建設業許可を取得するには、常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)の要件を満たす必要があります。
ただし、「建設業の経営経験があるから大丈夫」とは限りません。どの立場で、どのくらいの期間経験してきたのかに加えて、その経験を申請で証明できるかも重要です。
この記事では、常勤役員等の要件と、経験を証明するための考え方をわかりやすく解説します。
そもそも自社が請け負う工事に建設業許可が必要か分からない場合は、工事内容や請負金額から先に許可の要否を確認しておきましょう。
建設業許可が必要な工事の判断方法
目次
①常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)とは
建設業許可を取得するには、建設業の経営業務を適正に管理できる体制を備える必要があります。
この条件を満たす方法は、大きく分けると次のとおりです。
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| 1人の経験で満たす | 常勤役員等となる人が、建設業について必要な経営経験などを持っている |
| 組織として満たす | 一定の経験を持つ常勤役員等と、財務管理・労務管理・業務運営を直接補佐する人を置く |
| 過去に国土交通大臣の認定を受けた人 | 過去の認定を受けた人について設けられている扱い |
法人であれば役員等、個人事業であれば事業主や支配人などが対象となり得ます。単に会社を経営しているというだけではなく、どのような立場で、どのくらい建設業の経営業務に関わってきたかによって判断します。
以前は「経営業務の管理責任者」という名称が広く使われていました。現在も「経管」という呼び方を見かけることがありますが、この記事では常勤役員等という表現を中心に説明します。
建設業許可の種類や区分、必要書類、申請の流れ、許可取得後の手続まで含めて確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
建設業許可の取得方法・全体像
また、代表者本人が必要な経験を満たしていないからといって、すぐに建設業許可を諦める必要はありません。組織として要件を満たす方法や、要件を満たす経験者を新たに迎える方法を検討できる場合もあります。
次から、それぞれの要件を詳しく見ていきます。
常勤役員等以外にも、営業所技術者等、財産的基礎、営業所、社会保険など、建設業許可では複数の条件を満たす必要があります。取得条件の全体像はこちらで解説しています。
建設業許可の取得条件・申請要件
②1人の経験で常勤役員等の要件を満たす方法

常勤役員常勤役員等について、1人の経験で要件を満たす場合は、その人が次のいずれかに該当する必要があります。
| 要件 | 必要な経験期間 |
|---|---|
| 建設業に関し、経営業務の管理責任者としての経験がある | 5年以上 |
| 建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務を管理した経験がある | 5年以上 |
| 建設業に関し、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務の管理責任者を補佐した経験がある | 6年以上 |
それぞれ、必要となる立場や経験の内容が異なります。
建設業の経営業務の管理責任者として5年以上の経験がある
1つ目は、建設業に関し、5年以上、経営業務の管理責任者としての経験があることです。
経営業務の管理責任者としての経験とは、営業取引上、対外的に責任を有する地位にあり、建設業の経営業務を総合的に管理した経験をいいます。
法人であれば株式会社の取締役など、個人であれば事業主や支配人などとして建設業の経営に携わった経験が該当します。法人の取締役、個人事業主、支配人などのほか、建設業の経営業務について対外的に責任を負う立場であった支店長や営業所長などの経験も対象になります。ただし、「支店長」「営業所長」という肩書だけで要件を満たすわけではなく、その立場で建設業の経営業務を総合的に管理していた経験が必要です。
たとえば、建設会社の取締役として5年以上、建設業の経営業務を管理していた場合や、個人事業主として5年以上建設業を営んでいた場合は、この要件を満たします。
ただし、取締役として5年以上登記されていたという事実だけで要件を満たすわけではありません。その期間に、建設業の経営業務を管理していた経験が必要です。
また、現在の会社だけで5年以上の経験がなくても、以前の建設会社での経営経験や、法人化する前に個人事業主として建設業を営んでいた経験を使える場合があります。申請では、それぞれの経験期間と経験内容を資料で証明します。
個人事業主本人だけでは経営経験の要件を満たせず、支配人を迎えて申請を検討するケースについては、こちらの記事で流れを紹介しています。
個人事業主が支配人を迎えて建設業許可を取るケース
経営業務の管理責任者に準ずる地位で5年以上、経営業務を管理した経験がある
2つ目は、建設業に関し、5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務を管理した経験があることです。
この要件では、取締役などの役員ではなくても、取締役会の決議を経て、取締役会や代表取締役から建設業の経営業務を執行する具体的な権限を委譲された執行役員等としての経験が対象になります。
そのため、単に「工事部長」「営業部長」「執行役員」といった肩書が付いていただけでは要件を満たしません。
建設業に関する事業部門について、経営業務を執行する権限を具体的に与えられ、実際にその経営業務を管理していたことが必要です。
また、資材調達だけ、営業だけといった建設業の一部の業務について権限を持っていた場合ではなく、建設業に関する事業部門の経営業務を管理していた経験が求められます。
この方法では、5年以上という期間だけでなく、当時の地位、権限委譲の内容、担当していた事業部門なども申請時に証明する必要があります。
経営業務の管理責任者を6年以上補佐した経験がある
3つ目は、建設業に関し、6年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験があることです。
この場合の「準ずる地位」とは、取締役、個人事業主、支配人、支店長、営業所長などの経営業務の管理責任者に次ぐ職制上の地位をいいます。
そして、その立場で単に建設会社の業務を担当していたのではなく、建設工事の施工に必要な資金の調達、技術者・技能者の配置、下請業者との契約の締結など、建設業の経営業務全般について経営業務の管理責任者を補佐していた経験が必要です。
したがって、現場管理だけを担当していた、営業だけを担当していたといった経験では、この要件を満たしません。
また、この方法で必要となる経験期間は5年以上ではなく、6年以上です。
たとえば、役員には就任していなかったものの、経営者の直下の立場で6年以上にわたり建設業の経営業務全般を補佐していた場合は、この要件を満たします。
1人の経験で常勤役員等の要件を満たす場合は、単に「建設業界に5年以上いた」「役員を5年以上していた」というだけでは判断できません。
どの地位にいたのか、どのような経営業務を行っていたのか、必要な期間を満たしているのかを、それぞれの要件に沿って判断します。
さらに、申請では経験年数を自己申告するだけではなく、その地位にあったことと、その期間に必要な経営業務を行っていたことを資料で証明する必要があります。
常勤役員等が法人の役員等に該当する場合は、経営経験だけでなく欠格要件や誠実性についても確認が必要です。
欠格要件と誠実性を確認する
③1人の経験で満たせない場合は組織として要件を満たす方法もある
前述した5年または6年の経営経験を1人で満たせない場合でも、一定の経験を持つ常勤役員等と、その常勤役員等を直接補佐する者を置くことで、組織として要件を満たす方法があります。
この方法では、常勤役員等だけでなく、直接補佐者にもそれぞれ所定の経験が必要です。
常勤役員等に必要な経験
組織として要件を満たす場合でも、常勤役員等となる人に経営経験がまったくなくてもよいわけではありません。
常勤役員等となる人は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
| 常勤役員等の要件 | 必要な経験 |
|---|---|
| 建設業に関する役員等の経験があり、財務管理・労務管理・業務運営の経験もある | 建設業について役員等として2年以上の経験があり、その期間を含め、建設業について役員等または役員等に次ぐ職制上の地位で財務管理・労務管理・業務運営を担当した経験が通算5年以上 |
| 役員等として長期間の経験がある | 建設業について役員等として2年以上の経験があり、その期間を含め、役員等としての経験が通算5年以上 |
1つ目は、建設業について一定の役員経験があり、さらに建設業の財務管理・労務管理・業務運営に携わってきた人を常勤役員等とする方法です。
2つ目は、役員等として5年以上の経験があり、そのうち2年以上は建設業についての役員等の経験がある人を常勤役員等とする方法です。
たとえば、建設会社を設立してから3年しか経っていない代表者でも、それ以前に別の会社で役員をしていた経験がある場合には、その経歴を含めて要件を満たすことがあります。
ただし、この方法は常勤役員等の経験だけで完結しません。次に説明する直接補佐者を置くことが必要です。
財務管理・労務管理・業務運営を担当する直接補佐者が必要
常勤役員等を組織として補う方法では、その常勤役員等を直接補佐する者として、次の3つの業務についてそれぞれ経験を持つ人を置く必要があります。
| 担当する業務 | 必要な経験 |
|---|---|
| 財務管理 | 申請する会社において、建設業の財務管理について5年以上の業務経験 |
| 労務管理 | 申請する会社において、建設業の労務管理について5年以上の業務経験 |
| 業務運営 | 申請する会社において、建設業の業務運営について5年以上の業務経験 |
財務管理とは、資金調達や資金繰りなど、建設業の経営に必要な資金面の管理を行う業務です。
労務管理は、従業員の勤怠や給与、社会保険など、人事・労務に関する管理を行う業務です。
業務運営は、会社の事業方針や業務の実施体制など、建設業の事業運営を管理する業務を指します。
直接補佐者は、財務管理・労務管理・業務運営についてそれぞれ5年以上の経験が必要です。
ただし、必ず3人を置かなければならないわけではありません。1人が複数の業務について必要な経験を持っていれば、財務管理・労務管理・業務運営を兼ねることができます。
たとえば、同じ人が申請会社で5年以上にわたり財務管理、労務管理、業務運営のすべてを担当してきた場合は、その1人が3つの直接補佐者の役割を兼ねることができます。
一方、常勤役員等となる本人が直接補佐者を兼ねることはできません。
直接補佐者は申請会社での経験が必要
直接補佐者について特に注意したいのが、経験した会社です。
常勤役員等の経営経験では、以前勤務していた会社や以前経営していた会社での経験を使える場合があります。
これに対して直接補佐者は、許可を申請する会社において、建設業の財務管理・労務管理・業務運営について5年以上の経験を有していることが必要です。
そのため、
「以前勤めていた建設会社で総務部長を10年していた人を今回採用する」
というだけでは、その人を直接補佐者として5年経験の要件に当てることはできません。
ここは、後ほど説明する「要件を満たす人を外部から迎える方法」と混同しやすいところです。
外部から経験者を迎えて常勤役員等とする方法と、申請会社の中で直接補佐者を置いて組織として要件を満たす方法は、別の方法として考える必要があります。
組織として満たす方法は「経験不足を誰でも補える制度」ではない
組織として要件を満たす方法があるからといって、代表者の経営経験が短くても、従業員を何人か配置すれば許可を取得できるわけではありません。
常勤役員等自身にも所定の役員経験等が必要であり、さらに直接補佐者にも申請会社での5年以上の業務経験が必要です。
そのため、設立して間もない会社では、直接補佐者の「申請会社で5年以上」という条件を満たせず、この方法を利用できないこともあります。
現在の会社の人員と経験年数だけでは要件を満たせない場合には、次に説明するように、常勤役員等の要件を満たす経験者を外部から迎える方法も検討することになります。
④現在の経営者で要件を満たせない場合は、経験者を外部から迎える方法もある

現在の代表者や役員だけでは常勤役員等の要件を満たせない場合、要件を満たす経験者を外部から迎え、その人を常勤役員等とする方法があります。
たとえば、会社を設立して3年のため、代表者自身には5年以上の経営経験がなかったケースです。
この会社では、代表者の以前の勤務先で取締役を務め、すでに定年退職していた65歳の経験者を新たに採用しました。その人には建設業について必要な経営経験があったため、常勤役員等として迎えることで要件を満たしました。
このように、代表者本人が5年以上の経営経験を持っていなくても、会社として常勤役員等の要件を満たす方法はあります。
経験者の名前を借りるだけでは要件を満たさない
ただし、要件を満たす人を見つけて、形式的に役員に加えればよいわけではありません。
常勤役員等となる人には、その名称のとおり常勤性が求められます。
そのため、別の会社に常勤している人の名前だけを借りたり、実際には会社の経営業務に携わらない人を形式的に役員として登記したりする方法では要件を満たしません。
外部から経験者を迎える場合も、実際に申請会社の常勤役員等として勤務し、建設業の経営業務を管理する体制を整える必要があります。
また、その人自身について、前の会社などで必要な期間、建設業の経営業務を管理していたことを資料で証明する必要があります。
外部から迎える場合は就任前に経歴と証明資料を確認する
経験者を採用してから、「実は必要な経験を証明できなかった」となると、許可申請の予定そのものが崩れてしまいます。
そのため、外部から常勤役員等を迎える場合は、就任を決める前に、
- どの会社で経験したのか
- どのような地位にあったのか
- 建設業の経営業務に何年間携わっていたのか
- その地位や経験期間を証明する資料が残っているか
まで確認しておくことが重要です。
特に、退職してから年数が経っている人の場合、本人には十分な経験があっても、当時の資料をすぐに用意できないことがあります。
「経験がある人を採用すること」と「その人の経験を建設業許可の申請で証明できること」は別です。
外部から経験者を迎える方法を検討する場合は、採用や役員就任を進める前に、その人の経歴と証明資料で要件を満たせるかを確認しておくと安心です。
⑤常勤役員等の要件はどのような資料で証明する?

常勤役員等の要件は、申請書に「5年以上の経験があります」と記載するだけでは満たせません。
申請では、主に次の点を資料で証明する必要があります。
| 証明すること | 主な資料の例 |
|---|---|
| 現在、常勤役員等としての地位にあること | 登記事項証明書など |
| 申請会社に常勤していること | 健康保険関係の資料など |
| 過去に役員等として必要な期間在籍していたこと | 登記事項証明書、閉鎖事項証明書、確定申告書など |
| その期間に建設業を営んでいたこと | 建設業許可通知書、工事請負契約書など |
つまり、「その立場にいたこと」と「その期間に建設業の経営業務に携わっていたこと」の両方を証明するのがポイントです。
現在の地位と常勤性を証明する
常勤役員等となる人は、過去に必要な経営経験を持っているだけでは足りません。申請時点で、申請会社の常勤役員等として所定の地位にあり、常勤している必要があります。
法人で取締役を常勤役員等とする場合は、登記事項証明書などによって現在の役員としての地位を示します。
さらに、実際にその会社に常勤していることも証明します。
そのため、外部から経験者を迎える場合も、役員として登記しただけで要件を満たすものではありません。申請会社に常勤し、実際に経営業務を管理する体制になっていることが必要です。
役員や個人事業主としての経験期間を証明する
次に、必要な5年または6年の経験期間を証明します。
法人の役員としての経験を使う場合は、登記事項証明書や閉鎖事項証明書などによって、いつからいつまで役員であったのかを示します。
たとえば、
「2018年4月から2024年3月まで、以前の建設会社で取締役をしていた」
という経験を使うのであれば、その期間に取締役として登記されていたことを資料で裏付けます。
個人事業主として建設業を営んでいた経験を使う場合は、その期間の所得税の確定申告書などが経験期間を示す資料になります。
現在の会社だけで必要な年数を満たしていなくても、以前の会社での役員経験や、法人化前の個人事業主としての経験を使う場合は、それぞれの期間について資料をそろえて証明します。
その期間に建設業を営んでいたことも証明する
役員であった期間を証明できても、それだけで建設業の経営経験を証明したことにはなりません。
たとえば、登記事項証明書から「5年以上取締役だった」ことが分かっても、その会社がその5年間に建設業を営んでいたことは別に証明する必要があります。
過去に建設業許可を受けていた会社での経験であれば、許可通知書などが資料になります。
一方、建設業許可を受けずに軽微な建設工事を請け負っていた期間の経験を使う場合は、工事請負契約書などによって、その期間に実際に建設業を営んでいたことを示します。
ここは常勤役員等の証明で特に重要なところです。
「役員だったことを証明する資料」と「その会社で建設業を営んでいたことを証明する資料」は役割が違います。
そのため、「登記を見れば5年以上役員だったことが分かるから大丈夫」とは限りません。
準ずる地位や補佐経験を使う場合は、担当業務まで証明する
取締役や個人事業主としての経営経験ではなく、経営業務の管理責任者に準ずる地位での経験を使う場合は、証明する内容が増えます。
たとえば、執行役員等として経営業務を管理した経験を使う場合は、単にその役職に就いていたことだけでなく、どのような権限を与えられていたのかを示す必要があります。
そのため、組織図、取締役会議事録、業務分掌規程、決裁文書、人事発令書など、その当時の地位や権限を確認できる資料が必要になります。
経営業務の管理責任者を補佐した6年以上の経験を使う場合も同様です。
「部長として6年以上勤めていた」というだけではなく、経営業務の管理責任者に次ぐ立場にあり、建設業の経営業務全般を補佐していたことを資料で証明します。
このため、5年以上の役員経験を使う一般的なケースと比べると、準ずる地位や補佐経験による申請は、必要な資料の確認が複雑になりやすくなります。
常勤役員等の要件を検討するときは、経験年数だけを見るのではなく、その経験を最後まで資料でつなげられるかまで確認する必要があります。
⑥昔の登記・確定申告書・請求書などが残っていない場合
常勤役員等として必要な経験年数を満たしていても、その期間を証明する資料が残っていないと申請が難しくなることがあります。
特に、昔の会社での役員経験や、個人事業主だった時期の経験を使う場合は、
- 古い登記事項証明書を手元に持っていない
- 確定申告書を紛失している
- 工事請負契約書や注文書を処分している
- 請求書は残っているが、必要な期間すべてそろっていない
といったケースがあります。
ただし、手元に資料がないというだけで、すぐにその経験が使えないと決まるわけではありません。
登記関係の資料であれば取得できるものが残っている場合がありますし、工事実績についても、契約書以外の資料を含めて証明方法を検討できる場合があります。
一方で、どの資料を使えるかは、経験した時期、法人・個人の別、当時の建設業許可の有無などによって変わります。
また、一部の期間だけ資料が残っていても、必要な5年または6年を証明できなければ、そのままでは要件を満たしたことを証明できません。
そのため、「経験はあるが資料が足りない」という場合は、残っている資料だけで自己判断せず、行政書士に相談することをおすすめします。
常勤役員等の申請では、経験そのものだけでなく、その経験を必要な期間分、資料で証明できるかが重要です。
⑦常勤役員等についてよくある質問
Q:別の会社での役員経験も使えますか?
はい。現在の会社以外での建設業の経営経験も、常勤役員等の経験として使えます。
たとえば、現在の会社を設立して3年しか経っていなくても、それ以前に別の建設会社で取締役として2年以上、建設業の経営業務を管理していた場合は、現在の会社での経験と合わせて5年以上となることがあります。
ただし、以前の会社で役員だったというだけでは足りません。その期間に建設業の経営業務を管理していたことを証明する必要があります。
Q:個人事業主だった期間も経営経験に含められますか?
はい。個人事業主として建設業を営んでいた期間も、経営業務の管理責任者としての経験に含めることができます。
たとえば、個人事業主として3年間建設業を営んだ後、法人化して取締役として2年間建設業を経営している場合は、両方の経験を合わせて5年間となります。
ただし、個人事業主だった期間についても、確定申告書などによる事業主としての経験期間と、その期間に建設業を営んでいたことを資料で証明する必要があります。
Q:取締役ではなく部長だった期間も使えますか?
部長という役職だけでは、常勤役員等の経験として扱われません。
ただし、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、建設業の経営業務を執行する具体的な権限を与えられて管理していた場合や、経営業務の管理責任者に次ぐ立場で経営業務全般を補佐していた場合には、それぞれの要件に該当することがあります。
この場合は、役職名だけでなく、当時の地位、権限、担当業務の内容まで証明する必要があります。
「部長として長く働いていた」という勤務年数だけで判断しないことが重要です。
Q:5年以上の経験はありますが、証明資料が一部ありません
必要な経験年数が実際にあっても、申請ではその経験を資料で証明する必要があります。
ただし、手元に契約書や確定申告書がないからといって、直ちにその経験を使えないと決まるわけではありません。取得できる登記関係の資料や、ほかに残っている工事関係資料によって証明方法を検討できる場合があります。
一方で、必要な5年または6年の期間を証明できなければ、その経験を要件に使うことはできません。
資料が不足している場合は、残っている資料を処分せず、経験期間と合わせて行政書士に相談することをおすすめします。
Q:常勤役員等と営業所技術者等は同じ人でも大丈夫ですか?
はい。それぞれの要件を満たしていれば、常勤役員等と営業所技術者等を同じ人が兼ねることができます。
たとえば、代表取締役が常勤役員等として必要な経営経験を満たし、さらに取得したい建設業種について営業所技術者等の資格・実務経験の要件も満たしている場合です。
ただし、常勤役員等と営業所技術者等はそれぞれ別の要件です。
「経営経験があるから営業所技術者等にもなれる」「資格を持っているから常勤役員等にもなれる」という関係ではありません。それぞれについて必要な条件を満たす必要があります。
まとめ
常勤役員等(旧:経営業務の管理責任者)の要件は、単に「建設業の経験が5年以上あるか」だけで判断するものではありません。
まず、どの立場で建設業の経営業務に関わってきたのかを確認し、1人の経験で要件を満たすのか、常勤役員等と直接補佐者によって組織として要件を満たすのかを判断します。
代表者や現在の役員だけで要件を満たせない場合でも、要件を満たす経験者を外部から迎える方法を検討できます。ただし、名前だけを借りるのではなく、実際に常勤役員等として勤務し、建設業の経営業務を管理する必要があります。
さらに、申請では経験年数を申告するだけでは足りません。その地位にあったこと、その期間に建設業の経営業務に携わっていたことを資料で証明する必要があります。
そのため、常勤役員等の要件を確認するときは、
「どの要件に該当するか」
「必要な経験期間を満たしているか」
「その経験を資料で証明できるか」
の3点をセットで考えることが重要です。
経験年数は足りているものの、昔の登記、確定申告書、契約書などが十分に残っていない場合は、自己判断で諦めず、残っている資料を確認したうえで行政書士に相談することをおすすめします。
常勤役員等を含む取得条件を満たせる見込みが立ったら、必要書類をそろえて建設業許可の新規申請を進めます。東京都知事許可の申請方法はこちらで解説しています。
東京都知事の建設業許可を新規申請する方法

