公正証書遺言を行政書士に依頼する費用は?報酬相場と総額を解説

公正証書遺言の作成費用について行政書士に相談する60代の夫婦

公正証書遺言を行政書士に依頼する場合は、報酬額だけでなく、作成にかかる費用の総額を確認することが大切です。

なぜなら、行政書士への報酬とは別に、公証役場に支払う手数料や証人への謝礼などが必要になるためです。

例えば、行政書士の報酬が10万円でも、公証人手数料などを加えると、実際の支払総額はそれ以上になります。

この記事では、行政書士の報酬相場を公的統計から確認し、公正証書遺言の作成にかかる費用の内訳と総額を具体的に解説します。

①公正証書遺言を行政書士に依頼する費用相場

公正証書遺言の作成を行政書士に依頼する場合、報酬額は事務所によって異なります。

行政書士の報酬には全国一律の料金が定められておらず、依頼する業務の内容や範囲によって金額が変わるためです。

日本行政書士会連合会が公表している「令和7年度報酬額統計調査」では、「遺言書の起案及び作成指導」の平均報酬額は76,855円、最頻値は50,000円となっています。

ただし、この統計は公正証書遺言の作成支援だけを対象としたものではありません。行政書士に依頼する際の費用を考えるうえで、一つの参考資料となります。

行政書士の報酬額統計から見る費用相場

同調査では、459件の回答について、次のような報酬額の分布が示されています。

遺言書の起案及び作成指導に関する行政書士報酬の分布グラフ。10万円以上20万円未満が28.1%で最多。
日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査」より作成。平均報酬額76,855円、最頻値50,000円(回答459件)。

調査結果を見ると、10万円以上20万円未満が28.1%と最も多く、次いで4万円以上6万円未満が22.9%となっています。

平均額だけでなく、報酬額が幅広く分布していることも分かります。

※調査金額は消費税込みで、立替金は含まれていません。

出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」

行政書士事務所によって報酬額が異なる理由

行政書士の報酬額に差がある理由の一つは、料金に含まれる業務の範囲が異なることです。

例えば、遺言書の文案作成を中心としたサービスと、戸籍の収集、公証役場との調整、作成当日の同行まで含むサービスでは、行政書士が担当する業務が異なります。

そのため、報酬額だけで依頼先を比較するのではなく、どこまでの業務が含まれているかを確認することが大切です。

②公正証書遺言の費用総額と計算例

公正証書遺言の作成費用の内訳を、書類・公正証書・電卓と硬貨で表したイラスト
公正証書遺言の作成には、専門家への依頼費用、公証人手数料、証人への謝礼などがかかります。

公正証書遺言を行政書士に依頼する場合、作成費用は行政書士報酬だけで決まるわけではありません。

公証役場に支払う手数料や証人への謝礼などが別途必要になるため、これらを含めた総額で考える必要があります。

作成費用の内訳|行政書士報酬・公証人手数料・実費

公正証書遺言の作成費用は、主に次の項目で構成されます。

費用項目内容
行政書士報酬遺言書の文案作成や公証役場との調整などを依頼する費用
公証人手数料公証人が遺言公正証書を作成するための法定手数料
正本・謄本等の交付費用公正証書の正本・謄本等を受け取る費用
証人への謝礼証人を依頼する場合に必要となる費用
その他の実費戸籍取得費用、交通費、公証人の出張費用など

行政書士事務所によっては、証人の手配や戸籍取得などが報酬に含まれている場合もあります。

公証人手数料は財産額と受取人によって変わる

公証人手数料は、遺言によって財産を受け取る人ごとに計算されます。

例えば、3,000万円の財産を1人に相続させる場合の基本手数料は26,000円です。

一方、同じ3,000万円でも、2人に1,500万円ずつ相続させる場合は、それぞれ26,000円となり、基本手数料の合計は52,000円になります。

さらに、財産の合計額が1億円以下の場合は、原則として13,000円の遺言加算が必要です。

詳しい手数料の仕組みは、関連記事「公正証書遺言の費用はいくら?総額・手数料・節約方法」で解説しています。

参照情報:日本公証人連合会「公正証書遺言の作成手数料」

財産額別に見る公正証書遺言の費用総額

実際に、行政書士への依頼費用を含めて計算してみましょう。

ここでは、行政書士報酬を仮に100,000円とし、公証人の基本手数料と遺言加算を含めた金額を計算します。証人謝礼や正本・謄本等の交付費用は含みません。

ケースA:財産3,000万円を配偶者1人に相続させる場合

費用項目金額
行政書士報酬(仮定)100,000円
公証人の基本手数料26,000円
遺言加算13,000円
小計139,000円
証人謝礼・交付費用等別途

ケースB:財産5,000万円を配偶者と子ども2人に分ける場合

配偶者に3,000万円、子ども2人にそれぞれ1,000万円を相続させるケースです。

費用項目金額
行政書士報酬(仮定)100,000円
配偶者分の基本手数料26,000円
子ども2人分の基本手数料40,000円
遺言加算13,000円
小計179,000円
証人謝礼・交付費用等別途

※いずれも2025年10月1日施行の公証人手数料令に基づく概算例です。行政書士報酬は説明のための仮定であり、実際の見積額ではありません。遺言内容による追加手数料などは考慮していません。

このように、同じ行政書士報酬でも、財産の分け方によって作成費用の総額は変わります。

証人謝礼や公証人の出張などで追加費用が発生する場合

公正証書遺言の作成では、通常、証人2名の立会いが必要です。

証人を外部に依頼する場合は謝礼が発生することがあり、行政書士事務所の料金に含まれているかどうかも確認が必要です。

また、病気などで公証役場へ出向くことが難しく、公証人に自宅や病院へ出張してもらう場合には、所定の加算手数料や日当、旅費などが必要になります。

こうした費用も含めて、依頼前に見積りを確認しておくとよいでしょう。

③行政書士への依頼料金はどこまで含まれる?契約前の確認ポイント

公正証書遺言の作成サポート内容について、書類を確認しながら行政書士から説明を受ける60代男性
行政書士は、遺言内容の整理や文案作成、公証役場との調整など、公正証書遺言の作成に必要な準備をサポートします。

公正証書遺言の作成を行政書士に依頼する際は、報酬額だけでなく、料金に含まれるサービス内容を確認することが大切です。

行政書士事務所によって対応する業務の範囲が異なり、ホームページに料金が掲載されていても、具体的なサービス内容までは分からない場合があるためです。

例えば、次のような項目は、依頼前に確認しておきたいポイントです。

確認項目確認する内容
遺言書の文案作成希望の聞き取りや文案の修正は含まれるか
相続人調査・戸籍収集戸籍の取得や相続関係の確認まで依頼できるか
公証役場との調整文案の事前確認や日程調整を任せられるか
証人の手配証人を手配してもらえるか、謝礼は別途必要か
作成当日の同行行政書士が同行するか、追加費用が必要か
その他の費用交通費や出張費などが別途発生するか

こうした内容を確認することで、単純な報酬額の比較では分からない、サービス範囲の違いを把握できます。

IT行政書士事務所では、公正証書遺言作成サポートの料金だけでなく、各プランに含まれる業務、対応していない業務、別途必要な費用までホームページで公開しています。

④公正証書遺言の費用に関するよくある質問

Q:行政書士に依頼せず、自分で公正証書遺言を作成できますか?

はい。行政書士に依頼しなくても、公証役場に直接相談して公正証書遺言を作成できます。

その場合、行政書士報酬はかかりませんが、公証人手数料や証人への謝礼などは必要です。

ただし、遺言内容の整理や必要書類の準備、公証役場との調整などは、ご自身で進めることになります。

準備を任せたい方は、公正証書遺言の作成で行政書士に依頼できることをご覧ください。

Q:行政書士と弁護士・司法書士では費用が違いますか?

行政書士、弁護士、司法書士のいずれも、依頼する事務所や業務内容によって報酬額が異なります。

また、対応できる業務の範囲にも違いがあります。

例えば、相続人間で争いが生じている場合の法律相談や交渉は弁護士への相談が必要です。

費用だけでなく、依頼したい内容に対応できる専門家を選ぶことが大切です。

詳しくは「遺言書は誰に頼むべき?行政書士・司法書士・弁護士の違いと失敗しない選び方」をご覧ください。

Q:公正証書遺言を作成した後、変更すると費用がかかりますか?

はい。公正証書遺言を作成した後に内容を変更する場合、新たな公正証書遺言を作成する方法などがあり、その手続きに応じた費用が必要になります。

行政書士に文案作成や公証役場との調整を依頼する場合は、別途報酬が発生することもあります。

なお、遺言書は一度作成したら変更できないものではありません。財産や家族の状況が変わった場合には、内容を見直すことができます。

詳しくは「遺言を撤回・変更したいときは書き直し?訂正?方法と注意点を解説」をご覧ください。

Q:公正証書遺言の作成費用を安く抑える方法はありますか?

行政書士に依頼せず、公証役場と直接やり取りすれば、行政書士報酬を抑えることができます。

また、必要書類をご自身で取得したり、証人の条件を満たす知人などに協力を依頼したりすることで、費用を抑えられる場合もあります。ただし、推定相続人や受遺者、その配偶者など、証人になれない人もいるため注意が必要です。

ただし、費用だけで判断せず、ご自身で対応できる範囲と専門家に任せたい業務を整理しておくことが大切です。

公正証書遺言と自筆証書遺言の費用を比較したい方は、「遺言書の作成費用はいくら?自筆・公正証書の違いと専門家への依頼費用を解説」も参考にしてください。

まとめ|行政書士に依頼する際は費用総額とサービス内容を確認しよう

公正証書遺言を行政書士に依頼する場合は、報酬額だけでなく、公証人手数料や証人への謝礼などを含めた総額を確認することが大切です。

また、行政書士事務所によって料金に含まれる業務の範囲が異なるため、金額だけでは単純に比較できません。

IT行政書士事務所では、公正証書遺言の作成に関する料金やサポート内容、別途必要な費用を公開しています。

具体的なサービス内容や料金については、以下のページをご覧ください。

LINEで相談 LINE相談