父の遺言書には、“理由”が書かれていませんでした。
なぜこの分け方なのか。どんな想いで決めたのか。
それが分からないまま、残された家族はそれぞれに解釈し、やがて小さな違和感がすれ違いへと変わっていきます。
遺言書は、財産の分け方を示す大切なものです。
しかし一方で、「想い」や「背景」までは十分に伝えきれないこともあります。
こうした課題を補う手段として、近年注目されているのが「遺言動画(ビデオレター)」です。声や表情を通じて、自分の気持ちをそのまま残せる、新しい終活の形として広がりつつあります。
ただし、ここで知っておくべき重要なポイントがあります。
遺言動画には法的効力がありません。
動画だけを残してしまうと、かえって相続トラブルの原因になる可能性もあるのです。
この記事では、「遺言動画(ビデオレター)」のメリットだけでなく、よくある誤解や失敗例、そして正しい活用方法までをわかりやすく解説します。
想いをきちんと伝えながら、トラブルも防ぐために。
後悔しない遺言の残し方を、一緒に整理していきましょう。

目次
①遺言動画(ビデオレター)とは?
遺言動画(ビデオレター)とは、自分の遺志や家族へのメッセージを「映像」として残す方法です。文章で作成する遺言書とは異なり、声や表情、話し方を通じて想いを直接伝えられるのが大きな特徴です。
従来の遺言書は、財産の分け方や手続きを明確にするうえで非常に重要な役割を果たします。しかしその一方で、「なぜその判断に至ったのか」「家族にどんな気持ちを伝えたいのか」といった背景までは十分に表現できないことがあります。
実際に、冒頭で触れたように「理由が書かれていない遺言書」によって、残された家族が戸惑ってしまうケースも少なくありません。
誰かに多く財産を残したとしても、その理由が分からなければ、不公平感や誤解につながってしまう可能性があります。
こうした“伝えきれない部分”を補うのが、遺言動画の役割です。
例えば動画であれば、
- なぜこの分け方にしたのか
- 家族一人ひとりへの感謝の気持ち
- これからの人生へのメッセージ
といった内容を、自分の言葉で自然に伝えることができます。

また近年では、スマートフォンの普及により、誰でも簡単に動画を撮影・保存できるようになりました。こうした背景から、遺言動画は「特別なもの」ではなく、終活の一環として取り入れやすい手段へと変わりつつあります。
ただし、ここで重要な点があります。
遺言動画はあくまで「想いを伝えるための補助的な手段」であり、法律上の遺言としての効力は認められていません。
そのため、遺言動画だけに頼るのではなく、正式な遺言書と組み合わせて活用することが前提となります。
②遺言動画のメリット|“想い”を残せる唯一の手段
遺言動画(ビデオレター)の最大の価値は、単に情報を伝えるのではなく、「想い」をそのまま届けられることにあります。
遺言書では伝えきれない部分を補い、家族との関係性をより良い形で未来へつなぐことができるのが大きな特徴です。
ここでは、遺言動画の具体的なメリットを見ていきましょう。

感情や想いをダイレクトに伝えられる
文章では伝わりにくい微妙なニュアンスも、動画であれば自然に表現することができます。
例えば、
- 声のトーン
- 表情
- 話すスピードや間
といった要素が加わることで、同じ言葉でも受け取られ方が大きく変わります。
「ありがとう」という一言でも、表情や声色によって、その重みや温かさはまったく異なります。
こうした“映像で想いを残す”イメージは、テレビドラマや映画のワンシーンを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
例えば、死期が迫った人物が病院のベッドの上で、家族に向けてメッセージを語る。
そんな場面を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
言葉だけでなく、声の震えや表情、その場の空気感まで含めて伝わるからこそ、見る側の心に深く残ります。
さらに現実の場面でも、動画だからこそ意味を持つケースがあります。
例えば、病気や加齢によって字を書くことが難しくなった場合です。
自筆証書遺言は原則として「全文を自書する必要」がありますが、体の状態によってはそれが大きな負担になることもあります。
そのような状況でも、動画であれば無理なく自分の言葉で想いを残すことができます。
「書けない状況でも伝えられる」ことは、遺言動画の現実的な大きな価値です。
ただし重要なのは、これはあくまで“感情や意思を伝える手段”であるという点です。
ドラマのように「これがそのまま遺言になる」というわけではありません。
現実では、動画だけでは法的な効力は認められていない点に注意が必要です。
この点を正しく理解したうえで活用することで、遺言動画の価値は最大限に発揮されます。することで、遺言動画の価値は最大限に発揮されます。
相続トラブルの予防につながる
遺言動画は、相続トラブルを防ぐうえでも有効な手段です。
相続でもめてしまう原因の多くは、財産の多い少ないそのものではなく、「納得できない」という感情にあります。
なぜこの分け方になったのかが分からない。
自分だけ扱いが違うのではないかと感じてしまう。
そもそも本人の意思が見えない。
こうした小さな疑問や不満が積み重なることで、家族間の関係に亀裂が入り、やがて大きな争いへと発展してしまうケースは少なくありません。
その点、遺言動画であれば、分配の理由や判断に至った背景、そして家族それぞれへの想いを、自分の言葉で直接伝えることができます。
たとえ結果として財産の分け方に差があったとしても、「そういう考えだったのか」と理解しやすくなり、感情的な対立を防ぐことにつながります。
“内容”ではなく“納得感”を残せることが、遺言動画の大きな価値です。
自分らしいメッセージを自由に残せる
遺言動画には、形式的な制約がほとんどありません。
そのため、これまでの人生を振り返ったり、家族との思い出を語ったり、これからを生きる人たちへのメッセージを残したりと、内容を自由に表現することができます。
いわば、遺言動画は「未来の家族へのビデオレター」です。
単なる手続きの一部ではなく、これまでの人生や大切にしてきた価値観を伝える“最後のメッセージ”としての役割を持ちます。
これは、従来の遺言書にはない、新しい終活の形と言えるでしょう。
文章では残しにくい想いほど、こうした形で伝える価値があります。
③遺言動画でよくある誤解と失敗例|「動画だけで安心」は危険です
遺言動画(ビデオレター)は非常に有用な手段ですが、その一方で、使い方を誤ると思わぬトラブルを招くことがあります。
特に多いのが、「動画があれば十分」と考えてしまうケースです。
ここでは、実際に起こりがちな誤解や失敗例を見ていきましょう。

「動画を残せば遺言として有効」と思っていたケース
遺言動画を撮影しておけば、それがそのまま遺言として認められると考えている方は少なくありません。
これは、テレビドラマや映画の影響もあるかもしれません。
病院のベッドで家族に向けて語る最後のメッセージ、
そのシーンが、そのまま“遺言”として成立しているように見えることもあります。
しかし現実には、動画だけでは法的な効力は認められていません。
例えば、あるケースでは、本人が動画の中で明確に財産の分け方を伝えていたにもかかわらず、正式な遺言書がなかったため、その内容は法的には考慮されませんでした。
結果として、法定相続分に基づいた分割が行われ、
動画の内容を尊重したい家族と、法律に従うべきだと考える家族との間で対立が生じてしまいました。
動画は“想い”を伝えることはできても、“遺言”そのものにはならないという点を理解しておく必要があります。
【遺言の有効性】無効になる原因・有効な書き方・トラブル事例を網羅解説!
「想いは伝わるはず」と考えて説明が不足してしまったケース
冒頭で触れたように、遺言書に「理由」が書かれていないことで、家族が戸惑ってしまうケースがあります。
実はこれは、遺言動画でも同じことが起こり得ます。
一見すると、動画であればすべて伝わるように思えるかもしれません。
しかし、動画であっても「きっと分かってくれるだろう」という前提で話してしまうと、肝心な説明が抜け落ちてしまうことがあるのです。
たとえば、なぜこの分け方にしたのか、なぜ特定の人に多く財産を残すことにしたのか。
そうした背景が十分に語られていなければ、残された側は納得しきれず、不信感を抱いてしまう可能性があります。
その結果、本来は防げたはずの誤解が生まれ、家族間の関係に影響を及ぼしてしまうこともあります。
「伝えたつもり」と「伝わる」は違う、という点に注意が必要です。
遺言書と動画の内容が食い違ってしまったケース
すでに遺言書を作成している場合でも、後から撮影した動画の内容と食い違ってしまうケースがあります。
このような場合、どちらが本当の意思なのか、また、どの時点の考えが最終的なものなのかが分からなくなり、かえって混乱を招いてしまいます。
その結果、相続人同士で解釈が分かれ、不要な争いに発展してしまう可能性も否定できません。
実務上も、遺言書と矛盾する内容の動画は、トラブルの火種になりやすいとされています。
そのため、遺言動画を作成する際は、必ず遺言書の内容との整合性を確認しておくことが重要です。
動画は補足であり、遺言書が基準になるという意識が重要です。
データ管理が不十分で見てもらえなかったケース
遺言動画はデータである以上、保管や共有の方法も重要です。
例えば、スマートフォンに保存したままで誰にも伝えていなかったり、パスワードが分からず家族が閲覧できなかったりするケースも考えられます。
せっかく残した大切なメッセージも、見てもらえなければ意味がありません。
「どう残すか」だけでなく「どう届けるか」まで考える必要があります。
では、具体的にどのように保管・共有すればよいのでしょうか。
現実的な方法としては、次のような手段が考えられます。
- 信頼できる家族に直接共有しておく
USBメモリやスマートフォン内のデータを、あらかじめ家族に渡しておく方法です。最もシンプルですが、確実に見てもらえるという点で有効です。 - クラウドサービスを活用する
GoogleドライブやiCloudなどに保存し、アクセス方法やパスワードを信頼できる人に伝えておく方法です。遠方の家族とも共有しやすいのがメリットです。 - 専門家に預ける(行政書士・弁護士など)
遺言書とあわせて動画データの存在や保管方法を専門家に伝えておくことで、相続時に確実に案内してもらうことができます。 - 遺言書に動画の存在を明記する
「動画を保管している場所」や「閲覧方法」を遺言書に記載しておくことで、見落とされるリスクを減らすことができます。
これらを組み合わせることで、より確実にメッセージを届けることができます。
このように、遺言動画は非常に有効な手段である一方で、「動画だけで完結するものではない」という点を正しく理解しておくことが重要です。
ドラマのように“想いを語ればそれで十分”というわけではなく、現実では法的に有効な遺言書と組み合わせてこそ意味を持ちます。
④遺言動画の注意点|知らないとトラブルになるポイント
遺言動画(ビデオレター)は有効な手段ですが、正しく理解せずに活用すると、かえってトラブルの原因になる可能性があります。
ここでは、特に重要な注意点を整理しておきましょう。
遺言動画には法的効力がない
遺言動画には法的効力がない、という点はすでに触れてきましたが、ここではその理由を法律の観点から整理しておきます。
日本の民法では、遺言が有効と認められるためには、厳格な方式が定められています。代表的なものとしては、自筆証書遺言や公正証書遺言があり、それぞれに「自書であること」「証人の立会い」などの要件が求められます。
これらの方式は、遺言の真正性や本人の意思を明確にするために設けられているものです。
一方で、動画による遺言は、こうした法定の方式を満たさないため、たとえ本人が明確に意思を表明していたとしても、法律上の遺言としては扱われません。
ここで重要なのは、動画が「無意味」というわけではない点です。
実務上は、遺言動画が本人の意思や判断能力を補足的に示す資料として参考にされる可能性はありますが、あくまで正式な遺言書を補完する位置づけにとどまります。
遺言の効力を確実にするには、法律で定められた形式の遺言書が不可欠であるという点を押さえておきましょう。
遺言書との内容の一貫性が重要
遺言動画を活用する場合は、遺言書との内容の整合性にも注意が必要です。
両者の内容が食い違ってしまうと、どちらが本当の意思なのか分からなくなり、解釈が分かれることで相続人同士の争いにつながる可能性があります。
こうしたリスクを防ぐためには、あらかじめ運用のルールを決めておくことが重要です。
例えば、先に遺言書を作成し、その内容をもとにビデオレターを撮影するという手順にしておけば、内容のズレが生じにくくなります。
また、遺言書を書き直した場合には、動画もあわせて撮り直すか、少なくとも動画の撮影日を明確に記録しておくことが大切です。
これにより、「どの時点の意思なのか」を客観的に判断しやすくなります。
遺言書と動画は“別々に作る”のではなく、“セットで管理する”という意識が重要です。けを明確にしておきましょう。
プライバシーとデータ管理の徹底
遺言動画には、家族関係や財産に関する非常にデリケートな情報が含まれます。
そのため、単に「残す」だけでなく、「どのように扱われるか」まで含めて考える必要があります。
例えば、誰が閲覧できる状態になっているのか、意図しない第三者に見られるリスクはないか、といった点は事前に整理しておくべき重要なポイントです。
また、データは便利である一方で、紛失や漏洩といったリスクとも隣り合わせにあります。
クラウド上に保存する場合でも、アクセス権限や管理方法を誤れば、思わぬ形で情報が外部に流出してしまう可能性も否定できません。
こうしたリスクを踏まえると、遺言動画は単なる記録ではなく、適切に管理されるべき「重要な個人情報」として扱う必要があります。
「残すこと」と同じくらい、「守ること」に意識を向けることが重要です。
この2つを組み合わせることが、最も現実的で効果的な方法です。
ここまで見てきたように、遺言動画は非常に有用な手段である一方、その扱いには一定の注意が必要です。
特に、法的効力やデータ管理といったポイントを正しく理解したうえで活用することが、トラブルを防ぐためには欠かせません。
⑤遺言動画(ビデオレター)の正しい使い方|遺言書と組み合わせるのが基本
ここまで見てきたように、遺言動画は単体で使うものではなく、遺言書と組み合わせて活用することが前提となります。
では、具体的にどのように使うのが望ましいのでしょうか。
ポイントはシンプルです。
「遺言書で法的効力を確保し、動画で想いを補完する」という役割分担を明確にすることです。

遺言書で“法的効力”を確実にする
まず前提として、財産の分け方など法的に重要な内容は、必ず遺言書で残す必要があります。
遺言書にはいくつかの形式がありますが、確実性や安全性を重視する場合には、公正証書遺言の活用が有効な選択肢となります。
公正証書遺言は、公証人が本人の意思を確認したうえで作成するため、形式不備によって無効になるリスクを抑えやすいという特徴があります。
また、病気や加齢などにより自筆が難しい場合でも、口頭で内容を伝えることで作成できる点も大きなメリットです。さらに、公証人は自宅や病院などへの出張にも対応しているため、外出が難しい状況でも手続きを進めることが可能です。
もちろん、自筆証書遺言など他の方法もありますが、それぞれに要件や注意点があるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
いずれの方法であっても、法的なトラブルを防ぐための“土台”は、遺言書でしっかり整えておく必要があります。
遺言動画で“想い”や“理由”を補足する
そのうえで、遺言動画は「なぜその内容にしたのか」を伝える手段として活用します。
ここで注意したいのは、遺産の具体的な分け方そのものを動画で説明することは、必ずしも適切とは限らないという点です。
動画は、声のトーンや表情といった要素が加わることで、受け取る側の解釈に幅が生まれやすくなります。
その結果、意図しない形で受け取られたり、見る人の立場によって都合よく解釈されてしまう可能性もあります。
特に、財産の分配に差がある場合には、そのニュアンスの違いが不信感につながることも否定できません。
そのため、遺産の分け方そのものは遺言書で明確に示し、誤解の余地を残さない形にしておくことが基本です。
一方で動画では、
- なぜその結論に至ったのかという背景
- 家族それぞれへの想い
- 結果として不利益が生じる可能性がある人への配慮や説明
といった、“文字だけでは伝えきれない部分”を丁寧に補足することが重要です。
動画は「内容を決めるため」ではなく、「内容に納得してもらうため」に使うものと考えると分かりやすいでしょう。
遺言書と動画は“セットで管理”する
実務上見落とされがちなのが、「管理」の部分です。
遺言書と動画がバラバラに扱われてしまうと、動画の存在に気づかれなかったり、内容の整合性が確認されないまま手続きが進んでしまったりする可能性があります。
こうした事態を防ぐためには、保管方法だけでなく、運用のルールをあらかじめ決めておくことが重要です。
例えば、遺言書を作成した後に動画を撮影するという順序を基本とし、内容のズレが生じないようにすることが考えられます。
また、動画の撮影日を明確にしておくことで、「どの時点の意思なのか」を判断しやすくなります。さらに、遺言書の中で動画の存在に触れておくことで、見落とされるリスクを減らすことにもつながります。
重要なのは、「別々に保管する」のではなく、「一連の流れとして管理する」という考え方です。して設計することがポイントです。
定期的に内容を見直し、遺言書を更新した際には動画もあわせて確認する習慣を持つと、より確実です。
遺言動画は、それ単体では不十分ですが、遺言書と組み合わせることで大きな力を発揮します。
法的な確実性と、感情の伝達。
この2つを両立できる点こそが、遺言動画の本当の価値です。
⑥遺言動画(ビデオレター)の作り方|初心者でも失敗しない手順
遺言動画は、特別な機材や専門知識がなくても作成することができます。
ただし、ポイントを押さえずに撮影してしまうと、「伝わらない動画」になってしまう可能性もあります。
ここでは、失敗を防ぎながら遺言動画を作成するための基本的な手順を解説します。

遺言動画を作る前に、まずは遺言書を作成しておくことが重要です。
財産の分け方などの法的に重要な内容は、動画ではなく遺言書で明確に定めておく必要があります。先に遺言書を作成しておくことで、動画との内容のズレを防ぎ、トラブルのリスクを抑えることができます。
「遺言書 → 動画」の順番を守ることが基本です。
※失敗ポイント:動画から先に作ってしまうと、後から遺言書と内容が食い違う可能性があります。
次に、動画で何を伝えるのかを整理します。
ここで意識すべきなのは、「何を分けるか」ではなく「なぜその判断をしたのか」という理由や背景です。家族への想いや、判断に至った経緯を整理しておくことで、納得感のある動画になります。
“結論”ではなく“理由”を語ることがポイントです。
※失敗ポイント:分配内容ばかり説明してしまうと、かえって誤解や対立を生む可能性があります。
遺言動画はスマートフォンでも十分に撮影できますが、伝わりやすさを意識した環境づくりが大切です。
静かな場所で撮影し、顔がはっきり見える明るさを確保しましょう。また、音声が聞き取りやすいことも重要です。
“見やすさ・聞きやすさ”が、そのまま伝わりやすさにつながります。
※失敗ポイント:音声が聞き取りづらい、暗くて表情が見えないと、せっかくの内容が伝わりません。
撮影時は、あらかじめ話す内容を簡単に整理しておくと安心です。
ただし、台本をそのまま読み上げると不自然になりやすいため、要点だけを押さえて、自分の言葉で話すことを意識しましょう。
多少言い直しがあっても問題ありません。大切なのは、気持ちが伝わることです。
完璧さよりも「自分らしさ」を優先しましょう。
※失敗ポイント:台本を読み上げるだけになると、感情が伝わりにくくなります。
撮影が終わったら、その動画がいつ作成されたものかを明確にしておきましょう。
日付が分かることで、遺言書との関係性や意思の新しさを判断しやすくなります。また、撮影後には一度見返し、意図した内容がきちんと伝わるかを確認することも大切です。
「撮って終わり」ではなく、「伝わるか確認する」ことが重要です。
※失敗ポイント:日付が不明確だと、どの意思が最新なのか判断できず混乱の原因になります。
遺言動画は、特別に難しいものではありませんが、その作り方によって価値が大きく変わります。
遺言書を先に整えたうえで、動画ではその背景にある理由や想いを丁寧に伝えること。そして、作成後の管理まで含めて一連の流れとして考えることが重要です。
これらを意識することで、単なる記録ではなく、家族にしっかりと伝わる遺言動画を残すことができます。画を残すことができます。
⑦遺言動画(ビデオレター)に関するよくある質問
Q1:遺言動画だけで法的効力はありますか?
結論から言うと、遺言動画だけでは法的効力はありません。
日本の法律では、遺言として有効にするためには、決められた方式(自筆証書遺言や公正証書遺言など)を満たす必要があります。動画はこれらの要件を満たさないため、単独では正式な遺言として扱われません。
そのため、遺言動画はあくまで「想いを伝える補助的な手段」として活用し、必ず遺言書と組み合わせることが重要です。
Q2:遺言動画では何を話すべきですか?
遺言動画では、財産の分け方そのものではなく、その判断に至った理由や背景、家族への想いを中心に話すことが重要です。
分配内容については遺言書で明確に示す方が誤解を防ぎやすく、動画ではその補足として説明する方が適しています。
「何を分けるか」ではなく「なぜそうしたのか」を伝えることがポイントです。
Q3:遺言動画の長さはどれくらいが適切ですか?
一般的には、5〜10分程度が一つの目安とされています。
あまり長すぎると要点が伝わりにくくなるため、話す内容を整理し、簡潔にまとめることが大切です。
ただし、長さよりも重要なのは「伝わる内容になっているか」です。必要な内容がしっかり伝わる構成を意識しましょう。
Q4:スマートフォンで撮影しても問題ありませんか?
はい、スマートフォンでも問題なく撮影可能です。
最近のスマートフォンは十分な画質・音質を備えているため、特別な機材は必ずしも必要ありません。
ただし、音声の聞き取りやすさや明るさなど、基本的な撮影環境には注意することが重要です。
Q5:遺言動画はどのように保管すればよいですか?
遺言動画はデータであるため、確実に見てもらえる形で保管・共有することが重要です。
具体的には、信頼できる家族への共有や、クラウドサービスの活用、遺言書への記載などを組み合わせて管理する方法が考えられます。
「残すこと」だけでなく「確実に届くこと」まで考えることがポイントです。
Q6:遺言動画はどのタイミングで作成すべきですか?
遺言動画は、できるだけ早い段階、できれば元気なうちに作成しておくことがおすすめです。
「まだ早い」と感じる方も多いかもしれませんが、体調や判断力に不安が出てからでは、思うように準備が進められない可能性があります。
元気なうちに作成しておくことで、落ち着いて内容を整理できるだけでなく、自分の言葉でしっかりと想いを伝えやすくなります。
例えば、
- 落ち着いた状態で内容を整理できる
- 自分の言葉で自然に想いを伝えられる
といったメリットがあります。
なお、一度作成した後でも、状況の変化に応じて撮り直すことは可能です。遺言書を見直したタイミングにあわせて、動画も更新していくとよいでしょう。
「一度きり」ではなく、「必要に応じて見直すもの」として考えることが大切です。

まとめ|遺言動画は「想い」、遺言書は「法的効力」
遺言動画(ビデオレター)は、文章だけでは伝えきれない想いや背景を、声や表情を通じて残すことができる有効な手段です。
一方で、法的な効力を持つのはあくまで遺言書であり、動画だけで完結するものではありません。
重要なのは、
遺言書によって財産の分け方を明確にし、
遺言動画によってその理由や想いを補足する、という役割分担です。
この2つを組み合わせることで、
- 法的なトラブルを防ぎながら
- 家族にしっかりと想いを伝える
という、より納得感のある形で遺言を残すことができます。
また、遺言動画は一度作って終わりではなく、状況に応じて見直していくことも大切です。
「何を残すか」だけでなく、「どう伝わるか」まで考えることが、後悔しない遺言につながります。
将来の安心と、家族への想いの両方を大切にするために、遺言動画と遺言書を上手に活用していきましょう。
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特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)
- 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
- 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
- 趣味:競泳
- メッセージ:
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