分割協議書には、誰が、どの財産を、どのように取得するのかを明確に記載する必要があります。
特に、不動産、預貯金、株式、自動車などがある場合は、財産を特定できるように書くことが大切です。
曖昧な記載のままだと、金融機関や法務局での手続きに使えなかったり、後から相続人間で争いになったりする可能性があります。
相続人全員の合意がまとまっている場合は、行政書士に遺産分割協議書の作成を相談できるケースがあります。
ただし、相続人同士で意見が対立している場合や、交渉が必要な場合は、弁護士に相談するのが基本です。
預貯金・不動産・相続税の手続きに使える形で作成する
遺産分割協議書は、相続人同士の確認書にとどまりません。
実際の相続手続きで使う重要な書類です。
たとえば、預貯金の解約、不動産の相続登記、株式の名義変更、相続税申告などで必要になることがあります。
そのため、遺産分割協議書を作成するときは、実際の手続きに使える形になっているかを確認することが重要です。
不動産がある場合は、登記事項証明書の記載に合わせて不動産を特定する必要があります。
相続税申告が必要な場合は、税務上の影響も考慮する必要があります。
遺言書と異なる内容で遺産分割協議をする場合は、単に「家族で合意したから終わり」ではありません。
その合意を、預貯金、不動産、税務などの手続きに使える形で書面化することが大切です。
遺言書に納得できない場合でも、相続人全員が冷静に話し合えるのであれば、遺産分割協議によって現実的な解決ができることがあります。
ただし、遺言執行者や受遺者が関係する場合は、自己判断で進めず、専門家に確認しながら対応しましょう。
⑧すでに遺言書を開封・放置・隠してしまった場合

遺言書を見つけた後、正しい対応が分からず、すでに開封してしまったり、誰にも言わずに保管していたりすることもあります。
その場合でも、慌てて元に戻そうとしたり、なかったことにしようとしたりするのは避けましょう。
大切なのは、これ以上状況を悪化させず、現在の状態をそのまま残すことです。
まず現状を変えない
すでに遺言書を開封してしまった場合や、しばらく手元に置いていた場合でも、焦って状態を変えないことが大切です。
たとえば、開封した封筒をのりで貼り直す、折れ目を直す、封筒を入れ替える、書き込みを消す、といった行為は避けましょう。
良かれと思って元に戻したつもりでも、後から見ると「何かを隠そうとしたのではないか」と疑われる原因になります。
遺言書や封筒の状態は、発見時や開封後の経緯を確認するうえで重要な情報になります。
まずは現在の状態を保ち、それ以上手を加えないことが重要です。
いつ・どこで・どのように見つけたかを記録する
次に、遺言書を見つけた状況をできるだけ具体的に記録します。
いつ見つけたのか。
どこで見つけたのか。
封筒に入っていたのか。
封印はあったのか。
誰が最初に見つけたのか。
いつ、どのような理由で開封したのか。
その後、誰が保管していたのか。
このような情報を整理しておくことで、後から他の相続人に説明しやすくなります。
ここで大切なのは、自分に都合よく話を整えることではありません。
記憶が曖昧になる前に、事実をそのまま残すことです。
他の相続人に伝える前に整理しておく
遺言書を開封してしまった、またはしばらく保管していた場合、他の相続人にどう伝えるかは慎重に考える必要があります。
ただし、慎重に考えることと、さらに隠し続けることは違います。
何も整理しないまま感情的に伝えると、相手から強く責められたり、説明がうまくできずに不信感を持たれたりする可能性があります。
まずは、遺言書の現在の状態、発見状況、開封した経緯、保管していた理由を整理しましょう。
そのうえで、必要に応じて専門家に相談し、どのように共有するかを確認することが大切です。
見つけたまま放置していた場合も早めに対応する
遺言書を見つけたものの、内容を見るのがつらい、相続人同士で揉めたくない、どうすればよいか分からないという理由で、放置してしまうこともあります。
放置していたからといって、直ちにすべてが違法になるわけではありません。
しかし、長期間誰にも知らせずにいると、後から「なぜ黙っていたのか」「その間に何かしたのではないか」と疑われる可能性があります。
特に、相続手続きが進み始めている場合や、他の相続人が遺言書の存在を知らないまま遺産分割協議をしている場合は、早めに対応する必要があります。
遺言書を見つけたままにしている場合は、まず状態を確認し、発見状況を記録したうえで、共有や手続きの進め方を検討しましょう。
すでに争いになりそうな場合は弁護士に相談する
すでに他の相続人から責められている場合や、遺言書を隠していたと疑われている場合は、自分だけで対応しようとしない方がよいです。
特に、次のような場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
遺言書を開封したことを強く責められている。
遺言書を隠していたと言われている。
遺言書の内容をめぐって相続人同士で対立している。
遺言書の有効性を争う可能性がある。
相手方が弁護士に相談している。
このような場面では、伝え方や資料の出し方を誤ると、さらに不利な状況になることがあります。
すでに開封・放置・保管してしまった場合でも、重要なのは、これ以上状態を変えないこと、事実を整理すること、必要に応じて早めに専門家へ相談することです。
⑨相談先の整理

遺言書に納得できない場合、相談先を間違えないことも大切です。
相続では、弁護士、行政書士、司法書士、税理士など、複数の専門家が関わることがあります。
ただし、それぞれ対応できる範囲が違います。
特に、すでに相続人同士で争いになっている場合と、相続人全員の合意がまとまっている場合では、相談先が変わります。
争いがある場合は弁護士に相談する
遺言書の有効性を争いたい場合や、相続人同士で対立している場合は、弁護士に相談するのが基本です。
たとえば、次のようなケースです。
遺言書を無効にしたい。
他の相続人が遺言書を隠していた疑いがある。
遺留分侵害額請求をしたい。
相手方と交渉が必要になっている。
すでに相続人同士で強く対立している。
このような場合は、法的な主張や交渉が必要になるため、行政書士が代理人として対応することはできません。
「この遺言書はおかしい」「納得できない」と感じているだけでなく、相手方と争いになる可能性が高い場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。
相続人同士で遺言書の有効性について意見が分かれ、話し合いで解決できない場合は、遺言無効確認訴訟を検討することがあります。
訴訟の流れや費用、注意点は以下の記事で解説しています。
遺言無効確認訴訟の費用・流れ・注意点
合意済みの遺産分割協議書作成は行政書士に相談できる
一方で、相続人全員の合意がまとまっている場合は、行政書士に遺産分割協議書の作成を相談できるケースがあります。
たとえば、遺言書はあるものの、相続人全員で別の分け方に合意している場合です。
この場合、口約束のままにせず、誰がどの財産を取得するのかを遺産分割協議書にまとめる必要があります。
遺産分割協議書は、預貯金の解約、不動産の相続登記、相続税申告などで使われる重要な書類です。
ただし、行政書士に相談できるのは、相続人同士で争いがなく、合意内容が決まっている場合です。
相続人の一人が納得していない場合や、交渉が必要な場合は、弁護士に相談する必要があります。
不動産登記は司法書士、相続税は税理士に相談する
相続財産に不動産がある場合は、不動産の名義変更が必要になることがあります。
この相続登記は、司法書士に相談するのが一般的です。
また、相続税の申告が必要な場合や、遺言書と異なる分け方をすることで税務上の影響がある場合は、税理士に相談する必要があります。
相続では、一つの専門家だけですべてが完結するとは限りません。
遺産分割協議書の作成は行政書士。
不動産の相続登記は司法書士。
相続税の申告は税理士。
争いがある場合は弁護士。
このように、自分の状況に応じて相談先を整理することが大切です。
これから揉めない遺言書を作るなら行政書士に相談する
今回のように、遺言書の内容に納得できない相続人が出てしまうと、相続手続きは一気に難しくなります。
だからこそ、これから遺言書を作成する場合は、作成段階から将来のトラブルを防ぐ視点が重要です。
行政書士に相談すれば、相続人や財産の整理、遺言書の文案作成、公正証書遺言を作成する際の準備などをサポートできます。
また、遺言書の内容だけでなく、遺言執行者を誰にするかまで見据えて検討できる点も大きなメリットです。
遺言執行者を指定しておけば、相続開始後に、遺言内容を実現するための手続きを進めやすくなります。
預貯金の解約、財産の引き渡し、関係者への連絡など、誰が手続きを進めるのかが明確になるため、相続人同士の混乱を防ぎやすくなります。
特に、相続人同士の関係に不安がある場合や、特定の相続人に多く財産を残したい場合には、遺言執行者の指定まで考えておくことが大切です。
ただし、遺言執行者を誰にするかは慎重に検討する必要があります。
特定の相続人を遺言執行者にすると、他の相続人から不信感を持たれることもあります。
そのため、遺言書を作成するときは、財産の分け方だけでなく、相続開始後に誰が手続きを進めるのかまで含めて、行政書士などの専門家に相談しておくと安心です。
遺言書に納得できない相続が起きてから対応するよりも、最初から揉めにくい遺言書を準備しておく方が、家族の負担を減らしやすくなります。
⑩遺言書に納得できないときのよくある質問
Q:遺言書に納得できない場合、無視してもよいですか?
いいえ。遺言書の存在を知りながら、なかったものとして扱うことは避けるべきです。
納得できない場合は、無効、遺留分、遺産分割協議など、正しい手続きで対応を検討しましょう。
Q:遺言書をなかったことにできますか?
遺言書の内容に納得できないからといって、勝手になかったことにすることはできません。
遺言書を破棄・隠蔽・改ざんしたり、存在しないものとして相続手続きを進めたりするのは危険です。
納得できない場合は、無効、遺留分、遺産分割協議など、法律上認められた方法で対応を検討しましょう。
Q:遺言書を破棄したり隠したりするとどうなりますか?
遺言書を破棄・隠蔽・改ざんすると、相続欠格として相続人の資格を失う可能性があります。
行為の内容によっては、刑事上の責任を問われる可能性もあるため、自己判断で処分してはいけません。
Q:封印された遺言書を開けてしまったら無効になりますか?
開封しただけで直ちに遺言書が無効になるわけではありません。
ただし、後から保管状況や開封の経緯を疑われる可能性があるため、現状を変えず、早めに対応を確認しましょう。
Q:遺言書の内容が不公平なら無効になりますか?
不公平に見えるだけでは、直ちに無効にはなりません。
無効が問題になるのは、形式不備、判断能力の問題、本人の自由な意思がなかった場合など、法律上の理由がある場合です。
Q:遺留分を請求すれば、遺言書を無視できますか?
遺留分侵害額請求は、遺言書を無視する制度ではありません。
遺言書が有効であっても、遺留分を侵害された相続人が金銭的な請求を検討できる制度です。
Q:家族で決めれば遺言書を無視できますか?
相続人全員が合意している場合には、遺言書と異なる内容で遺産分割協議を行える場合があります。
ただし、これは「遺言書を勝手に無視してよい」という意味ではありません。
遺言執行者や受遺者がいる場合には、相続人だけで自由に変更できないこともあります。
遺言と異なる分け方をする場合は、合意内容を遺産分割協議書にまとめ、必要に応じて専門家に確認しましょう。
Q:相続人全員が合意すれば、遺言と違う分け方ができますか?
相続人全員が合意している場合は、遺言と異なる内容で遺産分割協議を行える場合があります。
ただし、遺言執行者や受遺者がいる場合は、相続人だけで自由に決められないこともあります。
Q:遺言と違う分け方をした場合、遺産分割協議書は必要ですか?
必要です。
口頭の合意だけでは後から争いになる可能性があるため、誰がどの財産を取得するのかを遺産分割協議書に明確に残しておきましょう。
Q:遺言執行者が指定されている場合はどうすればよいですか?
まず、遺言執行者が誰なのか、どの財産について手続きが必要なのかを確認します。
遺言執行者を無視して、相続人だけで遺言と違う手続きを進めることは避けましょう。
Q:遺言書に納得できない場合、誰に相談すべきですか?
争いがある場合や、無効・遺留分を主張したい場合は弁護士に相談するのが基本です。
相続人全員の合意がまとまっており、遺産分割協議書を作成したい場合は、行政書士に相談できるケースがあります。

まとめ|遺言書に納得できないときこそ、無視せず正しい手続きを選ぶ
遺言書の内容に納得できないと、「こんな遺言書は認めたくない」「なかったことにできないか」と感じてしまうことがあります。
特に、生前に聞いていた話と違う内容だった場合や、自分の取り分が少ない場合、特定の相続人だけが有利な内容だった場合には、不満や疑問を抱くのも自然です。
しかし、遺言書に納得できないからといって、遺言書を無視してよいわけではありません。
遺言書を見つけたにもかかわらず他の相続人に知らせない、遺言書がない前提で相続手続きを進める、遺言書を破棄・隠蔽・改ざんする、といった行動は避けるべきです。
このような行動は、相続手続きを混乱させるだけでなく、相続欠格や刑事責任の問題につながる可能性があります。
また、封印された遺言書を見つけた場合は、自己判断で開封しないよう注意が必要です。
すでに開封してしまった場合でも、慌てて隠したり、元に戻そうとしたりせず、現在の状態を保ったうえで、発見状況や開封の経緯を整理しましょう。
遺言書に納得できない場合は、次のような対応を冷静に検討することが大切です。
遺言書に無効理由があるのか。
遺留分侵害額請求を検討できるのか。
相続人全員の合意によって、遺言と異なる遺産分割協議ができるのか。
合意内容を遺産分割協議書として作成する必要があるのか。
遺言執行者や受遺者が関係していないか。
遺言書がある場合でも、必ずしも何もできないわけではありません。
ただし、対応方法を間違えると、本来主張できたはずの権利を守れなくなったり、自分自身が疑われる立場になったりすることがあります。
争いがある場合や、遺言書の無効・遺留分を主張したい場合は、弁護士に相談するのが基本です。
一方で、相続人全員の合意がまとまっており、遺産分割協議書を作成したい場合は、行政書士に相談できるケースがあります。
また、これから遺言書を作成する場合は、将来のトラブルを防ぐために、遺言書の内容だけでなく、遺言執行者を誰にするかまで考えておくことが大切です。
行政書士に相談すれば、相続人や財産の整理、遺言書の文案作成、公正証書遺言の準備、遺言執行者の指定まで見据えて準備しやすくなります。
遺言書に納得できないときこそ、感情で動かないことが重要です。
遺言書を無視するのではなく、状態を保ち、事実を整理し、正しい手続きで対応しましょう。
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- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
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「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」
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