建設業許可を取得した後に、商号や所在地、役員、営業所などの届出事項を変更した場合は、建設業許可の変更届が必要です。
建設業許可は、許可を取得した時点の会社情報や営業所、人員などをもとに受けているため、許可後にこれらが変わった場合は、変更内容に応じた届出を行います。変更事項によって届出期限も異なります。
たとえば、商号や役員を変更した場合は、会社の登記だけでなく建設業許可の変更届も必要です。営業所を新設・移転する場合は、所在地の変更だけではなく、営業所技術者等や令3条使用人などの確認が必要になることもあります。
さらに、許可を受けていない業種を追加する場合や、一般建設業から特定建設業へ変更する場合などは、通常の変更届ではなく別の申請が必要です。
この記事では、東京都知事許可を受けている建設業者を対象に、変更届が必要な事項と期限、変更に伴って必要になる手続、手続を進める順番を整理して解説します。
まずは、次の一覧から自社に該当する変更を確認してください。
目次
①建設業許可では、許可取得後の変更にも届出が必要
建設業許可は、一度取得すれば、その後は更新まで何もしなくてよいわけではありません。許可を受けた後に、商号や営業所、役員などの届出事項が変わった場合は、その変更内容を行政庁へ届け出る必要があります。
変更届には期限があり、変更後2週間以内に届け出るものと、30日以内に届け出るものがあります。また、決算変更届は事業年度終了後4か月以内と、変更内容によって期限が異なります。
たとえば、役員を変更した場合と常勤役員等を変更した場合では、同じ「人の変更」でも届出期限は同じではありません。営業所を新設した場合も、営業所の届出だけでなく、令3条使用人(支店長など、営業所を代表して建設工事の請負契約を締結する権限を与えられた人)や営業所技術者等の変更が関係することがあります。
そのため、会社で変更があったときは、「変更届が必要か」だけでなく、「何を届け出るのか」「いつまでに届け出るのか」「ほかに連動する変更がないか」を確認することが重要です。
次に、建設業許可で届出が必要となる主な変更事項と期限を一覧で確認します。

②建設業許可で届出が必要な変更と期限一覧
建設業許可を取得した後は、商号、営業所、役員、常勤役員等など、届出事項に変更があった場合に変更届を提出します。
変更内容によって届出期限が異なり、一つの変更から複数の手続が必要になることもあります。次の一覧から自社に該当する変更を探し、届出期限とあわせて必要な手続を確認してください。
| 変更内容 | 届出期限 | あわせて確認すること | 詳しく確認する |
|---|---|---|---|
| 商号・名称 | 変更後30日以内 | 商号・名称の変更登記 | 商号・資本金など会社の基本情報を変更した場合 |
| 資本金額 | 変更後30日以内 | 資本金額の変更登記 | 商号・資本金など会社の基本情報を変更した場合 |
| 営業所の名称 | 変更後30日以内 | 営業所の新設・廃止に当たらないか | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 営業所の所在地・電話番号・郵便番号 | 変更後30日以内 | 所在地の変更登記、営業所要件 | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 営業所の新設 | 変更後30日以内※ | 令3条使用人、営業所技術者等、営業所で扱う業種 | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 営業所の廃止 | 変更後30日以内※ | 令3条使用人、営業所技術者等、許可業種への影響 | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 営業所で扱う業種の追加・廃止 | 変更後30日以内※ | 営業所技術者等、業種追加・一部廃業に当たらないか | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 役員等・5%以上の株主等 | 変更後30日以内 | 役員変更登記、常勤役員等との兼任 | 役員・代表者・常勤役員等を変更した場合 |
| 代表者 | 変更後30日以内 | 代表者変更登記、常勤役員等との兼任 | 役員・代表者・常勤役員等を変更した場合 |
| 令3条使用人 | 変更後2週間以内※ | 担当する営業所、営業所技術者等との関係 | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 常勤役員等 | 変更後2週間以内 | 変更後も許可要件を満たしているか | 役員・代表者・常勤役員等を変更した場合 |
| 営業所技術者等 | 変更後2週間以内 | 後任者、担当する営業所・業種、常勤性 | 営業所を新設・移転・廃止した場合 |
| 社会保険等の加入状況 | 変更後2週間以内※ | 加入状況の変更か、加入人数だけの変更か | – |
| 代表者・役員等・常勤役員等・営業所技術者等などの氏名 | その人の地位による | その人が建設業許可上どの地位にあるか | 該当する人の変更手続を確認 |
| 決算変更届 | 事業年度終了後4か月以内 | 毎事業年度の提出が必要 | 決算変更届の必要書類・期限・作成手順 |
※営業所の新設・廃止などに伴って、令3条使用人や営業所技術者等にも変更が生じる場合は、それぞれの変更について届出期限を確認します。
社会保険等については、加入状況そのものが変わった場合と、加入人数だけが変わった場合では取扱いが異なります。ここは後段で簡潔に確認します。
この一覧にない社内の役職変更や組織変更まで、すべて建設業許可の変更届として提出するわけではありません。特に、執行役員など役職名だけでは建設業許可上の地位を判断できないケースについては、役員等の変更の項目で説明します。
また、業種追加、般・特新規、許可換え新規、一部・全部廃業、承継認可は、この一覧には含めていません。これらは通常の変更届とは手続が異なるため、後段の「変更届ではなく別の申請・届出になる場合」で整理します。
このあと、まずは建設業の変更届とあわせて必要になる手続から確認していきます。の変更、一部廃業などでは、営業所技術者等をはじめとする許可要件に関係する変更が伴うことがあります。東京都でも、許可要件に関する変更は通常の変更とは別に確認・審査する取扱いとなっています。
③建設業の変更届とあわせて必要になる手続
会社に変更があった場合、建設業許可の変更届だけで手続が完了するとは限りません。
変更内容によっては、建設業許可とは別に、次のような手続が必要になることがあります。
- 商業・法人登記
- 税務関係の届出
- 社会保険・労働保険関係の届出
これらは、それぞれ建設業許可とは別の制度に基づく手続です。そのため、会社で変更があったときは、建設業許可の変更届だけでなく、ほかの制度で必要となる手続がないかも確認する必要があります。
また、営業所や常勤役員等、営業所技術者等を変更する場合は、別の行政手続だけでなく、変更後も建設業許可の要件を満たしているかの確認も必要です。
具体的にどのような手続が関係するのかは、次から変更内容ごとに見ていきます。

④商号・資本金など会社の基本情報を変更した場合
会社の商号・名称や資本金額などを変更した場合は、建設業許可についても変更届が必要です。
法人の場合、商号や資本金額は会社の登記事項でもあるため、会社の変更登記とは別に、建設業許可の変更届も行います。 登記を変更しただけでは、建設業許可の届出まで完了したことにはなりません。
主な変更は次のとおりです。
| 変更内容 | 建設業許可で必要となる手続 |
|---|---|
| 商号・名称の変更 | 変更届 |
| 資本金額の変更 | 変更届 |
これらの変更届は、変更後30日以内に提出します。
なお、会社で変更があった場合でも、すべての登記事項が建設業許可の届出対象になるわけではありません。建設業許可では、変更した内容が届出事項に該当するかを確認します。
役員や代表者の変更では、変更登記だけでなく、常勤役員等を兼ねている場合など、建設業許可上の確認が必要になることがあります。詳しくは「会社・役員に関する変更」で解説しています。
⑤営業所を新設・移転・廃止した場合

建設業許可上の営業所を新設・移転・廃止した場合は、営業所に関する変更届が必要です。営業所の名称を変更した場合や、営業所で扱う建設業の種類を変更した場合も届出の対象になります。
営業所に関する変更では、所在地などの情報だけでなく、その営業所に配置する人や、そこで営む建設業の種類もあわせて確認する必要があります。
たとえば、従たる営業所を新設する場合は、営業所の新設に加えて、令3条使用人や営業所技術者等に関する届出も関係します。既存の営業所を廃止する場合も、その営業所に配置していた営業所技術者等や、営業所で営んでいた建設業をどうするのか確認が必要です。
営業所の実態や使用権原、写真などの確認については、「建設業許可の営業所要件とは?自宅・賃貸・写真・使用権原を解説」をご覧ください。
また、営業所を新設・移転する場合は、その場所が建設業法上の営業所としての要件を満たしていることも必要です。
営業所の新設・移転・廃止に伴う届出や、令3条使用人・営業所技術者等との関係については、「営業所に関する変更」で詳しく解説しています。
さらに、建設業法上の営業所を他の都道府県にも設ける場合は、通常の変更届ではなく、許可換え新規(現在の許可行政庁から別の許可行政庁へ切り替えるための新規申請)が必要になることがあります。
⑥役員・代表者・常勤役員等を変更した場合
役員の就任・退任や代表者の変更があった場合は、建設業許可の変更届が必要です。また、5%以上の株主・出資者に変更があった場合も、届出が必要になることがあります。
役員や代表者の変更では、その人が建設業許可上どのような地位にあるかも確認する必要があります。
たとえば、退任する取締役が常勤役員等を兼ねている場合は、役員の退任だけでなく、常勤役員等の変更も関係します。新しい常勤役員等が許可要件を満たしているかも確認しなければなりません。
また、「執行役員」「本部長」など社内の肩書きが変わっただけで、直ちに建設業許可の変更届が必要になるとは限りません。その人が役員や常勤役員等など、建設業許可の届出対象となる地位にあるかで判断します。
役員・代表者・5%以上の株主等・常勤役員等の変更や、複数の地位を兼ねている場合の手続については、「会社・役員に関する変更|役員・代表者・常勤役員等の手続」で詳しく解説しています。
⑦ 期限を過ぎた変更届・未提出がある場合
変更届の提出期限を過ぎている場合や、過去の変更について届出をしたか分からない場合は、まずいつ、何が変更されたのかを確認することが必要です。
複数の変更届が未提出になっている場合は、現在の会社情報だけを見て届け出るのではなく、過去の変更を時系列で確認します。
たとえば、役員の就任・退任が複数回あった場合や、営業所の移転と人員の変更が続けて発生している場合は、それぞれの変更時点で誰が役員や常勤役員等だったのか、営業所や営業所技術者等がどのような状態だったのかを確認します。
特に、常勤役員等や営業所技術者等に関する変更が未提出になっている場合は、その期間も許可要件を満たしていたかの確認が必要になることがあります。
また、変更届が未提出のままでは、更新申請や業種追加など、その後の手続を進める際に過去の変更を整理する必要が生じることがあります。
期限を過ぎた変更届や、過去の届出状況が分からない場合の確認方法については、「変更届の期限超過・未提出」で詳しく解説します。
⑧ 変更届ではなく別の申請・届出になる場合
会社や営業所、許可内容に変更があっても、すべてを変更届で手続できるわけではありません。変更内容によっては、新たな申請や廃業届、承継の手続が必要になります。
主なケースは次のとおりです。
たとえば、すでに内装仕上工事業の許可を受けている会社が、新たに電気工事業の許可を取得する場合は、通常の変更届ではなく業種追加の申請になります。
また、一般建設業から特定建設業へ切り替える場合は、般・特新規(一般建設業と特定建設業の区分を変更するための新規申請)が必要です。
一方、東京都知事許可を受けている会社が、建設業法上の営業所を他の都道府県にも設ける場合は、許可換え新規が必要になることがあります。

一般建設業・特定建設業は、元請として工事を請け負い、下請へ発注する金額などによって関係する区分です。一方、知事許可・大臣許可は、建設業法上の営業所をどの都道府県に設けるかによって決まります。
そのため、会社の変更内容を確認するときは、単に「変更届が必要か」だけではなく、変更届で処理できるのか、別の申請・届出が必要なのかを切り分ける必要があります。
⑨ 登記など別の手続がある場合は変更届の順番にも注意する

建設業許可の変更とあわせて、会社の変更登記などが必要になる場合は、手続の順番にも注意が必要です。
たとえば、法人の商号や本店所在地、取締役、代表取締役など登記事項を変更した場合は、一般に次のような流れで手続を進めます。
会社で変更が発生
→ 変更登記
→ 変更後の登記事項証明書などを取得
→ 建設業許可の変更届
建設業許可の変更届で、変更後の登記事項証明書などの提出が必要になるためです。
ただし、すべての変更をこの順番で処理するわけではありません。
常勤役員等や営業所技術者等を変更する場合は、変更後も建設業許可の要件を満たしていることが重要です。営業所を新設する場合も、その営業所について必要な人員や営業所としての要件を確認したうえで変更する必要があります。
また、税務や社会保険・労働保険に関する届出は、それぞれ別の制度に基づく手続です。建設業許可の変更届との一律の前後関係があるわけではないため、それぞれの手続について提出先と期限を確認します。
なお、会社の変更登記に時間がかかっている場合でも、建設業許可の変更届の提出期限が自動的に延びるわけではありません。
そのため、複数の手続が関係する変更では、最初に必要な手続と期限を確認してから進めることが大切です。
⑩ 変更届を提出する前に確認すること
東京都知事許可の変更届は、変更内容によって必要な届出書や確認資料が異なります。
多くの変更は、該当する届出書と必要書類を準備して提出します。一方、通常の変更届とは別の申請になる場合や、東京都の案内で事前相談が示されている手続もあります。
そのため、書類を作成する前に、自社の変更が通常の変更届で処理できるものか、それとも事前相談や別の申請が必要なものかを確認します。
東京都への事前相談が案内されている手続
東京都では、通常の変更届とは別の申請になる手続のうち、事前に許可行政庁へ相談するよう案内しているものがあります。
- 許可換え新規
許可換え前の許可行政庁へ事前に相談し、所在地変更以外に必要な変更手続などを済ませてから申請します。 - 事業承継の認可申請
承継方法などを確定する前に事前相談を行い、その後の申請手続を進めます。
これらは通常の変更届ではなく、別の申請・認可手続です。手続を進める前の段階で、必要な手続や書類を確認しておくことが重要です。
通常の変更届は必要書類を確認して提出する
通常の変更届に該当する場合は、変更内容に対応する届出書と必要書類を準備して提出します。
たとえば、次のような変更です。
- 商号・名称の変更
- 資本金額の変更
- 役員・代表者の変更
- 営業所の名称・所在地の変更
- 営業所の新設・廃止
- 常勤役員等の変更
- 営業所技術者等の変更
- 社会保険等の加入状況の変更
ただし、一つの変更から複数の届出が必要になることがあります。
たとえば、従たる営業所で建設業の種類を追加する場合は、営業所に関する変更だけでなく、営業所技術者等の変更も関係します。
変更届を作成するときは、次の順に確認すると整理しやすくなります。
- 必要な届出書・確認資料は何か
- 何が変わったか
- その変更に連動する届出はないか
⑪ 建設業許可の変更届に関するよくある質問
Q. 会社の登記を変更すれば、建設業許可の変更届も完了しますか?
いいえ。会社の変更登記と建設業許可の変更届は別の手続です。
商号や本店所在地、取締役、代表取締役などを変更した場合は、変更内容に応じて会社の変更登記とは別に、建設業許可の変更届が必要になります。
Q. 変更届の提出期限はすべて30日以内ですか?
いいえ。変更内容によって提出期限が異なります。
商号や役員などは変更後30日以内ですが、常勤役員等や営業所技術者等などの変更は2週間以内です。また、決算変更届は事業年度終了後4か月以内です。
自社の変更に適用される期限は、この記事の「建設業許可で届出が必要な変更と期限一覧」で確認してください。
Q. 複数の変更が同時にあった場合はどうすればよいですか?
一つの変更から複数の届出が必要になることがあります。
たとえば、従たる営業所を新設する場合は、営業所の新設だけでなく、令3条使用人や営業所技術者等に関する届出も関係します。
変更した事項を一つずつ確認するのではなく、その変更に連動する届出がないかまで確認することが重要です。
Q. 変更届の期限を過ぎてしまった場合はどうすればよいですか?
まず、いつ、どのような変更があったのかを確認します。
複数の変更が未提出になっている場合は、現在の状態だけでなく、過去の変更を時系列で確認する必要があります。
変更届の期限を過ぎている場合や、複数の変更が未提出になっている場合の確認方法については、「建設業許可の変更届を出し忘れた場合|期限超過・未提出の対応」で詳しく解説しています。
Q. 営業所を他県にも新設する場合は変更届で手続できますか?
東京都知事許可を受けている建設業者が、建設業法上の営業所を他の都道府県にも設ける場合は、通常の変更届ではなく、国土交通大臣許可への許可換え新規が必要になります。
営業所の新設によって許可行政庁が変わる場合の手続については、「建設業許可の許可換え新規とは?東京都知事許可から大臣許可へ切り替える方法」で詳しく解説しています。
Q. 許可を受けている建設業を追加・廃止する場合も変更届ですか?
同じ扱いではありません。
現在許可を受けていない建設業を新たに追加する場合は業種追加の申請が必要です。一方、許可を受けている建設業の一部をやめる場合は一部廃業の届出になります。
新しい建設業を追加する場合の要件や手続については、「建設業許可の業種追加」で詳しく解説しています。
まとめ
建設業許可を取得した後に、会社や営業所、人員などに変更があった場合は、変更内容に応じた届出が必要です。
変更があったときは、次の順に確認すると整理しやすくなります。
- 変更した内容が届出対象か
- 届出期限はいつまでか
- ほかに連動する変更がないか
- 登記など別の手続が必要か
- 通常の変更届か、別の申請・届出が必要か
特に、営業所や常勤役員等、営業所技術者等の変更では、一つの変更から複数の届出が必要になったり、変更後も建設業許可の要件を満たしているか確認が必要になったりすることがあります。
変更内容や必要書類の判断が難しい場合、複数の変更が同時に発生している場合、過去の変更届に未提出がある場合は、専門家への依頼も選択肢になります。
IT行政書士事務所では、東京都知事許可の各種変更届について、変更内容の確認から必要書類の案内、届出書の作成・提出までサポートしています。
