親が亡くなった後、遺品整理や手続きを進める中で「証券口座」や「株式」の存在に初めて気づくケースは少なくありません。預貯金とは異なり、株式の相続手続きは仕組みが複雑で、何から手をつければよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
特に、株式の相続は現金と比べて手続きが煩雑になりやすく、証券会社ごとに必要書類や進め方が異なる点にも注意が必要です。さらに、非上場株式が含まれている場合には、評価方法や会社とのやり取りが発生するなど、手続きの難易度は一段と高くなります。
また、株式の相続手続きはすぐに完了するものではなく、実際には数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。手続きを後回しにしてしまうと、必要書類の再取得や相続人間の調整が複雑になるなど、かえって負担が大きくなる可能性もあります。
この記事では、株式の相続手続きについて、全体の流れから具体的な進め方までをわかりやすく解説します。上場株式と非上場株式の違いにも触れながら、手続きの中で迷いやすいポイントや注意点も整理しています。
この記事を読むことで、次のことが分かります。
- 手続きをスムーズに進めるための実務上の注意点
- 株式の相続手続きの全体像と具体的な流れ
- 上場株式と非上場株式の違いと、それぞれの進め方
- 手続きの中で迷いやすいポイントとその対処法
- どこまで自分で対応できるのかの判断基準
「何から始めればよいのか分からない」「非上場株をどう扱えばよいのか不安」といった方でも、この記事を読むことで全体像を理解し、次に取るべき行動が明確になるはずです。

目次
株式の相続手続きは現金よりも複雑になりやすい理由
株式の相続手続きは、預貯金の相続と比べて複雑になりやすい傾向があります。その理由は、単に「金融資産だから難しい」というだけではなく、株式特有の仕組みや手続きの違いにあります。
ここでは、なぜ株式の相続で多くの人が迷いやすいのか、その主な理由を解説します。
証券口座の存在に気づきにくい
預貯金であれば通帳やキャッシュカードから存在を把握しやすい一方で、株式は証券口座で管理されているため、家族でも把握していないケースが少なくありません。
特に近年は、紙の取引報告書ではなく電子交付が主流となっており、郵送物が届かないことも多くなっています。そのため、相続が発生して初めて証券口座の存在に気づくケースもあります。
どの証券会社に口座があるのか分からない状態では、手続きを始めること自体に迷ってしまう要因となります。
証券会社ごとに手続きが異なる
株式の相続手続きは、基本的な流れは共通しているものの、実際の手続き内容は証券会社ごとに異なります。
例えば、必要書類の種類や書式、提出方法などは各社で微妙に違いがあり、「他のサイトで見た通りに進めたのにうまくいかない」といったケースも少なくありません。
実務上も、証券会社ごとに個別対応が求められる場面が多く、こうした違いが手続きを進める中で迷いやすいポイントとなります。
非上場株式は評価や手続きの難易度が高い
上場株式であれば市場価格をもとに評価できますが、非上場株式の場合はそうはいきません。会社の財務状況などをもとに評価する必要があり、専門的な知識が求められます。
また、非上場株式には譲渡制限が付されていることも多く、相続によって株式を取得した場合でも、会社の承認が必要になるケースがあります。
この点については、会社法においても、株式の譲渡は原則として自由である一方(会社法第127条)、定款により譲渡制限を設けることができるとされています(会社法第136条)。そのため、非上場会社ではこの譲渡制限の影響を受け、手続きがより複雑になる傾向があります。
このように、株式の相続手続きは「口座の把握」「証券会社ごとの違い」「非上場株式の特殊性」といった複数の要因が重なり、現金の相続よりも複雑になりやすいのが特徴です。
まずは全体像を把握したうえで、一つひとつの手続きを整理しながら進めていくことが重要です。
株式の相続手続きの全体像

株式の相続手続きは、やるべきことが多く複雑に感じられますが、全体の流れを把握しておくことで、どの段階で何をすべきかが明確になります。
ここでは、相続発生から株式の名義変更や売却に至るまでの全体像を整理して解説します。
相続発生から名義変更までの流れ
株式の相続手続きは、大まかに以下の流れで進みます。
被相続人がどの証券会社に口座を持っていたか分からない場合、取引報告書や配当金の通知書、銀行口座の入出金履歴などから手がかりを探すことになります。近年は電子交付が主流のため、郵送物が見つからないケースも多く、思った以上に時間がかかる点に注意が必要です。
相続手続きでは、出生から死亡までの戸籍を収集し、相続人を確定する必要があります。本籍地が複数にわたる場合や、古い戸籍の解読が必要な場合もあり、ここで手間取る方が多いポイントです。証券会社への手続きでも戸籍一式の提出が求められるため、早めに着手することが重要です。
株式については、銘柄や株数だけでなく、上場株式か非上場株式かを区別して把握することが重要です。特に非上場株式は評価方法や手続きが異なるため、この段階で整理しておかないと、後の手続きで迷いやすくなります。
株式は現金のように単純に分割できないため、「誰が取得するのか」「売却して分けるのか」といった点を明確にする必要があります。相続人が複数いる場合には意見がまとまらないこともあり、協議が長引く要因となるため注意が必要です。
上場株式の場合は証券会社、非上場株式の場合は発行会社とのやり取りが必要になります。特に証券会社の手続きは、必要書類や書式が各社で異なるため、事前に確認しておかないと差し戻しになるケースもあります。実務上も、この段階で想定以上に時間がかかることが多いポイントです。
このように、株式だけの手続きであっても、相続全体の手続き(戸籍収集や遺産分割など)と密接に関わっている点が特徴です。
また、証券会社への手続きは最後の段階になることが多く、「すぐに手続きできるものではない」という点も理解しておく必要があります。
上場株と非上場株の違い
株式の相続手続きは、「上場株式」か「非上場株式」かによって大きく異なります。
上場株式は証券取引所で売買されている株式であり、証券会社を通じて手続きを行います。比較的手続きの流れが整理されており、必要書類を揃えることで対応が可能です。
一方、非上場株式は市場で取引されていないため、発行会社との直接のやり取りが必要になります。さらに、株式の評価や譲渡制限の有無なども関係してくるため、手続きの難易度は高くなります。
この違いを理解しておくことで、「どの程度の手間がかかるのか」「どこで迷いやすいのか」を事前にイメージしやすくなります。
手続きにかかる期間の目安
株式の相続手続きは、短期間で完了するものではありません。
実際には、戸籍収集や遺産分割協議に時間がかかることに加え、証券会社での手続きにも一定の期間を要するため、全体で数週間から数ヶ月程度かかることが多いとされています。
特に、相続人が複数いる場合や、非上場株式が含まれている場合には、さらに時間がかかるケースもあります。
そのため、「すぐに終わるだろう」と考えて後回しにしてしまうと、手続きが長期化し、結果として負担が大きくなってしまう可能性があります。
このように、株式の相続手続きは一定の流れに沿って進みますが、それぞれの段階で必要な対応が異なります。
まずは全体像を把握したうえで、自分がどの段階にいるのかを確認しながら進めていくことが、スムーズに手続きを進めるためのポイントです。
株式の相続手続きの具体的な流れ
株式の相続手続きは、全体像を理解したうえで、各ステップを順番に進めていくことが重要です。ここでは、実際の手続きの流れに沿って、具体的な進め方と迷いやすいポイントを解説します。
①証券口座の有無を確認する方法
まずは、被相続人が証券口座を保有していたかどうかを確認します。
主な確認方法としては、以下のようなものがあります。
- 証券会社からの郵送物(取引報告書・配当通知など)を探す
- 銀行口座の入出金履歴を確認する
- メールやパソコン内のデータを確認する
行政書士の視点
実務上、「どの証券会社に口座があるか分からない」というケースは非常に多く見られます。特に近年は電子交付が主流となっているため、紙の手がかりが見つからないことも少なくありません。この段階で情報を整理できるかどうかが、その後の手続きのスムーズさに大きく影響します。
②相続人の確定(戸籍収集)
次に、相続人を確定するために戸籍を収集します。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて取得し、法定相続人を確定させます。
行政書士の視点
戸籍収集は一見単純に見えますが、本籍地が複数にわたる場合や、古い戸籍の読み取りが必要な場合もあり、想定以上に時間がかかることがあります。実務でも、この段階で手続きが止まってしまうケースは少なくありません。証券会社への提出書類としても必要になるため、早めの対応が重要です。
③遺産分割協議の実施
相続人が複数いる場合には、遺産分割協議を行い、株式を誰が取得するのかを決めます。
株式については、以下のような分け方が考えられます。
- 特定の相続人が株式を取得する
- 株式を売却して現金で分ける
行政書士の視点
株式は不動産と同様に分割しづらい財産であり、相続人間で意見が分かれることも多いポイントです。特に、今後も保有するのか、売却するのかによって方針が変わるため、事前に方向性を整理しておくことが重要です。ここで合意が取れないと、その後の手続きが進まなくなります。
また、相続人間でトラブルが発生すると、弁護士しか対応できなくなります。
行政書士と比較して、一桁費用が高い印象です。なるべく穏便に合意していただけると良いと思います。
④証券会社への手続き(名義変更・売却)
遺産分割協議が完了したら、証券会社(または非上場株の場合は発行会社)で手続きを行います。
主な手続き内容は以下のとおりです。
- 相続手続きの申請(所定の書類提出)
- 名義変更(相続人名義への移管)
- 必要に応じて株式の売却
行政書士の視点
証券会社の手続きは、必要書類や書式が各社で微妙に異なるため注意が必要です。実務上も、「書類の不備による差し戻し」が発生しやすく、結果として手続きが長引く原因になります。また、非上場株式の場合は発行会社との個別対応となるため、さらに時間と手間がかかるケースが多く見られます。
このように、株式の相続手続きは複数のステップを経て進みますが、それぞれの段階で迷いやすいポイントがあります。
一つひとつの手続きを整理しながら進めることで、無駄な手戻りを防ぎ、スムーズに対応することが可能になります。類が必要になるため、事前に確認しておくとスムーズです。
上場株式の相続手続き

上場株式の相続手続きは、証券会社を通じて行うのが基本です。非上場株式と比べると手続きの流れは整理されていますが、それでも必要書類や進め方に迷う場面は少なくありません。
ここでは、上場株式の相続手続きについて、具体的な流れと注意点を解説します。
証券会社への連絡と口座凍結
まずは、被相続人が口座を保有している証券会社に連絡を行います。
相続が発生したことを伝えると、対象の証券口座は凍結され、以降は売買や出金などの取引ができなくなります。その後、証券会社から相続手続きに必要な書類一式が案内されます。
行政書士の視点
証券会社への連絡は、口座の存在が確認できた段階で早めに行うことが重要です。連絡が遅れると、配当金の受け取りや各種手続きの把握が遅れる可能性があります。実務上も、最初の連絡が遅れたことで全体の進行が後ろ倒しになるケースは少なくありません。
必要書類と取得方法
上場株式の相続手続きでは、主に以下の書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人の本人確認書類
- 証券会社所定の申請書類
これらの書類を揃え、証券会社に提出することで手続きが進められます。
行政書士の視点
必要書類は一見共通しているように見えますが、証券会社ごとに書式や細かな要件が異なる点に注意が必要です。例えば、遺産分割協議書の記載方法や添付書類の範囲が異なる場合もあります。事前に証券会社の案内をよく確認することが、差し戻しを防ぐポイントです。
名義変更と売却の違い
上場株式の相続では、「名義変更(移管)」と「売却」のいずれか、または両方を選択することになります。
- 名義変更:相続人の証券口座へ株式を移す
- 売却:株式を現金化し、その後分配する
どちらを選択するかは、遺産分割協議の内容や今後の資産運用方針によって決まります。
行政書士の視点
実務上は、いったん相続人名義の口座に移管したうえで売却するケースが多く見られます。また、相続人自身が証券口座を持っていない場合、新たに口座開設が必要になる点にも注意が必要です。この手続きが想定以上に時間を要することもあります。
証券会社ごとの違いと注意点
上場株式の相続手続きは、基本的な流れこそ共通していますが、実際の運用は証券会社ごとに異なります。
例えば、
- 提出書類の種類や記載方法
- 手続きの進め方(郵送・オンラインなど)
- 処理にかかる期間
などに違いがあります。
行政書士の視点
実務上も、「他社では問題なかった書類が受理されない」といったケースは珍しくありません。証券会社ごとのルールに合わせて対応する必要があるため、複数の口座がある場合には、それぞれ個別に手続きを進める必要があります。この点が、手続き全体を複雑に感じさせる要因の一つです。
上場株式の相続手続きは、流れ自体は整理されていますが、細かな違いによって迷いやすいポイントが多く存在します。
証券会社ごとの案内を確認しながら、一つひとつ丁寧に対応していくことが、スムーズに手続きを進めるためのポイントです。
非上場株式の相続手続き

非上場株式の相続手続きは、上場株式と比べて大きく異なり、手続きの難易度も高くなります。市場での取引がないため、証券会社ではなく「発行会社」と直接やり取りを行う必要がある点が特徴です。
また、評価方法や譲渡制限の有無など、専門的な知識が求められる場面も多く、手続きの中で迷いやすいポイントが多いのも非上場株式の特徴といえます。
非上場株とは何か
非上場株式とは、証券取引所に上場していない会社の株式を指します。中小企業や同族会社の株式がこれに該当することが一般的です。
上場株式のように市場価格が存在しないため、株式の価値や取引方法が明確でない点が、相続手続きを複雑にする要因となります。
行政書士の視点
実務上、「株式を保有していることは分かっていても、その内容がよく分からない」というケースも少なくありません。まずは発行会社に確認を取り、株式の有無や内容を正確に把握することが重要です。
株式の評価方法(相続税との関係)
非上場株式は市場価格がないため、相続税の計算にあたっては一定の評価方法に基づいて価額を算定する必要があります。
具体的には、会社の規模や財務状況に応じて、純資産価額方式や類似業種比準方式などが用いられます。
行政書士の視点
非上場株式の評価は専門性が高く、税理士などの関与が必要になるケースが多い分野です。評価方法の選択によって相続税額が大きく変わる可能性もあるため、早い段階で専門家に相談することが望ましいといえます。
名義変更の手続き(発行会社とのやり取り)
非上場株式の名義変更は、発行会社に対して行います。
具体的には、相続によって株式を取得したことを証明する書類(戸籍・遺産分割協議書など)を提出し、株主名簿の書換え手続きを行います。
行政書士の視点
上場株式と異なり、手続きは証券会社ではなく各会社ごとの対応となるため、必要書類や進め方が統一されていません。実務上も、会社側の対応によって手続き期間が大きく左右されるケースがあり、事前の確認が重要です。
譲渡制限株式の場合の注意点(会社法の考え方)
非上場会社の株式には、「譲渡制限」が付されていることが多くあります。これは、株式の取得や譲渡について会社の承認を必要とする仕組みです。
会社法では、株式の譲渡は原則として自由とされていますが(会社法第127条)、定款によって譲渡制限を設けることが認められています(会社法第136条)。
そのため、相続によって株式を譲渡したい場合でも、会社による承認手続きが必要になることがあります。
行政書士の視点
譲渡制限株式の場合、単に相続が発生しただけでは手続きが完結せず、会社側の判断(譲渡を承認するか、会社側が買い取るか)が関与する点に注意が必要です。実務上も、この承認手続きの有無や内容によって、その後の対応が大きく変わるため、早い段階で会社に確認を取ることが重要です。
非上場株式の相続手続きは、評価・手続き・法的制約のすべてにおいて専門性が求められる分野です。
上場株式と同じ感覚で進めてしまうと、思わぬところで迷う可能性があるため、全体像を理解したうえで慎重に対応することが重要です。
株式の相続手続きで迷いやすいポイント

株式の相続手続きは、全体の流れを理解していても、実際に進める中で迷う場面が多くあります。ここでは、実務上よく見られる「迷いやすいポイント」を整理して解説します。
何から手をつければいいか分からない
相続が発生すると、やるべき手続きが多岐にわたるため、「まず何から始めればよいのか分からない」と感じる方は少なくありません。
特に株式については、証券口座の確認や評価、名義変更など複数の要素が絡むため、全体像が見えていない状態では手をつけにくい分野です。
行政書士の視点
実務上も、初動で迷ってしまい、手続きの着手が遅れるケースは多く見られます。まずは証券口座の有無を確認し、全体の流れを把握することが第一歩となります。すべてを一度に進めようとせず、順序立てて対応することが重要です。
必要書類が多く整理できない
株式の相続手続きでは、戸籍一式や遺産分割協議書、各種申請書など、多くの書類が必要になります。
これらを一度に揃えようとすると、どの書類がどの手続きに必要なのか分からなくなり、混乱してしまうことがあります。
行政書士の視点
書類は「用途ごと」に整理するのがポイントです。例えば、「相続人確定のための書類」と「証券会社提出用の書類」を分けて管理することで、全体の見通しが立てやすくなります。実務でも、この整理ができているかどうかで手続きの進み方が大きく変わります。
証券会社ごとの違いに戸惑う
上場株式の相続手続きは、証券会社ごとに必要書類や進め方が異なります。
そのため、複数の証券口座がある場合には、それぞれのルールに合わせて手続きを進める必要があり、想定以上に手間がかかることがあります。
行政書士の視点
「他社では通った書類が受理されない」といったケースも実務上よく見られます。証券会社ごとの案内を個別に確認し、それぞれに合わせて対応することが重要です。まとめて処理しようとすると、かえって手戻りが増える原因になります。
非上場株の扱いに迷う
非上場株式が含まれている場合、「そもそもどう扱えばよいのか分からない」と感じる方が多いポイントです。
上場株式と違い、市場価格がなく、手続きも発行会社ごとに異なるため、判断に迷いやすくなります。
行政書士の視点
非上場株式については、「評価」と「手続き」の両面で専門性が求められます。特に評価は相続税に直結するため、自己判断で進めるのはリスクがあります。実務でも、非上場株式が含まれる場合は専門家への相談を検討するケースが多く見られます。
このように、株式の相続手続きではさまざまな場面で迷いが生じます。
あらかじめ迷いやすいポイントを把握しておくことで、必要以上に不安を感じることなく、落ち着いて手続きを進めることができます。
専門家に相談すべきケースとは
株式の相続手続きは、ご自身で対応できるケースもありますが、状況によっては専門家に相談した方がスムーズに進む場合もあります。
ここでは、特に専門家への相談を検討した方がよいケースを解説します。
相続人が複数いる場合
相続人が複数いる場合、遺産分割協議が必要となり、誰が株式を取得するのかを話し合いで決める必要があります。
株式は現金のように単純に分けることが難しいため、意見がまとまらず、協議が長引くこともあります。
行政書士の視点
実務上も、相続人間で意見が分かれ、手続きが進まなくなるケースは少なくありません。第三者である専門家が関与することで、手続きの進め方が整理され、円滑に合意形成が進むことがあります。
非上場株が含まれている場合
非上場株式が含まれている場合は、評価や手続きの両面で専門的な知識が求められます。
特に、相続税の計算に関わる評価や、会社とのやり取りが必要になる点が大きな特徴です。
行政書士の視点
非上場株式は、評価方法の選択によって相続税額に影響が出る可能性があります。また、会社ごとの対応も異なるため、実務上も判断に迷う場面が多い分野です。このような場合は、税理士や行政書士などの専門家に相談することで、適切に手続きを進めることができます。
手続きを早く終わらせたい場合
相続手続きをできるだけ早く終わらせたい場合も、専門家への相談を検討する一つの目安となります。
株式の相続は、戸籍収集や証券会社対応など、複数の手続きが重なるため、個人で進めると時間がかかることがあります。
行政書士の視点
実務上も、「仕事が忙しくて手続きに時間を割けない」「早く手続きを終えて安心したい」といった理由で相談されるケースは多く見られます。専門家に依頼することで、手続きの見通しが立ちやすくなり、結果的に負担を軽減できる場合があります。
株式の相続手続きは、すべてを専門家に任せる必要があるわけではありませんが、状況によってはサポートを受けることで、手続きの負担を大きく減らすことができます。
「自分で進められる部分」と「専門家に任せた方がよい部分」を見極めながら、無理のない形で手続きを進めることが大切です。
まとめ|株式の相続手続きは早めの対応が重要
株式の相続手続きは、預貯金と比べて複雑になりやすく、証券口座の確認から名義変更に至るまで、いくつものステップを踏む必要があります。
特に、証券会社ごとに手続きが異なる点や、非上場株式が含まれる場合の対応など、多くの方が途中で迷いやすいポイントがあるのが特徴です。
本記事で解説したとおり、株式の相続手続きは以下の流れで進みます。
- 証券口座の有無を確認する
- 相続人を確定する(戸籍収集)
- 遺産の内容を把握する
- 遺産分割協議を行う
- 名義変更などの手続きを行う
これらを順序立てて進めることで、全体像を見失うことなく、手続きを進めることができます。
また、手続きには数週間から数ヶ月程度かかることも多く、後回しにすることで負担が大きくなる可能性もあります。スムーズに進めるためにも、早めに全体像を把握し、できるところから着手することが重要です。

なお、株式の相続手続きにおいては、「遺言の有無」によって手続きの負担が大きく変わる点にも注意が必要です。遺言書が作成されていれば、遺産分割協議を行う必要がなくなり、誰が株式を取得するのかが明確になるため、手続きをスムーズに進めることができます。
特に、株式のように分割が難しい財産については、あらかじめ承継先を指定しておくことで、相続人間の調整に迷う場面を減らすことにもつながります。
行政書士の視点
実務上も、「遺言があればスムーズに進んだケース」と「遺言がないために協議が長引いたケース」では、手続きの負担に大きな差が生じます。結果として、時間や手間だけでなく、相続人間の関係性に影響が出ることもあるため、生前の対策として遺言の作成を検討することには大きな意味があります。
遺言書がない場合の相続手続きとトラブル回避法に関してはこちら
株式の相続手続きは決して簡単ではありませんが、ポイントを押さえて進めることで、確実に対応することが可能です。まずは本記事の内容を参考に、できるところから一歩ずつ進めていきましょう。

