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証券相続とは?
証券とは?
証券とは財産に関する権利や義務を表す紙面のことを言います。証券は、証券そのものに価値がある「有価証券」と、証券そのものには価値のない「証拠証券」に分類されます。有価証券は、その証券の持つ財産的権利を小口に分けたり、譲渡したりできるのが特徴です。
「証拠証券」の具体例としては、レシートや預り証の他、保険証書、預金証書、借用証書、領収書、預金通帳などがあります。
証券相続とは?
証券相続とは、株式や投資信託などの金融商品を相続することを指します。被相続人(故人)が保有していた証券は、相続人が適切な手続きを経て引き継ぐ必要があります。証券相続は現金や不動産と異なり、特有の手続きや税金の計算が必要となるため、事前に理解しておくことが重要です。
この記事では、上場されている証券を前提に記述しています。非上場証券に関しては、以下の記事をご参照ください。
証券相続の基本的な流れ
証券相続の手続きは、以下の流れで進めます。
被相続人が保有していた証券口座や金融資産の一覧を確認します。証券会社から「残高証明書」を取得すると、具体的な財産内容がわかります。
被相続人が遺言書を残している場合は、その内容に従って分配されます。遺言書がない場合は、法定相続人の協議により分割方法を決める必要があります。
相続人を確定し、誰がどの証券を引き継ぐのかを協議します。相続人間で意見が合わない場合は、調停や審判に進むこともあります。
証券を相続するには、証券会社ごとに定められた手続きを行います。主な必要書類には、
- 戸籍謄本
- 被相続人の死亡届
- 相続人の本人確認書類
- 遺産分割協議書(または遺言書)
などがあります。
証券を相続した後、名義変更を行うか、売却するかを決めます。売却した場合、その所得には譲渡所得税が課されます。
証券相続にかかる税金
証券相続では、相続税と譲渡所得税が関係します。
1. 相続税
証券は相続財産の一部として課税対象になります。課税額は、
相続税評価額 = 取得時の価格 × 過去の市場価格の平均
として算出されます。評価額が一定額を超える場合、相続税を支払う必要があります。
2. 譲渡所得税
相続後に証券を売却した場合、譲渡所得が発生し、税金がかかります。
- 譲渡所得 = 売却価格 – 取得価格
- 取得価格は、被相続人の購入時の価格が引き継がれます。
- 税率は、所得税15% + 住民税5% の計20%(復興特別所得税を含めると20.315%)です。
証券相続の注意点
1. 証券会社ごとの手続きの違い
証券会社によって相続手続きの詳細が異なるため、事前に確認が必要です。また、複数の証券会社に口座を持っている場合、それぞれで手続きを行う必要があります。
2. 株価の変動リスク
相続時と売却時で株価が変動する可能性があります。株価が下がると相続税の評価額よりも売却価格が低くなり、損失が発生することもあります。
3. 非上場株式の相続
非上場株式は市場価格がないため、相続税評価が難しくなります。評価方法として「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」があり、適切な評価を行う必要があります。
証券相続をスムーズに進めるための対策
1. 事前の相続対策
被相続人が生前に証券の相続計画を立てることで、スムーズな手続きが可能になります。具体的には、
- 証券を特定の相続人に遺贈する遺言書を作成
- 信託を活用して相続を管理
- 定期的に証券の状況を整理
2. 専門家の活用
証券相続には複雑な税制や法律が関係するため、行政書士や税理士や司法書士、行政書士などの専門家に相談するのが賢明です。特に、
- 相続税の申告
- 非上場株の評価
- 遺産分割協議のサポート
などの場面では、専門家のサポートが有益です。
まとめ
証券相続は、適切な手続きを行わなければ、相続人間のトラブルや余計な税金負担につながる可能性があります。事前に相続人と話し合いを進め、適切な計画を立てることが重要です。
証券の相続手続きや税金の計算に不安がある場合は、専門家に相談し、スムーズに相続を進めるようにしましょう。