東京都で建設業許可を取得するには、許可の要件を満たしていることを確認したうえで、それを証明する資料や申請書を準備し、東京都へ申請して審査を受けます。
建設業許可の申請では、常勤役員等や営業所技術者等の要件を満たしているだけでなく、その事実を書類によって証明しなければなりません。申請内容によっては、書類を準備する前に東京都の窓口へ相談しておいた方がよいケースや、事前の窓口相談が求められているケースもあります。
そのため、許可を取得するまでにかかる期間は、申請後の審査期間だけでは判断できません。どのような資料で要件を証明するのかを整理し、必要書類を集めて申請できる状態にするまでの準備期間も含めて考える必要があります。
この記事では、東京都知事の一般建設業許可を新規申請する場合を中心に、申請前の準備から申請、審査、許可までの流れと、申請先、申請方法、許可を取得するまでの期間を解説します。
目次
①東京都の建設業許可を申請する前の確認
申請する許可・業種と必要書類を確認する
東京都内の営業所だけで建設業を営む場合は、東京都知事許可を申請します。新規申請では、一般建設業・特定建設業のどちらを取得するのか、29業種のうちどの業種で許可を受けるのかを決めます。
そのうえで、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所などの要件を確認し、建設業許可の新規申請に必要な書類を準備します。
特に、過去の経営経験や実務経験を使って要件を満たす場合は、経験した事実だけでなく、その期間や内容を資料によって証明できるかまで確認しておくことが重要です。
常勤役員等については経営経験を証明する資料、営業所技術者等については資格・学歴・実務経験を証明する資料を確認し、申請に使える資料を整理しておきましょう。
事前の窓口相談が必要になるケースがある
常勤役員等の経営経験を証明する方法によっては、申請前に東京都の窓口で相談する必要があります。
たとえば、取締役等から権限の委譲を受けた執行役員等としての経験や、経営業務の管理責任者を補佐した経験を使う場合などです。また、常勤役員等に加えて直接補佐者を置く方法で要件を満たす場合も、事前の窓口相談が必要です。
これらのケースでは、組織図、業務分掌規程、取締役会議事録、決裁文書・稟議書、人事発令書などから、当時の役職だけでなく、与えられていた権限や担当していた業務、経験期間などを確認します。
これらの経験を使って申請する場合は、どの資料で経験を証明するのかを整理したうえで、申請書類を作成する前に東京都の窓口へ相談しましょう。
東京都知事許可の申請先・受付時間を確認する
東京都知事の建設業許可を書面で申請する場合は、東京都都市整備局市街地建築部建設業課へ提出します。窓口申請と郵送申請の提出先は次のとおりです。
〒163-8001
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
東京都庁第二本庁舎3階南側
東京都都市整備局市街地建築部建設業課
窓口での申請受付時間は、午前9時から午後4時までです。新規申請など手数料の納付が必要な申請は、午後4時までに受付用の番号札を発券する必要があります。午後4時を過ぎると手数料を納付できないため、その日の申請受付はできません。
また、正午から午後1時までは交代での対応となり、窓口の職員数が少なくなります。
なお、申請前の相談は申請受付とは時間が異なり、相談コーナーの受付時間は午前9時30分から11時30分、午後1時から4時30分までです。事前相談を予定している場合は、申請受付時間と混同しないようにしましょう。
②東京都の建設業許可を申請する方法

東京都知事の建設業許可は、申請書を作成して提出する紙申請のほか、JCIPを利用した電子申請にも対応しています。
紙申請は窓口または郵送で提出する
紙で申請する場合は、申請書と必要な添付書類をそろえ、東京都庁の窓口へ持参する方法と、郵送する方法があります。
窓口申請では、申請書類を提出して内容の確認を受け、手数料を納付した後に受付となります。
郵送申請では、申請書類を送付した後に内容の確認が行われ、東京都からの案内に従って手数料を納付し、その後に受付となります。
いずれの場合も、書類を提出・発送した時点ではなく、所定の手続きを経て受付となる点を押さえておきましょう。
JCIPを利用して電子申請する
建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を利用して、オンラインで新規申請することもできます。
自社で電子申請する場合は、申請者である法人・個人事業主がGビズIDを取得し、JCIPへログインして手続きを進めます。申請内容の入力や必要書類の提出、手数料の納付などをオンラインで行うため、東京都庁へ申請書を持参・郵送する必要はありません。
ただし、現時点では紙申請が多く利用されています。2024年度末時点で、建設業許可手続き全体に占めるJCIPの利用率は2.9%です。なお、この2.9%は東京都だけの利用率ではなく、全国の建設業許可手続き全体の数字です。
JCIPは2023年1月に運用が始まった比較的新しい仕組みですが、2025年9月には全都道府県で電子申請の受付が可能となり、国も利用拡大を進めています。現在の利用率はまだ低いものの、今後は電子申請の利用が広がっていくことが考えられます。
行政書士へ電子申請を依頼する場合は、建設業者のGビズIDを行政書士へ渡すのではなく、GビズIDの委任機能を利用して代理申請を行います。
書面申請とJCIPでは、申請方法だけでなく、GビズIDの準備や行政書士へ依頼した場合に自社に残る作業も異なります。どちらを選ぶか迷っている方は、書面申請とJCIPの違いを比較してみてください。
書面申請とJCIPの違い
③東京都の建設業許可を申請してから許可までの流れ
東京都知事の建設業許可は、申請書類を提出した後、申請内容の確認や手数料の納付を経て受付となります。その後、東京都による審査が行われ、許可となった場合に建設業許可通知書が送付されます。

窓口申請と郵送申請では受付までの手続きが一部異なりますが、全体の流れは次のとおりです。
窓口または郵送で、東京都へ申請書類を提出します。
申請書の記載内容や必要な書類がそろっているかなどの確認が行われます。
東京都知事許可の新規申請では、9万円の申請手数料を納付します。
申請手数料のほか、行政書士に依頼する場合の報酬や証明書取得などの実費を含めた建設業許可の申請費用については、別の記事で詳しく解説しています。
申請内容の確認と手数料の納付など、所定の手続きを終えると申請が受付となります。
申請書や確認資料をもとに、建設業許可の要件を満たしているか審査が行われます。必要に応じて、補正や追加資料の提出を求められることがあります。
審査の結果、許可要件を満たしていることが確認されると、建設業許可を受けます。
許可後、許可番号や許可年月日、許可を受けた建設業の種類などが記載された建設業許可通知書が送付されます。
窓口申請と郵送申請では受付までの流れが異なる
窓口申請と郵送申請では、申請書類を提出してから受付となるまでの手続きが異なります。
| 手続き | 窓口申請 | 郵送申請 |
|---|---|---|
| 申請書類の提出 | 建設業課の窓口へ提出 | 建設業課へ郵送 |
| 申請内容の確認 | 窓口で確認 | 郵送された書類を確認 |
| 手数料の納付 | 内容確認後に納付 | 東京都からの案内後に納付 |
| 申請の受付 | 手数料納付後に受付 | 手数料の納付など所定の手続き後に受付 |
| 受付後 | 審査 → 許可 → 通知書の送付 | 審査 → 許可 → 通知書の送付 |
特に注意したいのは、申請書類を窓口へ提出した日や郵送した日が、そのまま受付日になるわけではないことです。
許可までの標準処理期間は、申請書類を提出した日ではなく、申請が受付となった日から数えます。そのため、建設業許可をいつ取得できるか考える場合は、「いつ提出するか」だけでなく「いつ受付になるか」も確認しておく必要があります。
受付後、許可が出るまでの間に、元請や取引先から申請状況の確認を求められることがあります。建設業許可の申請中であることを確認できるものについては、こちらで解説しています。
④建設業許可を取得するまでの期間

東京都知事の建設業許可を取得するまでには、申請後の審査期間だけでなく、その前に許可要件の確認や証明資料の収集、申請書の作成などを行う期間が必要です。
そのため、許可が必要な時期が決まっている場合は、申請後の期間だけでなく、申請前の準備期間も含めてスケジュールを考えます。
まず申請前の準備期間が必要
新規申請では、取得する業種や許可要件を確認し、必要な証明資料を集めたうえで、申請書を作成します。
この準備にかかる期間は、事業者によって大きく異なります。特に初めて自分で申請する場合は、必要書類や申請書の作成方法を一つずつ確認しながら進めることになるため、当初の想定より準備に時間がかかることがあります。
建設業許可の新規申請では、申請書を記入するだけではありません。常勤役員等や営業所技術者等の要件をどの資料で証明するのかを判断し、必要な資料を収集・作成して、申請できる状態まで整える必要があります。
そのため、建設業許可の申請に慣れていない場合は、途中で必要な資料や作成方法が分からなくなり、準備が止まってしまうこともあります。自分で申請を始めたものの、最終的に申請書類一式を完成させることができず、行政書士へ依頼するケースもあります。
したがって、建設業許可を取得するまでの期間を考える際は、受付後の審査期間だけでなく、実際に申請できる状態まで書類を完成させられるかも含めて、申請前の準備期間を考える必要があります。
申請が受付されてから許可までの標準処理期間は25日
申請書類を提出し、申請が正式に受付となると、東京都による審査が始まります。
東京都知事の建設業許可では、受付後の標準処理期間は25日です。土日祝日などの閉庁日は、この25日に含まれません。
標準処理期間とは、申請が受付されてから行政庁が処分をするまでに通常必要となる標準的な期間のことです。そのため、「受付から25日後に必ず許可される」という意味ではありません。
また、申請内容の補正や追加資料の提出を求められ、その対応に時間がかかった場合などは、実際に許可を受けるまでの期間が長くなることがあります。
すでに受注予定の工事がある場合も、標準処理期間から許可日を見込んで、許可前に契約を進めることはできません。建設業許可の申請中に工事を請け負えるかについては、こちらで詳しく解説しています。
したがって、建設業許可の取得時期を考えるときは、「申請前の準備期間」+「受付後の標準処理期間」で考える必要があります。
許可が必要な時期から逆算して申請準備を始める
「標準処理期間が25日だから、許可が必要になる25日前に申請すればよい」と考えるのは適切ではありません。
実際には、申請が受付となる前に必要書類をそろえ、申請書を作成する期間があるためです。特に、過去の経営経験や実務経験を使う場合は、証明に必要な資料の確認や収集に時間がかかることがあります。
行政書士へ依頼しても、受付後の標準処理期間そのものを短くできるわけではありません。一方で、どの経験を使って要件を満たすのか、何の資料で証明するのか、事前相談が必要かなどを早い段階で整理することで、申請前の準備を効率よく進めることができます。
許可を取得したい時期が決まっている場合は、できるだけ早い段階から申請準備を始めることが重要です。
⑤特定建設業を新規申請する場合は何が違う?
東京都知事の特定建設業許可も、申請先や申請方法、申請から許可までの基本的な流れは一般建設業と同じです。
一般建設業との主な相違点は次のとおりです。
| 相違点 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| 営業所技術者等 | 一般建設業の要件を満たす | 特定建設業の要件を満たす必要がある |
| 財産的基礎 | 一般建設業の財産要件 | より厳しい財産要件を満たす必要がある |
特定建設業を申請する場合は、特に営業所技術者等と財産的基礎について、特定建設業の要件を満たしているか確認したうえで申請準備を進めます。
一般建設業と特定建設業の違いについては、請負金額の基準や許可要件を含めて整理しています。
⑥国土交通大臣許可を新規申請する場合は何が違う?
東京都に主たる営業所があり、他の都道府県にも建設業を営む営業所を設ける場合は、東京都知事許可ではなく国土交通大臣許可を申請します。
東京都知事許可との主な相違点は次のとおりです。
| 相違点 | 東京都知事許可 | 国土交通大臣許可 |
|---|---|---|
| 申請先 | 東京都 | 関東地方整備局 |
| 書面での申請 | 窓口・郵送 | 原則として郵送(持参も可能) |
| 新規申請 | 手数料9万円 | 登録免許税15万円 |
| 標準処理期間 | 受付後25日 | 概ね90日程度 |
国土交通大臣許可は東京都知事許可より標準処理期間が長いため、取得時期が決まっている場合は早めに申請準備を進めます。詳しい申請先や要件、必要書類については、国土交通大臣許可の申請方法で解説しています。
⑦東京都の建設業許可の申請方法に関するよくある質問
Q:建設業許可はどこに申請すればいいですか?
東京都内のみに営業所を設けて建設業を営む場合は、東京都知事許可を申請します。書面申請の申請先は、東京都庁第二本庁舎3階南側の東京都都市整備局市街地建築部建設業課です。
東京都に主たる営業所があり、他の都道府県にも営業所を設けて建設業を営む場合は、国土交通大臣許可となり、関東地方整備局へ申請します。
Q:建設業許可は申請してから何日で取得できますか?
東京都知事許可の標準処理期間は、申請が受付となってから25日です。土日祝日などの閉庁日は、この25日に含まれません。
ただし、25日は許可までの日数を保証するものではありません。審査の過程で補正や追加資料の提出などが必要になった場合は、許可までに通常より時間がかかることがあります。
Q:建設業許可は窓口へ行かなくても申請できますか?
はい。東京都知事許可は、窓口申請のほか、郵送申請やJCIPを利用した電子申請にも対応しています。
郵送申請では、申請書類を郵送した後、東京都からの案内に従って手数料を納付します。手数料は現金書留による送付またはPay-easyによる納付ができるため、申請から手数料の納付まで、必ずしも東京都庁の窓口へ行く必要はありません。
JCIPによる電子申請の場合も、申請や手数料の納付をオンラインで行うことができます。
Q:申請書類を提出した日から25日で許可されますか?
申請書類を提出した日から25日ではありません。
標準処理期間の起算点は、申請が正式に受付となった日です。窓口申請や郵送申請では、書類の確認や手数料の納付などを経て受付となるため、「提出」と「受付」を分けて考える必要があります。
Q:急いで建設業許可を取得することはできますか?
申請が受付された後の標準処理期間を、申請者や行政書士からの催促によって短縮することはできません。
許認可の審査は、行政庁が申請内容を確認したうえで処分を行う手続きです。「急いでいるので早く審査してほしい」と繰り返し催促しても、審査を早めてもらえるものではありません。
行政書士へ依頼した場合も同様です。行政書士から行政庁へ頻繁に催促することは、行政庁の業務負担にもなるため、適切ではありません。
実際に許認可業務では、行政庁から行政書士会へ申し入れが行われ、所属する行政書士に対して頻繁な問い合わせ等を控えるよう周知されることもあります。
そのため、申請後は標準処理期間を前提として、許可までのスケジュールを考えることが重要です。
東京都の建設業許可の申請方法・流れ・期間まとめ
東京都知事の一般建設業許可を新規申請する場合は、許可要件を確認して必要書類を準備し、窓口・郵送・JCIPのいずれかの方法で東京都へ申請します。
申請書類を提出しただけでは受付とはならず、申請内容の確認や手数料の納付などを経て正式に受付となります。その後、東京都による審査が行われ、許可となった場合に建設業許可通知書が送付されます。
東京都知事許可の標準処理期間は、受付後25日です。ただし、これは許可までに通常必要となる標準的な期間であり、25日後の許可を保証するものではありません。
また、新規申請では、受付後の審査期間とは別に申請前の準備期間があります。初めて自分で申請する場合は、必要書類や証明方法、申請書の作成方法を調べながら進めることになるため、想定以上に時間がかかったり、申請書類を完成させるまでに至らなかったりすることもあります。
許可を取得したい時期が決まっている場合は、受付後の25日だけでなく、申請できる状態まで準備する期間も考慮して、余裕をもって手続きを始めましょう。
東京都の建設業許可申請を行政書士に依頼したい方へ
東京都の建設業許可を新規申請する場合、許可要件を満たしているかを確認するだけでなく、その要件を証明する資料の収集や申請書の作成まで行う必要があります。
特に初めて申請する場合は、何を準備すればよいのか、どの資料で要件を証明すればよいのかを調べながら進めることになり、想定以上に時間がかかることがあります。
自分で申請する場合に必要な作業や、どこで判断が難しくなりやすいのかについては、別の記事で詳しく解説しています。
建設業許可を自分で申請する場合のポイント
当事務所では、東京都知事の建設業許可について、許可要件の確認から必要書類の案内、申請書の作成、申請手続きまで対応しています。
行政書士への依頼を検討しているものの、「どこまで任せられるのか」「会社では何を準備するのか」を先に確認したい方は、建設業許可の申請代行で行政書士に依頼できることをご覧ください。
本業に時間を使いたい方や、自社で申請書類を完成させることが難しい方は、行政書士への依頼をご検討ください。

