店舗やオフィス、住宅などの内装工事では、クロスや床、天井、間仕切りなど、さまざまな工事を請け負います。
こうした内装仕上工事で1件の請負代金が500万円(税込)以上となる場合は、原則として内装仕上工事業の建設業許可が必要です。
ただし、「内装工事」「リフォーム工事」と呼ばれる工事が、すべて内装仕上工事業に該当するとは限りません。工事の内容によっては、別の業種の建設業許可が必要になることもあります。
この記事では、内装仕上工事業の建設業許可を取得するための条件や必要な資格・実務経験、対象となる工事、許可を取得した場合にどこまで工事を請け負えるのかをわかりやすく解説します。
目次
① 内装仕上工事業の建設業許可を取得するための条件
内装仕上工事業で建設業許可を取得するには、営業所技術者等を含む、建設業許可の各要件を満たす必要があります。
主な要件は次のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 経営業務の管理 | 常勤役員等について、建設業の経営経験などの要件を満たす |
| 営業所技術者等 | 内装仕上工事業に対応する資格・学歴・実務経験などの要件を満たす人を営業所に置く |
| 財産的基礎 | 一般建設業では、自己資本500万円以上などの基準を満たす |
| 営業所 | 建設業の営業所として継続的に使用できる場所を設ける |
| 欠格要件・誠実性 | 欠格要件に該当せず、請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれがないこと |
| 社会保険 | 加入義務がある健康保険・厚生年金保険・雇用保険に適切に加入している |
このうち、内装仕上工事業で個別に見ておきたいのが営業所技術者等の要件です。
資格を使う方法のほか、指定学科の学歴と実務経験を組み合わせる方法や、一定期間の内装仕上工事の実務経験によって要件を満たす方法があります。
建設業許可に共通する取得条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
建設業許可の取得条件
次に、内装仕上工事業の営業所技術者等になるための要件を詳しく見ていきます。
② 内装仕上工事業の営業所技術者等になるための要件
建設業許可を取得するには、営業所ごとに、その業種について一定の資格や実務経験を持つ営業所技術者等を置く必要があります。
内装仕上工事業では、主に次のいずれかの方法で要件を満たします。
- 対象となる資格を持っている
- 指定学科を卒業し、必要な実務経験がある
- 内装仕上工事について10年以上の実務経験がある
それぞれ確認していきましょう。

資格で要件を満たす場合
内装仕上工事業では、建築施工管理技士や建築士などの資格によって、営業所技術者等の要件を満たすことができます。
代表的な資格・検定は次のとおりです。
| 資格・検定 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 1級建築施工管理技士 | 不要 |
| 2級建築施工管理技士(仕上げ) | 不要 |
| 一級建築士 | 不要 |
| 二級建築士 | 不要 |
| 1級建築施工管理技術検定 第一次検定合格者 | 合格後3年以上 |
| 2級建築施工管理技術検定 第一次検定合格者 | 合格後5年以上 |
このほか、内装仕上げ施工、カーテン施工、天井仕上げ施工、床仕上げ施工、表具・表装、畳製作などの技能検定も、内装仕上工事業の営業所技術者等の要件に関係する資格です。
技能検定が2級の場合は、原則として合格後3年以上の実務経験が必要です。ただし、平成16年3月31日以前の合格者は、合格後1年以上の実務経験が必要です。
なお、第一次検定合格者については、合格しただけで営業所技術者等になれるわけではありません。1級の第一次検定合格者は合格後3年以上、2級の第一次検定合格者は合格後5年以上の内装仕上工事に関する実務経験が必要です。
指定学科を卒業している場合
資格を持っていなくても、指定学科を卒業し、内装仕上工事について必要な実務経験があれば、営業所技術者等の要件を満たせます。
内装仕上工事業の指定学科は、次のとおりです。
- 建築学
- 都市工学
必要な実務経験の期間は、卒業した学校によって異なります。
| 学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科を卒業 | 3年以上 |
| 高等学校・中等教育学校の指定学科を卒業 | 5年以上 |
指定学科を卒業していても、卒業しただけで要件を満たすわけではありません。卒業後に、内装仕上工事について必要な期間の実務経験を積んでいることが必要です。
資格がなく、指定学科も卒業していない場合
資格がなく、指定学科も卒業していない場合は、内装仕上工事について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等の要件を満たせます。
ここでいう実務経験とは、単に内装会社に在籍していた期間ではなく、内装仕上工事について実際に技術上の経験を積んだ期間です。
たとえば、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事など、内装仕上工事に該当する工事についての経験が対象になります。
10年の実務経験で要件を満たす場合は、こうした工事について必要な期間の実務経験があることを、申請時に資料で証明する必要があります。
営業所技術者等について、資格・学歴・実務経験ごとの要件を詳しく確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
営業所技術者等(専任技術者)の要件とは?資格・学歴・実務経験を解説
③ 「内装仕上工事業」に含まれる工事
内装仕上工事業は、木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、畳、ビニール床タイル、カーペット、ふすまなどを使って、建築物の内装を仕上げる工事です。
内装仕上工事には、次のような工事が含まれます。
| 工事の例 | 主な内容 |
|---|---|
| インテリア工事 | 建築物の内部を仕上げる工事 |
| 天井仕上工事 | 石膏ボードや吸音板などを使った天井の仕上げ |
| 壁張り工事 | 壁紙や各種仕上材を使った壁の仕上げ |
| 内装間仕切り工事 | 建物内部の間仕切りを施工する工事 |
| 床仕上工事 | ビニール床タイルやカーペットなどを使った床の仕上げ |
| たたみ工事 | 畳を使った内装仕上げ |
| ふすま工事 | ふすまを使った内装仕上げ |
| 家具工事 | 家具の据付けなどを行う工事 |
| 防音工事 | 建築物内部の防音を目的とした仕上げ工事 |

たとえば、店舗やオフィスの改装で行うクロス張り、床仕上げ、天井仕上げ、内装間仕切りなどは、内装仕上工事業に該当する代表的な工事です。
一方で、「内装工事」「リフォーム工事」という名称で受注していても、その工事がすべて内装仕上工事業になるわけではありません。
たとえば、ドアやサッシなどの取付けは建具工事、照明やコンセントの工事は電気工事など、実際の施工内容によって別の業種に分かれます。
店舗や住宅のリフォームを一括して請け負っている場合でも、すべての工事が内装仕上工事業に含まれるわけではありません。工事内容を一つずつ確認し、必要な許可業種を判断する必要があります。
この点は、後ほど「内装仕上工事業の許可だけでどこまで請け負えるのか」で詳しく解説します。
④ 500万円以上の内装仕上工事を請け負うなら建設業許可が必要
内装仕上工事業では、1件の請負代金が500万円以上(税込)となる工事を請け負う場合、原則として建設業許可が必要です。
500万円未満の軽微な建設工事だけを請け負う場合は、建設業許可がなくても施工できます。
内装工事は500万円以上になりやすいケースがある
クロス張りや床仕上げなど単独の工事では500万円未満でも、店舗やオフィスなどの内装工事をまとめて請け負うと、請負金額が500万円以上になることがあります。
たとえば、天井・壁・床・間仕切りなどを1件の内装工事としてまとめて請け負う場合は、工事項目ごとの金額ではなく、その工事全体の請負代金で500万円以上になるかを判断します。
また、1件の工事を複数の契約に分けた場合でも、正当な理由がない限り、各契約の請負代金を合計して500万円以上になるかを判断します。

材料費も500万円の判定に含まれる
500万円の基準を判断するときは、施工費だけを見るわけではありません。
壁紙、石膏ボード、床材、カーペットなど、工事に使用する材料費を含めた請負代金(税込)で判断します。
そのため、「工賃だけなら500万円未満だから許可は不要」とは限りません。
発注者から支給された材料も金額に加える
材料を発注者から支給してもらう場合も注意が必要です。
発注者から材料の提供を受ける場合は、その材料の市場価格も請負代金に加えて500万円以上になるかを判断します。また、材料の運送費を請負人が負担する場合は、その運送費も加算します。
そのため、契約書上の請負金額が500万円未満でも、支給された材料の市場価格などを加えると500万円以上となり、建設業許可が必要になることがあります。
500万円の判断方法や分割発注の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
建設業許可は500万円以上で必要?金額の判断方法と申請の考え方を解説
⑤ 内装仕上工事業の許可だけでどこまで請け負える?
内装仕上工事業の建設業許可を取得しても、すべての「内装工事」や「リフォーム工事」を自由に請け負えるわけではありません。
建設業許可は29の業種に分かれているため、実際に行う工事の内容によっては、内装仕上工事業とは別の許可が必要になります。
別業種でも500万円未満の軽微な建設工事なら許可は不要
たとえば、内装仕上工事業の許可を持つ会社が、内装工事とあわせて電気工事や管工事などを請け負うケースがあります。
その工事が内装仕上工事とは別の業種に該当する場合でも、その別業種の工事が500万円未満(税込)の軽微な建設工事であれば、その業種の建設業許可がなくても請け負えます。
一方、別業種の工事が500万円以上になる場合は、原則としてその業種についても建設業許可が必要です。
内装仕上工事に必要な附帯工事は一緒に請け負える
内装仕上工事を施工するために必要となる他業種の工事については、附帯工事として一緒に請け負える場合があります。
附帯工事とは、主となる工事を施工するために必要となる、従たる他業種の工事です。
たとえば、内装仕上工事を行う過程で、それに附帯して他業種の工事が必要になるケースが考えられます。
ただし、単に「内装工事一式」として契約していれば、電気工事や管工事などがすべて附帯工事になるわけではありません。主となる工事とどのような関係にあるのかを、実際の施工内容から判断する必要があります。
内装工事やリフォーム工事で複数の工事が含まれる場合は、工事名だけで判断せず、それぞれの施工内容から必要な許可業種を確認することが重要です。

⑥ 内装仕上工事業と隣接する建設業種の境界
内装工事やリフォーム工事では、壁・床・天井の仕上げだけでなく、造作、建具の取付け、塗装などをまとめて施工することがあります。
そのため、「店舗内装工事」「住宅リフォーム工事」といった契約上の名称だけでは、必要な建設業許可を判断できません。
実際に何を、どのような方法で施工するのかを確認して、内装仕上工事と他の業種を切り分けます。
木工事ならすべて内装仕上工事になるわけではない
室内で木材や石膏ボードを扱う工事は、内装仕上工事と大工工事のどちらなのか迷いやすいところです。
たとえば、
- 石膏ボードを使って壁や天井を仕上げる → 内装仕上工事
- 壁紙を張って壁を仕上げる → 内装仕上工事
- フローリングなどで床を仕上げる → 内装仕上工事
- 木材を加工して造作する → 大工工事
- 木製の棚やカウンターなどを造り付ける → 大工工事が関係する
という違いがあります。
ポイントは、単に「室内で行う工事か」ではありません。
壁・床・天井などの内装を仕上げる工事なのか、木材を加工して工作物を築造・造作する工事なのかという施工内容から判断します。
ドアやサッシの取付けは建具工事が関係する
店舗やオフィスの内装工事では、壁や床の仕上げと一緒にドアなどを取り付けることがあります。
たとえば、
- クロスを張る → 内装仕上工事
- 床材を施工する → 内装仕上工事
- 木製建具を取り付ける → 建具工事
- サッシを取り付ける → 建具工事
- 自動ドアを取り付ける → 建具工事
となります。
「内装工事の中でドアも取り付けるから、すべて内装仕上工事」と考えるのではなく、建具の取付け部分は別の業種として確認する必要があります。
なお、ふすま工事は、内装仕上工事と建具工事の双方の例として挙げられています。
このように、工事名だけでは業種を一律に決められないケースもあるため、実際の施工内容を確認することが重要です。
クロス張りと塗装では許可業種が異なる
壁や天井をきれいに仕上げる工事でも、施工方法によって業種が変わります。
たとえば、
- 壁紙・クロスを張る → 内装仕上工事
- カーペットを施工する → 内装仕上工事
- ビニール床タイルを施工する → 内装仕上工事
- 壁や天井に塗料を塗る → 塗装工事
という違いがあります。
完成後の見た目はいずれも「内装の仕上げ」ですが、何を使って、どのような方法で仕上げるのかによって建設業許可上の業種は異なります。
店舗内装工事を一括で受注するときは特に注意
実務上、特に注意したいのが店舗やオフィスなどの内装工事を一括して受注するケースです。
たとえば、「店舗内装工事一式」として、
- 天井・壁の仕上げ
- クロス張り
- 床仕上げ
- 間仕切り
- 木製カウンターなどの造作
- ドアの取付け
- 壁・天井の塗装
- 照明・コンセント工事
をまとめて請け負うことがあります。
しかし、契約書や見積書に「店舗内装工事一式」と書いてあるからといって、すべてが内装仕上工事業になるわけではありません。
工事内容を分けて見ると、
- クロス・床・天井など → 内装仕上工事
- 木工造作 → 大工工事
- ドアなどの取付け → 建具工事
- 塗装 → 塗装工事
- 照明・コンセントなど → 電気工事
と、複数の業種が関係することがあります。
つまり、内装業者が建設業許可を取得するときは、「自社は内装業だから内装仕上工事業」と決めるのではなく、普段どの工事まで請け負っているのかを確認することが重要です。
なお、店舗の内装工事を一括で請け負ったからといって、必ず建築一式工事に該当するわけではありません。
建築一式工事業と専門工事業の違いや、建築一式工事業の許可で請け負える工事の範囲については、建築一式工事業の建設業許可の記事で詳しく解説しています。
見積書や請負契約書の工事項目を分けてみると、自社に必要な許可業種を整理しやすくなります。
複数の工事を請け負っていて許可業種の判断に迷う場合は、建設業許可29業種の選び方の記事も参考にしてください。
⑦ 内装仕上工事業の建設業許可に関するよくある質問
Q:クロス工事は内装仕上工事業に該当しますか?
はい。壁紙・クロスを張って壁を仕上げる工事は、内装仕上工事業に該当します。
ただし、壁を仕上げる工事でも、塗料を塗って仕上げる場合は塗装工事に該当します。同じ壁の仕上げでも、施工方法によって業種が異なる点に注意しましょう。
Q:店舗の内装工事を一式で請け負う場合、内装仕上工事業の許可だけで足りますか?
必ずしも内装仕上工事業の許可だけで足りるとは限りません。
店舗の内装工事には、たとえば次のような工事が含まれることがあります。
- クロス・床・天井の仕上げ → 内装仕上工事
- 木工造作 → 大工工事
- ドアやサッシの取付け → 建具工事
- 壁や天井の塗装 → 塗装工事
- 照明やコンセントの工事 → 電気工事
「店舗内装工事一式」という契約名だけで判断せず、実際の施工内容を分けて、必要な許可業種を確認することが重要です。
Q:内装仕上工事が500万円未満なら建設業許可は不要ですか?
1件の請負代金が500万円未満(税込)の軽微な建設工事だけを請け負う場合は、内装仕上工事業の建設業許可は必要ありません。
ただし、材料費も請負代金に含めて判断します。また、発注者から材料の提供を受ける場合は、その材料の市場価格なども加えて500万円以上になるかを確認する必要があります。
Q:資格を持っていなくても内装仕上工事業の許可は取得できますか?
はい。資格がなくても、営業所技術者等について指定学科の学歴と必要な実務経験を満たす方法や、内装仕上工事について10年以上の実務経験を満たす方法があります。
Q:内装仕上工事業の許可があれば、大工工事や塗装工事も請け負えますか?
内装仕上工事業の許可を取得しただけで、大工工事業や塗装工事業の許可も取得したことにはなりません。
別業種の工事について建設業許可が必要となる規模で請け負う場合は、その業種についても建設業許可を取得する必要があります。
ただし、軽微な建設工事や、主となる工事に附帯して行う工事については扱いが異なります。
まとめ|内装仕上工事業の建設業許可を取得する前に確認しよう
内装仕上工事業の建設業許可を取得するには、経営業務の管理や営業所技術者等、財産的基礎などの要件を満たす必要があります。
特に確認しておきたいポイントは、次のとおりです。
- 500万円以上(税込)の内装仕上工事を請け負う場合は、原則として建設業許可が必要
- 営業所技術者等は、資格・指定学科+実務経験・10年以上の実務経験などで要件を満たせる
- クロス張り、床仕上げ、天井仕上げ、内装間仕切りなどは、内装仕上工事の代表例
- 「内装工事」「リフォーム工事」という名称だけで許可業種を判断しない
- 造作工事、建具の取付け、塗装、電気工事などは、施工内容によって別の業種に該当する
- 店舗やオフィスの内装工事を一括して請け負う場合は、自社が実際にどこまで施工するのかを整理することが重要
内装業者の場合、単に「内装仕上工事業の許可を取ればよい」とは限りません。
普段の見積書や請負契約書を確認し、どのような工事を、いくらで請け負っているのかを整理すると、必要な許可業種や取得すべきタイミングを判断しやすくなります。
これから建設業許可の取得を検討している場合は、まず自社が要件を満たしているか確認してみましょう。
建設業許可を取得するために必要な経営経験、営業所技術者等、財産的基礎などの要件は、こちらの記事でまとめて解説しています。
建設業許可の取得条件
内装仕上工事業の建設業許可でお困りの方へ

内装工事やリフォーム工事は、施工内容によって必要な建設業許可の業種が変わります。
「内装仕上工事業で申請すればよいのかわからない」
「資格はないが、これまでの実務経験で申請できるか確認したい」
「500万円以上の内装工事を受注するため、建設業許可を取得したい」
このような場合は、普段請け負っている工事内容や、資格・学歴・実務経験を整理したうえで、取得する許可業種と申請要件を確認することが重要です。
当事務所では、大田区・品川区を中心に、東京都の建設業許可申請をサポートしています。
東京都内で内装仕上工事業の建設業許可を新規取得する方は、当事務所の東京都知事・一般建設業の新規申請サポート内容や料金をご確認ください。
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