【証券の相続】何から始める?初めてでもわかる手続き・税金・トラブル回避の完全ガイド

目次

はじめに:証券の相続で戸惑っているあなたへ

「証券が相続財産に含まれていたけれど、正直どうすればいいか分からない」
「株や投資信託の相続って、現金や不動産と何が違うの?」
そんな疑問や不安を抱えて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

相続は、ただでさえ精神的にも負担の大きい出来事です。その中で、普段あまり馴染みのない「証券」という資産が関係してくると、よりいっそう混乱しやすくなります。しかも証券の相続には、口座凍結、評価額の算出、税金、手続きの複雑さといった、特有のハードルがいくつも存在します。

さらにややこしいのが、証券会社ごとに相続の手続きが違うという点。必要書類や申請方法、期限などもバラバラで、インターネットで調べても断片的な情報しか見つからない…という声もよく聞かれます。

本記事では、そんな不安や疑問をスッキリ解消できるよう、

  • 証券の相続に必要な基本知識
  • 手続きの全体像と流れ
  • 証券会社別の違いと注意点
  • よくある誤解やトラブル例
  • 専門家に相談するメリット
  • 実際によくある質問への回答

まで、初めての方でも分かりやすく、かつ網羅的に解説していきます。

証券の相続は「複雑だけど、正しく知れば怖くない」分野です。この記事を読み終わるころには、やるべきことが整理され、必要な判断ができる状態になっているはずです。

もし、ご自身だけで判断するのが難しいと感じたら、信頼できる専門家に相談することも選択肢に入れてみてください。正しい知識とサポートがあれば、相続手続きはぐっと安心して進められます。

それではさっそく、証券相続の基礎から見ていきましょう!

第1章:証券の相続とは?基本知識をやさしく解説

相続と聞くと、「現金」「預金」「不動産」といった資産を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれども、株式・投資信託・債券などの「証券」も、立派な相続財産(相続資産)のひとつです。

証券の相続では、名義変更や評価額の算出、税金の扱い、さらには口座凍結など、他の資産とは異なる注意点がいくつも存在します。この章では、証券相続に必要な基礎知識を、できる限りやさしく解説していきます。

証券ってどんなものが相続対象になるの?

「証券」とは、以下のような金融商品を含みます。

  • 上場株式(例:トヨタ、ソニーなど)
  • 投資信託(例:NISAやiDeCoで保有しているものも含む)
  • 国債や地方債などの債券
  • ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)
  • 非上場株式(中小企業の株など)

これらは金融機関の口座で管理されており、被相続人(亡くなった方)名義の口座となっています。そのため、相続が発生すると、これらの資産もすべて名義変更または清算(売却)の対象になります。

なぜ証券の相続は特別なの?

証券の相続が特別である理由は、以下の3点に集約されます。

口座が凍結される(=売買・引き出しできない)

被相続人の死亡が金融機関に伝わると、証券口座は凍結されます。これにより、新たな売買や出金ができなくなります。

評価額の算出が必要(相続税のため)

相続税の申告にあたっては、証券の相続時点での評価額を算出する必要があります。特に上場株は「相続発生日の終値」「過去3ヶ月の平均」など、複数の方法で算出されます。

手続きが複雑&会社ごとに違う

証券会社ごとに相続の進め方や必要書類が異なります。また、証券が複数の証券会社に分散している場合、それぞれで手続きが必要になります。

名義変更しないとどうなる?

「とりあえず口座そのままでもいいかな…」と思って放置してしまうと、以下のようなリスクがあります。

  • 売却や運用ができず、資産が動かせない
  • 相続税の申告漏れや加算税の対象に
  • 他の相続人とトラブルになる可能性
  • 時効(10年)を過ぎると財産権が消滅する可能性も

つまり、証券の相続は後回しにすると不利益が大きくなるのです。特に、相場の変動が大きい株式などは、時間が経てば経つほどリスクが高まります。

知っておきたいポイント

  • 相続発生時点の証券の状況(銘柄・数量・保有口座)を正確に把握することが第一歩
  • 口座を開設した証券会社の相続窓口に連絡するのがスタートライン
  • 非上場株式などの場合は、さらに専門的な評価が必要なケースもある

証券の相続は「知らなかった」「あとでやろう」と思っているうちに手間もトラブルも大きくなりがちです。でも、正しい知識があれば大丈夫。次の章では、証券の相続を実際にどんな流れで進めるのか、5つのステップに分けてわかりやすく解説していきます!

第2章:証券を相続する流れ【5ステップで解説】

証券の相続手続きは、一見とても複雑そうに見えますが、実際には一定の流れに沿って進めていくことができます。

ここでは、証券の相続を進めるための基本的な5ステップを、順を追って分かりやすく解説します。

ステップ①:相続人の確定と遺産分割協議

証券に限らず、すべての相続手続きのスタートは「相続人の確定」から始まります。

  • まずは戸籍謄本を集め、法律上の相続人を明らかにします。
  • 次に、相続人全員で「誰がどの遺産を相続するか」を話し合い、合意を得る必要があります(これが「遺産分割協議」)。話し合いの結果を遺産分割協議書にまとめると、合意内容に沿った履行を確保しやすいです。
  • 証券を誰が引き継ぐかを明確にしておかないと、手続きが進まないため、このステップは非常に重要です。

すでに遺言書がある場合は、基本的にはその内容が優先されます。

ステップ②:相続税の申告と証券の評価額算出

証券の相続では、評価額の算出が避けて通れません。これは相続税の申告のために必要です。

  • 上場株式などは、「相続発生日(亡くなった日)」の終値、または相続発生日を含む過去3ヶ月間の終値平均のうち、もっとも低い価格を使って評価します。
  • 投資信託などは、基準価額や保有口数に応じて計算されます。
  • 複数の証券口座をお持ちだった場合は、すべての証券を合算して申告対象とします。

相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内。
評価額の算出や資料集めに時間がかかることもあるため、早めの準備が重要です。

ステップ③:証券会社に相続手続きを申請する

相続する証券がどの証券会社にあるかを確認したら、それぞれの証券会社に連絡をし、相続手続きの開始を申請します。

  • 電話やウェブから申し込みできる証券会社もありますが、ほとんどが書面でのやりとりを求めています。
  • 各社ごとに「相続手続きの専用窓口」や「問い合わせフォーム」が用意されています。
  • 被相続人の口座がどこにあるかわからない場合は、過去の通帳や郵便物、確定申告書などを手がかりに調査が必要です。

この段階で、必要書類や今後の流れについて案内を受けることになります。

ステップ④:必要書類の準備と提出

証券会社から指定された書類を揃え、提出します。よくある必要書類は以下の通りです。

  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本および本人確認書類
  • 遺産分割協議書(または遺言書)
  • 印鑑証明書
  • 被相続人の証券口座情報(証券番号など)

証券会社によっては、独自の申請用紙や委任状が必要になる場合もあります。

ここで書類に不備があると手続きがストップしてしまうため、慎重に確認しましょう。

ステップ⑤:名義変更・売却・解約などの処理を行う

すべての書類が整い、証券会社側で確認が取れると、実際の**名義変更や資産の処分(売却・解約など)**に進みます。

選べる選択肢は以下のとおりです。

  • 相続人名義の新しい証券口座へ名義変更し、そのまま保有
  • 相続人名義で売却し、現金化する
  • 証券を解約・換金して銀行口座に振込む(投資信託など)

名義変更後、新しい証券口座を開設する必要がある場合も多いため、早めに準備を進めましょう。

補足:複数の証券会社がある場合は?

被相続人が複数の証券口座を持っていた場合、それぞれの証券会社ごとに上記ステップを繰り返す必要があります。手続きにかかる時間や必要書類が異なるため、同時並行で進めるのが理想的です。

証券の相続は、こうしたステップをひとつずつ確実に踏んでいくことがポイントです。次章では、実際に証券会社によって何がどう違うのか、具体的に見ていきましょう!

第3章:証券会社別・相続手続きの違いとポイント

証券の相続手続きで戸惑いやすいのが、「証券会社ごとに手続きが違う」という点です。

どの会社も基本的な流れは同じでも、必要書類・進め方・サポート体制に違いがあるため、事前に把握しておくと安心です。

ここでは、主要な証券会社別に手続きの特徴や注意点をまとめました。

【SBI証券】手続きはすべて郵送、口座は必ず閉鎖される

  • 相続受付はWEBでは不可。書面申請が基本。
  • 相続により被相続人の口座は閉鎖され、新たに相続人名義の口座を開設する必要あり。
  • 書類の提出が完了するまで取引はできないため、タイムロスが発生しやすい。
  • NISA口座も閉鎖対象。ロールオーバーや非課税メリットが引き継がれない点に注意。
  • 問い合わせ対応は丁寧だが、混雑時は電話がつながりにくい。

ポイント
SBIは手続きが明確にマニュアル化されている反面、柔軟性が低く時間がかかりやすい傾向があります。提出書類のミスがあると再提出になるため、慎重に進めましょう。

【楽天証券】書類到着後、処理スピードは比較的早め

  • 手続きは郵送対応が中心で、相続人への説明資料が充実している。
  • 被相続人の証券口座は閉鎖され、資産は相続人に引き継がれるが、一度売却して現金化されるケースも多い。
  • 相続人が楽天証券の口座をすでに持っている場合、処理がスムーズ。
  • 書類不備や相続人同士の確認が取れない場合は手続きが保留される。

ポイント
楽天証券は利用者数が多いぶん、相続対応にも慣れている印象があります。ただし、売却処理が自動で行われるケースもあるため、事前に選択肢を確認しておくと安心です。

【野村證券・大和証券など大手店舗型証券】窓口対応が基本、対面サポートが充実

  • 原則として、店舗窓口での手続きが中心。
  • 必要書類の提出・確認をその場で行えるため、郵送ミスや不備を減らせるメリットあり。
  • 担当者がつくケースが多く、手続きに不安がある方には心強い。
  • 手数料や管理コストがやや高めになることも。

ポイント
「ネット証券は不安…」という方には、対面サポートのある店舗型証券が安心材料になります。書類の記入が苦手な方、高齢の相続人が手続きを行う場合にも適しています。

【松井証券・岡三証券・マネックス証券など】会社ごとに独自ルールあり

  • 各社によって、対応スピードやサポート体制にかなり差がある。
  • 書類の書式もバラバラなため、会社ごとのマニュアルをよく確認する必要あり。
  • 相続人の本人確認が厳格なケースもある(郵送に加えて電話認証を求められることも)。
  • サポートデスクの評判は分かれるが、メール対応が丁寧な企業も。

ポイント
中小〜中堅証券会社は、マニュアルが簡素だったり、情報がWEB上に少ない場合もあります。早めに直接連絡して、必要書類と流れを確認しておくのがベストです。

どの証券会社でも共通していること

  • 被相続人の口座は凍結される(放置すると資産が動かせなくなる)
  • 相続人全員の合意書類が必要(遺産分割協議書または遺言書)
  • 必要書類に不備があると、1~2ヶ月単位で手続きが遅れることも
  • 多くの会社で「相続専用ダイヤル」や「手続きガイド」が用意されている

複数の証券口座がある場合の注意点

  • 1つずつ個別に対応が必要(同じ相続人でも、まとめては処理できない)
  • 会社ごとに進め方が違うので、同時並行で進めると効率的
  • 書類提出のタイミングや受理確認なども別になるため、記録をしっかり残すことが大切

証券会社によって手続きの煩雑さや進行スピードは異なりますが、共通していえるのは「情報収集と準備が鍵」ということです。

次章では、こうした手続きで誤解されやすいポイントや、実際にあったトラブル事例をご紹介します。自分自身が同じ失敗をしないためにも、事前に知っておきましょう!

第4章:証券の相続でよくある誤解とトラブル事例

証券の相続は、日常生活でなじみが薄いぶん、誤解や思い込みからトラブルに発展するケースが少なくありません。
この章では、実際によくある誤解を紹介しながら、リスクとその回避策をわかりやすく解説していきます。

誤解①:「証券は現金じゃないから、すぐに手続きしなくてもいい」

証券は、株価などの価格変動リスクがある資産です。
放置しておくと…

  • 株式の価値が下がってしまい、相続税評価額と実際の売却価格に差が出る
  • 配当金が受け取れず、株主としての権利を失う
  • 相続税の納付期限に間に合わなくなる

こうしたトラブルを避けるためには、「なるべく早く手続きを始める」ことが基本です。
特に相続税の納税が必要なケースでは、手続きの遅れが延滞税・加算税のリスクにつながります。

誤解②:「証券口座の中身は自由に使える。名義変更しなくても大丈夫」

実際には、被相続人が亡くなった時点で口座は凍結され、売買や出金はできなくなります。

さらに、法的には相続人全員の同意がない限り、勝手に処分することはできません。

よくあるトラブル例

  • 相続人の1人が、名義変更を待たずに証券を勝手に売却してしまい、他の相続人と対立
  • 「生前に譲ると言われていた」など、口頭の約束が根拠にならずトラブルに

対策ポイント

遺産分割協議書の作成と、全員の合意を文書化することが重要。
証券のように価値変動がある資産ほど、トラブルになりやすいので注意が必要です。

誤解③:「手続きが面倒だから、ひとまず放置しておこう」

証券の相続には時効があります。
原則として、相続財産の権利は10年間行使しないと「消滅」する可能性があるのです。

さらに放置によって生じる問題には…

  • 株式の配当金や分配金が未受領のままになる
  • 相続税の申告期限(10ヶ月)を過ぎてしまい、延滞税+無申告加算税が課される
  • 証券会社側で口座が強制的に閉鎖されるリスク(規約により)

対策ポイント


忙しくても相続開始から数ヶ月以内に、最低限の調査と連絡は済ませること。
少しでも不明点があれば、早めに専門家に相談を。

誤解④:「株式や投資信託はすぐに分けられる」

現金とは異なり、証券は物理的に分けることができません。
よって、相続人同士での調整が必要です。

たとえば…

  • 「誰がどの銘柄を相続するのか」
  • 「売却して現金で分けるのか」
  • 「1人が相続して他の人に代償金を支払うのか」

これらを巡って感情的な対立に発展することも少なくありません。

対策ポイント

遺産分割協議では、証券の評価額を明確に出したうえで、公平感のある分け方を検討しましょう。

誤解⑤:「証券会社が全部教えてくれるはず」

証券会社はあくまで金融機関であり、法的なアドバイスや相続税対策の助言はしてくれません。

  • 相続税の申告方法
  • 評価額の取り扱い
  • 相続放棄との関係
  • 遺産分割の調整

などは、税理士や行政書士などの専門家のサポートが必要になる場面です。

対策ポイント

証券会社はあくまで「手続き窓口」として利用し、税務・法律の相談は専門家に任せるのがベストです。

トラブルを避けるために意識したいこと

  • すべての資産(証券口座)を一覧化し、相続人と情報を共有する
  • 評価額や税金の試算を、早い段階で専門家に依頼する
  • 遺産分割に迷ったら、話し合いよりも書面化を優先する

ここまで見てきたように、証券の相続には思わぬ落とし穴がいくつもあります。
しかし、誤解を正しく理解し、早めに対応を始めれば、大きなトラブルは避けられます。

次章では、証券の相続と深く関わる「税金(相続税・譲渡益税)」について、基本と注意点を解説します。

第5章:相続税・譲渡益税の基本と注意点

証券の相続で避けて通れないのが、「税金」の問題です。

ここでは、特に注意が必要な2つの税金、相続税と譲渡益課税(キャピタルゲイン課税)について、基本と注意点をわかりやすく解説します。

① 証券の相続で関わる主な税金は2つ

  1. 相続税
     → 証券を含む遺産全体に対してかかる税金。亡くなった方(被相続人)の財産を相続したときに発生します。
  2. 譲渡益課税(キャピタルゲイン課税)
     → 相続後に証券を売却した際に、その売却益(利益)に対して課税されます。

この2つは別のタイミング・別の計算方法で課税されるため、それぞれきちんと理解しておくことが重要です。

② 相続税:評価額の算出がカギ

証券を相続した際の相続税は、「相続開始日(通常は死亡日)」時点の評価額をもとに計算されます。

上場株式の評価方法(どれか一番低い額を使う)

  • 相続開始日の終値
  • 相続開始月の終値の平均
  • 相続開始前月の終値の平均
  • 相続開始前々月の終値の平均

この中から最も低い価格を選べるというルールは、相続人にとって有利に働きます。

投資信託・債券などは?

  • 投資信託:基準価額 × 保有口数
  • 債券:額面+未収利子、または時価(種類による)
  • 非上場株式:類似業種比準価額や純資産価額法など、専門的な算定が必要

評価方法が間違っていると、相続税申告がやり直しになったり、過少申告加算税が課されるリスクも評価が複雑な場合は、税理士などの専門家による算出がおすすめです。

③ 譲渡益課税:相続後に売却するときにかかる税金

証券を相続したあとに売却すると、その売却益(譲渡益)に対して所得税+住民税(約20.315%)がかかります。

計算式は?

譲渡益(=売却価格 − 取得費)× 約20.315%

ここでポイントになるのが「取得費の引き継ぎ」です。

④ 相続した証券の「取得費」はどうなるの?

相続の場合、取得費は被相続人が取得した時点の価格(購入価格)を引き継ぐとされます。

つまり、亡くなった親が1,000円で買った株を、相続人が2,000円で売却した場合、

  • 売却価格:2,000円
  • 取得費 :1,000円
  • 譲渡益 :1,000円 → 税金約203円発生

となります。

被相続人の取得価格がわからない場合、税務署と揉める可能性あり。証券会社から取引履歴を取り寄せておくと安心です。

⑤ 相続税を支払ったのに、売却時にまた税金!?と思ったら…

この二重課税に見える問題は、「取得費加算の特例」によって緩和される場合があります。

取得費加算の特例とは?

  • 相続税を支払った人が、相続開始から3年10ヶ月以内に相続した証券を売却した場合
  • 相続税額の一部を「取得費」に加算できる
  • その結果、譲渡益が減り、税金が少なくなる

適用条件がやや複雑なため、税理士に相談して確認するのがベストです。

⑥ その他の注意点

相続税の申告期限は「相続開始から10ヶ月以内」

これを過ぎると、延滞税や加算税の対象になります。

NISA口座の非課税枠は引き継げない

  • 被相続人のNISA口座は相続発生と同時に閉鎖
  • 保有していた商品は課税口座に移され、その後は通常課税扱いに

配当金や分配金も相続対象

相続開始後に発生した配当金・分配金は、受取口座によっては課税タイミングがズレることも。

税金に関する知識は「ちょっと難しそう」と感じるかもしれませんが、ポイントさえ押さえておけば、損を防ぐことができます。

次章では、こうした手続きや判断に悩んだときに、専門家に相談するメリットについて具体的に解説します!

第6章:専門家に相談するメリットとは?

証券の相続は、手続きや税金の面で想像以上に複雑です。
「自分でできそう」と思って始めてみたものの、途中で挫折してしまう人も少なくありません。

そこで頼りになるのが、相続に詳しい専門家の存在です。
この章では、どんな専門家にどんな相談ができるのか、そして相談することでどんなメリットが得られるのかをわかりやすく紹介します。

専門家に相談することで得られる5つのメリット

① 手続きの不備を防げる

証券の相続手続きには、以下のような書類が求められます。

  • 戸籍謄本(複数)
  • 印鑑証明書
  • 遺産分割協議書
  • 証券会社の指定書式
  • 相続関係説明図 など

一つでも不備があると、証券会社から「差し戻し」され、数週間〜数ヶ月のロスになることも。
専門家にチェックを依頼すれば、こうしたトラブルを未然に防げます。

株の相続で必要な書類・期限・評価方法まとめ

② 相続税や譲渡益税で損をしない

税金まわりでよくある失敗例

  • 評価額の算出ミスで、本来より多く相続税を支払ってしまう
  • 譲渡益課税の控除や特例(取得費加算など)を使い忘れて税負担が増える
  • NISA口座の処理や、非上場株の評価で混乱する

税理士などの専門家なら、最新の税制に沿って節税ポイントを提案してくれます。
結果的に、相談料よりも大きな金銭的メリットが得られることも多いです。

③ 相続人同士のトラブルを防げる

証券は現金と違って、「きれいに等分できない資産」です。
そのため、分け方や評価の仕方をめぐって、相続人の間で対立が起こることも。

専門家が入ることで、

  • 客観的な評価資料をもとに冷静な話し合いができる
  • 感情論にならず、公平な第三者の立場でアドバイスしてもらえる
  • 将来的な紛争を防ぐための合意書や公正証書の作成も可能

といった安心感が得られます。

④ 非上場株式など専門性の高い証券にも対応できる

  • 中小企業の株式(非上場株)
  • 外国証券・海外口座
  • 法人名義の証券など

こうした複雑な資産は、専門的な評価方法や法的手続きが必要です。
一般の人では対応が難しいケースでも、経験豊富な専門家ならスムーズに対応できます。

⑤ 必要な専門家を組み合わせて使える

相続にはさまざまな分野の知識が必要になります。
相談内容によって、以下のような専門家を連携して活用することが有効です。

専門家できること
税理士相続税・譲渡益税の申告・節税アドバイス
行政書士戸籍収集・遺産分割協議書の作成・手続き代行
弁護士相続人間のトラブル対応・遺言の検認など
司法書士不動産や法人株式の名義変更登記など

一人で全部やる必要はありません。
状況に合わせて最適な専門家を選ぶことが、相続の成功のカギになります。

こんなときは専門家への相談を検討しよう

  • 相続人が複数いて話がまとまらない
  • 評価額の算出や税金の計算に自信がない
  • 証券が複数の会社に分かれていて手続きが煩雑
  • 非上場株や海外資産が含まれている
  • 相続税の申告期限(10ヶ月)が迫っている

どれか一つでも当てはまる場合は、早めの相談がトラブル回避につながります。

専門家選びのポイント

  • 「相続業務に慣れているかどうか」
  • 「証券の取扱い実績があるか」
  • 「初回相談の対応が丁寧かどうか」

士業事務所のホームページや口コミをチェックし、信頼できるところを選ぶことが大切です。
また、複数の事務所で無料相談を受けて比較検討するのもおすすめです。

「誰に相談すればいいかわからない」と感じていた方も、ここまで読んで相談する意味やメリットが明確になったのではないでしょうか。

次章では、読者の方がよく疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめて解説していきます!

第7章:証券相続に関するよくある質問(Q&A)

証券の相続は、実際に経験しないとわからないことだらけ。

ここでは、相続に関するよくある疑問をQ&A形式でわかりやすく解説します。
読みながら、ご自身のケースと照らし合わせて参考にしてみてください。

Q1. 被相続人が証券口座を持っていたか、どうやって確認すればいい?

A. 遺族の方が通帳・郵便物・確定申告書などから探すのが一般的です。
また、証券保管振替機構(ほふり)に問い合わせると、一部の口座の有無を確認できる制度もあります。

証券会社からの年間取引報告書・配当通知などが残っていれば、それが大きな手がかりになります。

Q2. 相続人のうち1人だけで手続きを進めることはできますか?

A. 原則として、相続人全員の同意と書類提出が必要です。
たとえば、遺産分割協議書や印鑑証明書などをそろえる必要があります。

ただし、「相続人代表者」を立てて他の相続人の委任を得ることで、実務は1人が担当する形にすることは可能です。

Q3. 亡くなった後、証券会社にいつまでに連絡すればいいですか?

A. 明確な期限はありませんが、できるだけ早く(1~2ヶ月以内)に連絡することをおすすめします。

理由

  • 証券口座が凍結され、売買できない状態になる
  • 相続税申告期限(10ヶ月)までに評価額を算出する必要がある
  • 放置していると評価額が変動し、損するリスクが高まる

Q4. 複数の証券会社に口座がある場合、手続きをまとめてできますか?

A. できません。各証券会社ごとに、個別の手続きが必要です。
それぞれの会社で異なる書式・ルールがあるため、並行して準備を進めましょう。

申請者が同一でも、同じ書類を何度も提出する必要がある場合もあります。

Q5. 相続財産に非上場株が含まれていました。どうすればいい?

A. 非上場株式は、評価が非常に複雑で、専門的な知識が必要です。
類似業種比準価額法や純資産価額法などの方法を用いて、税理士が評価します。

さらに、会社側の協力(決算書類の提供など)も必要になるため、早めに税理士や行政書士に相談するのがベストです。

Q6. 相続税の申告を忘れてしまいました。どうなりますか?

A. 相続税の申告をしなかった場合、無申告加算税や延滞税のペナルティが課される可能性があります。
また、税務調査の対象になりやすくなります。

相続税の申告期限は、原則として相続開始(=死亡)から10ヶ月以内。
期限を過ぎてしまっていても、なるべく早く専門家に相談し、申告を進めることが大切です。

Q7. 証券を売却して現金化するのと、そのまま保有するのはどちらが得ですか?

A. ケースバイケースですが、以下のような判断基準があります。

  • 早急に現金が必要なら売却
  • 将来的な値上がりを期待するなら保有
  • 譲渡益課税や取得費の確認も忘れずに

また、保有を継続する場合は、相続人名義の証券口座を開設して移管する手続きが必要です。

Q8. 被相続人がNISA口座を持っていた場合、非課税枠は引き継げますか?

A. いいえ、NISA口座は相続によって閉鎖され、非課税枠は引き継げません。

NISA口座内の資産は、課税口座に移された上で評価され、通常通りの税率で課税対象となります。

Q9. 配当金や分配金も相続対象になりますか?

A. はい、相続開始日までに発生した配当金・分配金は相続財産となります。

ただし、相続後に発生した分については、誰が受け取ったかによって課税関係が異なる場合があるため注意が必要です。

Q10. 相続放棄したい場合でも、証券会社への連絡は必要ですか?

A. 基本的には、相続放棄をした場合はその証明書(家庭裁判所での受理通知など)を証券会社に提出する必要があります。

相続放棄の意思表示をしていても、正式に手続きをしていなければ相続人として扱われるので注意しましょう。

Q11. 相続人が高齢・認知症などで手続きが難しい場合は?

A. 成年後見制度や任意代理人制度の活用が必要になることがあります。
この場合は、司法書士や弁護士の関与が必要になるケースが多いため、早めの準備・相談がカギです。

Q&Aの項目はここまでですが、実際のケースではこれ以外にも細かい疑問や不安が出てくることが多いです。
そういった場合は、専門家の無料相談などを活用しながら、正確な情報と安心を手に入れることが大切です。

次章では、この記事のまとめとして、証券相続に向き合う読者の方へメッセージをお届けします。

おわりに:安心して相続を進めるために

証券の相続は、現金や不動産とは違った難しさがあります。
価格が日々変動する、名義変更の手続きが複雑、証券会社ごとにルールが異なる――。
そう聞くと、「やっぱり自分には難しい」と感じるかもしれません。

けれども、この記事で紹介したように、証券相続は正しい知識と段取りを知ることで、誰でも冷静に進めることができます。

相続の手続きをスムーズに終えることは、単なる事務処理ではありません。
それは、大切な家族から受け継いだ財産を、次の世代につなげるという、心のこもった「引き継ぎ」でもあるのです。

こんな時こそ、焦らず一歩ずつ

  • 手続きに必要なものを整理する
  • 相続人で協力し合って役割を分担する
  • わからないことは無理せず、専門家に頼る

完璧にやろうとしすぎなくても大丈夫。
「トラブルなく、きちんと終わらせたい」という気持ちがあれば、きっと大丈夫です。

最後にお伝えしたいこと

  • 証券の相続は後回しにすると、損や争いにつながる可能性があります。
  • でも、早めに動き出せば、思っているよりもスムーズに進められます。
  • 不安なときは、信頼できる専門家に相談するのがいちばんの安心材料です。

あなたが相続を問題ではなく、感謝と安心の形で終えられることを、心から願っています。