【行政書士が徹底解説】遺言書の種類・作成・トラブル回避まで完全ガイド|専門家による安心サポートとは?

目次

はじめに

「遺言書がなかったばかりに」——争族になってしまった家族の実話

ある60代の男性が突然亡くなりました。

家族は仲が良く、特に揉めることもないと思っていたそうです。ところが、遺産の分け方を巡って兄弟間でトラブルが勃発。親族会議は険悪になり、結局、相続の話は弁護士を立てての調停にまで発展してしまいました。

原因はただ一つ——「遺言書がなかった」こと。

「うちにはそんなに財産はないし」「家族同士、分かり合えるはず」……そう思って何もしないままにしていた結果、家族が争う事態になってしまったのです。

「遺言なんて、まだ早い」は危険です

多くの方が「遺言は特別な人が書くもの」と思いがちですが、それは誤解です。

実は、遺言書は残された家族への最高の思いやりであり、むしろ「財産が多くない人」や「少し複雑な家庭事情を持っている人」ほど、作っておく価値があります。

行政書士がサポートする、安心・確実な遺言書作成

遺言書は法的な書式や要件を満たしていないと「無効」になることもあるため、自分だけで完璧に仕上げるのは簡単ではありません。

そこで力を発揮するのが行政書士という国家資格者です。

行政書士は、遺言書の作成に関する法的な知識と実務経験を兼ね備えた専門家であり、法律に基づいた支援を提供できる数少ない士業の一つです(※法的根拠は後述)。

弁護士との違いも、この記事でわかりやすく解説していきます。

本記事で得られること

このガイドでは、以下のような疑問や不安にお応えします。

  • 遺言書って、そもそも必要なの?
  • 自筆、公正証書、どれを選べばいい?
  • 行政書士に頼むと何が違うの?
  • どうすれば無効にならない遺言を作れるの?

専門家目線とユーザー目線の両方からお届けしますので、ぜひ最後までお付き合いください!

1第1章|遺言書とは?基本と重要性を正しく理解する

1-1. 遺言書とは何か?

遺言書とは、自分の死後に財産をどのように分けるかを明確に記した文書です。

日本では民法に基づき、一定の形式・要件を満たした遺言であれば、法的な効力を持つ正式な文書として扱われます。

つまり、遺言書があれば、「誰に何を遺すか」を自分の意思で決められるのです。逆に、遺言がないと、遺産は民法の定める法定相続に従って分けられることになります。

1-2. なぜ遺言書が重要なのか?

「うちは兄弟仲がいいから揉めない」「そんなに財産はないし大丈夫」

そう思って遺言書を残さなかった人が、相続トラブルの中心になってしまうケースは少なくありません。

実際、遺産分割を巡る家庭裁判所の調停件数は、年間で1万件を超えています。そのほとんどが、事前に遺言書があれば防げたはずの争いです。

遺言書がないことで起こるトラブルの例

  • 法定相続通りに分けると、疎遠な親族にも相続権が発生する
  • 「長男に家を残したい」という意志が伝わらず、均等分割になってしまう
  • 特定の子に介護の感謝を伝えたかったが、金額に現れず不満が残る
  • 親族間での感情の対立が深まり、絶縁状態に…

このように、遺言書があるだけで「争族」を防ぎ、家族の未来を守ることができます。

1-3. 遺言書を作るべき人とは?

次のような方は、特に遺言書の作成をおすすめします。

  • 子どもが複数人いる(分け方で揉めやすい)
  • 特定の人に多く遺したい意向がある
  • 内縁関係のパートナーがいる(法律上の相続権なし)
  • 再婚・連れ子がいるなど、家族構成が複雑
  • 事業や不動産など、相続対象が「分けにくい資産」を持っている

また、近年では「自分の思いを言葉で残したい」という理由で遺言書を書く方も増えています。
単なる財産分けだけではなく、家族への感謝や願いを伝える手段としても、遺言書は大きな意味を持っています。

1-4. 遺言は元気なうちに作るべき理由

「体調が悪くなったら考える」「もう少し年をとってから」
遺言作成を後回しにする方は多いですが、それは非常に危険です。

遺言書は、作成者に意思能力があるときにしか有効に作れません。つまり、認知症や病気が進行してからでは、法的に無効となるリスクがあります。

また、突発的な事故や急死は誰にでも起こり得るものです。「まだ大丈夫」と思っていた人こそ、早めの準備が家族の安心につながります。

1-5. まとめ:遺言書は思いやりの証

遺言書は、「お金持ちのための特別な書類」ではありません。

それはむしろ、自分がいなくなった後も、家族が穏やかに過ごせるように願う思いやりの証です。

財産の多寡に関わらず、誰にでも関係があり、誰にでも作る権利がある。

それが「遺言書」です。

第2章|遺言書の種類と特徴【比較表つき】

2-1. 遺言書には3つの種類がある

日本の民法において、代表的な遺言書の形式は以下の3つです。

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言

それぞれに特徴・メリット・注意点があるため、「とりあえず書けばいい」というものではありません。

自分や家族の状況に合った形式を選ぶことが、トラブル回避の第一歩です。

2-2. 種類ごとの特徴を比較【早見表】

項目自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
作成方法全文を自分で手書き(※一部例外あり)公証人の前で作成内容を秘密にしたまま公証人に提出
費用ほぼ無料数万円〜(財産額に応じて変動)数千円〜
保管方法自宅 or 法務局公証役場で保管公証役場で保管
家庭裁判所での検認必要不要必要
無効になるリスク高い(不備・改ざん・紛失など)ほぼなし(プロが作成)中程度(内容に不備があれば無効)
秘密性高い(自己管理)低い(公証人や証人に内容が伝わる)非常に高い
実務上の利用頻度増加傾向(法務局保管制度開始により)最も多い・推奨される少ない(あまり利用されていない)

2-3. 自筆証書遺言:気軽に作れるが注意点も多い

特徴

  • 自分一人で、いつでもどこでも作れる
  • 費用がかからない

注意点

  • 民法の厳格な要件を満たさないと無効になる可能性が高い
  • 紛失・改ざん・偽造のリスクがある
  • 相続人が気づかず放置されることも…

補足(改正民法)

2020年から、一部の財産目録についてはパソコン作成・コピー添付が可能になりました。

また、法務局による自筆証書遺言の保管制度(2020年7月開始)により、検認が不要になるなど安全性が向上しています。

2-4. 公正証書遺言:確実性と安心を求めるならこれ

特徴

  • 公証役場で公証人が関与して作成
  • 法的な不備がほぼない
  • 証人2名の立会いが必要(行政書士が代行手配可)

メリット

  • 原本は公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配なし
  • 検認が不要なので、死後すぐに手続きに進める
  • 高齢者や身体の不自由な方でも柔軟に対応可能(出張作成など)

デメリット

  • 作成費用がかかる(財産額に応じて変動)
  • 証人に内容を知られることへの抵抗がある人も

2-5. 秘密証書遺言:秘密を守りたい人向け、だが実務的には非推奨

特徴

  • 内容を誰にも見せずに作成し、封印した状態で公証人に提出
  • 形式要件を満たせば、誰が書いたかは問われない

メリット

  • 内容を完全に秘密にできる
  • 書いたことの証明(存在の証明)だけを残せる

デメリット

  • 内容に不備があっても、公証人はチェックできない
  • 相続人が内容を確認するまで無効に気づかない可能性がある
  • 家庭裁判所の検認が必要

実務ではほとんど使われていない形式です。特別な事情がない限りは、自筆証書遺言 or 公正証書遺言を選びましょう。

2-6. あなたに合った遺言の形式とは?

状況おすすめの形式
自分で書く時間と知識がある自筆証書遺言(+法務局保管)
法的に確実な遺言を残したい公正証書遺言
完全に秘密にしておきたい秘密証書遺言(ただし非推奨)
高齢・入院中などサポートが必要公正証書遺言(出張可能)

2-7. 行政書士に相談することで「形式選び」もスムーズに

遺言書の種類によって、必要な準備や手続きは大きく異なります。

行政書士に相談することで、「どの形式が自分に最適か?」を一緒に検討できるのも大きなメリットです。

  • 書きたい内容に対して、どの形式がベストか
  • 家族構成や資産状況に応じたアドバイス
  • 実際の作成・申請サポートまで一括対応

形式を間違えると、せっかくの遺言が無効になる可能性もあります。

「とりあえず書く」のではなく、「ちゃんと残す」ためにも、行政書士のサポートが有効です。

第3章|行政書士ができる遺言業務とは?【法的根拠あり】

3-1. 行政書士とは?国家資格としての役割と信頼性

行政書士とは、「官公署に提出する書類や権利義務に関する書類の作成・相談・提出代理」を業とする国家資格者です。

遺言書に関しては、特に「法的に有効な書類作成のプロフェッショナル」として、実務の現場で重要な役割を担っています。

3-2. 法的に裏付けられた業務範囲(行政書士法の根拠)

行政書士が遺言に関する業務を担えるのは、以下の法的根拠に基づいています。

行政書士法第1条の2、第1条の3(業務)

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

行政書士法 (業務)第一条の二 第一条の三

このように、行政書士は法的に認められた形で遺言書の原案作成、内容相談、必要書類の作成、手続き支援まで行うことが可能です。

3-3. 弁護士・司法書士との違いとは?

「士業はどれも同じようなもの」と思われがちですが、実は以下のような違いがあります:

士業遺言作成に関する役割法的根拠・特徴
行政書士作成サポート・文案作成・形式チェック・内容アドバイス行政書士法により書類作成業務が可能
弁護士遺言内容に法的トラブルの争いがある場合の代理対応弁護士法による代理権・争訟対応が可能
司法書士原則、遺言作成支援は不可(書類作成業務は行政書士の独占)相続登記や不動産関連手続きが中心

つまり、「争いになる前に、法的に有効な遺言を作成する」という目的においては、行政書士が最適なパートナーです。

なお、弁護士が対応する場面は主に「相続争いがすでに起きている場合」です。

3-4. 行政書士に依頼できる具体的な内容

行政書士が対応可能な業務は以下のとおりです。

自筆証書遺言の場合

  • 遺言書の文案作成(法的要件を踏まえた助言)
  • 遺産目録や添付資料の作成サポート
  • 法務局保管制度の申請支援
  • 書き方のレクチャー、チェック

公正証書遺言の場合

  • 公証人との連絡調整
  • 必要書類の収集・作成
  • 依頼者の希望をもとにした文案作成
  • 証人の手配(※行政書士が証人になることも可能)

その他の関連支援

  • 家族構成・財産状況に応じた「争いにならない構成」のアドバイス
  • 家庭裁判所での検認に備えた書類の整理
  • 相続開始後のサポート(行政書士が相続業務も行っている場合)

3-5. 実務に強い行政書士の価値とは?

多くの行政書士は、相続や遺言に関する相談を日常的に受けており、実務に精通しています。

そのため、次のような価値を提供できます。

  • 「将来揉めるかもしれない要素」を事前に察知し、構成を工夫できる
  • 相続人同士の関係性に配慮した文面づくり
  • ご本人の意思と法的要件の両立を図る翻訳者のような役割

また、行政書士は報酬体系が明確で、気軽に相談しやすい士業としても人気です。

弁護士に相談するほど深刻な状態ではないが、「正確で安心な遺言を残したい」という方にとって最適な相談先と言えるでしょう。

3-6. 行政書士に相談するタイミングとは?

以下のようなタイミングで、行政書士への相談を検討すると良いでしょう。

  • 「遺言が必要かどうか、まず聞いてみたい」
  • 「書いてみたけど不安なのでチェックしてほしい」
  • 「法務局の保管制度を使いたいけど手続きが不安」
  • 「家族に迷惑をかけずに、自分の想いを伝えたい」

3-7. まとめ:行政書士は争族を防ぐプロ

行政書士は、遺言の制度や法律を熟知し、「家族が争わないための最適な設計」を一緒に考えるパートナーです。

「遺言を作る」という行動を通じて、残された家族が安心できる未来を支える。それが行政書士の遺言支援の本質です。

来を見据えることができるでしょう。

第4章|行政書士に依頼するメリットと選び方

4-1. 「自分で書く」では危険?専門家に依頼する意味とは

インターネットには、遺言書の書き方に関する情報が多数あります。

そのため「自分で調べて、自分で書けばいい」と考える方も多いのですが、結論から言うと、その判断にはリスクがあります。

よくある自己流の失敗例

  • 書式や要件を満たしておらず「無効」となってしまう
  • 意図しない人に財産が渡る文面になっていた
  • 曖昧な表現が相続人間のトラブルを生む
  • 本人が認知症と判断され、遺言が否定される

遺言書は一度作って終わりではありません。

「法的に有効で、家族が迷わず動けるかどうか」が最も重要です。その点で、法律と実務のプロである行政書士の支援は、大きな意味を持ちます。

4-2. 行政書士に依頼する5つのメリット

① 法的に有効な遺言書を作成できる

行政書士は、民法や行政書士法などの法律知識を有し、形式要件や表現方法にも精通しています。「せっかく書いたのに無効だった」という最悪の事態を防げます。

② 客観的な立場でアドバイスをもらえる

家族関係が複雑な場合も、第三者として冷静に提案・調整が可能です。
感情的になりがちな場面でも、中立的な視点でサポートします。

③ 公証人との調整・証人手配なども任せられる

公正証書遺言の作成では、公証人とのやり取りや証人の用意が必要です。
行政書士に依頼すれば、面倒な実務をまるごと代行してもらえます。

④ 家族状況や相続財産の整理からサポートしてくれる

「まず何から始めたらいいのか分からない」という方にも、相続人の確定や財産目録の作成など、ゼロから丁寧に対応してくれるのが行政書士です。

⑤ 継続的なサポートも可能

行政書士事務所によっては、遺言作成後の定期的な見直しや保管サービス、将来の相続サポートまで一括で対応してくれる場合もあります。

4-3. 良い行政書士の選び方|失敗しないためのチェックポイント

遺言は人生の最終メッセージとも言える大切なものです。

だからこそ、信頼できる行政書士に依頼することがとても重要です。

以下のチェックポイントを参考にしてください。

相続・遺言の業務経験が豊富か

ホームページに事例や取扱件数が記載されているかをチェック。

初回相談が丁寧か

質問に対して親身かつ具体的に答えてくれるかは、非常に重要なポイント。

費用が明瞭か

相談料・文案作成・証人手配・公証人との連携など、費用項目が明確かどうかを確認。

必要に応じて他士業(弁護士・税理士等)と連携できる体制があるか

複雑な相続案件にも対応できる、ワンストップ体制が理想。

4-4. 相性も大切に!

遺言の作成は、とてもプライベートでセンシティブな作業です。

だからこそ、「この人になら相談できる」と思える相性も大切。

実際、「どんなことまで話していいの?」「家族に知られずに進めたい」など、細かな配慮が求められる場面は多くあります。

相性の良い行政書士なら、あなたの意向や悩みに寄り添いながら、安心感を持って作業を進めることができます。

4-5. まとめ:行政書士は安心して任せられるパートナー

遺言作成は、家族の未来を守るための準備です。

その重要なステップを、信頼できるプロと一緒に進めることは、結果としてご自身の安心にもつながります。

行政書士は、法的知識だけでなく、実務や人間関係の機微にも精通しています。
だからこそ、「頼れるパートナー」として、多くの方に選ばれているのです。

第5章|失敗しないための遺言書作成チェックリスト20選

5-1. 「書けば安心」は危険。遺言書は内容と形式が命

遺言書は書いた時点で「終わり」ではありません。

むしろ重要なのは、それがきちんと効力を持ち、遺された家族がトラブルなく実行できることです。

しかし実際には、不備や誤解によって無効になったり、家族が揉めたりするケースが後を絶ちません。

ここでは、行政書士の視点から見た「よくある失敗」と、それを防ぐためのチェックリスト20項目をご紹介します。

5-2. 【基本編】作成前に必ず確認したい10項目

チェック内容
✅ 1遺言書が必要な理由が明確か?(誰に何を残したいのか整理できている)
✅ 2相続人の一覧を把握しているか?(戸籍などをもとに法定相続人を確認)
✅ 3遺産の内容をリストアップしているか?(預貯金・不動産・有価証券など)
✅ 4借金や負債の確認も済んでいるか?(相続放棄の判断にも関わる)
✅ 5法定相続分と異なる分け方をする理由があるか?(明確に記述が必要)
✅ 6遺留分の侵害リスクを理解しているか?(最低限の相続分を請求される可能性)
✅ 7認知症や意思能力のリスクに備えているか?(早めの作成が鉄則)
✅ 8過去の遺言との整合性は取れているか?(最新が有効でも、内容に齟齬がないか)
✅ 9遺言執行者を定める予定か?(信頼できる人や専門家を指定すると安心)
✅ 10遺言の保管方法まで考えているか?(自筆の場合、法務局保管制度も検討)

5-3. 【文書作成編】実際に書くときに注意したい10項目

チェック内容
✅ 11民法で定められた形式を正しく守っているか?(日付・署名・押印など)
✅ 12文言に曖昧な表現がないか?(「できれば」などはNG)
✅ 13受取人や財産の記載が明確か?(「長男」「現金」では不十分)
✅ 14「全財産のうち◯%」など割合での記述は適切か?(不動産などでトラブルになりやすい)
✅ 15封筒や封印の仕方に不備はないか?(特に秘密証書遺言の場合)
✅ 16財産が複雑な場合、別紙の財産目録を添付しているか?
✅ 17遺言執行者について具体的に記載しているか?(氏名・住所など)
✅ 18不満が出そうな相続人へのメッセージも配慮しているか?(トラブルの火種を減らす)
✅ 19公正証書遺言なら、公証人・証人との調整が済んでいるか?
✅ 20作成後に第三者によるチェックを受けたか?(行政書士などのプロによる最終確認)

5-4. チェックリストが「遺言を実効性のあるもの」に変える

このようなチェックを丁寧に行うことで、遺言書は「ただの紙切れ」ではなく、家族の未来を守る力のある法的文書になります。

そして、それを一緒に確認し、法的な有効性・実行可能性の両面から支援できるのが行政書士の役割です。

5-5. 自分ひとりで悩まず、まずは専門家に聞いてみよう

「正しい書き方ができているか不安」
「本当にこれでいいのか誰かに見てほしい」

そう思ったときが、行政書士に相談するベストタイミングです。

チェックリストに一つでも「不安」があるなら、一度プロと一緒に確認するだけで、トラブルの芽を大きく減らすことができます。

第6章|【ケース別】あなたに合った遺言書とサポート方法

遺言書にはさまざまな種類があると前章でご紹介しましたが、実際に「どの遺言を、どんなタイミングで、どんなふうに作るべきか?」は、個人の状況によって大きく変わります。

この章では、行政書士がよく相談を受ける代表的なケースを5つ取り上げ、それぞれに合った遺言書の形式・ポイント・行政書士の活用方法を解説します。

ケース①|子どもが複数いる一般家庭:兄弟仲を壊さない遺言を残したい

よくある状況

  • 持ち家と預貯金が主な資産
  • 長男と次男の仲は悪くないが、金額次第でトラブルになりそう

リスク

  • 法定相続分どおりに分けたくない(介護の偏りなど)
  • 特定の財産に固執する相続人がいると争いの火種に

おすすめ

  • 公正証書遺言+遺言執行者の指定
  • 財産配分の根拠を明記し、感謝や思いも文章で補足

行政書士の役割

  • 財産の整理から配分の相談まで一緒に検討
  • トラブル回避のための文案設計
  • 家族への説明戦略までサポート可能

ケース②|再婚・前妻との子がいる:複雑な家族構成を整理したい

よくある状況

  • 現在の配偶者とその子、前妻との間の子がいる
  • 法定相続人が複数系統にまたがっている

リスク

  • 遺言がないと、「前妻の子にも相続権」が発生
  • 遺産配分で新しい家庭が不利になる可能性も

おすすめ

  • 公正証書遺言+明確な配分+遺言執行者の指定
  • 相続トラブルを避けるための配慮ある文面が必要

行政書士の役割

  • 複雑な相続関係図の作成
  • 相続トラブルのリスク分析
  • 配慮ある文章づくりのアドバイス

ケース③|事業承継したい:家業・会社をスムーズに引き継がせたい

よくある状況

  • 中小企業のオーナーで、後継者を指定したい
  • 他の相続人への不公平感が心配

リスク

  • 会社株式や事業用資産をめぐる争い
  • 遺言がなければ「分散相続」で経営が不安定に

おすすめ

  • 公正証書遺言+後継者指定+会社の定款整備
  • 税理士・司法書士・社労士などとの連携も検討

行政書士の役割

  • 法的に有効な形で株式・事業資産の移転設計
  • 相続後の登記・契約変更のサポート連携も可能

ケース④|内縁関係のパートナーがいる:相続権がない相手に残したい

よくある状況

  • 事実婚のパートナーと長年生活
  • 法的な婚姻関係がないため、相続権がない

リスク

  • 遺言がなければ、パートナーには一切相続されない
  • 家族との関係次第では、住む家から追い出されるケースも

おすすめ

  • 公正証書遺言+明確な遺産の指定+住居の権利保全
  • 生命保険・死因贈与契約との併用も視野に

行政書士の役割

  • 法的に有効な支援+感情的トラブルの予防策を設計
  • 他の士業との連携も含めた総合提案

ケース⑤|障がいのある子に遺したい:生活保障をしっかり残したい

よくある状況

  • 障がいのある子がいて、長期的な生活支援を残したい
  • 他のきょうだいとの公平性も気になる

リスク

  • 障がい者本人が遺産管理できない
  • 相続人間で「介護・お金」のバランスでトラブルに

おすすめ

  • 公正証書遺言+遺言信託・成年後見制度との連携
  • 遺言執行者・管理人の指定が必須

行政書士の役割

  • 各制度の組み合わせ提案(成年後見・信託など)
  • 家族内の合意形成をサポートする説明資料の作成

ケース⑥|子どものいない夫婦:配偶者にすべて遺したい

よくある状況

  • 長年連れ添った夫婦だが子どもはいない
  • 両親や兄弟姉妹が法定相続人になる可能性あり

リスク

  • 遺言がないと、配偶者と兄弟姉妹で法定相続分を分けることになる
  • 親族と配偶者の間で「財産の取り合い」が発生することも

おすすめ

  • 公正証書遺言+全財産を配偶者に相続させる明記
  • 不動産の名義整理や遺贈事項の追加も検討

行政書士の役割

  • 相続関係説明図の作成
  • 将来の相続登記・名義変更も見据えたアドバイス
  • 相続人(兄弟姉妹など)とのトラブル回避策を提案

ケース⑦|相続人がいない:財産の行き先を自分で決めたい

よくある状況

  • 独身または相続人がいない/疎遠な親族のみ
  • できれば寄付やお世話になった人に残したい

リスク

  • 遺言がなければ、国庫(国の財産)に吸収される
  • 意思が反映されず「誰にも残らない」結果に

おすすめ

  • 公正証書遺言+寄付先・受遺者の指定
  • 必要に応じて死因贈与契約なども活用

行政書士の役割

  • 寄付先団体の調査や条件付き贈与の設計
  • 受遺者への通知文書の作成
  • 財産管理の整理・記録支援

ケース⑧|親と同居中のひとり娘:他の兄弟と揉めたくない

よくある状況

  • 介護や看取りまで親と生活していた一人娘がいる
  • 他の兄弟姉妹は遠方で、関与が少なかった

リスク

  • 法定相続分では均等に分けられてしまい、不公平感が発生
  • 「家を出ていけ」と言われる事態にもなりかねない

おすすめ

  • 公正証書遺言+居住権の確保+感情面の補足文章
  • 家だけでなく、金銭面の補償バランスにも配慮

行政書士の役割

  • 相続人間の不満を抑えるための配慮設計
  • 居住権を守るための民法・不動産知識の提供
  • 遺留分侵害にならない範囲での分割設計

6-9. 自分にピッタリの遺言スタイルは、専門家との対話から

自分に合った遺言の形は、財産の額よりも家族構成と関係性に左右されることが多いです。

行政書士は、法律の知識だけでなく、家族関係や背景をふまえた「設計力」を持っています。

「自分はどのケースに当てはまるんだろう?」
そう思ったら、まずは気軽に相談してみてください。
行政書士との対話を通じて、あなたに最適な遺言スタイルが見えてくるはずです

第7章|Q&A:よくある質問に行政書士が答えます

遺言書の作成について、初めて考えた方が抱える疑問や不安はさまざまです。

ここでは、行政書士が実際によく受ける質問をQ&A形式でまとめました。

基本から実務まで、あなたの「これが知りたかった」に答えます!

Q1. 遺言書って何歳から作るべきですか?

A. 意思能力があり、16歳以上であれば誰でも作成可能です。

特に「相続人が複数いる方」「家族関係が複雑な方」「持ち家がある方」は、60代前後からの作成をおすすめします。

早く作っておけば、将来的に何度でも書き直しが可能です。

Q2. 遺言書を作成したあと、変更や取り消しはできますか?

A. はい、可能です。

遺言は最新の日付のものが有効になります。

ただし、公正証書遺言の場合は再度公証役場で手続きが必要です。行政書士に定期的な見直し相談をしておくと安心です。

Q3. 遺言書を家族に内緒で作ることはできますか?

A. できます。

自筆証書遺言であれば完全に非公開で作成可能ですし、公正証書遺言でも、証人や公証人以外には内容は明かされません。

行政書士には守秘義務がありますので、安心してご相談ください。

Q4. 自分で書いた遺言書を、誰かに見てもらうことはできますか?

A. はい、行政書士が文面や内容のチェックを行います。

「法的に有効な形式か?」「誤解を生まない表現か?」「意図どおりに実行されるか?」など、多面的に確認できます。

第三者の目での確認は、トラブル防止に非常に有効です。

Q5. 遺言書に財産を書き忘れたら、どうなりますか?

A. 書き忘れた財産は、法定相続分で分割されます。

つまり、遺言の効力が及ばない財産は通常の相続扱いになります。
こうした抜け漏れを防ぐためにも、財産目録の作成や行政書士のサポートが有効です。

Q6. 遺言書に「想い」や「メッセージ」も書いていいんですか?

A. はい、大いに書いてください。

遺言は法律文書ですが、感謝や謝罪、家族への想いを伝える「付言事項」も非常に重要です。
感情的な衝突を和らげる力がありますし、相続人の納得感にもつながります

Q7. 認知症になったら、遺言は作れませんか?

A. 原則として「意思能力」が失われた状態では無効になります。

だからこそ、元気なうちに作っておくことが最大の防衛策です。
すでに軽度認知症などの疑いがある場合は、医師の診断書などの準備も含めて、行政書士に相談しましょう。

Q8. 公正証書遺言の費用はどれくらいかかりますか?

A. 財産額と内容によって異なりますが、一般的には5万〜10万円前後が目安です。

(公証役場手数料+行政書士報酬)

詳しい内訳は、行政書士が無料見積もりをしてくれるケースが多いので、気軽に問い合わせてみましょう。

Q9. 遺言執行者って、必ず指定しなきゃいけないの?

A. 必須ではありませんが、指定しておくことを強くおすすめします。

執行者がいないと、相続人全員の合意が必要になり、手続きが煩雑になります。
行政書士が遺言執行者に就任できる場合もあります。

Q10. 一度相談したら、その場で依頼しなきゃいけませんか?

A. いいえ、まったくそんなことはありません!

初回相談は無料の事務所も多く、「ちょっと聞いてみたい」だけでもOKです。
納得してから依頼すれば大丈夫ですし、無理に進めることはありませんのでご安心ください。

7-11. Q&Aのまとめ:疑問は、動き出すきっかけになる

遺言に関する不安や疑問を持つことは、ごく自然なことです。

でも、それを「きっかけ」にして、一歩踏み出せた人だけが、安心できる未来を手にしています。

「こんなこと聞いてもいいのかな…」という小さな疑問でも、行政書士は丁寧に答えてくれます。
まずは、疑問をそのままにせず、プロに聞いてみることから始めてみませんか?

まとめ|遺言書作成は、家族への最大の思いやり

「遺言書って、お金持ちが作るものでしょう?」
「うちは家族仲がいいから必要ないと思ってました」

そんなふうに思っていた方も、この記事を通して、遺言書の本当の意味と重要性を感じていただけたのではないでしょうか。

遺言書は争族を防ぎ、家族を守る力がある

遺言書は、相続の場面でトラブルを未然に防ぎ、「残された家族の未来の安心」を守るツールです。

しかも、法的な効力を持たせるためには、正しい形式・正確な内容・実現可能な構成が求められます。

つまり、「書くこと」そのものよりも、「どう書くか」「どう残すか」が極めて重要なのです。

行政書士は、遺言書作成を法的に支援できる専門家

弁護士と並び、法的に遺言作成支援が認められている国家資格者である行政書士は、以下の点で非常に頼れる存在です。

  • 民法・行政書士法に基づいた正確な文案の作成
  • 財産や家族構成に応じた「争わない」設計支援
  • 公正証書遺言の手配、証人の用意、法務局保管のサポートも可能

一人で悩まず、相談すること自体がリスク回避の第一歩になります。

今こそ、動き出すタイミングです

「まだ元気だから大丈夫」
「書くとしても、いつかでいいや」

そう思っている方こそ、今がベストタイミングです。

なぜなら、遺言書は元気なうちにしか作れないものだから。
突然の病気や事故、意思能力の低下は、誰にでも起こりうるリスクです。

準備が早ければ早いほど、
✔ 家族との時間に余裕を持って話ができ、
✔ 遺言の見直しや更新も自由に行え、
✔ 自分らしい意思表示が可能になります。

まずは一歩、「相談」から始めてみましょう

行政書士は、あなたの想いと法律をつなぎ、かたちにするサポーターです。

どんな些細なことでも、「こんなこと聞いていいのかな?」ということでも構いません。

この記事を読んで「少しでも気になった」「自分も考えておくべきかも」と思った方は、ぜひ一度、お近くの行政書士へ相談してみてください。

あなたと、あなたの大切な人の未来のために。

それが、今日できる小さな一歩です。