遺言書は、相続トラブルを防ぐために重要な役割を果たします。しかし、一口に遺言書といっても、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類が主に利用されています。それぞれの違いや特徴、メリット・デメリットを理解することで、自分や家族にとって最適な遺言書の作成方法を選ぶことができます。この記事では、これら2つの遺言書について詳しく解説し、選び方のポイントをお伝えします。
目次
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言の定義
自筆証書遺言とは、遺言者が自分で全文を手書きして作成する遺言書のことを指します。民法では、遺言者の自由意思を尊重し、簡単に作成できるように規定されています。
自筆証書遺言のメリット
- 作成が簡単
自宅で紙とペンさえあれば作成可能です。専門家の立ち会いも不要なため、手軽に始められます。 - 費用がかからない
作成に特別な費用が発生しないため、経済的です。 - 内容を自由に変更できる
必要に応じて、内容をすぐに書き換えることができます。
自筆証書遺言のデメリット
- 形式不備による無効リスク
法律で定められた形式に沿っていない場合、無効となる可能性があります。例えば、日付や署名の記載漏れが問題となります。 - 紛失や改ざんのリスク
自宅保管が主流のため、第三者による改ざんや紛失の危険性があります。 - 検認手続きが必要
自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが義務付けられており、相続手続きがスムーズに進まない場合があります。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言の定義
公正証書遺言は、公証役場で公証人が遺言者の意思を確認しながら作成する遺言書です。証人2名の立ち会いが必要で、公証人が遺言内容を記録し、公的な書類として保管します。
公正証書遺言のメリット
- 法的な確実性が高い
公証人が作成するため、形式不備の心配がありません。また、無効になるリスクが極めて低いです。 - 改ざんや紛失のリスクがない
遺言書は公証役場で保管されるため、第三者による改ざんや紛失の心配がありません。 - 検認手続きが不要
公正証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが不要で、スムーズに相続手続きを進められます。
公正証書遺言のデメリット
- 作成費用がかかる
公証人の手数料や証人への謝礼が必要で、費用面での負担が発生します。 - 手続きが煩雑
公証役場への出向や証人の手配が必要で、作成までに時間と手間がかかる場合があります。 - 内容の変更が難しい
内容を変更する場合も、再び公証役場での手続きが必要です。
自筆証書遺言と公正証書遺言の選び方
相続内容の複雑さに応じて選ぶ
財産や相続人が少なく、トラブルのリスクが低い場合は、自筆証書遺言でも十分対応できます。一方、財産が多い場合や相続人同士のトラブルが懸念される場合は、公正証書遺言を選ぶ方が安心です。
費用を考慮して選ぶ
費用を抑えたい場合は自筆証書遺言が適していますが、信頼性を重視する場合は公正証書遺言がおすすめです。
作成の手間を考える
時間や手間をかけたくない場合は、簡易に作成できる自筆証書遺言を検討しましょう。
自筆証書遺言と公正証書遺言に関するよくある質問
Q1: 自筆証書遺言はパソコンで作成できますか?
いいえ。自筆証書遺言は、全文を遺言者本人が手書きで作成する必要があります。ただし、財産目録についてはパソコンで作成することが認められています。
Q2: 証人をどのように選べばよいですか?
公正証書遺言の証人は、法的に利害関係のない成人を選ぶ必要があります。弁護士や行政書士、信頼できる友人、知人に依頼すると良いでしょう。
Q3: 自筆証書遺言の保管方法は?
近年では、法務局の「遺言書保管制度」を利用することで、安全に保管できます。
まとめ:遺言書の作成でトラブルを防ごう
自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれメリットとデメリットがあります。自分の状況やニーズに合った遺言書を選ぶことで、相続トラブルを未然に防ぎ、家族に安心を提供できます。
遺言書の作成を検討している方は、専門家に相談するのも一つの方法です。適切なアドバイスを受けながら、信頼性の高い遺言書を準備してみましょう!