親が亡くなった後の手続き|子どもが最初の週末にやることを順番に解説

病院で親を見守る子どもを表した、親が亡くなった後の手続きの記事アイキャッチ

親の葬儀を終え、仕事に復帰して最初の週末を迎えたものの、相続や各種手続きにはほとんど手を付けられていない。そんな状況に、不安や焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。

葬儀の前後には、おじ・おばなどの親族から、「預金は早めに下ろしたほうがいい」「長男が中心になって進めるべきだ」など、さまざまな意見を言われることもあります。しかし、親族の経験や家族内の慣習が、今回の相続にそのまま当てはまるとは限りません。

親が亡くなった後の手続きには、期限のあるものと、急いで決める必要のないものがあります。まずは全体像を把握し、遺言書、相続人、財産と借金の状況を並行して確認しながら、優先順位を付けて進めることが大切です。

また、仕事を続けながら、役所や金融機関への連絡、戸籍や財産資料の収集、兄弟姉妹との調整まで行うのは、想像以上に大きな負担になります。すべてを子ども一人で抱え込む必要はありません。自分で進められることと、行政書士などの専門家に相談したほうがよいことを分けて考えることも重要です。

この記事では、親が亡くなった後に必要な手続きの全体像を時系列で示したうえで、最初の週末に整理しておきたいことや、親族の意見に振り回されずに進めるための考え方を解説します。

目次

①親が亡くなった後に必要な手続きの全体像

親が亡くなった後は、死亡届や葬儀後の届出だけでなく、遺言書の有無、相続人、財産と借金の確認を進める必要があります。そのうえで、原則3か月以内の相続放棄・限定承認、4か月以内の準確定申告、10か月以内の相続税申告など、期限のある手続きにも対応します。

ただし、すべてを順番に一つずつ終わらせるわけではありません。遺言書、相続人、財産と借金は並行して確認し、情報がそろってから遺産分割や名義変更へ進みます。

相続手続き全体の流れや期限を先に確認しておくと、今やるべきことと、後から進めることを整理しやすくなります。詳しくは、相続手続きの流れと期限を詳しく確認するをご覧ください。

親の相続手続きがすべて終わるまでに、どの程度の期間を見込めばよいかは、親の相続手続きが完了するまでの期間で解説しています。

②最初の週末に子どもが整理しておきたいこと

親の葬儀後、週末に実家で通帳や契約書など相続関係の書類を整理する40代女性
仕事に復帰した後、週末を使って実家の通帳や契約書などを整理し、相続手続きを始める様子

葬儀が終わり、仕事に復帰して最初の週末を迎えた段階では、相続手続きを一気に終わらせる必要はありません。

まずは、すでに終わったこと、これから確認すること、平日に対応することを分けて整理しましょう。最初の週末の目的は、手続きを完了させることではなく、今後の見通しを立てることです。

葬儀までに終わった手続きを確認する

死亡届や火葬許可申請などは、葬儀社やほかの家族が手続きを進めていることがあります。

誰が、どの手続きを、どこまで行ったのかを確認し、手帳や表計算ソフトなどに記録しておきましょう。

健康保険、介護保険、年金などについても、届出や返却が済んでいるか確認します。完了した手続きと未完了の手続きを分けておくと、同じ手続きを重ねて行ったり、家族同士で認識がずれたりするのを防ぎやすくなります。

親に関する書類を一か所に集める

親の自宅や手元にある書類は、内容がよく分からないものも含め、一か所に集めます。

たとえば、次のようなものです。

  • 通帳、キャッシュカード、クレジットカード
  • 固定資産税の通知書、不動産の権利証
  • 生命保険や証券会社からの郵便物
  • 借入金やローンに関する書類
  • 確定申告書や源泉徴収票
  • 遺言書やエンディングノート
  • 公共料金や携帯電話などの請求書

この段階で、必要か不要かを判断して処分するのは避けましょう。一見すると関係のなさそうな郵便物が、財産や借金、契約先を確認する手がかりになることがあります。

今後必要な手続きを一覧にする

集めた書類を見ながら、これから必要になりそうな手続きを書き出します。

すぐに対応するもの、期限を確認するもの、ほかの相続人と相談してから進めるものに分けると整理しやすくなります。

すべてをその場で終わらせる必要はありません。まずは「確認済み」「未確認」「平日に対応」の3つに分けて整理しましょう。

確認内容主な確認先・資料期限平日の対応
死亡届・火葬許可申請が済んでいるか葬儀社、市区町村、家族の記録死亡の事実を知った日から7日以内必要な場合あり
健康保険・介護保険の手続きが済んでいるか保険証、市区町村、健康保険組合手続きにより異なる原則必要
年金に関する届出が必要か年金証書、年金事務所、市区町村手続きにより異なる原則必要
遺言書が残されていないか自宅、貸金庫、公証役場、法務局明確な期限なし。ただし早めに確認公証役場・法務局への照会は平日
相続人になりそうな人は誰か戸籍、家族関係のメモ相続放棄の判断に間に合うよう早めに確認戸籍取得は平日窓口が中心。郵送・オンライン対応の場合あり
預貯金・不動産・保険・有価証券があるか通帳、郵便物、固定資産税通知書、保険証券明確な期限なし。ただし3か月以内の判断に備える金融機関などへの照会は平日が中心
借入金・未払金・保証債務がないか借入契約書、請求書、通帳、郵便物相続放棄の判断に備え、原則3か月以内を意識金融機関などへの照会は平日が中心
相続放棄・限定承認を検討する必要があるか財産と借金の調査結果原則3か月以内家庭裁判所への確認・提出は平日対応が中心
準確定申告が必要か源泉徴収票、確定申告書の控え、通帳原則4か月以内税務署や税理士への相談は平日が中心
相続税申告が必要か財産資料、相続人関係資料原則10か月以内税務署や税理士への相談は平日が中心
親名義の契約を継続・解約する必要があるか公共料金、携帯電話、カード、賃貸借契約の資料契約ごとに異なる事業者への連絡は平日が中心の場合あり
兄弟姉妹などへ共有する内容は何か確認済みの資料、手続き一覧明確な期限なし。ただし早めの共有が望ましい不要
自分で進めることと専門家へ相談することをどう分けるか手続き一覧、平日に動ける日、家族の分担状況期限の短い手続きから判断相談は平日が中心。事務所により土日対応あり

すべてを週末のうちに終わらせる必要はありません。期限と平日の対応が必要かどうかを確認し、翌週以降の予定を立てましょう。

平日に対応する手続きを洗い出す

相続手続きのなかには、役所、金融機関、法務局、税務署など、平日に連絡や訪問が必要になるものがあります。

最初の週末には、各窓口の受付時間、予約の要否、必要書類を調べておきましょう。平日に休みを取る必要があるのか、昼休みや電話で対応できるのかも確認します。

事前に確認しておけば、せっかく休みを取ったのに書類が足りず、手続きができないといった事態を減らせます。

兄弟姉妹などと情報を共有する

確認できた内容は、兄弟姉妹など相続人になり得る人と共有します。

共有するのは、財産の分け方ではなく、現時点で分かっている事実です。

たとえば、手元にある書類、見つかった財産や借金、未完了の手続き、親族から言われたことなどを伝えます。

早い段階で情報を共有しておくと、子どものうち一人だけに負担や情報が集中するのを防ぎやすくなります。また、後から「聞いていない」「勝手に進めた」と言われるリスクも減らせます。

最初の週末に大切なのは、手続きを急いで終わらせることではありません。書類、期限、窓口、家族との連絡状況を整理し、翌週から何を進めるかを見える形にすることです。

③遺言書・相続人・財産を並行して確認する

遺言書、戸籍と家系図、預貯金や不動産の資料を並べて確認する相続人
相続手続きを始める際は、遺言書の有無、相続人の範囲、預貯金や不動産などの相続財産を並行して確認します。

葬儀後の相続手続きでは、遺言書、相続人、財産と借金の3つを並行して確認します。

どれか一つが終わってから次へ進むのではありません。遺言書の有無を調べながら戸籍を集め、同時に通帳や郵便物などから財産と借金の手がかりを探します。

これらの確認には時間がかかることがあります。最初から完全な情報を集めようとせず、分かったことと未確認のことを記録しながら進めましょう。

遺言書が残されていないか確認する

まず、自宅の書斎や金庫、重要書類の保管場所、貸金庫などを確認します。エンディングノートや専門家の名刺、信託銀行などからの郵便物も、遺言書の存在を知る手がかりになります。

自宅で見つからなくても、公正証書遺言や法務局で保管されている自筆証書遺言が存在する場合があります。親が生前に相談していた行政書士、司法書士、弁護士などが分かる場合は、連絡の要否を確認しましょう。

自宅などで封のある遺言書を見つけても、その場で開封しないことが大切です。遺言書の種類や保管方法によって必要な対応が異なるため、内容を確認する前に家庭裁判所や専門家へ相談します。

遺言書があるかないかによって、遺産を分ける手続きが変わる可能性があります。「おそらくない」と決めつけず、確認先を一つずつ整理しましょう。

相続人になり得る人を確認する

相続人の確認は、家族が把握している親族関係だけで決めるのではなく、戸籍を集めて進めます。

まずは、亡くなった親の本籍地や最後の住所、配偶者や子どもの氏名、生年月日など、分かる範囲で家族関係を整理しましょう。

親に離婚歴や再婚歴がある場合、前の配偶者との間に子どもがいる可能性もあります。また、家族が知らなかった認知された子どもが判明することも考えられます。

そのため、兄弟姉妹のなかで「相続人は自分たちだけ」と早い段階で決めつけるのは避けましょう。

そのため、兄弟姉妹のなかで「相続人は自分たちだけ」と早い段階で決めつけるのは避けましょう。相続人が確定する前に遺産の分け方を決めると、後から話し合いをやり直すことになりかねません。

戸籍の収集には時間がかかる場合があります。平日に役所へ行けないときは、郵送請求や広域交付制度を利用できるか確認し、難しければ行政書士などへの依頼も検討します。

実務コラム|戸籍調査で母方の連れ子にも相続権があると判明したケース
当事務所で実際にあったケースです。

ご両親はともに再婚で、それぞれに連れ子がいる再婚同士でした。父が亡くなった後、父の実子である長男から、相続人を確認するための戸籍調査をご依頼いただきました。

戸籍を調査した結果、法定相続人は、配偶者である母、長男ご本人、母方の連れ子である弟と妹の4人であることが分かりました。

その結果をお伝えしたところ、長男は「相続権があるのは母と自分だけだと思っていた」と認識されていました。弟と妹は父と血縁関係がないため、相続人にはならないと考えていたのです。

しかし、戸籍上、弟と妹は父と養子縁組をしていました。そのため、法律上は父の子として相続権があり、長男と同じく法定相続人に該当します。

このケースのように、再婚家庭では、血縁だけで相続人を判断すると、本来の相続人を見落とすおそれがあります。誰が相続人になるかは、家族の認識だけで決めず、戸籍をたどって養子縁組の有無まで確認することが重要です。

財産と借金に関する資料を集める

財産調査では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金なども確認します。

最初の段階では、次のような資料を一か所に集めましょう。

分類主な手がかり
預貯金通帳、キャッシュカード、銀行からの郵便物
不動産固定資産税の通知書、権利証、売買契約書
有価証券証券会社からの取引報告書や郵便物
保険保険証券、保険会社からの案内
借金借入契約書、返済予定表、督促状
未払金クレジットカード明細、医療費や施設費の請求書
その他の契約携帯電話、公共料金、サブスクリプションの請求書

通帳の履歴や郵便物から、取引先や契約先が見つかることもあります。内容が分からない書類も、すぐに捨てずに保管してください。

借金がある可能性がある場合は、預金を引き出したり、親の財産を処分したりする前に専門家へ確認した方が安全です。

確認できた情報を相続人同士で共有する

相続関係の書類を囲み、情報共有と役割分担について話し合う40代から50代の兄弟姉妹3人
相続手続きは、兄弟姉妹で情報を共有し、書類収集や財産確認などの役割を分担すると進めやすくなります。

確認できた情報は、一人で抱え込まず、兄弟姉妹など相続人になり得る人と共有します。

この段階で共有するのは、遺産の分け方に関する希望ではなく、確認できた事実です。

たとえば、次のように整理します。

  • 遺言書を探した場所と確認結果
  • 取得済みの戸籍
  • 判明した財産と借金
  • まだ確認できていないこと
  • 誰がどの確認を担当しているか

共有方法は、メールや家族用のチャット、共有できる表計算シートなど、記録が残るものが適しています。口頭だけで伝えると、後から認識が食い違うことがあります。

全体像が分かる前に遺産の分け方を決めない

葬儀の前後に、親族から「自宅は長男が継ぐ」「預金はこのように分ければよい」などと提案されることがあります。

しかし、遺言書、相続人、財産と借金が確認できていない段階では、適切な判断はできません。

親族の意見はメモに残しつつ、その場で結論を出さないようにしましょう。まずは事実関係を調べ、相続人全員で情報を共有してから話し合うことが大切です。

遺産の分け方を急ぐよりも、後から見つかった財産や借金によって話し合いをやり直す事態を避ける方が重要です。

遺言書がない場合は、子どもの一人が単独で遺産の分け方を決めることはできません。相続人と相続財産を確認し、相続人全員で遺産分割協議を行います。詳しい流れは、遺言書がない場合の相続手続きをご覧ください。

④葬儀の前後に親族から言われたことは、そのまま実行しない

葬儀の前後は、おじ・おばなどの親族から、預金の扱いや遺品の整理、実家の承継について、さまざまな意見を言われることがあります。

親族は善意で助言している場合が多いものの、その内容が今回の相続にそのまま当てはまるとは限りません。過去の相続経験、家族内の慣習、法律上の手続きが混ざっていることもあります。

その場で反論する必要はありませんが、すぐに実行せず、事実関係を確認してから判断することが大切です。

親族の経験が今回の相続に当てはまるか確認する

親族から「前の相続ではこうした」「昔からこの家ではこうしている」と言われることがあります。

しかし、相続人の構成、遺言書の有無、財産や借金の内容が違えば、必要な手続きや適切な判断も変わります。

以前の相続で問題がなかった方法でも、今回も安全とは限りません。助言を受けたら、誰から聞いた話か、どのような前提の話かをメモしておき、現在の状況に当てはまるかを確認しましょう。

預金の引き出しや遺品の処分は相続人と相談する

「葬儀費用に使うため、先に預金を下ろした方がよい」「家を片付けるため、不要なものは捨てた方がよい」と言われることもあります。

しかし、親の預金や所有物は、相続財産に含まれる可能性があります。使途を記録せずに預金を引き出したり、価値のある遺品を処分したりすると、後から相続人同士で説明が必要になることがあります。

葬儀費用など、支払いが必要な場合は、金額、支払先、目的が分かる領収書を保管しましょう。遺品は、財産調査が終わるまでは安易に捨てず、写真や一覧を残しておくと安心です。

相続放棄を検討する可能性がある場合は、財産の使用や処分が判断に影響することもあるため、先に専門家へ確認する必要があります。

家族の慣習と法律上の手続きを分けて考える

「長男が実家を継ぐ」「仏壇を守る人が財産を多く受け取る」など、家族内の慣習を前提とした意見を言われることがあります。

家族の希望や慣習は、遺産分割を考えるうえで無視できない要素です。ただし、それだけで遺産の分け方が自動的に決まるわけではありません。

遺言書があるか、誰が相続人か、どのような財産があるかを確認したうえで、相続人同士で話し合う必要があります。

家族の慣習を大切にすることと、法的な手続きを正しく進めることは、別々に考えましょう。

親族の意見と専門家の説明を区別する

親族から「知り合いの税理士がこう言っていた」「前に専門家へ相談したときはこうだった」と伝えられることがあります。

ただし、誰が、どの事実関係を前提に説明したのかが分からなければ、そのまま判断材料にはできません。

専門家へ確認するときは、親族から聞いた話だけを伝えるのではなく、戸籍、財産資料、遺言書など、今回の相続に関する資料を示して相談しましょう。

親族の意見を無視する必要はありません。参考情報として受け止めたうえで、事実と法律を確認し、相続人本人が判断することが重要です。

⑤子ども一人で決めないほうがよいこと

親が亡くなった後、子どものうち一人が中心となって手続きを進めることは珍しくありません。しかし、手続きを取りまとめる人であっても、遺産に関することを一人で自由に決められるわけではありません。

特に、遺産の分け方や財産の処分、預金の使用、相続放棄に関する判断は、ほかの相続人への影響が大きい内容です。自分だけで結論を出さず、確認した事実を共有しながら進めましょう。

遺産の分け方

遺産の分け方は、遺言書の有無や内容を確認し、相続人と相続財産を確定させたうえで検討します。

親の介護をしていた、実家の管理を引き受ける予定がある、葬儀費用を立て替えたなど、それぞれに事情があっても、一人の判断だけで取得する財産を決めることはできません。

また、おじ・おばなどの親族から「長男が実家を相続するべきだ」「預金はこの割合で分ければよい」と言われても、それだけで遺産の分け方が決まるわけではありません。

まずは遺言書、相続人、財産と借金を確認し、必要な情報を相続人同士で共有してから話し合いましょう。

不動産や高価な遺品の処分

親名義の実家や土地、自動車、貴金属、美術品などを、子どもの一人が独断で売却したり、廃棄したりするのは避けましょう。

一見すると価値がないように見える遺品でも、ほかの相続人にとっては形見として残したい物かもしれません。また、後から査定すると財産的な価値があると分かる場合もあります。

実家の片付けが必要な場合は、処分前の状態を写真で残し、何を保管し、何を処分するのかを相続人同士で共有すると、後の行き違いを防ぎやすくなります。

不動産についても、空き家になるからといって、すぐに売却や名義変更を決める必要はありません。管理方法や費用負担を確認し、相続人同士で方針を決めましょう。

親の預金や現金の扱い

親の通帳やキャッシュカードを管理していても、預金や現金を自分の判断だけで使うのは避ける必要があります。

葬儀費用、医療費、施設利用料、公共料金など、支払いが必要になることはあります。その場合は、支払日、金額、支払先、目的を記録し、領収書や請求書を保管しましょう。

立て替えた費用と、親の財産から支払った費用も分けて記録します。記録が残っていないと、後からほかの相続人に使途を説明できず、不信感を招くことがあります。

また、借金がある可能性や相続放棄を検討する可能性がある場合は、親の預金を引き出したり、財産を使ったりする前に専門家へ確認したほうが安全です。

3か月以内の相続放棄などに関する判断

相続放棄は、原則として各相続人が自分自身で判断する手続きです。兄弟姉妹の一人が、ほかの相続人の分までまとめて決めることはできません。

また、一人が相続放棄をすると、次の順位の親族が相続人になる場合があります。そのため、「自分たち兄弟姉妹が全員放棄すれば終わる」とは限りません。

相続放棄を検討するときは、財産だけでなく、借金、未払金、保証債務などもできる限り確認します。期限が迫っている場合や財産調査が終わらない場合は、家族内だけで判断せず、早めに弁護士などへ相談しましょう。

子どもの一人が中心になって動く場合、その役割は「一人で決めること」ではなく、情報を集め、相続人へ共有し、必要な判断の場を整えることです。

⑥仕事を続けながら相続手続きを進めるときの負担

仕事用のノートパソコンと相続書類を前に、予定表を確認する会社員の子ども
平日に仕事を続けながら相続手続きを進める場合は、役所や金融機関の対応時間を確認し、計画的に予定を組む必要があります。

親が亡くなった後の手続きは、平日の仕事と並行して進めることになります。

役所や金融機関への連絡、戸籍や財産資料の収集、兄弟姉妹との調整、期限の管理まで重なるため、想像以上に負担が大きくなります。

特に、子どもの一人が中心となって動いている場合は、手続きそのものだけでなく、「誰に何を確認するか」「どこまで進んでいるか」を管理する役割も担うことになります。無理にすべてを抱え込まず、負担の中身を分けて考えることが大切です。

平日に役所や金融機関へ連絡する負担

相続手続きでは、市区町村役場、年金事務所、金融機関、法務局、税務署などへの連絡が必要になることがあります。

多くの窓口は平日の日中が中心です。仕事の合間に電話をかけてもつながらなかったり、窓口へ行くために休暇を取ったりしなければならないこともあります。

また、窓口へ行けばその日のうちに終わるとは限りません。必要書類が足りず、再度訪問することもあります。

平日に動ける時間が限られている場合は、事前に受付時間、予約の要否、必要書類、郵送やオンライン対応の可否を確認しておきましょう。

戸籍や財産資料を集める負担

相続人を確認するためには戸籍が必要です。財産を調べるには、通帳、固定資産税の通知書、保険証券、証券会社からの郵便物、借入関係の書類などを探す必要があります。

必要な資料が一か所にまとまっているとは限りません。親の自宅、貸金庫、郵便物、メール、確定申告書の控えなどを確認しながら、少しずつ手がかりを集めていきます。

戸籍についても、本籍地の移動や婚姻、離婚、養子縁組などがあると、複数の市区町村へ請求が必要になる場合があります。

短期間で全部集めようとすると負担が大きくなるため、取得済みの資料と未取得の資料を一覧にし、優先順位を付けて進めましょう。

兄弟姉妹や親族と調整する負担

相続手続きは、書類を集めるだけでは終わりません。兄弟姉妹などの相続人へ情報を共有し、必要な確認や判断を進める必要があります。

相続人ごとに仕事や家庭の事情が異なるため、連絡が取りやすい時間も、手続きに対する考え方も違います。

口頭だけでやり取りすると、後から「聞いていない」「その話は知らない」といった食い違いが起こりやすくなります。メールや家族用のチャットなど、記録が残る方法で共有すると整理しやすくなります。

また、誰がどの手続きを担当するのかを決めておくと、子どもの一人に負担が集中するのを防ぎやすくなります。

期限を管理しながら判断する負担

相続手続きには、原則3か月以内の相続放棄、4か月以内の準確定申告、10か月以内の相続税申告など、期限が決められているものがあります。

一方で、期限があるからといって、必要な情報がすぐにそろうとは限りません。財産や借金の確認が終わらないまま、判断期限だけが近づいてくることもあります。

そのため、手続きを一つずつ覚えて管理するのではなく、期限、担当者、進捗状況を一覧にしておくことが有効です。

また、期限が迫っている、借金の有無が分からない、相続人同士で意見がまとまらないといった場合は、家族内だけで解決しようとせず、早めに専門家へ相談しましょう。

仕事を続けながら相続手続きを進めることは、それ自体が大きな負担です。手続きが進まないからといって、自分の段取りが悪いとは限りません。自分で進める部分、家族に分担する部分、専門家へ依頼する部分を分けることで、負担を軽くできます。

⑦自分で進めることと、専門家へ相談することを分ける

相続関係の書類を見せながら、手続きの一部を行政書士へ相談する相続人
相続手続きは、戸籍収集や書類作成など、負担の大きい部分だけを専門家へ依頼する方法もあります。

相続手続きは、すべてを自分で進めるか、すべてを専門家へ任せるかの二択ではありません。

親の書類を集めたり、家族関係や財産の状況を整理したりする作業は、自分や家族でも進めやすい部分です。一方で、時間がかかる書類収集や、専門的な判断が必要な手続きだけを専門家へ依頼する方法もあります。

仕事を続けながら相続手続きを進める場合は、費用だけでなく、平日に動く時間、家族との調整、手続き漏れのリスクも含めて、どこまで自分で対応するかを考えましょう。

自分や家族で進めやすいこと

最初の段階では、親の手元にある情報を集め、現在の状況を整理します。

たとえば、次のような作業です。

  • 通帳、郵便物、契約書などを一か所に集める
  • 親の本籍地や最後の住所を確認する
  • 家族関係を分かる範囲で書き出す
  • 判明している財産と借金を一覧にする
  • 葬儀までに終わった手続きを確認する
  • 兄弟姉妹と情報や担当を共有する

この段階で、相続人や財産を完全に確定させる必要はありません。確認済みのこと、未確認のこと、平日に対応することを分けておくだけでも、その後の手続きを進めやすくなります。

行政書士へ相談を検討すること

行政書士には、相続手続きに必要な戸籍の収集、相続人関係の整理、財産目録や遺産分割協議書などの書類作成について相談できます。

特に、次のような場合は、必要な部分だけ依頼することを検討できます。

  • 本籍地の移動が多く、戸籍収集に時間がかかる
  • 再婚や養子縁組があり、相続人関係が複雑
  • 平日に役所へ行く時間を確保しにくい
  • 集めた資料をどのように整理すればよいか分からない
  • 相続人同士で合意した内容を書面にしたい

ただし、相続人同士の争いに関する交渉、相続登記、相続税申告などは、行政書士だけでは対応できません。

相談先の目安

相談内容主な相談先
戸籍収集、相続人関係の整理、遺産分割協議書などの書類作成行政書士
不動産の相続登記司法書士
相続税の判断、財産評価、相続税申告税理士
相続放棄、相続人同士の争い、交渉や代理弁護士

相続放棄を検討している場合は、原則3か月の期限があります。借金の有無が分からない場合や、すでに遺産を使ってしまった可能性がある場合は、早めに弁護士へ相談しましょう。

必要な部分だけ依頼する

専門家へ相談するからといって、すべての手続きを任せる必要はありません。

戸籍収集だけを依頼する、相続人関係の確認まで依頼する、遺産分割協議書の作成だけを依頼するなど、依頼範囲を分けることができます。

相談するときは、次の点を確認しておくと安心です。

  • 自分で進める部分
  • 家族で分担する部分
  • 専門家へ依頼する部分
  • 依頼にかかる費用
  • 完了までのおおよその期間
  • 追加費用が発生する条件

専門家へ相談する前に、すべての書類をそろえる必要はありません。分かっていることと、まだ確認できていないことを整理しておけば十分です。

仕事を続けながら相続手続きを進める場合は、自分で対応する時間と、専門家へ依頼する費用を比べながら、無理のない進め方を選びましょう。断することが大切です。

今後の手続きを時系列で確認したい方は、相続手続きの流れと手順もあわせてご覧ください。

⑧よくある質問

Q. 親が亡くなった後、子どもは最初に何をすればよいですか

まず、葬儀までに終わった手続きを確認し、親の通帳、郵便物、契約書、戸籍関係の資料などを一か所に集めます。そのうえで、遺言書、相続人、財産と借金を並行して確認しましょう。

Q. 仕事が忙しく、平日に手続きできません。どう進めればよいですか

最初の週末に、平日対応が必要な手続き、郵送やオンラインで進められる手続き、家族に分担できる手続きを分けておくと進めやすくなります。戸籍収集など、時間のかかる部分だけ専門家へ依頼する方法もあります。

Q. 兄弟姉妹の一人が中心になって手続きを進めてもよいですか

手続きの取りまとめ役になることは問題ありません。ただし、遺産の分け方、預金の使用、不動産や高価な遺品の処分などは、一人で決めず、相続人同士で情報を共有して判断する必要があります。

Q. 親族から言われたとおりに預金を引き出してもよいですか

すぐに実行するのは避けましょう。預金は相続財産に含まれる可能性があり、相続放棄を検討する場合にも影響することがあります。支払いが必要なときは、使途と金額を記録し、領収書を保管してください。

Q. 再婚家庭では、連れ子にも相続権がありますか

亡くなった親と養子縁組をしている連れ子は、法律上の子として相続人になります。養子縁組をしていない連れ子は、原則として相続人になりません。家族の認識だけで判断せず、戸籍で確認することが重要です。

Q. 相続手続きをすべて専門家に任せる必要はありますか

すべてを任せる必要はありません。書類収集だけ、相続人関係の整理だけ、遺産分割協議書の作成だけなど、必要な部分に限って依頼できます。

まとめ|親が亡くなった後の手続きは順番と期限を整理して進める

親が亡くなった後は、葬儀が終わっても、相続人の確認、財産と借金の調査、各種届出、税務手続きなど、やるべきことが続きます。

ただし、すべてを一度に終わらせる必要はありません。まずは、葬儀までに終わった手続きを確認し、親の書類を集め、今後必要なことを一覧にしましょう。

そのうえで、遺言書、相続人、財産と借金を並行して確認します。相続放棄は原則3か月以内、準確定申告は原則4か月以内、相続税申告は原則10か月以内と、期限のある手続きもあります。判断を後回しにせず、いつまでに何を確認するのかを見える形にしておくことが大切です。

また、子どもの一人が手続きの中心になっていても、遺産の分け方や預金の使用、不動産や遺品の処分まで一人で決めてよいわけではありません。確認できた情報は兄弟姉妹などの相続人と共有し、必要な判断は相続人同士で進めましょう。

仕事を続けながら相続手続きを行うのは、想像以上に負担がかかります。平日にしか連絡しにくい窓口もあり、戸籍や財産資料の収集にも時間がかかります。自分や家族で進めることと、必要な部分だけ専門家へ相談することを分け、無理のない進め方を選ぶことが重要です。

最初の週末にすべてを終わらせるのではなく、次にやることを明確にする。これが、期限を逃さず、手続き漏れを防ぐための第一歩です。

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✅ 行政書士プロフィール

特定行政書士 野中雅敏(IT行政書士事務所)

  • 国家資格:行政書士(登録番号:25080391)
  • 経歴:IT業界出身/相続・遺言分野を専門取り組み中
  • 趣味:競泳
  • メッセージ:
     「遺言は“難しいこと”ではなく、“優しさのカタチ”です。
    家族を守るために、ぜひ一緒に考えていきましょう。」

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